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特開2024-34620射出成形機の画面表示装置、および射出成形機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034620
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】射出成形機の画面表示装置、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240306BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138997
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】大谷 愛
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL09
4F206JP27
4F206JP30
4F206JQ88
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】成形サイクルにおける消費電力の削減を検討することができる射出成形機の画面表示装置を提供する。
【解決手段】射出成形機(1)の画面表示装置(4、4a)を対象とする。画面表示装置(4、4a)には、電力関連物理量が表示される表示画面(70、80)を備えるようにする。電力関連物理量は、成形サイクルを構成する各工程において消費される電力に関連する物理量である。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力関連物理量が表示される表示画面を備え
前記電力関連物理量は、成形サイクルを構成する各工程において消費される電力に関連する物理量である、射出成形機の画面表示装置。
【請求項2】
前記電力関連物理量は、前記物理量を工程毎に集計した工程別物理量集計値である、請求項1に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項3】
前記表示画面において、最新の成形サイクルにおける前記電力関連物理量である最新電力関連物理量と、過去の特定の回の成形サイクルにおける前記電力関連物理量である比較対象電力関連物理量とが表示される、請求項1または2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項4】
前記工程別物理量集計値は、工程において射出成形機で消費される電力量である工程別消費電力量になっている、請求項2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項5】
前記表示画面には、前記電力関連物理量がグラフ表示されるようになっている、請求項1または2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項6】
前記表示画面には、前記最新電力関連物理量と前記比較対象電力関連物理量とが同じ工程毎にまとめられてグラフ表示されるようになっている、請求項3に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項7】
前記工程別消費電力量は、各工程において運転されるサーボモータについての消費電力量であるサーボモータ電力量になっている、請求項4に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項8】
前記サーボモータ電力量は、前記サーボモータの駆動によって部材に与えられる仕事量と、前記サーボモータにおけるスイッチング損失の電力量と、から構成され、
前記サーボモータ毎に仕事量とスイッチング損失の電力量とが別々に前記表示画面に表示される、請求項7に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項9】
前記表示画面には、工程毎の前記工程別物理量集計値を累積した状態で示す帯グラフが表示されるようになっている、請求項2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項10】
前記帯グラフには射出成形機において回生される回生電力量が表示される、請求項9に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項11】
前記帯グラフには射出成形機に供給される再生エネルギーが表示される、請求項10に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項12】
前記工程別物理量集計値は工程の実施時間である、請求項2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項13】
前記表示画面には、前記工程別物理量集計値が数値データとして表示される、請求項2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項14】
前記表示画面には、前記電力関連物理量として各工程において運転されるサーボモータの消費電力がグラフ表示される、請求項1に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項15】
前記表示画面には、前記電力関連物理量に関連する成形条件の設定データが表示される、請求項1または2に記載の射出成形機の画面表示装置。
【請求項16】
金型を型締する型締装置と、
前記金型に射出材料を射出する射出装置と、
前記型締装置と前記射出装置とを制御すると共に画面を表示するようになっている画面表示装置と、を備え、
前記画面表示装置は、電力関連物理量が表示される表示画面を備え、
前記電力関連物理量は、成形サイクルを構成する各工程において消費される電力に関連する物理量である、射出成形機。
【請求項17】
前記電力関連物理量は、前記物理量を工程毎に集計した工程別物理量集計値である、請求項16に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機において各種の表示画面を表示するようになっている画面表示装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は各種装置から構成され、これらはサーボモータで駆動されるようになっている。射出成形機にはコンバータとインバータとが設けられており、工場から供給される三相交流電力はコンバータにより直流電力に変換される。そして直流電力はインバータにより所望の周波数で所望の電流の三相交流電流に変換されサーボモータに供給される。これにより射出成形機を構成する各種装置が駆動される。このように射出成形機はサーボモータにおいて電力が消費される。さらに射出成形機には射出装置にヒータが設けられ、ヒータにおいても電力が消費される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3088403号公報
【0004】
特許文献1には、繰り返し動作を実施する射出成形機等の機械において、繰り返しの1サイクルにおける消費電力を検出し、これを表示、印刷する消費電力表示装置が提案されている。この文献によると消費電力は、サーボモータ、ヒータ等の電力を消費する要素、すなわち電力消費要素毎に検出し、これを表示するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、電力消費要素毎に消費電力を検出・表示したり、消費電力の合計を表示したりすることはできる。しかしながら、これを射出成形機に適用したとしても、射出成形機において消費電力の削減につながる情報は十分に得られない。射出成形機における成形サイクルは複数の工程から構成されているが、これら各工程における消費電力がわからないと、消費電力を削減するためのヒントが得られないからである。
【0006】
本開示において、成形サイクルにおける消費電力の削減を検討することができる射出成形機の画面表示装置を提供する。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、射出成形機の画面表示装置を対象とする。画面表示装置には、電力関連物理量が表示される表示画面を備えるようにする。電力関連物理量は、成形サイクルを構成する各工程において消費される電力に関連する物理量である。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、成形サイクルにおける消費電力の削減を容易に検討することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る射出成形機を示す正面図である。
図2】第1の実施形態に係る射出成形機における、サーボモータへの電力供給系統図である。
図3】第1の実施形態に係る射出成形機の制御装置において実施される各種処理を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る射出成形機の画面表示装置に表示される電力関連物理量表示画面である。
図5】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面のサブウィンドウである。
図6A】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面であり、工程別消費電力量をグラフ表示する画面である。
図6B】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、工程別消費電力量を数値データ表示する画面である。
図6C】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、工程別消費電力量をグラフ表示および数値データ表示する画面である。
図6D】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、工程別実施時間をグラフ表示する要素画面である。
図6E】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、成形サイクル消費電力量を帯グラフにて示す要素画面である。
図6F】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、サーボモータ電力量を数値表示する要素画面である。
図6G】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、サーボモータ電力量を数値表示する要素画面である。
図6H】第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、サーボモータ消費電力をグラフ表示する要素画面である。
図7】サーボアンプにおいて発生するスイッチング損失を示すグラフである。
図8】第2の実施形態に係る射出成形機の画面表示装置に表示される電力関連物理量表示画面である。
図9A】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面であり、工程別消費電力量をグラフ表示する画面である。
図9B】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、工程別消費電力量を数値データ表示する要素画面である。
図9C】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、工程別実施時間をグラフ表示する要素画面である。
図9D】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、成形サイクル消費電力量を帯グラフにて示す要素画面である。
図9E】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、サーボモータ電力量を数値表示する要素画面である。
図9F】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、サーボモータ電力量を数値表示する要素画面である。
図9G】第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される要素画面の変形例であり、サーボモータ消費電力をグラフ表示する要素画面である。
図10】第3の実施形態に係る射出成形機の画面表示装置に表示される電力関連物理量表示画面である。
図11A】第3の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される成形条件変更支援画面であり、成形条件検討支援画面である。
図11B】第3の実施形態に係る電力関連物理量表示画面に表示される成形条件変更支援画面の変形例であり、成形条件変更項目表示画面である。
図12】変形例に係る電力関連物理量表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0012】
[第1の実施形態]
<射出成形機>
第1の実施形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、型締装置2と、射出装置3と、突出装置すなわちEJ装置5、等を備えている。射出成形機1はコントローラつまり制御装置4を備えており、型締装置2、射出装置3、EJ装置5等は、制御装置4によって制御されるようになっている。制御装置4にはモニタ4aが設けられており、各種画面が表示されるようになっている。つまり制御装置4とモニタ4aは射出成形機1における画面表示装置になっている。
【0013】
<型締装置>
型締装置2は、ベッドBに固定されている固定盤7と、ベッドB上をスライド自在に設けられている可動盤8と、型締ハウジング9と、を備えている。固定盤7と型締ハウジング9は複数本のタイバー11、11、…により連結されており、可動盤8は固定盤7と型締ハウジング9の間でスライド自在になっている。型締ハウジング9と可動盤8の間には型締機構が、すなわち本実施の形態においてはトグル機構13が設けられている。固定盤7と可動盤8には、それぞれ固定側金型15、可動側金型16が設けられている。従って、トグル機構13を駆動すると金型15、16が型開閉される。なお、成形品を突き出すEJ装置5は、可動盤8に設けられている。
【0014】
<射出装置>
射出装置3は、加熱シリンダ19と、加熱シリンダ19内に設けられているスクリュ20と、スクリュ駆動装置22と、を備えている。加熱シリンダ19はスクリュ駆動装置22に支持されており、スクリュ20はスクリュ駆動装置22によって回転方向と軸方向とに駆動されるようになっている。加熱シリンダ19にはホッパ23と、射出ノズル24とが設けられている。加熱シリンダ19には、複数のヒータ25、25、…が設けられている。
【0015】
射出装置3を前進させて射出ノズル24を固定側金型15にタッチさせる。制御装置4からの指令によりヒータ25、25、…に電力を供給して加熱シリンダ19を加熱し、ホッパ23から射出材料を供給してスクリュ20を回転する。そうすると、射出材料が溶融し、スクリュ20の先端に送られる。すなわち計量される。射出材料が計量されたら、制御装置4の指令によりスクリュ駆動装置22を制御してスクリュ20を軸方向に駆動する。そうすると射出材料がスクリュ20の前進に伴って前方に押し出される。すなわち、射出材料が金型15、16に射出される。
【0016】
<電力供給系統>
第1の実施形態に係る射出成形機1は、サーボモータによって駆動されるようになっている。電力供給の系統を説明する。第1の実施形態に係る射出成形機1には、図2に示されているように、コンバータ30が設けられている。コンバータ30は工場の三相交流電源31に接続されていると共に、射出成形機1内に設けられている直流電圧線33に接続されている。直流電圧線33には、複数個のインバータつまりサーボアンプ35、36、37、38、…が接続されている。そしてそれぞれのサーボアンプ35、36、37、38、…には、サーボモータ41、42、43、44、…が設けられている。つまり射出軸サーボモータ41、可塑化軸サーボモータ42、型開閉軸サーボモータ43、EJ軸サーボモータ44、…である。
【0017】
三相交流電源31からの三相交流電力はコンバータ30によって直流電力に変換され直流電圧線33に供給される。そして直流電力はサーボアンプ35、36、37、38、…によって所望の周波数所望の電流の三相交流電力に変換されて、それぞれのサーボモータ41、42、…に供給される。これによってサーボモータ41、42、43、44、…が駆動される。またサーボモータ41、42、43、44、…においては回生電力が回生されサーボアンプ35、36、37、38、…によって直流電力に変換される。本実施の形態においてコンバータ30はPWMコンバータからなるので、回生電力を三相交流電源31側に戻すことができる。
【0018】
これらのサーボアンプ35、36、37、38、…には、それぞれ電流を測定する電流センサ46、47、48、49、…が設けられサーボモータ41、42、43、44、…に供給される電流が検出されるようになっている。またサーボモータ41、42、43、44、…には、ロータリエンコーダ51、52、53、54、…が設けられ、これらによってサーボモータ41、42、43、44、…の回転数が検出されるようになっている。電流および回転数は制御装置4(図1参照)に送られるようになっている。
【0019】
<制御装置>
モニタ4aを備えた制御装置4は、前記したように画面表示装置になっており、後で詳しく説明するように、消費電力に関連する色々な物理量つまり電力関連物理量を表示する画面を備えている。制御装置4には、図3に示されているように、電力関連物理量を測定・集計する各種プログラム、すなわち各種処理が設けられている。電力計算部60と、工程別消費電力量計算部61と、実施時間測定部62である。
【0020】
電力計算部60は、各サーボモータ41、42、43、44、…において消費される電力、ヒータ25、25、…において消費される電力等、射出成形機1において消費される電力を個別に計算する。具体的にはサーボモータ41、42、43、44、…については、電流センサ46、47、48、49、…で測定される電流と、ロータリエンコーダ51、52、53、54、…によって検出される回転数とから、それぞれにおいて消費される電力を計算する。例えば、電力はサーボモータ41、42、43、44、…がする仕事率として計算することができ、
電力=2・π・トルク・回転数/60
によって計算する。トルクは電流から計算することができる。
【0021】
そして後で説明するように、サーボアンプ35、36、37、38、…におけるスイッチングにより発生するスイッチング損失の電力を計算する。ヒータ25、25、…については供給する電流と電圧とから消費電力を計算する。これら計算した個別の電力を、成形サイクル毎に、電力関連物理量履歴ファイル65に逐次保存する。
【0022】
工程別消費電力量計算部61は、電力計算部60が計算したサーボモータ41、42、43、44、…毎の消費電力、ヒータ25、25、…における消費電力を入力とし、これらから工程別消費電力量を計算する。成形サイクルは、型閉工程、射出工程、保圧工程、計量工程等、複数の工程から構成されているが、工程毎に消費電力を集計し、すなわち積算し、消費電力量とする。これが工程別消費電力量である。工程別消費電力量計算部61はサーボモータ41、42、43、44、…毎に、そしてヒータ25、25、…について、それぞれ工程別消費電力量を計算し、電力関連物理量履歴ファイル65に保存する。なお、工程別電力消費量は、消費電力に関連する物理量である電力について、成形サイクルを構成する各工程において集計した集計値になっている。本明細書において、このような集計値を工程別物理量集計値と呼ぶことにする。
【0023】
実施時間測定部62は、成形サイクルを構成している工程毎に、それらの実施時間を測定する。つまり型閉工程の開始から終了までの時間、射出工程の開始から終了までの時間、等を測定する。これら各工程の実施時間は、電力関連物理量履歴ファイル65に保存する。工程毎の実施時間は、工程毎の消費電力と密接に関係している。例えば計量工程では計量工程の実施時間が長いほどスクリュの駆動に電力を消費する。したがって、工程毎の実施時間も消費電力に関連する物理量についての、工程別の集計値であると言える。すなわち工程別の実施時間も工程別物理量集計値になっている。なお、工程別消費電力量、工程別の実施時間のような工程別物理量集計値も、瞬時値としての消費電力も、いずれも電力関連物理量に含まれる。
【0024】
電力関連物理量履歴ファイル65には、電力計算部60が計算した各種の電力、工程別消費電力量計算部61が集計した工程別消費電力量、そして実施時間測定部62が測定した工程別の実施時間が保存されるが、保存するデータ量は自由に設定してよい。例えば、各種電力は瞬時値として保存する必要があるので、比較的大量のデータ領域を消費する。したがって、数回の成形サイクル分だけ保存する、という対応が可能である。一方、工程別消費電力量、工程別の実施時間は集計値あるいは積算値が保存されるので、比較的消費されるデータ領域は少ない。したがって、数ヶ月分の成形サイクルのデータを保存するようにできる。あるいは、データの種類によらずに一定の成形サイクル回数だけ保存するようにしてもよい。いずれにしても保存するデータ量は自由に設定すればよい。
【0025】
<電力関連物理量表示画面>
第1の実施形態に係る射出成形機1は、成形サイクルを構成する各工程に関して、電力関連物理量を画面表示する点に特徴がある。オペレータは、成形サイクルの各工程における電力関連物理量を確認することによって、消費される電力量の削減につながる成形条件の見直しを検討することができる。このような電力関連物理量が表示される電力関連物理量表示画面70が、図4に示されている。
【0026】
電力関連物理量表示画面70には、比較対象成形サイクル選択ボタン77と、要素画面表示領域71とが設けられている。要素画面表示領域71には、後で説明するが図6Aで示されている工程別消費電力量の要素画面80が表示されるようになっている。後で説明するように、工程別消費電力量の要素画面80には、最新の成形サイクルにおける工程別消費電力量だけでなく、比較対象として特定の回の成形サイクルにおける工程別消費電力量も表示されるようになっている。本明細書において、最新の成形サイクルにおける電力関連物理量を最新電力関連物理量と呼び、比較対象としての特定の回の成形サイクルにおける電力関連物理量を比較対象電力関連物理量と呼ぶ。したがって、最新の成形サイクルにおける工程別消費電力量は最新電力関連物理量に含まれ、比較対象としての特定の回の成形サイクルにおける工程別消費電力量は比較対象電力関連物理量に含まれる。
【0027】
電力関連物理量表示画面70において比較対象成形サイクル選択ボタン77をクリックすると、図5に示されている比較対象成形サイクル選択サブウィンドウ78が表示される。ここで比較対象として指定する特定の回の成形サイクルを選択する。前回の成形サイクルとするか、あるいは日時を指定して特定時刻の成形サイクルとするか、いずれかを選択することができる。図5においては、比較対象の特定の回として前回の成形サイクルが選択されている様子が示されている。
【0028】
<要素画面-工程別消費電力量(グラフ)>
第1の実施形態において電力関連物理量表示画面70(図4参照)の要素画面表示領域71には、図6Aに示されている工程別消費電力量の要素画面80が表示される。工程別消費電力量の要素画面80には、成形サイクルを構成する各工程に関して工程別消費電力量が棒グラフで表示されている。各工程において棒グラフは符号81、82、81、82、…で示されているように上下に2本が並べられて表示されている。上のグラフ81、81、…が最新の成形サイクルにおける工程別消費電力量を、そして下のグラフ82、82、…が比較対象の成形サイクルにおける工程別消費電力量をそれぞれ示している。つまり最新電力関連物理量と比較対象電力関連物理量とが示されている。
【0029】
最新の電力関連物理量と、比較対象としての過去の特定の回の成形サイクルにおける電力関連物理量とを比較することによって、オペレータは消費電力量を削減するためのヒントを得ることができるようになっている。なお、この要素画面においてグラフ表示される工程別消費電力量は、サーボモータ41、42、43、44、…(図2参照)における消費電力量つまりサーボモータ電力量だけとすることもできる。しかしながら、本実施の形態においてはサーボモータ電力量とヒータ25、25、…(図1参照)の消費電力量とを加算した工程別消費電力量が表示されている。
【0030】
<第1の実施形態の変形例1 要素画面-工程別消費電力量(数値)>
第1の実施形態において、工程別消費電力量の要素画面80‘は、図6Bに示されているように数値データ表示に変形することができる。各工程における電力量が数値データで表示されるので、正確に消費電力量を把握することができる。なお、変形例1に係る工程別消費電力量の要素画面80‘は、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1において表示されるので、射出成形機1についての説明は省略する。
【0031】
<第1の実施形態の変形例2 要素画面-工程別消費電力量(グラフ、数値)>
第1の実施形態において、工程別消費電力量の要素画面80は、図6Cに示されているように変形することもできる。図6Cに示されている変形例2に係る工程別消費電力量の要素画面80‘’は、棒グラフ81、82、81、82、…の後ろに、符号125、125で示されているように、電力量が数値データとして表示されている。つまり、グラフ表示と数値データとが両方表示されている。グラフ表示によって直感的に電力量を把握でき、そして数値データ表示によって正確に電力量を知ることができる。
【0032】
<第1の実施形態の変形例3 要素画面-工程別実施時間>
第1の実施形態において、電力関連物理量表示画面70(図4参照)の要素画面表示領域71に表示する要素画面を変形することができる。図6Dには変形例3として表示される工程別実施時間の要素画面85が示されている。変形例3についても、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1の電力関連物理量表示画面70に表示されるので、射出成形機1に関する説明は省略する。
【0033】
工程別実施時間の要素画面85には、成形サイクルを構成する各工程に関して工程の実施時間が棒グラフで示されている。それぞれの工程において棒グラフは符号86、87、86、87、…で示されているように、太さの異なる2本が重ねられた状態で示されている。細いグラフ86、86、…は最新の成形サイクルにおける工程別実施時間であり、太いグラフ87、87、…は比較対象の成形サイクルの工程別実施時間になっている。つまり最新電力関連物理量と比較対象電力関連物理量である。
【0034】
<第1の実施形態の変形例4 要素画面-成形サイクル消費電力量>
図6Eには変形例4として電力関連物理量表示画面70(図4参照)に表示される、成形サイクル消費電力量の要素画面89が示されている。変形例4についても、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1の電力関連物理量表示画面70に表示されるので、射出成形機1に関する説明を省略する。成形サイクル消費電力量の要素画面89には、成形サイクルを構成する各工程における工程別消費電力量が加算された帯グラフが表示されている。これによって成形サイクル全体における消費電力量が一目で確認でき、消費電力量を削減するための成形条件の見直しのヒントが得られることになる。左のグラフは比較対象の成形サイクルにおける成形サイクル消費電力量であり、右のグラフは最新の成形サイクルにおける成形サイクル消費電力量になっている。つまり比較対象電力関連物理量と最新電力関連物理量である。
【0035】
なお、これらの成形サイクル消費電力量の帯グラフには、回生エネルギー91と再生エネルギー92とが含まれている。回生エネルギー91はサーボアンプ35、36、37、38、…(図2参照)から回生された電力量である。回生電力量Pは、サーボアンプ35、36、37、38、…を流れる電流をdq変換したd軸電流Iがマイナス値のとき計算できる。すなわちd軸電流Iと、相電圧実効値Vと、コンバータ30(図2参照)における力率とから計算し、例えば力率が1の場合次式で得られる。
P=√3×V×I
【0036】
再生エネルギー92は、射出成形機1(図1参照)が設置されている工場に供給されている電力量であって、風力発電、地熱発電、太陽発電等、の電力量である。再生エネルギー92は、制御装置4(図1参照)においてオペレータにより手入力されるようになっており、参考データとして表示されている。なお、再生エネルギー92は手入力の代わりに、上位コンピュータ等から通信によりデータを受け取るようにしてもよい。
【0037】
図6Eに示されている成形サイクル消費電力量の要素画面89は帯グラフによってグラフ表示されているので、帯の全体の長さによって成形サイクル全体における消費電力量が容易に理解されるようになっている。これを帯グラフではなく他の種類のグラフ、例えば円グラフ等によって表示することもできる。円グラフによって表示する場合には、円の大きさによって成形サイクル全体における消費電力量の大きさを表現することができる。
【0038】
<第1の実施形態の変形例5 要素画面-サーボモータ電力量>
図6Fには変形例5として電力関連物理量表示画面70(図4参照)に表示されるサーボモータ電力量の要素画面95が示されている。変形例5についても、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1の電力関連物理量表示画面70に表示されるので、射出成形機1に関する説明を省略する。サーボモータ電力量の要素画面95には、成形サイクルを構成する各工程におけるサーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…の消費電力量、すなわちサーボモータ電力量が数値データで表示されている。符号96、96、…は最新の成形サイクルにおけるサーボモータ電力量を、そして符号97、97、…が比較対象の成形サイクルにおけるサーボモータ電力量をそれぞれ示している。つまり最新電力関連物理量と比較対象電力関連物理量とが示されている。
【0039】
<第1の実施形態の変形例6 要素画面-サーボモータ電力量>
図6Gには変形例5の変形である変形例6として電力関連物理量表示画面70(図4参照)に表示される、サーボモータ電力量の要素画面95‘が示されている。変形例6についても、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1の電力関連物理量表示画面70に表示されるので、射出成形機1に関する説明を省略する。サーボモータ電力量は、サーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…(図2参照)が回転することによって射出成形機1(図1参照)を構成する部材に与える仕事量と、サーボアンプ35、36、37、38、…のスイッチングによって生じるスイッチング損失(SW損失)の電力量とからなる。これらがそれぞれ数値データ表示されている。
【0040】
サーボモータ電力量の要素画面95‘を見て、オペレータがスイッチング損失について大きいと判断した場合には、成形条件を見直して成形サイクルを短くすることを検討することができる。しかしながら、成形サイクルの短縮化によってもスイッチング損失の減少を見込めない場合には、射出成形機1(図1参照)のメーカにサーボアンプ35、36、37、38、…の機種の変更について依頼することも可能である。サーボアンプ35、36、37、38、…は機種によってスイッチング損失の大きさが異なるからである。サーボモータ電力量の要素画面95‘を見て、オペレータが特定のサーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…について、仕事量が大きいと判断することもある。その場合には、対象のサーボモータ41、42,43、44、…の速度が小さくなるような成形条件を検討することができる。
【0041】
なお、サーボアンプ35、36、37、38、…におけるスイッチング損失の電力は、図7のグラフ98で示されているように、サーボアンプ35、36、37、38、…を流れる電流の実効値Imの関数で与えることができる。第1の実施形態の変形例4においては、スイッチング損失の電力を図7のグラフ98に基づいて計算で得、これを積算してスイッチング損失の電力量としている。
【0042】
<第1の実施形態の変形例7 要素画面-消費電力グラフ>
図6Hには変形例7として電力関連物理量表示画面70(図4参照)に表示される消費電力の要素画面100が示されている。変形例7についても、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1の電力関連物理量表示画面70に表示されるので、射出成形機1に関する説明を省略する。
【0043】
消費電力の要素画面100には、成形サイクルにおいて、各サーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…(図2参照)の消費電力が折れ線グラフによって表示されている。消費電力は工程における集計値ではないので工程別物理量集計値ではない。しかしながら電力関連物理量であり、オペレータに対する参考情報として有益である。なお、各サーボモータ41、42,43、44、…の消費電力は、上段が比較対象成形サイクルにおける、そして下段が最新の成形サイクルにおける、それぞれの消費電力になっている。つまり、比較対象電力関連物理量と最新電力関連物理量とが示されている。
【0044】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、射出成形機についてみると、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1と同様に構成されている。第2の実施形態において第1の実施形態と異なっているのは、図8に示されている電力関連物理量表示画面70Aと、この画面に表示される要素画面だけである。したがって、第2の実施形態に関して射出成形機についての説明を省略する。以下、第2の実施形態に係る射出成形機も射出成形機1として説明する。
【0045】
<電力関連物理量表示画面>
第2の実施形態に係る射出成形機1は、電力関連物理量を画面する表示として図8に示されている電力関連物理量表示画面70Aを備えている。以下に説明するように、第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70Aでは、比較対象電力関連物理量の表示はされず、最新電力関連物理量のみ表示されるようになっている。したがって、図4によって説明した第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70に設けられていた、比較対象成形サイクル選択ボタン77は設けられていない。図8に示されている第2の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70Aには、要素画面表示領域71のみが割り当てられている。
【0046】
<要素画面-工程別消費電力量(グラフ)>
第2の実施形態において電力関連物理量表示画面70Aの要素画面表示領域71には、図9Aに示されている工程別消費電力量の要素画面80Aが表示される。工程別消費電力量の要素画面80Aには、成形サイクルを構成する各工程に関して工程別消費電力量が棒グラフで表示されている。工程別消費電力量は、最新の成形サイクルにおけるにものだけ、つまり最新電力関連物理量が示されている。なお、図6Cにおいて第1の実施形態の変形例1を説明したように、この図9Aに示されている第2の実施形態に係る工程別消費電力量の要素画面80Aでも、グラフ表示と並行して工程別消費電力量を数値データ表示するようにしてもよい。
【0047】
<第2の実施形態の変形例1 要素画面-工程別消費電力量(数値)>
第2の実施形態において、電力関連物理量表示画面70A(図8参照)の要素画面表示領域71に表示する要素画面を変形することができる。図9Bには変形例1として表示される工程別消費電力量の要素画面80A‘が示されている。工程別実施時間の要素画面85A’
は、各工程における電力量が数値データで表示されるので、正確に消費電力量を把握することができる。なお、第1の実施形態の変形例2で説明した工程別消費電力量の要素画面80‘’(図6C参照)と同様に、グラフ表示と数値データ表示とを表示するように変形することもできる。
【0048】
<第2の実施形態の変形例2 要素画面-工程別実施時間>
第2の実施形態において、電力関連物理量表示画面70A(図8参照)の要素画面表示領域71に表示する要素画面を変形することができる。図9Cには変形例2として表示される工程別実施時間の要素画面85Aが示されている。工程別実施時間の要素画面85Aには、成形サイクルを構成する各工程に関して工程の実施時間が棒グラフで示されている。ただし符号86、86、…で示されている棒グラフは最新の成形サイクルにおける工程別実施時間である。つまり最新電力関連物理量が表示され、比較対象電力関連物理量は表示されていない。
【0049】
<第2の実施形態の変形例3 要素画面-成形サイクル消費電力量>
図9Dには変形例3として電力関連物理量表示画面70A(図8参照)に表示される、成形サイクル消費電力量の要素画面89Aが示されている。成形サイクル消費電力量の要素画面89Aには、成形サイクルを構成する各工程における工程別消費電力量が加算された帯グラフが表示されている。これによって成形サイクル全体における消費電力量が一目で確認できるようになっている。ただし、最新の成形サイクルにおける成形サイクル消費電力量つまり最新電力関連物理量が表示されている。この画面においても回生エネルギー91と再生エネルギー92とが含まれている。これらは第1の実施形態の変形例4として成形サイクル消費電力量の要素画面89(図6E参照)において説明したものと同様である。説明を省略する。
【0050】
<第2の実施形態の変形例4 要素画面-サーボモータ電力量>
図9Eには変形例4として電力関連物理量表示画面70A(図8参照)に表示されるサーボモータ電力量の要素画面95Aが示されている。サーボモータ電力量の要素画面95Aには、最新の成形サイクルにおける各工程のサーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…(図2参照)の消費電力量、すなわちサーボモータ電力量が数値データで表示されている。つまり最新電力関連物理量が示されている。
【0051】
<第2の実施形態の変形例5 要素画面-サーボモータ電力量>
図9Fには変形例4の変形である変形例5として電力関連物理量表示画面70A(図8参照)に表示される、サーボモータ電力量の要素画面95A‘が示されている。サーボモータ電力量は、サーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…(図2参照)が回転することによって射出成形機1(図1参照)を構成する部材に与える仕事量と、サーボアンプ35、36、37、38、…のスイッチングによって生じるスイッチング損失(SW損失)の電力量とからなる。これらがそれぞれ数値データ表示されている。これらは最新の成形サイクルにおける電力量であり、最新電力関連物理量が示されている。
【0052】
<第2の実施形態の変形例6 要素画面-消費電力グラフ>
図9Gには変形例6として電力関連物理量表示画面70A(図8参照)に表示される消費電力の要素画面100Aが示されている。消費電力の要素画面100Aには、最新の成形サイクルにおいて、各サーボモータ41(射出軸)、42(可塑化軸)、43(型開閉軸)、44(EJ軸)、…(図2参照)の消費電力が折れ線グラフによって表示されている。つまり最新電力関連物理量が示されている。
【0053】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、射出成形機についてみると、図1図5によって説明した第1の実施形態に係る射出成形機1と同様に構成されている。第3の実施形態において第1の実施形態と異なっているのは、図10に示されている電力関連物理量表示画面70Bと、この画面に表示される要素画面だけである。したがって、第3の実施形態に関して射出成形機についての説明を省略する。以下、第3の実施形態に係る射出成形機も射出成形機1として説明する。
【0054】
<電力関連物理量表示画面>
第3の実施形態に係る射出成形機1は、電力関連物理量を画面する表示として図10に示されている電力関連物理量表示画面70Bを備えている。電力関連物理量表示画面70Bには、第1の実施形態における電力関連物理量表示画面70(図4参照)と同様に、比較対象成形サイクル選択ボタン77と、要素画面表示領域71とが設けられている。比較対象成形サイクル選択ボタン77は第1の実施形態と同様に、図5に示されている比較対象成形サイクル選択サブウィンドウ78を呼び出して、比較対象の成形サイクルを選択するようになっている。また、電力関連物理量表示画面70Bの要素画面表示領域71には、図6Aによって説明した工程別消費電力量の要素画面80、あるいは図6C図6Hによって説明した変形例1~6に係る要素画面85、89、95、…のいずれかが表示されるようになっている。
【0055】
第3の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70Bには、第1の実施形態と異なる領域が設けられている。具体的には、成形条件変更支援画面表示領域72である。この領域には、成形条件を検討するためにヒントとなる画面が表示される。
【0056】
<成形条件検討支援画面>
第3の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70Bの成形条件変更支援画面表示領域72には、図11Aに示されている成形条件検討支援画面107が表示される。成形条件検討支援画面107には、成形条件の設定項目と、その設定項目に関連する工程別物理量集計値とが表示される。成形条件検討支援画面107にはプルダウンメニュー108が設けられており、これによって成形条件を選択する。例えば「計量工程 スクリュ回転数」を選択すると、スクリュ回転数の現在の設定値が符号118に示される。そして関係する可塑化軸サーボモータ42(図2参照)の計量工程における工程別消費電力量が符号119に示される。そして比較対象の成形サイクルにおいて設定されていた設定値が符号121に示され、そのときの工程別消費電力量が符号122に示される。
【0057】
オペレータは、第3の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70B(図10参照)において要素画面表示領域71に表示されている工程別消費電力量の要素画面80(図6A参照)を参考にする。そして、成形条件変更支援画面表示領域72に表示されている成形条件検討支援画面107(図11A参照)によって成形条件を検討することができる。
【0058】
<第3の実施形態の変形例1 成形条件変更項目表示画面>
第3の実施形態において、電力関連物理量表示画面70B(図10参照)の成形条件変更支援画面表示領域72に表示する画面を変形することができる。図11Bには変形例1として表示される成形条件変更項目表示画面105が示されている。オペレータが成形条件を変更すると変更した成形条件についてリスト表示される。成形条件毎に変更前の成形条件と変更後の成形条件とが表示されるようになっている。
【0059】
<第1~3の実施形態の変形例>
第1~3の実施形態は色々な変形が可能である。例えば第1の実施形態において、工程別消費電力量の要素画面80(図6A参照)について棒グラフ81、82、81、82、…の表示について変形できる。これらは上下に並べられているが、図6Dのグラフ86、87、…のように棒グラフを重ねて表示するようにしてもよい。反対に、図6Dによって説明した第1の実施形態の変形例2に係る工程別実施時間の要素画面85では、グラフ86、87、86、87、…が重ねられて表示されるように説明したが、図6Aのグラフ81、82、81、82、…のように上下に並べて表示してもよい。
【0060】
他の変形も可能である。例えば、比較対象成形サイクル選択サブウィンドウ78では、特定の回の成形サイクルを指定するとき、日付だけでなく時分まで指定している。これに対して時分を省略して日付だけ指定するようにしてもよい。この場合、指定された日付において最初に実施された成形サイクルを比較対象成形サイクルとする、等のように扱うことができる。
【0061】
図4で説明した第1の実施形態に係る電力関連物理量表示画面70も変形が可能である。図12には変形した電力関連物理量表示画面70‘が示されている。電力関連物理量表示画面70‘には、要素画面表示領域71a、71bが2領域設けられている。そしてこれら要素画面表示領域71a、71bのそれぞれに対応して、要素画面選択プルダウンメニュー74a、74bが設けられている。要素画面選択プルダウンメニュー74a、74bは、それぞれ要素画面表示領域71a、71bに表示する要素画面を選択することができるようになっている。具体的には、図6A図6Hによって説明した工程別消費電力量の要素画面80、工程別実施時間の要素画面85、…から選択することができる。
【0062】
要素画面表示領域71a、71bは2領域設けられているので、異なる要素画面を同時に表示することができる。なお、この電力関連物理量表示画面70‘には、要素画面表示領域71a、71bが2領域、そして要素画面選択プルダウンメニュー74a、74bが2個しか設けられていない。しかしながら、要素画面表示領域71a、71b、…を3領域以上、同様に要素画面選択プルダウンメニュー74a、74b、…を3個以上設けるようにしてもよい。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 制御装置
5 EJ装置
7 固定盤 8 可動盤
9 型締ハウジング 11 タイバー
13 トグル機構 15 固定側金型
16 可動側金型 19 加熱シリンダ
20 スクリュ 22 スクリュ駆動装置
23 ホッパ 24 射出ノズル
25 ヒータ
30 コンバータ 31 三相交流電源
33 直流電圧線
35、36、37、38 サーボアンプ
41、42、43、44 サーボモータ
46、47、48、49 電流センサ
51、52、53、54 ロータリエンコーダ
60 電力計算部
61 工程別消費電力量計算部
62 実施時間測定部
65 電力関連物理量履歴ファイル
70 電力関連物理量表示画面
71 要素画面表示領域
74 要素画面選択プルダウンメニュー
77 比較対象成形サイクル選択ボタン
78 比較対象成形サイクル選択サブウィンドウ
80 工程別消費電力量の要素画面
85 工程別実施時間の要素画面
89 成形サイクル消費電力量の要素画面
95 サーボモータ電力量の要素画面
100 消費電力の要素画面
105 成形条件変更項目表示画面
107 成形条件検討支援画面
B ベッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図11A
図11B
図12