(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003465
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明器具および制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20240105BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20240105BHJP
H05B 45/22 20200101ALI20240105BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B45/12
H05B45/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102640
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 健吾
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA01
3K273PA02
3K273PA03
3K273QA07
3K273SA04
3K273SA06
3K273SA38
3K273SA45
3K273SA46
3K273TA04
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA77
3K273TA78
3K273UA15
3K273UA22
3K273UA26
3K273VA02
(57)【要約】
【課題】ユーザ等により照明器具の光色の補正が可能な照明制御システム、照明器具および制御装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明制御システムは、光色の異なる複数の光源を有し、前記複数の光源が設定値に応じた調光レベルで点灯する照明器具と、前記照明器具が発する光の色度と照度を測定する測定器と、前記設定値と前記測定器が測定した前記色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する情報端末と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光色の異なる複数の光源を有し、前記複数の光源が設定値に応じた調光レベルで点灯する照明器具と、
前記照明器具が発する光の色度と照度を測定する測定器と、
前記設定値と前記測定器が測定した前記色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する情報端末と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記照明器具は、
光色の異なる複数の第1光源を有し、前記複数の第1光源が第1設定値に応じた調光レベルで点灯する第1光源部と、
光色の異なる複数の第2光源を有し、前記複数の第2光源が第2設定値に応じた調光レベルで点灯する第2光源部と、
を備え、
前記情報端末は、前記第1設定値と、前記第2光源部が消灯した状態で測定された色度と照度の前記測定値とから、前記第1光源部が発する光を前記目標色度に近づけるように前記第1設定値を補正することを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記情報端末は、前記複数の光源を前記光色毎に順番に点灯させて、前記複数の光源それぞれの色度と照度の前記測定値を取得し、前記設定値と前記複数の光源それぞれの前記測定値とから、前記照明器具が発する光を前記目標色度に近づけるように前記設定値を補正することを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記情報端末は、前記設定値と前記測定値とから、前記照明器具が発する光を目標照度に近づけるように前記設定値を補正することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記情報端末は、前記設定値の補正後の前記複数の光源の消費電力が前記設定値の補正前の値以下となるように、前記設定値を補正することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記目標色度は外部から設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
光色の異なる複数の光源を有する光源部と、
前記複数の光源を設定値に応じた調光レベルで点灯させる照明制御部と、
前記設定値を情報端末に送信し、前記設定値と前記光源部が発する光の色度と照度の測定値とに基づき、前記光源部が発する光を目標色度に近づける前記設定値の補正情報を前記情報端末から受信する通信部と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項8】
光色の異なる複数の光源を有する照明器具の調光レベルの設定値と、前記照明器具が発する光の色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システム、照明器具および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定空間に設けられた照明負荷の相関色温度を調節する調色、および照明負荷の光出力を可変として所定空間の照度を調整する調光を行う照明制御装置が開示されている。この照明制御装置では、午前中の所定時刻から正午付近までの第1の時間帯において、照明負荷の相関色温度を第1の相関色温度に調節し、所定空間の照度を第1の照度に調節する。また、第1の時間帯以降に設定した午後の第2の時間帯において、照明負荷の相関色温度を、第1の相関色温度から第2の相関色温度まで時間の経過に伴って低下させ、所定空間の照度を、第1の照度から第2の照度まで時間の経過に伴って低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるように、サーカディアンリズム等の人間の生体リズムにとって好ましい光環境を、一日を通して生成する照明システムが考案されている。このような照明システムでは、相関色温度が互いに異なる複数種類のLED素子の発光量を増減することによって、調色および調光が行われる。
【0005】
しかしながらLEDでは、累積使用時間によって光束の低下または色度の変化が生じる場合がある。また、一般に光束の低下率および色度の変化量は一様ではなく、LEDの構造、LEDの光色または使用温度条件等によって異なる。よって、光源の発光色が多いほど初期の特性を保つことが難しい。
【0006】
コーニス照明は、壁面などの被照射面を間接光で彩り、やわらかな光のグラデーションで上質な空間を演出する。コーニス照明では、複数の照明器具を連結して設置することが多い。このように複数の照明器具が設置される場合、照明器具の発光状態の個体差が使用者の目に留まり易いことが想定される。例えば、複数の照明器具の設置年または使用頻度が異なる場合に、発光状態の個体差は生じ易い。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、ユーザ等により照明器具の光色の補正が可能な照明制御システム、照明器具および制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る照明制御システムは、光色の異なる複数の光源を有し、前記複数の光源が設定値に応じた調光レベルで点灯する照明器具と、前記照明器具が発する光の色度と照度を測定する測定器と、前記設定値と前記測定器が測定した前記色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する情報端末と、を備える。
【0009】
本開示に係る照明器具は、光色の異なる複数の光源を有する光源部と、前記複数の光源を設定値に応じた調光レベルで点灯させる照明制御部と、前記設定値を情報端末に送信し、前記設定値と前記光源部が発する光の色度と照度の測定値とに基づき、前記光源部が発する光を目標色度に近づける前記設定値の補正情報を前記情報端末から受信する通信部と、を備える。
【0010】
本開示に係る制御装置は、光色の異なる複数の光源を有する照明器具の調光レベルの設定値と、前記照明器具が発する光の色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る照明制御システム、照明器具および制御装置では、照明器具の調光レベルの設定値と、照明器具が発する光の色度と照度の測定値とから、照明器具が発する光を目標色度に近づけるように設定値が補正される。従って、照明器具の光色の補正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る照明制御システムを説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明器具の斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る情報端末の表示例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る情報端末の表示例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る情報端末の表示例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る照明制御システムにおける光色の補正のフローを示す図である。
【
図9】実施の形態2に係る照明制御システムを説明する図である。
【
図10】実施の形態2に係る照明器具の斜視図である。
【
図11】実施の形態2に係る照明器具の断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る照明制御システムにおける光色の補正のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
各実施の形態に係る照明制御システム、照明器具および制御装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするために誇張されていることがある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100を説明する図である。照明制御システム100は、照明器具50と測定器80と情報端末10を備える。照明器具50が照らす照明空間は、例えばオフィスの執務エリア、会議室、リフレッシュスペースである。照明空間は、老人福祉施設、病院、一般住宅であっても良い。照明制御システム100が備える照明器具50は1つ以上であれば良い。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示すブロック図である。まず、照明器具50について説明する。照明器具50は、制御部20、点灯回路30および光源部40を備える。照明器具50は、例えば空間の天井に取り付けられて空間を照明するベースライトである。光源部40は、光色の異なる複数の光源40a、40bを有する。光源40a、40bは例えば色温度が異なるLEDである。点灯回路30は、例えば複数の光源40a、40bの各々に調光レベルに対応する定電流を供給し、複数の光源40a、40bを点灯させる電源回路である。点灯回路30は、例えばスイッチング回路である。制御部20は、複数の光源40a、40bを設定値に応じた調光レベルで点灯させるように点灯回路30を制御する。
【0016】
制御部20は、通信部21、照明制御部22および記憶部23を備える。通信部21は情報端末10に複数の光源40a、40bの調光レベルの設定値を送信する。また、通信部21は情報端末10から、後述する補正された設定値を受信する。照明制御部22は、受信した設定値を記憶部23に記憶する。照明制御部22は、複数の光源40a、40bを設定値に応じた調光レベルで点灯させる。
【0017】
照明制御部22は、例えば、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路などによって実現される。記憶部23には、照明制御部22が実行する制御プログラムおよび設定値等が記憶される。記憶部23は、例えば不揮発性メモリ等の半導体メモリである。
【0018】
図3は、実施の形態1に係る照明器具50の斜視図である。
図3は、実施の形態1に係る照明器具50からカバーを取り外した状態を示す図である。
図2、3では2種の光源40a、40bが示されているが、光源部40は光色が異なる3つ以上の光源を有しても良い。光源40a、40bの各々は、例えば発光素子としてLEDを用いたSMD(SurfaceMountDevice)型の発光モジュールである。光源40a、40bの各々は、COB(ChipOnBoard)型の発光モジュールであっても良い。
図3に示されるように、照明器具50は例えば平面視で円形である。これに限らず照明器具50は、平面視で矩形であっても良い。照明器具50は、シーリングライト、ダウンライトまたはスポットライトであっても良い。
【0019】
次に測定器80について説明する。測定器80は、照明器具50が発する光の色度および照度を測定する。測定器80は色彩照度計とも呼ばれる。
図1に示されるように、測定器80は例えば受光部81が照明器具50の直下に配置された状態で、色度および照度を測定する。測定器80はBluetooth(登録商標)等により情報端末10と通信しても良い。測定器80による測定値は情報端末10に送信される。なお、情報端末10が測定器80の役割を担っても良い。
【0020】
次に情報端末10について説明する。情報端末10は、照明器具50から受信した設定値と、測定器80が測定した色度と照度の測定値とから、照明器具50が発する光を目標色度に近づけるように設定値を補正する制御装置である。また情報端末10は、照明器具50から受信した設定値と、測定器80が測定した色度と照度の測定値とから、照明器具50が発する光を目標照度に近づけるように設定値を補正しても良い。
【0021】
情報端末10は、例えば電池駆動のスマートフォンである。情報端末10の機能は、例えばスマートフォンまたはタブレット端末などの汎用装置に専用のアプリケーションがインストールされることで実現される。情報端末10は、例えば照明器具50がオフィスに設置される場合、設備管理官などが照明器具50をメンテナンスするために操作する装置であっても良い。情報端末10は、照明器具メンテナンスシステムに対する専用装置であっても良い。情報端末10は、照明器具50に組み込まれた制御ユニットであっても良い。
【0022】
情報端末10は、例えば操作受付部11、制御部12、通信部14、記憶部15および表示部16を備える。表示部16には、設定値を補正するための指示等が表示される。操作受付部11は、例えば設定値を補正のための指示に基づくユーザによる操作を受け付ける。操作受付部11は、目標色度、目標照度、測定器80の測定値等の入力を受け付けても良い。操作受付部11は、タッチパネルまたはハードウェアボタンなどによって実現される。
【0023】
通信部14は、照明器具50から設定値を受信する。また通信部14は、測定器80から、色度および照度の測定値を受信する。制御部12は、設定値および測定値を記憶部15に記憶する。記憶部15には、制御部12が実行する制御プログラムも記憶される。この制御プログラムは、制御部12が、照明器具50の調光レベルの設定値と、照明器具50が発する光の色度と照度の測定値に基づき、照明器具50が発する光を目標色度に近づけるように設定値を補正するためのプログラムである。情報端末10がスマートフォンまたはタブレット端末等の汎用の情報端末によって実現される場合、記憶部15には情報端末10を動作させるための専用のアプリケーションがインストールされる。記憶部15は、例えば不揮発性メモリ等の半導体メモリである。
【0024】
制御部12は、照明器具50の調光レベルの設定値と、照明器具50が発する光の色度と照度の測定値に基づき、照明器具50が発する光を目標色度に近づけるように設定値を補正する。また制御部12は、照明器具50の調光レベルの設定値と、照明器具50が発する光の色度と照度の測定値に基づき、照明器具50が発する光を目標照度に近づけるように設定値を補正する。設定値は、例えば光源40a、40bの各々の定電流値である。設定値は光源40a、40bの各々の調光率であっても良い。制御部12は、例えばマイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。
【0025】
通信部14は、制御部12が算出した、光源部40が発する光を目標色度に近づけるための設定値の補正情報を通信部21に送信する。なお、照明器具50の通信部21が受信する補正情報は、補正された設定値そのものでも良く、元の設定値からの変化量等でも良い。
【0026】
通信部14と照明器具50および測定器80との間で行われる通信は、有線通信であっても良いし、無線通信であっても良い。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。また、情報端末10と照明器具50との間にサーバが介在しても良い。
【0027】
次に、設定値の補正の手順について説明する。設定値の補正は、例えば事業者から照明器具50のユーザに無料で提供されるサポートシステムの一環として行われる。事業者は、例えば予め登録された利用者登録情報を活用し、3年毎等の予め定められた頻度でオフィシャルメンテナンスの案内をユーザに送信する。ユーザから光の色が気になる等の返信があった場合、事業者はメンテナンスパックの案内をユーザに送信する。メンテナンスの手順は以下の通りである。まず、事業者からユーザに測定器80を提供する(ステップ1)。またユーザは、自身の情報端末10に設定値を補正するためのアプリケーションをインストールする(ステップ2)。次にユーザは、補正の対象となる照明器具50の周囲の照明を消灯し、測定器80を用いて照明器具50の色度および照度を測定する(ステップ3)。次に、情報端末10はアプリケーションにより、設定値を補正する(ステップ4)。補正の完了後、ユーザは測定器80を事業者に返送する(ステップ5)。
【0028】
図4~6は、実施の形態1に係る情報端末10の表示例を示す図である。
図4~6において情報端末10の表示部16には、設定値を補正するためのアプリケーションによる指示が表示されている。
図4に示されるように、情報端末10には色度および照度の測定方法が表示される。このようにユーザは、情報端末10の表示に従って設定値の補正を行うことができる。
【0029】
測定器80は、調整する照明器具50の真下に配置することが好ましい。測定器80の高さは任意で良い。一方、照度は照明器具50との距離によって値が変化する。このため、色度に加えて明るさのズレも補正する場合は、測定器80と照明器具50との距離は予め定められた距離に設定されると良い。この場合、例えば測定器80は床面から1m等の予め定められた高さに配置され、測定が行われる。もしくは、明るさの補正をするために、測定器80と照明器具50との距離または測定器80の高さが情報端末10に入力されても良い。この場合、ユーザは測定器80と照明器具50との距離または測定器80の高さを計測して、アプリケーションに入力する。これにより、情報端末10において照度から光束を算出することができる。
【0030】
また色度および照度の測定時には、補正する照明器具50以外の照明からの光と外光は、遮断されることが好ましい。通常、複数の照明器具が一つのブロックとして、まとめて制御されることが多い。本実施の形態の補正を行うために、各照明器具50を個別に制御できるように設定しておくと良い。
【0031】
色度および照度の測定値は、測定器80から情報端末10に送信されても良い。また、
図5、6に示されるように測定結果をユーザが情報端末10に入力しても良い。
図5には、ユーザが補正前の色度の測定値を情報端末10に入力した状態が示されている。
図6には、ユーザが補正後の色度の測定値を情報端末10に入力した状態が示されている。また、測定器80が示す測定値は、ユーザが情報端末10のカメラで読み取ることで情報端末10に入力されても良い。
【0032】
図7は、実施の形態1に係る照明制御システム100における光色の補正のフローを示す図である。まず、補正対象の照明器具50を点灯させる。情報端末10には、照明器具50の調光レベルの設定値が送信される。また、測定器80によって照明器具50の色度と照度の測定が行われ、測定値が情報端末10に送信される。情報端末10は受信した設定値と測定値から、設定値の補正値を算出する。
【0033】
ここで、補正値の算出方法について説明する。
図8は色度図を説明する図である。光源40aの色度座標を(x
1,y
1)、明るさをY
1とする。光源40bの色度座標を(x
2,y
2)、明るさをY
2とする。また、光源40a、40bの混合色、つまり照明器具50が発する光の色度座標を(x
3,y
3)、明るさをY
3とする。このとき、x
3、y
3、Y
3は、以下の計算式(1)~(3)から求める事ができる。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
このように、照明器具50の色度は、光源40a、40bの色度と明るさに基づき決定される。設定値の補正値は、色度の測定値と目標色度との差から算出される。明るさの補正を行う場合は、設定値の補正値は、照度の測定値と目標照度との差も考慮して算出される。情報端末10は、算出された補正情報を照明器具50に送信する。照明器具50は、補正された設定値に応じた調光レベルで、複数の光源40a、40bを点灯させる。
【0038】
次に、照明器具50が補正された設定値に応じた調光レベルで点灯した状態で、測定器80により再び色度と照度の測定が行われる。測定値は情報端末10に送信される。これにより情報端末10は、補正結果を確認する。情報端末10は、例えば補正後の測定値と目標色度および目標照度との差分が予め定められた値より小さければ、補正完了と判別する。差分が予め定められた値より大きい場合、情報端末10は再び補正値を算出し、補正情報を照明器具50に送信する。このように、設定値の補正は、補正完了と判別されるまで繰り返される。
【0039】
次に、本実施の形態の効果について説明する。本実施の形態によれば、照明器具50の光色の補正が可能となる。ここで、例えばロボット掃除機などのサポートシステムでは、掃除機を宅配便で集荷し、工場でメンテナンスを実施することがある。一方、照明器具は建物の天井等に設置され、取り付けおよび取り外しには電気工事が発生する。従って、照明器具を工場でメンテナンスすることは容易ではない。これに対し本実施の形態では、ユーザにより容易に光色を補正することができる。また、事業者側からメンテナンスを提案することで、ユーザからのクレームを抑制でき、顧客満足度を向上させることができる。また、ユーザにより補正が実施できることで、メンテナンスのための費用を抑制できる。
【0040】
なお本実施の形態では、設定値と、色度および照度の測定値を用いて、照明器具50の色度と照度を補正する例を示した。これに限らず、照明器具50の色度を補正し、照度は補正しなくても良い。なお、式(1)~(3)から分かるように、照度は色度の補正に伴い自ずと変化する。
【0041】
情報端末10は、設定値の補正後の複数の光源40a、40bの消費電力が、設定値の補正前の値以下となるように、設定値を補正すると良い。設定値の補正により、光源40a、40bの電流値が調整される。設定値は、光源40aの電流Aと電圧Vをかけ合わせた電力VAと、光源40bの電流Aと電圧Vをかけ合わせた電力VAとの合計が、補正前の値を上回らないように補正されると良い。一般に、明るさよりも光色の違いの方が、人間の眼に認識され易い。このような補正によれば、電力を抑制しつつ、光色を適切な値に維持できる。
【0042】
一般に、LEDは使用時間の経過に伴い明るさが低下する。このため、明るさを保とうとすると消費電力が増加する。このような明るさの低下を考慮して、初期の電力を実力よりも低くに設定しておくと良い。
【0043】
目標色度、目標照度は、外部から設定可能であっても良い。目標色度、目標照度は、通信部14を介してサーバ等から更新されても良い。目標色度、目標照度は、操作受付部11を介してユーザから入力されても良い。また、表示部16等に目標色度、目標照度の選択肢が表示され、ユーザが目標色度、目標照度を選択できても良い。
【0044】
図4~6に示されるようなアプリケーションにおいて、チャット等でオペレータの助力が得られる機能が設けられても良い。また、本実施の形態ではユーザが設定値の補正を実行する例を示した。これに限らず、例えば事業者の従業員が照明器具50の設置場所を訪問して、設定値の補正を実施しても良い。
【0045】
また本実施の形態では、複数の光源40a、40bを全て点灯させて色度および照度を測定した。これに限らず情報端末10は、複数の光源40a、40bを光色毎に順番に点灯させて、複数の光源40a、40bそれぞれの色度および照度の測定値を取得しても良い。つまり、光源40aのみを点灯させて測定値を取得し、次に光源40bのみを点灯させて測定値を取得する。この場合、情報端末10は、設定値と、複数の光源40a、40bそれぞれの色度および照度の測定値とから、照明器具50が発する光を目標色度に近づけるように設定値を補正する。また情報端末10は、設定値と、複数の光源40a、40bそれぞれの照度の測定値とから、照明器具50が発する光を目標照度に近づけるように設定値を補正しても良い。
【0046】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御システム、照明器具および制御装置について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御システム、照明器具および制御装置については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0047】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る照明制御システム200を説明する図である。照明制御システム200では、照明器具250の構造が照明制御システム100と異なる。
図10は、実施の形態2に係る照明器具250の斜視図である。
図11は、実施の形態2に係る照明器具250の断面図である。照明器具250の光源部240は、例えば天空を模倣して部屋を照明する。照明器具250は青空照明とも呼ばれる。光源部240は光源61、62と発光部64とフレーム70とを有する。光源61は発光部64に向けて光を発する。発光部64は、光源61から入射した光を全反射によって導光しつつ、散乱させて光出射面である前面64aから出射する。
【0048】
フレーム70は、発光部64の前面64aに壁状の部分73を有している。フレーム70は、例えば透光性部材である。フレーム70は、光を拡散させる光拡散材を含んでも良い。フレーム70は、前面64aの前の空間を囲うように形成されている。フレーム70は、前面64aから離れるほど前面64aの前の空間が広がるように、前面64aの法線に対して傾斜しても良い。フレーム70は、4つの面で構成されているが、フレーム70を構成する部分73の数は4面以外であっても良い。また、フレーム70は、曲面を含んでも良い。フレーム70は、少なくとも発光部64の光出射面の光出射方向に位置する部位を含めば良い。
【0049】
光源61は、光色の異なる複数の第1光源を含む。複数の第1光源は、第1設定値に応じた調光レベルで点灯する。光源61は、第1光源として例えば、青色LEDと、白色LEDと、緑色LEDとを有する。発光部64に天空を模倣させるための光源61は、日の出、朝、昼にかけて青空の色が変化するように、発光状態が変化する。具体的には、時間の経過に伴い三色のLEDの合計光束を徐々に増やしながら、青色の光束比を少なく、緑色および白色の光束比を増やす。これにより発光部64は、紫がかった深い青色から日中の青空の色に変化する。発光部64は、曇り空または夕焼けを模倣しても良い。光源61は、夕焼けを表現するために、橙色のLEDを含んでも良い。
【0050】
光源62は、光色の異なる複数の第2光源を含む。複数の第2光源は、第2設定値に応じた調光レベルで点灯する。光源62は、第2光源として例えば色温度の異なる2種類の白色LEDを有する。光源62は、フレーム70の外側に配置されており、フレーム70の外側から光を照射する。光源62で発せられた光は、フレーム70に入射し、フレーム70を通過、または拡散および透過して、フレーム70の表面から前面64aの前の空間に出射される。発光部64が窓を模擬するときに、フレーム70は窓枠を模擬することができる。
【0051】
光源61、光源62の各々は、実施の形態1に係る光源部40と同様に制御される。照明器具250は
図2に示されるような制御部20および点灯回路30を備える。点灯回路30は、光源61、62に別個に設けられても良い。照明器具250は、通信部21によって第1設定値、第2設定値を情報端末10に送信し、補正された第1設定値、第2設定値を情報端末10から受信する。
【0052】
情報端末10は、第1設定値と、光源62が消灯した状態で測定された照明器具250の色度と照度の測定値とから、光源61が発する光を第1目標色度に近づけるように第1設定値を補正する。同様に情報端末10は、第2設定値と、光源61が消灯した状態で測定された照明器具250の色度と照度の測定値とから、光源62が発する光を第2目標色度に近づけるように第2設定値を補正する。
【0053】
図12は、実施の形態1に係る照明制御システム200における光色の補正のフローを示す図である。まず、情報端末10は光源61を点灯させ、光源62を消灯させる。情報端末10には、光源61の調光レベルの第1設定値が送信される。また、測定器80によって光源61の色度と照度の測定が行われ、測定値が情報端末10に送信される。情報端末10は受信した第1設定値と測定値から、第1設定値の補正値を算出する。情報端末10は、算出された補正情報を照明器具250に送信する。照明器具250は、補正された第1設定値に応じた調光レベルで、光源61を点灯させる。
【0054】
次に、光源61が補正された第1設定値に応じた調光レベルで点灯した状態で、測定器80により再び色度と照度の測定が行われる。測定値は情報端末10に送信される。これにより情報端末10は、補正結果を確認する。情報端末10は、例えば補正後の測定値と目標色度および目標照度との差分が予め定められた値より小さければ、補正完了と判別する。差分が予め定められた値より大きい場合、情報端末10は再び補正値を算出し、補正情報を照明器具250に送信する。このように、第1設定値の補正は、補正完了と判別されるまで繰り返される。
【0055】
第1設定値の補正完了後、情報端末10は光源62を点灯させ、光源61を消灯させる。情報端末10には、光源62の調光レベルの第2設定値が送信される。また、測定器80によって光源62の色度と照度の測定が行われ、測定値が情報端末10に送信される。情報端末10は受信した第2設定値と測定値から、第2設定値の補正値を算出する。情報端末10は、算出された補正情報を照明器具250に送信する。照明器具250は、補正された第2設定値に応じた調光レベルで、光源62を点灯させる。
【0056】
次に、光源62が補正された第2設定値に応じた調光レベルで点灯した状態で、測定器80により再び色度と照度の測定が行われる。測定値は情報端末10に送信される。これにより情報端末10は、補正結果を確認する。第1設定値と同様に、第2設定値の補正は、補正完了と判別されるまで繰り返される。
【0057】
照明器具に発光部が2つある場合は、測定器80の測定値は2つの発光部の合成光となり、測定器80は何れの発光部からの光であるかを区別できない。また、照明器具250のように複数の光源61、62がある場合、光色の変化は特に大きな問題となる。本実施の形態では、光源61、62の一方を点灯させ、他方を消灯させた状態で、測定および補正を行う。これにより、発光部が複数ある場合にも設定値を適切に補正できる。
【0058】
また本実施の形態においても、情報端末10は、複数の第1光源および複数の第2光源を光色毎に順番に点灯させて、複数の第1光源および複数の第2光源それぞれの色度および照度の測定値を取得しても良い。つまり、光源61、62に含まれる5色のLEDのうち1色のみを点灯させて測定値を取得することを、5色のLEDについて順番に実施する。この場合、情報端末10は、設定値と、5色のLEDそれぞれの色度と照度の測定値とから、照明器具250が発する光を目標色度に近づけるように設定値を補正する。また情報端末10は、設定値と、5色のLEDそれぞれの色度と照度の測定値とから、照明器具250が発する光を目標照度に近づけるように設定値を補正する。
【0059】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0060】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
光色の異なる複数の光源を有し、前記複数の光源が設定値に応じた調光レベルで点灯する照明器具と、
前記照明器具が発する光の色度と照度を測定する測定器と、
前記設定値と前記測定器が測定した前記色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する情報端末と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
(付記2)
前記照明器具は、
光色の異なる複数の第1光源を有し、前記複数の第1光源が第1設定値に応じた調光レベルで点灯する第1光源部と、
光色の異なる複数の第2光源を有し、前記複数の第2光源が第2設定値に応じた調光レベルで点灯する第2光源部と、
を備え、
前記情報端末は、前記第1設定値と、前記第2光源部が消灯した状態で測定された色度と照度の前記測定値とから、前記第1光源部が発する光を前記目標色度に近づけるように前記第1設定値を補正することを特徴とする付記1に記載の照明制御システム。
(付記3)
前記情報端末は、前記複数の光源を前記光色毎に順番に点灯させて、前記複数の光源それぞれの色度と照度の前記測定値を取得し、前記設定値と前記複数の光源それぞれの前記測定値とから、前記照明器具が発する光を前記目標色度に近づけるように前記設定値を補正することを特徴とする付記1に記載の照明制御システム。
(付記4)
前記情報端末は、前記設定値と前記測定値とから、前記照明器具が発する光を目標照度に近づけるように前記設定値を補正することを特徴とする付記1から付記3の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記5)
前記情報端末は、前記設定値の補正後の前記複数の光源の消費電力が前記設定値の補正前の値以下となるように、前記設定値を補正することを特徴とする付記1から付記4の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記6)
前記目標色度は外部から設定可能であることを特徴とする付記1から付記5の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記7)
光色の異なる複数の光源を有する光源部と、
前記複数の光源を設定値に応じた調光レベルで点灯させる照明制御部と、
前記設定値を情報端末に送信し、前記設定値と前記光源部が発する光の色度と照度の測定値とに基づき、前記光源部が発する光を目標色度に近づける前記設定値の補正情報を前記情報端末から受信する通信部と、
を備えることを特徴とする照明器具。
(付記8)
光色の異なる複数の光源を有する照明器具の調光レベルの設定値と、前記照明器具が発する光の色度と照度の測定値とから、前記照明器具が発する光を目標色度に近づけるように前記設定値を補正する制御装置。
【符号の説明】
【0061】
10 情報端末、11 操作受付部、12 制御部、14 通信部、15 記憶部、16 表示部、20 制御部、21 通信部、22 照明制御部、23 記憶部、30 点灯回路、40 光源部、40a、40b 光源、50 照明器具、61、62 光源、64 発光部、64a 前面、70 フレーム、73 部分、80 測定器、81 受光部、100、200 照明制御システム、240 光源部、250 照明器具