(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034653
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】水系液状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20240306BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240306BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240306BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/34
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139046
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 隆充
(72)【発明者】
【氏名】依田 恵子
(72)【発明者】
【氏名】坂田 宗紀
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC482
4C083AC532
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD162
4C083CC14
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】顔料が分離せずに保存安定性に優れ、鮮やかに発色し、しかも、塗布後の密着性がよく、柔らかさに優れた水系液状化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)黒酸化チタン、
(B)シリカ処理された赤酸赤鉄又は黄酸化鉄、
(C)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体及びスチレンと(メタ)アクリル酸を構成単位とする共重合体から選ばれる1種以上のポリマー、
(D)ポリビニルピロリドン、
(E)1,3-ブチレングリコール
を含有し、成分(D)に対する成分(A)及び(B)の合計量の質量割合((A)+(B))/(D)が、5~30である、水系液状化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)黒酸化チタン、
(B)シリカ処理された赤酸赤鉄又は黄酸化鉄、
(C)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体及びスチレンと(メタ)アクリル酸を構成単位とする共重合体から選ばれる1種以上のポリマー、
(D)ポリビニルピロリドン、
(E)1,3-ブチレングリコール
を含有し、成分(D)に対する成分(A)及び(B)の合計量の質量割合((A)+(B))/(D)が、5~30である、水系液状化粧料。
【請求項2】
成分(A)の含有量が、0.1~20質量%である請求項1記載の水系液状化粧料。
【請求項3】
成分(B)の含有量が、0.1~20質量%である請求項1又は2記載の水系液状化粧料。
【請求項4】
成分(E)の含有量が、5~15質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の水系液状化粧料。
【請求項5】
全粉体の含有量が、0.1~25質量%である請求項1~4のいずれか1記載の水系液状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水系液状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アイライナーは、目の周りに適用し、目元の輪郭を強調することで目元印象を高める目的で広く使用されている。近年は、目を大きく見せる効果の高い黒色だけでなく、より高いファッション性の要求から、黒色以外の色味や光輝性の高いパール顔料やラメ剤などを配合したものが増加する傾向にある。
一方、アイライナーなどの水系液状化粧料の製品形態として、目の輪郭に適用することから、ペンタイプ、筆ペンタイプの化粧料が使用されている。
例えば、特許文献1には、光輝性顔料、カーボンブラック、微生物由来の多糖類、揮発性アルコール、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンを組み合わせて配合する水系アイライナー組成物が、耐摩擦性に優れ、鮮やかな発色と滑らかな書き味を有し、さらに保存安定性が良好であることが記載されている。
特許文献2には、光輝性粉体と酸化鉄に、ポリアスパラギン酸ナトリウムとポリビニルピロリドンなどの水溶性分散剤を併用した水系液状化粧料が、低粘度であっても光輝性粉体が沈降しにくく保存安定性に優れるとともに沈降した光輝性粉体の再分散性にも優れ、ペンタイプの形態であっても十分に吐出することができ、パール感を有する描線を安定的に形成できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-153744号公報
【特許文献2】特開2020-132619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペンタイプの形態では、細い繊維の集合体からなる筆穂などの塗布部において、繊維の隙間に粉体が詰まることがある。また、吐出性の向上や塗布部に液を含ませやすくすることを目的として、化粧料を低粘度にすると経時的に沈殿してしまう。さらに、カーボンブラックなどの粉体は、強力な凝集力のために系中で均一に分散せず、塗膜にムラができてしまう、などの課題があった。
また、従来のアイライナーでは、特に茶色のように黒色以外の色調の性能において、十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、黒色粉体である黒酸化チタンと、黒以外の有色粉体として、赤酸化鉄又は黄酸化鉄をシリカ処理したものを組合わせるとともに、アクリル酸系エマルション、ポリビニルピロリドン、1,3-ブチレングリコールを併用することで、顔料が分離せずに保存安定性に優れ、濃い色付きで鮮やかに発色し、しかも、塗布後の密着性がよく、ひび割れにくく柔らかさに優れた水系液状化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)黒酸化チタン、
(B)シリカ処理された赤酸化鉄又は黄酸化鉄、
(C)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体及びスチレンと(メタ)アクリル酸を構成単位とする共重合体から選ばれる1種以上のポリマー、
(D)ポリビニルピロリドン、
(E)1,3-ブチレングリコール
を含有し、成分(D)に対する成分(A)及び(B)の合計量の質量割合((A)+(B))/(D)が、5~30である、水系液状化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水系液状化粧料は、種類の異なる粉体を配合した場合でも、顔料が分離せずに保存安定性に優れ、濃い色付きで鮮やかに発色し、しかも、塗布後の密着性がよく、ひび割れにくく柔らかさに優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、黒酸化チタンである。黒色粉体のうちでも、黒酸化チタンを用いることにより、色安定性に優れた化粧料を得ることができる。
黒酸化チタンとしては、酸化チタンをアンモニアガス中約800℃で加熱還元したもので、酸化チタンと窒化チタンの固溶体の混合物からなるものが挙げられる。このような黒酸化チタンとしては、例えば、チタンブラック12S、チタンブラック13M(以上、三菱マテリアル社製、商品名)、Tilack D(赤穂化成社製、商品名)等の市販品を用いることができる。
【0009】
成分(A)の含有量は、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、1~16質量%がより好ましく、3~12質量%がさらに好ましい。
【0010】
成分(B)は、シリカ処理された赤酸化鉄又は黄酸化鉄である。
赤酸化鉄又は黄酸化鉄を、通常の方法により、シリカで処理したものであればいずれでも良い。
赤酸化鉄又は黄酸化鉄へのシリカの処理量は、粉体に十分な親水性を付与し、分散性を控除させる観点から、粉体100質量部に対して、0.1~15質量部であるのが好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。
【0011】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、1~16質量%がより好ましく、3~12質量%がさらに好ましい。
【0012】
本発明の水系液状化粧料は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)及び(B)以外の粉体を含有することができる。
成分(A)及び(B)以外の粉体としては、通常の化粧料に用いられるもので、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、無水ケイ酸、タルク、セリサイト、合成金雲母、ベントナイト等の無機顔料及びこれらの複合粉体が挙げられる。
【0013】
着色顔料としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素などが挙げられる。
【0014】
光輝性顔料としては、雲母、合成金雲母、ガラス、シリカ、アルミナ等の板状粉体等の表面を、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなど、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミ蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末などの、フィルム原反を任意形状に断裁したものなどを用いることができる。
【0015】
本発明において、成分(A)及び(B)を含む全粉体の含有量は、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、全組成中に0.1~25質量%であるのが好ましく、1~21質量%がより好ましく、3~17質量%がさらに好ましい。
【0016】
本発明において、全粉体中の成分(A)及び(B)の質量割合(((A)+(B))/(全粉体))は、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、0.7以上であるのが好ましく、0.8以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。
【0017】
成分(C)のうち、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体は、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルから選ばれるモノマーの重合体又は共重合体である。
かかる重合体又は共重合体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されないが、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルから選ばれるモノマーを含む単量体混合物を主成分とし、さらに、アクリル酸アルキルモノマー及び/又はメタクリル酸アルキルモノマーと、メタクリル酸及び/又はアクリル酸モノマーとを含んでなる単量体混合物を主成分とし、これらが乳化重合されて得られた共重合体が好ましい。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、塗布後の密着性や柔らかさの観点から、-30℃~100℃であるのが好ましく、-20℃~70℃がより好ましい。
【0018】
また、スチレンと(メタ)アクリル酸を構成単位とする共重合体としては、スチレンと、(メタ)アクリル酸又はこれらの単純エステルから選ばれたモノマー1種以上の共重合体、スチレンと、(メタ)アクリル酸又はこれらの単純エステルから選ばれたモノマー1種以上と、メタアクリル酸アンモニウムとの共重合体などが挙げられる。
【0019】
成分(C)は、このような共重合体と水とを含むエマルションの形態を有するものを使用することができる。
エマルション中の共重合体含有量(固形分)は、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、20~60質量%であるのが好ましく、25~55質量%がより好ましい。また、同様の観点から、粒子径10~50nmの重合体又は共重合体が含まれるのが好ましい。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルションとしては、ヨドゾールGH256F(粒子径20~40nm;ヌーリオン・ジャパン社製)、ダイトゾール5000AD(粒子径130~150nm;大東化成工業社製)等の市販品を用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸・スチレン共重合体エマルジョンとしては、ヨドゾールGH41F(ヌーリオン・ジャパン社製)、ダイトゾール5000STY(粒子径110~140nm;大東化成工業社製)、SYNTRAN5760CG(インターポリマー社製)等の市販品を用いることができる。
【0021】
成分(C)としては、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、保存安定性、発色の濃さ、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさの観点から、全組成中に0.5~20質量%であるのが好ましく、0.8~15質量%がより好ましく、1.2~12質量%がさらに好ましい。
【0022】
成分(D)のポリビニルピロリドンは、1-ビニル-2-ピロリドンの重合体であり、水可溶性の高分子である。
ポリビニルピロリドンは、保存安定性、発色の濃さの観点から、K値(粘性特性値)が15~120であるのが好ましく、30~120がより好ましい。
ここで、K値は、分子量と相関する粘性特性値で、以下の式により求められる。
K=(1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300c logηrel +(c+1.5c logηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ηrel : ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度、
c : ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
【0023】
成分(D)としては、例えば、ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK80(以上、BASF社製)、PVPK-30、PVPK-60、PVPK-90、PVPK-120(以上、ISP社製)等の市販品を用いることができる。
【0024】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、存安定性、発色の濃さの観点から、全組成中に0.5~3.5質量%であるのが好ましく、0.7~3質量%がより好ましく、0.8~2.3質量%がさらに好ましい。
【0025】
成分(E)の1,3-ブチレングリコールの含有量は、顔料が分離せずに保存安定性に優れ、発色の良さ、塗布後の密着性や柔らかさに優れ、さらに、塗布性を向上させる観点から、全組成中に5~15質量%であるのが好ましく、6~12質量%がより好ましく、7~10質量%がさらに好ましい。
【0026】
本発明の水系液状化粧料は、さらに、(F)ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンを含有することができ、密着性をより向上させることができる。
【0027】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンとしては、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【0028】
【0029】
(式中、R1は水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、tは2又は3を示す)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が500~4000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が70/30~99/1であり、
隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が5000~40000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が15000~200000であるオルガノポリシロキサンが好ましい。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、特開平4-85334号公報、特開2009-24114号公報に記載されているものを使用することができる。
【0030】
成分(F)のオルガノポリシロキサンとしては、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が好ましく、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン(POLYSILICONE-9)がより好ましい。
【0031】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、塗布後の密着性、塗膜の柔らかさ観点から、全組成中に0.05~20質量%であるのが好ましく、0.08~15質量%がより好ましく、0.12~12質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の水系液状化粧料は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(C)及び成分(F)以外に、皮膜形成性のポリマーエマルションを含有してもよい。
かかる皮膜形成性のポリマーエマルションとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、シリコーン系ポリマーエマルション等が挙げられる。
【0033】
本発明の水系液状化粧料は、さらに、前記以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、油性成分、成分(E)以外の多価アルコール、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、香料、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、生薬抽出物、ビタミン類等を含有することができる。
【0034】
本発明は、水系液状化粧料であり、非乳化型であり、かつ主な溶媒として水を使用するものである。
本発明において、水の含有量は、全組成中に30質量%以上であるのが好ましく、30~90質量%がより好ましく、40~80質量%がさらに好ましく、45~70質量%がより好ましい。
【0035】
本発明の水系液状化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、アイライナー、アイライナーオーバーコート、アイライナー下地など、目の周りに塗付する剤型とするのが好ましい。なかでも、ジャバラ式の筆ペンに充填して用いるアイライナーとして好適である。
【実施例0036】
実施例1~12、比較例1~7
表1及び表2に示す組成の水系液状化粧料(アイライナー)を製造し、色づきの濃さ、保存安定性、密着感、柔らかさを評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0037】
(製造方法)
(工程1)成分(A)に、成分(D)、(E)及び精製水の一部を添加し、黒色顔料のスラリーを調製した。
(工程2)成分(B)に、成分(D)及び(E)の残量、並びに精製水の一部を添加し、酸化鉄スラリーを調製した。
(工程3)工程1及び工程2のスラリーと、その他の成分を混合して、水系液状化粧料を調製し、ジャバラ式の筆ペンに充填して、アイライナーを得た。
【0038】
(評価方法)
(1)色づきの濃さ:
専門評価者5名により、各水系液状化粧料を目の周りに塗布したとき、色づきが良い(濃い)と判定した人数を示した。
【0039】
(2)保存安定性:
各水系液状化粧料を用い、紙(コピー用紙、普通紙)に、幅2mm、長さ3cmの線を5本筆記した。各水系化粧料は、45℃の恒温槽で1か月保存した。保存前に筆記した色と、保存した後に筆記した色を比較して、色の変化を下記の評価基準で評価した。
A:同等。
B:やや変化あり。
C:変化あり。
D:不合格。
【0040】
(3)密着感:
専門評価者5名により、各水系液状化粧料を目の周りに塗布したとき、密着感が良いと判定した人数を示した。
【0041】
(4)柔らかさ:
ポリエチレンシートに、各水系液状化粧料を塗布して乾燥させ、皮膜を作成した(皮膜の形状は幅5mm、長さ5cm、厚さ50μm。乾燥条件は30℃で6時間)。その皮膜を、ポリエチレンシートに付着した状態で繰り返し折り曲げて、ひび割れるまでの回数を測定した。結果は、皮膜5個の平均値で示した。
【0042】
【0043】
【0044】
*1:赤穂化成社製、TILACK D、
*2:大東化成工業社製、DK BLACK No.2、
*3:チタン工業社製、TAROX 合成酸化鉄 BL-100P、
*4:大東化成工業社製、SIH-2 RED No.211P(処理量2%)、
*5:チタン工業社製、TAROX 合成酸化鉄 R-516P、
*6:ヌーリオン・ジャパン社製、ヨドゾールGH256F(粒子径20~40nm)、
*7:大東化成工業社製、ダイトゾール5000AD(粒子径130~150nm)、
*8:大東化成工業社製、ダイトゾール5000STY(粒子径110~140nm)、
*9:ISP社製、PVP K-90