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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003463
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/103 20060101AFI20240105BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G08B17/103 Z
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102637
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 真道
【テーマコード(参考)】
4C180
5C085
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH11
4C180KK04
4C180LL04
4C180LL20
4C180MM10
5C085AA03
5C085AC02
5C085BA32
(57)【要約】
【課題】本発明は、人体に悪影響を与えることなく、大空間でもウィルスの不活性化や殺菌を行うことができる火災感知器の提供を課題とする。
【解決手段】送光部と受光部を有する光電式分離型の火災感知器であって、煙検出用赤外光の光軸に沿った方向に除菌用紫外光を発光する紫外線発光部を備える火災感知器を提供する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送光部と受光部を有する光電式分離型の火災感知器であって、
煙検出用赤外光の光軸に沿った方向に除菌用紫外光を発光する紫外線発光部を備えることを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
設置状態において、前記煙検出用赤外光を発光する赤外線発光部、または前記煙検出用赤外光を受光する赤外線受光部の上方に前記紫外線発光部を有し、前記煙検出用赤外光の上方で前記除菌用紫外光を発光することを特徴とする請求項1に記載された火災感知器。
【請求項3】
前記受光部が前記送光部から発せられる前記煙検出用赤外光を受光しなくなったとき、前記除菌用紫外光の発光を停止することを特徴とする請求項1または2に記載された火災感知器。
【請求項4】
前記赤外線発光部と前記紫外線発光部の発光タイミングをずらしたことを特徴とする請求項1または2に記載された火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌用紫外光を用いてウィルスの不活性化や殺菌を行う火災感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、ウィルス等による感染症が問題となっている。ウィルスや細菌を含む飛沫や、飛沫の水分が蒸発した飛沫核により感染する感染症は、接触感染よりも感染しやすい。ウィルス等を含んだ飛沫は落下しやすいが、飛沫から水分が蒸発した飛沫核は小さく軽いために長時間にわたり空気中を浮遊して、空気感染の原因となる。空気中を飛沫核の形態で浮遊するウィルスや細菌を不活性化や殺菌するためには、紫外線LEDを用いた紫外線照射が有効である。しかし、紫外線は人体にも悪影響を及ぼすことから、特許文献1では、煙感知器の内部で紫外線照射を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-36380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような煙感知器の内部における紫外線照射は、照射する空気の量が少ないため、大空間でのウィルスの不活性化や殺菌には適していない。本発明は、人体に悪影響を与えることなく、大空間でもウィルスの不活性化や殺菌を行うことができる火災感知器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、送光部と受光部を有する光電式分離型の火災感知器であって、煙検出用赤外光の光軸に沿った方向に除菌用紫外光を発光する紫外線発光部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、火災感知器の使用エリアにおいて人体に悪影響を与えることなく、大空間においてもウィルスの不活性化や殺菌を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1における火災感知器を備えたP型火災感知システムを示す図。
図2】本発明の実施例1における火災感知器の設置状況を示す図。
図3】本発明の実施例1における火災感知システム中の火災感知器を示す図。
図4】本発明の実施例1における火災感知器のタイミングパルスを示す図。
図5】本発明の実施例2における火災感知システム中の火災感知器を示す図。
図6】本発明の実施例2における火災感知器のタイミングパルスを示す図。
図7】本発明の実施例3における火災感知システム中の火災感知器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
図1に、本発明の実施例1における火災感知器1を備えたP型火災感知システムを示す。火災感知器1は、光電式分離型であり、送光部11から対向する受光部12へ煙検出用赤外光を送光する。そして、火災発生時には送光部11と受光部12の間に煙が入り、煙検出用赤外光の受光量が減少することにより火災感知器1で煙を感知する。光電式分離型の火災感知器1は複数設けられ、受光部12に設けられた端子が火災信号線3により渡り配線でP型受信機2に接続されている。送光部11は同期線13により受光部12に接続している。
【0009】
図2に、実施例1における火災感知器1の設置状況を示す。実施例1では、送光部11に紫外線発光部112が設けられ、送光部11から受光部12の方向へ向けて除菌用紫外光UVが発光する。光電式分離型の火災感知器1は、送光部11と受光部12がともに天井付近等の高い位置に対向設置される。特に大空間では、高足場等を用いない限り、通常は人間Hが届くことのない位置に送光部11と受光部12が対向設置される。
【0010】
光電式分離型の火災感知器1では、受光部12から同期線13を介して送光部11に同期信号を送信する。同期信号を受けた送光部11は、赤外線発光部111から受光部12における赤外線受光部121に向けて、煙検出用赤外光IRを発光させる。同期信号は定期的に送信され、煙検出用赤外光IRが定期的に発光する。受光部12では、同期信号を発したタイミングにおける煙検出用赤外光IRの受光量の変化により、煙の検出を行う。
【0011】
送光部11には、火災感知器1の設置状態における赤外線発光部111の上方に、紫外線発光部112が設けられている。そして、紫外線発光部112は、煙検出用赤外光IRの光軸に沿った方向に向けて除菌用紫外光UVを発光する。
【0012】
除菌用紫外光UVは火災感知器1の送光部11から煙検出用赤外光IRに沿った方向に向けて発光する。煙の誤検知が無いように、煙検出用赤外光IRが人間H等により遮られない高所等に火災感知器1が設置されるため、このように発光した除菌用紫外光UVが人間Hに直接照射される可能性は低い。さらに、実施例1では、火災感知器1の設置状態において赤外線発光部111の上方に紫外線発光部112が設けられ、除菌用紫外光UVは煙検出用赤外光IRの光軸に沿った方向に発光する。そのため、除菌用紫外光UVの照射位置は、煙検出用赤外光IRの上の位置となり、さらに人間Hに直接照射される可能性が低くなっている。
【0013】
なお、除菌用紫外光UVは、空間で減衰して受光部12にはほとんど届かない。そのため、受光部12に設けた赤外線受光部121を劣化させることはない。しかし、受光部12を送光部11の近くに対向設置する場合には、除菌用紫外光UVやその散乱光が赤外線受光部121に届く可能性があるため、赤外線受光部121の前に紫外線カットフィルタを設置してもよい。
【0014】
図3に、本発明の実施例1におけるP型火災感知システム中の火災感知器1を示す。火災感知器1は、送光部11の赤外線発光部111から受光部12の赤外線受光部121へ煙検出用赤外光IRを送光する。受光部12に設けられた端子は火災信号線3によりP型受信機2に接続されている。火災感知器1は、煙を感知した際に火災信号線3の間の抵抗を下げて煙の検出をP型受信機2に伝える。送光部11は同期線13により受光部12に接続している。また、送光部11に設けられた赤外線発光部111と紫外線発光部112へは、発光用電源113から電源供給される。
【0015】
次に、図4により、火災感知器1の動作を説明する。図4は、上から順に、同期線13の電圧、送光部11における赤外線発光部111の入力電圧、受光部12における赤外線受光部121の出力電圧、送光部11における紫外線発光部112の入力電圧、受光部12に接続した火災信号線3の電圧についてのタイミングを示している。時間は右側へと流れる。図4では、波高値が同じとなるように記載しているが、図4は電圧のタイミングを示すものであって、各電圧の値は一般的には異なる。
【0016】
受光部12は、同期線13の電圧を定期的に立ち上げる。送光部11では、(a)同期線13の電圧の立ち上がりをトリガーとしてワンショット回路(図示せず)が作動し、所定期間にわたって赤外線発光部111に電圧を付与する。(b)電圧が付与された赤外線発光部111は煙検出用赤外光IRを発し、煙検出用赤外光IRを受光部12の赤外線受光部121で受光して赤外線受光部121の出力電圧が上がる。(c)所定期間が終了して送光部11の赤外線発光部111の入力電圧が下がることにより煙検出用赤外光IRが消える。受光部12における赤外線受光部121が受光する煙検出用赤外光IRがなくなり、赤外線受光部121の出力電圧が立ち下がる。(d)受光部12は、赤外線受光部121の出力電圧の立ち下がりをトリガーとして、同期線13の電圧を下げる。(e)送光部11では、同期線13の電圧の立ち下がりをトリガーとして、ワンショット回路(図示せず)が作動し、所定期間にわたり紫外線発光部112に電圧を付与する。これにより、紫外線発光部112は所定期間にわたり除菌用紫外光UVを発光する。
【0017】
送光部11と受光部12の間の煙検出用赤外光IRが人間Hや煙等により遮られた場合は、図4の後半に示す次のようになる。(a1)同期線13の電圧の立ち上がりをトリガーとしてワンショット回路(図示せず)が作動し、所定期間にわたって赤外線発光部111に電圧を付与する。(f1)(g1)同期線13の電圧の立ち上がりの後に、煙検出用赤外光IRが赤外線受光部121に届かないため、煙の検出状態となって火災信号線3を短絡する。これにより火災感知器1による煙の検出がP型受信機2に伝えられる。
【0018】
また、図4の後半に示すように、(d1)赤外線受光部121では出力電圧が立ち上がらないため、出力電圧の立ち下がりをトリガーとした同期線13の電圧降下が生じない。そのため、同期線13の電圧は高いままで維持される。これにより、(e1)同期線13の電圧の立ち下がりをトリガーとした紫外線発光部112への電圧付与が行われず、除菌用紫外光UVは発光せず、発光を停止する。
【0019】
点検作業等により人間Hが送光部11と受光部12の間で煙検出用赤外光IRを遮った場合には、上記のように紫外線発光部112への電圧付与が行われず、除菌用紫外光UVは発光しない。そのため、人間Hに除菌用紫外光UVは照射されない。
【0020】
実施例1では、煙検出用赤外光IRの受光電圧が立ち下がったことにより、除菌用紫外光UVを発光させている。このように、実施例1では消費電力の大きい赤外線発光部111と紫外線発光部112の発光タイミングをずらして、ピーク消費電力を抑制している。また、発光用電源は送光部11にだけ接続すればよく、受光部12には接続しなくてよい。これにより、火災感知器1は少ない配線や変圧装置により実現することができる。
【0021】
<変形例>
実施例1では、煙検出用赤外光IRと除菌用紫外光UVの発光タイミングをずらしてピーク消費電力を抑制したが、抑制せずに発光タイミングが重なってもよい。さらに、煙検出用赤外光IRが遮光されたことによる消灯まで、除菌用紫外光UVを連続的に発光するようにしてもよい。また、実施例1では、受光部12から送光部11への同期線13を介した情報の送信を単純な電圧により行ったが、他の送信方法で行ってもよく、デジタル通信により行ってもよい。デジタル通信により情報の送信を行う際には、受光部12からのデジタル通信により煙検出用赤外光IRと除菌用紫外光UVの発光させるほかに、煙検出用赤外光IRを100m/s発光させることや、除菌用紫外光UVを1秒間発光させるなどの時間情報をデジタル通信により送光部11へ送信するようにしてもよい。また、実施例1ではP型受信機2を用いたP型火災感知システムとしたが、R型受信機を用いたR型火災感知システムとしてもよい。
【実施例0022】
図5に、本発明の実施例2におけるP型火災感知システム中の火災感知器4を示す。図1、2に示した火災感知器1を備えたP型火災感知システムや火災感知器1の設置状況は、実施例2においても同様である。一方で、実施例2は、実施例1と異なり紫外線発光部422が受光部42に備えられている。
【0023】
火災感知器4は、送光部41の赤外線発光部411から受光部42の赤外線受光部421へ煙検出用赤外光IRを送光する。受光部42に設けられた端子は火災信号線3によりP型受信機2に接続されている。送光部41は同期線43により受光部42に接続している。また、送光部41の赤外線発光部411は、発光用電源412から電源供給され、受光部42の紫外線発光部422は発光用電源423から電源供給される。
【0024】
実施例2では、受光部42に赤外線受光部421と紫外線発光部422が設けられている。そのため、煙検出用赤外光IRが遮られて赤外線受光部421が受光せず、紫外線発光部422を発光しないようにする制御は、受光部42の内部で処理することができる。
【0025】
次に、図6により、火災感知器4の動作を説明する。図6は、上から順に、同期線43の電圧、送光部41における赤外線発光部411の入力電圧、受光部42における赤外線受光部421の出力電圧、受光部42における紫外線発光部422の入力電圧、受光部42に接続した火災信号線3の電圧のタイミングを示す。時間は右側へと流れる。図4と同様に図6でも波高値が同じとなるように記載しているが、図6も電圧のタイミングを示すものであって、各電圧の値は一般的には異なる。
【0026】
受光部42は、同期線43の電圧を定期的に立ち上げる。送光部41では、(a)同期線43の電圧の立ち上がりをトリガーとしてワンショット回路(図示せず)が作動し、所定期間にわたって赤外線発光部411に電圧を付与する。(b)電圧が付与された赤外線発光部411は煙検出用赤外光IRを発し、煙検出用赤外光IRを受光部42の赤外線受光部421で受光して赤外線受光部421の出力電圧が上がる。(c)受光部42では、赤外線受光部421の出力電圧の閾値を超える上昇により、紫外線発光部422へ付与する電圧を上げる。(d)所定期間が終了して、送光部41における赤外線発光部411へ付与する電圧が下がると、煙検出用赤外光IRが消灯し、受光部42における赤外線受光部421の出力電圧が下がる。(e)受光部42では、赤外線受光部421の出力電圧が下がると紫外線発光部422へ付与する電圧を下げる。これにより、送光部41と受光部42の間の煙検出用赤外光IRが遮られていない場合には、赤外線発光部411の発光期間に同期して、紫外線発光部422から除菌用紫外光UVを発光する。
【0027】
送光部41と受光部42の間が煙等により遮られた場合は、次のようになる。(a1)受光部42で付与した同期線43の電圧の立ち上がりをトリガーとして、送光部41ではワンショット回路(図示せず)が作動し、所定期間にわたって赤外線発光部411に電圧を付与する。(f1)(g1)受光部42では、同期線43の電圧の立ち上がりの後に、煙検出用赤外光IRが赤外線受光部421に届かないため、煙の検出状態となって火災信号線3を短絡する。これにより火災感知器4による煙の検出がP型受信機2に伝えられる。また、赤外線受光部421に閾値を超える出力電圧が生じないため、紫外線発光部422に電圧は付与されない。
【0028】
点検作業等により人間Hが送光部41と受光部42の間で煙検出用赤外光IRを遮った場合には、上記のように赤外線受光部421に閾値を超える出力電圧が生じずに紫外線発光部422への電圧付与が行われず、除菌用紫外光UVは発光しない。そのため、人間Hに除菌用紫外光UVは照射されない。実施例2においても、逆方向ではあるが実施例1と同様に除菌用紫外光UVは煙検出用赤外光IRの光軸に沿った方向に発光する。そのため、煙検出用赤外光IRと除菌用紫外光UVの発光位置は離れるが、除菌用紫外光UVは、煙検出用赤外光IRの近傍に照射される。また、火災感知器4の設置状態において赤外線受光部421の上方に紫外線発光部422を有するため、除菌用紫外光UVは、煙検出用赤外光IRの上方に位置し、さらに人間Hに直接照射される可能性がさらに低くなっている。
【0029】
実施例2では、受光部42に紫外線発光部422があるため、送光部41に煙検出用赤外光IRの遮断情報を送る必要がない。そのため、従来における光電式分離型の火災感知器の設計を少し変えるだけで、火災感知器4を得ることができる。また、実施例2では、受光部42が煙検出用赤外光IRの受光に合わせて除菌用紫外光UVを発光させている。そのため、人間H等により煙検出用赤外光IRが遮られると、速やかに除菌用紫外光UVが消灯する。
【0030】
<変形例>
実施例2では、受光部42が煙検出用赤外光IRの閾値を超える受光に合わせて除菌用紫外光UVを発光させている。しかし、煙検出用赤外光IRの受光よりも長い期間で除菌用紫外光UVを発光させてもよい。さらに、除菌用紫外光UVを連続的に発光させ、赤外線受光部が煙検出用赤外光IRを受光しなくなった時点で、除菌用紫外光UVを消灯するようにしてもよい。また、赤外線受光部が煙検出用赤外光IRを受光しなくなった時点をトリガーとして除菌用紫外光UVを所定期間発光させ、実施例1のように発光タイミングをずらし同時発光しないようにして、ピーク消費電力を抑制してもよい。
【実施例0031】
図7に、本発明の実施例3におけるR型火災感知システム中の火災感知器5を示す。図1、2に示した実施例1の火災感知器1を備えた火災感知システムや火災感知器1の設置状況は、実施例3においても同様である。実施例3の紫外線発光部512は実施例1と同様に送光部51に設けられている。一方、実施例3では、実施例1と異なりR型火災感知システムとなっている。火災感知器5は、送光部51の赤外線発光部511から受光部52の赤外線受光部521へ向けて煙検出用赤外光IRを発光する。受光部52に設けられた端子は電源兼用信号線7によりR型受信機6に接続されている。送光部51は電源兼用信号線53により受光部52に接続している。また、送光部51に設けられた赤外線発光部511と紫外線発光部512へは、R型受信機6から電源兼用信号線7、受光部52、電源兼用信号線53を介して電源供給される。
【0032】
実施例3において、除菌用紫外光UVの発光制御に関し、R型火災感知システムは次のように動作する。(a)通常状態では、送光部51は紫外線発光部512に電圧を付与して、除菌用紫外光UVの発光状態とする。(b)複数の受光部52に付与されたアドレスを特定して、R型受信機6から順次に現状を確認する通信を行う。受光部52では、付与されているアドレスの確認通信があった場合に検出動作を行う。(c)受光部52では、煙を検出するために、一定の時間間隔で電源兼用信号線53に煙検出用赤外光IRの発光命令を送信する。送光部51では発光命令を受信して、赤外線発光部511に電圧を付与し、発光させて煙検出用赤外光IRを送出する。(d)受光部52では、赤外線受光部521で煙検出用赤外光IRを検出する。そして、受光部52は、検出した赤外線受光部521の出力電圧の情報を、電源兼用信号線7を介してR型受信機6に送信する。R型受信機6は受信した情報を分析して火災警報を発するか否かの判定を行う。(e)赤外線発光部511の発光タイミングで煙検出用赤外光IRの出力が閾値を超えない場合には、電源兼用信号線53に除菌用紫外光UVの消灯命令を送信する。送光部51では消灯命令を受信して、紫外線発光部512に付与する電圧を下げ、紫外線発光部512を消灯する。実施例3では、電源兼用信号線53、7を介した通信はデジタル通信により実施される。
【0033】
<変形例>
R型火災感知システムにおいても、実施例2のように紫外線発光部を受光部に設けた火災感知器としてもよい。この火災感知器では、実施例2と同様に、送光部に煙検出用赤外光IRの遮断情報を送る必要がない。そのため、従来における光電式分離型の火災感知器の設計を少し変えるだけで、火災感知器を得ることができる。また、R型火災感知システムの場合においても、赤外線発光部と紫外線発光部の発光タイミングをずらして、ピーク消費電力を抑制するように構成してもよい。
【0034】
各実施例では、設置状態において除菌用紫外光UVの発光が発光煙検出用赤外光IRの発光の上方となるように火災感知器を形成している。しかし、除菌用紫外光は、発光煙検出用赤外光に沿っていれば、煙検出用赤外光が受光しなくなったとき除菌用紫外光を停止する機能の有無に関わらず、人体を照射しにくい効果を奏する。もちろん、除菌用紫外光を停止する機能があった方が人体を照射しにくい効果は高く、除菌用紫外光が発光煙検出用赤外光の上方となる方が人体を照射しにくい効果は高い。
【0035】
また、誤作動を防止することを目的として、火災の検出については煙検出用赤外光IRを受光部が複数回遮られたことを確認したのちに火災警報を発することとし、除菌用紫外光UVは人体への悪影響を防止するために煙検出用赤外光IRが1回でも遮られると消灯するなど、火災の判定と除菌用紫外光UVの消灯の判定は必ずしも同時・同レベルで行う必要はない。また、上記実施例では、送光部か受光部のいずれか一方に紫外線発光部を設けているが、送光部と受光部の双方に紫外線発光部を設けてもよい。
【0036】
その他、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施例は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 火災感知器、11 送光部、111 赤外線発光部、112 紫外線発光部、113 発光用電源、12 受光部、121 赤外線受光部、13 同期線、
2 P型受信機、3 火災信号線、
4 火災感知器、41 送光部、411 赤外線発光部、412 発光用電源、42 受光部、421 赤外線受光部、422 紫外線発光部、423 発光用電源、43 同期線、
5 火災感知器、51 送光部、511 赤外線発光部、512 紫外線発光部、52 受光部、521 赤外線受光部、53 電源兼用信号線、
6 R型受信機、7 電源兼用信号線、
IR 煙検出用赤外光、UV 除菌用紫外光、H 人間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7