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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034649
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】検出装置および判定システム
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/00 20060101AFI20240306BHJP
   H01H 33/668 20060101ALI20240306BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01H33/00 A
H01H33/668 K
G01R19/00 B
G01R19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139041
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岩城 健
(72)【発明者】
【氏名】林 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】大木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 千秋
【テーマコード(参考)】
2G035
5G026
5G027
【Fターム(参考)】
2G035AA09
2G035AA10
2G035AB01
2G035AB04
2G035AC01
2G035AD10
2G035AD15
2G035AD18
5G026KA02
5G026KA07
5G027AA30
(57)【要約】
【課題】配線の効率化を実現することができる。
【解決手段】検出装置(10)は、直流信号を生じさせる測温センサ(3)と、交流信号を生じさせるアンテナセンサ(4)と、前記アンテナセンサに一端側で接続される同軸ケーブル(2)と、前記同軸ケーブルの他端側に接続されるノード(N1)と直流信号受信回路(12)との間に配置される交流信号ブロック素子(L)と、前記ノードと交流信号受信回路(11)との間に配置される直流信号ブロック素子(C)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流信号を生じさせる第1センシング素子と、
前記第1センシング素子と接続される、交流信号を生じさせる第2センシング素子と、
前記第1センシング素子または前記第2センシング素子に一端側で接続されるケーブルと、
前記直流信号を受信する直流信号受信回路と、
前記交流信号を受信する交流信号受信回路と、
前記ケーブルの他端側に接続される第1ノードと、前記直流信号受信回路との間に配置される、前記交流信号をブロックする交流信号ブロック素子と、
前記第1ノードと、前記交流信号受信回路との間に配置される、前記直流信号をブロックする直流信号ブロック素子と、を備える、検出装置。
【請求項2】
前記ケーブルは3線式のケーブルであり、
前記交流信号ブロック素子と前記直流信号受信回路との間に、3線式ブリッジ回路が配置されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記ケーブルは2線式のケーブルであり、
前記交流信号ブロック素子と前記直流信号受信回路との間に、2線式ブリッジ回路が配置されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1センシング素子は、温度を検出するための測温センサである、請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1センシング素子は、圧力を検出するための圧力センサである、請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第2センシング素子は、アンテナセンサである、請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の検出装置と、遮断器とを備え、
前記遮断器は、
タンクと、
前記タンクの内部に収容された真空バルブと、を備え、
前記第1センシング素子および前記第2センシング素子は、前記タンクの内部に配置されている、判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流信号と交流信号とを検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空容器の内部に相互に接触、離間が可能な一対の接点が設けられている真空バルブ(真空インタラプタ)が知られている。真空バルブは、例えば、電力遮断設備に設けられた真空遮断器に設置されて、電路の遮断を行う。このような真空バルブにおいて、真空容器の内部の真空度が低下すると絶縁性能、すなわち遮断性能が低下してしまう。そのため、真空容器の内部の真空度の低下を判定する技術が求められている。
【0003】
特許文献1には、放電測定回路(電流センサ)にて放電信号を検出し、表示装置(外部機器)にて当該放電信号を受信することで、上述の絶縁性能を監視(真空度の低下を判定)する技術が開示されている。ここで、電流センサへの電力供給と電流センサからの放電信号の受信とは表示装置と電流センサとの間に接続された1本の同軸ケーブルで実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-145326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、単一のセンサに対して1本の同軸ケーブルを用いて電力の供給と信号の受信とを実施している。そのため、真空バルブに複数のセンサを取り付ける場合、各センサに対応する複数の同軸ケーブルを用いる必要がある。すなわち、特許文献1の技術では複数のセンサと外部機器との配線数が多くなるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、配線の効率化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検出装置は、直流信号を生じさせる第1センシング素子と、前記第1センシング素子と接続される、交流信号を生じさせる第2センシング素子と、前記第1センシング素子または前記第2センシング素子に一端側で接続されるケーブルと、前記直流信号を受信する直流信号受信回路と、前記交流信号を受信する交流信号受信回路と、前記ケーブルの他端側に接続される第1ノードと、前記直流信号受信回路との間に配置される、前記交流信号をブロックする交流信号ブロック素子と、前記第1ノードと、前記交流信号受信回路との間に配置される、前記直流信号をブロックする直流信号ブロック素子と、を備える。
【0008】
また、前記ケーブルは3線式のケーブルであり、前記交流信号ブロック素子と前記直流信号受信回路との間に、3線式ブリッジ回路が配置されていてもよい。また、前記ケーブルは2線式のケーブルであり、前記交流信号ブロック素子と前記直流信号受信回路との間に、2線式ブリッジ回路が配置されていてもよい。
【0009】
また、前記第1センシング素子は、温度を検出するための測温センサであってもよい。また、前記第1センシング素子は、圧力を検出するための圧力センサであってもよい。また、前記第2センシング素子は、アンテナセンサであってもよい。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定システムは、前記検出装置と、遮断器とを備え、前記遮断器は、タンクと、前記タンクの内部に収容された真空バルブと、を備え、前記第1センシング素子および前記第2センシング素子は、前記タンクの内部に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、配線の効率化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る判定システムの要部構成を示す模式図である。
図2】上記判定システムの検出装置の回路構成を示す図である。
図3】上記検出装置における同軸ケーブルの内部構成を示す図である。
図4】上記検出装置の回路構成をより詳細に示す図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る検出装置の回路構成を示す図である。
図6】上記検出装置における同軸ケーブルの内部構成を示す図である。
図7】上記検出装置の回路構成をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
図1は、判定システム1000の要部構成を示す模式図である。図1に示すように、判定システム1000は、検出装置10および遮断器5を備える。まず、検出装置10の構成に先立ち、遮断器5の構成について以下に説明する。
【0014】
(遮断器5の概略構成)
遮断器5(開閉装置)は、タンク50と、第1電路51と、第2電路52とを備える。図1は模式図であり、第2電路52の一部の図示は省略している。遮断器5は、例えば、電力遮断設備における電路の遮断を行うために用いられる。遮断器5としては、真空遮断器(VCB)、ガス遮断器(GCB)などが挙げられる。
【0015】
タンク50は後述する真空バルブ60を収容する密閉タンクである。遮断器5がガス遮断器である場合、タンク50には絶縁性ガス(例えばドライエア)が充填される。
【0016】
第1電路51は、電力遮断設備における一方(図1における上側)の電路である。第2電路52は、電力遮断設備における他方(図1における右側)の電路である。第1電路51および第2電路52は、タンク50を貫通し、タンク50の内部に導入される。
【0017】
真空バルブ60は、真空容器61と、一対の接点(不図示)とを備える。真空容器61は、所定の真空度に保たれており、第1電路51および第2電路52とそれぞれ接続される一対の接点を収容する。一対の接点は、操作部(不図示)の動作により接点の接続・切り離し(真空バルブ60の開閉動作)が行われる構成となっている。
【0018】
ここで、真空容器61が真空状態を保っている限り、真空バルブ60の開動作時に一対の接点間に発生するアークは拡散し、消弧される。すなわち、電路の遮断が可能である。一方、真空容器61内の真空度が低下すると、真空バルブ60の絶縁性能、すなわち遮断性能が低下してしまう。このような真空容器61内の真空度の低下に伴う真空バルブ60の遮断性能の低下を防ぐために、本実施形態に係る判定システム1000では、真空容器61の真空度の低下(変化)を判定するための検出装置10を設ける。
【0019】
検出装置10は、判定装置1と、同軸ケーブル2(ケーブル)と、測温センサ3と、アンテナセンサ4と、を備える。判定装置1は、測温センサ3およびアンテナセンサ4と同軸ケーブル2により接続されている。測温センサ3およびアンテナセンサ4は、真空バルブ60との絶縁性を確保しつつタンク50の内部に設けられる。判定装置1は、測温センサ3およびアンテナセンサ4が検出した物理情報を用いて真空容器61の真空度の低下を判定する。
【0020】
真空容器61での真空漏れが発生すると、真空容器61の外部から気体分子が混入する。
【0021】
真空バルブ60が閉極状態においてこの真空漏れが発生すると、真空容器61の内部において部分放電が発生する。アンテナセンサ4はこのような部分放電を検出するセンサである。例えば、アンテナセンサ4は、部分放電に伴う電磁波、部分放電電流、またはTEV(Transition Earth Voltage:過渡接地電圧)信号(以下、このような信号を部分放電に関する信号と称する)を検出するセンサである。アンテナセンサ4が部分放電を検出したとき、判定装置1は、真空容器61の真空度が低下したと判定する。アンテナセンサ4に代えて接地線電流を検出するセンサとしてもよい。
【0022】
ここで、真空バルブ60が閉極状態において真空劣化が更に進展すると、やがて真空容器61内の圧力はタンク50内の元々の圧力付近で圧力平衡する。真空容器61内の圧力が所定の圧力以上になると、それまで発生していた部分放電は発生しなくなることが分かっている。そのため、真空容器61が正常な真空状態からタンク50内の元々の圧力付近まで圧力平衡するような状態まで急速に真空劣化が進展した場合は、アンテナセンサ4によって部分放電が検出できない可能性がある。
【0023】
この時に、真空劣化状態で開極動作の指令が出された場合は、導通している一対の接点を切り離した後(事故電流遮断または負荷電流遮断の後)もアークが継続し、真空容器61内およびタンク50内のガスの温度および圧力は時間経過とともに上昇する。測温センサ3はこのようなタンク50内のガスの温度の上昇を検出するセンサである。測温センサ3がタンク50内のガスの温度の上昇を検出したとき、判定装置1は、真空バルブ60の真空劣化状態あるいはその他の要因によりタンク50内で過熱異常が発生していると判定する。
【0024】
また、真空バルブ60の一対の接点が切り離されている状態(開極静動作状態)において、真空容器61での真空漏れが発生すると、その真空劣化の進展に伴い、部分放電発生、アーク発生と遷移していくため、同様の異常検出動作を行う事が出来る。
【0025】
(検出装置10の構成)
図2は、検出装置10の構成を示す図である。図3は、検出装置10における同軸ケーブル2の内部構成を示す図である。図2に示すように、検出装置10は、判定装置1と、同軸ケーブル2と、測温センサ3(第1センシング素子)と、アンテナセンサ4(第2センシング素子)と、コンデンサ素子C(直流信号ブロック素子)と、インダクタンス素子L(交流信号ブロック素子)とを備える。検出装置10のこれらの構成要素について、図2および図3を参照して以下に説明する。
【0026】
測温センサ3は、タンク50内のガスの温度を検出するための測温抵抗体である。測温センサ3は、タンク50内のガスの温度に応じた抵抗値を有する。これにより、測温センサ3は、タンク50内のガスの温度に基づく直流信号を生じさせる。測温センサ3は、例えばPt100と呼ばれる白金測温抵抗体である。なお、測温センサ3としては、これに限定されるものではなく、タンク50内のガスの温度を検出できる素子(例えば熱電対)であればよい。
【0027】
アンテナセンサ4は、真空バルブ60内で発生する部分放電を検出するアンテナである。アンテナセンサ4は、当該部分放電に基づく交流信号を生じさせる。アンテナセンサ4は、例えば平板状のアンテナである。当該平板状のアンテナは抵抗値が略0Ωのものである。アンテナセンサ4は、コイルアンテナであってもよい。
【0028】
同軸ケーブル2は、判定装置1と測温センサ3およびアンテナセンサ4とを接続するためのケーブルである。同軸ケーブル2は、直流信号および交流信号を含む出力信号を判定装置1側に伝送する。図3に示すように、同軸ケーブル2は、内側から順に、内部導体21、第1絶縁体22、第1外部導体23、第2絶縁体24、第2外部導体25、および被覆26を備える3線式(3D-2T構造)の同軸ケーブルである。
【0029】
コンデンサ素子Cは、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、直流信号をブロックする素子である。すなわち、コンデンサ素子Cは、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、アンテナセンサ4が生じさせた交流信号のみを通過させる。
【0030】
インダクタンス素子Lは、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、交流信号をブロックする素子である。すなわち、インダクタンス素子Lは、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、測温センサ3が生じさせた直流信号のみを通過させる。インダクタンス素子Lは、例えば配線上に設けられるチョークコイルである。
【0031】
判定装置1は、交流信号受信回路11と、直流信号受信回路12と、3線式ブリッジ回路13とを備える。判定装置1は、上述の測温センサ3およびアンテナセンサ4が出力する出力信号に基づき、真空容器61の真空度の低下を判定する。
【0032】
交流信号受信回路11は、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、アンテナセンサ4が生じさせた交流信号(アンテナセンサ4が検出した部分放電に関する信号)を受信する回路である。交流信号受信回路11は、部分放電に関する信号を受信したとき、真空容器61の真空度が低下したと判定する。例えば、交流信号受信回路11は、所定の周波数範囲の交流信号の強度が閾値以上であった場合、真空容器61の真空度が低下したことを示す信号を出力する。
【0033】
直流信号受信回路12は、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、測温センサ3が生じさせた直流信号を受信する回路である。直流信号受信回路12は、後述する3線式ブリッジ回路13から出力される出力電圧Voutを測温センサ3が生じさせた直流信号として受信する。直流信号受信回路12は、当該出力電圧Voutから、測温センサ3の抵抗値を特定する。また、直流信号受信回路12は、測温センサ3の抵抗値に対応するタンク50内のガスの温度を特定する。直流信号受信回路12は、タンク50内のガスの温度の上昇を検出したとき、真空容器61の真空度が低下したと判定する。例えば、直流信号受信回路12は、タンク50内の温度が閾値以上であった場合、真空容器61の真空度が低下したことを示す信号を出力する。直流信号受信回路12は、タンク50内の温度を示す信号を出力してもよい。
【0034】
3線式ブリッジ回路13は、測温センサ3の抵抗値の変化(すなわち、タンク50内のガスの温度の変化)を検出するための回路である。3線式ブリッジ回路13の詳細な回路構成については図4を参照して後述する。
【0035】
次に、検出装置10の回路構成について、図2を参照して以下に説明する。測温センサ3およびアンテナセンサ4は、同軸ケーブル2を介して判定装置1と接続されている。
【0036】
アンテナセンサ4は、測温センサ3に直列接続されている。アンテナセンサ4は、内部導体21の一端側に接続されている。内部導体21の他端側は、ノードN1(第1ノード)に接続されている。ノードN1は、コンデンサ素子Cを挟んで交流信号受信回路11と接続されている。また、ノードN1は、インダクタンス素子L(および3線式ブリッジ回路13)を挟んで直流信号受信回路12と接続されている。具体的には、ノードN1は、インダクタンス素子Lを挟んでノードN3と接続されている。ノードN3は、抵抗R1を挟んでノードN4と接続されている。また、ノードN3は、直流信号受信回路12と接続されている。ノードN4は、電源VCCと接続されている。また、ノードN4は、抵抗R2を挟んでノードN5と接続されている。ノードN5は、直流信号受信回路12と接続されている。
【0037】
測温センサ3は、ノードN2に接続されている。ノードN2は、第1外部導体23の一端側と接続されている。また、ノードN2は、第2外部導体25の一端側と接続されている。第1外部導体23の他端側は、インダクタンス素子Lを挟んで3線式ブリッジ回路13に接続されている。第2外部導体25の他端側は、3線式ブリッジ回路13に接続されている。具体的には、第1外部導体23の他端側は、インダクタンス素子Lおよび抵抗R3を挟んでノードN5に接続されている。第2外部導体25の他端側は、GNDに接地されている。
【0038】
以上の構成により、コンデンサ素子Cは、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号を出力するノードN1と、交流信号受信回路11との間に設けられる。これにより、交流信号受信回路11は、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、交流信号のみを受信することができる。また、インダクタンス素子Lは、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号を出力するノードN1と、直流信号受信回路12との間に設けられる。これにより、直流信号受信回路12は、測温センサ3およびアンテナセンサ4からの出力信号のうち、直流信号のみを受信することができる。
【0039】
それゆえ、ノードN1から分岐する2つの配線経路にそれぞれコンデンサ素子Cおよびインダクタンス素子Lを設けることで、ノードN1に出力される出力信号をそれぞれ交流信号および直流信号に分けることができる。したがって、2つのセンシング素子(測温センサ3およびアンテナセンサ4)からの出力信号を1本の同軸ケーブルにより受信することができる。そのため、各センサに対して気密端子(コネクタ)を対象の装置に設ける必要がなくなる。また、各センサに対応する複数の同軸ケーブルを用いる必要がなくなる。すなわち、配線の効率化を実現することができる。
【0040】
図4は、検出装置10の回路構成をより詳細に示す図である。3線式ブリッジ回路13を用いることの利点について、図4を参照して以下に説明する。なお、図4において、アンテナセンサ4から判定装置1のノードN3までのケーブルにおける抵抗をケーブル抵抗Rx1と表している。また、測温センサ3から判定装置1の抵抗R3と接続する端子までのケーブルにおける抵抗をケーブル抵抗Rx2と表している。また、測温センサ3から判定装置1のGNDと接続する端子までのケーブルにおける抵抗をケーブル抵抗RxGと表している。
【0041】
図4に示すように、直流信号受信回路12は、ノードN3とノードN5とから出力される出力電圧Vout(ノードN3とノードN5との電圧差)を測定する。ノードN3の電圧は、ケーブル抵抗RxG、測温センサ3、ケーブル抵抗Rx1、抵抗R1の抵抗値によって決定される。また、ノードN5の電圧は、ケーブル抵抗RxG、ケーブル抵抗Rx2、抵抗R3、抵抗R2の抵抗値によって決定される。ここで、ケーブルの長さ、材質等を適宜選択することで、ケーブル抵抗Rx1とケーブル抵抗Rx2との抵抗値を近付けることができる。そのため、出力電圧Voutにおいて、ケーブル抵抗Rx1による寄与と、ケーブル抵抗Rx2による寄与とは相殺される。したがって、直流信号受信回路12は、抵抗R1~R3の抵抗値を適切に設定することにより、測温センサ3の抵抗値の変化を出力電圧Voutとして適切に検出することができる。すなわち、3線式ブリッジ回路13を用いることにより、ケーブル抵抗による影響を低減することができる。
【0042】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0043】
図5は、実施形態2に係る検出装置110の回路構成を示す図である。図6は、検出装置110における同軸ケーブル102の内部構成を示す図である。実施形態2では、測温センサ3の抵抗値の変化を検出するための回路として3線式ブリッジ回路13の代わりに2線式ブリッジ回路113を用いている点で、実施形態1とは異なる。また、2線式ブリッジ回路113を用いることに伴い、3線式の同軸ケーブル2の代わりに2線式の同軸ケーブル102を用いている点で、実施形態1とは異なる。
【0044】
図5に示すように、検出装置110は、判定装置101と、同軸ケーブル102と、測温センサ3と、アンテナセンサ4と、コンデンサ素子Cと、インダクタンス素子Lとを備える。判定装置101は、交流信号受信回路11と、直流信号受信回路12と、2線式ブリッジ回路113とを備える。2線式ブリッジ回路113は、測温センサ3の抵抗値の変化(すなわち、タンク50内のガスの温度の変化)を検出するための回路である。2線式ブリッジ回路113の詳細な回路構成については図7を参照して後述する。
【0045】
図6に示すように、同軸ケーブル102は、内側から順に、内部導体121、絶縁体122、外部導体123、および被覆124を備える2線式(3D-2V構造)の同軸ケーブルである。
【0046】
検出装置110の回路構成について、図5を参照して以下に説明する。実施形態1と同様に、測温センサ3およびアンテナセンサ4は、同軸ケーブル102を介して判定装置101と接続されている。
【0047】
アンテナセンサ4は、測温センサ3に直列接続されている。アンテナセンサ4は、内部導体121の一端側に接続されている。内部導体121の他端側は、ノードN1に接続されている。ノードN1は、インダクタンス素子Lを挟んでノードN11と接続されている。ノードN11は、抵抗R1を挟んでノードN12と接続されている。また、ノードN11は、直流信号受信回路12と接続されている。ノードN12は、電源VCCと接続されている。また、ノードN12は、抵抗R2を挟んでノードN13と接続されている。ノードN13は、直流信号受信回路12と接続されている。
【0048】
測温センサ3は、外部導体123の一端側が接続されている。外部導体123の他端側は、ノードN14に接続されている。ノードN14は、抵抗R3を挟んでノードN13と接続されている。また、ノードN14は、GNDに接地されている。
【0049】
このような構成においても、実施形態1と同様に、2つのセンシング素子(測温センサ3およびアンテナセンサ4)からの出力信号を1本の同軸ケーブルにより受信することができる。すなわち、配線の効率化を実現することができる。また、2線式ブリッジ回路113を用いることにより、一般的に使用される2線式の同軸ケーブルを検出装置110に適用することができる。
【0050】
図7は、検出装置110の回路構成をより詳細に示す図である。なお、図7において、アンテナセンサ4から判定装置1のノードN11までのケーブルにおける抵抗をケーブル抵抗Rx1と表している。また、測温センサ3からノードN14までのケーブルにおける抵抗をケーブル抵抗Rx2と表している。
【0051】
図7に示すように、直流信号受信回路12は、ノードN11とノードN13とから出力される出力電圧Vout(ノードN11とノードN13との電圧差)を測定する。ノードN11の電圧は、ケーブル抵抗Rx2、測温センサ3、ケーブル抵抗Rx1、抵抗R1の抵抗値によって決定される。また、ノードN13の電圧は、抵抗R3、抵抗R2の抵抗値によって決定される。ここで、ケーブル抵抗Rx1、Rx2の抵抗値を測温センサ3の抵抗値に比べて十分小さくなるようにケーブルの長さ、材質等を選択することで、出力電圧Voutにおける、ケーブル抵抗Rx1による寄与と、ケーブル抵抗Rx2による寄与とを無視することができる。したがって、直流信号受信回路12は、抵抗R1~R3の抵抗値を適切に設定することにより、測温センサ3の抵抗値の変化を出力電圧Voutとして適切に検出することができる。すなわち、2線式ブリッジ回路113を用いる検出装置110においても、ケーブルの長さ、材質等を適切に選択することで、測温センサ3の抵抗値の変化を出力電圧Voutとして適切に検出することができる。
【0052】
(変形例)
なお、以上の説明では、遮断器5における真空容器61の真空度の低下を判定するために真空バルブ60の部分放電およびタンク50内のガスの温度を検出する判定装置1を例示した。しかしながら、本実施形態に係る判定装置1が検出する物理情報としてはこれらに限定されない。例えば、判定装置1は、測温センサ3が検出するタンク50内のガスの温度の代わりに、圧力センサが検出するタンク50内のガスの圧力を検出してもよい。また、判定装置1が判定する対象としては、真空容器61の真空度に限定されない。判定装置1は少なくとも、2つのセンシング素子が生じさせた直流信号および交流信号を用いて判定する装置であればよい。
【0053】
また、検出装置10,110の構成としては、図2および図5に示すものに限定されない。例えば、測温センサ3とアンテナセンサ4との順番を入れ替えてもよい。また、測温センサ3およびアンテナセンサ4は同軸ケーブル2,102におけるいずれの導体に接続されてもよい。また、ケーブルとして、同軸ケーブルに限らず、任意のケーブルを用いることができる。
【0054】
また、検出装置10,110においては、ブリッジ回路を用いて測温センサ3の抵抗値の変化を検出したが、単に測温センサ3の抵抗値を測定する構成としてもよい。例えば、図7に示した2線式ブリッジ回路において、ノードN12とノードN13とを結ぶ配線およびノードN13とノードN14とを結ぶ配線を取り除き、直流信号受信回路12は、ノードN11における電圧を測定してもよい。
【0055】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1、101 判定装置
2、102 同軸ケーブル
3 測温センサ(第1センシング素子)
4 アンテナセンサ(第2センシング素子)
5 遮断器
10、110 検出装置
11 交流信号受信回路
12 直流信号受信回路
13 3線式ブリッジ回路
113 2線式ブリッジ回路
50 タンク
60 真空バルブ
1000 判定システム
N1 第1ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7