(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034631
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240306BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F25B1/00 331D
F25B1/00 101G
F25B1/00 101H
F28F3/08 311
F25B1/00 331C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139010
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
(57)【要約】
【課題】利用する冷媒量の削減や室外熱交換器や室外機の小型化が可能な構造を備える空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、第1の配管は、室内熱交換器と室外熱交換器とを接続する。第2の配管は、室外熱交換器と室内熱交換器とを接続する。第1の膨張弁は、第2の配管に設けられる。圧縮機は、第1の配管に設けられる。四方弁は、第1の配管に設けられる。第1のバイパス配管は、第1の膨張弁と室内熱交換器との間の第2の配管と四方弁と圧縮機との間の第1の配管のいずれか一方と、四方弁と室内熱交換器との間の第1の配管と、を連通させるように流路切替を行う切替弁を備える。第2のバイパス配管は、第1の膨張弁と室外熱交換器との間の第2の配管と、四方弁と室外熱交換器との間の第1の配管とを接続する。冷媒熱交換器は、第1のバイパス配管を流れる冷媒と第2のバイパス配管を流れる冷媒との間で熱交換を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機に設けられた室内熱交換器と、
室外機に設けられた室外熱交換器と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第2の配管に設けられた第1の膨張弁と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な四方弁と、
前記第1の膨張弁と前記室内熱交換器との間の第2の配管と前記四方弁と前記圧縮機との間の前記第1の配管のいずれか一方と、前記四方弁と前記室内熱交換器との間の前記第1の配管と、を連通させるように流路切替を行う切替弁を備える第1のバイパス配管と、
前記第1の膨張弁と前記室外熱交換器との間の前記第2の配管と、前記四方弁と前記室外熱交換器との間の前記第1の配管とを接続する第2のバイパス配管と、
前記第1のバイパス配管を流れる前記冷媒と前記第2のバイパス配管を流れる前記冷媒との間で熱交換を行う冷媒熱交換器と、
を備える、空気調和装置。
【請求項2】
前記冷媒熱交換器は、積層された複数のプレートに形成された個別流路に積層方向に交互に異なる状態の前記冷媒を通過させることにより熱交換を行うプレート熱交換器である、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1の配管は、前記第2のバイパス配管と前記第1の配管の接続部分と、前記室外熱交換器と、の間に第2の膨張弁を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第2の配管は、当該第2の配管と前記第2のバイパス配管の接続部分に、前記第2のバイパス配管に液状態の前記冷媒を供給する気液分離機を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第1の配管は、当該第1の配管と前記第1のバイパス配管との接続部分と前記四方弁との間に蓄熱材を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記第2の配管における前記第2のバイパス配管の接続部分と前記室外熱交換器との間に第1の開閉弁と、
前記第1の配管と前記冷媒熱交換器とを接続する前記第1のバイパス配管と、前記第1の開閉弁と前記室外熱交換器との間の前記第2の配管とを接続する第3のバイパス配管と、
前記第3のバイパス配管に設けられた第2の開閉弁と、
を備える請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和装置は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。このような空気調和装置においては、使用する冷媒量の削減や装置の小型化、特に室外機の小型化の要望があり、種々の提案が行われている。例えば、熱交換効率が高い、いわゆるマイクロチャネル型の熱交換器を利用することにより、利用する冷媒量の削減や室外機の小型化を実現しようとする構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなマイクロチャネル型の熱交換器を空気調和装置の熱交換器として利用する場合、腐食対策が難しいことや、室外機の熱交換器で発生しやすい霜や氷の除去(除霜)がし難い(実質できない場合が多い)等の問題があり、様々な改良が必要である場合が多い。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、利用する冷媒量の削減や室外熱交換器や室外機の小型化が可能な構造を備える空気調和装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、第1の膨張弁と、圧縮機と、四方弁と、第1のバイパス配管と、第2のバイパス配管と、冷媒熱交換器と、を備える。室内熱交換器は、室内機に設けられる。室外熱交換器は、室外機に設けられる。第1の配管は、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管は、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。第1の膨張弁は、前記第2の配管に設けられる。圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。四方弁は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。第1のバイパス配管は、前記第1の膨張弁と前記室内熱交換器との間の第2の配管と前記四方弁と前記圧縮機との間の前記第1の配管のいずれか一方と、前記四方弁と前記室内熱交換器との間の前記第1の配管と、を連通させるように流路切替を行う切替弁を備える。第2のバイパス配管は、前記第1の膨張弁と前記室外熱交換器との間の前記第2の配管と、前記四方弁と前記室外熱交換器との間の前記第1の配管とを接続する。冷媒熱交換器は、前記第1のバイパス配管を流れる前記冷媒と前記第2のバイパス配管を流れる前記冷媒との間で熱交換を行う。
【0007】
また、前記冷媒熱交換器は、例えば、積層された複数のプレートに形成された個別流路に積層方向に交互に異なる状態の前記冷媒を通過させることにより熱交換を行うプレート熱交換器であってもよい。
【0008】
また、前記第1の配管は、例えば、前記第2のバイパス配管と前記第1の配管の接続部分と、前記室外熱交換器と、の間に第2の膨張弁を備えてもよい。
【0009】
また、前記第2の配管は、当該第2の配管と前記第2のバイパス配管の接続部分に、前記第2のバイパス配管に液状態の前記冷媒を供給する気液分離機を備えてもよい。
【0010】
また、前記第1の配管は、当該第1の配管と前記第1のバイパス配管との接続部分と前記四方弁との間に蓄熱材を備えてもよい。
【0011】
また、前記空気調和装置は、例えば、前記第2の配管における前記第2のバイパス配管の接続部分と前記室外熱交換器との間に第1の開閉弁と、前記第1の配管と前記冷媒熱交換器とを接続する前記第1のバイパス配管と、前記第1の開閉弁と前記室外熱交換器との間の前記第2の配管とを接続する第3のバイパス配管と、前記第3のバイパス配管に設けられた第2の開閉弁と、を備えてもよい。
【0012】
以上の空気調和装置によれば、例えば、熱交交換を冷媒熱交換器と室外熱交換器とで分担することで冷媒配管を循環する冷媒量の削減や室外熱交換器や室外機の小型化が可能な構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて冷房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る空気調和装置で利用可能な冷媒熱交換器としてのプレート熱交換器の構成を示す例示的かつ模式的な斜視図および分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態の空気調和装置で利用可能な蓄熱材とその周辺に設置される温度センサを示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて、暖房運転における除霜モード時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、いくつかの実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、実施形態に係る空気調和装置10の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。空気調和装置10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。
【0016】
図1に示すように、空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0017】
空気調和装置10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、を有する。また、室外機11は、四方弁25と、第1の膨張弁31と、第1のサービス弁32と、第2のサービス弁33と、第2の膨張弁34と、第3の膨張弁35と、プレート熱交換器61(本発明における冷媒熱交換器の一種)と、蓄熱材62と、切替弁63と、第1の開閉弁71と、第2の開閉弁72と、第3の開閉弁73と、第4の開閉弁74と、第5の開閉弁75と、気液分離機80等を有する。また、室内機12は、室内熱交換器41と、室内送風ファン42とを有する。なお、第2の膨張弁34と第3の膨張弁35は、開度を調整して媒体の流量が制御できればよく、他の構成の弁体であってもよい。
【0019】
また、空気調和装置10は、冷媒の温度を各所で検出する複数の温度センサSu,T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7(
図3参照),T8(
図3参照),T9,T10等を有する。
【0020】
例えば、温度センサSuは、アキュムレータの冷媒入口で冷媒の温度(Su値)を検出する。温度センサT1は、室内熱交換器41と蓄熱材62との間で室内熱交換器41の近傍の冷媒の温度(T1値)を検出する。温度センサT2は、室内熱交換器41の内部における冷媒の温度(T2値)を検出する。温度センサT3は、室外熱交換器21の内部における冷媒の温度(T3値)を検出する。温度センサT4は、室外熱交換器21と第1の開閉弁71との間で室外熱交換器21の近傍の冷媒の温度(T4値)を検出する。温度センサT5は、第1の膨張弁31と気液分離機80との間の冷媒の温度(T5値)を検出する。温度センサT6は、蓄熱材62と第5の開閉弁75との間の冷媒の温度(T6値)を検出する。温度センサT7(
図3参照)は、蓄熱材62の一方の出入口近傍の冷媒の温度(T7値)を検出する。温度センサT8(
図3参照)は、蓄熱材62の他方の出入口近傍の冷媒の温度(T8値)を検出する。温度センサT9は、第1の膨張弁31と室内熱交換器41の間の冷媒の温度(T9値)を検出する。温度センサT10は、後述する第1のバイパス配管53の第9の領域53cにおいてプレート熱交換器61の近傍の冷媒の温度(T10値)を検出する。
【0021】
冷媒配管13は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管51と、第2の配管52と、第1のバイパス配管53と、第2のバイパス配管54と、第3のパイパス配管55等を含む。
【0022】
第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、四方弁25、第1のサービス弁32、第2の膨張弁34、蓄熱材62と、第5の開閉弁75は、第1の配管51に設けられる。第1の配管51は、第1の領域51a、第2の領域51b、第3の領域51c、第4の領域51dと、を有する。第1の領域51aは、四方弁25と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第2の領域51bは、四方弁25とアキュムレータ24とを接続する配管領域である。第3の領域51cは、四方弁25と室外熱交換器21とを接続する配管領域である。第4の領域51dは、四方弁25と圧縮機23の吐出口23bとを接続する配管領域である。
【0023】
第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続する。第1の膨張弁31と第2のサービス弁33と、第1の開閉弁71と、気液分離機80は、第2の配管52に設けられる。第2の配管52は、第5の領域52aと第6の領域52bを有する。第5の領域52aは、第1の膨張弁31と室内熱交換器41とを接続する領域である。第6の領域52bは、第1の膨張弁31と室外熱交換器21とを接続する領域である。
【0024】
第1のバイパス配管53は、第1の配管51と第2の配管52とを接続する。また、第1のバイパス配管53は、プレート熱交換器61の一方の流路に接続されている。そして、蓄熱材62と室内熱交換器41との間の第1の配管51(第1の領域51a)を流れる冷媒をプレート熱交換器61に流す。また、第1の膨張弁31と室内熱交換器41との間の第2の配管52(第5の領域52a)と四方弁25と圧縮機23の吸入口23a(またはアキュムレータ24)との間の第1の配管51(第2の領域51b)のいずれか一方と、四方弁25と室内熱交換器41との間の第1の配管51(第1の領域51a)と、を連通させるように流路切替を行う切替弁63は、第1のバイパス配管53に設けられる。第1のバイパス配管53は、第7の領域53aと第8の領域53bと第9の領域53cと第10の領域53dと第11の領域53eを有する。第7の領域53aは、プレート熱交換器61の一方の流体の出入口と、第1の配管51の第1の領域51aにおいて蓄熱材62の室内熱交換器41側とを接続する領域である。第8の領域53bは、第1の膨張弁31の室内熱交換器41側と切替弁63とを接続する領域である。第9の領域53cは、第7の領域53aと切替弁63とを接続するとともに、プレート熱交換器61の一方の個別流路に接続される領域である。第10の領域53dは、切替弁63と第1の配管51の第2の領域51bとを接続する領域である。第11の領域53eは、蓄熱材62と第5の開閉弁75との間の部分と、第3の膨張弁35と第3の開閉弁73との間の部分とを接続する領域である。
【0025】
第2のバイパス配管54は、第1の膨張弁31と室外熱交換器21との間の第2の配管52(第6の領域52b)と、四方弁25と室外熱交換器21との間の第1の配管51(第3の領域51c)とを接続する。第2のバイパス配管54は、プレート熱交換器61他方の個別流路に接続される。
【0026】
第3のバイパス配管55は、第1の配管51とプレート熱交換器61とを接続する第1のバイパス配管53(第7の領域53a)と、第1の膨張弁31と室外熱交換器21との間の第2の配管52、すなわち第1の開閉弁71と室外熱交換器21との間の第2の配管52(第6の領域52b)とを接続する。
【0027】
第1のバイパス配管53、第2のバイパス配管54、第3のバイパス配管55、およびプレート熱交換器61、蓄熱材62の詳細は後述する。
【0028】
冷房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れ、第2の配管52を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れる。また、暖房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れ、第2の配管52を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れる。
【0029】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、または凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に対して送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0030】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0031】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、ガス状の冷媒と液状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過したガス状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることもできる。
【0032】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器41と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とに接続される。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器41、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0033】
まず、冷房運転時及び暖房運転時の概略的な冷媒の流れを説明する。
図1は、冷房運転時の冷媒の流れ方向を示す。
図1に示すように、冷房運転時において、四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器41とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器41で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。また、
図4は、暖房運転時の冷媒の流れ方向を示す。
図2に示すように、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器41とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器41へ流れ、室外熱交換器21で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0034】
第2の配管52に設けられた第1の膨張弁31は、例えば、電磁膨張弁である。なお、第1の膨張弁31は、他の膨張弁であってもよい。第1の膨張弁31は、開度を制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。
【0035】
第1の配管51に設けられた第1のサービス弁32、第2の配管52に設けられた第2のサービス弁33は、例えば、手動の開閉弁である。第1のサービス弁32及び第2のサービス弁33は、例えば、工場等で、製造時等に室外機11の第1の配管51及び第2の配管52に冷媒が充填された状態で閉弁される。そして、空気調和装置10の設置時(設置現場における室外機11及び室内機12の設置時)に、第1のサービス弁32及び第2のサービス弁33を開弁することで室外機11側に充填された冷媒を室内機12側にも充填し、設置作業を完了させる。したがって、第1のサービス弁32及び第2のサービス弁33は設置作業が完了した後、通常運転開始前に開弁状態を維持するように固定される。
【0036】
室内機12の室内熱交換器41は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、または凝縮器として放熱する。室内送風ファン42は、室内熱交換器41に向かって送風し、室内熱交換器41と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン42は、室内熱交換器41と熱交換する気流を生成する。
【0037】
制御装置14は、例えば、室外制御装置14aと、室内制御装置14bとを有する。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち一方のみを有してもよい。
【0038】
室外制御装置14aは、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、四方弁25、第1の膨張弁31、第2の膨張弁34、第3の膨張弁35、切替弁63、第1の開閉弁71、第2の開閉弁72、第3の開閉弁73、第4の開閉弁74、第5の開閉弁75等を制御する。室内制御装置14bは、室内機12の室内送風ファン42を制御する。
【0039】
制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和装置10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、及び他の運転を行う。室内制御装置14bは、例えば、リモートコントローラから信号を入力されてもよいし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されてもよい。
【0040】
ところで、上述した室外熱交換器21等を含む多くの空気調和装置用の熱交換器は、アルミニウム製のフィンと銅製の伝熱管とで構成されている。この形式の熱交換器は、クロスフィン型またはフィンアンドチューブ型などと称される。上述したように、この種の熱交換器の場合、フィン間を流れる空気と伝熱管内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。その際の熱交換器の能力、すなわち熱交換量Q[W]は、熱通過率K[W/m2K]、伝熱面積A[m2]、および空気と冷媒との対数平均温度差T[K]を用いると(式1)で表せる。なお、Fは定数である。
Q=F・K・A・ΔT (式1)
空気調和装置用の熱交換器においては、空気側熱伝達率は冷媒側熱伝達率の1/100程度であり、フィンにより伝熱面積を拡大しているものの、空気側熱抵抗は冷媒側熱抵抗の5倍前後の値になる。このため,熱交換器の性能に対しては空気側性能が支配的であるので、面積Aを大きくすることにより能力を向上することが可能である。しかし、面積Aの拡大は、冷媒量の増加を招くとともに熱交換器の大型化の原因になる。また、単純に面積Aの縮小(熱交換器の小型化)を行いつつ、熱交換効率を維持しようとすると、室外送風ファンの風量を増加する必要があり、駆動音(騒音)の増加原因になっていた。
【0041】
そこで、本実施形態の空気調和装置10の場合、温度の異なる冷媒間で熱交換を行う冷媒熱交換器の一例である、プレート熱交換器61を用いて、例えば、室外熱交換器21を通過して熱交換されるべき冷媒の一部の熱交換を行う。プレート熱交換器61は、一般的なクロスフィン型の熱交換器に比べ、熱交換率が高いことが確認されている。その結果、室外熱交換器21の小型化(面積Aの減少)を行っても、全体的な熱交換量を維持または向上することができる。また、その際、室外送風ファンの風量を増加する必要もない。
【0042】
図2は、空気調和装置10で利用可能な冷媒熱交換器としてのプレート熱交換器61の構成を示す例示的かつ模式的な斜視図および分解斜視図である。
【0043】
プレート熱交換器61は、第1のバイパス配管53を流れる冷媒と第2のバイパス配管54を流れる冷媒との間で熱交換を行う。プレート熱交換器61は、2枚の支持プレート61aの間にステンレス鋼やチタンなどの耐腐食性の高い金属の薄板をプレス成型した複数の伝熱プレート61bを積層配置して相互に密着固定している。伝熱プレート61bの表面には、ヘリンボーン(V字形)形状の個別流路61cが複数形成され、伝熱プレート61bの間に冷媒が流れるように間隙が設けられている。ヘリンボーン形状の個別流路61cを備える複数の伝熱プレート61bの組合せにより構成される複雑な流路を、高い乱流効果を生じながら冷媒が流れる。この複雑な流れにより、高い伝熱性能を生じ、効率のよい熱交換が可能となる。また、高い乱流効果により生じる流体の剪断力は、伝熱面への汚れの付着を防ぎ(腐食を抑制し)、高性能を長期間保持する効果にも寄与する。なお、
図2に示すプレート熱交換器61の個別流路61cの形状は、ヘリンボーン(V字形)形状とする例を示したが、ヘリンボーン(V字形)形状の場合と同様に、複雑な流路を形成し、高い乱流効果を生じながら冷媒を流すことができれば他の形状でもよい。
【0044】
図2は、プレート熱交換器61の内部において、冷房運転時に高温冷媒の流れる方向と低温冷媒の流れる方向が逆となる対向流での使用状態を示している。この場合、一方の支持プレート61aには、冷媒流入管53in(第1のバイパス配管53)から低温・低圧の液状の冷媒が流れ込み、積層された伝熱プレート61bのうち一枚おきに配置された伝熱プレート61bの個別流路61c(ヘリボーン形状の流路)を流れ、熱交換を行った後に低温・低圧のガス状の冷媒として支持プレート61aに形成された冷媒流出管53out(第1のバイパス配管53)から流出される。同様に、支持プレート61aには、冷媒流入管54in(第2のバイパス配管54)から高温・高圧のガス状の冷媒が流れ込み、第1のバイパス配管53を流れる伝熱プレート61bに隣接して一枚おきに配置された伝熱プレート61bの個別流路61cを流れ、熱交換を行った後に中温・高圧の液状の冷媒として支持プレート61aに形成された冷媒流出管54out(第2のバイパス配管54)から流出される。このように、高温の冷媒が流れる伝熱プレート61bと低温の冷媒が流れる伝熱プレート61bとが交互に積層されているため、高効率の熱交換が可能になる。なお、暖房運転時には、冷媒配管13における冷媒の流れ方向が変わるため、プレート熱交換器61における冷媒の流れ方向も変わる。暖房運転の場合は、高温の冷媒が流れる伝熱プレート61bにおける冷媒の流れ方向と低温の冷媒が流れる伝熱プレート61bにおける流れ方向が同じ方向となる平行流となるが、高温の冷媒が流れる伝熱プレート61bと低温の冷媒が流れる伝熱プレート61bとが交互に積層されているため、冷房運転時と同様に高効率の熱交換が行われる。
【0045】
また、本実施形態の空気調和装置10は、上述したプレート熱交換器61による熱交換効率の向上及び除霜効率の向上のため、プレート熱交換器61側に流す冷媒の冷却または過熱を補助的に行う蓄熱材62を第1の配管51における第1のバイパス配管53(第7の領域)との接続部分と四方弁25との間に設けている。本実施形態では、室外機11側で行うべき熱交換の例えば30~40%分の能力をプレート熱交換器61に持たせるように、例えば、空気調和装置10の非使用時(外出中や夜間等)に圧縮機23の周波数、第1の膨張弁31による冷媒流量制御、室内機12を室内送風ファン42の微風運転等を行い、蓄熱材62に蓄冷運転または蓄熱運転を行う。
図3は、蓄熱材62と当該蓄熱材62の温度管理を行うために利用可能な温度センサT7,T8の配置を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0046】
例えば、冷房運転のための蓄冷の場合、蓄熱材62の冷媒の流出側の出入口(
図3における実線矢印の出側)に配置した温度センサT8の検出値(T8値)が、例えば約12℃になるまで蓄冷運転を行う。蓄熱材62で冷媒をさらに冷却して、プレート熱交換器61に流す。そして、圧縮機23から流れてくる高温・高圧のガス状の冷媒との間で熱交換を行い冷媒の液化を行う。つまり、外気温が高い場合、室外熱交換器21の交換効率が悪化して液ガス状態の冷媒のガス割合が上昇してしまう。冷媒のガスの割合が増加すると、第1の膨張弁31での膨張効率が低下し、低温の冷媒が室内機12側に供給されにくくなる。つまり、冷媒の循環量が低下する。そこで、外気温の影響を受けにくいプレート熱交換器61で冷媒の液化を行い、第1の膨張弁31に、より多くの液状の冷媒を供給し、膨張効率を向上して冷媒の低温化を行い、低温の冷媒を室内機12側に供給するようにする。
【0047】
また、暖房運転のための蓄熱の場合、蓄熱材62の冷媒の流出側の出入口(
図3における破線矢印の出側)に配置した温度センサT7の検出値(T7値)が、例えば約80℃になるまで蓄熱運転を行う。蓄熱材62で冷媒をさらに過熱して、プレート熱交換器61に流す。そして、室内熱交換器41側から流れてくる低温・低圧の液状の冷媒との間で熱交換を行い冷媒のガス化を行う。つまり、外気温が低い場合、室外熱交換器21の交換効率が悪化して液ガス状態の冷媒の液割合が上昇してしまう。冷媒の液の割合が増加すると、圧縮機23での圧縮効率が低下し、高温の冷媒が室内機12側に供給されにくくなる。そこで、外気温の影響を受けにくいプレート熱交換器61で冷媒のガス化を行い、圧縮機23側により多くのガス状の冷媒を供給し、圧縮効率を向上し冷媒の高温化を行い、高温の冷媒を室内機12側に供給するようにする。なお、暖房運転の場合、プレート熱交換器61には、液相の冷媒を流す方が熱交換効率を増加できる。そこで、第1の膨張弁31の通過後に後に気液分離機80を配置し、液相の冷媒はプレート熱交換器61へ流し、液ガスの二相流は室外熱交換器21側に流すことで、より効率的なプレート熱交換器61の利用ができる。
【0048】
このように構成される空気調和装置10の冷房時における制御を、
図1を参照しながら説明する。
【0049】
まず、冷房運転の場合、制御装置14(室外制御装置14a)は、第1の開閉弁71を開弁、第2の開閉弁72を閉弁、第3の開閉弁73を閉弁、第4の開閉弁74を開弁、第5の開閉弁75を閉弁する。
【0050】
この場合、制御装置14(室外制御装置14a)は、室外熱交換器21の過冷却度SC1が、例えば、SC1=T4値-T3値≦2℃以下であることを検知した場合、室外熱交換器21が熱交換難い環境であると判定し、プレート熱交換器61側に流す冷媒量を増加し、室外熱交換器21の過冷却度SC1を5℃になるように第2の膨張弁34を制御する。また、制御装置14(室外制御装置14a)は、室内熱交換器41側の過熱度SH1が、例えば、SH1=T1値―T2値=-2℃になるように第1の膨張弁31を制御する。また、蓄熱材62の蓄例後のエンタルピーを管理するために、蓄熱材62側の過熱度SH2として、SH2=T2値-T6値を算出し、エンタルピー度(蓄熱材62による冷凍能力のアップ分)を算出する。例えば、プレート熱交換器61で50%の凝縮能力を実現するのに必要な蓄熱材62の過熱度SH2が予め定めた規定値以下になった場合、過熱度SH1をマイナスになるように第1の膨張弁31を制御し蓄冷を行う。なお、この場合、圧縮機23の過熱度SH3は、SH3=Su値-T6値≧2℃になるように第3の膨張弁35を制御する。
【0051】
この場合、圧縮機23で圧縮された高温・高圧のガス状の冷媒は、第1の配管51の第3の領域51cを介して室外熱交換器21に流れるとともに、第3の領域51c及び第2のバイパス配管54を介してプレート熱交換器61へ流れる。室外熱交換器21で熱交換されて中温・高圧の液状になった冷媒は、第2の配管52の第6の領域52bを介して第1の膨張弁31により低温・低圧の液状の冷媒になって、第5の領域52aを介して室内熱交換器41に流れる。室内熱交換器41で熱交換された冷媒は、低圧・低温のガス状の冷媒となる。この時、第3の開閉弁73及び第2の開閉弁72は閉弁されているので冷媒は、蓄熱材62で冷やされ液化され、プレート熱交換器61に供給される。プレート熱交換器61に流れる低温・低圧の液状の冷媒は、圧縮機23から供給される高温・高圧のガス状の冷媒を中温・高圧の液状の冷媒にするように熱交換して、低温・低圧のガス状の冷媒となり第1のバイパス配管53における第9の領域53cに流れアキュムレータ24を介して圧縮機23に戻る。プレート熱交換器61で熱交換されて液状になった中温・高圧の冷媒は、室内熱交換器41で熱交換された液状の中温・高圧の冷媒と合流して第6の領域52bを流れ、第1の膨張弁31を介して低温・低圧の液状の冷媒になって室内熱交換器41に流れる。つまり、室外熱交換器21で行われるべき熱交換をプレート熱交換器61で行う。
【0052】
このように、空気調和装置10の冷房運転時に、外気温が高く、室外熱交換器21における熱交換効率が低下する場合でも、全体で必要とされる熱交換の一部をプレート熱交換器61側で実施する。その結果、室内機12側で必要な液状の冷媒供給が可能となり、良好な冷房運転を行うことができる。また、プレート熱交換器61の併用により室外熱交換器21側での熱交換能力を軽減することが可能となり、室外熱交換器21の小型化が可能になる。なお、室外熱交換器21の小型化により、当該室外熱交換器21における冷媒の滞留量の低減が可能になり、冷媒配管13を循環させる冷媒の総量の低減に寄与することができる。なお、外気温度が低い場合には、蓄熱材62における蓄冷を省略してもよい。また、蓄熱材62のおける蓄冷は、上述したように蓄冷運転により実施することが望ましいが、空気調和装置10の運転停止時の液バックを利用して行ってもよい。
【0053】
続いて、空気調和装置10の暖房時における制御を、
図4を参照しながら説明する。
【0054】
まず、暖房運転の場合、制御装置14(室外制御装置14a)は、第1の開閉弁71を開弁、第2の開閉弁72を閉弁、第3の開閉弁73を開弁、第4の開閉弁74を閉弁、第5の開閉弁75を開弁する。
【0055】
この場合、制御装置14(室外制御装置14a)は、第1の膨張弁31後の乾き度を制御するために、過冷却SCの制御を行う。すなわち、例えば、過冷却SC=T9値―T2値≒5℃になるように、第1の膨張弁31を制御する。また、前述したように、プレート熱交換器61には、液相の冷媒を流さないと熱交換効率が低下するため、第1の膨張弁31の後に、気液分離機80を配置する。そして、液相の冷媒をプレート熱交換器61に流し、液ガスの二相の冷媒は室外熱交換器21に流すことで、それぞれの熱交換を効率的に行う。また、プレート熱交換器61の過冷却度SC1は、例えば、0℃となるように第3の膨張弁35を制御する。この場合、温度センサT2の検出値(T2値)を飽和温度と換算し、過冷却度SC1=T10値-T2値≒0℃で算出する。なお、プレート熱交換器61の場合、構造上内部に冷媒を溜めておく余裕は無いので、余剰冷媒は室外熱交換器21側等に溜める必要がある。この場合、第2の膨張弁34を制御して過熱度を制御する必要があり、例えば、過熱度SH=Su値-T3値≧1℃になるように第1の膨張弁31および第2の膨張弁34を制御する。
【0056】
この場合、圧縮機23で圧縮された高温・高圧のガス状の冷媒は、第1の配管51の第1の領域51aを流れ蓄熱材62を介して室内熱交換器41に供給されるとともに、第1のバイパス配管53における第7の領域53aを流れてプレート熱交換器61に供給される。室内熱交換器41に流れた高温・高圧のガス状の冷媒は、そこで熱交換を行い、中温・高圧の液状の冷媒となり、第2の配管52の第5の領域52aを流れ第1の膨張弁31により低温・低圧の液ガス混合の冷媒となる。前述したように、気液分離機80で気液分離を行い、液相の冷媒は第2のバイパス配管54を介してプレート熱交換器61に流し、液ガスの二相の冷媒は第1の開閉弁71を介して第6の領域52bに流れ室外熱交換器21に供給される。プレート熱交換器61に流れ込んだ液状の冷媒は、熱交換されガス化され、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻される。また、室外熱交換器21に流れた液ガス状態の冷媒も熱交換され、ガス化され、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻される。また、プレート熱交換器61に流れ込んだガス状の冷媒は、第1のバイパス配管53の第9の領域53c、第8の領域53bを経て室内熱交換器41から戻る冷媒と合流し、第1の膨張弁31、気液分離機80を経て、プレート熱交換器61または室内熱交換器41に流れ、圧縮機2側に戻る。
【0057】
このように、空気調和装置10の暖房運転時に、外気温が低く、室外熱交換器21における熱交換効率が低下する場合でも、全体で必要とされる熱交換の一部をプレート熱交換器61側で実施する。その結果、冷媒の圧縮機23に戻す冷媒のガス化が十分に実際され、良好な暖房運転を行うことができる。また、プレート熱交換器61の併用により室外熱交換器21側での熱交換能力を軽減することが可能となり、室外熱交換器21の小型化が可能になる。なお、室外熱交換器21の小型化により、当該室外熱交換器21における冷媒の滞留量の低減が可能になり、冷媒配管13を循環させる冷媒の総量の低減に寄与することができる。
【0058】
なお、暖房運転を行っている場合、外気温度が低い場合、室外熱交換器21に霜や氷が発生する場合がる。室外熱交換器21に霜や氷が付着すると熱交換率が低下する。そこで、一般的な空気調和装置の場合、圧縮機23で圧縮した高温・高圧のガス状の冷媒を高温・低圧のガス状の冷媒とした後、室内熱交換器41から第1の膨張弁31を経て戻る低圧・低温の液ガス状の冷媒と混合して、室内熱交換器41の除霜を行うホットガス除霜を実施するものがある。ただし、この場合、液体の冷媒が室外熱交換器21に流れ込むため除霜効率が悪く、除霜の時間が長くなるいという問題があった。
【0059】
そこで、本実施形態の空気調和装置10の場合、蓄熱材62に蓄熱した熱量を利用して、室内機12の暖房運転と、室外熱交換器21の除霜を実行する。
図5は、暖房運転(除霜モード)時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【0060】
この場合の空気調和装置10の運転は、例えば、暖房サイクルは室内機12とプレート熱交換器61のサイクルで実行し、除霜は単独処理で実行する。本実施形態の空気調和装置10の場合、第1の開閉弁71を閉弁にすることにより、従前のホットガス除霜のように低温の液ガス状の冷媒が室外熱交換器21に流れ込まないようにしている。その結果、除霜を短時間で実行できる。また、暖房サイクルのガスとホットガス除霜を行った冷媒ガスがガス同士で交わるので、従前のホットガスの様な液冷媒が室内機12側に戻るような不都合も解消できる。
【0061】
本実施形態の空気調和装置10で除霜を行う場合、制御装置14(室外制御装置14a)は、第1の開閉弁71を閉弁、第2の開閉弁72を開弁、第3の開閉弁73を開弁、第4の開閉弁74を閉弁、第5の開閉弁75を開弁する。
【0062】
この場合、制御装置14(室外制御装置14a)は、過熱度SHが、例えば、SH=Su値-T10値≧1℃となるように、第1の膨張弁31を制御する。なお、この制御でも所望の過熱度SHが取れない場合は、第2の膨張弁34も制御して室外熱交換器21に冷媒液を溜めるようにする。
【0063】
この場合、圧縮機23で圧縮された高温・高圧のガス状の冷媒は、第1の配管51の第1の領域51aを流れ蓄熱材62を介して室内熱交換器41に供給されるとともに、第1のバイパス配管53における第7の領域53aを流れてプレート熱交換器61に供給される。また、第2の開閉弁72が開弁しているので、高温・高圧のガス状の冷媒は、第3のバイパス配管55を介して室外熱交換器21に流れる。室内熱交換器41に流れた高温・高圧のガス状の冷媒は、そこで熱交換を行い、中温・高圧の液状の冷媒となり、第2の配管52の第5の領域52aを流れ、第1の膨張弁31により低温・低圧の液ガス混合の冷媒となる。この時、第1の開閉弁71は閉弁しているので、低温の冷媒は室外熱交換器21には流れず、第2のバイパス配管54を介して、全てプレート熱交換器61に流れる。低温の冷媒は、第1のバイパス配管53(第7の領域53a)を流れてプレート熱交換器61に供給された高温の冷媒との間で熱交換され、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻る。また、第2の開閉弁72の開弁により圧縮機23から第3のバイパス配管55を介して室外熱交換器21に供給された高温の冷媒は、室外熱交換器21を通過する際に、当該室外熱交換器21の表面の除霜を行い、四方弁25、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻る。
【0064】
このように、本実施形態の空気調和装置10の場合、除霜モードが実行される場合、室外熱交換器21には、室内機12側から低温の冷媒が流れ込まないため、第3のバイパス配管55を介して流れ込む高温の冷媒によって、効率的かつ短時間で除霜を行うことができる。
【0065】
以上説明された実施形態に係る空気調和装置10は、室内熱交換器41と、室外熱交換器21と、第1の配管51と、第2の配管52と、第1の膨張弁31と、圧縮機23と、四方弁25と、第1のバイパス配管53と、第2のバイパス配管54と、冷媒熱交換器と、を備える。室内熱交換器41は、室内機12に設けられる。室外熱交換器21は、室外機11に設けられる。第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続し、冷媒が流れる。第1の膨張弁31は、第2の配管52に設けられる。圧縮機23は、第1の配管51に設けられ、冷媒を吸入する吸入口23aと、冷媒を吐出する吐出口23bと、を有する。四方弁25は、第1の配管51に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能である。第1のバイパス配管53は、第1の膨張弁31と室内熱交換器41との間の第2の配管52と四方弁25と圧縮機23との間の第1の配管51のいずれか一方と、四方弁25と室内熱交換器41との間の第1の配管51と、を連通させるように流路切替を行う切替弁63を備える。第2のバイパス配管54は、第1の膨張弁31と室外熱交換器21との間の第2の配管52と、四方弁25と室外熱交換器21との間の第1の配管51とを接続する。冷媒熱交換器は、第1のバイパス配管53を流れる冷媒と第2のバイパス配管54を流れる冷媒との間で熱交換を行う。この構成によれば、例えば、熱交交換を冷媒熱交換器と室外熱交換器21とで分担することで、利用する冷媒量の削減や室外熱交換器や室外機の小型化が可能になる。
【0066】
また、冷媒熱交換器は、例えば、積層された複数のプレートに形成された個別流路61cに積層方向に交互に異なる状態の冷媒を通過させることにより熱交換を行うプレート熱交換器61であってもよい。この構成によれば、例えば、高効率の熱交換をコンパクトな構成で実現できる。
【0067】
また、第1の配管51は、例えば、第2のバイパス配管54と第1の配管51の接続部分と、室外熱交換器21と、の間に第2の膨張弁34を備えてもよい。この構成によれば、例えば、室外熱交換器21及びプレート熱交換器61(冷媒熱交換器)における冷媒の流量調整が容易になり、熱交換制御の制動が向上し、空気調和装置10の運転信頼を向上することができる。
【0068】
また、第2の配管52は、当該第2の配管52と第2のバイパス配管54の接続部分に、第2のバイパス配管54に液状態の冷媒を供給する気液分離機80を備えてもよい。この構成によれば、例えば、プレート熱交換器61(冷媒熱交換)での熱交換効率を向上可能となり、空気調和装置10の性能向上に寄与できる。
【0069】
また、第1の配管51は、当該第1の配管51と第1のバイパス配管53との接続部分と四方弁25との間に蓄熱材62を備えてもよい。この構成によれば、例えば、蓄熱材62による蓄冷効果または蓄熱効果により、プレート熱交換器61(冷媒熱交換)における熱交換効率の向上に寄与することができる。
【0070】
また、空気調和装置10は、例えば、第2の配管52における第2のバイパス配管54の接続部分と室外熱交換器21との間に第1の開閉弁71と、第1の配管51と冷媒熱交換器(プレート熱交換器61)とを接続する第1のバイパス配管53と、第1の開閉弁71と室外熱交換器21との間の第2の配管52とを接続する第3のバイパス配管55と、第3のバイパス配管55に設けられた第2の開閉弁72と、を備えてもよい。この構成によれば、暖房運転時の除霜を効率的に行うことができる。
【0071】
なお、上述の説明では、冷媒熱交換器の一例としてプレート熱交換器61を示したが、冷媒間で熱交換が可能な構成でればよく、他の構成の熱交換器を用いても同様の効果を得ることができる。また、上述の実施形態では、暖房運転時のプレート熱交換器61における熱交換効率を向上させるために、気液分離機80を配置したが、プレート熱交換器61における熱交換効率が十分に確保できる場合は、省略してもよい。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10…空気調和装置、11…室外機、12…室内機、13…冷媒配管、14…制御装置、21…室外熱交換器、23…圧縮機、23a…吸入口、23b…吐出口、25…四方弁、31…第1の膨張弁、34…第2の膨張弁、35…第3の膨張弁、41…室内熱交換器、51…第1の配管、52…第2の配管、53…第1のバイパス配管、54…第2のバイパス配管、55…第3のバイパス配管、61…プレート熱交換器(冷媒熱交換)、61c…個別流路、62…蓄熱材、63…切替弁、71…第1の開閉弁、72…第2の開閉弁、73…第3の開閉弁、74…第4の開閉弁、75…第5の開閉弁、80…気液分離機。