(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000345
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099087
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】広田 逸彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA78
3D030DA86
(57)【要約】
【課題】少なくとも左右の把持部位を取替可能として、簡便に、再利用できるハンドルを提供すること。
【解決手段】ハンドル10は、車両を操舵するために、操舵中心軸C回りで回転操舵する。ハンドル10は、操舵中心軸C側の中央部11と、中央部11と連結されて、操舵時に把持する左右の把持部15L,15Rを有した操舵部12と、を備える。ハンドル10は、操舵部12における少なくとも左右の把持部15L,15Rを含んだ二箇所の部位16L,16Rが、着脱可能に、構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されて、操舵時に把持する左右の把持部を有した操舵部と、
を備えて構成されるハンドルであって、
前記操舵部における少なくとも左右の前記把持部を含んだ二箇所の部位が、着脱可能に、構成されていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
前記操舵部が、
前記中央部から延びて、前記中央部と前記把持部とを連結する連結部と、
該連結部の先端側に対して、着脱可能に連結されて、前記中央部の周囲を囲うように配設される環状の環状部と、
を備え、
前記環状部が、前記中央部の回りで、着脱可能に複数に分割された分割体から構成されるとともに、
左右の前記把持部が、いずれかの前記分割体に別々に配設される構成としていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
、
隣接する前記分割体相互の着脱部位における一方と他方とが、相互に嵌合可能として、前記環状部の周方向に略沿って設けられた筒状の嵌合穴部と、該嵌合穴部内に挿入されて嵌合される嵌合軸部と、を配設させて構成されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記環状部と前記連結部との着脱部位における一方と他方とが、相互に嵌合可能として、前記中央部からの放射方向に略沿って設けられた筒状の嵌合凹部と、該嵌合凹部内に挿入されて嵌合される嵌合凸部と、を配設させて構成されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル。
【請求項5】
前記環状部が、前記中央部から左右に延びる前記連結部にそれぞれ連結される左右の二つの前記分割体から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル。
【請求項6】
前記連結部が、前記中央部から左右両側と後方側とに延びる三つ、として配設され、
前記環状部が、各々の前記連結部と着脱可能に結合される三つの前記分割体から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル。
【請求項7】
三つの前記分割体における前記後方側の前記連結部に結合される後側分割体と、隣接する左右の前記分割体と、の着脱構造が、前記中央部側にスライドさせて嵌合可能で、かつ、前記環状部の周方向に移動不能に嵌合させる凹凸形状を端部相互に設けて構成されていることを特徴とする請求項6に記載のハンドル。
【請求項8】
前記操舵部が、
前後方向に沿うように略棒状に配設される左右の前記把持部と、
左右の前記把持部の前後両端に着脱可能に連結される前記中央部から左右の前後に延びる四つの前記連結部と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルであって、特に、再利用し易いハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドルとしては、車両の操舵時、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、操舵中心軸側の中央部と、中央部と連結されて、操舵時に把持する左右の把持部を有した操舵部と、を備えて構成されていた(例えば、特許文献1参照)。操舵部は、中央部から左右と後方とへ延びる三つの連結部と、各連結部の先端側に連結されて、中央部の周囲を囲うように配設される円環状の環状部と、を備えて構成されていた。また、ハンドルとしては、環状部の前縁側の部位が、装飾効果を高めるために、湾曲した棒状体の装飾体から構成されるものもあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-177749号公報
【特許文献1】特開2018-69791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の特許文献1に記載のハンドルでは、車両の再利用時等において、車両の前の所有者から変更するような場合に、新たな所有者が把持するハンドルの把持部位を交換しようとする際、中央部と操舵部とが一体的に連結されていることから、車両の操舵中心軸を構成するステアリングシャフトから、ハンドル全体を取り外して、新たなハンドルに交換する必要が生じており、手間が掛かることから、簡便に、把持する部位を交換することが望まれていた。
【0005】
なお、特許文献2に記載のハンドルでは、操舵部の環状部における前縁側部位だけが、他の環状部の部位に対して、別体としており、その環状部の一部を取替可能な構造のように見受けられるが、この部位は、運転者が左右の手で把持する操舵時の把持部位で無く、操舵部の環状部における前縁側部位の一箇所だけであって、左右の把持部位の交換に、対処できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、少なくとも左右の把持部位を取替可能として、簡便に、再利用できるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るハンドルは、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されて、操舵時に把持する左右の把持部を有した操舵部と、
を備えて構成されるハンドルであって、
前記操舵部における少なくとも左右の前記把持部を含んだ二箇所の部位が、着脱可能に、構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るハンドルでは、操舵部における少なくとも左右の把持部を含んだ二箇所の部位が、着脱可能に、構成されており、左右の把持する部位を含んだ二箇所の部位を取り外して、新たなものに取り替えて取り付ければ、新たな運転者(所有者)は、操舵時、前の所有者が把持した部位でなく、取り替えた新たな把持部を把持できて、気分良く操舵できる。勿論、本発明に係るハンドルでは、左右の把持する部位を含んだ二箇所の部位を取替可能としているため、運転者の好みの把持部位に交換することもできる。そして、この把持部位の交換は、中央部でなく、操舵部における把持部位であって、中央部を車両の回転中心軸側に接続させたまま行えることから、簡便に、行える。
【0009】
したがって、本発明に係るハンドルでは、少なくとも左右の把持部位を取替可能として、簡便に、再利用できるとともに、好みの把持部位に取り替えることもできる。
【0010】
そして、本発明に係るハンドルでは、前記操舵部が、
前記中央部から延びて、前記中央部と前記把持部とを連結する連結部と、
該連結部の先端側に対して、着脱可能に連結されて、前記中央部の周囲を囲うように配設される環状の環状部と、
を備え、
前記環状部が、前記中央部の回りで、着脱可能に複数に分割された分割体から構成されるとともに、
左右の前記把持部が、いずれかの前記分割体に別々に配設される構成としていてもよい。
【0011】
このような構成では、操舵部における把持部を含めた環状部の全体が、取替可能となる。そのため、車両の直進時に把持する左右の把持部だけで無く、回転操舵時の一時的に持ち替えるように把持する部位も、交換できることから、一層、環状部全体を新品として気分良く使用することができる。
【0012】
この場合、隣接する前記分割体相互の着脱部位における一方と他方とが、相互に嵌合可能として、前記環状部の周方向に略沿って設けられた筒状の嵌合穴部と、該嵌合穴部内に挿入されて嵌合される嵌合軸部と、を配設させて構成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成では、環状部が、複数の分割体から形成されていても、分割体相互の着脱構造が、環状部の周方向に略沿った筒状の嵌合穴部に、嵌合軸部を嵌合させる嵌合構造であり、着脱部位が環状部の内周側や外周側に押されても、嵌合穴部が嵌合軸部の周囲の全周を包み込んで、嵌合軸部の軸直交方向の移動を好適に抑制できることから、環状部の周方向に沿った剛性を確保できて、環状部の強度を好適に確保できる。
【0014】
また、この場合、前記環状部と前記連結部との着脱部位における一方と他方とが、相互に嵌合可能として、前記中央部からの放射方向に略沿って設けられた筒状の嵌合凹部と、該嵌合凹部内に挿入されて嵌合される嵌合凸部と、を配設させて構成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成では、環状部を連結部に連結させる際、環状部の着脱部位を中央部側に押し込めば、嵌合凹部に嵌合凸部を嵌合させて連結させることができ、そして、着脱部位が環状部の周方向に押されても、嵌合凹部が嵌合凸部の周囲の全周を包み込んで、嵌合凸部の軸直交方向の移動を好適に抑制できることから、操舵時の環状部の操舵を、的確に、中央部に伝達できる。
【0016】
そして、前記環状部は、前記中央部から左右に延びる前記連結部にそれぞれ連結される左右の二つの前記分割体から構成されていたり、あるいは、前記連結部が、前記中央部から左右両側と後方側とに延びる三つ、として配設されていれば、前記環状部は、各々の前記連結部と着脱可能に結合される三つの前記分割体から構成されていてもよい。
【0017】
なお、上記の環状部が三つの分割体から構成される場合には、三つの前記分割体における後方側の前記連結部に結合される後側分割体と、隣接する左右の前記分割体と、の着脱構造は、前記中央部側にスライドさせて嵌合可能で、かつ、前記環状部の周方向に移動不能に嵌合させる凹凸形状を端部相互に設けて構成されることが望ましい。
【0018】
このような構成では、左右の分割体相互を前端側で結合させた後、後側分割体は、中央部に向けてスライドさせるだけで、左右の分割体の後端側相互に結合させることができることから、各分割体を撓ませること無く、環状の環状部を容易に形成できる。
【0019】
また、本発明に係るハンドルでは、前記操舵部が、前後方向に沿うように略棒状に配設される左右の前記把持部と、左右の前記把持部の前後両端に着脱可能に連結される前記中央部から左右の前後に延びる四つの前記連結部と、を備えて構成されていてもよい。
【0020】
このような構成では、左右の把持部だけを、前後両端の着脱部位を利用して、交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態のハンドルを示す平面図である。
【
図2】第1実施形態のハンドルを分解した状態の平面図である。
【
図3】第1実施形態の分割体相互の着脱構造を説明する図である。
【
図4】第1実施形態の分割体相互の連結を解除する状態を説明する図である。
【
図5】第1実施形態の環状部と連結部との着脱構造を説明する図である。
【
図7】第2実施形態のハンドルを示す平面図である。
【
図8】第2実施形態のハンドルを分解した状態の平面図である。
【
図9】
図8のIX部位の着脱状態を説明する図である。
【
図10】
図8のIX部位の着脱状態を説明する断面図である。
【
図11】第3実施形態のハンドルを示す平面図である。
【
図12】第3実施形態のハンドルを分解した状態の平面図である。
【
図14】第3実施形態の把持部の結合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のハンドル10は、
図1に示すように、車両を操舵するために、操舵中心軸C回りで回転操舵する構成として、操舵中心軸C側の中央部11と、中央部11と連結されて、操舵時に把持する左右の把持部15(L,R)を有した操舵部12と、を備えて構成されている。なお、操舵中心軸Cは、中央部11に接続される図示しないステアリングシャフトから構成され、中央部11における中央付近に配設されて、
図1の紙面を貫通するように、配設されている。
【0023】
第1実施形態のハンドル10では、
図1,2に示すように、操舵部12における少なくとも左右の把持部15(L,R)を含んだ二箇所の部位(分割体16L,16R)が、着脱可能に、構成されている。
【0024】
詳しく述べれば、第1実施形態では、操舵部12が、中央部11から左右両側に延びて、中央部11と把持部15(L,R)とを連結する連結部13(L,R)と、左右の連結部13L,13Rの先端側に対して、着脱可能に連結されて、中央部11の周囲を囲うように配設される円環状の環状部14と、を備えて構成されている。環状部14は、中央部11の回りで、着脱可能に複数に分割された分割体16(L,R)から構成されている。左右の把持部15L,15Rは、いずれかの分割体16L.16Rに別々に配設される構成としている。
【0025】
すなわち、このハンドル10では、円環状の環状部14が、それぞれ、半円弧状の左方側の分割体16Lと右方側の分割体16Rとから構成され、それぞれの端部16a,16bには、相互を連結させる着脱構造20としての嵌合穴部21と嵌合軸部26とを配設させている。
【0026】
なお、実施形態の場合、左右の把持部15L,15Rは、車両の直進操舵時のハンドル10における中央部11を基準に、時計回りで説明すれば、環状部14における略3時と略9時との位置に対応するエリアであって、左右の連結部13L,13Rとの連結部位付近としている。
【0027】
着脱構造20における嵌合穴部21は、環状部14の周方向に略沿って設けられた略円筒状の筒状部21aの内周側に嵌合孔21bが配設されて構成され、嵌合軸部26は、嵌合孔21bに嵌合する棒状としている。詳しくは、着脱構造20の着脱部位20aでは、環状部14の周方向に沿う接線方向と平行に、嵌合孔21bと嵌合軸部26との軸線方向を配置させて、嵌合孔21bと嵌合軸部26とが形成されている。さらに、着脱部位20aでの嵌合後の抜け止めを図れるように、外れ防止具としてのばね状金属材等からなるスナップリング23が、嵌合軸部26の収納溝26a内に収納され、嵌合穴部21の嵌合孔21bの内周面側には、スナップリング23を係止する係止溝21dが、形成されている。
【0028】
この着脱構造20では、
図3,4に示すように、筒状部21aの先端面21cが嵌合軸部26の周縁の位置決め座27に当接するように、スナップリング23を収納溝26aに収納させた嵌合軸部26を、嵌合穴部21の嵌合孔21bに挿入させれば、スナップリング23が、縮径されつつ嵌合孔21bの内周面を摺動し、係止溝21dの位置に到達すれば、係止溝21dと収納溝26aとを跨ぐように、拡径されて、係止溝21dに係止されることから、嵌合軸部26の嵌合穴部21からの抜けが防止されて、着脱部位20aの嵌合穴部21と嵌合軸部26とが結合されることとなる。
【0029】
なお、嵌合穴部21には、外れ防止具としてのスナップリング23の係止を解除するように、縮径させる係止解除ピン24を挿入させる解除用孔21eが形成されており、結合後、解除用孔21eに係止解除ピン24を挿入させて、スナップリング23を縮径させれば、スナップリング23が、係止溝21dの係止を解除できることから、嵌合軸部26を嵌合穴部21から引き抜くことができる。第1実施形態の嵌合穴部21と嵌合軸部26とは、左右の分割体16L,16Rのそれぞれの端部16a,16bに、配設されている。
【0030】
また、環状部14と連結部13(L,R)との着脱構造30は、
図5,6に示すように、相互に嵌合可能な嵌合凹部31と嵌合凸部35とを備えて構成されている。嵌合凹部31は、中央部11からの放射方向に略沿って設けられた筒状の筒状部31a内に、嵌合孔31bを設けて構成され、嵌合凸部35は、嵌合孔31bに挿入されて嵌合可能な断面形状の棒状としている。詳しくは、着脱構造30の着脱部位30aでは、左右に二分割された環状部14の分割体16(L,R)を結合させる左右方向に略沿って(略3時、略9時の連結部13(L,R)の中央部11からの突出方向に略沿って)、嵌合孔31bと嵌合凸部35との軸線方向を配置させて、嵌合孔31bと嵌合凸部35とが形成されている。
【0031】
なお、第1実施形態の場合、嵌合凸部35は、断面を円形で無く、軸周り方向を規制可能に、異形の断面略H字形状としており、嵌合孔31bも対応する開口形状としている(
図6参照)。
【0032】
また、嵌合凹部31と嵌合凸部35とには、嵌合後の抜け止めのために、外れ防止具としての止めねじ33を挿通させる挿通孔31dが、嵌合凹部31に配設され、止めねじ33を螺合させるねじ孔35aが、嵌合凸部35に配設されている。
【0033】
この着脱構造30では、嵌合凹部31の筒状部31aの先端面31cを嵌合凸部35の周縁の位置決め座36に当接させるように、嵌合凹部31の嵌合孔31b内に嵌合凸部35を挿入させつつ嵌合させ、外れ防止具としての止めねじ33を、挿通孔31dを経て、ねじ孔35aに締結すれば、抜け止めを図って、嵌合凹部31と嵌合凸部35とを嵌合させることができる。
【0034】
なお、第1実施形態の場合には、中央部11から延びる連結部13L,13Rの先端部13aに、嵌合凹部31が配設され、対応する分割体16L,16Rの端部16a,16b間の中間部16c付近に、中央部11側に突出して、嵌合凸部35が配設されているが、逆の構成として、連結部13(L,R)側に嵌合凸部35を設け、分割体16(L,R)側に嵌合凹部31を設けてもよい。
【0035】
第1実施形態のハンドル10では、組立時、左右の分割体16L,16Rの各嵌合凸部35を、連結部13L,13R側の嵌合凹部31に、挿入させつつ嵌合させるとともに、左右の分割体16L,16Rの端部16a,16b相互の嵌合穴部21に、スナップリング23を装着済みの嵌合軸部26を、挿入させつつ嵌合させて、スナップリング23を係止溝21dに係止させる。ついで、各止めねじ33を、左右の嵌合凹部31の挿通孔31dを経て、ねじ孔35aに締結すれば、ハンドル10を組み立てることができる。
【0036】
その後、ハンドル10の再利用等のために、把持部15(L,R)を交換する場合には、組立時と逆に、止めねじ33を外すとともに、分割体16L,16Rの各解除用孔21eに係止解除ピン24を挿入させて、スナップリング23を縮径させれば(
図4参照)、スナップリング23における係止溝21dの係止を解除できて、各嵌合軸部26を嵌合穴部21から引き抜けば、左右の分割体16L,16Rを連結部13L,13Rから離脱させることができる。その後、所望の素材や色等とした分割体16L,16Rを、組立時と同様の作業により、左右の連結部13L,13Rに連結させつつ、相互に結合させれば、把持部15(L,R)を交換したハンドル10を得ることができる。
【0037】
以上のように、第1実施形態のハンドル10では、操舵部12における少なくとも左右の把持部15(L,R)を含んだ二箇所の部位(分割体)16L,16Rが、着脱可能に、構成されており、左右の把持する部位を含んだ二箇所の部位16L,16Rを取り外して、新たなものに取り替えて取り付ければ、新たな運転者(所有者)は、操舵時、前の所有者が把持した部位でなく、取り替えた新たな把持部15(L,R)を把持できて、気分良く操舵できる。勿論、このハンドル10では、左右の把持する部位15(L,R)を含んだ二箇所の部位16(L,R)を取替可能としているため、運転者の好みの把持部位に交換することもできる。そして、この把持部位の交換は、中央部11でなく、操舵部12における把持部位15(L,R)であって、中央部11を車両の操舵中心軸C側の図示しないステアリングシャフトに接続させたまま行えることから、簡便に、行える。
【0038】
したがって、実施形態のハンドル10では、少なくとも左右の把持部位15(L,R)を取替可能として、簡便に、再利用できるとともに、好みの把持部位15(L,R)に取り替えることもできる。
【0039】
また、第1実施形態のハンドル10では、操舵部12が、中央部11から延びて、中央部11と把持部15(L,R)とを連結する連結部13(L,R)と、連結部13の先端部13a側に対して、着脱可能に連結されて、中央部11の周囲を囲うように配設される環状の環状部14と、を備えている。そして、環状部14が、中央部11の回りで、着脱可能に複数に分割された分割体16(L,R)から構成されるとともに、左右の把持部15(L,R)が、いずれかの分割体16(L,R)に別々に配設される構成としている。
【0040】
そのため、第1実施形態では、操舵部12における把持部15(L,R)を含めた環状部14の全体が、取替可能となる。すなわち、車両の直進時に把持する左右の把持部15L,15Rだけで無く、回転操舵時の一時的に持ち替えるように把持する部位も、交換できることから、一層、環状部14全体を新品として気分良く使用することができる。
【0041】
さらに、第1実施形態では、隣接する分割体16L,16R相互の着脱部位20aにおける一方と他方との端部16a,16bの着脱構造20が、相互に嵌合可能として、環状部14の周方向に略沿って設けられた筒状の嵌合穴部21と、嵌合穴部21内に挿入されて嵌合される嵌合軸部26と、を配設させて構成されている。
【0042】
そのため、第1実施形態では、環状部14が、複数(実施形態では二つ)の分割体16L,16Rから形成されていても、分割体16L,16R相互の着脱構造20が、環状部14の周方向に略沿った筒状の嵌合穴部21に、嵌合軸部26を嵌合させる嵌合構造であり、着脱部位20a,20aが環状部14の内周側や外周側に押されても、嵌合穴部21が嵌合軸部26の周囲の全周を包み込んで、嵌合軸部26の軸直交方向の移動を好適に抑制できることから、環状部14の周方向に沿った剛性を確保できて、環状部14の強度を好適に確保できる。
【0043】
また、第1実施形態では、環状部14と連結部13(L,R)との着脱部位30aにおける一方と他方との着脱構造30が、相互に嵌合可能として、中央部11からの放射方向に略沿って設けられた筒状の嵌合凹部31と、嵌合凹部31内に挿入されて嵌合される嵌合凸部35と、を配設させて構成されている。
【0044】
そのため、第1実施形態では、環状部14を連結部13L,13Rに連結させる際、環状部14の着脱部位30aを中央部11側に押し込めば、嵌合凹部31に嵌合凸部35を嵌合させて連結させることができ、そして、着脱部位30aが環状部14の周方向に押されても、嵌合凹部31が嵌合凸部35の周囲の全周を包み込んで、嵌合凸部35の軸直交方向の移動を好適に抑制できることから、操舵時の環状部14の操舵を、的確に、中央部11に伝達できる。
【0045】
なお、第1実施形態では、分割体16L,16R相互の着脱構造20において、嵌合穴部21と嵌合軸部26との嵌合後の外れ防止のために、外れ防止具としてのスナップリング23を使用した場合を例示したが、着脱構造30のように、嵌合穴部21と嵌合軸部26とに貫通されて螺合するねじ手段の止めねじ33を、外れ防止具として、利用してもよい。
【0046】
同様に、第1実施形態では、環状部14と連結部13(L,R)との着脱構造30において、嵌合凹部31と嵌合凸部35との嵌合後の外れ防止のために、はすれ防止具としてのねじ手段の止めねじ33を使用した場合を例示したが、着脱構造20のように、スナップリング23を、外れ防止具として、利用してもよい。
【0047】
なお、第1実施形態では、各着脱構造20,30の部位に、外れ防止具としてのスナップリング23や止めねじ33を使用したが、各部位に外れ防止具を設けなくとも良い。例えば、第1実施形態のように、環状部14が左右の分割体16(L,R)から形成されているような場合では、左右の連結部13(L,R)と分割体16(L,R)との着脱部位30に、外れ防止具としての止めねじ33を使用すれば、分割体16(L,R)相互の着脱部位20には、外れ防止具を使用せずとも、環状部14が、中央部11側から外れず、その円環形状を維持できる。但し、各着脱部位20,30に、外れ防止具を使用すれば、結合強度を安定させて、着脱部位20a,30a相互を結合できる。
【0048】
また、第1実施形態のハンドル10では、環状部14が左右二つの分割体16(L,R)から構成されているものを例示したが、
図7~10に示すハンドル10Aの環状部14Aのように、三つの分割体17(L,R,B)から構成されていてもよい。このハンドル10Aでは、連結部13Aが、操舵中心軸C側の中央部11Aから左右両側と後方側とに延びる三つの連結部13A(L,R,B)を具備して構成され、環状部14Aが、各々の連結部13AL,13AR,13ABと着脱可能に結合される三つの分割体17L,17R,17Bから構成されている。
【0049】
このハンドル10Aでは、左右の分割体17L,17Rの前端部17a相互が、スナップリング23を使用した着脱構造20により、着脱可能に結合され、同様に、分割体17L,17R,17Bと各連結部13AL,13AR,13ABとの相互も、スナップリング23を使用した着脱構造20により、着脱可能に結合されている。
【0050】
そして、この第2実施形態では、三つの分割体17(L,R,B)における後方側の連結部13ABに結合される後側分割体17Bと、隣接する左右の分割体17L,17Rと、の着脱構造40が、後側分割体17Bを中央部11側にスライドさせて嵌合可能で、かつ、環状部14Aの周方向に移動不能に嵌合させる凹凸形状を端部17b,17c相互に設けて構成されている。
【0051】
具体的には、後側分割体17Bに隣接する分割体17L,17R側の後端部17bには、断面T字状で、相互に平行として、中央部11A側に延びる(前後方向に沿って延びる)凸状部41が形成され、対応する後側分割体17Bの左右の端部17cには、凸状部41を前後方向に沿ってスライドさせて嵌合可能な凹溝42aを有した凹状部42が、形成されている。
【0052】
このハンドル10Aでは、左右の分割体17L,17Rにおける連結部13AL,13ARとの結合部位付近が、直進操舵時に把持する把持部15A(L,R)としている。
【0053】
第2実施形態のハンドル10Aでは、組立時、左右の分割体17L,17Rと連結部13AL,13ARとの着脱部位20aにおいて、嵌合穴部21に嵌合軸部26を嵌合させるとともに、左右の分割体17L,17Rの前端部17a側相互の着脱部位20aにおいても、嵌合穴部21に嵌合軸部26を嵌合させて、中央部11Aから延びる連結部13AL,13ARに対して左右の分割体17AL,17ARを結合させつつ、分割体17AL,17ARの前端部17a相互を結合させる。ついで、後側分割体17Bを後方側の外方から中央部11A側の前方側に移動させつつ、後側分割体17Bの左右の端部17cにおける各凹状部42の凹溝42aに、左右の分割体17L,17Rの凸状部41を嵌合させつつ、後側分割体17Bと連結部13ABとの着脱部位20aにおいて、嵌合穴部21に嵌合軸部26を嵌合させれば、ハンドル10Aを組み立てることができる。
【0054】
なお、各着脱部位20aの着脱構造20は、既述したように、外れ防止具としてのスナップリング23が配設されており、結合後の着脱部位20aでは、スナップリング23による係止により、結合後の外れが防止されている。
【0055】
その後、把持部15(L,R)を交換する場合には、組立時と逆に、連結部13ABの嵌合穴部21の解除用孔21eに図示しない係止解除ピン24を挿入させて、スナップリング23を縮径させれば、スナップリング23における係止溝21dの係止を解除できて(
図4参照)、分割体17Bを中央部11A側から後方側に引き抜けば、分割体17Bの左右の凹状部42を左右の分割体17L,17Rの凸状部41から外すことができる。その後、左右の分割体17L,17Rの前端部17a側の着脱部位20aにおける嵌合穴部21の解除用孔21eに図示しない係止解除ピン24を挿入させて、スナップリング23を縮径させつつ、また、左右の連結部13AL,13ARの嵌合穴部21の解除用孔21eに図示しない係止解除ピン24を挿入させて、スナップリング23を縮径させれば、左右の分割体17L,17R相互の結合を解除しつつ、左右の分割体17L,17Rを連結部13AL,13ARから取り外すことができる。その後、所望の素材や色等の分割体17L,17Rを、組立時と同様の作業により、左右の連結部13AL,13ARに結合させつつ、分割体17Bを組み付ければ、把持部15A(L,R)を交換したハンドル10Aを得ることができ、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。なお、分割体17L,17Rの交換時、適宜、分割体17Bも、所望の素材や色等のものと交換してもよい。
【0056】
さらに、この第2実施形態では、左右の分割体17L,17B相互を前端部17a側で結合させた後、後側分割体17Bは、中央部11Aに向けてスライドさせるだけで、左右の分割体17L,17Rの後端部17b側相互に結合させることができることから、各分割体17(L,R,B)を撓ませること無く、円環状の環状部14Aを容易に形成できる。
【0057】
なお、第2実施形態でも、各着脱構造20,30の部位に、外れ防止具としてのスナップリング23や止めねじ33を使用したが、各部位に外れ防止具を設けなくとも良い。例えば、後側の連結部13ABと分割体17Bとの着脱部位20に、外れ防止具としてのスナップリング23を使用すれば、左右の分割体17(L,R)相互や、左右の分割体17(L,R)と連結部13ABとの着脱部位20には、外れ防止具を使用せずとも、環状部14Aが、中央部11側から外れず、その円環形状を維持できる。但し、各着脱部位20に、外れ防止具を使用すれば、結合強度を安定させて、着脱部位20a相互を結合できる。
【0058】
また、第1,2実施形態のハンドル10,10Aでは、操舵部12,12Aとして、中央部11,11Aから延びる連結部13,13Aと、連結部13,13Aに対して結合される円環状の環状部14,14Aと、から構成されるものを例示したが、
図11~14に示すハンドル50のように、操舵部52が、前後方向に沿うように略棒状に配設される左右の把持部54(L,R)と、左右の把持部54(L,R)の前後両端部54a,54bに対して着脱可能に連結される四つの連結部53(LF,LB,RF,RB)と、を備えて構成されていてもよい。各連結部53(LF,LB,RF,RB)は、操舵中心軸C側に配置される中央部51から左右の前後の四方向に延びている。
【0059】
把持部54(L,R)の端部54a,54bと各連結部53の先端部53aとの着脱構造56の着脱部位56aは、一方側に、止めねじ64を挿通させる挿通孔58を設けた凸部57を形成し、他方側に、凸部57を嵌め込み可能な凹溝61を有し、かつ、挿通孔58を挿通された外れ防止具としての止めねじ64を螺合させるねじ孔62を有した凹部60を形成して、構成されている。
【0060】
第3実施形態の場合、凸部57は、各連結部53の先端部53aの端面53bにおいて、中央部51側の縁から突設され、凹部60は、左右の把持部54(L,R)の前後の端部54a,54bの中央部51側の縁に凹溝61を設けて構成されている。
【0061】
第3実施形態のハンドル50では、組立時、左右の把持部54(L,R)の前後の端部53a,53bに設けた凹部60の凹溝61に、対応する連結部53(LF,LB,RF,RB)の先端部53aの凸部57を嵌めて、凸部57側の挿通孔58を経て、凹部60側のねじ孔62に、外れ防止具としての止めねじ63を螺合させれば、ハンドル50を組み立てることができる。
【0062】
その後、把持部54(L,R)を交換する場合には、組立時と逆に、左右の止めねじ63を外せば、左右の把持部54(L,R)を、対応する連結部53(LF,LB,RF,RB)から取り外すことができる。その後、所望の素材や色等の把持部54(L,R)を、組立時と同様の作業により、連結部53(LF,LB,RF,RB)に結合させれば、把持部54(L,R)を交換したハンドル50を得ることができる。
【0063】
したがって、第3実施形態のハンドル50でも、少なくとも左右の把持部54(L,R)を取替可能として、簡便に、再利用できるとともに、好みの把持部54(L,R)に取り替えることもできる。勿論、このハンドル50でも、把持部54(L,R)の交換は、把持部54(L,R)自体の交換であって、中央部51を車両の操舵中心軸C側の図示しないステアリングシャフトに接続させたまま行えることから、簡便に、行える。
【0064】
なお、この第3実施形態の着脱構造56の着脱部位56aでは、連結部53側に凸部57を設けて、把持部54側に凹部60を設けたが、連結部53側に凹部60を設け、把持部54側に凸部57を設けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10,10A,50…ハンドル、11,11A,51…中央部、12,12A,52…操舵部、13(L,R),13A(L,R,B),53(LF,LB,RF,RB)…連結部、13a,53a…先端部、14,14A…環状部、15(L,R),15A(L,R),54(L,R)…把持部、16(L,R),17(L,R、B)…分割体、20,30,40,56…着脱構造、20a,30a,56a…着脱部位、21…嵌合穴部、26…嵌合軸部、31…嵌合凹部、35…嵌合凸部、41…凸状部、42…凹状部、57…凸部、60…凹部、C…操舵中心軸。