(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034616
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】キャブ内における電装品取付構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240306BHJP
B60R 1/29 20220101ALI20240306BHJP
【FI】
E02F9/26 C
B60R1/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138992
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 稔志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】三裏 紀子
(72)【発明者】
【氏名】境谷 正則
(72)【発明者】
【氏名】後藤 聡
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】大型化する電装品を効率的かつ効果的にキャブの内部に取り付ける。
【解決手段】キャブ7の電装品取付構造である。キャブ7の第2側面12に設けられたサイドウィンドウ15の内側に電装品ボックス50が取り付けられている。電装品ボックス50は、カメラ22の各々と第1ハーネス71を介して接続された第1動画処理装置31と、第1動画処理装置31と第2ハーネス72を介して接続された第2動画処理装置32とを収容している。第1動画処理装置31が、第2動画処理装置32に対して左右方向に位置をずらした状態で前後方向に並ぶように配置され、その位置ずれによって第1動画処理装置31または第2動画処理装置32の側方に形成されるスペースに、第2ハーネス72が収容されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラが設置されている作業機械が備えるキャブの内部における電装品取付構造であって、
オペレータが着座するシートの左右両側を覆う前記キャブの第1側面および第2側面のうち、前記第1側面にドアで開閉される乗降口が設けられるとともに前記第2側面に設けられたサイドウィンドウの内側に電装品ボックスが取り付けられていて、
前記電装品ボックスが、
前記カメラの各々と第1ハーネスを介して接続された第1動画処理装置と、
前記第1動画処理装置と第2ハーネスを介して接続された第2動画処理装置と、
を収容し、
前記第1動画処理装置が、前記第2動画処理装置に対して左右方向に位置をずらした状態で前後方向に並ぶように配置され、その位置ずれによって前記第1動画処理装置または前記第2動画処理装置の側方に形成されるスペースに、前記第2ハーネスが収容されている、電装品取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電装品取付構造において、
前記第1動画処理装置は、画像分配器からなり、
前記電装品ボックスは、前記第1動画処理装置と第3ハーネスを介して接続された第3動画処理装置を更に収容し、
前記第3動画処理装置が前記第2動画処理装置の下方に配置されている、電装品取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の電装品取付構造において、
前記第1動画処理装置が、前記電装品ボックスの後方側かつ前記第2側面の内面から内方に離れた位置に配置され、
前記第2動画処理装置および前記第3動画処理装置が、前記電装品ボックスの前方側かつ前記第2側面の内面に近接した位置に配置され、
前記スペースが、前記第2側面の内面と前記第1動画処理装置との間に設けられている、電装品取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電装品取付構造において、
前記電装品ボックスは、
前記第2側面に外面が取り付けられるベースプレートと、
前記ベースプレートの内面に被せ付けられるカバーケースと、
を有し、
前記第1動画処理装置が、前記ベースプレートに取り付けられる第1ブラケットを介して固定され、
前記第2動画処理装置および前記第3動画処理装置が、前記ベースプレートの内面に固定され、
前記第2ハーネスまたは前記第3ハーネスが、前記第3動画処理装置の後方位置から、前記ベースプレートの内面と前記第1動画処理装置との間を通るように配索されている、電装品取付構造。
【請求項5】
請求項4に記載の電装品取付構造において、
前記第2動画処理装置の一方の端部に、前記オペレータによって取り扱われる操作部位が設けられていて、
前記第2動画処理装置が、前記操作部位を前方に向けた状態で前記第1動画処理装置の前方に配置されるとともに、前記カバーケースに、前記操作部位を露出させる露出部が設けられている、電装品取付構造。
【請求項6】
請求項5に記載の電装品取付構造において、
前記操作部位を有する前記第2動画処理装置の前端部が、前記露出部を通じて前記電装品ボックスから前方に突出している、電装品取付構造。
【請求項7】
請求項4に記載の電装品取付構造において、
前記電装品ボックスは、前記第3動画処理装置と協働して前記作業機械の動作を制御する制御盤を更に収容し、
前記制御盤が、前記第3動画処理装置の内側面に近接配置されている、電装品取付構造。
【請求項8】
請求項1に記載の電装品取付構造において、
前記サイドウィンドウの内側を横切るように、その前後の窓枠にガード部材が架設され、
前記電装品ボックスが前記ガード部材に取り付けられている、電装品取付構造。
【請求項9】
請求項1に記載の電装品取付構造において、
前記キャブの前面に設けられたフロントウィンドウが開閉可能であるとともに当該フロントウィンドウを開いた時にその一部を収納する収納スペースが前記キャブの上面の内側に設けられていて、
前記電装品ボックスが、前記収納スペースの後部の下側に近接配置されている、電装品取付構造。
【請求項10】
請求項7に記載の電装品取付構造において、
前記第3動画処理装置は、前記ベースプレートに取り付けられる一対の第3ブラケットで挟持することによって前記ベースプレートに固定され、
前記制御盤は、前記一対の第3ブラケットに架設される第4ブラケットに取り付けることによって前記ベースプレートに固定されている、電装品取付構造。
【請求項11】
請求項10に記載の電装品取付構造において、
前記ベースプレートは、前記サイドウィンドウの内側に取り付けるための複数の締結部を有し、
前記第4ブラケットは、板面の中央部分に所定の作業用開口が開口した板状の部材からなり、
前記締結部の少なくとも1つが、前記作業用開口と対向する箇所に位置している、電装品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、油圧ショベルなどの作業機械が備えるキャブの内部における電装品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業機械では、キャブ(箱形の運転室)を備える機種が多い。作業機械を運転するオペレータは、キャブ内のシートに着座し、前窓を通じてキャブ前方の作業状況を確認しながら、操作レバーや走行ペダル等を操作する。
【0003】
キャブの内部には、操作レバーや走行ペダル等の操作装置に加え、モニターやスイッチなどの入出力装置、エアコンや音響機器などの付属装置といった、オペレータが直接取り扱うことのある各種装置が、シート周辺の前後左右に設置されている。
【0004】
それに対し、キャブの側面の一方(通常は左側)には、ドアで開閉される乗降口が設置されており、オペレータはその乗降口を通じてキャブに乗り降りする。また、キャブの前後左右には、オペレータの作業視野を確保するために、大きな窓が設置されている。
【0005】
従って、オペレータの乗降や作業視野を妨げないようにするために、キャブの内部で上述したような装置を設置できる場所は限られる。キャブが小さい機種では尚更である。
【0006】
それに対し、電気通信技術の進歩により、キャブ内に設置される電子機器が増加している。これら電子機器の設置場所の確保が難しくなってきており、様々な工夫が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、横に延びた複数の桟が取り付けられている格子窓が、乗降口が無い方のキャブの側面に設けられていて、その桟の間に盗難防止用装置を取り付けた建設機械が開示されている。その建設機械によれば、暗証番号等の入力操作が容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、動画が撮像できるカメラの小型化・低下価格化が進み、オペレータの視野をサポートしたり周辺環境の異常を検知したりするために、作業機械にも多数のカメラが設置されるようになってきている。それに付随して、ディスプレイとともに、各カメラの画像データを分配する画像分配器、画像を処理する画像処理装置、画像を記憶する画像記憶装置などの、画像データを取り扱う電子機器もキャブの内部に設置されることから、その設置場所の確保が問題となりつつある。
【0010】
動画の画像データはデータ量が多く、その処理量も多い。高画質化に伴い、データ量や処理量の増加に拍車がかかり、画像データを取り扱う電子機器の大型化は避けられない。従って、キャブの内部、特にオペレータが操作し易い場所にそのような電子機器を設置すると、オペレータの作業や視野の邪魔になり易い。
【0011】
更に、カメラが多いとこれらを接続するケーブル量も多くなり、その配索や接続も容易でない。特に、作業機械の場合、キャブは、機械本体に後付けされる場合が多いため、これら電子機器とケーブルとを接続する作業負担も増加する。
【0012】
開示する技術の目的は、かかる課題に対応するものであり、大型化するこの種の電装品を効率的かつ効果的にキャブの内部に取り付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示する技術は、複数のカメラが設置されている作業機械が備えるキャブの内部における電装品取付構造に関する。
【0014】
オペレータが着座するシートの左右両側を覆う前記キャブの第1側面および第2側面のうち、前記第1側面にドアで開閉される乗降口が設けられるとともに前記第2側面に設けられたサイドウィンドウの内側に電装品ボックスが取り付けられている。前記電装品ボックスが、前記カメラの各々と第1ハーネスを介して接続された第1動画処理装置と、前記第1動画処理装置と第2ハーネスを介して接続された第2動画処理装置と、を収容している。
【0015】
そして、前記第1動画処理装置が、前記第2動画処理装置に対して左右方向に位置をずらした状態で前後方向に並ぶように配置され、その位置ずれによって前記第1動画処理装置または前記第2動画処理装置の側方に形成されるスペースに、前記第2ハーネスが収容されている。
【0016】
すなわち、この電装品取付構造によれば、キャブの第2側面の内側に、電装品ボックスが取り付けられている。そして、その電装品ボックスに、複数のカメラと第1ハーネスを介して接続された第1動画処理装置と、第1動画処理装置と第2ハーネスを介して接続された第2動画処理装置とが収容されている。
【0017】
動画処理装置は比較的サイズが大きいので、これらを収容する電装品ボックスも大きくならざるを得ない。それに対し、電装品ボックスは、乗降口の無い第2側面の内側に取り付けられるので、設置の自由度が比較的高く、オペレータの邪魔になり難い箇所に設置できる。
【0018】
そして、第1動画処理装置は、第2動画処理装置に対して左右方向に位置をずらした状態で前後方向に並ぶように配置されていて、その位置ずれによって第1動画処理装置または第2動画処理装置の側方に形成されるスペースに、第2ハーネスが収容されている。
【0019】
それにより、第2ハーネスが長く、嵩張る状態であっても効率的に配索できる。電装品ボックスの前後方向および左右方向の双方の大きさを抑制できる。サイズの大きな電装品を効率的かつ効果的にキャブの内部に取り付けることができる。従って、オペレータは快適に操作できる。
【0020】
前記第1動画処理装置は、画像分配器からなり、前記電装品ボックスは、前記第1動画処理装置と第3ハーネスを介して接続された第3動画処理装置を更に収容し、前記第3動画処理装置が前記第2動画処理装置の下方に配置されている、としてもよい。
【0021】
更にサイズの大きな電装品が1つ増えても、このように配置すれば、電装品ボックスの前後方向および左右方向の双方の大きさを抑制できる。
【0022】
前記第1動画処理装置が、前記電装品ボックスの後方側かつ前記第2側面の内面から内方に離れた位置に配置され、前記第2動画処理装置および前記第3動画処理装置が、前記電装品ボックスの前方側かつ前記第2側面の内面に近接した位置に配置され、前記スペースが、前記第2側面の内面と前記第1動画処理装置との間に設けられている、としてもよい。
【0023】
そして、前記電装品ボックスは、前記第2側面に外面が取り付けられるベースプレートと、前記ベースプレートの内面に被せ付けられるカバーケースと、を有し、前記第1動画処理装置が、前記ベースプレートに取り付けられる第1ブラケットを介して固定され、前記第2動画処理装置および前記第3動画処理装置が、前記ベースプレートの内面に固定され、前記第2ハーネスまたは前記第3ハーネスが、前記第3動画処理装置の後方位置から、前記ベースプレートの内面と前記第1動画処理装置との間を通るように配索されている、としてもよい。
【0024】
そうすれば、第2ハーネスまたは第3ハーネスが長くても、最適な状態で迂回させることができる。これらハーネスの過度な曲げを防止でき、ハーネスの断線等のトラブルを抑制できる。
【0025】
前記第2動画処理装置の一方の端部に、前記オペレータによって取り扱われる操作部位が設けられていて、前記第2動画処理装置が、前記操作部位を前方に向けた状態で前記第1動画処理装置の前方に配置されるとともに、前記カバーケースに、前記操作部位を露出させる露出部が設けられている、としてもよい。
【0026】
そうすれば、操作部位がカバーケースから露出するので、第2動画処理装置の操作性に優れる。
【0027】
前記操作部位を有する前記第2動画処理装置の前端部が、前記露出部を通じて前記電装品ボックスから前方に突出している、としてもよい。
【0028】
そうすれば、操作部位が視認し易くなるし、扱い易くなる。従って、更に操作性が向上する。
【0029】
前記電装品ボックスは、前記第3動画処理装置と協働して前記作業機械の動作を制御する制御盤を更に収容し、前記制御盤が、前記第3動画処理装置の内側面に近接配置されている、としてもよい。
【0030】
通常、制御盤は、その電気配線の都合上、先に作業機械の本体に接続されている。従って、このように配置することで、第3動画処理装置を取り付けた後に制御盤を取り付けることができるので、組み付け作業性に優れる。
【0031】
前記サイドウィンドウの内側を横切るように、その前後の窓枠にガード部材が架設され、前記電装品ボックスが前記ガード部材に取り付けられている、としてもよい。
【0032】
そうすれば、ガード部材を電装品ボックスの支持部材として兼用でき、効率的である。ガード部材を変更するだけで、既存のキャブにも適用できる。従って、実用化も容易である。
【0033】
前記キャブの前面に設けられたフロントウィンドウが開閉可能であるとともに当該フロントウィンドウを開いた時にその一部を収納する収納スペースが前記キャブの上面の内側に設けられていて、前記電装品ボックスが、前記収納スペースの後部の下側に近接配置されている、としてもよい。
【0034】
そうすれば、電装品ボックスが大きくても、フロントウィンドウの開閉操作の邪魔になり難い。オペレータと接触し難くできるし、オペレータに圧迫感を与え難くできる。
【0035】
前記第3動画処理装置は、前記ベースプレートに取り付けられる一対の第3ブラケットで挟持することによって前記ベースプレートに固定され、前記制御盤は、前記一対の第3ブラケットに架設される第4ブラケットに取り付けることによって前記ベースプレートに固定されている、としてもよい。
【0036】
そうすれば、協働する第3動画処理装置および制御盤を、安定した状態で効率的にベースプレートに固定できる。
【0037】
前記ベースプレートは、前記サイドウィンドウの内側に取り付けるための複数の締結部を有し、前記第4ブラケットは、板面の中央部分に所定の作業用開口が開口した板状の部材からなり、前記締結部の少なくとも1つが、前記作業用開口と対向する箇所に位置している、としてもよい。
【0038】
そうすれば、電装品ボックスの軽量化とともに、組み付け作業性に優れる。取り付け位置の自由度が高まるので、電装品ボックスに求められる支持強度を十分に確保できる。
【発明の効果】
【0039】
開示する技術によれば、画像処理関連の電装品を効率的かつ効果的にキャブの内部に取り付けることができる。従って、オペレータは快適に操作できるし、電装品の組付け作業性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】開示する技術を適用した油圧ショベルを示す概略図である。
【
図3】キャブの内部を左側方から見た概略図である。
【
図4】電装品ボックスの内部構造を簡略的に示す分解図である。
【
図7】電装品ボックスの組み付け過程を説明するための図である。
【
図8】電装品ボックスの組み付け過程を説明するための図である。
【
図9】電装品ボックスの組み付け過程を説明するための図である。
【
図10】電装品ボックスの組み付け過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、開示する技術について説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎない。説明で用いる前後、左右、および上下の方向は、作業機械の標準的な姿勢におけるものであり、各図において矢印で示す。また、キャブを基準に内外の方向を用いる場合もある。
【0042】
<作業機械>
図1に、開示する技術を適用した油圧ショベル1(作業機械の一例)を示す。油圧ショベル1は、大略、下部走行体2と、その上に搭載された上部旋回体3とで構成されている。なお、
図1の上側の図は上方から見た図であり、下側の図は、矢印で示す方向から見た図である(以下同様)。
【0043】
下部走行体2は、その左右の各々に、前後方向に自在に回転する一対のクローラ2a,2aを有している。各クローラ2aの回転を操作することで、油圧ショベル1は前進、後退、旋回等自在に走行する。なお、この機種は下部走行体2の前側に排土板2bを備えるが、排土板2bは必須ではない。
【0044】
上部旋回体3は、基台4、アタッチメント5、機械室6、キャブ7などを備える。基台4は、旋回ベアリング8を介して下部走行体2に旋回自在に支持されており、この基台4の上にアタッチメント5、キャブ7、機械室6が設置されている。
【0045】
アタッチメント5は、上部旋回体3の前部における車幅方向に中間部位に設置されている。アタッチメント5は、ブーム、アーム、バケットなどで構成されているが、その構造は周知である。従って、ここではブーム5aの一部のみを図示する。ブーム5aは、一対の縦板によって軸支されており、ブームシリンダ5bの伸縮制御によって起伏動作するように構成されている。
【0046】
機械室6は、上部旋回体3の後部に設置されている。機械室6には、エンジン、油圧ポンプ等の駆動装置が収容されている。上部旋回体3の右側部には、燃料タンク、作動油タンクなどが設置されている。機械室6の後端部には、アタッチメント5との間で前後のバランスを確保するために、カウンタウエイト9が設けられている。
【0047】
(キャブ)
キャブ7は箱形の運転室であり、上部旋回体3の左側の前隅部に設置されている。
図2に、キャブ7の前面を省略することにより、キャブ7の内部を前方から見た概略図を示す。
図3に、キャブ7の左側面を省略することにより、キャブ7の内部を左側方から見た概略図を示す。
【0048】
キャブ7の内部には、オペレータが着座するシート10が配置されており、その前後、左右両側、および、上側は、キャブ7の前面、後面、左側面、右側面、および上面の各々によって覆われている、オペレータがキャブ7に乗り降りするために、
図1に示すように、キャブ7の左側面11(第1側面)には、ドアで開閉される乗降口11aが設けられている。キャブ7の右側面12(第2側面)は、アタッチメント5に隣接している。
【0049】
キャブ7の周囲には、オペレータの良好な作業視野を確保するためにウィンドウが設けられている。具体的には、
図1に示すように、キャブ7の左側面11には、ドアに設けられたドアウィンドウ13と、パネルに設けられたサブウィンドウ14とが設けられている。
【0050】
図2に示すように、キャブ7の後面にはリアウィンドウ16が設けられている。
図3に示すように、キャブ7の右側面12には、サイドウィンドウ15がシート10の側方に拡がるように設けられている。そして、キャブ7の前面には、特に大きいウィンドウが設けられている。すなわち、キャブ7の前面の大部分は、縦長な矩形のフロントウィンドウ17によって構成されている。
【0051】
この機種の場合、
図3に示すように、フロントウィンドウ17は、その上下方向に2分されており、上窓17aおよび下窓17bで構成されている。下窓17bはキャブ7に固定されているが、上窓17aは開閉可能である。キャブ7の上面の内側には、フロントウィンドウ17を開いた時に上窓17aを収納する前窓収納部18(収納スペースに相当)が設置されている。
【0052】
図2、
図3に示すように、キャブ7の内部におけるシート10の左右および前側の領域には、オペレータが操作する操作機器が密集した状態で設置されている。例えば、シート10の前方には、一対の走行レバー19,19が設置されている。シート10の左右両側には、コンソールボックス20が設置されており、それらの前端上部には操作レバー21が設けられている。
【0053】
空調機、ディスプレイなどもシート10の周囲に設置されている。そして、開示する技術に関連した電装品ボックス50が、シート10の右側における斜め後上方の位置に配置されているが、これについては後述する。
【0054】
(カメラ)
この油圧ショベル1には、複数のカメラ22が設置されている。
図1に示すように、上部旋回体3の後部の3箇所に、動画を撮影するカメラ22が設置されている。
【0055】
詳細には、油圧ショベル1には、上部旋回体3の後部における右側、左側、および後側の各々に、カメラ22が設置されている。なお、カメラ22の個数および配置は、一例であり、仕様に応じて適宜選択できる。
【0056】
この油圧ショベル1は、運転中は常時、これらカメラ22で動画を撮影し、その動画を利用して適切に作業が行えるように構成されている。例えば、これらカメラ22で撮影される映像は、オペレータの操作に応じて、適宜、ディスプレイに表示させることができる。更に、この油圧ショベル1の場合、より高度な画像処理が行えるように構成されている。
【0057】
すなわち、この油圧ショベル1には、画像処理を行う複数の電装品が装備されている。具体的には、第1動画処理装置31、第2動画処理装置32、および第3動画処理装置33が、油圧ショベル1に装備されている。これら電装品31,32,33は、その保護の観点から、通常、キャブ7の内部に設置される。
【0058】
しかし、動画はデータ量が多く、その処理量も多い。そのため、これら電装品31,32,33は、サイズの大きいものが多く、オペレータが操作し易い場所に設置すると、オペレータの作業や視野の邪魔になり易い。
【0059】
更に、カメラ22が多いとこれらを接続する電気配線も多くなり、その配索や接続も容易でない。特に、油圧ショベル1の場合、キャブ7は、上部旋回体3に後付けされる場合が多いため、これら電装品31,32,33とカメラ22とを接続する作業負担も増加する。
【0060】
そこで、この油圧ショベル1では、このような課題に対応するべく、複数の電装品を効率的かつ効果的にキャブ7の内部に取り付けられるように、電装品取付構造が工夫されている。
【0061】
<電装品取付構造>
上述した複数の動画処理装置31,32,33が、1つの電装品ボックス50に、集積した状態でユニット化(サブアッセンブリ)されていて、その電装品ボックス50が、キャブ7の右側面12の内側の所定位置に取り付けられている。
【0062】
電装品ボックス50は、複数の動画処理装置31,32,33を収容しているので、ある程度大きなサイズとなることは避けられない。そのような電装品ボックス50を、限られたキャブ7の内部スペースに効率的かつ効果的に配置するために、サイドウィンドウ15の保護ガードが利用されている。
【0063】
すなわち、
図3に示すように、サイドウィンドウ15の内側を横切るように、その前後の窓枠にガード部材40が架設されている。保護ガードは、通常、上下方向に間隔を空けて配置される桟で構成されている。ガード部材40は、その桟の代用品となるように、横長なプレート状の部材で構成されている。
【0064】
ガード部材40は、前側の窓枠に取り付けられる前端部41と、取付ブラケット42を介して、後側の窓枠に取り付けられる後端部43とを有している(
図9参照)。後端部43の前側に隣接した部分に、電装品ボックス50が取り付けられる取付部44が設けられている。取付部44よりも前側には、横長な窓開口45aが形成された桟状部45が設けられている。
【0065】
それにより、
図2、
図3に示すように、電装品ボックス50は、シート10に対して、右側の斜め上後方の位置、詳細にはシート10のヘッドレスト10aの側方に位置するように構成されている。この位置に電装品ボックス50を配置することで、オペレータとの接触を回避でき、オペレータに圧迫感を与え難くできる。
【0066】
更に、この油圧ショベル1の場合、キャブ7の上面の内側には、前窓収納部18が設置されている。電装品ボックス50は、その前窓収納部18の後部の下側に近接するように配置されている。フロントウィンドウ17の開閉操作は、主にシート10の前方で行われるので、電装品ボックス50がフロントウィンドウ17の開閉操作の邪魔になることもない。
【0067】
電装品ボックス50の前側にある桟状部45には、窓開口45aが形成されているので、桟と同様の作業視野を確保できる。ガード部材40は、保護ガードと電装品ボックス50の支持部材を兼用し、部材点数を削減できる。
【0068】
(電装品ボックスの内部構造)
図4に、電装品ボックス50の内部構造を簡略的に示す。上述したように、電装品ボックス50には、第1動画処理装置31、第2動画処理装置32、および第3動画処理装置33が、集積した状態で収容されている。更に制御盤34も収容されている。そして、これら装置がユニット化(サブアッセンブリ)されている。
【0069】
電装品ボックス50は、ベースプレート51と、カバーケース52とを有している。ベースプレート51は、矩形板状の金属部材からなり、その外面が取付部44に取り付けられるように構成されている。具体的には、ベースプレート51の所定の4箇所に、取付部44に取り付けるためのベース締結部51a(締結部)が設けられている。
【0070】
カバーケース52は、箱形の樹脂成形品からなり、ベースプレート51の内面に被せ付けるように構成されている。カバーケース52の後下隅部には、ハーネス70を導出する配索開口部52aが設けられている。カバーケース52の前下隅部には、上向きに凹む凹部52bが形成されている(
図10参照)。凹部52bにより、オペレータへの圧迫感をよりいっそう与え難くできる。
【0071】
この油圧ショベル1における第1動画処理装置31は、画像分配器である。第1動画処理装置31は、各カメラ22で撮影される動画の画像データを受信して第2動画処理装置32および第3動画処理装置33の各々に送信する。第2動画処理装置32は、ドライブレコーダなどの画像データを記憶する装置である。第2動画処理装置32は、第1動画処理装置31から送信される各カメラ22で撮影された動画を記憶する。
【0072】
第3動画処理装置33は、画像データを解析する装置である。第3動画処理装置33は、第1動画処理装置31から送信される各カメラ22で撮影された動画を解析し、その解析結果に基づいて制御信号を出力する。電装品ボックス50は、油圧ショベル1の動作を制御する制御盤34も収容する。第3動画処理装置33は、この制御盤34に制御信号を出力する。
【0073】
それにより、第3動画処理装置33と制御盤34とが協働して油圧ショベル1の動作を制御する。例えば、上部旋回体3の後方を撮影した画像データの解析から、人の接近が判断された場合には、油圧ショベル1の後方への移動を制限したり上部旋回体3の後方への旋回を制限したりする。
【0074】
第1動画処理装置31は、横長なブロック状の形状を有し、第1ブラケット61を介して、ベースプレート51の内面から内方に離れた位置に固定されている。
【0075】
第1ブラケット61は、第1動画処理装置31を取り付けた板状の台部61aと、台部61aの上縁から外方に張り出す上鍔部61bと、台部61aの下縁の後端部から外方に張り出す下鍔部61cとを有している。これら上鍔部61bおよび下鍔部61cの各々の3箇所に、第1締結部62が設けられている。ベースプレート51の上後隅部に、これら第1締結部62の配置に対応した第1締結受部51bが設けられている。
【0076】
各第1締結部62を、その各々に対応した各第1締結受部51bに第1ボルトB1を締結することにより、第1動画処理装置31および第1ブラケット61は、ベースプレート51の上後隅部における内面から内方に離れた位置に固定されている。
【0077】
第2動画処理装置32は、直方体形状を有する装置本体32aと、装置本体32aの後端部から導出された複数のケーブル32bとを有している。
図5に、第2動画処理装置32を具体的に示す。
【0078】
装置本体32aの前端部には、オペレータによって取り扱われる操作部位が設けられている。すなわち、第2動画処理装置32には、図示はしないが、その操作を行うリモコンが別途付設されている。装置本体32aの前端部には、そのリモコンから送信される信号を受信する受信部32cが設けられている。
【0079】
また、装置本体32aは、メモリカード(記憶メディアの一例)が着脱可能に構成されており、装置本体32aの前端部には、そのメモリカードを出し入れするためのスロット32dが、開閉可能なカバーで覆われた状態で設けられている(
図7参照)。
【0080】
第2動画処理装置32は、3つの動画を受信するため、録画用と録音用(RおよびL)からなる3本のデータ入力用のケーブル32bを、少なくとも3セット分、有している。第2動画処理装置32はまた、電力供給用のケーブル32bも有している。通常、録音は行わないので、データ入力用のケーブル32bは録画用のみが使用される。
【0081】
これらケーブル32bは、本数が多いうえに、不要なケーブル32bを含む。そのため、第2動画処理装置32の組み付け時には、不要なケーブル32bは束ね、必要なケーブル32bを容易に識別できるように調整する必要がある。更には、電装品ボックス50に、これら嵩張るケーブル32bの束を収容するスペースを確保する必要がある。
【0082】
第2動画処理装置32は、その操作部位を有する前端部を前方に向けた状態で、第1動画処理装置31の前方であるベースプレート51の上前隅部に配置される。そうして、第2動画処理装置32は、ベースプレート51の内面に近接した位置に固定されている(
図7参照)。
【0083】
カバーケース52には、操作部位を露出させる露出部52cが設けられている。それにより、操作部位(受信部32cおよびスロット32d)は、露出部52cを通じて電装品ボックス50から前方に突出するように配置されている(
図10参照)。
【0084】
第3動画処理装置33は、第1動画処理装置31や第2動画処理装置32よりも大きく、扁平な直方体状の形状を有している。その厚みは第2動画処理装置32の厚みと略同じである。第3動画処理装置33は、第2動画処理装置32の下方に並ぶように、ベースプレート51の下部に配置されている(
図7参照)。
【0085】
第3動画処理装置33は、一対の第3ブラケット63,63によってその前後が挟持された状態で、ベースプレート51の内面に近接した位置に固定されている。第3ブラケット63の各々は、第3動画処理装置33の前端部および後端部に沿って上下方向に延びる金属部材からなる。
【0086】
各第3ブラケット63の内外の縁には、フランジ部63aが設けられていて、U形状またはL形状の横断面を有している。各第3ブラケット63は、それらフランジ部63aを第3動画処理装置33とは逆向きにした状態で、第3動画処理装置33を挟持している。
【0087】
制御盤34は、第3動画処理装置33よりも大きい扁平な直方体の形状を有している。制御盤34は、第3動画処理装置33の内側面に近接配置されている。具体的には、制御盤34は、一対の第3ブラケット63,63に架設される第4ブラケット64に取り付けることによってベースプレート51に固定されている。
【0088】
なお、
図4には図示していないが、電装品ボックス50の組み付け作業の時には、制御盤34は、上部旋回体3に配索された第4ハーネス74に接続された状態となっている。
【0089】
第4ブラケット64は、板状の金属部材からなり、その板面の中央部分には、所定の作業用開口64aが開口している。第4ブラケット64の所定の4箇所には、第4締結部64bが設けられている。一対の第3ブラケット63,63には、これら第4締結部64bに対応した4箇所に第4締結受部63bが設けられている。各第4締結部64bを、その各々に対応した各第4締結受部63bに第4ボルトB4を締結することにより、第4ブラケット64は一対の第3ブラケット63,63に架設されている。
【0090】
制御盤34の上下の側面における両端部には、第5締結部34aが設けられている。第4ブラケット64には、これら第5締結部34aに対応した4箇所に第5締結受部64cが設けられている。各第5締結部34aを、その各々に対応した各第5締結受部64cに第5ボルトを締結することにより、制御盤34は第4ブラケット64に固定されている。
【0091】
(ハーネス)
第1動画処理装置31、第2動画処理装置32、および第3動画処理装置33は、所定のハーネス70を介して複数のカメラ22と接続されている。
【0092】
図6に、そのハーネス70の外観を示す。ハーネス70は、3つのカメラ22の各々と第1動画処理装置31とを接続する第1ハーネス71と、第1動画処理装置31と第2動画処理装置32とを接続する第2ハーネス72と、第1動画処理装置31と第3動画処理装置33とを接続する第3ハーネス73とを含む。
【0093】
第1動画処理装置31は、第1ハーネス71、第2ハーネス72、および、第3ハーネス73と接続されており、画像データが送受信される。そのため、第2ハーネス72や第3ハーネス73の分岐部位までは、電磁気から保護するためにシールド処理を施す必要があり、ある程度の長さが要求される。
【0094】
それにより、第2ハーネス72は、第1動画処理装置31から下方に離れた位置で分岐せざるを得ない。第2ハーネス72は、その分岐部位から第2動画処理装置32まで、所定の長さを確保する必要がある。
【0095】
それに対し、この電装品取付構造では、上述したように、第1動画処理装置31が、第2動画処理装置32に対して左右方向(この例示では左方向)に位置をずらした状態で前後方向(この例示では後方向)に並ぶように配置されている。そして、その位置ずれによって第1動画処理装置31または第2動画処理装置32の側方に形成されるスペースに、第2ハーネス72が収容されている(
図8参照)。
【0096】
従って、所定の長さを有する第2ハーネス72を効率的に配索できる。電装品ボックス50の前後方向および左右方向の双方の大きさを抑制できる。
【0097】
更に、ケーブル32bと接続された第2ハーネス72は、ベースプレート51の内面と第1動画処理装置31との間を通って旋回するように配索されている。従って、所定の長さを有する第2ハーネス72を最適な状態で迂回させることができる。第2ハーネス72等の過度な曲げを防止でき、第2ハーネス72等の断線等のトラブルを抑制できる。
【0098】
(電装品ボックスの組み付け)
油圧ショベル1の製造工程において、キャブ7は、上部旋回体3に後付けされるのが一般的である。それに対し、カメラ22や制御盤34およびそれに接続されるハーネス70は、組み付け作業の都合上、上部旋回体3に組み付けられている。
【0099】
すなわち、第1ハーネス71と、制御盤34および第4ハーネス74は、上部旋回体3に予め組み付けられている。対して、キャブ7の内部に装備される電装品ボックス50や第1動画処理装置31等は、後付けされる。
【0100】
そのため、この電装品取付構造では、効率的に電装品ボックス50や第1動画処理装置31等が組み付けられるように、これらの構造が工夫されている。
図7~
図10に、電装品ボックス50の組み付け作業の過程を示す。
【0101】
まず、電装品ボックス50の主要部分については、事前に組み付けられる(いわゆるサブアッセンブリ)。具体的には、
図7の(a)に示すように、ベースプレート51に第2動画処理装置32が取り付けられる。このとき、不要なケーブル32bは束ねられていて、接続が必要なケーブル32bだけが導出されている。
【0102】
第2動画処理装置32は、ベースプレート51の上前隅部に配置されるので、これらケーブル32bの束は、ベースプレート51の上側の中間部に確保されるスペースに収容される。そして、
図7の(b)に示すように、一対の第3ブラケット63,63で挟持した第3動画処理装置33をベースプレート51に取り付ける。このとき、第3動画処理装置33は、第2動画処理装置32と上下方向に並ぶように配置されるので、これら動画処理装置32,33のベースプレート51からの高さ、つまり内方への突出量を抑制できる。
【0103】
そうして、
図7の(c)に示すように、ハーネス70をベースプレート51に取り付ける。そして、第2ハーネス72を第2動画処理装置32に接続し、第3ハーネス73を第3動画処理装置33に接続する。このとき、上述したように、所定の長さを有する第2ハーネス72と嵩張るケーブル32bの束は、過剰な曲げ負荷を加わることなくコンパクトに収容できるように、旋回するように配索されている。
【0104】
次に、
図8の(d)に示すように、第1動画処理装置31を第1ブラケット61に取り付けた状態で、ベースプレート51に取り付ける。このとき、第1動画処理装置31は、ベースプレート51の内面から内方に離れた位置に固定されるので、第1動画処理装置31は、第2動画処理装置32に対して左方向に位置をずらした状態で後方向に並ぶように配置される。
【0105】
その位置ずれにより、第2動画処理装置32の左側方と、第1動画処理装置31の右側方、つまりベースプレート51の内面と第1動画処理装置31との間には、スペースが形成される。これらのスペースに、第2ハーネス72が収容される。従って、所定の長さを有する第2ハーネス72を効率的に配索できる。電装品ボックス50の前後方向および左右方向の双方の大きさを抑制できる。
【0106】
そうして、
図8の(e)に示すように、第4ブラケット64を取り付ける。ハーネス70が上部旋回体3に接続されているため、上部旋回体3の周囲で作業しなければならない点を除けば、これら作業は、上旋回体の組み付けやキャブ7の組み付けの作業から独立して行える。従って、組み付け作業性に優れる。ケーブル32bの束およびハーネス70の主要部は第4ブラケット64によって覆われるので、引っ掛かり等のトラブルを抑制できる。
【0107】
続いて、サブアッセンブリによって組み立てられた電装品ユニット(アッシー)を、上部旋回体3に組み付けたキャブ7に取り付ける。
図9の(f)に、キャブ7に取り付けられているガード部材40を、内方から見た図を示す。上述したように、ガード部材40は、サイドウィンドウ15の内側に架設されている。
【0108】
図9の(g)に示すように、組み付けた電装品ユニットを取付部44に取り付ける。上述したように、ベースプレート51には、4つのベース締結部51aが設けられている。取付部44には、
図9の(f)に示すように、これらベース締結部51aに対応した4箇所にベース締結受部44aが設けられている。
【0109】
各ベース締結部51aを、その各々に対応した各ベース締結受部44aにボルトを締結することにより、電装品ユニットは取付部44に固定される。このとき、1つのベース締結受部44aは第4ブラケット64に覆われてしまう位置にあるが、作業用開口64aと対向する箇所に位置している。従って、作業用開口64aを通じて支障無くボルトを締結することができる。
【0110】
そうした後、
図10の(h)に示すように、制御盤34および第4ハーネス74を取り付ける。制御盤34および第4ハーネス74は、先に上部旋回体3に接続されているが、制御盤34は、電装品ユニットに対して最後に取り付けられるので、簡単に取り付けることができる。
【0111】
ハーネス70は、ベースプレート51と第4ブラケット64との間のスペースに収容されていることから、制御盤34の取付作業の邪魔になることもない。後は、
図10の(i)に示すように、ベースプレート51にカバーケース52を取り付ける。
【0112】
このように、この電装品取付構造によれば、画像処理関連の電装品31,32,33を効率的かつ効果的にキャブ7の内部に取り付けることができる。従って、オペレータは快適に操作できるし、電装品31,32,33の組付け作業性にも優れる。
【0113】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、動画処理装置の種類や構造は一例である。その内容は、作業機械の仕様に応じて適宜変更できる。
【0114】
第3動画処理装置33や制御盤34は必須でない。従って、これらが無い場合には、
図11に示すように、これらおよびその取り付けに必要な部材を省略できる。それにより、電装品ボックス50は、より小型化でき、コンパクトにできる。
【0115】
第1動画処理装置31の厚み(左右方向の大きさ)は比較的小さいため、実施形態では、電装品ボックス50を上下方向に小さくするために、第1動画処理装置等31の下部は、第4ブラケット64と左右方向に重なるように配置した。しかし、第1動画処理装置31の厚みが大きい場合には、第4ブラケット64を重ならないように下方にずらしてもよい。そうすれば、上下方向の大きさは僅かに増加するが、左右方向の大きさについては抑制できる。
【符号の説明】
【0116】
1 油圧ショベル(作業機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 基台
5 アタッチメント
6 機械室
7 キャブ
10 シート
11 第1側面
12 第2側面
15 サイドウィンドウ
17 フロントウィンドウ
17a 上窓
17b 下窓
18 前窓収納部
22 カメラ
31 第1動画処理装置
32 第2動画処理装置
32c 受信部(操作部位)
32d スロット(操作部位)
33 第3動画処理装置
34 制御盤
40 ガード部材
42 取付ブラケット
50 電装品ボックス
51 ベースプレート
52 カバーケース
61 第1ブラケット
63 第3ブラケット
64 第4ブラケット
70 ハーネス
71 第1ハーネス
72 第2ハーネス
73 第3ハーネス