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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034521
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置及びメモリシステム
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/26 20060101AFI20240306BHJP
   G06G 7/16 20060101ALI20240306BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20240306BHJP
   G11C 11/54 20060101ALI20240306BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240306BHJP
   H10B 41/00 20230101ALI20240306BHJP
   H10B 43/00 20230101ALI20240306BHJP
   G06N 3/063 20230101ALI20240306BHJP
【FI】
G11C16/26
G06G7/16 510
G11C16/04 170
G11C11/54
H01L29/78 371
H01L27/11517
H01L27/11563
G06N3/063
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138790
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】川澄 篤
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA01
5B225BA19
5B225DA01
5B225DA09
5B225EA05
5B225FA05
5F083EP01
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER21
5F083ZA21
5F101BA00
5F101BB02
5F101BD34
5F101BE07
5F101BF05
(57)【要約】

【課題】不揮発性メモリを用いて効率よく情報処理を行う。
【解決手段】情報処理装置は、第1トランジスタ及び第2トランジスタを有するストリングと、前記ストリングの一端側に接続される第1配線と、を備える。前記第1トランジスタは、第1データに応じた閾値電圧を有し、前記第2トランジスタのドレイン-ソース間は、第2データに応じた抵抗値を有し、前記ストリングには、前記第1配線との間で、前記第1データ及び前記第2データの積に応じた電流が流れる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタ及びこの第1トランジスタに接続される第2トランジスタを含むストリングと、
前記ストリングの一端側に接続される第1配線と、を備え、
前記第1トランジスタは、第1データに応じた閾値電圧を有し、
前記第2トランジスタのドレイン-ソース間は、第2データに応じた抵抗値を有し、
前記ストリングには、前記第1配線との間で、前記第1データ及び前記第2データの積に応じた電流が流れる、情報処理装置。
【請求項2】
前記ストリングは、前記第1配線に近い側に配置され前記第1トランジスタを含む2以上のトランジスタが互いに接続された第1トランジスタ群と、
前記第1トランジスタ群よりも前記第1配線から遠い側に配置され前記第2トランジスタを含む1以上のトランジスタを含む第2トランジスタ群と、を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1トランジスタ群内の前記2以上のトランジスタのうち、いずれか一つのトランジスタのゲートには、第1電圧が印加され、残りのトランジスタのゲートには、前記第1電圧よりも高い第2電圧が印加される、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1電圧は、前記2以上のトランジスタに設定可能な最大閾値電圧よりも高い電圧である、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記残りのトランジスタは、オン状態に設定される、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1トランジスタ群には、前記いずれか一つのトランジスタの閾値電圧と前記第1電圧との電圧差が大きいほど、より多くの電流が流れる、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1トランジスタ群は、前記第1電圧がゲートに印加されるトランジスタの閾値電圧と前記第1電圧との電圧差に応じた電流を流す、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1トランジスタ群は、前記第1トランジスタを含み、カスコード接続されたm個(mは2以上の整数)のトランジスタを備え、
前記m個のトランジスタのそれぞれは、m個の前記第1データのうち、対応する第1データに応じた閾値電圧を有する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記m個のトランジスタのうち、いずれか一つのトランジスタのゲートには前記第1電圧が印加され、残りのトランジスタはオン状態に設定される、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタ群は、前記m個のトランジスタのうち、ゲートに前記第1電圧が印加されるトランジスタの閾値電圧と前記第1電圧との電圧差に応じた電流を流す、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記m個のトランジスタのうち、前記第1電圧が印加されるトランジスタはサブスレッショルド領域で動作し、前記第2電圧が印加されるトランジスタは飽和領域で動作する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2トランジスタ群は、前記第2トランジスタを含み、カスコード接続されたn個(nは1以上の整数)のトランジスタを備え、
前記n個のトランジスタのそれぞれのゲートには、対応する前記第2データが印加される、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記n個のトランジスタのそれぞれは、対応する前記第2データと前記閾値電圧との電圧差に応じた抵抗値を有する、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第2トランジスタ群は、前記n個のトランジスタのそれぞれのドレイン-ソース間抵抗を足し合わせた抵抗値を有する、請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記n個のトランジスタのそれぞれのゲートには、対応するソース電圧に応じた前記第2データが印加される、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第1配線にそれぞれの一端が接続される複数の前記ストリングを備え、
前記第1配線には、前記複数のストリングのそれぞれに流れる電流を合わせた電流が流れる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項17】
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに対するデータの書込及び読み出しを制御するコントローラと、を備え、
前記不揮発性メモリは、
互いに接続される複数のトランジスタを有するストリングと、
前記ストリングの一端側に接続される第1配線と、を備え、
前記ストリングは、前記第1配線に近い側に配置される2以上のトランジスタを含む第1トランジスタ群と、前記第1トランジスタ群よりも前記第1配線から遠い側に配置される1以上のトランジスタを含む第2トランジスタ群と、を備え、
前記第1トランジスタ群内の各トランジスタには、対応する第1データに応じた閾値電圧が設定され、
前記第2トランジスタ群内の各トランジスタのゲートには、対応する第2データに応じた電圧が印加され、
前記ストリングに対して、前記第1トランジスタ群内のトランジスタのうち、いずれか一つのトランジスタの閾値電圧に対応する前記第1データと、前記第2トランジスタ群内の各トランジスタのゲートに印加される前記第2データとの積に応じた電流を流す、メモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、情報処理装置及びメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習では、大量の積和演算を含めた情報処理を行う必要がある。例えば、積和演算に用いられる重み係数を半導体メモリに記憶して、CPU等が半導体メモリから重み係数を読み出して積和演算を行う場合、重み係数の数が多い場合には、CPUは頻繁に半導体メモリにアクセスしなければならず、積和演算を高速に行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許7014364号公報
【特許文献2】特表2021-527886号公報
【特許文献3】米国特許11270764公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の一実施形態では、不揮発性メモリを用いて効率よく情報処理を行うことができる情報処理装置及びメモリシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、第1トランジスタ及びこの第1トランジスタに接続される第2トランジスタを含むストリングと、
前記ストリングの一端側に接続される第1配線と、を備え、
前記第1トランジスタは、第1データに応じた閾値電圧を有し、
前記第2トランジスタのドレイン-ソース間は、第2データに応じた抵抗値を有し、
前記ストリングには、前記第1配線との間で、前記第1データ及び前記第2データの積に応じた電流が流れる、情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】通常の半導体メモリの概略構成を示す図。
図1B】CIMの概略構成を示す図。
図2】CIMの基本構成を示す回路図。
図3】第1データ及び第2データと、ストリングを流れる電流との関係を示す図。
図4】特定のトランジスタの閾値電圧とゲート電圧との関係を説明する図。
図5A】第1データと第2データをそれぞれ4値にした例を示す図。
図5B】第1データKに対応する4ビットデータと、第2データに対応する4ビットデータとの内積の演算結果を示す図。
図6】オーバードライブ電圧と内積値との関係をプロットした図。
図7】第1の実施形態による情報処理装置の主要部の回路図。
図8図7のストリングの等価回路図。
図9】オーバードライブ電圧とトランジスタのドレイン-ソース間電流との関係を表す曲線を示す図。
図10】特定のトランジスタのゲートに印加するオーバードライブ電圧と、ストリングを流れる電流との関係が理想的な場合の特性を示す図。
図11】オーバードライブ電圧とストリングを流れる電流との関係が理想的でない特性を示す図。
図12】第2の実施形態による情報処理装置を備えるメモリシステムの概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、情報処理装置及びメモリシステムの実施形態について説明する。以下では、情報処理装置及びメモリシステムの主要な構成部分を中心に説明するが、情報処理装置及びメモリシステムには、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0008】
本実施形態による情報処理装置及びメモリシステムは、半導体メモリの内部で、積和演算等の情報処理を行うことを特徴とする。以下では、NAND型フラッシュメモリを用いて、積和演算等の情報処理を行う例を主に説明するが、本実施形態による情報処理装置及びメモリシステムで使用される半導体メモリは、必ずしもNAND型フラッシュメモリに限定されるものではない。
【0009】
図1Aは通常の半導体メモリ1の概略構成を示す図である。図1Aの半導体メモリ1は、メモリ領域が縦横2つずつの計4つのプレーンPL1~PL4を有する例を示している。各プレーンPL1~PL4は横方向に延びる複数のブロックBLKを有し、ブロックBLKを単位としてデータの読出しと書き込みが行われる。具体的には、複数本のワード線WLのうち、いずれか1本のワード線WLが選択されて、このワード線WLに接続された複数のメモリセルに対して、複数のビット線BLを介して同時にデータの書き込み又は読出しを行う。
【0010】
図1BはCIM(Computer In Memory)2の概略構成を示す図である。図1Bに示すCIM2は、図1Aと同様に4つのプレーンPL1~PL4を有する。CIM2では、複数本のワード線WLが同時に選択される。これにより、読み出し時には、1本のビット線BLに接続される複数のメモリセルからのデータが同時に読み出されて、このビット線BL上で論理演算が行われる。
【0011】
このように、CIM2は、通常の半導体メモリと異なり、複数のワード線WLを同時に選択して、ビット線BL上で論理演算を行うため、複数のメモリセルに記憶されたデータを複数回にわたって読み出してCPUに転送し、CPUで論理演算を行う場合と比べて、高速に論理演算を含む情報処理を行うことができる。
【0012】
図2はCIM2の基本構成を示す回路図である。図2のCIM2は、例えばNAND型フラッシュメモリに類似する構成を有する。より具体的には、図2のCIM2は、ビット線BLに接続された複数のストリング3を備えている。各ストリング3は、カスコード接続された複数のメモリセルトランジスタ4を有する。ここで、カスコード接続される、とは直列に接続されることをも意味するものとする。また、以下では、メモリセルトランジスタ4を単にトランジスタ4と呼ぶことがある。
【0013】
ストリング3を構成する各トランジスタ4には、対応する第1データKに応じた閾値電圧が設定される。第1データKは、ストリング3を構成するトランジスタ4ごとに、例えば0又は1の2値を取ることができる。第1データKが1のときは、対応するトランジスタ4の閾値電圧を低い状態にする。第1データKが0のときは、対応するトランジスタ4の閾値電圧を高くする。各トランジスタ4のゲートには、ワード線WLを介して第2データQが入力される。
【0014】
各ストリング3内の複数のトランジスタ4のうち、いずれか一つ(以下、特定のトランジスタ4aと呼ぶ)が第1データKと第2データQとの論理演算に用いられ、他のすべてのトランジスタ4bはオン状態に設定される。具体的には、トランジスタ4aの閾値電圧よりも電圧レベルがはるかに高い電圧(以下、Vread電圧と呼ぶ)を各トランジスタ4bのゲートに供給することで、トランジスタ4bはオン状態に設定される。Vread電圧は、トランジスタ4a、4bに設定可能な最大閾値電圧よりもはるかに高いため、Vread電圧がゲートに印加されたトランジスタ4bは、トランジスタ4bの閾値電圧によらずに、オン状態になる。
【0015】
図3は第1データK及び第2データQと、ストリング3を流れる電流との関係を示す図である。図3では、第1データKと第2データQがそれぞれ0又は1を取る例を示す。第1データK=1は特定のトランジスタ4aの閾値電圧が低いことを示し、第1データK=0は特定のトランジスタ4aの閾値電圧が高いことを示す。第2データQ=0は特定のトランジスタ4aのゲート電圧Vcgrが低いことを示し、第2データQ=1は特定のトランジスタ4aのゲート電圧Vcgrが高いことを示す。また、図3では、ストリング3に電流が流れる状態を1、ストリング3に電流が流れない状態を0としている。
【0016】
図3に示すように、第1データK=1(L)で、かつ第2データQ=1(H)のときのみ、ストリング3に電流が流れる。
【0017】
図4は、特定のトランジスタ4aの閾値電圧とゲート電圧との関係を説明する図である。ゲート電圧Vcgrが閾値電圧より高いときに、特定のトランジスタ4aすなわちストリング3に電流が流れるため、K=1になる一方、特定のトランジスタ4aの閾値電圧が上昇すると、特定のトランジスタ4aすなわちストリング3には電流は流れない。
【0018】
図3におけるストリング3を流れる電流は、第1データK=0のときを0、K=1のときを1とする2ビットデータと、第2データQ=0のときを0、Q=1のときを1とする2ビットデータとの間で内積演算を行った結果と等価である。
【0019】
図2に示すように、ビット線BLには、複数のストリング3が接続されており、各ストリング3に電流が流れるか否かは、各ストリング3での第1データKと第2データQとの論理演算により決定される。電流が流れるストリング3の数が多いほど、ビット線BLにより多くの電流が流れて、ビット線BLの電位はより低下する。よって、ビット線BLの電圧レベルは、複数のストリング3での論理演算結果を反映させた値になる。
【0020】
図2乃至図4では、第1データKと第2データQがいずれも2値データの例を示したが、最近のNAND型フラッシュメモリでは、メモリセルに多値データを記憶できることから、第1データKと第2データQを3値以上の多値データにすることもできる。
【0021】
図5Aは、第1データKと第2データQをそれぞれ4値にした例を示す図である。以下では、ストリング3内の特定のトランジスタ4aの閾値電圧とゲート電圧との電圧差をオーバードライブ電圧と呼ぶ。図5Aは、第1データK、第2データQ、及びオーバードライブ電圧の関係を示している。図5Aでは、特定のトランジスタ4aのゲート電圧が閾値電圧より高い場合を正の値、ゲート電圧が閾値電圧より低い場合を負の値にしている。図5Aに示すように、オーバードライブ電圧は、3、2、1、0、-1、-2、-3の7通りを取りうる。
【0022】
図5Bは、第1データKに対応する4ビットデータと、第2データQに対応する4ビットデータとの内積の演算結果を示す図である。図5Bに示すように、内積値は9、6、4、3、2、1、0の7通りを取りうる。内積値は、ストリング3に流れる電流に比例する値である。
【0023】
図5A図5Bからわかるように、オーバードライブ電圧が大きいほど、内積値は大きくなる。また、オーバードライブ電圧が負の値になると、その絶対値にかかわらず、内積値はゼロになる。これは、オーバードライブ電圧が負の値のときは、ビット線に電流が流れず、ビット線の電位も低下しないことを意味する。また、オーバードライブ電圧が同じ値であっても、内積値が異なる場合がある。
【0024】
図6はオーバードライブ電圧と内積値との関係をプロットした図である。図示のように、オーバードライブ電圧が1のときに、ゼロ以外の2つの内積値を取りうる。このため、内積値がゼロ以外のすべてのプロットを通過する曲線を生成するのは不可能である。
【0025】
図6の結果からわかるように、図2の構成のCIM2では、ビット線を流れる電流からは、第1データKと第2データQを特定できない場合がある。また、ストリング3を構成するトランジスタ4a、4bの閾値電圧及びゲート電圧は、製造ばらつき等により変動するため、ストリング3を流れる電流も変動する。ストリング3を流れる電流が変動すると、その電流から第1データKと第2データQを特定するのはさらに困難になる。
【0026】
このように、図2の構成のストリング3では、ストリング3に流れる電流から第1データKと第2データQを特定できないという問題がある。これに対して、以下に説明する第1の実施形態による情報処理装置10では、ストリング3に流れる電流から第1データKと第2データQを特定できることを特徴とする。
【0027】
(第1の実施形態)
図7は第1の実施形態による情報処理装置10の主要部の回路図である。本実施形態による情報処理装置10は、図2と同様に、1本のビット線BLに接続される複数のストリング11を備えている。図7の各ストリング11の構成は、図2のストリング3の構成とは異なっている。図7の情報処理装置10は、第1データKと第2データQとの積に応じた電流をビット線BLからストリング11に流すことを特徴とする。第1データKと第2データQ2は、2値データでもよいし、3値以上の多値データでもよい。本明細書では、第1データKをキー(key)、第2データQをクエリ(Query)と呼ぶことがある。
【0028】
1本のビット線BLに複数のストリング11が接続されており、各ストリング11には、上述したように第1データKと第2データQとの積に応じた電流が流れる。よって、ビット線BLには、複数のストリング11に流れる電流を合算した電流が流れ、ビット線BLから各ストリング11に流れ込む電流が多いほど、ビット線BLの電位がより低下する。したがって、ビット線BLの電位により、第1データKと第2データQを特定することができる。
【0029】
図7のストリング11は、カスコード接続された複数のメモリセルトランジスタを有する。以下では、メモリセルトランジスタを単にトランジスタと呼ぶ。ストリング11を構成する複数のトランジスタは、第1トランジスタ群12と第2トランジスタ群13とに分けられる。第1トランジスタ群12は、ビット線BLに近い側に配置される2以上のトランジスタを含む。第2トランジスタ群13は、第1トランジスタ群12よりもビット線BLから遠い側に配置される1以上のトランジスタを含む。
【0030】
第1トランジスタ群12内のトランジスタ12a、12bには、対応する第1データKに応じた閾値電圧が設定される。第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートには、対応する第2データQに応じた電圧が印加される。第1データKは、第1トランジスタ群12内のトランジスタ12a、12bの数だけ設けられる。第2データQは、例えば第2トランジスタ13aの数だけ設けられる。
【0031】
ストリング11を構成する第1トランジスタ群12内のトランジスタ12a、12bのゲートと第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートには、それぞれ異なるワード線WLが接続されている。第1トランジスタ群12内のいずれか一つのトランジスタ12aのゲートに印加される第1電圧Vcgrは、対応するワード線WLを介して供給される。また、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートに印加される第2データQは、対応するワード線WLを介して供給される。
【0032】
ストリング11は、第1トランジスタ群12内のトランジスタ12a、12bのうち、いずれか一つのトランジスタ12aの閾値電圧に応じた第1データKと、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートに印加される第2データQとの積に応じた電流を流す。
【0033】
より詳細には、第1トランジスタ群12内のいずれか一つのトランジスタ12aのゲートには、第1電圧Vcgrが印加され、残りのすべてのトランジスタ12bのゲートには、第1電圧Vcgrよりも電圧レベルが高い第2電圧Vreadが印加される。第1電圧Vcgrは、トランジスタ12aに設定可能な最大の閾値電圧よりも高い電圧である。第1電圧Vcgrと閾値電圧との電圧差がオーバードライブ電圧になる。トランジスタ12aのドレイン-ソース間には、オーバードライブ電圧に応じた電流が流れる。より詳細には、オーバードライブ電圧が大きいほど、トランジスタ12aのドレイン-ソース間の電流は大きくなる。
【0034】
第1トランジスタ群12内の残りのすべてのトランジスタ12bは、オン状態で動作するように、各ゲートに第2電圧Vreadが印加される。よって、第2電圧Vreadは、第1電圧Vcgrよりもかなり高い電圧レベルの電圧である。
【0035】
第2トランジスタ群13内のすべてのトランジスタ13aには、同一の閾値電圧が設定される。第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートには、対応する第2データQが入力される。これにより、第2トランジスタ群13は、第2データQに応じた抵抗値を有する。
【0036】
より詳細には、図7のストリング11内の第1トランジスタ群12は、カスコード接続されたm個(mは2以上の任意の整数)のトランジスタ12a、12bを有する。m個のトランジスタ12a、12bのそれぞれには、m個の第1データKのうち、対応する第1データKに応じた閾値電圧が設定される。
【0037】
m個のトランジスタ12a、12bのうち、いずれか一つのトランジスタ12aのゲートには第1電圧Vcgrが印加され、残りのすべてのトランジスタ12bのゲートには第2電圧Vreadが印加される。
【0038】
第1トランジスタ群12には、m個のトランジスタ12a、12bのうち、ゲートに第1電圧Vcgrが印加されるトランジスタ12aの閾値電圧と第1電圧Vcgrとの電圧差であるオーバードライブ電圧に応じた電流が流れる。m個のトランジスタ12a、12bのうち、ゲートに第1電圧Vcgrが印加されるトランジスタ12aはサブスレッショルド領域で動作し、ゲートに第2電圧Vreadが印加されるトランジスタ12bは飽和領域で動作する。
【0039】
第2トランジスタ群13は、カスコード接続されたn個(nは1以上の任意の整数)のトランジスタ13aを有し、n個のトランジスタ13aは、例えば同一の閾値電圧に設定される。n個のトランジスタ13aのそれぞれのゲートには、n個の第2データQのうち、対応する第2データQが印加される。n個のトランジスタ13aのそれぞれは、対応する第2データQと閾値電圧との電圧差に応じた抵抗値を有する。なお、第2データQの数と、第2トランジスタ群13内のトランジスタ13aの数とは必ずしも一致していなくてもよい。また、第2トランジスタ群13内のトランジスタ13aの閾値電圧は必ずしも同一でなくてもよい。
【0040】
第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのドレイン-ソース間抵抗が同一になるように、各トランジスタ13aのゲートに第2データQを印加してもよい。あるいは、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのドレイン-ソース間抵抗がそれぞれ異なるように、各トランジスタ13aのゲートに第2データQを印加してもよい。
【0041】
第2トランジスタ群13内のトランジスタ13aが2個以上の場合、各トランジスタ13aはカスコード接続されるため、各トランジスタ13aのソース電圧はそれぞれ異なる。よって、各トランジスタ13aのドレイン-ソース間の抵抗値を設定する際には、各トランジスタ13aのソース電圧を考慮に入れる必要がある。より詳細には、第2トランジスタ群13内に複数のトランジスタ13aがカスコード接続されている場合には、第1トランジスタ群12により近い側のトランジスタ13aほど、ソース電圧が高くなるため、ゲート電圧に印加する第2データQの電圧レベルをより高くする必要がある。
【0042】
ストリング11を流れる電流Iは、以下の式(6)で表される。
I=a×(Kb×Qc) …(6)
【0043】
式(6)において、aは比例係数、Kbは第1トランジスタ群12内のゲートに第1電圧Vcgrが印加されるトランジスタ12aの閾値電圧を設定するための第1データ、Qcは第2トランジスタ群13内のトランジスタ13aのゲートに印加される第2データである。
【0044】
図8図7のストリング11の等価回路図である。図8では、第1トランジスタ群12を一つのトランジスタ12aで表し、第2トランジスタ群13を一つの抵抗Rで表している。図8のトランジスタ12aは、第1トランジスタ群12内の複数のトランジスタのうち、ゲートに第1電圧Vcgrが印加されるトランジスタ12aである。第1トランジスタ群12内のゲートに第1電圧Vcgrが印加されるトランジスタ12a以外の他のトランジスタ12bは、いずれもオン状態に設定されるため、回路動作上は省略することができる。
【0045】
図8の抵抗Rは、第2トランジスタ群13内の1以上のトランジスタ13aのソース-ドレイン間抵抗を合わせた抵抗値である。第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aは、対応するゲートに入力する第2データQと閾値電圧との電圧差に応じたドレイン-ソース間抵抗を有する。よって、第2トランジスタ群13の全体では、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのドレイン-ソース間の抵抗値を合算した抵抗値になる。
【0046】
上述したように、本実施形態では、第1トランジスタ群12内の第1電圧Vcgrがゲートに印加されるトランジスタ12aをサブスレッショルド領域で動作させ、かつ第2電圧Vreadがゲートに印加されるトランジスタ12bを飽和領域で動作させることを想定している。サブスレッショルド領域は、線形領域と呼ばれることもあり、ゲート電圧に対してドレイン-ソース間電流が線形に変化する領域である。
【0047】
本実施形態では、第1データKと第2データQとの積に応じた電流をストリング11に流して、ビット線BLの電位を変化させる。ストリング11を構成する各トランジスタの閾値電圧とゲート電圧が変動すると、ストリング11を流れる電流も変動し、ビット線BLの電位も変動するおそれがある。本実施形態では、ストリング11内で第1データKと第2データQの積を演算したときに、ストリング11を流れる電流ができるだけ変動しないようにする。
【0048】
図8のトランジスタは、サブスレッショルド領域で動作することから、以下の式(1)に示すトランジスタモデル式で、ドレイン-ソース間の電流Iを表すことができる。
【数1】
【0049】
式(1)のVgsはトランジスタのゲート-ソース間電圧、Vdsはトランジスタのドレイン-ソース間電圧、Vthはトランジスタの閾値電圧である。Sgはサブスレッショルド・スウィングパラメータ、Sdはドレイン誘起障壁低減パラメータである。Ioは、ストリング内の各トランジスタのゲート長L、ゲート幅、及び移動度などで決まる比例定数である。
【0050】
式(1)の右辺第2項を無視して、対数変換するとともに、図8の抵抗Rでの電流Iによる電圧降下を考慮に入れると、以下の式(2)が得られる。
ln (I) +a×I=b×(Vg-Vth)+c … (2)
【0051】
式(2)のVgは、トランジスタのゲート電位である。また、式(2)のa、b、cはそれぞれ式(3)、(4)、(5)で表される。式(3)のRbは、図8の抵抗Rである。式(5)のVは、図8のトランジスタ12aのドレイン電圧である。
【数2】
【0052】
図9は、オーバードライブ電圧とトランジスタ12aのドレイン-ソース間電流との関係を表す曲線を示す図である。図9の横軸はオーバードライブ電圧、縦軸はトランジスタ12aのドレイン-ソース電流である。図9の実線曲線は、式(2)に基づいて計算されたシミュレーション波形である。これに対して、破線曲線は、ストリング11内の各トランジスタ12a、12bの閾値電圧の変動又はゲート電圧の変動などが生じた場合の波形である。
【0053】
図9には、第2トランジスタ群13内のトランジスタのゲートに印加する第2データQ=0の場合の線w0と、Q=1の場合の曲線w1と、Q=2の場合の曲線w2と、Q=3の場合の曲線w3とが図示されている。第2データQが変化すると、第2トランジスタ群13の抵抗値が変化し、オーバードライブ電圧とトランジスタ12aのドレイン-ソース間電流の関係を表す曲線も異なったものになる。
【0054】
図9の×点は、特定のオーバードライブ電圧を与えたトランジスタ12aのドレイン-ソース間電流を示すプロット位置である。ストリング11を構成する各トランジスタ12a、12b、13aの閾値電圧及びゲート電圧が変動すると、ストリング11を流れる電流が変動し、図9の曲線w1~w3の波形形状も変化する。曲線w1~w3の波形形状が変化しても、ビット線BLの電位のモニタリングにより積和演算の結果を正しく検出できるようにするには、曲線w1~w3の各波形形状のうち、線形に近い領域内にオーバードライブ電圧のプロット位置を設けるのが望ましい。
【0055】
図9の例では、曲線w1~w3の波形形状の線形領域内にすべてのオーバードライブ電圧のプロット位置を設けている。このため、各プロット位置の間隔がほぼ均等になり、ストリング11を流れる電流から、オーバードライブ電圧を誤りなく特定できる。これは、ストリング11を流れる電流から、第1データKと第2データQを特定できることを意味する。
【0056】
図9の曲線w1~w3の波形形状は、ストリング11内の第2トランジスタ群13の抵抗値を調整することで変更することができる。第2トランジスタ群13の抵抗値を調整するには、例えば第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aの閾値電圧を調整すればよい。上述したように、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aの閾値電圧は同一にしている。よって、各トランジスタ13aの閾値電圧を一括で変更することで、曲線w1~w3の波形形状を同様に調整でき、各曲線の線形領域を広げるような調整が可能になる。
【0057】
また、オーバードライブ電圧の電圧レベルは、第1トランジスタ群12内の各トランジスタ12aのゲートに印加される第1電圧Vcgrの電圧レベルを調整することにより変更することができる。よって、各曲線w1~w3の線形領域内にオーバードライブ電圧のプロット位置が来るように第1電圧Vcgrを調整することができる。
【0058】
図10は、ストリング11を構成する第1トランジスタ群12内の特定のトランジスタ12aのゲートに印加するオーバードライブ電圧と、ストリング11を流れる電流との関係が理想的な場合の特性を示す図である。図10の横軸は、トランジスタ12aのゲートに印加されるオーバードライブ電圧(Vcgr-Vth)、縦軸はストリング11を流れる電流である。図10には、ストリング11を構成する第2トランジスタ群13内のトランジスタ13aのゲートに印加する第2データQを3通りに変化させた場合の3つの直線w4~w6が図示されている。
【0059】
図10に示すように、オーバードライブ電圧の変化に対して、ストリング11を流れる電流が線形に変化する場合には、オーバードライブ電圧に対するストリング11を流れる電流の各プロット位置の間隔が均等になり、ストリング11を流れる電流が多少変動しても、対応する第1データKと第2データQを特定することができる。
【0060】
図11は、オーバードライブ電圧とストリング11を流れる電流との関係が理想的でない特性を示す図である。図11の横軸と縦軸は図10と同様である。図11には、ストリング11の第2トランジスタ群13内のトランジスタ13aのゲートに印加する第2データQを3通りに変化させた場合の3つの曲線w7~w9が図示されている。
【0061】
曲線w7~w9の波形形状は、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aの閾値電圧を調整することで変更できる。また、オーバードライブ電圧は、第1トランジスタ群12内の特定のトランジスタ12aのゲートに印加する第1電圧Vcgrを調整することで、変更できる。これにより、図11に示すように、オーバードライブ電圧のプロット位置を各曲線w7~w9上で均等に配置させることができ、ストリング11を流れる電流が多少変動しても、対応する第1データKと第2データQを特定することができる。
【0062】
このように、第1の実施形態では、第1データKと第2データQの積和演算を半導体メモリ内で行う手法として、ストリング11を構成するカスコード接続された複数のトランジスタ12a、12b、13aを、第1トランジスタ群12と第2トランジスタ群13に分ける。第1トランジスタ群12はビット線BLに近い側に配置され、第2トランジスタ群13はビット線BLから遠い側に配置される。第1トランジスタ群12内の各トランジスタ12a、12bには、対応する第1データKに応じた閾値電圧が設定される。第1トランジスタ群12内のいずれか一つのトランジスタ12a(特定のトランジスタ12a)のゲートには、第1電圧Vcgrが印加され、それ以外のトランジスタはオン状態に設定される。
【0063】
また、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aの閾値電圧は同一に設定され、各トランジスタ13aのゲートには、対応する第2データQが印加される。これにより、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aは、第2データQに応じた抵抗値を有することになり、第2トランジスタ群13は第2データQに応じた抵抗値を持つ抵抗Rとして機能する。
【0064】
このように、本実施形態によるストリング11は、第2トランジスタ群13によって抵抗値を調整した状態で、第1トランジスタ群12内の特定のトランジスタ12aのゲートに印加されるオーバードライブ電圧に応じた電流を流すことができる。これにより、ストリング11には、第1データKと第2データQとの積に比例する電流を流すことができる。
【0065】
第1トランジスタ群12内の特定のトランジスタ12aのゲートに印加するオーバードライブ電圧と、ストリング11を流れる電流との関係ができるだけ線形になることが望ましいが、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aの閾値電圧を調整することで、線形性を改善できる。また、第1トランジスタ群12内の特定のトランジスタ12aのゲートに印加される電圧を調整することで、第1トランジスタに印加されるオーバードライブ電圧を調整することができる。これにより、ビット線BLを流れる電流、又はビット線BLの電位から、第1データKと第2データQを特定できる。
【0066】
(第2の実施形態)
第2の実施形態による情報処理装置10は、上述した第1の実施形態による情報処理装置10を具体化したものである。
【0067】
図12は第2の実施形態による情報処理装置10を備えるメモリシステム20の概略構成を示すブロック図である。図12のメモリシステム20は、メモリセルアレイ21と、ロウ選択回路22と、センスアンプ/カラム選択回路23と、コントローラ24と、データ入出力バッファ25とを備えている。図12のメモリセルアレイ21は情報処理装置10を構成する。
【0068】
メモリセルアレイ21は、図7と同様に、同一のビット線BLに接続される複数のストリング11を有する。なお、メモリセルアレイ21には、複数のビット線BLが配置されていてもよい。この場合、ビット線BLごとに、図7と同様の複数のストリング11が設けられる。各ストリング11は、図7と同様に、第1トランジスタ群12と第2トランジスタ群13を有する。第1トランジスタ群12内の各トランジスタ12a、12bのゲートと、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートには、それぞれ別個のワード線WLが接続されている。
【0069】
ロウ選択回路22は、コントローラ24からの指示に従って、ワード線WLを駆動する。ロウ選択回路22は、各ストリング11を構成する第1トランジスタ群12内の各トランジスタ12a、12bに閾値電圧を設定するために、これらトランジスタのゲートに接続されたワード線WLを駆動する。また、ロウ選択回路22は、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートに接続されたワード線WLを駆動し、各トランジスタに同一の閾値電圧を設定する。
【0070】
その後、第1トランジスタ群12内のいずれか一つのトランジスタ12aのゲートに接続されたワード線WLを駆動し、このトランジスタのゲートに第1電圧Vcgrを印加する。さらに、トランジスタ12bのゲートに接続されたワード線WLを駆動し、このトランジスタのゲートに第1電圧Vcgrよりも電圧レベルが高い第2電圧Vreadを印加する。また、ロウ選択回路22は、第2トランジスタ群13内の各トランジスタ13aのゲートに接続されたワード線WLを駆動し、各トランジスタのゲートに第3電圧Vreadを印加する。各トランジスタのゲートに印加する第2電圧Vreadは、各トランジスタのソース電圧がそれぞれ異なることから、ソース電圧を考慮に入れて決定される。
【0071】
データ入出力バッファ25は、外部からのキーKを取得して、コントローラ24からの指示に従って、取得したキーKをセンスアンプ/カラム選択回路23に供給する。センスアンプ/カラム選択回路23は、データ入出力バッファ25から出力されたキーKをビット線BLに供給する。
【0072】
図12に示すメモリセルアレイ21、ロウ選択回路22、センスアンプ/カラム選択回路23、コントローラ24、及びデータ入出力バッファ25は、メモリシステム20としても利用可能である。
【0073】
図12の情報処理装置10は、検出器26を備えていてもよい。検出器26は、ビット線BLに流れる電流とビット線BLの電圧の少なくとも一方を検出する。検出器26は、ビット線BLに流れる電流とビット線BLの電圧の少なくとも一方をアナログ-デジタル変換したデジタル信号を外部に出力してもよい。
【0074】
図12の情報処理装置10は、メモリセルアレイ21を通常のメモリとして使用するモードと、第1データKと第2データQとの積和演算を行うモードとを択一的に選択できるようにしてもよい。
【0075】
また、メモリセルアレイ21は、通常のメモリとして使用するメモリセル領域と、第1データKと第2データQとの積和演算を行うメモリセル領域とを備えていてもよい。
【0076】
このように、第2の実施形態では、通常のメモリとほぼ同等の構成である半導体メモリを用いて、第1の実施形態による情報処理装置10と同様の処理動作を行う。通常のメモリの内部構成を一部変更するだけで、積和演算を行う情報処理装置10を構築できるため、設計が容易であり、短い設計時間と既存の半導体プロセスを用いて情報処理装置10を作製できる。
【0077】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 半導体メモリ、3 ストリング、4 メモリセルトランジスタ、10 情報処理装置、11 ストリング、12 第1トランジスタ群、13 第2トランジスタ群、20 メモリシステム、21 メモリセルアレイ、22 ロウ選択回路、23 カラム選択回路、24 コントローラ、25 データ入出力バッファ、26 検出器
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12