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特開2024-34526天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材
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  • 特開-天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034526
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E04B9/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138800
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000109233
【氏名又は名称】チカミミルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203910
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 健弘
(72)【発明者】
【氏名】千頭 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
(57)【要約】
【課題】天井及びこの天井に配置されている設備機器等の損傷を防止することができる天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材を提供する。
【解決手段】
天井埋設設備の廻り縁構造1において、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20は、どちらか一方が水平方向に配置された部材31aを含む、水平方向に配置された2つの部材31、32を有し、他方が2つの部材のそれぞれの間に上下各面が略隙間無く挟まれて水平方向に配置される1つの部材12を天井部材300の下面とほぼ同じ高さに有し、前記水平方向に配置された2つの部材31、32と前記1つの部材12が、側壁面201と開口周縁部301が互に接近・離隔する方向に互に摺動可能とされる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に吊り下げられて固定される天井埋設設備の廻り縁構造であって、
天井埋設設備の外筐の側壁面と水平に配置された天井部材の開口周端部が所定の距離をあけて配置され、
鉛直方向に配置された部材と、先端部が前記開口周縁部に対向し水平方向に配置された部材を有し、前記鉛直方向に配置された部材が前記側壁面にそって直接固定される第1の廻り縁部材と、
前記開口周縁部に設けられ水平方向に配置された部材を有する第2の廻り縁部材とを備え、
前記第1の廻り縁部材と前記第2の廻り縁部材は、どちらか一方が前記水平方向に配置された部材を含む、水平方向に配置された2つの部材を有し、他方が前記2つの部材のそれぞれの間に上下各面が略隙間無く挟まれて水平方向に配置される1つの部材を前記天井部材の下面とほぼ同じ高さに有し、
前記水平方向に配置された2つの部材と前記1つの部材が、前記側壁面と前記開口周縁部が互に接近・離隔する方向に互に摺動可能としたことを特徴とする天井埋設設備の廻り縁構造。
【請求項2】
前記水平方向に配置された2つの部材は、一方が他方に対して上下方向に開閉するように弾性変形可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井埋設設備の廻り縁構造。
【請求項3】
前記水平方向に配置された2つの部材は、上下方向における離間距離が前記1つの部材側ほど小さくなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の天井埋設設備の廻り縁構造。
【請求項4】
前記第2の廻り縁部材の前記水平方向に配置された部材は、水平方向に沿って延びる板状部材と、該板状部材の先端側に設けられ上方側に折り返された先端部とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井埋設設備の廻り縁構造。
【請求項5】
天井に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に吊り下げられて固定される天井埋設設備の廻り縁部材であって、
天井埋設設備の外筐の側壁面と水平に配置された天井部材の開口周端部が所定の距離をあけて配置され、鉛直方向に配置された部材と、先端部が前記開口周縁部に対向し水平方向に配置された部材を有し、前記鉛直方向に配置された部材が前記側壁面にそって直接固定される第1の廻り縁部材と、前記開口周縁部に設けられ水平方向に配置された部材を有する第2の廻り縁部材とを備え、前記第1の廻り縁部材と前記第2の廻り縁部材は、どちらか一方が前記水平方向に配置された部材を含む、水平方向に配置された2つの部材を有し、他方が前記2つの部材のそれぞれの間に上下各面が略隙間無く挟まれて水平方向に配置される1つの部材を前記天井部材の下面とほぼ同じ高さに有し、前記水平方向に配置された2つの部材と前記1つの部材が、前記側壁面と前記開口周縁部が互に接近・離隔する方向に互に摺動可能としたことを特徴とする天井埋設設備の廻り縁構造に用いられ、
前記第1、第2の廻り縁部材として用いられることを特徴とする天井埋設設備の廻り縁部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材に関し、特に天井から吊下げられる設備機器の破損を防止することができる天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機等の天井設備機器が建築物の天井に設けられる天井埋設設備の廻り縁構造(単に「天井構造」とも称す)がある。地震が頻繁に発生する日本において、地震により天井構造の一部が崩落すれば、居住者において人的被害が生じる。そのため、様々な耐震構造を有す天井構造が用いられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、耐震性が向上した建築構造を含む天井構造が開示されている。天井構造は、天井用支持ボルトに吊下げられて支持された複数の枠部材、枠部材に支持された天井板、空調用支持ボルトに吊下げられて支持された空調機等を有している。複数の枠部材及び天井板の集合と空調機等は、連結部材により間接的に連結されている。地震等により例えば空調機に横揺れが生じた場合、空調機の横揺れは枠部材及び天井板の横揺れと同期することになり、空調機と枠部材及び天井板との衝突に起因する破損・脱落が抑制される。従って、天井構造の耐震性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-205965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、連結部材は、空調用支持ボルトにそれぞれ固定されているとともに、枠部材にも固定されている。具体的には、連結部材は、第1固定部と第2固定部とを有し、第1固定部は空調用支持ボルトに固定され、第2固定部は枠部材に固定されている。このように、複数の枠部材及び天井板の集合と空調機等は、連結部材により間接的に剛接合された状態である。そのため、天井構造に揺れが生じた場合には、各部材が個別の振幅と周期で揺れ衝突し合い、破損が生じやすい原因となっていた。
【0006】
そこで、本発明は天井及びこの天井に配置されている設備機器等の損傷を防止することができる天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、天井に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に吊り下げられて固定される天井埋設設備の廻り縁構造であって、天井埋設設備の外筐の側壁面と水平に配置された天井部材の開口周端部が所定の距離をあけて配置され、鉛直方向に配置された部材と、先端部が前記開口周縁部に対向し水平方向に配置された部材を有し、前記鉛直方向に配置された部材が前記側壁面にそって直接固定される第1の廻り縁部材と、前記開口周縁部に設けられ水平方向に配置された部材を有する第2の廻り縁部材とを備え、前記第1の廻り縁部材と前記第2の廻り縁部材は、どちらか一方が前記水平方向に配置された部材を含む、水平方向に配置された2つの部材を有し、他方が前記2つの部材のそれぞれの間に上下各面が略隙間無く挟まれて水平方向に配置される1つの部材を前記天井部材の下面とほぼ同じ高さに有し、前記水平方向に配置された2つの部材と前記1つの部材が、前記側壁面と前記開口周縁部が互に接近・離隔する方向に互に摺動可能としたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る天井埋設設備の廻り縁構造において、前記水平方向に配置された2つの部材は、一方が他方に対して上下方向に開閉するように弾性変形可能に形成されていてもよい。
【0009】
本発明に係る天井埋設設備の廻り縁構造において、前記水平方向に配置された2つの部材は、上下方向における離間距離が前記1つの部材側ほど小さくなるように構成されていてもよい。
【0010】
本発明に係る天井埋設設備の廻り縁構造において、前記第2の廻り縁部材の前記水平方向に配置された部材は、水平方向に沿って延びる板状部材と、該板状部材の先端側に設けられ上方側に折り返された先端部とにより構成されていてもよい。
【0011】
本発明は、天井に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に吊り下げられて固定される天井埋設設備の廻り縁部材であって、天井埋設設備の外筐の側壁面と水平に配置された天井部材の開口周端部が所定の距離をあけて配置され、鉛直方向に配置された部材と、先端部が前記開口周縁部に対向し水平方向に配置された部材を有し、前記鉛直方向に配置された部材が前記側壁面にそって直接固定される第1の廻り縁部材と、前記開口周縁部に設けられ水平方向に配置された部材を有する第2の廻り縁部材とを備え、前記第1の廻り縁部材と前記第2の廻り縁部材は、どちらか一方が前記水平方向に配置された部材を含む、水平方向に配置された2つの部材を有し、他方が前記2つの部材のそれぞれの間に上下各面が略隙間無く挟まれて水平方向に配置される1つの部材を前記天井部材の下面とほぼ同じ高さに有し、前記水平方向に配置された2つの部材と前記1つの部材が、前記側壁面と前記開口周縁部が互に接近・離隔する方向に互に摺動可能としたことを特徴とする天井埋設設備の廻り縁構造に用いられ、前記第1、第2の廻り縁部材として用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天井及びこの天井に配置されている設備機器等の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る天井埋設設備の廻り縁構造を含む天井構造の概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る第1の廻り縁部材の模式的な斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る第2の廻り縁部材の模式的な斜視図である。
図4】本発明の実施形態の変形例に係る第2の廻り縁部材の模式的な斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る天井埋設設備の廻り縁構造に振動が作用していない状態で天井部材及び設備機器に取り付けられている状態を表す図である。
図6】本発明の実施形態に係る天井埋設設備の廻り縁構造の第1の状態を表す図である。
図7】本発明の実施形態に係る天井埋設設備の廻り縁構造の第2の状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず本発明の実施形態に係る天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材について説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0015】
図1は、実施形態に係る天井埋設設備の廻り縁構造及び天井埋設設備の廻り縁部材を含む天井構造の概略図である。天井構造100は、天井裏(構造躯体)101と、天井裏101から垂下された吊りボルト102と、吊りボルト102に連結された天井埋設設備200及び天井部材300と、天井埋設設備200及び天井部材300とを水平方向において連結する天井埋設設備の廻り縁構造1(以下単に「廻り縁構造1」と称す)とを有して構成されている。天井埋設設備200は、天井に設けられた開口100aに下面を露出させつつ天井裏101に吊りボルト102により吊り下げられて固定されている。
【0016】
天井埋設設備200の外筐の側壁面201と水平に配置された天井部材300の開口周端部301が所定の距離をあけて配置されており、天井部材300と天井埋設設備200との間を仲介するように廻り縁構造1が設けられている。天井部材300、廻り縁構造1、天井埋設設備200は、水平方向に沿ってこの順に配置されている。廻り縁構造1は、天井埋設設備200の両側に1組設けられており、片側のみに設けられている場合と比較して、より振動を吸収することができる。なお、振動吸収の詳細な仕組みについては後述する。廻り縁構造1の全長(水平方向における寸法)は、側壁面201と開口周端部301との離間距離に応じて、任意に設定することができる。なお、図1では紙面左右方向に沿って廻り縁構造1が設けられる場合について説明したが、図示は省略しているものの紙面奥行方向にも縁構造1が設けられている。即ち、廻り縁構造1は、天井埋設設備200を四方向から囲むように配置されている。
【0017】
天井構造100は、例えば、商業施設やオフィスビル等の建造物に設けられるものである。吊りボルト102は、一方が天井裏101に固定され他方が天井部材300あるいは天井埋設設備200に固定されている。天井埋設設備200は、例えば空調等の機器である。
【0018】
廻り縁構造1は、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20により構成されている。具体的には、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とは互いに対向する状態で組み合わされ、第1の廻り縁部材10は天井埋設設備200またはその固定用部品に取り付けられ、第2の廻り縁部材20は天井部材300に取り付けられている。地震発生時には、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20は、一方が他方に対して近接及び離間するように相対的に移動する。即ち、例えば天井裏101から吊下げられた天井埋設設備200が地震等により水平方向に揺れた場合には、天井埋設設備200の揺れに応じて第1の廻り縁部材10及び第2の廻り縁部材20は、一方に設けられた水平方向に配置された1つの部材(挿入部)が他方に設けられた水平方向に配置された2つの部材間(被挿入部)に挿入されることにより、一方が他方に対して相対的に水平方向に変位する。なお、天井部材300は、天井裏101から吊下げられてもよいし、天井裏101から吊下げられずに建造物の壁等に直接固定されていてもよい。
【0019】
図2は、第1の廻り縁部材10の模式的な斜視図である。第1の廻り縁部材10は、L字状の断面を有し、鉛直方向に沿って延びる被固定部11と、水平方向に沿って延びる挿入部12とを有して構成されている。被固定部11は、鉛直方向に配置され、天井埋設設備200の側壁面201に沿って直接固定される。挿入部12は、板状に形成された板状部材12aと、板状部材12aの先端に設けられ、上方側に折り返された形状を有する先端部12bにより構成されている。先端部12bは、第1の廻り縁部材10が第2の廻り縁部材20に対して挿入され易くするために設けられ、開口周端部301に対向し水平方向に配置されている。
【0020】
被固定部11の下方側には、突起11aが設けられ、突起11aと板状部材12aとの間には水平方向に延びる溝部11bが形成されている。先端部12bには、水平方向に延びる溝部12cが形成されている。なお、複数の第1の廻り縁部材10の溝部11b及び溝部12cにジョイント(不図示)をはめ込むことにより、第1の廻り縁部材10同士を繋ぐことができる。即ち、水平方向において隣接する第1の廻り縁部材10の溝部11b及び溝部12cに単一のジョイントを嵌合させることにより、水平方向において第1の廻り縁部材10同士を連結することができる。
【0021】
図3は、第2の廻り縁部材20の模式的な斜視図である。第2の廻り縁部材20は、開口周端部301に設けられ、延出部30と、連結部40、被取付部50とを有して構成されている。延出部30は、第1の廻り縁部材10側に向けて延出し、被取付部50は天井部材300が取り付けられるために設けられる。連結部40は、延出部30と被取付部50とを連結する。延出部30は連結部40から第1の廻り縁部材10側に突出し、被取付部50は連結部40から天井部材300側に突出する。
【0022】
延出部(被挿入部)30は、第1延出部材31及び第2延出部材32により構成されており、基端側において連結部40に接続されている。第1延出部材31及び第2延出部材32は、連結部40から水平方向における一方側に延出し、第1延出部材31は第2延出部材32よりも上側に位置している。第1延出部材31は、平板状に形成された平板部31aと、平板部31aの先端側に設けられ上側に傾斜する傾斜部31bにより構成されている。第2延出部材32は、平板状に形成されている。傾斜部31bは、第1の廻り縁部材10が第2の廻り縁部材20に対して挿入され易くするために設けられている。
【0023】
第1延出部材31及び第2延出部材32は、上下方向に間隔をあけて配置され、両者の間隔は先端側(連結部40と反対側)ほど小さくなるように構成されている。なお、第1延出部材31と第2延出部材32とは、先端側において接していてもよい。第1延出部材31と第2延出部材32は、互いに近接あるいは離間する方向に弾性変形可能である。具体的には、第1延出部材31と第2延出部材32は、先端側が開閉するように弾性変形可能に形成されている。第1延出部材31と第2延出部材32との間には、挿入部12が挿入されるガイド空間30aが形成されている。ガイド空間30aの水平方向における長さは、挿入部12の水平方向における長さとほぼ一致している。
【0024】
被取付部50は、第1突出部51及び第2突出部52により構成されており、第1突出部51は第2突出部52よりも上側に位置している。第1突出部51及び第2突出部52は、いずれも水平方向に沿って延出し、上下方向に間隔をあけて配置されている。第1突出部51、第2突出部52及び連結部40により凹部50aが形成され、凹部50aには天井部材300が配置される。
【0025】
第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20は、どちらか一方が水平方向に配置された部材を含む、水平方向に配置された2つの部材を有し、他方が2つの部材のそれぞれの間に上下各面が略隙間無く挟まれて水平方向に配置される1つの部材を天井部材300の下面とほぼ同じ高さに有していればよい。水平方向に配置された2つの部材と1つの部材が、天井埋設設備200の側壁面201と天井部材300の開口周端部301が互に接近・離隔する方向に互に摺動可能である。
【0026】
図4は、変形例に係る第1の廻り縁部材60の模式的な斜視図である。図4に示すように、本変形例においては上記実施形態における被固定部11に代えて被固定部70が配置され、それ以外は上記実施形態と同様のため、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
上記実施形態における被固定部11は、L字状の断面を有する第1の廻り縁部材10の一部であり、鉛直方向に配置され、天井埋設設備200の側壁面201に沿って直接固定されるものであった。一方、天井埋設設備200の側壁面201にはフランジ部が設けられ、このフランジ部に第1の廻り縁部材60を固定することも考えられる。そこで、変形例に係る第1の廻り縁部材60は、被固定部11に代えて天井埋設設備200のフランジ部に固定されるような被固定部70が配置されている。
【0028】
被固定部70は、第1突出片71と、第2突出片72と、結合部73により構成されている。第1突出片71と第2突出片72は、いずれも水平方向において挿入部12とは反対側に突出し、第1突出片71は第2突出片72よりも上側に位置している。結合部73は、上下方向に延び、第1突出片71と第2突出片72とを結合する。第1突出片71、第2突出片72及び結合部73により天井埋設設備200が嵌合する嵌合凹部70aが形成されている。
【0029】
図5は、廻り縁構造1の初期状態を表す斜視図である。初期状態とは、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とが組み合わされた廻り縁構造1に振動が作用していない状態のことであり、この状態では、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とが対をなした状態で静止している。初期状態では、先端部12bが水平方向においてガイド空間30aの中央部分に位置するよう、延出部30と挿入部12とが上下方向において重なるように配置されている。なお、ガイド空間30aが第1の廻り縁部材10側に向かうに従い間隔が狭くなり、弾性復帰力により第1延出部材31と第2延出部材32とが近づく方向に付勢された状態で挿入部12が挟まれるため、第1の廻り縁部材10が第2の廻り縁部材20から抜けにくい状態が維持される。
【0030】
廻り縁構造1に振動が生じた場合、延出部30と挿入部12は、水平方向において往復運動する。従って、水平方向において第1の廻り縁部材10及び第2の廻り縁部材20が天井埋設設備200の外筐の側壁面201あるいは天井部材300の開口周端部301のいずれの側にも移動できるよう、ガイド空間30a内に挿入部12が移動可能なスペースを確保するために第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とを遊嵌状態で結合させる。
【0031】
図6は、廻り縁構造1の第1の状態を表す側面図である。第1の状態とは、例えば廻り縁構造1に対して水平方向(図6の紙面左右方向及び奥行方向)に振動が発生し、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とが離間する方向に力が作用した結果、初期状態と比較して第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20の重なる部分が減少した状態である。図6に示すように、先端部12bがガイド空間30aに案内されて延出部30の中間位置よりも先端側に移動し、廻り縁構造1全体の長さが初期状態と比較して増加している。なお、先端部12bはガイド空間30aから抜ける直前の位置、即ち延出部30の先端側にまで退避してもよい。
【0032】
図7は、廻り縁構造1の第2の状態を表す側面図である。第2の状態とは、例えば廻り縁構造1に対して水平方向(図7の紙面左右方向及び奥行方向)に振動が発生し、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とが近接する方向に力が作用した結果、初期状態と比較して第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20の重なる部分が増加した状態である。図7に示すように、先端部12bがガイド空間30aに案内されて延出部30の中間位置よりも基端側に移動し、廻り縁構造1全体の長さが初期状態と比較して減少している。ガイド空間30aの水平方向における長さは、挿入部12の水平方向における長さとほぼ一致しているため、挿入部12全体がガイド空間30aに収容される。なお、先端部12bは連結部40に到達するとともに、傾斜部31bは突起11aに乗り上げる状態となるまで廻り縁構造1が変位してもよい。
【0033】
廻り縁構造1は、振動が生じた場合、初期状態を基準として第1の状態と第2の状態のいずれかの状態を交互に繰り返す。具体的には、挿入部12が延出部30に挿入された状態で、廻り縁構造1に生じた振動に応じて第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20のいずれか一方が他方に対して水平方向においてほぼ同じ距離だけ変位する。なお、振動の規模に応じて、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20の水平方向における相対的な変位量が変化する。換言すれば、振動の規模に応じて、先端部12bはガイド空間30aにおいて水平方向におけるいずれかの場所に移動する。
【0034】
このように、遊嵌状態で結合されている第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20を有する廻り縁構造1に地震等による振動が作用した場合、挿入部12が延出部30に挿入された状態でガイド空間30a内を水平方向に移動することができる。即ち、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とが遊嵌された状態で結合されているため、廻り縁構造1に振動が作用した場合、連結部40と傾斜部31bとの間で先端部12bはガイド空間30a内を往復運動することができる。従って、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20とが衝突することにより廻り縁構造1の一部が破損することを防止することができる。更に、廻り縁構造1が天井埋設設備200を四方向から囲むように配置されていることで、それぞれの廻り縁構造1が独立に異なる状態(第1の状態、第2の状態)及び変位量をとることができる。これにより、効率的に天井埋設設備200を地震等の衝撃から保護することができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、第2の廻り縁部材20に被挿入部(延出部30)が形成され、第1の廻り縁部材10に挿入部12が形成され、第1の廻り縁部材10の一部が第2の廻り縁部材20に挿入されて廻り縁構造1が構成されることとした。しかしながら、第1の廻り縁部材10に被挿入部が形成され第2の廻り縁部材20に挿入部12が形成され、第2の廻り縁部材20の一部が第1の廻り縁部材10に挿入されて廻り縁構造1が構成されることとしてもよい。即ち、第1の廻り縁部材10及び第2の廻り縁部材20のいずれか一方が他方に対して水平方向において相対的に移動することが可能であれば、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20のうちの少なくとも一方に挿入部が形成され、他方に被挿入部が形成されていればよい。
【0036】
また、第1の廻り縁部材10及び第2の廻り縁部材20のいずれにも被挿入部が形成されて、被挿入部同士が嵌合することにより廻り縁構造1が構成されることとしてもよい。即ち、被挿入部を構成する一部の部材を挿入部として機能させ、第1の廻り縁部材10及び第2の廻り縁部材20に形成された挿入部と他方に形成された被挿入部による嵌合構造により、第1の廻り縁部材10及び第2の廻り縁部材20のいずれか一方が他方に対して水平方向において相対的に移動可能な状態とされてもよい。
【0037】
以上説明したように、実施形態に係る天井埋設設備200の廻り縁構造1は、天井部材300と天井埋設設備200とを水平方向において連結するように配置され、天井埋設設備200に取り付けられる第1の廻り縁部材10と天井部材300に取り付けられる第2の廻り縁部材20とを備え、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20の何れか一方には、水平方向に配置された第1延出部材31及び第2延出部材32が形成され、第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20の何れか他方は、第1延出部材31及び第2延出部材32に挿入される挿入部12を有し、挿入部12が第1延出部材31及び第2延出部材32に挿入された状態で第1の廻り縁部材10と第2の廻り縁部材20の何れか一方が他方に対して水平方向において相対的に移動可能とされている。従って、天井及び天井に配置されている天井埋設設備200等の損傷を防止することができる。
【0038】
なお、上記のように本発明の実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0039】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、廻り縁構造及びこれに用いられる廻り縁部材の構成も本発明の実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 廻り縁構造、10 第1の廻り縁部材、11、70 被固定部、12 挿入部、20 第2の廻り縁部材、30 延出部、31 第1延出部材、31a 平板部、31b 傾斜部、32 第2延出部材、200 設備機器、300 天井部材
図1
図2
図3
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図5
図6
図7