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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034637
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】聴診器
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61B7/04 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139018
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩
(57)【要約】
【課題】聴覚以外において、聴診音を確認可能とする手段を提供すること。
【解決手段】聴診器1は、聴診音を採取するためのピエゾ素子3と、ピエゾ素子3によって採取された聴診音のレベルを表示するレベルメーター4と、を備える。レベルメーター4は、5つの発光ダイオード4a~4eを有する。5つの発光ダイオード4a~4eは、5段階の聴診音のレベルを表示する。聴診器101は、2つのピエゾ素子103と、2つのレベルメーター104と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴診音を採取するためのセンサと、
前記センサによって採取された聴診音のレベルを表示するレベル表示部と、
を備えることを特徴とする聴診器。
【請求項2】
前記レベル表示部は、複数の表示部材を有することを特徴とする請求項1に記載の聴診器。
【請求項3】
前記複数の表示部材は、複数段階の聴診音のレベルを表示することを特徴とする請求項2に記載の聴診器。
【請求項4】
前記センサは、複数であり、
前記レベル表示部は、前記センサの数と同数であり、
複数の前記レベル表示部は、それぞれ、複数の前記センサによって採取された聴診音のレベルを表示することを特徴とする請求項1に記載の聴診器。
【請求項5】
前記複数のセンサは、対象物に接触する接触面に対応する位置に設けられており、
前記複数のレベル表示部は、前記複数のセンサに対応する位置であって、接触面と反対側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の聴診器。
【請求項6】
前記センサは、複数であり、
複数の前記センサのうち、いずれの前記センサによって先にピークが採取されたかを示すピーク表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の聴診器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴診器に関する。
【背景技術】
【0002】
聴診器の中には、マイク等のセンサにより電子的に心音等の音を採取し、採取した音を増幅し、増幅した音を医師等に聴取させる、いわゆる電子聴診器と呼ばれるものがある(例えば、特許文献1参照。)。従来の電子聴診器には、聴診中の聴診音を表示するレベルメーター等の表示部がない。このため、聴診器の使用者(以下、「聴診者」という。)は、最適な聴診位置を見つけることが難しかった。詳述すると、聴診音のレベル確認は、聴診者の聴感のみで行われるため、最適な聴診位置は、聴診者の聴覚によって見つけられることになり、別の手段でダブルチェックする方法もない。また、聴診者以外が、心音等の聴診音の現在のレベル(聴診音の変化)を確認することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-242849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の電子聴診器には、聴診中の聴診音を表示するレベルメーター等の表示部がないため、種々の問題があった。
【0005】
本発明の目的は、聴覚以外において、聴診音を確認可能とする手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の聴診器は、聴診音を採取するためのセンサと、前記センサによって採取された聴診音のレベルを表示するレベル表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、レベル表示部は、センサによって採取された聴診音のレベルを表示する。これにより、聴診器の使用者は、聴覚以外において、聴診音を確認することができる。また、聴診器の使用者以外も、聴診音の現在のレベル(聴診音の変化)を確認することができる。さらに、聴診器の使用者は、聴覚以外において、聴診音を確認することができるため、聴覚に頼らずに、最適な聴診位置を見つけることが可能となる。
【0008】
第2の発明の聴診器は、第1の発明の聴診器において、前記レベル表示部は、複数の表示部材を有することを特徴とする。
【0009】
第3の発明の聴診器は、第2の発明の聴診器において、前記複数の表示部材は、複数段階の聴診音のレベルを表示することを特徴とする。
【0010】
本発明では、複数の表示部材は、複数段階の聴診音のレベルを表示する。例えば、5つの表示部材が、5段階の聴診音のレベルを表示する。これにより、聴診器の使用者は、聴診音のレベルを理解しやすい。
【0011】
第4の発明の聴診器は、第1の発明の聴診器において、前記センサは、複数であり、前記レベル表示部は、前記センサの数と同数であり、複数の前記レベル表示部は、それぞれ、複数の前記センサによって採取された聴診音のレベルを表示することを特徴とする。
【0012】
本発明では、複数のレベル表示部は、それぞれ、複数のセンサによって採取された聴診音のレベルを表示する。これにより、聴診器の使用者は、各センサによって採取された聴診音のレベルを確認することができる。
【0013】
第5の発明の聴診器は、第4の発明の聴診器において、前記複数のセンサは、対象物に接触する接触面に対応する位置に設けられており、前記複数のレベル表示部は、前記複数のセンサに対応する位置であって、接触面と反対側に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、複数のレベル表示部は、複数のセンサに対応する位置であって、接触面と反対側に設けられている。これにより、聴診器の使用者は、各センサによって採取された聴診音のレベルを直感的に確認することができる。
【0015】
第6の発明の聴診器は、第1の発明の聴診器において、前記センサは、複数であり、複数の前記センサのうち、いずれの前記センサによって先にピークが採取されたかを示すピーク表示部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、聴診器の使用者は、聴覚以外において、聴診音を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る聴診器を示す斜視図である。
図2】レベルメーターを示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る聴診器を示す斜視図である。
図4】人体等を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る聴診器を示す斜視図である。
図6】ピークインジケーターを含む聴診器を示す斜視図である。
図7】ピークインジケーターを含む聴診器を示す斜視図である。
図8】1音と2音とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る聴診器1を示す斜視図である。以下では、ピエゾ素子3が設けられ、聴診対象である人体に接触する接触面側を正面、正面と反対側を背面として説明する。聴診器1の使用者は、聴診器1の背面側から、聴診器1を手で握って、聴診器1の正面側を聴診対象に当てて、使用する。
【0020】
聴診器1は、正面視、略砂時計形状である。聴診器1は、筐体2と、ピエゾ(圧電)素子3と、等を備える。筐体2は、内部に、プリント基板、バッテリー等を収容する。聴診器1の正面側に、1つのピエゾ素子3が設けられている。ピエゾ素子3は、聴診音を採取するためのものである。ピエゾ素子3は、扁平な略円盤形状である。
【0021】
筐体2は、透明である。このため、筐体2の内部が、外部から視認可能となっている。筐体2の内部に、レベルメーター4(レベル表示部)が設けられている。レベルメーター4は、ピエゾ素子3によって採取された聴診音のレベルを表示する。図2は、レベルメーター4を示す図である。レベルメーター4は、5つ(複数)の発光ダイオード4a~4e(表示部材)を有する。5つの発光ダイオード4a~4eは、5段階の聴診音のレベルを表示する。例えば、聴診音のレベルが5段階のうち、「1」である場合、図2に示すように、1つの発光ダイオード4aが点灯する。例えば、聴診音のレベルが5段階のうち、「5」である場合、5つ全ての発光ダイオード4a~4eが発光する。
【0022】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る聴診器101を示す斜視図である。第1実施形態に係る聴診器1と、第2実施形態に係る聴診器101と、の主な相違点は、以下のとおりである。
(1)聴診器1は、1つのピエゾ素子3を備えているが、聴診器101は、2つのピエゾ素子103を備えている。
(2)聴診器1は、1つのレベルメーター4を備えているが、聴診器101は、2つのレベルメーター104を備えている。
以下、聴診器101について、聴診器1と異なる点を中心に説明する。
【0023】
聴診器101は、筐体102と、2つのピエゾ素子103と、2つのレベルメーター104と、等を備える。筐体102は、筐体2と同様の構成である。ピエゾ素子103は、ピエゾ素子3と同様の構成である。レベルメーター104は、レベルメーター4と同様の構成である(図2参照。)。ピエゾ素子103とレベルメーター104とは、同数(2つ)である。
【0024】
聴診器101の正面側に、2つのピエゾ素子103が設けられている。2つのピエゾ素子103は、それぞれ、人体(対象物)に接触する接触面に対応する位置に設けられている。以下、図3において、右側に位置するピエゾ素子103を、CH1のピエゾ素子103、左側に位置するピエゾ素子103を、CH2のピエゾ素子103ともいう。
【0025】
聴診器101は、上述のとおり、2つのレベルメーター104を備える。2つのレベルメーター104は、透明な筐体102の内部に設けられている。2つのレベルメーター104は、それぞれ、ピエゾ素子103に対応する位置であって、接触面と反対側(背面側)に設けられている。すなわち、2つのレベルメーター104は、それぞれ、ピエゾ素子103の上部に設けられている。2つレベルメーター104は、それぞれ、ピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルを表示する。すなわち、2つのレベルメーター104は、それぞれ、下部に位置するピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルを表示する。以下、右側に位置するレベルメーター104、すなわち、CH1のピエゾ素子103の上部に位置する(CH1のピエゾ素子103に対応する)レベルメーター104を、CH1のレベルメーター104ともいう。また、左側に位置するレベルメーター104、すなわち、CH2のピエゾ素子103の上部に位置する(CH2のピエゾ素子103に対応する)レベルメーター104を、CH2のレベルメーター104ともいう。
【0026】
例えば、CH1のピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルが「1」であれば、対応するCH1のレベルメーター104は、1つの発光ダイオード104aを点灯する。また、CH2のピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルが「2」であれば、対応するCH2のレベルメーター104は、2つの発光ダイオード104bを点灯する。
【0027】
図4は、人体等を示す図である。聴診器101によって心音を採取する場合、使用者は、CH1のピエゾ素子103が心基部側に、CH2のピエゾ素子103が心尖側に位置するように、聴診器101を人体に接触させる。
【0028】
従来の聴診器では、聴診時に正しい位置に聴診器があてられているかをフィードバックする手段がなかった。例えば、心音において、一般的に、心尖では、1音が大きく、心基部では、2音が大きい。2つのピエゾ素子103のうち、CH1のピエゾ素子103が心基部、CH2のピエゾ素子103が心尖の位置近くにあわされたとき、聴診器101は、2つのピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルをそれぞれ表示する2つのレベルメーター104を備えているため、同時刻の1音と2音との音量差異が、レベルメーター104によって明確となる。すなわち、使用者は、レベルメーター104によって、1音、2音のタイミングを知ることができる。
【0029】
図5は、1音及び2音の大きさ等を示す図である。図5のグラフにおいて、縦軸は、心音(1音、2音)の振幅、横軸は、時間を示している。図5に示すように、心尖近くに位置するCH2のピエゾ素子103が、1音のレベルを大きく採取したとき、心基部近くに位置するCH1のピエゾ素子103よって採取される聴診音は、小さくなる。従って、CH2のレベルメーター104によって、聴診音のレベルが大きく表示され、CH1のレベルメーター104によって、聴診音のレベルが小さく表示されるか、又は、聴診音のレベルが「0」と表示される。
【0030】
一方、心基部近くに位置するCH1のピエゾ素子103が、2音のレベルを大きく採取したとき、心尖近くに位置するCH2のピエゾ素子103よって採取される聴診音は、小さくなる。従って、CH1のレベルメーター104によって、聴診音のレベルが大きく表示され、CH2のレベルメーター104によって、聴診音のレベルが小さく表示されるか、又は、聴診音のレベルが「0」と表示される。
【0031】
図6、及び、図7に示すように、聴診器101は、さらに、ピークインジケーター105(ピーク表示部)を備える。ピークインジケーター105は、2つのピエゾ素子103のうち、いずれのピエゾ素子103によって先にピークが採取されたかを示す。すなわち、ピークインジケーター105は、2つのピエゾ素子103のうち、いずれのピエゾ素子103が先にピークを検出したかを示す。ピークインジケーター105は、例えば、2つの矢印形状の発光ダイオード105a、105bから構成されている。発光ダイオード105aの矢印の先端は、CH1のピエゾ素子103、レベルメーター104側を向いている。発光ダイオード105bの矢印の先端は、CH2のピエゾ素子103、レベルメーター104側を向いている。
【0032】
図8は、1音と2音とを示す図である。一般に、心音の場合、1音から2音の間隔よりも、2音から1音までの間隔の方が長い。これを利用して、CH1のピエゾ素子103、CH2のピエゾ素子104のどちらが先にピークを検出したか、をピークインジケーター105で表示することができる。図6では、ピークインジケーター105は、CH1のピエゾ素子103が先にピークを検出したことを示している。図7では、ピークインジケーター105は、CH2のピエゾ素子103が先にピークを検出したことを示している。
【0033】
なお、ピーク順比較器の検出時定数は、1音と2音との間隔程度に設定される。
【0034】
以上説明したように、第1及び第2実施形態では、レベルメーター4(104)は、ピエゾ素子3(103)によって採取された聴診音のレベルを表示する。これにより、聴診器1(101)の使用者は、聴覚以外において、聴診音を確認することができる。また、聴診器1(101)の使用者以外も、聴診音の現在のレベル(聴診音の変化)を確認することができる。さらに、聴診器の使用者1(101)は、聴覚以外において、聴診音を確認することができるため、聴覚に頼らずに、最適な聴診位置を見つけることが可能となる。
【0035】
また、第1及び第2実施形態では、5つ(複数)の発光ダイオード4a~4e(104a~104e)は、5(複数)段階の聴診音のレベルを表示する。これにより、聴診器の使用者は、聴診音のレベルを理解しやすい。
【0036】
また、第2実施形態では、2つ(複数)のレベルメーター104は、それぞれ、2つ(複数)のピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルを表示する。これにより、聴診器の使用者は、各ピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルを確認することができる。
【0037】
また、第2実施形態では、2つ(複数)のレベルメーター104は、2つ(複数)のピエゾ素子103に対応する位置であって、接触面と反対側に設けられている。すなわち、2つのレベルメーター104は、それぞれ、2つのピエゾ素子103の上部に設けられている。これにより、聴診器101の使用者は、各ピエゾ素子103によって採取された聴診音のレベルを直感的に確認することができる。
【0038】
また、第2実施形態では、ピークインジケーター105は、2つ(複数)のピエゾ素子103のうち、いずれのピエゾ素子103によって先にピークが採取されたかを示す。これにより、CH1のピエゾ素子103が、心尖側に位置され、CH2のピエゾ素子103が、心尖側に位置される、逆当てを防止することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0040】
上述の第1実施形態では、ピエゾ素子3が1つ、第2実施形態では、ピエゾ素子103が2つ設けられている。これに限らず、ピエゾ素子は、3つ以上設けられている。この場合、レベルメーターは、ピエゾ素子と同数設けられていてもよい。
【0041】
上述の第2実施形態では、2つのピエゾ素子103に対して、2つのレベルメーター104が設けられている。これに限らず、レベルメーターは、1つであってもよい。この場合、レベルメーターは、2つのピエゾ素子の平均レベルを表示するようになっていてもよい。
【0042】
上述の第1及び第2実施形態では、筐体2(102)は、透明であり、レベルメーター4(104)は、筐体2(102)の内部に設けられている。これに限らず、レベルメーター4(104)は、不透明な筐体2(102)の、外部から視認可能な位置に設けられていてもよい。
【0043】
上述の第1及び第2実施形態では、レベルメーター4(104)は、発光ダイオード4a~4e(104a~104e)を有するが、発光ダイオード以外の表示部材によって、聴診音のレベルを表示するようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、聴診器に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0045】
1、101 聴診器
2、102 筐体
3、103 ピエゾ素子(センサ)
4、104 レベルメーター(レベル表示部)
4a~4e、104a~104e 発光ダイオード(表示部材)
105 ピークインジケーター(ピーク表示部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8