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  • 特開-強風中の風車の回転速度制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034567
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】強風中の風車の回転速度制御方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/06 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
F03D7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138889
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】508191835
【氏名又は名称】株式会社グローバルエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政彦
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA15
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB07
3H178BB08
3H178BB46
3H178DD12Z
3H178EE02
3H178EE05
3H178EE08
3H178EE12
3H178EE18
3H178EE23
3H178EE25
3H178EE28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】強風中においても、発電機で発電した発電エネルギーを回収することができ、かつ、風車の回転を止めることのない制御方法を提供する。
【解決手段】通常運転モードの最大設定値に至るまでは、風速の変化にかかわらず通常運転をするように自動制御装置16に記憶させて、自動制御により風車を通常運転する。自動制御装置16に記憶された通常運転モードの最大設定値のいずれかを超えたと自動制御装置16が判定した時は、強風モードに自動で切替えて、自動制御装置16が、発電機5,6からの出力電圧を強風モードの設定電圧値に低下するように設定して運転して風車の回転速度を減速させ、自動制御装置16に設定された強風モードの設定値に達したことを自動制御装置16が判定した時は、強風モードに自動切替えとなり、発電機5.6からの出力電圧を強風モードの設定電圧値に低下するように設定して運転して風車の回転速度を減速させて制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動制御装置により制御する発電機を備えた風力発電装置において、前記風力発電装置は、風速計、回転速度計、電力計、電圧計、電流計、自動制御装置及び自動ブレーキを備え、
カットイン風速から通常運転モードの最大設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)に至るまでは、風速の変化にかかわらず通常運転するよう前記自動制御装置に記憶させて、自動制御により風車を通常運転するものとし、
前記自動制御装置に記憶された前記通常運転モードの前記最大設定値のいずかを超えたと前記自動制御装置が判定した時は強風モード1に自動切替えし、前記自動制御装置が、前記発電機からの出力電圧を前記強風モード1の設定電圧値に低下するように設定して運転して前記風車の回転速度を減速させ、前記自動制御装置に設定された前記強風モード1の設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)のいずれかに達したことを前記自動制御装置が判定した時は、強風モード2に自動切替えとなり、前記発電機からの前記出力電圧を前記強風モード2の設定電圧値に低下するように設定して運転して前記風車の回転速度を減速させ、前記強風モード2の設定値(風速、出力、電圧、電流)のどれかが超えた時は短絡ブレーキが作動して前記風車を前記強風モード2の回転速度よりも減速させるとともに、風速が前記強風モード1、2の設定風速値を下回ったことを前記自動制御装置が判定した時は、前記強風モード1、2から前記通常運転モードに戻すように自動的に切替えて制御する強風中の風車の回転速度制御方法。
【請求項2】
前記風力発電装置における前記風車の前記通常運転モードの前記最大設定値の電圧値を超えた時は、当該最大設定値の電圧値の半分以下に前記自動制御装置により自動低下させて前記強風モード1の運転をさせ、その後に前記強風モード1の設定電圧値を超えた時は、当該設定電圧値の半分以下に前記自動制御装置により自動低下させて前記強風モード2の運転をさせ、前記強風モード2の設定電圧を超えた時には短絡ブレーキがかかり、翼はゆっくり回転し強風をいなし、前記通常運転モードの前記最大設定値の風速値を下回った時は、前記自動制御装置により前記通常運転モードに自動的に切替えて制御する請求項1に記載の強風中の風車の回転速度制御方法。
【請求項3】
前記発電機に対する前記自動制御装置の制御は、前記風車における縦主軸に揚力型縦長ブレードが複数段に配設され、支持枠体の上下還状枠体の中央部にそれぞれ配設された上部発電機の回転軸は下向きに突出され、下部発電機の回転軸は上向きに配設され、前記上下の発電機の前記下向きの回転軸と前記上向きの回転軸の間に前記縦主軸の上下端部が同心状に連結されている前記風車における、前記上部発電機と前記下部発電機を個別か同時を選択的に制御する請求項1又は請求項2に記載の強風中の風車の回転速度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定範囲(風速、風車の回転数、出力、電圧、電流)を超える迄は風力発電装置を通常運転モードの設定範囲で運転をさせ、風車の運転が通常運転モードの最大設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)のいずれかを上回ったことを自動制御装置が検知した時は、自動的に強風モード1に切替え、出力電圧を低下させて強風モード1の設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)内で運転し、更に高速風により設定値のどれかを上回ると自動的に強風モード2に切替わり、更に出力電圧を低下させ、風車の回転速度を低下させて運転する。
更に強風モード2の設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)のいずれかを上回った時は短絡ブレーキがかかる。
風速が強風モード1の設定値または強風モード2の設定値を下回った時は、自動的に強風モード1または2から通常運転モードの設定範囲に戻り運転するように風車の出力を制御するようにした、強風中の風車の回転速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型風力発電装置の風車は、縦軸型、横軸型の何れも台風等の強風時には過回転により、ブレードが破損、ブレーキあるいは発電機が加熱し発火するなどの問題があるため、制御方法としては風車のブレードの取付ピッチを変えたり、風車のタワーを傾倒させたりするものもある。
更に突風に対して瞬時に機械制御するのは不可能で必ずタイムラグが発生する。突風を風速計が感知してもそこから機械制御するのであるから瞬時に対応することは出来ない。
また、風車のブレードの取付ピッチを変えることは、風車の回転部、軸に近い部分で、遠心力が一番かかる部分を動かすので、装置の製造コストがかかり、又故障も生じ易い。これに対して、発電機に過電流が流れないようにする発明は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-158353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の発電装置は、発電機により発生する交流電流を直流電流に変換する整流回路を設け、発電機の出力側に直列に接続された抵抗を含む電気制動装置を有するものである。当該電気制動装置において、直列に接続された抵抗に発電した電気を短絡させるため、発電機で発電した発電エネルギーを回収することが出来ない。
そこで、強風中においても、発電機で発電した発電エネルギーを回収することができ、かつ、風車の回転を止めることのない制御方法を提供することを課題とする。
本願発明は、風力発電装置の発電出力が例えば500Wまでは通常運転モードに設定し、それ以上の出力になると、風のエネルギーを取りながら、発電機の能力の限界値を超えないように、自動制御装置により自動制御で出力電流を増大させて出力電圧を強風モード1の設定電圧、例えば100Vに低下させて風車の回転速度があがらないように制御し、自動制御装置に設定された強風モード2の設定風速、回転数、もしくは出力、電圧、電流に達したことを前記自動制御装置が判定した時は、前記発電機からの出力電圧を強風モード2の設定電圧、例えば50Vに低下させ、風車の回転速度を低減させるように制御する強風中の風車の回転速度制御方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
【0006】
(1) 自動制御装置により制御する発電機を備えた風力発電装置において、前記風力発電装置は、風速計、回転速度計、電力計、電圧計、電流計、自動制御装置及び自動ブレーキを備え、
カットイン風速から通常運転モードの最大設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)に至るまでは、風速の変化にかかわらず通常運転をするように前記自動制御装置に記憶させて、自動制御により風車を通常運転するものとし、
前記自動制御装置に記憶された前記通常運転モードの最大設定値のいずかを超えたと前記自動制御装置が判定した時は強風モード1に自動切替えて、前記自動制御装置が、前記発電機からの出力電圧を強風モード1の設定電圧値に低下するように設定して運転して風車の回転速度を減速させ、前記自動制御装置に設定された強風モード1の設定値(風速、回転数、出力、電圧、電流)のいずれかに達したことを前記自動制御装置が判定した時は、強風モード2に自動切替えとなり、前記発電機からの出力電圧を強風モード2の設定電圧値に低下するように設定して運転して風車の回転速度を減速させ、前記強風モード2の設定値(風速、出力、電圧、電流)のどれかが超えた時は短絡ブレーキが作動して風車を強風モード2の回転速度よりも減速させるとともに、風速が前記強風モード1、2の設定風速値を下回ったことを前記自動制御装置が判定した時は強風モード1、2から通常運転モードに戻すように自動的に切替えて制御する強風中の風車の回転速度制御方法。
【0007】
(2) 前記風力発電装置における風車の通常運転モードの最大設定値の電圧値を超えた時は、当該最大設定値の電圧値の半分以下に自動制御装置により自動低下させて強風モード1の運転をさせ、その後に強風モード1の設定電圧値を超えた時は、当該設定電圧値の半分以下に自動制御装置により自動低下させて強風モード2の運転をさせ、強風モード2の設定電圧値を超えた時には短絡ブレーキがかかり、翼はゆっくり回転し強風をいなし、前記通常運転モードの最大設定値の風速値を下回った時は、自動制御装置により通常運転モードに自動的に切替えられる前記(1)に記載の強風中の風車の回転速度制御方法。
【0008】
(3) 前記発電機に対する前記自動制御装置の制御は、前記風車における縦主軸に揚力型縦長ブレードが複数段に配設され、支持枠体の上下還状枠体の中央部にそれぞれ配設された上部発電機の回転軸は下向きに突出され、下部発電機の回転軸は上向きに配設され、前記上下の発電機の下向きの回転軸と上向きの回転軸の間に前記縦主軸の上下端部が同心状に連結されている風車における、前記上部発電機と下部発電機を個別か同時を選択的に制御する前記(1)又は(2)に記載の強風中の風車の回転速度制御方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
【0010】
前記(1)に記載された発明は、例えば風速2m/sから通常運転モードの最大設定値の風速、例えば12m/sまでは、自動制御装置に記憶させて自動制御により通常運転するものなので、通常運転モードの最大設定値の風速値、例えば12m/sに至るまでは、風速が上がればそれに対応する回転数で回転し、電圧も回転数とともに変動し、電流も風速に伴って変動する通常運転モードの運転をする。
風速が強風モード1となる例えば、通常運転モードの最大設定出力値500Wを超えたと自動制御装置が判定した時は、通常運転モードは終了となり、その後は強風モード1に自動的に切替わり、発電機からの出力が500Wであったものが、強風モード1では、例えば出力200W、電圧100V、電流2A、回転数120rpm、と設定されて運転される。自動制御装置の指示に従って、最大電圧を強風モード1の設定電圧値、例えば100Vに低下させると、出力を200Wに留まり、電流は最大2Aに留まる。
通常運転モードでは、発電機からの出力電圧が300V以上でも、自動制御装置の制御により、発電機からの電流出力を増加させ、電圧を強風モード1の設定電圧、例えば100Vに低下させることにより風車の回転数を低下させる。
これにより、例えば風速が12m/sを超えても、風車の回転数は110rpmと大幅に制御され、出力も200W以下の出力となる。例えば風速20m/sになるまで、風速の変化にかかわらず出力電圧は強風モード1の設定電圧、例えば100Vに押さえられ、かつ風車を停止させずに回転させて発電を継続させるもので、強風モード1の設定値を超える風速で、風車の回転数110rpm、発電機の出力200W、電圧100V、電流2A、のいずれかの設定値を超えると、自動的に強風モード2に切替わり、出力電圧を半分以下の強風モード2の設定電圧、例えば50Vに低下させるので風車の回転速度は低下し、ブレーキをかけずに風車は安定した低速回転を維持することが出来る。
強風に対応するように短絡ブレーキを作動させることにより、回転速度を低下させることができ、風車は高速風の中でも回転しておれば、破壊、倒壊することはない。風速が強風モード1、2の設定値を下回った時は、通常運転モードに自動的に戻る。
【0011】
前記(2)に記載された発明は、風車の通常運転モードの設定電圧を超えた時は、当該設定電圧値の半分以下に自動制御装置により低下させて強風モード1の運転をさせ、その後に強風モード1の設定電圧値を超えた時は、当該設定電圧値の半分以下に自動制御装置により低下させて強風モード2の運転をさせ、前記通常運転モードの最大設定風速値を下回った時は、自動制御装置により通常運転モードに自動的に切替える。
【0012】
前記(3)に記載された発明は、風車の縦主軸の上下端部が、上下部の発電機の回転軸に同心状に直接連結されている風車の上下部の発電機を、自動制御装置で同持に制御させることが出来る。
縦主軸の上下にそれぞれ発電機を接続させ、軸受で支持しないことによって、縦主軸のブレが生じにくく回転効率も高まり、その上下部の発電機を個別又は同時を選択的に制御することによって、正確な風車の回転数をコントロールすることが出来る。また、片方の発電機の出力700Wで出力させて出力オーバになった時は、もう片方の発電機で出力させるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明に使用した縦軸風車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明方法に使用した風力発電装置の斜視図である。
風力発電装置1は、3本の支柱2、2、2に上枠体3と下枠体4が所定の間隔を開けて水平に支持されて、支持枠体14が構成されている。支持枠体14の下部には、蓄電池15、自動制御装置16、風速計18その他の必要機器が具備されている。
【0015】
前記自動制御装置16は、発電電圧変動に対して、最大電力を確保のため迅速に昇降圧充電制御をすることができる。また、充電時の過充電、過電流などの異常を防止し、適正な充電制御を行うことが出来る。
【0016】
前記自動制御装置16の機能について、モニターには次のような表示がされる。
「発電機回転数」-回転数の表示。発電電圧が50VDC以上において回転数表示を開始する。
「電流増加開始電圧」-電流増加制御の開始電圧の設定値を表示している。
「上限発電電流」-発電電流の上限設定値を表示している。
「発電電圧」-発電電圧を表示している。(3相交流ブリッジ整流後の電圧値)
「蓄電池電圧」-蓄電池電圧を表示している。
「発電電力」-発電電力を表示している。
「LCDコントラスト調整」-LCDのコントラストを調整する。
「電流増加開始電圧調整」-電流増加開始電圧を調整する。
「上限発電電流調整」-上限発電電流を調整する。
「発電機切替」-発電機極数を切替する。極数切替により、発電機を変えた時に回転数を合わせる。
「制御モード切替」-風力モード固定、自動。
【0017】
前記支持枠体14の前記上枠体3と下枠体4は、いずれも水平な環状枠体3A、4Aの中央部に上部発電機5と下部発電機6がそれぞれ支持腕3B、3B、4B、4Bに支持され固定されている。
上枠体3における上部発電機5は、その回転軸5Aを下向きに突出され、下枠体4における下部発電機6は、その回転軸6Aが上向きに突出されている。
上部発電機5の下向きの回転軸5Aの下端面と、下部発電機6の上向きの回転軸6Aの上端面間に、縦主軸7の上端面と下端面が同軸心となるように、軸受で支持されずに直接連結されている。
【0018】
前記上部発電機5と下部発電機6は同等のもの、例えば出力700Wを使用し、この上部発電機5と下部発電機6の間に縦主軸7を直接連結、軸受を使用せずに支持した利点は、縦主軸7を同軸心に正確に連結出来ること、縦主軸7の上下部を軸受で支持しないのでブレが生じにくいこと、小型発電機を使用するのでコギングトルクが小さく回転効率が高いこと、かつ上部発電機5と下部発電機6の同時制御により強風時における風車の回転速度の制御がしやすいこと等である。本発明においては、発電機5、6は上下いずれの1機だけでもよい。
【0019】
前記縦主軸7には上中下のブレード取付板8、9、10が、上段の縦長ブレード11及び下段の縦長ブレード12の長さに合わせて固定されている。前記上段の縦長ブレード11と下段の縦長ブレード12は、上下方向の中間部にある主部11A、12Aの上下から縦主軸7方向に湾曲した上部湾曲部11B、11C及び下部湾曲部12B、12Cが形成されている。上段の縦長ブレード11と下段の縦長ブレード12はいずれも揚力型である。
【0020】
上部のブレード取付板8には、上段の縦長ブレード11の上部湾曲部11Bの先端部が固定され、中部のブレード取付板9には、上段の縦長ブレード11の下部湾曲部11Cの先端部が固定されている。
中部のブレード取付板9には、上段の縦長ブレード11の下部湾曲部11Cの先端部が固定され、また中部のブレード取付板9には、下段の縦長ブレード12の上部湾曲部12Bの先端部が、上段の縦長ブレード11とは水平方向で位相を90度ずらして固定されている。
下部のブレード取付板10には、下段の縦長ブレード12の下部湾曲部12Cの先端部が固定されている。
【0021】
前記上部のブレード取付板8、中部のブレード取付板9の中間と、前記中部のブレード取付板9、下部のブレード取付板10の中間における縦主軸7に、それぞれ中間支持腕13、13が水平に固定されて、その遠心方向の先端部は、対面する上段の縦長ブレード11、下段の縦長ブレード12の内側面に固定されて、上下段の縦長ブレード11、12の回転時の変形を抑制している。
【0022】
前記支持枠体14の下部には、蓄電池15、自動制御装置16、風速計18その他の必要機器が具備されている。
縦主軸7の回転数計測器は、縦主軸7に近接して任意の適宜位置に配設される。
【0023】
この風力発電装置1は、例えば、カットイン風速を2m/sに設定され、その時の例えば、風車の回転数63rpm、発電機の出力電圧38V、電流0.042A、出力1.6Wを設定数値として、この設定数値を前記自動制御装置16に記憶させておく。
【0024】
風速が上がればそれに対応して風車の回転数が上がって電圧が上がるので、上がった電圧を自動制御で低下させれば、発電機5、6によって縦主軸7の回転にブレーキがかかり風車の回転数も自動的に低下する。風速2m/sを1m/s超える毎の前記設定数値を、前記自動制御装置16に記憶させておく。
【0025】
発電機の出力が大きければ、風速が例えば30m/sでも運転することが可能であり、従って、強風モード1における設定出力を例えば700Wに設定し、風速20m/sで回転数300回転、電圧300V、電流3Aと設定して自動制御装置16に記憶させておく。
【0026】
このように、上部発電機5と下部発電機6に対して、風速1m/sの変化に対応して、回転数、出力、電圧、電流を変化させるように自動制御装置16にデータを設定して、変化に対応して制御する。そのうえで、強風モード1の設定風速値の風速、例えば12m/sに達したことが自動制御装置16で判定されるまでは、風速の変化に関わりなく通常運転モードで運転が継続され、その出力500Wを超える時には強風モード1の仕様による運転に自動で切換えられる。
【0027】
強風により風速が例えば12m/s、出力500W以上の出力が自動制御装置16により判定された時は、強風モード1の仕様に自動的に切替わり、上部発電機5及び下部発電機6からの出力能力上限に達したことが自動制御装置16で検出された時、自動制御装置16の制御により、取出し電流量を一定量、例えば2割近く増加させて、出力電圧を強風モード1の設定電圧、例えば100Vになるように制御して運転することにより、風速12m/sの時よりも風車の回転数を低下させるように制御することができる。取出し電流量増加は公知の任意の装置により行う。
【0028】
風速が例えば12m/sを超えた時以後に風速が1m/s上昇する毎に、電圧が例えば2V以上増加しないように、取出し電流量を増加させて電圧の上昇を抑制し、風車の回転数の増加を抑制することが出来る。
すなわち、例えば風速12m/sの時の風車の回転数よりも風速20m/sの時の回転数は、電圧の低下により回転速度が制御されて減少することになり、風車は過回転することはなく、しかもその間に発電は継続されているものである。
【0029】
風速が強風モード2に該当する風速、例えば強風モード1の条件を超えたと自動制御装置16が判定した時は、出力電圧が強風モード2の設定電圧、例えば50Vになるように出力電流量を自動的に増加させて出力電圧を低下させることにより、自動的に風車の回転速度を低下させることができる。さらに強風モード2の設定電圧を超えると短絡ブレーキがかかる。
風車は強風の中でも、低速であっても回転しておれば破壊や倒壊することはない。
なお、遠隔で自動制御装置16を操作することが可能である。例えば、台風が直撃するような状況下において、安全上、風車の回転を止める場合には、遠隔操作により自動ブレーキを作動させるように自動制御装置16に指示することができる。
【0030】
強風時に風速が強風モード1の設定風速、例えば12m/sより低下したことを自動制御装置16が判定した時は、自動的に強風モード1の仕様が解徐されて、風車の回転を通常運転モードに回復させる。
風速は12m/s~20m/sの時でも突然に20m/sを超える強風が吹くことがあるので、風速12m/s以上における風速の計測時間は、1分間の平均値から任意の時間を設定し、設定時間内に設定値を超える入力があれば継続して強風モードが続くように自動制御装置16に設定することができる。
【0031】
蓄電池が過充電状態では、風車の回転にブレーキがかからなければ蓄電池が損壊されるので、過放電蓄電池の電圧が低下すると、自動制御装置の電源が切れて制御不能になることを抑止するために、過放電でも自動ブレーキがかかるように設定する。
【0032】
前記のように、設定された発電機の出力値を基準にすると、発電機の容量を大きくすれば基礎となる設定出力値が大きいので、それを基準とする制御のための数値はこの方法に準じるので、どんな強風の中でも停止することなく風力発電装置1の運転をさせることが出来る。
風力に対応して風車の縦長ブレードの取付ピッチを変える装置のコストをかけるより、発電機の容量を大きくする方がコストダウンになり、発電機が大きければ強風の中で風車の回転を容易に制御することができる。
【0033】
以上説明したように、本発明は風速が例えば12m/s以下では通常運転をさせておき、風速が高まり風速が強風モード1の設定風速値の例えば12m/sを超えた時には、自動制御装置16により自動的に強風モード1仕様に切替えて、出力電流を増大して出力電圧を強風モード1の規定電圧、例えば100Vに降下させて回転数を低下させるように自動制御するので、風速12m/s以上の強風時でも風車は過回転することはなく、自然に発電を継続させることができる。
【0034】
更に風速が例えば20m/s以上の強風時でも自動的に出力電圧が強風モード2の設定電圧、例えば50Vに低下されることにより風車の回転力が抑制され、風車は過回転することなく発電が継続運転されるので発電効率が高く維持される。
なおこの発明は、発電機5、6が縦主軸7の下部の1台だけのものでも当然に利用することが出来る。また前記制御後の電圧100V、50Vは発電機5、6の大きさにより適宜設定し、風力発電装置1全体の風力に対応した強度により任意に設定することができる。
【0035】
従来の風車の制御方法は強風から機械的に強風を避けるのが適当手段であった。しかし、自然風は人間の思う通りに動いてくれない。従来のように10分間の平均風向を拾って機械式で風車の方向を変えていく制御方法では、瞬時に風向を追いかけるのは不可能である。その為、効率も落ちるし、風車の制御にコストもかかる。しかし、本願の発明に係る電圧、電流制御はプログラムだけで制御できるため、どのような環境変化にも瞬時に追従させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、風速が例えば12m/sまでは風車を通常運転モードで運転させておき、強風対策として、風速が例えば12m/sを超えると出力電圧を強風モード1の設定電圧、例えば100Vに降下させて風車の回転速度を制御し、風速が強風モード2の設定値例えば20m/sを超えても出力電圧を強風モード2の設定電圧、例えば50Vにして風車の回転速度を低下させるので、強風中でも停止しないためトータル的に発電効率が優れ、風車の型式にかかわらず利用することができ、強風に対応出来る風車を容易に市場化させることが出来る。
【符号の説明】
【0037】
1.風力発電装置
2.支柱
3.上枠体
3A.環状枠体
3B.支持腕
4.下枠体
4A.環状枠体
4B.支持腕
5.上部発電機
5A.回転軸
6.下部発電機
6A.回転軸
7.縦主軸
8、9、10.ブレード取付板
11.上段の縦長ブレード
11A.主部
11B.上部湾曲部
11C.下部湾曲部
12.下段の縦長ブレード
12A.主部湾曲部
12B.上部湾曲部
12C.下部湾曲部
13.中間支持腕
14.支持枠体
15.蓄電池
16.自動制御装置
図1