(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003457
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】テープ巻き装置およびテープ送り出し機構
(51)【国際特許分類】
B65B 13/12 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B65B13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102623
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】592129774
【氏名又は名称】株式会社FDKエンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 匡教
(72)【発明者】
【氏名】平井 剛
(72)【発明者】
【氏名】友田 直行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳高
(72)【発明者】
【氏名】高野 陽一
(72)【発明者】
【氏名】末松 宏貴
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA07
3E052BA10
3E052CA02
3E052CB03
3E052CB05
3E052CB07
3E052EA10
3E052FA13
3E052HA07
3E052JA02
3E052LA18
(57)【要約】
【課題】複数の電線同士が近接した狭い作業スペースにおいても結束対象の電線に対してテープの巻き付けを行うことの可能なテープ巻き装置と、そのテープの送り出し機構とを提供する。
【解決手段】本開示に係るテープ巻き装置(1)は、ロール状に巻かれたテープを保持して回転可能に支持されるテープリール(11)と、テープリールから引き出されたテープ(13)を送り出す送り出し機構であって、テープを切断する切断機構(27、28)を備える送り出し機構と、円筒形の周壁の一部に被結束体(61)を収容する切欠き部(41a)が設けられ、該切欠き部に連通する開口部(41b)が設けられた周方向への回転が可能なテープ巻き付けドラム(41)と、を備える。これにより、テープが送り出し機構によって同ドラムの開口部から切欠き部内へ導入された後、切欠き部に収容された被結束体が、同ドラムの回転によりその導入されたテープによって結束される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたテープを保持し、回転可能に支持されるテープリールと、
前記テープリールから引き出された前記テープを送り出す送り出し機構であって、前記テープを切断する切断機構を備える送り出し機構と、
円筒形の周壁の一部に被結束体を収容する切欠き部が設けられ、前記切欠き部に連通する開口部が設けられた周方向への回転が可能なテープ巻き付けドラムと、
を備え、
前記テープが前記送り出し機構によって前記ドラムの前記開口部から前記切欠き部内へ導入され、前記切欠き部に収容された前記被結束体が前記ドラムの回転により前記導入されたテープによって結束される、
ことを特徴とするテープ巻き装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ巻き装置において、
前記ドラムの外周の周辺に、前記ドラムの外周に沿わせて配置される前記テープを前記ドラムの回転軸側に向かって押圧するリング部材を有した回転可能なガイドローラを更に備える、
ことを特徴とするテープ巻き装置。
【請求項3】
請求項2に記載のテープ巻き装置において、
前記ドラムは、前記切欠き部の前記導入されたテープが配置される側の内周面に弾性部材を更に備える、
ことを特徴とするテープ巻き装置。
【請求項4】
請求項2に記載のテープ巻き装置において、
前記ドラムは、前記切欠き部の前記導入されたテープが配置される側の内周面と対向する側に、押し付け位置と退避位置との間で移動可能な押さえ付け部材を更に備える、
ことを特徴とするテープ巻き装置。
【請求項5】
請求項4に記載のテープ巻き装置において、
前記ドラムは、前記切欠き部の前記導入されたテープが配置される側の内周面に弾性部材を更に備える、
ことを特徴とするテープ巻き装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のテープ巻き装置に備えられる前記テープの送り出し機構であって、
この送り出し機構は、前記テープリールから引き出された前記テープの粘着面と当接する部材として、回転可能に構成されたプーリ、および前記プーリにより送り出される前記テープを前記切欠き部に向けて搬送するための回転可能に構成されたリング形状のベルトを備える、
ことを特徴とする送り出し機構。
【請求項7】
請求項6に記載の送り出し機構であって、
この送り出し機構は、前記ベルトの下方に設けられ、前記ベルトの回転によって搬送される前記テープの前記粘着面を前記ベルトから剥離するためのベルト巻き込み防止部材を更に備える、
ことを特徴とする送り出し機構。
【請求項8】
請求項1に記載の送り出し機構を備えるテープ巻き装置において、
この装置に設けられた取り付け部を介して接続される産業用ロボットを更に備える、
ことを特徴とするテープ巻き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の電線同士が近接した狭い作業スペースにおいても結束対象の電線に対してテープの巻き付けを行うことの可能なテープ巻き装置と、そのテープ送り出し機構に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの電気配線に使用されるワイヤーハーネスは、複数の電線をテープで巻いて束ねたものであるが、このテープ巻きの作業は、一般に、人手によって行われることが多く、その自動化が望まれている。
このテープ巻き作業の自動化について、例えば、特許文献1には、そのための装置の一例が開示されている。特許文献1のテープ巻き装置は、テープの先端部を保持する先端保持部材を有し、これを移動することで、保持したテープを、それが巻かれたロールから引き出して、装置とその前方に置かれた電線との間に、粘着面が前方(電線側)を向くように配置する。つまり、テープを装置の外側で搬送する。次に、テープ巻き装置は、装置を前進させて、電線を、装置の前部に備えた回転ドラムの切欠き凹部に収容しつつ、電線に対してテープの先頭部分を貼り付ける。このとき、先端保持部材の保持していたテープを、その移動に合わせて解放する。そして、この移動によって電線にテープを貼り付けると、テープ巻き装置は、回転ドラムを、電線を中心軸とするように回転させて電線にテープの残りの部分を巻き付ける。
このテープ巻き装置では、このようにして、電線に対するテープの巻き付けを自動的に行うことができる。
【0003】
ところで、このテープ巻き装置は、複数の電線同士が近接した狭い作業スペースでのテープの巻き付けにも対応を可能としている。具体的には、テープ巻き装置は、先端保持部材の他に、中間保持部材を更に有し、上記のように先端保持部材によって引き出されたテープのロール側の端部をこの中間保持部材によって保持する。この保持により、これらの保持部材間に掛け渡されるテープが、テープ巻き装置と結束対象の電線との間において、装置の前側下部の外縁に沿わせて斜め向きとなるように配置される。この場合、テープは、装置の後側下方に向けて斜め向きに配置される。そのため、テープ巻き装置では、装置の前側の下方に別の結束対象あるいは他の電線が置かれている場合にも、それらに装置の前側の部分が干渉することなく、結束対象の電線に対してテープを巻き付けることができる。
しかしながら、このテープ巻き装置においても、電線同士の配置される状態や電線の分岐の仕方(T分岐、Y分岐など)によっては、装置の前側の部分が電線に干渉してしまい、その結果、テープの巻き付けを行うことができなかった。
【0004】
そこで、そのような場合にもテープの巻き付けを可能とする装置の一例として、例えば、特許文献2には、結束対象の電線に対して様々な角度、例えば上方からテープの巻き付けを行うことを可能とするテープ巻き装置が開示されている。このテープ巻き装置のように、結束対象の電線に対して、例えば上方からテープの巻き付けを行うことができれば、上記のように電線同士の配置状態や電線の分岐の仕方が複雑になっている場合にもテープの巻き付けを行うことが可能になる。
ところで、特許文献2のテープ巻き装置では、結束対象の電線にテープの巻き付けを行う際、テープの巻かれたロールを収容するテープホルダが、電線を中心にその周りを回転するようにして電線へのテープの巻き付けが行われる。この場合、結束対象の電線の周りに、少なくともテープホルダの直径の2倍以上のスペースがないと、装置はその巻き付け箇所に入り込むことができず、その結果、このテープ巻き装置においても、電線へのテープの巻き付けを行うことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-67438号公報
【特許文献2】特開平4-189715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するものであり、複数の電線同士が近接した狭い作業スペースにおいても結束対象の電線に対してテープの巻き付けを行うことの可能なテープ巻き装置および、そのテープ送り出し機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るテープ巻き装置は、ロール状に巻かれたテープを保持し、回転可能に支持されるテープリールと、前記テープリールから引き出された前記テープを送り出す送り出し機構であって、前記テープを切断する切断機構を備える送り出し機構と、円筒形の周壁の一部に被結束体を収容する切欠き部が設けられ、前記切欠き部に連通する開口部が設けられた周方向への回転が可能なテープ巻き付けドラムと、を備え、前記テープが前記送り出し機構によって前記ドラムの前記開口部から前記切欠き部内へ導入され、前記切欠き部に収容された前記被結束体が前記ドラムの回転により前記導入されたテープによって結束される、ことを特徴としている。
また、本開示に係るテープ巻き装置に備えられるテープの送り出し機構は、前記テープリールから引き出された前記テープの粘着面と当接する部材として、回転可能に構成されたプーリ、および前記プーリにより送り出される前記テープを前記切欠き部に向けて搬送するための回転可能に構成されたリング形状のベルトを備える、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るテープ巻き装置によれば、複数の電線同士が近接した狭い作業スペースにおいても結束対象の電線に対してテープの巻き付けを行うことの可能なテープ巻き装置および、そのテープ送り出し機構を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るテープ巻き装置の構成図である。
【
図3】第2リングベルトを装置の前方側から見た場合の断面図である。
【
図4】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図5】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図6】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図7】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図8】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図9】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図10】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図11】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図12】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【
図13】テープ巻き装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係るテープ巻き装置1の構成図である。
図1(a)は、本実施形態のテープ巻き装置1をその側方から見た側面図であり、
図1(b)は、本実施形態のテープ巻き装置1をその上方から見た平面図(上面図)である。なお、
図1(a)は、
図1(b)での装置を右側から見た様子を示しており、装置の構成を説明する都合から、
図1(b)での装置のカバー1rsを外した状態のテープ巻き装置1を示している。
本実施形態のテープ巻き装置1は、テープ保持機構、テープ送り出し機構、およびテープ巻き付け機構を備えている。テープ保持機構は、テープリール11、支持軸12、およびテープ13によって構成される。テープ送り出し機構は、第1プーリ21、第2プーリ22、第1リングベルト23、ベルト巻き込み防止部材24、第2リングベルトa25、第2リングベルトb26、エアシリンダ27、カッター28、サーボモータ29、および歯車30によって構成される。テープ巻き付け機構は、テープ巻き付けドラム41、大歯車42、小歯車a43、小歯車b44、歯付きベルト45、サーボモータ46、押さえ付け部材47、弾性部材48、ガイドローラ49、およびリング部材50によって構成される。また、本実施形態のテープ巻き装置1は、本装置に、産業用ロボットのアーム等を取り付けることを可能とするためのアーム取り付け部71を備えている。このアーム取り付け部71は、テープ巻き装置1と産業用ロボットとを電気的に接続するための機能および部材を有してもよい。
【0011】
<テープ保持機構>
テープリール11は、テープ13を、ロール状に巻かれた状態で交換可能に保持する。支持軸12は、そこに取り付けられたテープリール11を回転可能に支持する。この支持軸12の支持によって、テープリール11の保持する巻かれた状態のテープをそこから引き出すことができるようになる。
【0012】
<テープ送り出し機構>
第1プーリ21は、テープリール11から引き出されたテープ13を、その回転によって第2プーリ22の方向に送り出す。なお、この第1プーリ21から送り出されたテープ13が向かうテープ巻き付け機構のテープ巻き付けドラム41の方向を下流側、反対に、その下流側からこの第1プーリ21に向かう方向を上流側と呼ぶこととする。
ここで、第1プーリ21には、第1リングベルト23の一方の端が巻き掛けられている。第1リングベルト23は、その断面が円形(O形)をした環状の部材であり、第1プーリ21が送り出したテープ13の搬送のために使用される。この第1リングベルト23のもう一方の端は、第2プーリ22に巻き掛けられている。なおベルトの掛け方は平行掛けである。
本実施形態においては、第1リングベルト23が3本のベルトで構成されることから、第1プーリ21には、その各ベルトを収容するための凹部が、その外周面のベルトが巻かれる部分に設けられている。また、第2プーリ22には、その回転を可能とするための回転軸が備えられており、この回転軸に、本実施形態においてはベルトの数に対応させた3個のプーリが回転軸と一体に回転するように設けられている。そして、各プーリには、ベルトを収容するための凹部が、その外周面のベルトが巻かれる部分に設けられている。なお、ベルトを収容するためのそれら凹部の形状は、底が半円形状やV字形状であってもよいが、ベルトとプーリとが滑ってしまうことを防ぐためにV字形状であることが好ましい。そのため、本実施形態においては、凹部の形状は底をV字形状としている。
【0013】
また、第1リングベルト23における搬送の際のテープ13が当接する部分の直下には、第1プーリ21に巻かれた第1リングベルト23が、そのテープ13の送り出しに伴って同プーリに巻き込まれることを防止するベルト巻き込み防止部材24が備えられている。詳しくは、第1リングベルト23の周回軌道の内側の空間における上方側の第1リングベルト23の直下、かつ、第1プーリ21寄りの位置に、ベルト巻き込み防止部材24が備えられている。
図2は、このベルト巻き込み防止部材24を示す図である。本実施形態においては、第1リングベルト23が3本のベルトで構成されることから、ベルト巻き込み防止部材24には、それに対応させて3つの突出部が設けられている。これら突出部は、第1プーリ21の第1リングベルト23が巻かれない外周部分の凹部に非接触の状態で嵌め込まれる。そのため、これら突出部は、その一部に、第1プーリ21の凹部の溝底が有する周方向のカーブと形状を相補的に適合させた曲面を有している。そして、突出部の先端は、その延出もととなるベルト巻き込み防止部材24の上側の面とともに、第1リングベルト23が張られた状態で、同リングベルトの内周面と略並行なるようにして、第1プーリ21の凹部に入り込むように配置される。なお、突出部の先端はR形状であることが好ましく、そのため、本実施形態では、突出部の先端をR形状としている。
【0014】
第2プーリ22は、第1リングベルト23の搬送するテープ13を、第1プーリ21に従動した回転によって第2リングベルトa25および第2リングベルトb26の方向に送り出す。
また、テープ13の搬送経路の第2プーリ22と第2リングベルトa25との間には、エアシリンダ27によりその動作が制御されるカッター28が備えられている。エアシリンダ27および、特にカッター28は、テープ13の搬送路の上方に配置されている。エアシリンダ27がカッターを突き出すように駆動されると、カッター28は下方に向かって押し出され、その結果、その刃の先端(刃先)がテープに押し付けられてテープ13の切断が行われる。また、エアシリンダ27がカッターを引き込むように駆動されると、テープ13の切断を終えたカッター28が上方に向かって引き込まれ、テープの切断前の元の位置に戻される。つまり、テープ送り出し機構においては、テープ13の搬送路の上方に、切断位置と退避位置との間を移動することの可能なカッター28が備えられている。なお、カッター28が押し出されて刃先がテープに押し付けられるその位置が切断位置に、また、それと反対方向にカッター28が引き込まれたテープ切断前の元の位置が退避位置に対応する。これらエアシリンダ27およびカッター28は、テープ13を切断するための切断機構を構成する。
【0015】
サーボモータ29は、テープ送り出し機構を駆動するための動力をその回転軸によって出力する。このサーボモータ29の回転軸には、第1プーリ21が連結して固定されている。歯車30は、複数の歯車によって構成され、その初段の歯車が、サーボモータ29の回転軸に、第1プーリ21と横並びに連結して固定されている。また、歯車30の5段目の歯車は、第2プーリ22が設けられた回転軸に連結して固定されている。なお、第2プーリ22は、この回転軸に、一体回転するように設けられている。また、歯車30の最終段の歯車は、第2リングベルトa25の巻き掛けられた回転軸に連結して固定された歯車と噛み合っている。なお、第2リングベルトa25は、この回転軸に一体回転するように設けられたプーリに巻き掛けられている。また、この回転軸の歯車は、第2リングベルトb26が巻き掛けられた回転軸に連結して固定された歯車と噛み合っている。なお、第2リングベルトb26は、この回転軸に一体回転するように設けられたプーリに巻き掛けられている。
【0016】
ここで、第2リングベルトa25および第2リングベルトb26について説明する。
本装置のテープ送り出し機構には、これら第2リングベルトを支持するための軸部として、2組みの回転軸が備えられている。各回転軸は、その両端が軸受けによって回転可能に支持されることで、回転軸自体が回転するように構成されている。また、各回転軸には、第2リングベルトを巻き掛けるためのプーリが、回転軸と一体回転するように設けられている。
これら2組みの回転軸は、各組みが装置の上下方向において重なるように配置され、下側の組みの一方の回転軸に設けられたプーリには、第2リングベルトa25の一方の端が巻き掛けられている。また、下側の組みの他方の回転軸に設けられたプーリには、第2リングベルトa25のもう一方の端が巻き掛けられている。また、これと同様にして、上側の組みの回転軸に設けられた各プーリには、第2リングベルトb26のそれぞれの端が巻き掛けられている。なおベルトの掛け方は、第2リングベルトa25、第2リングベルトb26ともに平行掛けである。
【0017】
これら第2リングベルトは、
図3の断面図に示すように、その断面が円形(O形)をした環状の部材であり、上流側、即ち第1プーリ21の側から送られてきたテープ13を、下流側、即ちテープ巻き付け機構側へ搬送するために使用される。なお、
図3は、第2リングベルトを、テープ巻き装置1の前方側から見た場合の断面図である。
また、第2リングベルトが巻き掛けられる各回転軸のプーリには、第2リングベルトを収容するための凹部が、その外周面のベルトが巻かれる部分にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、第2リングベルトa25が3本のベルトで構成され、第2リングベルトb26が2本のベルトで構成されることから、これらの巻き掛けられる各回転軸には、それに合わせた数のプーリが設けられている。つまり、第2リングベルトa25が巻き掛けられる回転軸には、各回転軸に3個ずつ計6個、第2リングベルトb26が巻き掛けられる回転軸には、各回転軸に2個ずつ計4個のプーリが設けられている。そして本実施形態においては、これらのプーリの凹部も他のプーリと同様にその形状は底をV字形状としている。
また、これら第2リングベルトは、
図3に示すように、上下のベルトがその回転軸上において互い違いの並びとなるように配置されている。このような配置により、上側の第2リングベルトb26と下側の第2リングベルトa25とにより挟持されつつそれらの回転によって搬送されるテープ13は、その下流側を向いた断面が略W字の形状となるような上下からの押圧を伴って下流側に送り出される。そのため、テープ巻き装置1では、テープ13を下流側に、テープのよれがなく直線的に安定して送り出すことができる。
【0018】
ここで、第2リングベルトが巻き掛けられる下側の組みでのテープ13の送り元となる回転軸に固定された歯車は、上述したように、歯車30の最終段の歯車と噛み合っている。また、この下側の組みでの送り元となる回転軸の歯車は、上側の組みでのテープ13の送り元となる回転軸に固定された歯車と噛み合っている。このような構成により、本装置のテープ送り出し機構においては、サーボモータ29が駆動されると、歯車30の初段の歯車が回転され、それと共に同じ回転軸に設けられた第1プーリ21が回転される。また、この駆動により、歯車30は、その初段(1段目)の歯車と、そこから1つ置きとなる歯車、つまり、3段目と、5段目と、そして7段目、つまり、その最終段の6段目の歯車に噛み合った7段目に相当する歯車とが、一様に同じ方向に回転される。なお、その7段目に相当する歯車とは、第2リングベルトa25の駆動側となる回転軸(原動軸)に固定された歯車である。この同方向の回転により、5段目の歯車が固定された回転軸の第2プーリ22は、第1プーリ21と同方向に回転される。これにより、第1プーリ21と第2プーリ22とに巻き掛けられた第1リングベルト23が、それらのまわりを周回するように回転される。また、この同方向の回転により、7段目に相当する歯車が固定された第2リングベルトa25の原動軸のプーリが同方向に回転される。これにより、そのプーリに巻き掛けられた第2リングベルトa25が、その従動側となる回転軸(従動軸)のプーリの回転を伴って、それらプーリのまわりを周回するように回転される。また、この原動軸の7段目に相当する歯車は、第2リングベルトb26の一端が巻き掛けられた駆動側となる回転軸の歯車と噛み合っている。そのため、第2リングベルトa25が回転されると、その外周面と、これに向き合った第2リングベルトb26の外周面とは、それら面同士の向き合った部分が同じ方向に移動するように、それら第2リングベルトが回転される。これにより、第2リングベルトa25の外周面と第2リングベルトb26の外周面とによって挟持されるテープ13が、それらの回転に伴い、その同一方向の下流側に向けて搬送されるようになる。
本装置では、テープ送り出し機構がこのような構成とされることにより、テープ保持機構から引き出されたテープ13を、その下流側のテープ巻き付け機構の側に向けて、その巻き付けのために良好な状態で送り出すことを可能としている。
なお、上記の第2プーリ22の回転軸、また、第2リングベルトa25、b26が巻き掛けられるプーリの回転軸は、プーリと回転軸とが一体となった構成のものであっても、上記説明のようにそれらが別体となった構成のものであってもよい。
【0019】
<テープ巻き付け機構>
テープ巻き付けドラム41は、円筒形の形状をした部材であり、本実施形態のテープ巻き装置1の前部側に、周方向への回転が可能に備えられている。テープ巻き付けドラム41は、その周壁の一部に、電線などの被結束体61を収容するための切欠き部41aが設けられ、また、この切欠き部41aの反対側(対向側)となる周壁には切欠き部41aに連通する開口部41bが設けられている。なお、切欠き部41aは、テープ巻き付けドラム41の回転軸に対して直交する方向の断面が略U字形状となるように切り欠くかたちで、その周壁の部分に設けられている。一方、その反対側(対向側)の開口部41bは、同ドラムの回転軸からその半径方向外側にかけての開口部41bとなる領域をくり抜く形で、その周壁の部分に設けられている。上記のテープ送り出し機構によって送り出されたテープ13は、このテープ巻き付けドラム41の開口部41bから切欠き部41a内へ導入される。その後、切欠き部41aに被結束体61が収容され、テープ巻き付けドラム41が回転されると、被結束体61が、この回転により、その導入されたテープ13によって巻き付けられる。
【0020】
また、テープ巻き付けドラム41には、大歯車42が結合されており、この大歯車42とテープ巻き付けドラム41とは一体回転するように構成されている。この大歯車42は、小歯車a43および小歯車b44と噛み合っている。また、これら小歯車a43および小歯車b44は、2つの駆動歯車とそれぞれ噛み合っており、各駆動歯車の有する固定された回転軸には、それぞれ歯付きプーリが連結されて固定されている。そして、これら歯付きプーリには歯付きベルト45が巻き掛けられ、それと同時に、この歯付きベルト45はサーボモータ46の動力出力用の回転軸に連結されて固定された歯付きプーリに巻き掛けられている。なおベルトの掛け方は平行掛けである。
このような構成により歯付きベルト45を介して、サーボモータ46と小歯車a43および小歯車b44とが接続されることで、サーボモータ46が駆動されると、歯付きベルト45が回転され、それによって小歯車a43および小歯車b44が回転される。その際、小歯車a43と小歯車b44とは、同一方向に回転される。
【0021】
ここで、テープ巻き付けドラム41に結合された大歯車42は、その円周の一部を含む領域が、切欠き部41aに被結束体61を収容するために、切欠き部41aの形状に適応させるように切り取られている。そのため、小歯車a43および小歯車b44は、この切り取られた部分との噛み合いが無くてもテープ巻き付けドラム41の回転を可能とするように配置されている。つまり、小歯車a43および小歯車b44は、大歯車42を回転させる際に、これらのどちらか一方が必ず大歯車42の残りの部分と噛み合いを続けられる場所に配置されている。
【0022】
また、テープ巻き付けドラム41の切欠き部41aには、そこに導入されたテープ13が切欠き部41a内において配置される側の面と対向する側に、押し付け位置と退避位置との間を移動することの可能な押さえ付け部材47が備えられている。押さえ付け部材47は、その操作のための操作レバーを、エアシリンダを駆動させて動作させることで、押さえ付け部材47を、切欠き部41a内のテープ13が配置された側に向けて押し出す、および、それと反対側の元の位置に引き戻す、ことができる。なお、押さえ付け部材47が完全に押し出されたその位置が押し付け位置に、また、それと反対側に引き戻された元の位置が退避位置に対応する。押さえ付け部材47と、何れも図示しない操作レバーおよびエアシリンダとは、切欠き部41aに収容された被結束体61をテープ13側に向かって押さえ付けるための押さえ付け機構を構成する。また、テープ巻き付けドラム41の切欠き部41aには、そこに導入されたテープ13が切欠き部41a内において配置される側の内周面に弾性部材48が備えられている。弾性部材48は、スポンジやウレタンなどの弾性材料から作られている。
【0023】
また、テープ巻き付けドラム41の外周の周辺には、回転可能に構成されたガイドローラ49が複数備えられている。本実施形態のテープ巻き装置1では、その周辺の6か所に、それぞれガイドローラ49が備えられている。各ガイドローラ49の支持軸は、同ドラムの回転軸と並行となるように配置されている。各ガイドローラ49は、その外周部分にリング部材50を有するとともに、ガイドローラ49とリング部材50とが一体に回転するように構成されている。ガイドローラ49のリング部材50は、テープ巻き付けドラム41の外周に沿わせて配置されるテープ13を、それぞれが同ドラムの回転軸側に向かって押圧するように構成されている。なお、各ガイドローラ49は、その支持軸上に離間させて配置した複数本の、本実施形態のテープ巻き装置1では2本のリング部材50を有している。
【0024】
以下、テープ巻き装置1が行うテープの巻き付け動作について、
図4~
図13を参照して説明する。なお、ここでは、テープの巻き付け動作の説明と併せて、テープ巻き装置1の各構成要素の特徴についても説明する。また、以下では、テープの巻き付け動作の一例として、テープ巻き装置1を縦にした状態で使用する例を説明する。この場合、テープ巻き装置1は、その下方に配置された被結束体61に対して、上方からテープの巻き付けを行うこととなる。
【0025】
<テープの取り付け>
図4参照。
始めに、作業者は、テープ巻き装置1に備えられた支持軸12にテープリール11を取り付ける。なお、テープリール11には、テープがロール状に巻かれた状態で保持されている。この取り付けにより、テープリール11は、支持軸12を中心として回転可能に支持されるようになるので、テープリール11の保持する巻かれた状態のテープをそこから引き出せるようになる。
【0026】
<テープの引き出し>
図5参照。
作業者は、テープリール11からテープ13を引き出して、テープ13の先端部分の粘着面13a側を第1プーリ21の外周面に貼り付ける。また、作業者は、テープ巻き装置1の作動を開始させて、サーボモータ29を駆動させる。この駆動により、サーボモータ29の回転軸に固定された第1プーリ21が回転される。この場合、第1プーリ21は反時計回りに回転される。
第1プーリ21が回転されると、最初に貼り付けられたテープ13の先端部分に続けて、そのあとの部分のテープがテープリール11から引き出されるとともに第1プーリ21の外周面に貼り付けられる。第1プーリ21が回転されて、このような引き出しと貼り付けとが繰り返されることにより、テープ13の第2プーリ22方向への送り出しが進められて行く。
【0027】
なお、このテープ13の送り出しにおいては、テープの粘着面13aを第1プーリ21の外周面に貼り付けるようにしている。これは、例えば、上述した第1リングベルト23、即ちその断面が円形(O形)をした環状のベルトに、直接、テープの粘着面を貼り付けてその送り出しを行う場合には、テープのベルトへの粘着力が弱くなってしまうことがある。そうなると、環状のベルトが回転した際に、テープが滑ってベルトから剥がれてしまいやすくなり、その結果、テープの送り出しができなくなってしまう。
これを避けるために、本実施形態のテープ巻き装置1では、テープ送り出し機構において、テープ13の粘着面13aを、直接、第1プーリ21の外周面に貼り付けることで、テープのベルトに対する粘着力の低下を抑制するようにしている。
なお、第1プーリ21の外周面には、第1リングベルト23を収容するための凹部が設けられているが、この凹部は、直接ベルトにテープの粘着面が貼り付かないよう、溝の深さが第1リングベルト23の外径のサイズよりも深くなるようにその溝が形成されている。仮に、溝の深さが浅い場合、ベルトの上部側の外周面が凹部から突き出てしまいテープの粘着面がその上部側の外周面に当たってしまう。そうなると、粘着面のベルトに当接した部分とその周囲の部分が第1プーリ21の外周面から浮き上がった形となり、その結果、第1プーリ21の外周面に対するテープの粘着力が低下してしまう。そのため、第1プーリ21の外周面の凹部は、その溝の深さが第1リングベルト23の外径のサイズよりも深くなるように形成されている。
【0028】
<テープの送り出し>
図6参照。
第1プーリ21には、第1リングベルト23の一端が巻き掛けられており、そのもう一方の端は第2プーリ22に巻き掛けられている。第1プーリ21が回転されると、第1リングベルト23を介してその回転が伝達されることにより第2プーリ22が回転される。また、これらの回転により、第1リングベルト23は、それらプーリの周りを周回するように回転される。
ここで、第1プーリ21の外周面に貼り付けられたテープ13は、第1プーリ21の回転に伴い、同プーリの搬送路上の下流側の端部において、その先端部分から、テープの粘着面13aが第1リングベルト23の上部側の外周面に粘着するようになる。そして、テープ13は、その上部側の外周面に粘着して下流側へ搬送される一方、その搬送のために第1リングベルト23が第2プーリ22側へ直進することによって、その粘着面13aは第1プーリ21の外周面から剥がされて行くこととなる。これにより、それから後、その上部側の外周面に粘着したテープ13は、第1リングベルト23によって下流側へ搬送されるようになる。
【0029】
ところで、上記では、第1リングベルト23の上部側の外周面に粘着したテープ13が同リングベルトによって下流側へ搬送される一方、それに併せて、テープの粘着面13aは第1プーリ21の外周面から剥がされる、ということを説明した。しかし、場合によっては、テープ13の粘着面13aが第1プーリ21の外周面から剥がれずに、テープ13が、その外周面に粘着したまま残ってしまうことがある。その場合に、その状態で第1プーリ21が回転されると、第1プーリ21は、テープ13が第1リングベルト23を、その外周面のそれを収容する凹部内に閉じ込めた状態で回転することとなる。そうすると、その回転に伴い、テープ13が、第1リングベルト23を、下方へ引っ張るような形で第1プーリ21の下側に引き込んでしまい、その結果、第1リングベルト23が、テープ13のその引っ張る力によって切断されてしまう、という問題がある。
これを防止するために、テープ巻き装置1では、ベルト巻き込み防止部材24を備えている。このベルト巻き込み防止部材24は、既述のとおり、第1リングベルト23の周回軌道の内側の空間における上方側の第1リングベルト23の直下、かつ、第1プーリ21寄りの位置に設けられている。この配置により、ベルト巻き込み防止部材24は、テープ13による第1リングベルト23の、上記のような引き込み、即ち第1プーリ21への巻き込みを回避しつつ、第1プーリ21の外周面に粘着したテープ13の粘着面13aをそこから剥離する。なお、このテープ13の剥離は、第1リングベルト23が、同リングベルトの張力に反して上記のように下方へ引っ張られる際の、ベルト巻き込み防止部材24の突出部による下支えによってその引っ張りと反対方向の抗力を利用して行われる。
【0030】
ところで、それとは別の問題として、テープの粘着面13aの第1リングベルト23に対する粘着力が強力であると、第2プーリ22における搬送路上の下流側の端部で、テープ13が第1リングベルト23から剥がれずにそこに貼り付いたままとなってしまう場合がある。これは、第1リングベルト23が第2プーリ22の凹部に収容された状態で、第1プーリ21と異なり、その外周面が当該第2プーリ22の外周面から突き出るようにされているからである。その場合、テープの搬送が進むのに伴って、テープ13は、第1リングベルト23に粘着した状態で第2プーリ22のその端部で下側に向かいつつ第1プーリ21の方向へ折り返すような形となる。そして、そのまま搬送が進むと、テープ13が第1リングベルト23とともに第1プーリ21の側に戻ってしまい、その結果、その第1プーリ21に、テープ13が巻き込まれてしまうこととなり、これが問題となる。
これを防止するために、テープ巻き装置1では、第1リングベルト23の材料にシリコーンゴムなどの弾性材料を採用している。この採用により、テープ13の第1リングベルト23に対する粘着力を、その強さが適当となる範囲に抑えることができるようになる。これにより、上述した第2プーリ22における搬送路上の下流側の端部において、テープの粘着面13aが第1リングベルト23から容易に剥がれるようになるので、問題の第1プーリ21へのテープ13の巻き込みを防止することができる。
【0031】
ここで、第1リングベルト23と、その一端が巻き掛けられる第2プーリ22とは、その構成上、滑りが発生しやすいために第2プーリ22の回転が安定しないことが判明している。この対処のため、テープ巻き装置1では、特に、その第2プーリ22の回転を安定させるために、テープ送り出し機構において歯車30を設けている。テープ送り出し機構では、この歯車30を介して各回転部材を回転駆動することにより、特に、第2プーリ22の安定した回転を確保している。
また、この第2プーリ22の回転とともに周回する第1リングベルト23により下流側に送り出されたテープ13は、その送り先の第2リングベルトa25と第2リングベルトb26とによって、既述のとおり、上下方向からの押圧を伴って挟持される。そして、第2リングベルトa25と第2リングベルトb26との回転によって搬送されるテープ13は、これらによる上下方向からの押圧により、既述のとおり、その下流側を向いた断面が略W字の形状となるようにして下流側に送り出される。そのため、テープ巻き装置1では、テープ13を下流側に、テープがよれることなく真っ直ぐな状態で安定して送り出すことができる。
【0032】
このようなテープ送り出し機構の動作によって下流側に送り出されたテープ13は、テープ巻き付け機構のテープ巻き付けドラム41に設けられた開口部41bを通じて同ドラムの切欠き部41a内へ導入される。なお、テープ送り出し機構によるテープの送り出しは、その送り出されたテープ13が所定の長さを有するようにテープ巻き付け機構の側へ送り出す必要がある。そのため、テープを送り出す回転動作のためのモータには、その送り出す量を正確に調節することが可能なモータ(本実施形態ではサーボモータ29)を使用している。
【0033】
<テープの巻き付け準備1>
図7参照。
テープ巻き付けドラム41の切欠き部41a内にテープ13が導入されると、次に、テープ巻き装置1全体を移動(ここでは下側に移動)させて、同ドラムの切欠き部41a内に被結束体61を収容する。このとき、被結束体61は、切欠き部41a内において、同ドラムの回転軸付近に、回転軸と並行となるように延在させて、そこに導入されたテープ13の粘着面13aと対向する位置に置かれる。そして、切欠き部41aにおいてテープ13と対向する側に備えられた押さえ付け部材47を、既述のように動作させて、テープ13側に向かって押し付け位置まで押し出させる。この押し出しにより、その押さえ付け部材47とテープ13との間に置かれた被結束体61がテープ13の粘着面13aに押さえ付けられ、それによって、テープ13の先端部分が被結束体61に貼り付けられる。テープ巻き装置1では、押さえ付け部材47が備えられることにより、テープ13の被結束体61への貼り付け作業を、この押さえ付け部材47によって人手を介さず確実に行うことができる。
【0034】
ここで、切欠き部41aには、既述のとおり、導入されたテープ13が配置される側の内周面に、弾性部材48が備えられている。そして、導入されたテープ13は、その非粘着面13bが、切欠き部41aのその内周面側を向くように配置されて、弾性部材48と接するようにされている。そのため、その押さえ付け部材47による被結束体61の押さえ付けにより、テープ13は、被結束体61と弾性部材48との間に挟まれる形となって、被結束体61に対する接触面積が弾性部材48を備えていない場合と比べて増加することとなる。これにより、テープ巻き装置1では、被結束体61に対するテープ13の先端部分の貼り付けを、より良く行うことができる。
また、被結束体61へのテープ13の先端部分の貼り付けが終了すると、既述のとおり、押さえ付け部材47は、元の退避位置に引き戻される。
【0035】
なお、上記のテープ巻き装置1の移動は、例えば、産業用ロボットなどによって行ってもよい。その場合は、予め、テープ巻き装置1に備えられたアーム取り付け部71に、産業用ロボットのアーム等を取り付けておくようにする。
また、被結束体61へのテープ13の先端部分の貼り付けは、押さえ付け部材47を用いずに、産業用ロボットなどで、装置を、切欠き部41aに収容された被結束体61の側へ移動させることによって行うようにしてもよい。例えば、
図7に示した例では、装置を、産業用ロボットなどを用いて右方向へ移動させることにより、切欠き部41aに導入されたテープ13の粘着面13aをそこに収容されている被結束体61に貼り付けることができる。この場合も、その貼り付けでの弾性部材48の効果は、押さえ付け部材47を用いた上記の場合と同様となる。
【0036】
<テープの巻き付け準備2>
図8参照。
被結束体61にテープ13の先端部分を貼り付けた後は、サーボモータ46を駆動させて、テープ巻き付けドラム41を回転させる。この場合、テープ巻き付けドラム41は時計回りに回転される。このドラムの回転によって、被結束体61には、テープ13のその貼り付けた部分に続く部分が巻き付けられる。また、それと同時に、テープ巻き付けドラム41の外周には、今回巻き付けるためのテープ13の残りの部分が巻き付けられる。なお、この巻き付けの際は、テープ巻き付けドラム41の外周面に、テープ13の非粘着面13bが当接するため、テープがその外周に貼り付くことがない。
【0037】
ここで、テープ巻き装置1は、その巻き付けの際、サーボモータ29を駆動させて、第1プーリ21をその巻き付けに合わせて回転させる。これにより、テープ13をテープリール11から引き出しながら、テープ巻き付けドラム41の外周にそのテープの残りの部分を巻き付けるようにしている。また、テープ巻き装置1は、その巻き付けの際、テープ巻き付け機構のサーボモータ46とテープ送り出し機構のサーボモータ29との駆動タイミングを制御し、テープ巻き付けドラム41と第1プーリ21との回転速度を調整する。これにより、テープ13に張力が掛かった状態をつくるようにしている。
【0038】
<テープの切断>
図9参照。
テープ13の、被結束体61に貼り付けた先端部分からテープ巻き付けドラム41の外周に巻き付けられた今回巻き付けるための残りの部分までの長さが、被結束体61の巻き付けに必要とする所定の長さに達すると、サーボモータ29及び46は駆動が停止される。このとき、その被結束体61の巻き付けに必要とする所定の長さのテープ13を、第1プーリ21によって送り出す必要があるが、その送り出すテープ13の長さに対応する第1プーリ21の回転量は、予め装置に設定しておくようにする。また、その際は、テープ巻き付けドラム41の回転量についても、同様の方法により、予め装置に設定しておくようにする。そして、それらの回転量に基づきサーボモータ29及び46を駆動させて、第1プーリ21及びテープ巻き付けドラム41の回転を制御することで、被結束体61には、常に一定の長さのテープ13が巻き付けられる。なお、テープ巻き付けドラム41の外周に巻き付けられるテープ13の長さは、同ドラムの外周を1周するに満たない長さとなる。
【0039】
また、サーボモータ29及び46の駆動が停止されると、第1プーリ21及びテープ巻き付けドラム41の回転が停止されるのと合わせてテープ送り出し機構でのテープ13の搬送も停止され、その状態で、テープ13が、カッター28によって切断される。このテープ13の切断は、既述のとおり、エアシリンダ27を、カッターを突き出すように駆動させて、カッター28をテープ13の側に向かって押し出させる。これにより、その刃の先端(刃先)がテープ13に押し付けられてテープの切断が行われる。このとき、切断時のテープ13は、上述したように、同テープ13に張力が掛かった状態とされていることから、カッターの刃先を押し当てると容易に切断することができる。
なお、カッターの刃先は、テープ13の非粘着面13b側に押し付けるようにするのが望ましい。そのようにすれば、切断の際に、刃先に粘着剤が付着することを抑制できるので、テープに、よれや曲がりが生じにくく、そのため切断後のテープの切断面をフラットな状態とすることができる。また、そのようにすれば、張力が掛かった状態のテープ13の粘着面13aは切断部付近においては周りの何とも接触していないことから、刃先が非粘着面13bに押し付けられたときに、その裏側の粘着面13aが周囲の何かに張り付いてしまうことがない。
テープの切断が終了すると、既述のとおり、エアシリンダ27がカッターを引き込むように駆動されることで、カッター28は、テープと反対の方向に向かって引き込まれて切断前の元の位置に戻される。
【0040】
<テープの巻き付け>
図10参照。
テープの切断後は、サーボモータ46を駆動させて、再びテープ巻き付けドラム41を回転させる。これにより、ドラム41の外周に巻き付けられたテープ13を被結束体61に巻き付けながら、切断した位置から下流側にある残りのテープ13が、テープ巻き付けドラム41の外周に巻き付けられる。なお、このときにはテープの送り出しを行う第1プーリ21が停止されており、切断した位置から上流側のテープ13は、次回の巻き付けに使用されることから下流側には搬送されずにその位置で待機させられる。
【0041】
ここで、テープ13は、切断前は上述したように張力が掛かった状態とされているが、切断されることによって、その後は張力が低下してしまう。この張力の低下により、特に、切断した位置から下流側にあるテープ13は、テープ巻き付けドラム41の外周に巻かれる際に、その巻き付けが緩くなってしまい、その結果、被結束体61に対するテープ13の巻き付けに不具合が生じてしまう。これを避けるため、テープ巻き装置1では、既述のとおり、テープ巻き付けドラム41の外周の周辺に、リング部材50を取り付けたガイドローラ49が複数設けられている。なお、リング部材50は、シリコーンゴムなどの弾性材料から作られており、テープ巻き付けドラム41の外周に巻かれる(即ち、外周に沿わせて配置される)テープ13を、同ドラムの回転軸側に向かって押圧するように構成されている。これにより、切断後に、その位置から下流側にあるテープ13がテープ巻き付けドラム41の外周面に押し付けられることで、テープに張力を掛けるようにしている。
また、被結束体にテープを巻き付ける際のテープ巻き付けドラム41の回転によって、外周に巻かれたテープ13がその外周面上で蛇行しないように、テープ巻き付けドラム41の外周面は、その中央部分のロール径を大きくしたクラウン形状とされている。
このような、ガイドローラ49のリング部材50による押圧、また、同ドラム41の外周面のクラウン形状によって、テープ巻き装置1では、テープ13を、今回巻かれる最後の部分まで、確実に被結束体61に巻き付けることができる。
【0042】
図11参照。
テープ巻き付けドラム41の外周に巻かれたテープ13の全てが被結束体61に巻き付けられるように、サーボモータ46を駆動させて同ドラムを回転させる。テープ巻き付けドラム41によるテープの巻き付けが終わると、サーボモータ46の駆動を停止させて同ドラムの回転を停止させる。その後、アーム取り付け部71を介して接続された産業用ロボット等により、テープ巻き装置1全体を移動させて、テープ巻き付けドラム41の切欠き部41a内の被結束体61に対し、テープ13の巻き付けが未了となっている部分を貼り付ける。
【0043】
図12参照。
被結束体61へのテープ13の巻き付けが完了すると、産業用ロボット等によりテープ巻き装置1全体を上側に移動させる。この移動により、テープ巻き装置1は、テープを巻き終えた被結束体61から離される。
【0044】
図13参照。
その後、次の巻き付けのために、サーボモータ46を駆動させてテープ巻き付けドラム41を回転させ、切欠き部41aを下方、開口部41bを上方に向けた後、サーボモータ29を駆動させて再び第1プーリ21を回転させることで、テープ13の送り出しが行われる。この送り出しの再開により、テープ13は、既述のとおり、テープ巻き付けドラム41の開口部41bを介してその連通する切欠き部41aの内部に導入される。このテープの導入後、次の被結束体に対してテープを巻き付けるために、産業用ロボット等によってテープ巻き装置1全体がその次の被結束体に向けて移動される。
なお、この後は、上述した「テープの巻き付け準備1」の動作に戻り、それ以降の動作を別の被結束体61に対して繰り返し行う。
【0045】
以上、本開示のテープ巻き装置では、テープリールから引き出されたテープが、テープ送り出し機構により、装置の縦方向の軸線に沿って装置の内側で搬送され、テープ巻き付けドラムの切欠き部内に、同ドラムのそれと連通した開口部から導入される。また、その導入されたテープに続く今回巻かれるテープの部分は、テープ巻き付けドラムの外周に巻き付けられる。そして、テープ巻き付けドラムの回転によって、その切欠き部に収容された被結束体に対し、そこに導入されたテープおよびそれに続くドラム外周の今回巻かれるテープの部分が巻き付けられる。このような構造および動作から、このテープ巻き装置では、被結束体の周りに、テープ巻き付けドラムの大きさ(円筒形の外径およびその厚さ/高さ)ほどのスペースがあれば、その被結束体に対してテープの巻き付けを行うことができる。そのため、本開示のテープ巻き装置では、テープリール自体が被結束体の周りを回る方法や、テープが装置の外側で搬送される方法と比べて、省スペースでのテープの巻き付けが可能である。
また、本開示のテープ巻き装置では、テープの粘着面をテープ送り出し機構の回転部材に粘着(当接)させてテープの搬送が行われ、そのようにして搬送されたテープが、テープ巻き付けドラムの開口部を通ってその連通した切欠き部内に導入される。そのため、このテープ巻き装置では、装置の向きが縦、横の何れであっても、被結束体に対してテープを巻き付けることが可能である。
従って、本開示のテープ巻き装置によれば、複数の電線同士が近接した狭い作業スペースにおいても結束対象の電線に対してテープの巻き付けを行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
テープ巻き装置1、カバー1rs、
テープリール11、テープ13、粘着面13a、非粘着面13b、
第1プーリ21、第2プーリ22、第1リングベルト23、ベルト巻き込み防止部材24、第2リングベルトa25、第2リングベルトb26、エアシリンダ27、カッター28、サーボモータ29、歯車30、
テープ巻き付けドラム41、切欠き部41a、開口部41b、大歯車42、小歯車a43、小歯車b44、歯付きベルト45、サーボモータ46、押さえ付け部材47、弾性部材48、ガイドローラ49、リング部材50、
被結束体61、アーム取り付け部71