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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000346
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 13/12 20210101AFI20231225BHJP
   G03B 17/52 20210101ALI20231225BHJP
   G03B 17/50 20210101ALI20231225BHJP
【FI】
G03B13/12
G03B17/52 E
G03B17/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099088
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】関澤 宏治
【テーマコード(参考)】
2H018
2H104
【Fターム(参考)】
2H018BA00
2H104BB02
2H104BC02
2H104BC22
2H104CB03
(57)【要約】
【課題】幅の異なる写真フィルムパックを装填することができるとともに、装填された写真フィルムパックの幅に応じてファインダの画枠を変化させることができるカメラ装置を提供する。
【解決手段】カメラ装置1は、X方向に沿って移動可能に構成され、フィルムパック10の-X方向側からフィルムパック10をガイド可能なガイド部材30と、X方向に沿って移動可能に構成され、写真フィルムパック10の+X側からフィルムパック10をガイド可能なガイド部材40と、ガイド部材30,40をX方向において互いに反対側に移動させる移動機構(ラック部33、ラック部43、及びピニオン50)とを備える。ガイド部材30は、X方向に沿って複数のファインダ開口38A,38B,38Cが形成されたファインダ部32を有する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真フィルムパックを出し入れ可能な空間が内部に形成された枠体と、
前記写真フィルムパックの幅方向に沿って移動可能に構成され、前記写真フィルムパックの前記幅方向の一方の側から前記写真フィルムパックをガイド可能な第1のガイド部材と、
前記写真フィルムパックの前記幅方向に沿って移動可能に構成され、前記写真フィルムパックの前記幅方向の他方の側から前記写真フィルムパックをガイド可能な第2のガイド部材と、
前記第1のガイド部材と前記第2のガイド部材とを前記幅方向において互いに反対側に移動させる移動機構と
を備え、
前記第1のガイド部材は、前記幅方向に沿って複数のファインダ開口が形成されたファインダ部を有する、
カメラ装置。
【請求項2】
前記第1のガイド部材は、複数の歯が前記幅方向に沿って並んで形成された第1のラック部をさらに有し、
前記第2のガイド部材は、複数の歯が前記幅方向に沿って並んで形成された第2のラック部を有し、
前記カメラ装置は、前記第1のガイド部材の前記第1のラック部の前記複数の歯及び前記第2のガイド部材の前記第2のラック部の前記複数の歯に噛合するピニオンをさらに備え、
前記移動機構は、前記第1のガイド部材の前記第1のラック部、前記第2のガイド部材の前記第2のラック部、及び前記ピニオンを含む、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記第1のガイド部材の前記第1のラック部の前記複数の歯のピッチと前記第2のガイド部材の前記第2のラック部の前記複数の歯のピッチとは等しい、請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材は、
第1の幅を有する第1の写真フィルムパックの側面をガイドする第1の位置と、
前記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2の写真フィルムパックの側面をガイドする第2の位置と
に移動可能であり、
前記複数のファインダ開口は、
前記第1の写真フィルムパックに対応する第1のファインダ開口と、
前記第2の写真フィルムパックに対応する第2のファインダ開口と
を含み、
前記第1のガイド部材の前記第1のファインダ開口は、前記第1の位置でファインダ窓に整列し、前記第1のガイド部材の前記第2のファインダ開口は、前記第2の位置で前記ファインダ窓に整列するように構成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材を前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれに弾性的に保持可能な保持機構をさらに備える、請求項4に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材は、前記第1の位置で前記枠体に当接するように構成される、請求項4に記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材は、前記第2の位置で前記幅方向において互いに当接するように構成される、請求項4に記載のカメラ装置。
【請求項8】
前記第1のガイド部材又は前記第2のガイド部材とともに前記幅方向に移動可能かつ前記幅方向とは垂直な高さ方向に移動可能なイジェクタ部材をさらに備え、
前記イジェクタ部材は、前記写真フィルムパック中の写真フィルムの縁部に係合する爪部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項9】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材は、それぞれ前記幅方向に移動させるための把手部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に係り、特に写真フィルムパックを出し入れ可能なカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から撮影後に自動的に現像を行うことができる写真フィルムを用いたカメラ、いわゆるインスタントカメラが知られている。このようなインスタントカメラには、複数の写真フィルムを収容したフィルムパックを装填できるようになっている。このようなインスタントカメラ用の写真フィルム及びそのフィルムパックとしては異なる幅を有するものが販売されている。
【0003】
近年では、このような異なる幅のフィルムパックを装填可能なインスタントカメラも開発されているが(例えば、特許文献1参照)、撮影する写真フィルムの幅が変化してもファインダの画枠は一定で変化しない。このため、撮影する写真フィルムの幅が変化した場合に、撮影しようとする写真の構図をユーザが直感的に知ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-231295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、幅の異なる写真フィルムパックを装填することができるとともに、装填された写真フィルムパックの幅に応じてファインダの画枠を変化させることができるカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、幅の異なる写真フィルムパックを装填することができるとともに、装填された写真フィルムパックの幅に応じてファインダの画枠を変化させることができるカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、写真フィルムパックを出し入れ可能な空間が内部に形成された枠体と、上記写真フィルムパックの幅方向に沿って移動可能に構成され、上記写真フィルムパックの上記幅方向の一方の側から上記写真フィルムパックをガイド可能な第1のガイド部材と、上記写真フィルムパックの上記幅方向に沿って移動可能に構成され、上記写真フィルムパックの上記幅方向の他方の側から上記写真フィルムパックをガイド可能な第2のガイド部材と、上記第1のガイド部材と上記第2のガイド部材とを上記幅方向において互いに反対側に移動させる移動機構とを備える。上記第1のガイド部材は、上記幅方向に沿って複数のファインダ開口が形成されたファインダ部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態におけるカメラ装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すカメラ装置の一部を示す分解斜視図である。
図3図3は、図1に示すカメラ装置のフロントカバー、リアカバー、及びトップカバーにより形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。
図4図4は、図3に示す構成要素の分解斜視図である。
図5A図5Aは、最も幅の広いフィルムパックが装填されるときの図3に示す構成要素の位置関係を示す模式正面図である。
図5B図5Bは、2番目に幅の広いフィルムパックが装填されるときの図3に示す構成要素の位置関係を示す模式正面図である。
図5C図5Cは、最も幅の狭いフィルムパックが装填されるときの図3に示す構成要素の位置関係を示す模式正面図である。
図6図6は、撮影前後のイジェクタ部材の状態を示す模式図である。
図7図7は、イジェクタ部材により写真フィルムが持ち上げられた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るカメラ装置の実施形態について図1から図7を参照して詳細に説明する。図1から図7において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図7においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ装置1を示す斜視図である。本実施形態におけるカメラ装置1は、撮影後に自動的に現像が可能な写真フィルムを用いるカメラ(インスタントカメラ)であるが、本発明はこのようなカメラに限らず、複数の写真フィルムを収容した写真フィルムパック(以下、単にフィルムパックという)を装填できるカメラであればどのようなカメラにも適用できるものである。なお、本実施形態では、便宜的に、図1における+Z方向を「前」又は「前方」、-Z方向を「後」又は「後方」、+Y方向を「上」又は「上方」、-Y方向を「下」又は「下方」ということとする。
【0010】
図1に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2と、フロントカバー2の後方に装着されるリアカバー3と、フロントカバー2とリアカバー3とに挟まれるトップカバー4と、カメラ装置1は、フロントカバー2の筒状部2Aの内側に収容されるレンズ鏡筒5とを備えている。フロントカバー2にはファインダ窓6が形成されており、このファインダ窓6に隣接してフラッシュ窓7が配置されている。また、ファインダ窓6の-Y方向側にはレリーズボタン8が配置されている。トップカバー4には、Y方向に延びる排出スリット4Aが形成されており、この排出スリット4Aから撮影後に現像された写真フィルムが排出されるようになっている。また、フロントカバー2の筒状部2Aの近傍には操作ボタン9が配置されており、この操作ボタン9の押下に連動してレンズ鏡筒5が前方に繰り出すようになっている。
【0011】
図2は、カメラ装置1の一部を示す分解斜視図である。図2に示すように、リアカバー3には矩形状の開口3Aが形成されており、この開口3Aの内部にフィルムパック10が装填できるようになっている。リアカバー3には、矩形板状のドア部材12のヒンジ部12Aを回転可能に支持する支持部3Cが設けられており、このリアカバー3の支持部3Cにドア部材12が回転可能に取り付けられている。このヒンジ部12Aを中心としてドア部材12を回転させることで、リアカバー3の開口3Aにアクセスすることができ、フィルムパック10を交換することができるようになっている。本実施形態では、後述するように、3種類の幅の異なるフィルムパック10、すなわち最も幅の広いフィルムパック、2番目に幅の広いフィルムパック、及び最も幅の狭いフィルムパックに交換できるようになっている。なお、本実施形態では、図2におけるX方向を「幅方向」といい、Y方向を「高さ方向」ということとする。
【0012】
図3は、フロントカバー2、リアカバー3、及びトップカバー4により形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。図3に示すように、フロントカバー2、リアカバー3、及びトップカバー4により形成される内部空間には、略直方体状の枠体20が収容されている。この枠体20の内側には上述したフィルムパック10が収容される空間Sが形成されている。上述したレンズ鏡筒5内の光学系を通過した光は、枠体20に形成された矩形開口21を通じて、空間S内のフィルムパック10に収容された写真フィルムに入射するようになっている。
【0013】
図4は、図3に示す構成要素の分解斜視図である。図4に示すように、枠体20の内側の空間Sには、2つのガイド部材30,40と、ピニオン50と、カバープレート52とが収容されている。ガイド部材30,40はそれぞれX方向に移動可能に構成される。
【0014】
ガイド部材30(第1のガイド部材)は、高さ方向に延びる側方ガイド部31と、側方ガイド部31の上端から-X方向に延びるファインダ部32と、側方ガイド部31の下端から+X方向に延びるラック部33(第1のラック部)と、ラック部33の上方で+X方向に延びる下方ガイド部34と、下方ガイド部34から-Y方向に延びる把手部35とを有している。側方ガイド部31の前面には、+Z方向に突出し、Y方向に延びるガイド片36が形成されている。ラック部33の上面には、ピニオン50に噛合する複数の歯33AがX方向に並んで形成されている。また、ラック部33の前面には、+Z方向に突出し、X方向に延びるガイド片37が形成されている。
【0015】
ガイド部材30のファインダ部32には、3つのファインダ開口38A,38B,38Cが形成されている。本実施形形態では、最も+X方向側に位置するファインダ開口38Aの(X方向に沿った)幅が最も大きく、このファインダ開口38Aは、最も幅の広いフィルムパック10の写真フィルムの画枠に対応している。また、最も-X方向側に位置するファインダ開口38Cの幅が最も小さくなっており、このファインダ開口38Cは、最も幅の狭いフィルムパック10の写真フィルムの画枠に対応している。ファインダ開口38Aと38Cとの間に位置するファインダ開口38Bの幅は、ファインダ開口38Aの幅より小さく、ファインダ開口38Cの幅よりも大きくなっており、このファインダ開口38Bは、2番目に幅の広いフィルムパックの写真フィルムの画枠に対応している。図3に示すように、ファインダ部32の前方には、ファインダ窓6(図1参照)に整列した位置にファインダレンズ58が配置されている。また、図2に示すように、このファインダレンズ58の後方のリアカバー3にはファインダ窓3Bが形成されている。
【0016】
ガイド部材40(第2のガイド部材)は、高さ方向に延びる側方ガイド部41と、側方ガイド部41の下端から-X方向に延びるラック部43(第2のラック部)と、ラック部43の上方で-Z方向に延びる下方ガイド部44と、下方ガイド部44から-Y方向に延びる把手部45(図2参照)とを有している。ラック部43の下面には、ピニオン50に噛合する複数の歯43AがX方向に並んで形成されている。また、ラック部43の前面には、+Z方向に突出し、X方向の延びるガイド片47が形成されている。なお、ラック部43に形成されている歯43Aのピッチは、ガイド部材30のラック部33に形成されている歯33Aのピッチと同一である。
【0017】
このように、ガイド部材30のラック部33の歯33Aとガイド部40のラック部43の歯43Aとは共通のピニオン50と噛合しているため、例えば、ガイド部材30が+X方向に移動すると、歯33A,43Aとピニオン50との噛合によりガイド部材40が-X方向に移動するようになっている。すなわち、本実施形態では、ガイド部材30のラック部33、ガイド部材40のラック部43、及びピニオン50が、ガイド部材30,40をX方向において互いに反対側に移動させる移動機構を構成している。
【0018】
図3に示すように、枠体20には、X方向に延びる溝23,24が形成されている。溝23にはガイド部材30のガイド片37が収容され、溝24にはガイド部材40のガイド片47が収容されている。したがって、ガイド部材30,40のガイド片37,47が枠体20の溝23,24にガイドされつつ、ガイド部材30,40がX方向にそれぞれ移動できるようになっている。
【0019】
カバープレート52はX方向の両側にフック部53を有している。このカバープレート52のフック部53が枠体20に形成された係合孔25(図4参照)に係合することでカバープレート52が枠体20に取り付けられ、これによりガイド部材30,40のラック部33,43が枠体20とカバープレート52との間に保持されるようになっている。
【0020】
図4に示すように、枠体20には-X方向に延びる軸部22が形成されており、この軸部22には、外周に歯が形成されたギア54が回転可能に取り付けられている。ギア54はモータ56に連結されており、モータ56の駆動により回転するようになっている。また、ギア54と枠体20との間には、ギア54の回転によりY方向に移動可能な駆動部材60が配置されている。
【0021】
図4に示すように、駆動部材60は、コイルバネ65の一方の端部65Aが係合するバネ係合部61と、+Z方向に延びる係合ピン62と、ギア54に形成されたカム(図4では図示せず)に接触可能なカム接触部63とを有している。コイルバネ65の他方の端部65Bは枠体20のバネ係合部26に係合しており、コイルバネ65によって駆動部材60は-Y方向に付勢された状態となっている。ギア54は、駆動部材60の長孔64を通って-X方向側に突出する枠体20の軸部22に取り付けられている。
【0022】
また、カメラ装置1は、駆動部材60とともにY方向に移動するとともに、ガイド部材30とともにX方向に移動可能なイジェクタ部材70を有している。このイジェクタ部材70は、X方向に延びる第1のガイド部71と、Y方向に延びる第2のガイド部72と、第1のガイド部71と第2のガイド部72との接続部の近傍に形成された爪部73とを有している。第1のガイド部71にはX方向に延びる溝71Aが形成されており、この溝71Aの内部には駆動部材60の係合ピン62が位置している。この駆動部材60の係合ピン62はY方向において第1のガイド部71の溝71Aと係合するようになっており、駆動部材60の係合ピン62がイジェクタ部材70の第1のガイド部71の溝71Aに係合することで、イジェクタ部材70は駆動部材60とともにY方向に移動するようになっている。
【0023】
また、第2のガイド部72にはY方向に延びる溝72Aが形成されており、この溝72Aの内部にはガイド部材30のガイド片36が位置している。このガイド部材30のガイド片36はX方向において第2のガイド部72の溝72Aと係合するようになっており、ガイド部材30のガイド片36がイジェクタ部材70の第2のガイド部72の溝72Aに係合することで、イジェクタ部材70はガイド部材30とともにX方向に移動するようになっている。
【0024】
図5Aから図5Cは、幅の異なるフィルムパックが装填されるときの構成要素の位置関係を示す模式的正面図である。本実施形態におけるカメラ装置1には幅の異なる3種類のフィルムパックを装填できるようになっている。図5Aは、最も幅の広いフィルムパック10Aが装填されるときの位置関係を示し、図5Bは、2番目に幅の広いフィルムパック10Bが装填されるときの位置関係を示し、図5Cは、最も幅の狭いフィルムパック10Cが装填されるときの位置関係を示している。
【0025】
図5Aに示す状態においては、ガイド部材30は-X方向に最大限移動しており、ガイド部材30の側方ガイド部31が枠体20の内壁に当接している。また、ガイド部材40は+X方向に最大限移動しており、ガイド部材40の側方ガイド部41が枠体20の内壁に当接している。したがって、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間のX方向の距離が最大となっており、これらの間に最も幅の広いフィルムパック10Aを装填することができる。
【0026】
ここで、ガイド部材30のラック部33の下面には、図5Aに示すように、所定の間隔で凹部39A,39B,39Cが形成されており、これらの凹部39A,39B,39Cには、図示しない付勢部材によって+Y方向に付勢されるプランジャ51が嵌合するようになっている。このプランジャ51とガイド部材30のラック部33の凹部39A,39B,39Cとは、プランジャ51と凹部39A,39B,39Cのそれぞれとが嵌合する位置にガイド部材30(及びガイド部材40)を弾性的に保持可能な保持機構としての役割を有する。
【0027】
図5Aに示す状態では、プランジャ51は、ラック部33の凹部39Aに嵌合しており、このとき、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間の距離が最も幅の広いフィルムパック10Aを装填できる距離となっている。また、この状態では、ガイド部材30のファインダ部32のファインダ開口38Aが、ファインダレンズ58及びファインダ窓3Bと整列している。
【0028】
図6は、撮影前後のイジェクタ部材70の状態を示す模式的右側面図であり、左側が撮影前及び撮影時の状態、右側が撮影後の状態を示している。図6の左側に示すように、撮影前及び撮影時においては、コイルバネ65の付勢力によって駆動部材60は-Y方向に移動した状態であり、イジェクタ部材70も-Y方向に移動した状態となっている。撮影が終わると、図示しない制御部によりモータ56(図3及び図4参照)が駆動され、ギア54が(図6において反時計回りに)回転する。このギア54にはカム55が形成されており、ギア54が回転すると、カム55が駆動部材60のカム接触部63に接触するようになっている。さらにギア54が回転すると、図6の右側に示すように、カム55によって駆動部材60が+Y方向に押し上げられ、イジェクタ部材70も+Y方向に押し上げられる。イジェクタ部材70の爪部73は、フィルムパック10内の写真フィルムの下縁に係合可能となっており、イジェクタ部材70が+Y方向に押し上げられると、図7に示すように、フィルムパック10内の写真フィルム11がイジェクタ部材70の爪部73に係合して上方に持ち上げられる。持ち上げられた写真フィルム11は図示しないローラの間を通ってトップカバー4の排出スリット4Aから排出される。
【0029】
上述したように、図5Aに示す状態においては、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間に、最も幅の広いフィルムパック10Aを装填することができるが、例えば、この状態から2番目に幅の広いフィルムパック10Bを装填できるようにするためには、カメラ装置1を以下のように操作する。まず、ヒンジ部12Aを中心としてドア部材12(図2参照)を回転させることでリアカバー3の開口3Aを開くことができ、(フィルムパック10Aが装填されている場合はさらにフィルムパック10Aを取り外すことで)図2に示すように、ユーザはガイド部材30,40にアクセス可能となる。
【0030】
この状態でガイド部材30の把手部35及びガイド部材40の把手部45をつまんで、把手部35を+X方向側に、把手部45を-X方向側にそれぞれ移動させる。ガイド部材30のラック部33の歯33A及びガイド部材40のラック部43の歯43Aはそれぞれピニオン50に噛合しており、これらの歯33A,43Aのピッチが同一であるため、ガイド部材30とガイド部材40とは同一の距離だけ移動する。
【0031】
やがて、図5Bに示すように、プランジャ51がラック部33の凹部39Bに嵌合し、ユーザはクリック感を得てガイド部材30,40がこの位置に保持される。このとき、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間の距離が2番目に幅の広いフィルムパック10Bを装填できる距離となっている。したがって、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間に2番目に幅の広いフィルムパック10Bを装着し、ヒンジ部12Aを中心としてドア部材12を回転させることでリアカバー3の開口3Aを閉じることができる。
【0032】
この状態では、ガイド部材30のファインダ部32のファインダ開口38Bが、ファインダレンズ58及びファインダ窓3Bと整列するようになっており、ユーザは、装填した2番目に幅の広いフィルムパック10Bに対応する画枠を通して被写体をファインダ窓3Bから見ることができ、撮影しようとする写真の構図を直感的に把握することができる。
【0033】
また、この状態から最も幅の狭いフィルムパック10Cを装填できるようにするためには、ヒンジ部12Aを中心としてドア部材12を回転させることでリアカバー3の開口3Aを開いてフィルムパック10Bを取り外し、ガイド部材30の把手部35及びガイド部材40の把手部45をつまんで、把手部35を+X方向側に、把手部45を-X方向側にそれぞれ移動させる。やがて、図5Cに示すように、プランジャ51がラック部33の凹部39Cに嵌合し、ユーザはクリック感を得てガイド部材30,40がこの位置に保持される。このとき、ガイド部材30の下方ガイド部34とガイド部材40の下方ガイド部44とがX方向において互いに当接する。このとき、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間の距離が最も幅の狭いフィルムパック10Cを装填できる距離となっている。したがって、ガイド部材30の側方ガイド部31とガイド部材40の側方ガイド部41との間に最も幅の狭いフィルムパック10Cを装着し、ヒンジ部12Aを中心としてドア部材12を回転させることでリアカバー3の開口3Aを閉じることができる。
【0034】
この状態では、ガイド部材30のファインダ部32のファインダ開口38Cが、ファインダレンズ58及びファインダ窓3Bと整列するようになっており、ユーザは、装填した最も幅の狭いフィルムパック10Cに対応する画枠を通して被写体をファインダ窓3Bから見ることができ、撮影しようとする写真の構図を直感的に把握することができる。
【0035】
このように、本実施形態では、ガイド部材30のラック部33、ガイド部材40のラック部43、及びピニオン50によって、ガイド部材30とガイド部材40とを互いに反対側に移動させてガイド部材30とガイド部材40との間の距離を変化させることができるので、枠体20の内部の空間Sに幅の異なるフィルムパック10を装填することが可能である。そして、ガイド部材30とともにファインダ開口38A,38B,38Cも移動するため、装填されるフィルムパック10のフィルムの幅に対応してファインダ開口38A,38B,38Cを形成することで、装填されたフィルムパック10の幅に応じてファインダの画枠を変化させることができる。このため、ユーザは、装填したフィルムパック10に対応する画枠を通して被写体を見ることができ、撮影しようとする写真の構図を直感的に把握することが可能になる。
【0036】
また、ガイド部材30のラック部33の歯33Aのピッチとガイド部材40のラック部43の歯43Aのピッチとが同一であるため、ガイド部材30とガイド部材40とを同一の距離だけ移動させることができる。したがって、異なる幅のフィルムパック10を装填してもフィルムの中心位置が変わらず、光軸のずれによる撮影への影響を抑制することができる。
【0037】
本明細書において使用した用語「上」、「下」、「前」、「後」、「幅方向」、「高さ方向」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において要素間の相対的な関係を特定するために使用されているだけであり、絶対的な位置関係を特定するものではない。したがって、装置の位置や姿勢が変われば、それに応じてこれらの用語が意味する方向も変化することに留意されたい。
【0038】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、幅の異なる写真フィルムパックを装填することができるとともに、装填された写真フィルムパックの幅に応じてファインダの画枠を変化させることができるカメラ装置が提供される。具体的には、本発明に係るカメラ装置は、以下のような構成を採用することができる。
【0039】
(構成1)
カメラ装置は、写真フィルムパックを出し入れ可能な空間が内部に形成された枠体と、上記写真フィルムパックの幅方向に沿って移動可能に構成され、上記写真フィルムパックの上記幅方向の一方の側から上記写真フィルムパックをガイド可能な第1のガイド部材と、上記写真フィルムパックの上記幅方向に沿って移動可能に構成され、上記写真フィルムパックの上記幅方向の他方の側から上記写真フィルムパックをガイド可能な第2のガイド部材と、上記第1のガイド部材と上記第2のガイド部材とを上記幅方向において互いに反対側に移動させる移動機構とを備える。上記第1のガイド部材は、上記幅方向に沿って複数のファインダ開口が形成されたファインダ部を有する。
【0040】
このような構成により、移動機構によって第1のガイド部材と第2のガイド部材とを互いに反対側に移動させて第1のガイド部材と第2のガイド部材との間の距離を変化させることができるので、枠体の内部の空間に幅の異なる写真フィルムパックを装填することが可能である。そして、第1のガイド部材とともにファインダ開口も移動するため、装填される写真フィルムパックのフィルムの幅に対応してファインダ開口を形成することで、装填された写真フィルムパックの幅に応じてファインダの画枠を変化させることができる。このため、ユーザは、装填した写真フィルムパックに対応する画枠を通して被写体を見ることができ、撮影しようとする写真の構図を直感的に把握することが可能になる。
【0041】
(構成2)
上記構成1において、上記第1のガイド部材は、複数の歯が上記幅方向に沿って並んで形成された第1のラック部をさらに有し、上記第2のガイド部材は、複数の歯が上記幅方向に沿って並んで形成された第2のラック部を有していてもよい。上記カメラ装置は、上記第1のガイド部材の上記第1のラック部の上記複数の歯及び上記第2のガイド部材の上記第2のラック部の上記複数の歯に噛合するピニオンをさらに備えていてもよい。上記移動機構は、上記第1のガイド部材の上記第1のラック部、上記第2のガイド部材の上記第2のラック部、及び上記ピニオンを含んでいてもよい。
【0042】
(構成3)
上記構成2において、上記第1のガイド部材の上記第1のラック部の上記複数の歯のピッチと上記第2のガイド部材の上記第2のラック部の上記複数の歯のピッチとは等しいことが好ましい。これらの歯のピッチを同一にすることで、第1のガイド部材と第2のガイド部材とを同一の距離だけ移動させることができるので、異なる幅の写真フィルムパックを装填してもフィルムの中心位置が変わらず、光軸のずれによる撮影への影響を抑制することができる。
【0043】
(構成4)
上記構成1から3のいずれかにおいて、上記第1のガイド部材及び上記第2のガイド部材は、第1の幅を有する第1の写真フィルムパックの側面をガイドする第1の位置と、上記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2の写真フィルムパックの側面をガイドする第2の位置とに移動可能であってもよい。上記複数のファインダ開口は、上記第1の写真フィルムパックに対応する第1のファインダ開口と、上記第2の写真フィルムパックに対応する第2のファインダ開口とを含んでいてもよい。上記第1のガイド部材の上記第1のファインダ開口は、上記第1の位置でファインダ窓に整列し、上記第1のガイド部材の上記第2のファインダ開口は、上記第2の位置で上記ファインダ窓に整列するように構成されていてもよい。このような構成によれば、第1のガイド部材が移動すると、装填される写真フィルムパックのフィルムの幅に対応してファインダの画枠が変化するため、ユーザは、装填した写真フィルムパックに対応する画枠を通して被写体を見ることができ、撮影しようとする写真の構図を直感的に把握することが可能になる。
【0044】
(構成5)
上記構成4において、上記カメラ装置は、上記第1のガイド部材及び上記第2のガイド部材を上記第1の位置及び上記第2の位置のそれぞれに弾性的に保持可能な保持機構をさらに備えていてもよい。
【0045】
(構成6)
上記構成4又は5において、上記第1のガイド部材及び上記第2のガイド部材は、上記第1の位置で上記枠体に当接するように構成されていてもよい。
【0046】
(構成7)
上記構成4から6のいずれかにおいて、上記第1のガイド部材及び上記第2のガイド部材は、上記第2の位置で上記幅方向において互いに当接するように構成されていてもよい。
【0047】
(構成8)
上記構成1から7のいずれかにおいて、上記カメラ装置は、上記第1のガイド部材又は上記第2のガイド部材とともに上記幅方向に移動可能かつ上記幅方向とは垂直な高さ方向に移動可能なイジェクタ部材をさらに備えていてもよい。上記イジェクタ部材は、上記写真フィルムパック中の写真フィルムの縁部に係合する爪部を有することが好ましい。
【0048】
(構成9)
上記構成1から8のいずれかにおいて、上記第1のガイド部材及び上記第2のガイド部材は、それぞれ上記幅方向に移動させるための把手部を有することが好ましい。
【0049】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 カメラ装置
2 フロントカバー
3 リアカバー
3B ファインダ窓
4 トップカバー
5 レンズ鏡筒
6 ファインダ窓
10,10A,10B,10C 写真フィルムパック
11 写真フィルム
12 ドア部材
20 枠体
30 (第1の)ガイド部材
31 側方ガイド部
32 ファインダ部
33 (第1の)ラック部
34 下方ガイド部
35 把手部
36,37 ガイド片
38A,38B,38C ファインダ開口
39A,39B,39C 凹部
40 (第2の)ガイド部材
41 側方ガイド部
43 (第2の)ラック部
44 下方ガイド部
45 把手部
47 ガイド片
50 ピニオン
51 プランジャ
52 カバープレート
54 ギア
55 カム
56 モータ
58 ファインダレンズ
60 駆動部材
62 係合ピン
63 カム接触部
65 コイルバネ
70 イジェクタ部材
73 爪部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7