(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034580
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】レーザー式ガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3504 20140101AFI20240306BHJP
G01N 21/61 20060101ALI20240306BHJP
B65B 57/10 20060101ALI20240306BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01N21/3504
G01N21/61
B65B57/10 C
B65B57/00 H
B65B57/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138923
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059DD13
2G059DD15
2G059EE01
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH01
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】レーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と包装容器との密着性を確保して包装容器内のガス濃度の測定精度を向上させることができるレーザー式ガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機を提供する。
【解決手段】本発明のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光Lを受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えたレーザー式ガス濃度計5を有し、レーザー発生部2の先端部には包装容器Hを吸着するための第1吸盤部6が設けられ、レーザー受光部4の先端部には包装容器Hを吸着するための第2吸盤部7が設けられ、第1吸盤部6および第2吸盤部7は包装容器Hの吸着時に振動機構8により振動可能に構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー発生部の先端部には包装容器を吸着するための第1吸盤部が設けられ、
前記レーザー受光部の先端部には前記包装容器を吸着するための第2吸盤部が設けられ、
前記第1吸盤部および前記第2吸盤部は前記包装容器の吸着時に振動機構により振動可能に構成されていることを特徴とするレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記振動機構は、異なる真空圧力に設定された第一真空源と第二真空源を有し、前記第一真空源による吸引時に前記第二真空源のON・OFFを繰り返すことで脈動を発生させ前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるものである請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記振動機構は、前記第一真空源が第一真空ポンプであり、前記第二真空源が第二真空ポンプであり、前記第一真空ポンプを開閉する第一真空電磁弁と、前記第二真空ポンプを開閉する第二真空電磁弁とを有し、前記第一真空電磁弁を開いて前記第一真空ポンプにて吸引し、かつ前記第二真空電磁弁による開閉を繰り返しながら前記第二真空ポンプにて吸引することで脈動を発生させ、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるものである請求項2に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記振動機構は、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるためのバイブレーターを有するものである請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記振動機構は、真空源と、大気と連通する大気連通部を有し、前記真空源による吸引時に前記大気連通部の開閉を繰り返すことで脈動を発生させ、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるものである請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項6】
特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー発生部の先端部には包装容器を吸着するための第1吸盤部が設けられ、
前記レーザー受光部の先端部には前記包装容器を吸着するための第2吸盤部が設けられ、
前記第1吸盤部および前記第2吸盤部は前記包装容器の吸着時に振動機構により振動可能に構成されているレーザー式ガス濃度測定装置を備えていることを特徴とする包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器内の特定ガスの濃度を測定することができるレーザー式ガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物が特に食品の場合、保存期間や賞味期限を長くするために、包装時に包装容器内に残留する空気を排除して窒素等の不活性ガスを充填するガス置換包装が行われている。例えば特許文献1には、包装容器内に被包装物を投入すると共に、包装容器に挿入したノズルから不活性ガスを充填して、不活性ガスと包装容器内の酸素との置換作用を行なう不活性ガス充填方法が開示されている。
【0003】
そして、製品検査において、被包装物を包装した包装容器内に残存する酸素濃度を計測する方法として、本件出願人が例えば特許文献2にレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法を提案している。
【0004】
ところで、このレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法は、大半のガス分子が特定波長の光を吸収するという性質を利用して、一定距離内のガス分子の数を計測しガス濃度を測定するものである。そのため、レーザー式ガス濃度測定装置のレーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と包装容器(被測定物)との間隙にガス分子が存在しないようにそれらの密着性が重要となる。
【0005】
しかし、例えばレーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と包装容器(被測定物)との位置関係が悪い場合、包装容器(被測定物)に凹凸がある場合、または被測定物(包装容器)が柔らかい場合などには上記密着性が不十分となりガス濃度の測定精度が劣化することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3742042号公報
【特許文献2】特許第5124719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、レーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と包装容器との密着性を確保して包装容器内のガス濃度の測定精度を向上させることができるレーザー式ガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものは、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有し、前記レーザー発生部の先端部には包装容器を吸着するための第1吸盤部が設けられ、前記レーザー受光部の先端部には前記包装容器を吸着するための第2吸盤部が設けられ、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部は前記包装容器の吸着時に振動機構により振動可能に構成されていることを特徴とするレーザー式ガス濃度測定装置である(請求項1)。
【0009】
前記振動機構は、異なる真空圧力に設定された第一真空源と第二真空源を有し、前記第一真空源による吸引時に前記第二真空源のON・OFFを繰り返すことで脈動を発生させ前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるものであることが好ましい(請求項2)。前記振動機構は、前記第一真空源が第一真空ポンプであり、前記第二真空源が第二真空ポンプであり、前記第一真空ポンプを開閉する第一真空電磁弁と、前記第二真空ポンプを開閉する第二真空電磁弁とを有し、前記第一真空電磁弁を開いて前記第一真空ポンプにて吸引し、かつ前記第二真空電磁弁による開閉を繰り返しながら前記第二真空ポンプにて吸引することで脈動を発生させ、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるものであることが好ましい(請求項3)。前記振動機構は、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるためのバイブレーターを有するものであってもよい(請求項4)。前記振動機構は、真空源と、大気と連通する大気連通部を有し、前記真空源による吸引時に前記大気連通部の開閉を繰り返すことで脈動を発生させ、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部を振動させるものであることが好ましい(請求項5)。
【0010】
また、上記課題を解決するものは、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有し、前記レーザー発生部の先端部には包装容器を吸着するための第1吸盤部が設けられ、前記レーザー受光部の先端部には前記包装容器を吸着するための第2吸盤部が設けられ、前記第1吸盤部および前記第2吸盤部は前記包装容器の吸着時に振動機構により振動可能に構成されているレーザー式ガス濃度測定装置を備えていることを特徴とする包装機である(請求項6)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置によれば、レーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と包装容器との密着性を確保して包装容器内のガス濃度の測定精度を向上させることができる。
請求項2に記載のレーザー式ガス濃度測定装置によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構を簡素な構造で構成できる。
請求項3に記載のレーザー式ガス濃度測定装置によれば、上記請求項2の効果を奏する振動機構をより簡素な構造で構成できる。
請求項4に記載のレーザー式ガス濃度測定装置によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構をより簡素な構造で構成できる。
請求項5に記載のレーザー式ガス濃度測定装置によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構をより簡素な構造で構成できる。
請求項6に記載の包装機によれば、レーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と包装容器との密着性を確保して包装容器内のガス濃度の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のレーザー式ガス濃度測定装置の一実施例を説明するための正面図である。
【
図4】
図1に示したレーザー式ガス濃度測定装置のセンサーベッド内の構造を説明するための正面側から視た拡大一部縦断面図である。
【
図5】
図4の底面図であり、第1吸盤部、第2吸盤部、第3吸盤部および第4吸盤部の配置状態を説明するための説明図である。
【
図6】
図1に示したレーザー式ガス濃度測定装置の作用を説明するための説明図である。
【
図7】ガス濃度測定試験の測定結果を示したグラフである。
【
図8】ガス濃度測定試験の測定結果を示したグラフである。
【
図9】本発明のレーザー式ガス濃度測定装置の他の実施例およびその作用を説明するための説明図である。
【
図10】本発明のレーザー式ガス濃度測定装置の他の実施例およびその作用を説明するための説明図である。
【
図11】本発明の包装機の一実施例を説明するための正面図である。
【
図12】本発明の包装機の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
【
図13】本発明の包装機の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
【
図14】本発明の包装機の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光Lを受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えたレーザー式ガス濃度計5を有し、レーザー発生部2の先端部には包装容器Hを吸着するための第1吸盤部6が設けられ、レーザー受光部4の先端部には包装容器Hを吸着するための第2吸盤部7が設けられ、第1吸盤部6および第2吸盤部7は包装容器Hの吸着時に振動機構8により振動可能に構成されていることで、レーザー発光部2の先端部やレーザー受光部2の先端部と包装容器Hとの密着性を確保して包装容器H内のガス濃度の測定精度を向上させることができるレーザー式ガス濃度測定装置Gおよびそれを備えた包装機Pを実現した。
【実施例0014】
本発明のレーザー式ガス濃度測定装置を
図1ないし
図8に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器H内の特定ガスの濃度を測定するレーザー式ガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光Lを受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えたレーザー式ガス濃度計5を有し、レーザー発生部2の先端部には包装容器Hを吸着するための第1吸盤部6が設けられ、レーザー受光部4の先端部には包装容器Hを吸着するための第2吸盤部7が設けられ、第1吸盤部6および第2吸盤部7は包装容器Hの吸着時に振動機構8により振動可能に構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0015】
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された包装容器H内の特定ガスである酸素濃度をレーザー式ガス濃度計5によって測定するものであり、単独の測定装置として使用され、または、ロータリー式包装機、トラック式包装機、横ピロー包装機、縦ピロー包装機、製袋包装機等の各種包装機のアウトラインに設けられたコンベア式検査工程に設置して使用され、さらには、ロータリー式包装機、トラック式包装機、横ピロー包装機、縦ピロー包装機、製袋包装機等の各種包装機内の検査工程に設置して使用される。
【0016】
本願における包装容器とは、包装袋、上端が開口したトレーと上端開口を被覆するフィルムからなるトレー型樹脂製包装容器、瓶類の他、食品を充填した包装容器に限定されず、例えば医療用輸液を充填した輸液バッグなどの食品以外を充填した包装容器も広く包含される概念である。
【0017】
レーザー式ガス濃度計5は、
図4に示すように、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光Lを受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えている。この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、包装容器Hに対して一面側からレーザー発生部2の先端部とレーザー受光部4の先端部が当接するように構成されているが、これに限定されるものではなく、レーザー発生部2とレーザー受光部4が包装容器Hの両側に対向配置されるように構成されたものも本発明のレーザー式ガス濃度測定装置の範疇に包含される。
【0018】
レーザー式ガス濃度計5は、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子(測定ガス:この実施例では酸素ガス)に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収し、これを測定することによりガス濃度の表示を行なうものである。
【0019】
具体的には、レーザー発生部2の発信器1から発振されるレーザー光Lは、レーザー発生部2の鏡筒部9内を通過して包装容器H内に侵入し、レーザー受光部4の受信器3に受光されるように構成されている。発信器1から発振される特定波長のレーザー光Lは、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。そして、特定波長のレーザー光Lが、包装容器H内に残留している酸素ガスによって吸収されると、レーザー受光部4の受信器3に受光されたレーザー光Lの吸光度に基づいて包装体H内に残留している酸素ガスのガス濃度が測定されるように構成されている。
【0020】
レーザー発生部2は、発信器1から発振されるレーザー光Lの波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部10を有している。制御部10は、半導体レーザー素子(図示しない)から出力されるレーザー光Lの波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光Lが所定の入射光強度で射出されるように増幅制御する。
【0021】
レーザー受光部4は、包装容器Hを透過したレーザー光Lを受光する受信器3と、受信器3からの受光ケーブル11を介する受光信号に基づいてガス濃度を測定する測定部12とを有している。
【0022】
受信器3は、包装容器Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、例えばフォトダイオード(図示略)を有している。これによって、包装容器Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的に処理することができる。
【0023】
測定部12は、透過光強度に係る透過光信号と、発信器1から発振されたレーザー光Lの入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装容器H内の特定ガスの濃度を測定するように構成されている。
【0024】
そして、レーザー発生部2またはレーザー受光部4は、先端部にそれぞれ包装容器Hを吸着可能な第1吸盤部6または第2吸盤部7を有している。これら第1吸盤部6または第2吸盤部7は、レーザー発光部2の先端部やレーザー受光部4の先端部と被測定物(包装容器H)との密着性または密閉性を確保(隙間なく付着させ空気を入れない状態を確保)するために設けられている。
【0025】
具体的には、レーザー発生部2またはレーザー受光部4は、
図4に示すように、鏡筒部9,13の先端部に包装容器Hを吸着可能な第1吸盤部6または第2吸盤部7をそれぞれ有している。これらの第1吸盤部6または第2吸盤部7は、鏡筒部9,13に設けられた吸引穴14,15を備えた連通路16,17と第一真空源20および第二真空源21が連通されることによりそれぞれ吸引可能に構成されている。
【0026】
なお、この実施例のレーザー式ガス濃度計5は、連通路16,17とレーザー経路18,19とがそれぞれ連通しているため、第1吸盤部6または第2吸盤部7による吸引により、レーザー発光部2とレーザー受光部4のレーザー経路18,19内も同様の真空雰囲気下となり測定精度をより高めることができるよう構成されている。
【0027】
また、レーザー発生部2の先端部には、
図4に示すように、発信器1から発振されるレーザー光Lを屈折させてレーザー受光部4の受信器3に受光させるためのレンズ26が設けられている。これにより、発信器1から発振されるレーザー光Lを屈折させて受信器3に対する光軸を調整し、レーザー光Lを受信器3に確実に受光させることができるように構成されている。
【0028】
そして、レーザー発生部2の第1吸盤部6とレーザー受光部4の第2吸盤部7は、
図4または
図6に示すように、センサーヘッド27に取り付けられ、このセンサーヘッド27が往復動機構28により往復動可能に構成されることでレーザー発生部2の第1吸盤部6およびレーザー受光部4の第2吸盤部7が包装容器Hに当接可能に構成されている。このように、レーザー式ガス濃度測定装置Gは、レーザー発生部2の第1吸盤部6およびレーザー受光部4の第2吸盤部7を備えたセンサーヘッド27を往復動機構28により往復動させることで包装容器Hに当接可能であるため、様々な種類の包装容器や包装機に対して汎用的に使用可能で、かつ簡素な構造にて包装容器内のガス濃度を測定できるように構成されている。なお、この実施例の往復動機構28はエアシリンダにて構成されているが、これに限定されるものではなく、センサーヘッド27を往復動させることができるものであればどのようなものでもよく、例えばサーボモータなどでもよい。
【0029】
さらに、この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、
図4または
図5に示すように、第1吸盤部6と第2吸盤部7の配置ラインMの中点Oにて直交するラインN上に設けられた第3吸盤部29および第4吸盤部30を有している。これら第3吸盤部29および第4吸盤部30によって、より確実に包装容器Hを吸着することができ、包装容器H内のガス濃度の測定精度を向上させることができるよう構成されている。第3吸盤部29および第4吸盤部30は、第1吸盤部6と第2吸盤部7と同様、第一真空源20および第二真空源21により吸引可能に構成されている。なお、第1吸盤部6と第2吸盤部7は、
図4ないし
図6に示すように、包装容器Hに対して斜め方向から当接し吸着するが、第3吸盤部29および第4吸盤部30は包装容器Hに対して直交する方向から当接し吸着するように構成されており、第1吸盤部6と第2吸盤部7による吸着を補助し、包装容器Hをより確実に吸着するよう作用する。
【0030】
振動機構8は、第1吸盤部6および第2吸盤部7を包装容器Hの吸着時に振動させるためのものであり、この実施例の振動機構8は、
図6に示すように、異なる真空圧力(真空度)に設定された第一真空源20と第二真空源21を有し、第一真空源20による吸引時に第二真空源21のON・OFFを高速(良好な振動を発生させるためには好ましくは10~100Hz、この実施例では30HzでON・OFFまたは電磁弁を開閉するように設定されている。)で繰り返すことで脈動を発生させ第1吸盤部6および第2吸盤部7を振動させる。
【0031】
具体的には、この実施例の振動機構8は、第一真空源20が第一真空ポンプであり、第二真空源21が第二真空ポンプであり、第一真空ポンプ20を開閉する第一真空電磁弁22と、第二真空ポンプ21を開閉する第二真空電磁弁23とを有し、第一真空電磁弁22を開いて第一真空ポンプ20(例えば-40kPa)にて吸引し、かつ第二真空電磁弁23による開閉を高速で繰り返しながら第二真空ポンプ21(例えば-60kPa)にて吸引することで脈動を発生させ、第1吸盤部6および第2吸盤部7を振動させる。これにより、第1吸盤部6および第2吸盤部7の吸着時に真空圧力に強弱をつけることができ、第1吸盤部6および第2吸盤部7と包装容器Hとの間隙に存在する空気を除去して密着性を向上させることができると共に、包装容器H内の残存酸素等も循環させ包装容器H内のガス濃度の測定精度を向上させることができるよう構成されている。なお、この
図6では包装容器Hが包装袋で表されているが、
図1に示すようにトレー型樹脂製包装容器であってもよい。
【0032】
第一真空ポンプ20、第二真空ポンプ21、第一真空電磁弁22、第二真空電磁弁23、第一真空ポンプ20および第二真空ポンプ21の真空圧力を設定する操作パネル24は、
図6に示すようにPLC25により制御されるように構成されている。
【0033】
なお、真空源は、この実施例のような真空ポンプに限定されるものではなく、吸引可能なものであればどのようなものでもよく、例えばブロワやエジェクタなどであってもよい。また、この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30がセンサーヘッド27の定位置に固定されているが、これに限定されるものではなく、包装容器または包装機に対応して、第1吸盤部6と第2吸盤部7の離隔距離または第3吸盤部29と第4吸盤部30の離隔距離をスライド機構などにより調整可能に構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0034】
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、
図1ないし
図3および
図6に示すように、包装容器Hを順次搬送するコンベア31、第一真空源20、第二真空源21、第一真空電磁弁22、第二真空電磁弁23、操作パネル24、PLC25、往復動機構28、往復動機構28により昇降可能に設けられたセンサーヘッド27およびセンサーカバー(透明性樹脂ボックス)32を有している。そして、コンベア31により順次搬送されてくる包装容器H(トレイ型樹脂製容器等)に対して、センサーヘッド27が往復動機構28により順次降下して包装容器Hの上面に被覆されたフィルムに当接し、振動機構8により第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30にて包装容器Hを吸着しながら振動させることにより包装容器H内のガス濃度(この実施例では酸素濃度)を順次測定するように構成されている。
【0035】
なお、この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置Gは、振動機構8により第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30をすべて振動させるものであるが、第3吸盤部29および第4吸盤部30は別の真空源にて包装容器Hを吸着するように構成され振動機構により振動しないものも本発明の範疇に包含される。
【0036】
(ガス濃度測定試験)
トレー型樹脂製包装容器に空気(酸素濃度21%)を注入して密封した比較例を作成した。他方、同様のトレー型樹脂製包装容器に酸素濃度2.7%の気体を注入して密封して実施例を作成した。
比較例のトレー型樹脂製包装容器に対して、上記レーザー式ガス濃度測定装置Gを用いて第一真空ポンプ20にて真空圧力-40kPaにて吸引し、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30にて包装容器Hを吸着しながら振動させず100回酸素濃度を測定した。他方、実施例のトレー型樹脂製包装容器についても上記レーザー式ガス濃度測定装置Gを用いて第一真空ポンプ20にて真空圧力-40kPaにて吸引し、かつ第二真空電磁弁23による開閉を高速で繰り返しながら第二真空ポンプ21にて-60kPaにて吸引して脈動を発生させ、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30にて包装容器Hを吸着しながら振動させて100回酸素濃度を測定した。
【0037】
(ガス濃度測定結果)
比較例のトレー型樹脂製包装容器に対する100回の酸素濃度の測定結果から
図7に示したグラフを作製した。他方、実施例のトレー型樹脂製包装容器に対する100回の酸素濃度の測定結果から
図8に示したグラフを作製した。
図7および
図8の対比から、比較例のトレー型樹脂製包装容器に対する測定結果の方が測定値に散付き(バラツキ)が発生し測定精度が低く、振動機構8により第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30に振動を与えた実施例の方が測定結果に散付きが小さく測定精度が向上した(測定誤差が0.1%前後から0.05%前後に減少した)ことが確認された。これは振動により第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30と包装容器Hとの間の密着性が向上したことが主因と思われるが、包装容器H内の酸素が循環し均等に分散されたことも一因と推察される。
【0038】
つぎに、
図9に示した本発明のレーザー式ガス濃度測定装置の他の実施例について説明する。
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置と前述したレーザー式ガス濃度測定装置Gとの相違は振動機構の構成のみであり、他はレーザー式ガス濃度測定装置Gと同様である。レーザー式ガス濃度測定装置Gと同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0039】
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置は、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30にて吸引して包装容器Hを吸着するための真空源は真空ポンプ41のみで真空ポンプ41による吸引はPLC25により真空ポンプ41および真空電磁弁42の制御により行われる。そして、この実施例の振動機構40は、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30が取り付けられたセンサーヘッド27にバイブレーター43が設けられ、このバイブレーター43が振動することでセンサーヘッド27が振動し、これに伴って第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30が、真空ポンプ41による吸引中に振動するように構成されている。
【0040】
なお、この実施例のバイブレーター43は、PLC25により振動電磁弁44が制御されることによりバイブレーター43を振動させるエアー式ロータリー型バイブレーターであるが、センサーヘッド27または少なくとも第1吸盤部6および第2吸盤部7を振動させることができるものであればどのような振動装置でもよく、例えばエアー式ピストン型振動機や電気式バイブレーターなどで構成されたレーザー式ガス濃度測定装置も本発明の範疇に包含される。
【0041】
さらに、
図10に示した本発明のレーザー式ガス濃度測定装置の他の実施例について説明する。
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置と前述したレーザー式ガス濃度測定装置Gとの相違も振動機構の構成のみであり、他はレーザー式ガス濃度測定装置Gと同様である。レーザー式ガス濃度測定装置Gと同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0042】
この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置は、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30にて吸引して包装容器Hを吸着するための真空源は真空ポンプ51のみで真空ポンプ51による吸引はPLC25により真空ポンプ51および真空電磁弁52の制御により行われる。
【0043】
そして、この実施例の振動機構50は、上記吸引機構(真空ポンプ51および真空電磁弁52)と、大気と連通する大気連通部54(この実施例では一端側が大気開放されたパイプ55と、パイプ55を開閉するための電磁弁53)とを有している。
【0044】
そして、真空源(真空ポンプ51)による吸引時に大気連通部54の開閉を高速で繰り返すことで脈動を発生させ、第1吸盤部6、第2吸盤部7、第3吸盤部29および第4吸盤部30を振動させるように構成されている。
【0045】
このように、本発明のレーザー式ガス濃度測定装置は2つの異なる圧力を用いて脈動を生起させるために、前述したレーザー式ガス濃度測定装置Gのように、2つの真空源である第一真空源30と第二真空源32を使用するものに限定されず、この実施例のレーザー式ガス濃度測定装置のように、1つの真空源(真空ポンプ51)と大気連通部54とを有し、異なる圧力を真空圧力と大気圧で実現したものも本発明の範疇に包含される。
【0046】
さらに、本発明の包装機の実施例について順次説明する。
図11に示した実施例の包装機Pは、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光Lを受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えたレーザー式ガス濃度計5を有し、レーザー発生部2の先端部には包装容器Hを吸着するための第1吸盤部6が設けられ、レーザー受光部4の先端部には包装容器Hを吸着するための第2吸盤部7が設けられ、第1吸盤部6および第2吸盤部7は包装容器Hの吸着時に振動機構8により振動可能に構成されているレーザー式ガス濃度測定装置Gを備えている包装機である。以下、各構成について説明するがレーザー式ガス濃度測定装置Gについては同一構成であるため同一符号を付し説明を省略する。
【0047】
この包装機Pはロータリー包装機であり、各種包装工程後の下流側アウトラインQにレーザー式ガス濃度測定装置Gが設けられ、コンベア31にて順次搬送されてくる包装容器Hに対して上方よりセンサーヘッド27が昇降して酸素濃度を測定するように構成されている。なお、
図11ではレーザー式ガス濃度測定装置Gのセンサーカバー32、操作パネル24およびPLC25は省略されている。
【0048】
具体的には、この実施例の包装機Pは、ロータリー式ガス充填包装機であり、給袋工程を行う給袋ステーション、賞味期限等の印字工程を行う印字ステーション、包装容器の開口工程を行う開口ステーション、被包装物の充填工程を行う充填ステーション、ノズル挿入及び仮付けシール工程を行う仮シールステーション、ガス置換・モミホグシ工程を行うガス置換ステーション、トップシール工程を行うトップシールステーション、シール冷却工程を行うシール冷却テーションおよび製品排出工程を行う製品排出ステーションの各包装ステーションにて製品(食品)を量産する包装機である。
【0049】
包装機Pの機台60上には、縦向きの間欠回転軸(図示しない)を回転自由に支持したスタンド61が設けられ、その間欠回転軸に取り付けた円盤状回転体62には、包装容器Hを掴着又は釈放するための複数のグリップ対gが等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。そして、これらのグリップ対gに包装容器(包装袋)Hが吊り下げ状に支持されて間欠移動し、各包装ステーションにおいて包装工程が行われるように構成されている。
【0050】
なお、この実施例の包装機Pは、円盤状回転体62を間欠回転駆動させるロータリー式ガス充填包装機であるが、本発明の包装機はこれに限定されるものではなく、公知の直線移動方式またはトラック方式の包装機でもよい。このトラック方式の包装機とは、例えば直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する移動体に多数のグリップ対を直立姿勢または水平姿勢に変換自在に設け、給袋工程で供給される包装容器を各グリップ対に支持して当該包装容器を開口工程、被包装物充填工程、ガス充填工程、袋口のシール工程等の各工程に間欠停止させて被包装物の袋詰めを行うようにした構造のものをいう。
【0051】
図12に示した実施例の包装機P1もロータリー包装機であるが、この実施例の包装機P1と前述した包装機Pとの相違は、包装機Pが製品排出後の下流側アウトラインQにレーザー式ガス濃度測定装置Gが配置されているのに対して、この実施例の包装機P1は、包装工程中の一包装ステーションにレーザー式ガス濃度測定装置G1が配されている点である。包装機Pと同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0052】
具体的には、この実施例の包装機P1は、シール冷却工程を行うシール冷却テーション71と製品排出工程を行う製品排出ステーション73との間に包装容器(包装袋)Hのガス濃度を測定する工程を行うガス濃度測定ステーション72が設けられて、グリップ対gにより吊り下げ状に支持されて順次間欠回転して来る包装容器(包装袋)Hに対して、円盤状回転体62の外側に配置されたレーザー式ガス濃度測定装置G1(
図12中、操作パネル24およびPLC25は省略されており、レーザー式ガス濃度測定装置Gのセンサーカバー32およびコンベア31は備えていないレーザー式ガス濃度測定装置)により、センサーヘッド27が往復動機構28により包装容器(包装袋)Hの側方より内外に移動して、第1吸盤部6および第2吸盤部7が包装容器(包装袋)Hの吸着時に振動機構8により振動して包装容器(包装袋)H内のガス濃度を順次測定するように構成されている。このように本発明のレーザー式ガス濃度測定装置を備えた包装機では、簡素な構造にて包装容器内のガス濃度を測定することができる。
【0053】
図13に示した実施例の包装機P2は横ピロー包装機であり、シート状のフィルムhを送り出して製袋しつつ被包装物Sを当該袋(包装容器)H内に充填し、センターシールした後、底部を順次シールカットして包装する包装機である。この横ピロー包装機P2のセンターシール部81または製品排出部82のいずれかに、レーザー式ガス濃度測定装置G1(
図13中、操作パネル24およびPLC25は省略されており、レーザー式ガス濃度測定装置Gのセンサーカバー32およびコンベア31は備えていないレーザー式ガス濃度測定装置)により、センサーヘッド27が往復動機構28により包装容器(包装袋)Hの上方より昇降して、第1吸盤部6および第2吸盤部7が包装容器(包装袋)Hの吸着時に振動機構8により振動して包装容器(包装袋)H内のガス濃度を順次測定するように構成されている。このように、本発明のレーザー式ガス濃度測定装置を備えた包装機では、横ピロー包装機においても簡素な構造にて包装容器内のガス濃度を測定することができる。
【0054】
図14に示した実施例の包装機P3は縦ピロー包装機であり、シート状のフィルムhを送り出して製袋しつつ被包装物Sをホッパー91より当該袋(包装容器)H内に充填し、底シールおよびカッター部92にてシールカットして包装する包装機であり、この縦ピロー包装機P2の底シールおよびカッター部92または製品排出部93のいずれかに、レーザー式ガス濃度測定装置G1(
図14中、操作パネル24およびPLC25は省略されており、レーザー式ガス濃度測定装置Gのセンサーカバー32およびコンベア31は備えていないレーザー式ガス濃度測定装置)が配されている。そして、底シールおよびカッター部92に配した場合は、
図14に示すように、センサーヘッド27が往復動機構28により包装容器(包装袋)Hの側方より水平方向に往復動して、第1吸盤部6および第2吸盤部7が包装容器(包装袋)Hの吸着時に振動機構8により振動して包装容器(包装袋)H内のガス濃度を順次測定するように構成されている。また、製品排出部93の上方にセンサーヘッド27を配した場合は、センサーヘッド27が往復動機構28により包装容器(包装袋)Hの上方より昇降して、第1吸盤部6および第2吸盤部7が包装容器(包装袋)Hの吸着時に振動機構8により振動して包装容器(包装袋)H内のガス濃度を順次測定するように構成されている。このように、本発明のレーザー式ガス濃度測定装置を備えた包装機では、縦ピロー包装機においても簡素な構造にて包装容器内のガス濃度を測定することができる。