IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新パルス電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図1
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図2
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図3
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図4
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図5
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図6
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図7
  • 特開-高電圧半導体スイッチ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034635
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】高電圧半導体スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20240306BHJP
   H03K 17/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139015
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】509321239
【氏名又は名称】日新パルス電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】王 強
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB08
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK03
5J055AX02
5J055BX16
5J055CX07
5J055DX12
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX72
5J055DX83
(57)【要約】
【課題】ノーマリクローズ型及びB接点スイッチと同様の動作ができ、且つ機械式スイッチが有する上記の問題を解決できる高電圧半導体スイッチを提供する。
【解決手段】高電圧半導体スイッチ1Aは、高電圧側に接続される一端2aと、低電圧側に接続される他端2bと、一端2aと他端2bとの間において互いに直列に接続された複数の半導体スイッチング素子3と、入力されるトリガ信号Trに応じて、複数の半導体スイッチング素子3にゲート駆動電圧Vgをそれぞれ提供する複数の絶縁駆動回路4と、複数の絶縁駆動回路4にトリガ信号Trを提供する制御回路5と、を備える。複数の半導体スイッチング素子3はノーマリオン型のみからなる。複数の絶縁駆動回路4には、複数の半導体スイッチング素子3のオン動作が実質的に同時になるようにトリガ信号Trが入力される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧側に接続される一端と、
低電圧側に接続される他端と、
前記一端と前記他端との間において互いに直列に接続された複数の半導体スイッチング素子と、
入力されるトリガ信号に応じて、前記複数の半導体スイッチング素子にゲート駆動電圧をそれぞれ提供する複数の絶縁駆動回路と、
前記複数の絶縁駆動回路に前記トリガ信号を提供する制御回路と、
を備え、
前記複数の半導体スイッチング素子はノーマリオン型のみからなり、
前記複数の絶縁駆動回路には、前記複数の半導体スイッチング素子のオン動作が実質的に同時になるように前記トリガ信号が入力される、高電圧半導体スイッチ。
【請求項2】
複数の第1抵抗素子を更に備え、
前記複数の第1抵抗素子それぞれは、前記複数の半導体スイッチング素子それぞれに対して並列に接続されている、請求項1に記載の高電圧半導体スイッチ。
【請求項3】
第2抵抗素子及び容量素子が互いに直列に接続されてなる複数の直列回路を更に備え、
前記複数の直列回路それぞれは、前記複数の半導体スイッチング素子それぞれに対して並列に接続されている、請求項1に記載の高電圧半導体スイッチ。
【請求項4】
前記トリガ信号が変化してから前記ゲート駆動電圧が変化するまでの時間の、前記複数の絶縁駆動回路間のバラツキが5%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の高電圧半導体スイッチ。
【請求項5】
前記複数の半導体スイッチング素子への電源電圧の低下を検知する電源監視回路を更に備え、
前記複数の半導体スイッチング素子への電源電圧が所定の閾値より低下したことを前記電源監視回路が検知した場合、前記制御回路は、前記複数の半導体スイッチング素子がオン状態になるように前記トリガ信号を出力する、請求項1~3のいずれか1項に記載の高電圧半導体スイッチ。
【請求項6】
前記複数の絶縁駆動回路は、非接触給電手段を介して電源供給を受ける、請求項1~3のいずれか1項に記載の高電圧半導体スイッチ。
【請求項7】
前記トリガ信号は光信号である、請求項1または2に記載の高電圧半導体スイッチ。
【請求項8】
前記複数の半導体スイッチング素子は接合型電界効果トランジスタである、請求項1~3のいずれか1項に記載の高電圧半導体スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧半導体スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体スイッチが記載されている。この半導体スイッチは、第1の半導体スイッチ素子と、第2の半導体スイッチ素子と、制御回路とを備える。第1の半導体スイッチ素子は、第1の電流路及び第1の制御端子を有し、第1の制御端子に印加される信号に応じて第1の電流路を開閉制御する。第2の半導体スイッチ素子は、第2の電流路及び第2の制御端子を有し、第2の制御端子に印加される信号に応じて第2の電流路を開閉制御する。第1の電流路及び第2の電流路は、直列に且つ対称的に接続されている。制御回路は、第1及び第2の制御端子に信号を印加し、直列接続された第1及び第2の電流路の開閉を制御する。
【0003】
特許文献2には、高電圧スイッチが記載されている。この高電圧スイッチは、互いに直列に接続された複数の接合型電界効果トランジスタ(JFET)と、該複数のJFETと直列に接続されたMOS-FETとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-261945号公報
【特許文献2】米国特許第9190993号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばコンデンサ充電回路などの高電圧の回路は、感電防止のため、放電用または接地保護用のスイッチを備える。従来、放電用または接地保護用のスイッチとして、制御コイルを有する機械式の気中リレー、真空リレー、または圧力絶縁ガスリレーといった機械式スイッチが用いられている。これらの機械式スイッチは、電磁コイルに電流が供給または停止されることによって接点の開閉を行う。電磁コイルに給電されないときに接点が開いて導通しないものは、ノーマリオープン型、或いはA接点スイッチと称される。逆に、電磁コイルに給電されないときに接点が閉じて導通するものは、ノーマリクローズ型、或いはB接点スイッチと称される。電源の遮断時に導通させる必要があるため、高電圧回路の放電用または接地保護用のスイッチには、ノーマリクローズ型またはB接点スイッチが必ず用いられる。しかしながら、機械式スイッチは、動作が遅く、また高電圧の放電による、接点からの火花の発生、チャタリングの発生、接点の融着、及び短寿命といった種々の問題を有する。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ノーマリクローズ型及びB接点スイッチと同様の動作ができ、且つ機械式スイッチが有する上記の問題を解決できる高電圧半導体スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上述した課題を解決するために、本発明による高電圧半導体スイッチは、高電圧側に接続される一端と、低電圧側に接続される他端と、一端と他端との間において互いに直列に接続された複数の半導体スイッチング素子と、入力されるトリガ信号に応じて、複数の半導体スイッチング素子にゲート駆動電圧をそれぞれ提供する複数の絶縁駆動回路と、複数の絶縁駆動回路にトリガ信号を提供する制御回路と、を備える。複数の半導体スイッチング素子はノーマリオン型のみからなる。複数の絶縁駆動回路には、複数の半導体スイッチング素子のオン動作が実質的に同時になるようにトリガ信号が入力される。
【0008】
この高電圧半導体スイッチでは、一端と他端との間において互いに直列に接続された複数の半導体スイッチング素子がノーマリオン型のみからなる。ノーマリオン型の半導体スイッチング素子は、ゲート駆動電圧が閾値電圧を超えるとオフ状態となり、ゲート駆動電圧が閾値電圧を超えないとオン状態となる。したがって、ノーマリクローズ型及びB接点スイッチと同様の動作が可能である。また、この高電圧半導体スイッチは、複数の半導体スイッチング素子にゲート駆動電圧を提供するために、各半導体スイッチング素子にそれぞれ対応する複数の絶縁駆動回路を備える。従って、各半導体スイッチング素子に入力されるゲート駆動電圧の立ち下がりタイミングを揃えることが容易にできる。各半導体スイッチング素子に入力されるゲート駆動電圧の立ち下がりタイミングが揃うことによって、複数の半導体スイッチング素子のオン動作が実質的に同時に行われ、一部の半導体スイッチング素子に過大な電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0009】
加えて、この高電圧半導体スイッチでは、機械式スイッチに代えて半導体スイッチング素子を用いるので、機械式スイッチよりも素早く動作でき、且つ、高電圧の放電による、接点からの火花の発生、チャタリングの発生、接点の融着、及び短寿命といった機械式スイッチが有する種々の問題も生じない。
【0010】
[2]上記[1]の高電圧半導体スイッチは、複数の第1抵抗素子を更に備え、複数の第1抵抗素子それぞれは、複数の半導体スイッチング素子それぞれに対して並列に接続されてもよい。これにより、一端と他端との間の直流電圧を各半導体スイッチング素子が分担する割合を、複数の半導体スイッチング素子間で均等に近づけることができる。よって、各半導体スイッチング素子の電圧分担割合を最大化して各半導体スイッチング素子の定格使用電圧に近づけ、高電圧半導体スイッチの全体においてより高電圧のスイッチングを行うことができる。
【0011】
[3]上記[1]または[2]の高電圧半導体スイッチは、第2抵抗素子及び容量素子が互いに直列に接続されてなる複数の直列回路を更に備え、複数の直列回路それぞれは、複数の半導体スイッチング素子それぞれに対して並列に接続されてもよい。これにより、半導体スイッチング素子のスイッチングの際の自己インダクタンスにより生じる電圧パルスを各半導体スイッチング素子が分担する割合を、複数の半導体スイッチング素子間で均等に近づけることができる。よって、各半導体スイッチング素子の電圧分担割合を最大化して各半導体スイッチング素子の定格使用電圧に近づけ、高電圧半導体スイッチの全体においてより高電圧のスイッチングを行うことができる。
【0012】
[4]上記[1]~[3]のうちいずれかの高電圧半導体スイッチにおいて、トリガ信号が変化してからゲート駆動電圧が変化するまでの時間の、複数の絶縁駆動回路間のバラツキが5%以下であってもよい。このように、トリガ信号が変化してからゲート駆動電圧が変化するまでの時間の、複数の絶縁駆動回路間のバラツキが小さいことによって、各半導体スイッチング素子に入力されるゲート駆動電圧の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングが複数の絶縁駆動回路間で精度良く揃うので、一部の半導体スイッチング素子に過大な電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0013】
[5]上記[1]~[4]のうちいずれかの高電圧半導体スイッチは、複数の半導体スイッチング素子への電源電圧の低下を検知する電源監視回路を更に備え、複数の半導体スイッチング素子への電源電圧が所定の閾値より低下したことを電源監視回路が検知した場合、制御回路は、複数の半導体スイッチング素子がオン状態になるようにトリガ信号を出力してもよい。これにより、複数の半導体スイッチング素子への電源電圧が低下したときに各半導体スイッチング素子がオン状態になるタイミングを揃えて、一部の半導体スイッチング素子に過大な電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0014】
[6]上記[1]~[5]のうちいずれかの高電圧半導体スイッチにおいて、複数の絶縁駆動回路は、非接触給電手段を介して電源供給を受けてもよい。これにより、外部からのノイズの影響を低減することができる。
【0015】
[7]上記[1]~[6]のうちいずれかの高電圧半導体スイッチにおいて、トリガ信号は光信号であってもよい。これにより、外部からのノイズの影響を低減することができる。
【0016】
[8]上記[1]~[7]のうちいずれかの高電圧半導体スイッチにおいて、複数の半導体スイッチング素子は接合型電界効果トランジスタであってもよい。これにより、ノーマリオン型の半導体スイッチング素子を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による高電圧半導体スイッチによれば、ノーマリクローズ型及びB接点スイッチと同様の動作ができ、且つ機械式スイッチが有する種々の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係る高電圧半導体スイッチの構成を示す図である。
図2図2は、電源電圧の低下時における、トリガ信号及びゲート駆動電圧の波形の例を示すグラフである。
図3図3は、第1変形例に係る高電圧半導体スイッチの構成を示す図である。
図4図4は、第2変形例に係る高電圧半導体スイッチの構成を示す図である。
図5図5は、第3変形例に係る高電圧半導体スイッチの構成を示す図である。
図6図6は、第4変形例に係る高電圧半導体スイッチの構成を示す図である。
図7図7は、第5変形例に係る高電圧半導体スイッチの構成を示す図である。
図8図8は、トリガ信号、電源電圧、及びゲート駆動電圧の時間波形の変形例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本開示による高電圧半導体スイッチの実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る高電圧半導体スイッチ1Aの構成を示す図である。高電圧半導体スイッチ1Aは、例えばコンデンサ充電回路などの高電圧の回路において、感電防止のために放電用スイッチまたは接地保護用スイッチとして用いられる。高電圧半導体スイッチ1Aは、高電圧側に接続される一端2aと、低電圧側に接続される他端2bとを備える。一端2aと他端2bとの間に印加される電圧は、例えば数kVないし数十kVである。そして、高電圧半導体スイッチ1Aは、N個(Nは2以上の整数)の半導体スイッチング素子3と、N個の絶縁駆動回路(絶縁ゲートドライバ)4と、制御回路5と、を備える。
【0021】
N個の半導体スイッチング素子3は、一端2aと他端2bとの間において互いに直列に接続されている。具体的には、一端2aから数えて第n番目(n=1,2,・・・,N-1)の半導体スイッチング素子3のソース端子が、第(n+1)番目の半導体スイッチング素子3のドレイン端子と接続されている。第1番目の半導体スイッチング素子3のドレイン端子は一端2aと接続されている。第N番目の半導体スイッチング素子3のソース端子は他端2bと接続されている。なお、図において、ソース端子はS、ドレイン端子はD、ゲート端子はGとして示されている。互いに隣り合う半導体スイッチング素子3は実質的に抵抗値がゼロである配線のみによって接続され、互いに隣り合う半導体スイッチング素子3の間には、抵抗、コンデンサ、インダクタ等の回路部品は設けられていない。
【0022】
N個の半導体スイッチング素子3は、ノーマリオン型のみからなる。すなわち、各半導体スイッチング素子3のゲート端子に印加される電圧が閾値電圧を超えると各半導体スイッチング素子3はオフ状態(非導通状態)となり、各半導体スイッチング素子3のゲート端子に印加される電圧が閾値電圧を超えない場合には各半導体スイッチング素子3はオン状態(導通状態)となる。N個の半導体スイッチング素子3がノーマリオン型のみからなる(言い換えると、一端2aと他端2bとの間にノーマリオン型の半導体スイッチング素子が存在しない)ことによって、例えば停電などによりN個の半導体スイッチング素子3への電源電圧が喪失された場合であっても、N個の半導体スイッチング素子3が導通状態を維持することができ、放電動作または接地保護動作を問題なく行うことができる。
【0023】
一例では、各半導体スイッチング素子3は接合型電界効果トランジスタ(JFET)である。一例では、各半導体スイッチング素子3はn型JFETである。近年、インバータ等の用途に、大電流及び高電圧において高速スイッチング動作が可能なSiC系半導体素子が開発されており、特に、ノーマリオン型の半導体スイッチング素子であるJFETが実用化されている。例えば、SiC系半導体から作製されたn型JFETには、定格電圧1700V、定格電流数十Aといった大電力用のものが存在する。JFETは、ノーマリオフ型の半導体スイッチング素子(例えば多くのMOS-FETやIGBT)と異なり、ゲート端子に電圧が印加されない状態では自然に導通状態となっており、ドレイン端子に電圧が印加されると、電流が自然に流れるという特性を有する。
【0024】
N個の半導体スイッチング素子3全てがオン状態(導通状態)であるとき、一端2aと他端2bとの間の電圧は、各半導体スイッチング素子3が有するオン抵抗によって、各半導体スイッチング素子3に均等に分圧される。一端2aと他端2bとの間の最大電圧は、各半導体スイッチング素子3の最大定格電圧のN倍である。各半導体スイッチング素子3の最大定格電圧は、例えば1200V~1700Vであり、一実施例では1200Vである。半導体スイッチング素子3の個数Nは、一端2aと他端2bとの間の最大電圧と、半導体スイッチング素子3の最大定格電圧とに基づいて決定される。一例として、一端2aと他端2bとの間の最大電圧が12kVであり、半導体スイッチング素子3の最大定格電圧が1200Vである場合、半導体スイッチング素子3の個数Nは10と決定される。
【0025】
N個の絶縁駆動回路4それぞれは、N個の半導体スイッチング素子3それぞれと一対一で対応しており、対応する半導体スイッチング素子3の動作特性に適合するように選択された最適な絶縁駆動回路である。各絶縁駆動回路4は、対応する半導体スイッチング素子3のゲート端子に電気的に接続された第1出力端と、対応する半導体スイッチング素子3のソース端子に電気的に接続された第2出力端とを有する。各絶縁駆動回路4は、入力されるトリガ信号Trに応じて、各半導体スイッチング素子3のゲート-ソース間にゲート駆動電圧Vgを提供する。各絶縁駆動回路4は、例えば、正のゲート駆動電圧Vgと負のゲート駆動電圧Vgとを出力可能な正負出力型である。一例では、各絶縁駆動回路4は、各半導体スイッチング素子3をオン状態とするために+3Vのゲート駆動電圧Vgを出力し、各半導体スイッチング素子3をオフ状態とするために-20Vのゲート駆動電圧Vgを出力する。各半導体スイッチング素子3をオン状態とする際、ゲート駆動電圧Vgが大きいほど、各半導体スイッチング素子3のオン抵抗は小さくなる。各半導体スイッチング素子3をオフ状態とする際、ゲート駆動電圧Vgが小さいほど(負のゲート駆動電圧Vgの絶対値が大きいほど)、各半導体スイッチング素子3のオフリーク電流は小さくなる。
【0026】
各絶縁駆動回路4においては、入力されるトリガ信号Trと、出力されるゲート駆動電圧Vgとが電気的に絶縁されている。各絶縁駆動回路4は、入力されるトリガ信号Trが立ち下がると、ゲート駆動電圧Vgを立ち上げて各半導体スイッチング素子3をオンさせる。また、各絶縁駆動回路4は、入力されるトリガ信号Trが立ち上がると、ゲート駆動電圧Vgを立ち下げて各半導体スイッチング素子3をオフさせる。
【0027】
各絶縁駆動回路4は、電源供給側と電源被供給側とが互いに電気的に分離された非接触給電手段(例えば絶縁トランス)を有しており、制御回路5から非接触給電手段を介して電源電圧Pwの供給を受ける。N個の絶縁駆動回路4は、個別に電源電圧Pwの供給を受ける、互いに独立した回路である。電源電圧Pwの大きさは、例えば+24Vである。なお、非接触給電手段は絶縁トランスに限定されない。
【0028】
N個の半導体スイッチング素子3及びN個の絶縁駆動回路4は、気中環境にて使用される。或いは、N個の半導体スイッチング素子3及びN個の絶縁駆動回路4は、高電圧絶縁能力の向上及び高電圧部分放電の防止のために、絶縁モールド材または絶縁ガスなどを使用して、全固体化または密閉化されていてもよい。
【0029】
制御回路5は、N個の絶縁駆動回路4と電気的に接続されており、N個の絶縁駆動回路4にトリガ信号Tr及び電源電圧Pwを提供する。制御回路5は、高電圧半導体スイッチ1Aの外部から光トリガ制御信号Stを受け取り、その光トリガ制御信号Stの立ち上がり/立ち下がりに応じて、トリガ信号Trの立ち上げ/立ち下げを行う。トリガ信号Trは例えばディスクリートの電圧信号であり、高レベル電圧は例えば+5Vまたは+3.5Vであり、低レベル電圧は例えば0Vである。
【0030】
N個の絶縁駆動回路4には、N個の半導体スイッチング素子3のオン動作が実質的に同時になるように制御回路5からトリガ信号Trが入力される。実質的に同時とは、各絶縁駆動回路4の動作特性差や製造誤差等に応じて生じる僅かな(例えば数ナノ秒の)ずれを許容することを意味する。N個の半導体スイッチング素子3のオン動作が実質的に同時であるため、例えば各半導体スイッチング素子3の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が20ナノ秒である場合、高電圧半導体スイッチ1A全体の立ち上がり時間及び立ち下がり時間もほぼ20ナノ秒となる。N個の半導体スイッチング素子3のオン動作を実質的に同時とするのは、一端2aと他端2bとの間の直流電圧を各半導体スイッチング素子3が分担する割合を、N個の半導体スイッチング素子3間で均等に近づけるためである。もし電圧分担が均等でなくなると、或る半導体スイッチング素子3に先ず過電圧が印加され、この半導体スイッチング素子3が破壊されてしまい、更にこの半導体スイッチング素子3が分担すべき電圧が別の半導体スイッチング素子3に移り、その半導体スイッチング素子3も過電圧が印加され破壊されてしまい、以降、各半導体スイッチング素子3が次々に連鎖的に過電圧となり、最終的に全ての半導体スイッチング素子3が破壊されてしまう。
【0031】
各半導体スイッチング素子3の電圧分担を均等にするためには、全ての半導体スイッチング素子3のゲート駆動電圧Vgの立ち上がり時間及び立ち下り時間のバラツキを小さく抑えることが望ましい。そのため、制御回路5においてトリガ信号Trが変化(立ち上がりまたは立ち下がり)してからゲート駆動電圧Vgが変化(立ち上がりまたは立ち下がり)するまでの時間の、N個の絶縁駆動回路4間のバラツキは極めて小さく、例えば5%以下、或いは1%以下とされる。この時間には、トリガ信号Trが或る閾値を上回って(または下回って)からゲート駆動電圧Vgが立ち上がり(または立ち下がり)始めるまでの、いわゆる遅延時間が含まれる。このバラツキを時間で表すと、例えば10ナノ秒以下である。このように立ち上がり時間及び立ち下がり時間のバラツキを小さくするために、N個の絶縁駆動回路4として、多数の絶縁駆動回路の中から動作特性が近い絶縁駆動回路が選択されて用いられる。
【0032】
制御回路5は、N個の半導体スイッチング素子3への電源電圧Pwの低下を検知する電源監視回路を有する。N個の半導体スイッチング素子3への電源電圧Pwが所定の閾値より低下したことを電源監視回路が検知した場合、制御回路5は、オフ状態となっている全ての半導体スイッチング素子3がオン状態になるようにトリガ信号Trを出力する。これにより、N個の半導体スイッチング素子3の電源が喪失する前に、全ての半導体スイッチング素子3を一斉にオン状態とする。その後、N個の半導体スイッチング素子3の電源が喪失しても、各半導体スイッチング素子3のノーマリオン特性により、導通状態は維持される。
【0033】
図2は、電源電圧Pwの低下時における、トリガ信号Tr及びゲート駆動電圧Vgの波形の例を示すグラフである。図2において、波形G11は電源電圧Pwの時間波形を示し、波形G12はトリガ信号Trの時間波形を示し、波形G13はゲート駆動電圧Vgの時間波形を示す。この例では、期間D1において電源電圧Pwが正常なレベルを維持しており、期間D1の後の期間D2、及び期間D2の後のD3において電源電圧Pwが徐々に低下する。期間D1~D3にわたって、トリガ信号Trは一定である。期間D1では、ゲート駆動電圧Vgは各半導体スイッチング素子3をオフ状態とするための正常なレベル(例えば-20V)を維持している。期間D2では、タイミングT1において電源電圧Pwが所定の閾値(例えば電源電圧Pwの正常レベルから12.5%低下したレベル)を下回ると、ゲート駆動電圧Vgは、制御回路5の電源監視回路によって、各半導体スイッチング素子3をオン状態とするための正常なレベル(例えば+4V)に変化する。これにより、N個の半導体スイッチング素子3は一斉にオン状態となる。その後、期間D2において、電源電圧Pwの低下に伴ってゲート駆動電圧Vgも徐々に低下し、期間D3においてゲート駆動電圧Vgは0Vとなる。しかし、各半導体スイッチング素子3は、ノーマリオン型であるためそのままオン状態を維持する。
【0034】
本実施形態の高電圧半導体スイッチ1Aによって得られる効果について、高電圧スイッチが使用される背景とともに説明する。近年、省エネルギー化のために,日常家電製品から工業製品に至るまで、インバータ駆動方式の電動モータが一般的に使用されている。特に自動車分野では、電気自動車が急速に普及しており、高電圧化が特に進んでいる。このため、高電圧モータ用巻線の被膜材料の開発用途や、製造された巻線、モータ、高電圧コンデンサなどの電気部品の検査用途に、高電圧パルスに対する耐性を試験するための装置が必要となる。一つの被試験体の試験が完了した後、安全のために、充電された被試験体や試験装置の回路などを、高電圧スイッチを通じて放電する。同時に、試験装置の出力端を接地して保護する。現在、使用されている放電用または接地保護用のスイッチは、機械式のものである。機械式スイッチは、動作が遅く、また高電圧の放電による、接点からの火花の発生、チャタリングの発生、接点の融着、及び短寿命といった種々の問題を有する。
【0035】
上記の問題を解決するために、考えられるのは無接点の高電圧半導体スイッチである。しかし、CMOS-FETなど多くの高電圧半導体スイッチはノーマリオフ型である。ノーマリオフ型の高電圧半導体スイッチを用いると、停電などによる電源喪失時に、半導体スイッチが自然に非導通状態(オフ状態)となり、放電動作や接地保護動作が行われないという問題がある。すなわち、ノーマリオフ型の高電圧半導体スイッチは、放電用途や接地保護用途の高電圧半導体スイッチとして好適ではない。
【0036】
高電圧半導体スイッチ1Aでは、一端2aと他端2bとの間において互いに直列に接続されたN個の半導体スイッチング素子3がノーマリオン型のみからなる。ノーマリオン型の半導体スイッチング素子3は、ゲート駆動電圧Vgが閾値電圧を超えるとオフ状態となり、ゲート駆動電圧Vgが閾値電圧を超えないとオン状態となる。したがって、ノーマリクローズ型及びB接点スイッチと同様の動作が可能である。よって、停電などによる電源喪失時においても、半導体スイッチが自然に導通状態(オン状態)となり、放電動作や接地保護動作が行われる。
【0037】
また、高電圧半導体スイッチ1Aは、N個の半導体スイッチング素子3にゲート駆動電圧Vgを提供するために、各半導体スイッチング素子3にそれぞれ対応する絶縁駆動回路4を備える。従って、各半導体スイッチング素子3に入力されるゲート駆動電圧Vgの立ち下がりタイミングを揃えることが容易にできる。各半導体スイッチング素子3に入力されるゲート駆動電圧Vgの立ち下がりタイミングが揃うことによって、N個の半導体スイッチング素子3のオン動作が実質的に同時に行われるので、一部の半導体スイッチング素子3に過大な電圧が印加されることを防ぐことができる。これにより、半導体スイッチング素子3の過電圧破壊を防ぐことができ、高電圧半導体スイッチ1Aの信頼性を高めることができる。
【0038】
加えて、本実施形態の高電圧半導体スイッチ1Aでは、機械式スイッチに代えて半導体スイッチング素子3を用いるので、機械式スイッチよりも素早く動作でき、且つ、高電圧の放電による、接点からの火花の発生、チャタリングの発生、接点の融着、及び短寿命といった機械式スイッチが有する種々の問題も生じない。したがって、一回の試験時間が短くなり、また試験の繰り返し回数を増やすことができるので、被試験体の生産性を高めることができる。また、火花ノイズによる精密測定機器への影響を低減し、部分放電のような極めて微小な信号の測定が可能となるので、より正確であり且つ精密な評価を行うことができる。
【0039】
本実施形態のように、トリガ信号Trが変化してからゲート駆動電圧Vgが変化するまでの時間の、N個の絶縁駆動回路4間のバラツキは5%以下であってもよい。このように、トリガ信号Trが変化してからゲート駆動電圧Vgが変化するまでの時間の、N個の絶縁駆動回路4間のバラツキが小さいことによって、各半導体スイッチング素子3に入力されるゲート駆動電圧Vgの立ち上がり及び立ち下がりのタイミングがN個の絶縁駆動回路4間で精度良く揃うので、一部の半導体スイッチング素子3に過大な電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0040】
本実施形態のように、N個の半導体スイッチング素子3への電源電圧Pwが所定の閾値より低下したことを電源監視回路が検知した場合、制御回路5は、N個の半導体スイッチング素子3がオン状態になるようにトリガ信号Trを出力してもよい。これにより、N個の半導体スイッチング素子3への電源電圧Pwが低下したときに各半導体スイッチング素子3がオン状態になるタイミングを揃えて、一部の半導体スイッチング素子3に過大な電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0041】
本実施形態のように、N個の半導体スイッチング素子3はJFETであってもよい。これにより、ノーマリオン型の半導体スイッチング素子3を容易に実現することができる。
【0042】
本実施形態のように、N個の絶縁駆動回路4は、非接触給電手段を介して電源供給を受けてもよい。これにより、外部からのノイズの影響を低減することができる。
(第1変形例)
【0043】
図3は、第1変形例に係る高電圧半導体スイッチ1Bの構成を示す図である。高電圧半導体スイッチ1Bは、上記実施形態の高電圧半導体スイッチ1Aの構成に加えて、N個の抵抗素子7(第1抵抗素子)を更に備える。N個の抵抗素子7それぞれは、N個の半導体スイッチング素子3それぞれと一対一で対応して設けられている。各抵抗素子7は、各半導体スイッチング素子3に対して並列に接続されている。言い換えると、一端2aと他端2bとの間においてN個の抵抗素子7が互いに直列に接続されており、隣り合う2個の抵抗素子7の間のノードは、対応する2個の半導体スイッチング素子3の間のノードに接続されている。抵抗素子7の種類は、例えば耐サージ電圧抵抗である。抵抗素子7の抵抗値は、例えば1MΩ~50MΩである。
【0044】
本変形例のように、N個の抵抗素子7それぞれが、N個の半導体スイッチング素子3それぞれに対して並列に接続されてもよい。これにより、一端2aと他端2bとの間の直流電圧を各半導体スイッチング素子3が分担する割合を、N個の半導体スイッチング素子3間でより均等に近づけることができる。よって、各半導体スイッチング素子3の電圧分担割合を最大化して各半導体スイッチング素子3の定格使用電圧に近づけ、高電圧半導体スイッチ1Bの全体においてより高電圧のスイッチングを行うことができる。
(第2変形例)
【0045】
図4は、第2変形例に係る高電圧半導体スイッチ1Cの構成を示す図である。高電圧半導体スイッチ1Cは、第1変形例の高電圧半導体スイッチ1Bの構成に加えて、N個の直列回路8を更に備える。N個の直列回路8それぞれは、N個の半導体スイッチング素子3それぞれと一対一で対応して設けられている。各直列回路8は、各半導体スイッチング素子3及び各抵抗素子7に対して並列に接続されている。言い換えると、一端2aと他端2bとの間においてN個の直列回路8が互いに直列に接続されており、隣り合う2個の直列回路8の間のノードは、対応する2個の半導体スイッチング素子3の間のノードに接続されている。
【0046】
各直列回路8は、互いに直列に接続された抵抗素子8a(第2抵抗素子)及び容量素子8bを含む、いわゆるRCスナバ回路である。抵抗素子8aの種類は、例えば耐サージ電圧抵抗である。抵抗素子8aの抵抗値は、例えば50Ω~200Ωである。容量素子8bの種類は、例えばセラミックコンデンサである。容量素子8bの容量値は、例えば100pF~1000pFである。
【0047】
本変形例のように、抵抗素子8a及び容量素子8bが互いに直列に接続されてなるN個の直列回路8それぞれが、N個の半導体スイッチング素子3それぞれに対して並列に接続されてもよい。これにより、半導体スイッチング素子3のスイッチングの際の自己インダクタンスにより生じる電圧パルスを各半導体スイッチング素子3が分担する割合を、N個の半導体スイッチング素子3間でより均等に近づけることができる。よって、各半導体スイッチング素子3の電圧分担割合を最大化して各半導体スイッチング素子3の定格使用電圧に近づけ、高電圧半導体スイッチ1Cの全体においてより高電圧のスイッチングを行うことができる。なお、本変形例の高電圧半導体スイッチ1Cは抵抗素子7及び直列回路8の両方を備えているが、高電圧半導体スイッチ1Cは抵抗素子7を備えなくてもよい。
(第3変形例)
【0048】
図5は、第3変形例に係る高電圧半導体スイッチ1Dの構成を示す図である。高電圧半導体スイッチ1Cは、制御回路5から出力されるトリガ信号Trが光信号である点において上記実施形態の高電圧半導体スイッチ1Aと相違し、他の点において高電圧半導体スイッチ1Aと一致する。本変形例では、制御回路5は、例えばN本の光ファイバそれぞれを介して、N個の絶縁駆動回路4それぞれと光学的に接続されている。制御回路5は、光信号であるトリガ信号TrをN個の絶縁駆動回路4に提供する。トリガ信号Trの機能は、上記実施形態と同様である。本変形例のように、トリガ信号Trは光信号であってもよい。これにより、外部からのノイズの影響を低減することができる。
(第4変形例)
【0049】
図6は、第4変形例に係る高電圧半導体スイッチ1Eの構成を示す図である。高電圧半導体スイッチ1Eは、制御回路5から出力されるトリガ信号Trが光信号である点において第1変形例の高電圧半導体スイッチ1Bと相違し、他の点において高電圧半導体スイッチ1Bと一致する。本変形例では、制御回路5は、例えば光ファイバを介して、N個の絶縁駆動回路4と光学的に接続されている。制御回路5は、光信号であるトリガ信号TrをN個の絶縁駆動回路4に提供する。トリガ信号Trの機能は、上記実施形態と同様である。
(第5変形例)
【0050】
図7は、第5変形例に係る高電圧半導体スイッチ1Fの構成を示す図である。高電圧半導体スイッチ1Fは、制御回路5から出力されるトリガ信号Trが光信号である点において第2変形例の高電圧半導体スイッチ1Cと相違し、他の点において高電圧半導体スイッチ1Cと一致する。本変形例では、制御回路5は、例えば光ファイバを介して、N個の絶縁駆動回路4と光学的に接続されている。制御回路5は、光信号であるトリガ信号TrをN個の絶縁駆動回路4に提供する。トリガ信号Trの機能は、上記実施形態と同様である。
(第6変形例)
【0051】
上述した実施形態及び各変形例では、例えばコンデンサ充電回路などの高電圧の回路における、感電防止のための放電用または接地保護用のスイッチとして高電圧半導体スイッチ1A~1Fが用いられる場合を例示したが、高電圧半導体スイッチ1A~1Fは、高電圧パルス変調のために用いられてもよい。
【0052】
図8は、トリガ信号Tr、電源電圧Pw、及びゲート駆動電圧Vgの時間波形の変形例を示すグラフである。図8において、波形G21はトリガ信号Trの時間波形を示し、波形G22は電源電圧Pwの監視電圧の時間波形を示し、波形G23はゲート駆動電圧Vgの時間波形を示す。同図に示されるように、電源電圧Pwは常に一定である。また、この例では、各半導体スイッチング素子3をオン状態とするためのゲート駆動電圧Vgは+5Vであり、各半導体スイッチング素子3をオフ状態とするためのゲート駆動電圧Vgは-20Vである。トリガ信号Trは、時間間隔を空けて並ぶ複数の電圧パルスを含む。複数の電圧パルスの時間幅は任意に変調されており、一定ではない。このため、ゲート駆動電圧Vgもまた時間間隔を空けて並ぶ複数の電圧パルスを含み、複数の電圧パルスの時間幅は任意に変調され、一定ではない。これにより、高電圧半導体スイッチ1A~1Fの導通をパルス幅変調(PWM)することができるので、高電圧半導体スイッチ1A~1Fを、PWM電圧を出力するパルス発生器に用いることができる。
【0053】
本開示による高電圧半導体スイッチは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態ではノーマリオン型の半導体スイッチング素子としてJFETを例示しているが、ノーマリオン型の半導体スイッチング素子はこれに限られない。
【符号の説明】
【0054】
1A~1F…高電圧半導体スイッチ、2a…一端、2b…他端、3…半導体スイッチング素子、4…絶縁駆動回路、5…制御回路、7…抵抗素子(第1抵抗素子)、8…直列回路、8a…抵抗素子(第2抵抗素子)、8b…容量素子、Pw…電源電圧、St…光トリガ制御信号、Tr…トリガ信号、Vg…ゲート駆動電圧。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8