(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003451
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】栄養補助食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/00 20160101AFI20240105BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240105BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240105BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20240105BHJP
【FI】
A23L33/00
A23L33/105
A23L33/125
A23L33/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102600
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】523064011
【氏名又は名称】中村 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】末廣 和子
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018MD20
4B018MD28
4B018MD50
4B018MD52
4B018MD57
4B018MD61
4B018MD86
4B018MD87
4B018ME02
4B018MF01
4B018MF14
(57)【要約】
【課題】炭水化物、脂質、およびたんぱく質の3大栄養素の吸収効率を考慮した完全栄養食に適した食品を提供する。
【解決手段】アーモンドパウダーと、単糖類と、コラーゲンペプチドおよび/またはホエイペプチドと、黒コショウ抽出物と、を含有する粉末状の栄養補助食品。さらに、ショウガの粉末、ココアパウダー、発芽玄米の粉末、アセロラの粉末、乳酸菌の粉末、およびビフィズス菌の粉末からなる群から選択される1以上の材料を含むものとすることもできる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーモンドパウダーと、単糖類と、コラーゲンペプチドおよび/またはホエイペプチドと、黒コショウ抽出物と、を含有する粉末状の栄養補助食品。
【請求項2】
さらに、ショウガの粉末、ココアパウダー、発芽玄米の粉末、アセロラの粉末、乳酸菌の粉末、およびビフィズス菌の粉末からなる群から選択される1以上の材料を含む請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項3】
5~20gが個包装されたものである、請求項1または2に記載の栄養補助食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3大栄養素を含む完全栄養補助食品の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
健康のためには様々な成分を摂取することが求められる。一方で、食生活からの摂取が難しいものなども想定して栄養補助食品なども普及している。例えば、体作りのために、プロテインパウダー(粉末たんぱく食品)などは、液体と混合して摂取することなどが想定されており、そのたんぱく質の由来や、風味、特徴とする成分などを考慮した様々な商品が市販されている。
【0003】
また、特許文献としてもこれらに関するものが様々に検討されている。例えば、特許文献1は、栄養を必要とする人に栄養を提供するのに使用するためのものであって、前記人が、好ましくは高齢者、疾患状態の人、疾患状態から回復中の人、栄養不良の人、又は、スポーツマン若しくはスポーツウーマン若しくは活発な高齢者などの健康な人であるものとして、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物であって、前記組成物の12~20重量%の量でタンパク質供給源を含み、前記タンパク質供給源が、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼインとを含み、前記タンパク質供給源において前記乳清タンパク質と前記カゼインとの重量比が35:65~65:35であり、前記スプーン切れのよい栄養組成物が、100s-1の剪断速度で測定して20℃にて400~4000mPa・sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、栄養組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉末状の食品は、牛乳や水などと混合して摂取できるため、継続して摂取しやすい。このため、市販のプロテインパウダーや特許文献1のような、タンパク質を効率よく摂取するための食品等が検討されている。
ヒトの3大栄養素は、炭水化物、脂質、たんぱく質である。トレーニングなどを目的とした多くの栄養補助食品は、高たんぱく質であることを特徴としようとするものが多いが、現代人の栄養不足・食生活の改善や補助を目的としたこれらの3大栄養素をバランスよく配合したことを特徴とする栄養補助食品は主流ではない。特に、脂質は、油や、バター等の乳加工品、肉などが代表的な食品であり、これは常温で液体や粘性の高い固体である。これらを、栄養補助食品として提供しようとしても、液性の脂質などを用いると、粉状とすることが難しく、牛乳などに混合して摂取することに適したものが提供されていない。
かかる状況下、本発明は、炭水化物、脂質、およびたんぱく質の3大栄養素の吸収効率を考慮した完全栄養食に適した食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0007】
<1> アーモンドパウダーと、単糖類と、コラーゲンペプチドおよび/またはホエイペプチドと、黒コショウ抽出物と、を含有する粉末状の栄養補助食品。
<2> さらに、ショウガの粉末、ココアパウダー、発芽玄米の粉末、アセロラの粉末、乳酸菌の粉末、およびビフィズス菌の粉末からなる群から選択される1以上の材料を含む前記の栄養補助食品。
<3> 5~20gが個包装されたものである、前記の栄養補助食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の栄養補助食品は、炭水化物、脂質、およびたんぱく質の3大栄養素の吸収効率を考慮した完全栄養食に適した粉末状のものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0010】
[本発明の栄養補助食品]
本発明の栄養補助食品は、「アーモンドパウダー」と、「単糖類」と、「コラーゲンペプチドおよび/またはホエイペプチド」と、「黒コショウ抽出物」と、を含有する粉末状の栄養補助食品である。
【0011】
[アーモンドパウダー]
アーモンドパウダーは、アーモンドの粉末である。アーモンドパウダーは、アーモンドプードルと呼ばれる場合もある。アーモンドパウダーは、脂質の含有量が高いが、粉末状で混合しやすい。アーモンドパウダーは、本発明の栄養補助食品において、3大栄養素の脂質の補助に有効である。
【0012】
本発明の栄養補助食品において、アーモンドパウダーは、2~15質量%や、3~10質量%程度含むことが好ましい。アーモンドパウダーの含有量が少なすぎる場合、脂質を十分に含むことができないおそれがある。アーモンドパウダーが多すぎる場合、牛乳や豆乳、水等に分散しにくくなり、沈殿やダマが生じたり、ざらつくような食味となったり、本発明の栄養補助食品を効率よく摂取しにくくなるおそれがある。
【0013】
[単糖類]
単糖類は、それ以上分解されない糖類である。果糖や、ブドウ糖、ガラクトースなどがある。単糖類は、本発明の栄養補助食品において、3大栄養素の炭水化物の補助に有効である。単糖類の中でも、特に血糖値を上げにくい果糖を用いることが好ましい。
本発明の栄養補助食品において、単糖類は、20~60質量%程度や、40~55質量%程度、48~52質量%程度含むことが好ましい。
単糖類が少なすぎる場合、炭水化物を十分に含むものとすることができないおそれがある。単糖類が多すぎる場合、相対的に他の成分が不足してバランスが悪くなる。
【0014】
[コラーゲンペプチドおよび/またはホエイペプチド]
コラーゲンペプチドは、コラーゲンを酵素等で分解し低分子化したものである。ホエイペプチド(乳タンパク)は、牛乳由来のタンパク質を用いたもので、牛乳からカゼインや脂成分を取り除いたホエイのタンパク質を酵素等で分解し低分子化したものである。本発明の栄養補助食品は、コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドの少なくともいずれかを含み、双方を含むものとしてもよい。
【0015】
コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドは、本発明の栄養補助食品において、3大栄養素のタンパク質を構成するためのペプチドやアミノ酸原料の補助に有効である。また、本発明の栄養補助食品の成分の中では、比較的、牛乳や豆乳、水などに分散しやすい。
栄養補助食品において、コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドは、他の成分を混合した後に、残部の主たる調整要素として用いることができる。
【0016】
本発明の栄養補助食品において、コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドの合計量は、50質量%以下程度として、5~50質量%程度とすることができる。コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドは、10~30質量%や、15~25質量%としてもよい。コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドが、少なすぎる場合、たんぱく質関連の成分が不足する場合がある。コラーゲンペプチドおよびホエイペプチドが、多すぎる場合、相対的に、炭水化物や脂質などの他の成分が不足してバランスが悪くなる。
【0017】
[黒コショウ抽出物]
黒コショウ抽出物は、黒コショウの粉末やエキス等を用いた抽出物である。黒コショウ抽出物は、本発明の栄養補助食品に用いるアーモンドパウダーや単糖類、各種ペプチド等の素材の吸着性を向上させることが期待される。黒コショウ抽出物としては、例えば、バイオペリン(登録商標)などを用いることができる。
本発明の栄養補助食品において、黒コショウ抽出物は、0.005~0.05質量%程度や、0.01~0.03質量%とすることができる。
黒コショウ抽出物が、少なすぎる場合、吸着性を向上させる効果が得られないおそれがある。黒コショウ抽出物が、多すぎる場合、辛味の原因となって継続して食べにくかったり、健康被害の原因となったりするおそれがある。
【0018】
[栄養補助食品]
本発明の栄養補助食品は、粉末状である。この粉末は、そのまま食べてもよいし、散剤のように水とともに飲んだり、牛乳や豆乳などの飲み物に混合して飲んでもよい。特に、準完全栄養食品と呼ばれることもある牛乳などに混合して摂取することで、多様な栄養を効率よく摂取することができるため好ましい。
【0019】
本発明の栄養補助食品は、1日当たり、5~30g程度摂取することが好ましい。このため、本発明の栄養補助食品は、5~20gが個包装されたものであることが好ましい。個包装されたものを用いれば、1日当たり1袋摂取したり、食事回数などに合わせて複数回摂取したりするなど、1日当たりの摂取量の管理も行いやすい。
1日当たりの摂取量が、少なすぎる場合、十分な栄養補助効果が得られにくい場合がある。1日当たりの摂取量が、多すぎる場合、他の食生活との組み合わせなどによって過剰摂取となる成分が生じるおそれがある。
【0020】
本発明の栄養補助食品は、3大栄養素を含み、吸収効率を考慮した完全栄養食に適した食品である。継続した摂取が行いやすい形態であり、継続して摂取することで、健康的な体作りにも寄与することが期待できる。また、これらの粉末のいずれも自然由来の食経験がある原料である。このため、継続して安心して摂取しやすく副作用のおそれも少ないと考えられる。
【0021】
本発明の栄養補助食品は、さらに、任意の成分を混合してもよい。このとき、有効成分以外の着色料や、保存料、安定剤、漂白剤、香料、乳化剤を含まないものとしてもよい。特に、化学合成された甘味料や、着色料、保存料、安定剤、漂白剤、香料、乳化剤を含まないことが好ましい。また、重金属などの有害物質を含まず安全性が高いものとすることができる。
【0022】
本発明の栄養補助食品は、例えば、ショウガの粉末、ココアパウダー、発芽玄米の粉末、アセロラの粉末、乳酸菌の粉末、およびビフィズス菌の粉末からなる群から選択される1以上の材料を含むものとしてもよい。これらの材料は、いずれか単独のもののみを混合してもよいし、複数組み合わせて混合してもよく、全てを含むものとしてもよい。
【0023】
[ショウガの粉末]
ショウガの粉末は、食欲を増進するスパイスとしても機能する。本発明の栄養補助食品において、ショウガの粉末は、0.1~2.0質量%程度や、0.2~1.0質量%程度とすることができる。ショウガの粉末は任意で混合してもよいものであり、含まないでもよい。ショウガの粉末が、多すぎる場合、辛味などの刺激が強すぎるものとなるおそれがある。
【0024】
[ココアパウダー]
ココアパウダーは、味わいのベースとして混合する。また、カカオポリフェノールを多く含む。また、GABAなどを含む。本発明の栄養補助食品において、ココアパウダーは、3~15質量%程度や、8~12質量%程度とすることができる。ココアパウダーは、任意で混合してもよいものであり、含まないでもよい。ココアパウダーが、多すぎる場合、相対的に他の成分が不足してバランスが悪くなる。
【0025】
[発芽玄米]
発芽玄米は、GABA((γ-アミノ酪酸:Gamma-Amino Butyric Acid))を含み、GABAは、リラックス効果が期待される。本発明の栄養補助食品において、発芽玄米の粉末は、1~10質量%程度や、2~6質量%程度とすることができる。発芽玄米の粉末は任意で混合してもよいものであり、含まないでもよい。発芽玄米の粉末が、多すぎる場合、相対的に他の成分が不足してバランスが悪くなる。
【0026】
[アセロラ]
アセロラの粉末は、天然由来のビタミンCなどを含む。栄養補助食品において、アセロラの粉末は、1~5質量%程度や、2~4質量%程度とすることができる。アセロラの粉末は任意で混合してもよいものであり、含まないでもよい。アセロラの粉末が、多すぎる場合、相対的に他の成分が不足してバランスが悪くなる。
【0027】
[乳酸菌・ビフィズス菌]
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含むものとしてもよい。これらの善玉菌は、菌の総量として配合量を管理してもよい。
【0028】
乳酸菌は、有胞子性乳酸菌などの粉末状の乳酸菌を用いることができる。乳酸菌は、特に、有胞子性乳酸菌は腸まで届きやすく、腸内細菌のバランスを整えることに寄与する。ビフィズス菌は、腸内細菌の環境を整える。本発明の栄養補助食品において、善玉菌は、0.01~0.2質量%程度や、0.05~0.15質量%程度とすることができる。善玉菌は任意で混合してもよいものであり、含まないでもよい。
【0029】
本発明の栄養補助食品は、3大栄養素を含み、これらが吸収されやすい素材を用いており、牛乳や豆乳などの液体への分散性にも優れている。牛乳などの液体に分散させるときは、例えば、本発明の栄養補助食品11gを、液体50~300mL程度や、80~200mL程度の比率で分散させて摂取することができる。
【実施例0030】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
[粉末状食品(1)]
本発明の栄養補助食品として、表1の比率で粉末を均一に混合して粉末状食品(1)を作製した。粉末状食品(1)は、総量約11gで袋に個包装した。
この粉末状食品(1)(1袋11g)を、牛乳約130mLに混合した。コップ内でスプーンで混ぜることで、粉末状食品(1)は牛乳に分散した飲料を得た。この混合した飲料は、溶け残りやダマなども少なく、飲んだときも、粉っぽさやざらつきなどもなく飲みやすいものだった。
【0032】
【0033】
[粉末状食品(2-1)]
さらに表2に示す粉末状食品(2-1)~(2-3)の粉末状食品を製造した。
これらの粉末状食品を、前述の粉末状食品(1)(1袋11g)と同様に、牛乳約130mLに混合して評価した。コップ内でスプーンで混ぜることで、粉末状食品は牛乳に分散した飲料を得た。
【0034】
【0035】
粉末状食品(2-1)~(2-3)を、3名の評価者が、粉末状食品(1)と比較して評価した。評価者の内訳は、評価者A:30代男性、評価者B:20代女性、評価者C:20代女性である。
【0036】
いずれも、アーモンド粉末などを用いることで、炭水化物、脂質、およびたんぱく質の3大栄養素の吸収効率に優れたものであり、液体に分散させて摂取しやすいものであった。
【0037】
粉末状食品(1)と比較して、それぞれ以下のようなものであった。
【0038】
・粉末状食品(2-1)
A.風味はまろやかだが、水や牛乳への溶解度は下がった。若干だまになり、飲み終わりは粉末をそのまま飲んでいるような感覚がある。
B.ちょっと粉っぽい。混ぜる回数を増やしたりグラスを傾けたりすれば多少はましになるが、少々面倒である。
C.コップに溶け残った粉が残る。そのためか少々薄く感じる。
【0039】
・粉末状食品(2-2)
A.果糖の分量を増やしたからか、溶けやすさは向上したように思える。飲みやすさからか、味も向上したように感じる。
B.粉末状食品(2-1)よりも良いが、やや溶けにくい部分があった。
C.粉末状食品(2-1)に近いものだったが、甘みはこちらの方があり、美味しいと思う。
【0040】
・粉末状食品(2-3)
分散性等はよかったが、ショウガ末の風味が強かった。