(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034689
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】工作機械用ロボット、及び工作機械遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240306BHJP
G05B 19/409 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B25J13/08 A
G05B19/409 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139105
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】小川 正
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269AB33
3C269BB07
3C269QC01
3C269QD02
3C707AS12
3C707BS09
3C707CS08
3C707ES01
3C707HS27
3C707JS02
3C707JS03
3C707JU12
3C707KS03
3C707KS06
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT15
3C707LT06
3C707LV04
3C707MT02
3C707MT06
3C707WA16
3C707WA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】工作機械の操作盤を操作できる工作機械用ロボット、及び工作機械遠隔操作システムを提供すること。
【解決手段】工作機械用ロボットは、指令装置と通信可能な通信装置と、工作機械の操作盤を操作可能なエンドエフェクタと、操作盤を操作するための情報を取得可能な操作情報取得部と、操作情報取得部により取得した情報と、通信装置を介して指令装置から取得した指令情報とに基づいてエンドエフェクタを制御し工作機械の操作盤を操作する制御装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令装置と通信可能な通信装置と、
工作機械の操作盤を操作可能なエンドエフェクタと、
前記操作盤を操作するための情報を取得可能な操作情報取得部と、
前記操作情報取得部により取得した情報と、前記通信装置を介して前記指令装置から取得した指令情報とに基づいて前記エンドエフェクタを制御し前記工作機械の前記操作盤を操作する制御装置と、
を備える工作機械用ロボット。
【請求項2】
撮像装置をさらに備え、
前記操作情報取得部は、
前記操作盤に設けられた複数の操作部と、複数の前記操作部の各々について前記操作部を操作するために前記エンドエフェクタを制御する制御内容とを関連付けた制御情報を取得可能であり、
前記制御装置は、
前記撮像装置により前記操作盤を撮像し、前記指令情報により指示された操作対象の前記操作部の位置を前記撮像装置により撮像した撮像データから検出し、
検出した操作対象の前記操作部の位置と、前記制御情報において操作対象の前記操作部と関連付けられた前記制御内容と、に基づいて前記エンドエフェクタを制御し、操作対象の前記操作部を操作する、請求項1に記載の工作機械用ロボット。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記操作部の形状、及び前記操作部の周囲に表記された文字情報のうち、少なくとも一方に基づいて、操作対象の前記操作部の位置を前記撮像データから検出する、請求項2に記載の工作機械用ロボット。
【請求項4】
前記操作情報取得部は、
前記操作盤の基準となる基準位置について、前記操作盤に設けられた複数の操作部の前記基準位置を基準とした座標位置を示す座標情報と、
前記操作盤に設けられた複数の前記操作部と、複数の前記操作部の各々について前記操作部を操作するために前記エンドエフェクタを制御する制御内容とを関連付けた制御情報と、
を取得可能であり、
前記制御装置は、
前記指令情報により指示された操作対象の前記操作部の前記座標位置を前記座標情報から取得し、
取得した操作対象の前記操作部の前記座標位置と、前記制御情報において操作対象の前記操作部と関連付けられた前記制御内容と、に基づいて前記エンドエフェクタを制御し、操作対象の前記操作部を操作する、請求項1に記載の工作機械用ロボット。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記操作盤の前記基準位置に前記エンドエフェクタを接触させ、前記基準位置まで前記エンドエフェクタを移動させた距離に基づいて前記操作盤までの距離を検出し、検出した距離と操作対象の前記操作部の前記座標位置とに基づく所定位置に前記エンドエフェクタを配置した後、前記制御内容に基づいて前記エンドエフェクタを制御し、操作対象の前記操作部を操作する、請求項4に記載の工作機械用ロボット。
【請求項6】
前記操作情報取得部は、
前記指令情報に基づいて実行する前記操作盤に対する操作と、その操作を実行する上で
満たすべき前提条件と、を関連付けた条件情報を取得可能であり、
前記制御装置は、
前記指令装置から前記指令情報を取得した場合、取得した前記指令情報に基づいて実行する前記操作盤に対する操作を実行する上で満たすべき前記前提条件を、前記条件情報から取得し、
前記前提条件の全てを満たしている場合、前記エンドエフェクタを制御して前記指令情報に基づく前記操作盤に対する操作を実行し、
前記前提条件の全てを満たしていない場合、前記エンドエフェクタを制御して前記前提条件を満たすための操作を前記操作盤に対して実行した後、前記エンドエフェクタを制御して前記指令情報に基づく前記操作盤に対する操作を実行する、請求項1又は請求項2に記載の工作機械用ロボット。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の前記工作機械用ロボットと、
前記指令装置と、
前記工作機械と、
を備え、
前記指令装置は、
前記工作機械の前記操作盤を示す画像であるデジタル操作盤を表示し、前記デジタル操作盤に対する操作入力を受け付け、受け付けた操作入力を示す前記指令情報を前記工作機械用ロボットの前記通信装置へ送信する、工作機械遠隔操作システム。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の前記工作機械用ロボットと、
前記指令装置と、
前記工作機械と、
を備え、
前記指令装置は、
前記工作機械の前記操作盤とは異なる操作盤を示す画像であるデジタル操作盤を表示し、
前記工作機械の前記操作盤に対する操作入力と、前記工作機械の前記操作盤とは異なる操作盤に対する操作入力との対応関係を示す操作入力対応情報を有し、
前記デジタル操作盤に対する操作入力を受け付け、受け付けた操作入力を前記操作入力対応情報に基づいて前記工作機械の前記操作盤とは異なる操作盤に対する操作入力に変換し、変換した操作入力を示す前記指令情報を前記工作機械用ロボットの前記通信装置へ送信する、工作機械遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械を遠隔で操作する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを遠隔操作するシステムについて種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、遠隔操作装置により被遠隔操作装置(例えば、ロボット)を制御する遠隔操作システムについて記載されている。特許文献1の遠隔操作システムでは、ユーザが、カメラの映像を見ながら遠隔操作装置を操作することで、遠隔操作装置から被遠隔操作装置へ指令が送信され、被遠隔操作装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工作機械の操作盤は、非常停止ボタンやNC起動ボタンなど、様々な操作部が設けられている。このため、ユーザがカメラで撮像された映像を見ながらロボットに操作盤の操作を指示しようとすると、指示するのに必要な時間が長くなる、あるいは操作ミスが発生する虞がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、工作機械の操作盤を操作できる工作機械用ロボット、及び工作機械遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書は、指令装置と通信可能な通信装置と、工作機械の操作盤を操作可能なエンドエフェクタと、前記操作盤を操作するための情報を取得可能な操作情報取得部と、前記操作情報取得部により取得した情報と、前記通信装置を介して前記指令装置から取得した指令情報とに基づいて前記エンドエフェクタを制御し前記工作機械の前記操作盤を操作する制御装置と、を備える工作機械用ロボットを開示する。
【0007】
また、本開示の内容は、工作機械用ロボットとしての実施に限られず、工作機械用ロボットと、指令装置と、工作機械と、を備える工作機械遠隔操作システムとして実施しても極めて有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の工作機械によれば、工作機械用ロボットは、操作情報取得部により、操作盤を操作するための情報を取得する。工作機械用ロボットは、操作情報取得部の情報と、指令装置の指令情報に基づいてエンドエフェクタを制御し操作盤を操作する。これにより、操作盤を操作するための情報を参考にエンドエフェクタを操作することができ、操作時間を短縮し、操作ミスの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例の工作機械遠隔操作システのブロック図。
【
図8】操作入力対応情報を用いた変換処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の工作機械遠隔操作システムを具体化した一実施例について、図を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本実施例の工作機械遠隔操作システム(以下、遠隔操作システムという場合がある)10の構成を示している。
図1に示すように、遠隔操作システム10は、指令装置11、工作機械12、工作機械用ロボット(以下、ロボットという場合がある)13、管理装置14を備えている。指令装置11等の各装置は、ネットワーク15に接続されている。遠隔操作システム10は、指令装置11からネットワーク15を介してロボット13へ指令情報17を送信し、ロボット13を遠隔で制御して、ロボット13によって工作機械12を操作するシステムである。
【0011】
指令装置11は、例えば、パーソナルコンピュータであり、CPU21、記憶装置22、ユーザIF(インタフェースの略)23、ネットワークIF24等を備え、CPU21等が通信バス25を介して互いに接続され通信可能となっている。記憶装置22は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等を組み合わせて構成されている。尚、記憶装置22の構成は、上記した構成に限らず、SSDなどの他の記憶装置、USBメモリなどの外部記憶装置、DVDなどのメディアを採用しても良い。後述する他の記憶装置33,46についても同様である。
【0012】
記憶装置22には、指令プログラム26が記憶されている。指令プログラム26は、例えば、工作機械12のベンダーから提供されるプログラムであり、ロボット13に対して指令情報17を送信し、ロボット13を制御するプログラムである。また、指令プログラム26には、後述する工作機械12のNCプログラム等を遠隔で編集するプログラムが含まれている。尚、上記した指令プログラム26の構成は、一例である。指令プログラム26は、NCプログラムを遠隔で編集するプログラムを含まなくとも良い。また、指令プログラム26は、工作機械12からログデータを収集するプログラムなど、遠隔操作システム10で活用可能な他のプログラムを含んでも良い。
【0013】
ユーザIF23は、例えば、LCDなどの表示装置、キーボードやマウスなどの入力装置を備えている。ユーザIF23は、タッチパネルなどの他の入出力装置でも良い。指令装置11は、ユーザIF23に対する操作入力に応じてCPU21で指令プログラム26を実行する。ユーザは、ユーザIF23を操作し、指令プログラム26を指令装置11に実行させることでロボット13の操作、即ち、工作機械12の操作を実行できる。尚、以下の説明では、CPU21で指令プログラム26を実行する指令装置11のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「指令装置11がロボット13を制御する」とは、指令装置11がCPU21で指令プログラム26を実行し、指令プログラム26によりロボット13を制御すること、を意味する場合がある。他の装置(工作機械12やロボット13)についても同様である。
【0014】
また、記憶装置22には、識別対応情報27、操作入力対応情報28が記憶されている。識別対応情報27は、ロボット13が有する制御情報56に設定された識別情報に関するデータである。操作入力対応情報28は、工作機械12の操作盤36に対する操作入力と、工作機械12の操作盤36とは異なる操作盤に対する操作入力との対応関係を示す情報である。識別対応情報27、操作入力対応情報28の詳細については後述する。
【0015】
ネットワークIF24は、例えば、LANインタフェースであり、ルータなどのネット
ワーク機器(図示略)介してネットワーク15に接続されている。ネットワーク15は、例えば、インターネットなどのWANである。ネットワーク15には、例えば、複数のネットワーク19が接続されている。複数のネットワーク19の各々は、工作機械12及びロボット13が設置された工場のネットワークである。指令装置11は、ネットワーク15を介して各工場のロボット13を制御できる。尚、ネットワークIF24は、LANケーブルを接続する有線インタフェースでも良く、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信を実行する無線インタフェースでも良い。後述する他のネットワークIF31,41についても同様である。また、ネットワーク15に接続されるネットワーク19(工場)は、1つでも良い。
【0016】
(工作機械12について)
次に、工作機械12について説明する。工作機械12は、ネットワークIF31、CPU32、記憶装置33、一対の加工装置34、ローダ35、操作盤36を備えている。ネットワークIF31は、例えば、LANインタフェースであり、ルータなどのネットワーク機器(図示略)を介してネットワーク19に接続されている。ネットワーク19は、例えば、工作機械12、ロボット13及び管理装置14が設置された工場のローカルネットワークである。ネットワーク19は、ネットワーク15に接続されている。工作機械12、ロボット13、及び管理装置14は、ネットワーク15,19を介して指令装置11と通信可能となっている。
【0017】
記憶装置33は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等を組み合わせて構成されている。記憶装置33には、制御プログラム38が記憶されている。制御プログラム38には、例えば、ワークに対する加工動作を制御するNCプログラム、各種の信号を処理するラダー回路用のプログラム等が含まれている。工作機械12は、例えば、CPU32で制御プログラム38を実行し、一対の加工装置34の各々を制御する。CPU32は、制御プログラム38を実行することで、数値制御やシーケンス制御を実行し工作機械12の動作を統括的に制御する。
【0018】
図2は、工作機械12の正面図と、ロボット13の模式図を示している。
図1及び
図2に示すように、一対の加工装置34は、例えば、所謂、正面2軸の旋盤であり、主軸装置とタレットとの組み合わせをそれぞれ備えている。工作機械12は、制御プログラム38により一対の加工装置34の各々を制御する。加工装置34は、制御プログラム38の制御に基づいて、主軸装置にチャックしたワークを回転させ、タレットの位置の変更や工具の切り替えを実行し、ワークに対する加工(旋削加工や穴開け加工など)を実行する。
【0019】
工作機械12の装置カバー39の正面には、正面扉39Aが設けられている。ユーザは、正面扉39Aを開けることで、一対の加工装置34の加工スペースにアクセスでき、ワークの加工状態の確認、工具の交換などを実行する。ローダ35は、例えば、ガントリ式のワーク搬送装置であり、工作機械12の上部に設けられている。ローダ35は、装置カバー39内に設けられたフレーム部材(図示略)の上部に固定されたレール台35Aと、レール台35Aに取り付けられた昇降装置35Bと、ワークを把持するヘッド(図示略)等を有する。ローダ35は、レール台35Aや昇降装置35Bによりヘッドを左右方向、上下方向、前後方向へスライド移動させる。ローダ35は、左右方向等におけるヘッドの位置を変更し、一対の加工装置34や他の装置(他の工作機械12やワーク反転装置)などとの間でワークの受け渡しを実行する。
【0020】
操作盤36は、ユーザインタフェースであり、タッチパネル36Aや操作スイッチ36B等を備えている。操作盤36は、タッチパネル36Aや操作スイッチ36Bを介してユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に応じた信号をCPU32に出力する。また、操作盤36は、CPU32で実行される制御プログラム38の制御に基づいて
、タッチパネル36Aの表示内容等を変更する。操作盤36の詳細については後述する。尚、本開示の操作盤は、上記した構成に限らない。例えば、操作盤は、液晶パネルと操作スイッチを備え、液晶パネルに表示された項目を操作スイッチで選択する構成でも良い。即ち、本開示の操作盤は、タッチパネル36Aを備えなくとも良い。また、操作盤は、タッチパネル36Aを備え、操作スイッチ36Bを備えない構成でも良い。
【0021】
また、
図1及び
図2に示す工作機械12の構成は、一例である。例えば、工作機械12は、加工装置34(主軸装置とタレット)を1組、又は3組以上備える構成でも良い。また、工作機械12は、正面2軸の旋盤に限らず、対向2軸の旋盤でも良い。また、工作機械12としては、例えば、横型旋盤、立型旋盤、マシニングセンタ、フライス盤、ボール盤、あるいは複数の種類の加工装置を備える複合加工装置など、様々な構成を採用できる。
【0022】
(ロボット13について)
次に、ロボット13について説明する。
図1及び
図2に示すように、ロボット13は、ネットワークIF41、ロボット本体43、アーム44、制御装置45、記憶装置46などを備えている。ネットワークIF41は、例えば、無線のLANインタフェースであり、Wi-Fi(登録商標)規格に準じた無線通信によりネットワーク19に接続可能となっている。ロボット13は、ネットワークIF41を介して指令装置11や工作機械12と通信可能となっている。
【0023】
ロボット本体43は、下部に移動機構47を備えている。移動機構47は、例えば、複数のタイヤ47Aと、複数のタイヤ47Aを駆動するモータ47Bを備えている。制御装置45は、指令装置11から受信した指令情報17に基づいて移動機構47のモータ47Bを駆動し、ロボット13を移動させる。これにより、ロボット13は、工作機械12の周囲を自由に移動することができる。尚、上記した移動機構47の構成は、一例である。例えば、移動機構47は、キャタピラを回転させて移動する機構や、球体を回転させて移動する機構でも良い。また、ロボット13は、移動機構47を備えず、例えば、操作盤36の前の床に固定された構成でも良い。あるいは、ロボット13を工作機械12に取り付けて、操作盤36を操作可能に構成しても良い。
【0024】
アーム44は、例えば、多関節のアームであり、回転機構を介して複数のアーム部を連結して構成されている。アーム44の先端には、エンドエフェクタ49が取り付けられている。ロボット13は、アーム44やエンドエフェクタ49を駆動する駆動源としてアーム駆動部51を備えている。アーム駆動部51は、アーム44を駆動する駆動源(例えばモータ)や、エンドエフェクタ49を駆動する駆動源(例えば、エアシリンダなど)を備えている。制御装置45は、指令装置11から受信した指令情報17に基づいてアーム駆動部51を駆動し各回転機構を駆動する。アーム44の複数のアーム部は、各アーム部を連結する回転機構を駆動されることで、互いの相対的な位置や角度を変更される。これにより、エンドエフェクタ49の上下、左右、前後の位置を変更できる。ロボット13は、エンドエフェクタ49の位置を、任意の位置に調整できる。例えば、ロボット13は、操作盤36に設けられた操作部(タッチパネル36Aや操作スイッチ36B、
図3参照)に対するエンドエフェクタ49の相対的な位置(高さ、距離、角度など)を変更できる。
【0025】
エンドエフェクタ49は、操作盤36を操作可能に構成されている。詳細については、後述するが、エンドエフェクタ49は、後述する
図3に示す各種の操作部60を全て操作可能に構成されている。エンドエフェクタ49の機構としては、例えば、複数の爪52を駆動して操作部60を操作する(掴む・押す・回すなどする)機構を採用できる。制御装置45は、指令装置11から受信した指令情報17に基づいてアーム駆動部51を駆動し、エンドエフェクタ49を駆動する。尚、エンドエフェクタ49の機構としては、上記し
た複数の爪52を駆動する機構に限定らず、例えば、手を模擬して5本指を備えるハンド機構や、操作部60を吸着して保持し操作する吸着機構を採用できる。あるいは、エンドエフェクタ49の機構としては、上記した複数の種類の機構を組み合わせた構成でも良い。
【0026】
また、エンドエフェクタ49には、撮像装置53が取り付けられている。撮像装置53は、例えば、カメラであり、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子、レンズ等を備えている。撮像装置53は、例えば、撮像対象を拡大又は縮小するズーム機構、撮像方向を変更する機構を備えている。撮像装置53は、制御装置45の制御に基づいて各機構を駆動し、撮像対象の拡大又は縮小、撮像方向の変更を実行する。制御装置45は、撮像装置53に対して撮像指示を送信し、撮像装置53から撮像データを取得する。制御装置45は、撮像データを解析することで、後述する操作盤36の操作部60を検出できる。従って、撮像装置53の解像度としては、例えば、操作部60を個別に認識可能な、より具体的には、制御装置45の画像処理によって操作部60を個別に認識可能(ミリ単位の認識などが可能)な程度の解像度が好ましい。尚、撮像装置53は、上記した構成に限定されない。例えば、撮像装置53は、レンズ等を備えず撮像素子のみを備える構成でも良い。また、撮像装置53は、ズーム機構や撮像方向を変更する機構を備えなくとも良く、撮像対象に光を照らすライトなど別の機構を備える構成でも良い。また、ロボット13は、2台以上の複数の撮像装置53を備えても良い。また、撮像装置53で撮像した撮像データの解析や操作部60の検出は、ロボット13以外の装置、例えば、指令情報17が実行しても良い。指令情報17は、ロボット13から撮像データを取得して解析し、解析結果(操作部60の位置など)をロボット13に送信しても良い。
【0027】
記憶装置46には、制御プログラム55が記憶されている。制御装置45は、例えば、CPU、メモリなどを備え、コンピュータを主体とする処理装置である。制御装置45は、制御プログラム55をCPUで実行することで、移動機構47、アーム駆動部51(アーム44、エンドエフェクタ49)、撮像装置53を制御する。また、記憶装置46には、制御情報56、条件情報57が記憶されている。制御情報56、条件情報57の詳細については、後述する。
【0028】
(管理装置14について)
管理装置14は、例えば、パーソナルコンピュータであり、工作機械12の生産ラインを管理する装置である。管理装置14は、例えば、工作機械12のアラーム情報やログデータを指令装置11に送信する。管理装置14は、アラーム情報等を指令装置11へ直接送信せずに、ネットワーク15上のサーバにアップロードしても良い。また、管理装置14は、例えば、ユーザからの操作入力に応じて、工作機械12のNCプログラムの変更や、ラダー回路の出力信号の変更を実行する。従って、ユーザは、管理装置14を操作することで、工作機械12の状態や設定を確認・変更できる。
【0029】
(操作盤36について)
次に、操作盤36について説明する。
図3は、操作盤36の正面図を示している。操作盤36には、タッチパネル36Aと、各種の操作スイッチ36Bが設けられている。タッチパネル36A及び操作スイッチ36Bは、本開示の操作部の一例である。このため、以下の説明では、タッチパネル36A及び操作スイッチ36Bを総称する場合は、操作部60と称して説明する。尚、
図3に示す操作盤36の構成は、一例である。また、本開示の操作部は、タッチパネル36A又は操作スイッチ36Bの一方でも良く、
図3に示されている種類以外の操作可能な機器でも良い。
【0030】
操作盤36は、操作スイッチ36Bとして、例えば、セレクトスイッチ61、キースイッチ62、プッシュロックターンボタン63、押しボタン64、テンキー65、ダイヤル
66などを備えている。尚、説明が繁雑となるのを避けるため、操作盤36が備える操作スイッチ36Bの一部については、その説明を省略する。また、以下に示す各操作スイッチ36Bと、その操作スイッチ36Bを操作した場合の動作内容は一例である。
【0031】
セレクトスイッチ61は、例えば、自動/各個の各運転モードを切り替えるスイッチであり、左右に45度ずつ回すことでモードを切り替えることができる。自動運転モードは、例えば、後述するNC起動ボタンを押下してNCプログラムの実行を開始すると、1つのワークの加工が終了しても加工動作を停止せず、複数のワークの加工を連続して実行する運転モードである。各個運転モードは、例えば、NC起動ボタンを押下してNCプログラムの実行を開始すると、1つのワークの加工が終了すると、加工を停止するモードである。工作機械12は、例えば、自動運転モードの場合、ロボット13を制御して未加工のワークの搬入と加工後のワークの排出を実行する。また、工作機械12は、各個運転モードの場合は、ロボット13を動作させずに、加工装置34のみを動作させる。
【0032】
キースイッチ62は、キーを挿入することで2つの状態を切り替えることが可能なスイッチである。キースイッチ62は、例えば、NCプログラムの編集を可能とする状態と、編集を禁止する状態とを切り替える編集可不可キーである。工作機械12は、編集可不可キーで「可能」が選択された状態のみ、タッチパネル36A等でのNCプログラムの編集を受け付ける。あるいは、キースイッチ62は、例えば、加工動作中に正面扉39Aの開閉を許可する許可状態と、開閉を禁止する状態を切り替えるILK(インターロック)キーである。
【0033】
プッシュロックターンボタン63は、例えば、押すことで押されたON状態を維持し、所定の操作をすることでON状態を解除できるボタンである。プッシュロックターンボタン63は、例えば、非常停止ボタンであり、押すことで非常停止を工作機械12に実行させ、押された状態を維持する。また、プッシュロックターンボタン63は、回すことでボタンを元の状態に復帰させる(解除する)ことができる、即ち、非常停止状態を解除できる。あるいは、プッシュロックターンボタン63は、上記した回すことでON状態を解除できるターンリセットタイプに限らず、引っ張ることで非常停止状態を解除できるプルリセットタイプでも良い。
【0034】
押しボタン64は、例えば、押して操作するモーメンタリ式のボタンであり、ボタンを押している間だけON状態となり、ボタンを押す力を解除するとOFF状態に復帰するボタンである。押しボタン64は、例えば、工作機械12が備える各装置(モータやアクチュエータ)に対し、テンキー65などで選択した動作を個別に実行させる実行ボタンである。あるいは、押しボタン64は、記憶装置33に記憶された複数のNCプログラムのうち、テンキー65などで選択したNCプログラムを実行させるNC起動ボタンである。工作機械12は、NC起動ボタンを操作されることで、上記した自動/各個の各運転モードに応じた加工を開始する。
【0035】
テンキー65は、例えば、複数の押しボタンを備え、タッチパネル36Aに表示される文字の入力を行うアルファベットに対応する複数のボタンや、タッチパネル36Aに表示された項目の選択を行うボタンを有している。ダイヤル66は、例えば、回す操作を行うことで、各種の信号の出力値を調整し、工作機械12の各装置の移動速度や回転速度を調整するものである。
【0036】
そして、ロボット13のエンドエフェクタ49は、上記した各操作部60を操作可能に構成されている。このため、エンドエフェクタ49は、タッチパネル36Aの操作(タッチ操作、ドラッグ操作など)、セレクトスイッチ61を掴んで回す操作、キースイッチ62にキーを挿入し挿入したキーを掴んで回す操作が可能となっている。また、エンドエフ
ェクタ49は、プッシュロックターンボタン63、押しボタン64、テンキー65をそれぞれ押す操作、プッシュロックターンボタン63のON状態を回して解除する操作、ダイヤル66を掴んで所定角度だけ回す操作が可能となっている。エンドエフェクタ49は、これらの操作を爪52によって実行しても良く、操作の特性に応じて複数の機構を組み合わせて実行しても良い。また、エンドエフェクタ49は、キースイッチ62にキーを挿入する動作、タッチペンを用いたタッチパネル36Aの操作など、道具を使用した操作を実行しても良い。
【0037】
(制御情報56について)
次に、制御情報56について説明する。
図4は、制御情報56の内容の一例を示している。
図4に示すように、制御情報56は、操作盤36に設けられた複数の操作部60(
図3参照)と、複数の操作部60の各々について操作部60を操作するためにエンドエフェクタ49を制御する制御内容とを関連付けた情報である。また、本実施例の制御情報56は、座標情報を含んでいる。座標情報は、操作盤36の基準となる基準位置について、操作盤36に設けられた複数の操作部60の基準位置を基準とした座標位置を示す情報である。座標位置は、例えば、操作盤36を正面視(平面視)し、基準位置を原点(0,0)としてXY座標を設定した場合に、任意の操作部60の中央となる位置のXY座標である。尚、座標位置は、操作部60の中央位置のXY座標に限らず、例えば、操作部60の端部のXY座標でも良い。ロボット13は、操作部60の位置を検出するモードとして、例えば、撮像検出モードと基準位置検出モードの2つの検出モードを備えている。撮像検出モードは、撮像装置53によって撮像した撮像データに基づいて操作部60の位置を検出するモードである。基準位置検出モードは、制御情報56の座標位置、即ち、座標情報に基づいて操作部60の位置を検出するモードである。制御装置45は、例えば、指令装置11から受信した指令情報17に基づいて、2つの検出モードを切り替えることができる。
【0038】
尚、ロボット13は、上記2つの検出モードの一方のモードのみを備える構成でも良い。このため、ロボット13が撮像検出モードのみを備える場合は、制御情報56は、座標位置(後述する座標情報)を備えなくとも良い。また、ロボット13は、撮像して検出した位置と、座標位置との照合、即ち、2つの検出モードを併用して整合性を確認しても良い。
【0039】
図4に示すように、制御情報56は、例えば、各情報を関連付けて記憶するデータベースであり、識別情報、操作対象と動作、操作部の画像名、記号情報、周囲の文字情報、サイズ、基準位置に対する座標位置、信号名、制御内容の各情報を互いに関連付け、関連付けた各情報をそれぞれレコードとして記憶している。
図4の各行のそれぞれは、1件のレコードの情報を示している。
【0040】
識別情報は、関連付けた複数のレコードを識別するための情報であり、レコードごとに固有の情報(数字や文字)が設定される。操作対象と動作の情報は、各レコードで操作対象となる操作部60の名称と、操作対象の操作部60に対する操作内容を示している。換言すれば、制御情報56は、操作対象の操作部60とその操作部60に対する操作内容ごとに識別情報が付与されている。例えば、指令装置11は、識別対応情報27に基づいて、指令情報17に識別情報を設定して実行を指示する。尚、操作対象の操作部60を示す情報と、その操作部60に対する操作内容を示す情報を、別々の情報として制御装置45に設定しても良い。例えば、制御情報56は、操作対象の操作部60を示す列と、「押す、回すなど」の操作内容を示す列とを別々に設定されたデータベースでも良い。
【0041】
操作部の画像名は、「操作対象と動作」が示す操作部60(以下、操作対象欄の操作部60という場合がある)の画像のファイル名である。操作部60の画像は、例えば、各レ
コードの操作部60の検出に用いる画像で、JPEG形式で記憶されている。尚、操作部60の画像形式は特に限定されない。操作部60の画像は、例えば、操作部60の正面視の画像(操作者から見た視点の画像)であり、白色などの一色の背景に操作部60の画像だけを配置した画像である。また、例えば、タッチパネル36Aやテンキー65など、同一形状の操作部60が複数存在する場合、例えば、操作部60の画像は、タッチパネル36Aの全体画像(表示状態の画像)に対し、操作対象欄の操作部60(タッチ操作を行うボタンなど)の輪郭を赤色などで強調した画像でも良い。これにより、後述する「操作部の画像名」が示す画像を用いた検出において(S23)、タッチパネル36Aやテンキー65の中から操作対象欄の操作部60を検出できる。操作部60の画像の記憶先は、記憶装置46でも良く、管理装置14や指令装置11などの他の装置でも良い。
【0042】
記号情報は、操作対象欄の操作部60の周囲に設けられ、操作部60の検出精度を向上できる記号の画像情報である。例えば、JIS規格の「JIS B 6012」では、操作部60の周囲に設けられる記号として、工作機械の操作表示記号が規定されている。記号情報は、このJIS規格で規定された操作部60を示す記号(アイコン)である。尚、記号情報は、JIS規格の記号に限らず、例えば、工作機械12のベンダーで規定した操作部60ごとの記号・図形・マークでも良い。
【0043】
周囲の文字情報は、操作対象欄の操作部60の周囲に表記される文字である。例えば、1行目の非常停止ボタンであれば、「EMARGENCY」といった工作機械の分野で一般的に非常停止ボタンの周囲に表記される文字の情報を採用できる。サイズは、操作対象欄の操作部60のサイズを示す情報である。サイズは、例えば、操作部60の平面視における幅(w)と、高さ(h)の長さ(mm)である。基準位置に対する座標位置は、操作盤36の基準位置を基準とした操作部60の中央の座標位置(x,y)である。信号名は、操作対象欄の操作部60が操作された場合に出力される信号を、ラダープログラム等で識別する際の信号名である。
【0044】
制御内容は、操作対象欄の操作部60を、「操作対象と動作」で指定された動作となるようにエンドエフェクタ49を操作する際に、制御装置45がエンドエフェクタ49を制御するのに必要となる情報である。例えば、制御装置45は、操作部60をエンドエフェクタ49で操作する場合、操作対象の操作部60の中央位置から工作機械12の前方側(操作部60から離間する方向側)に所定距離だけ離れた位置(以下、所定位置という)にエンドエフェクタ49を配置する。この中央位置は、上記した2つの検出モードの何れかで検出される。制御内容には、例えば、所定位置に配置された状態から、エンドエフェクタ49等を制御する制御パラメータが設定されている。具体的には、例えば、1行目の非常停止ボタンを押す動作であれば、制御内容は、ON状態にするために非常停止ボタンを押し込む際にエンドエフェクタ49を所定位置から前進させる動作における制御パラメータである。これにより、非常停止ボタンを適切な押し込み量で押し込むことができる。アーム駆動部51のモータを駆動して押し込む場合は、モータの回転角度や回転量などの情報である。アーム駆動部51のエアシリンダを駆動して押し込む場合は、エアシリンダの圧力の情報である。また、2行目の非常停止ボタンを解除する動作であれば、解除するために、所定位置からエンドエフェクタ49を前進させて非常停止ボタンを掴ませ、非常停止ボタンを回して戻す動作における制御パラメータであり、エンドエフェクタ49を前進・回転・後退等させるのに必要なアーム駆動部51のモータの回転量などの情報である。
【0045】
(条件情報57について)
次に、条件情報57について説明する。
図5は、条件情報57の内容の一例を示している。
図5に示すように、条件情報57は、操作盤36に対する操作、操作部の操作条件、操作を実行する上で満たすべき前提条件と、を関連付けた情報であり、関連付けた各情報をそれぞれレコードとして記憶している。操作盤36に対する操作とは、操作盤36を操
作することで工作機械12に実行させたい操作内容である。後述するように、ユーザは、指令装置11において、操作盤36に対する操作の種類を選択できる(
図6参照)。また、「操作盤に対する操作」の欄には、操作内容に応じた識別情報が設定されている、即ち、操作対象の操作部60と、その操作部60に対する操作内容を識別する識別情報が設定されている。この識別情報は、制御情報56(
図4参照)の識別情報に対応している。
【0046】
また、操作部60に対する操作条件とは、「操作盤36に対する操作」を実行するのと同等の操作内容である。後述するように、
図6に示す操作画面71では、選択実行部78を操作することで、「操作盤36に対する操作」の種類を選択して実行できる。これにより、ロボット13が、前提条件を確認しつつ指定された操作を実行する。一方で、この
図6に示すデジタル操作盤77において各操作部60に対する操作を受け付けた際に、所定の条件を満たしていれば「操作盤36に対する操作」と同等の操作指示が発生する。具体的には、
図5の1行目の自動運転の実行であれば、自動/各個セレクトスイッチが「自動」になった状態で、「NC起動ボタン」が押された場合に相当する。このため、ロボット13の制御装置45は、後述するように、指令情報17の内容と工作機械12の状態とが「操作部60の操作条件」の条件を満たしている場合、選択実行部78を操作された場合と同様に、前提条件を確認しつつ指定された操作を実行する。
【0047】
前提条件は、「操作盤36に対する操作」や「操作部の操作条件」の操作を実行する前に、工作機械12の状態として満たす必要がある条件を示すものである。具体的には、例えば、
図5の1行目の「自動運転の実行」の場合、前提条件に設定された各条件、自動/各個セレクトスイッチを「自動」に設定する、タレットのスライド位置を原点位置に配置する、ローダ35を退避位置に配置する等の条件が満たされる必要がある。この前提条件は、例えば、工作機械12の構造上の制約、操作後の作業効率の向上、故障率の低下、安全面などの観点から予めベンダーで設定される条件である。
【0048】
(指令装置11の操作画面について)
次に、指令装置11の操作画面について説明する。
図6は、指令装置11のユーザIF23に表示される操作画面71を示している。指令装置11は、例えば、指令プログラム26に含まれる所定のプログラムを実行されると、操作画面71をユーザIF23に表示する。指令装置11は、複数のカメラ画像72、ロボット操作部73、NCリモート部74を、操作画面71に表示する。カメラ画像72は、工作機械12を設置した工場内のカメラの映像であり、例えば、工作機械12を撮影するカメラ、工作機械12の周囲を撮影するカメラの映像である。
図6に示す例では、3つのカメラの映像が、操作画面71の上部のカメラ画像72に表示されている。指令装置11は、例えば、ネットワーク15を介して工場の複数のカメラと接続されており、各カメラから映像を取得し、カメラ画像72にリアルタイムで映像を表示する。
【0049】
また、指令装置11は、ロボットカメラ画像76、デジタル操作盤77、選択実行部78を、ロボット操作部73に表示する。指令装置11は、例えば、撮像装置53の撮像データをロボット13から取得し、ロボットカメラ画像76にリアルタイムで表示する。これにより、ユーザは、ロボットカメラ画像76の画像を見ながら操作状況を確認できる。
【0050】
指令装置11は、例えば、工作機械12の操作盤36(
図3参照)と同一画像をデジタル操作盤77に表示する。指令装置11は、デジタル操作盤77において操作盤36(タッチパネル36Aや操作スイッチ36B)に対する操作を受け付ける。例えば、指令装置11は、デジタル操作盤77に対する操作をユーザIF23のマウスやキーボードで受け付ける。指令装置11は、例えば、デジタル操作盤77における任意の操作部60のアイコンに対するクリック操作を受け付けると、その操作部60に対する操作指示(ON又はOFF)として受け付ける。あるいは、指令装置11は、任意の操作部60のアイコンに
対するドラッグ操作を受け付けると、ドラッグ操作された方向に操作部60を回転等させる操作を受け付けても良い。尚、指令装置11は、ユーザIF23としてタッチパネルを備え、デジタル操作盤77をタッチパネルに表示し、タッチパネルで操作部60に対する操作を受け付けても良い。また、指令装置11は、デジタル操作盤77を用いずに、操作盤36と同一構成、あるいは、操作盤36とは異なる構成の操作盤と接続され、その操作盤によって操作指示を受け付けても良い。即ち、指令装置11は、自装置に接続された操作盤のハードウエアによって操作指示を受け付けても良い。また、指令装置11は、例えば、デジタル操作盤77で受け付け可能な操作指示と、その操作指示に対応する識別情報(
図4参照)とを関連付けた情報を、識別対応情報27(
図1参照)として有する。指令装置11は、デジタル操作盤77で受け付けた操作指示に対応する識別情報を、識別対応情報27から検出し、検出した識別情報を指令情報17に含めてロボット13に送信する。
【0051】
選択実行部78は、条件情報57に設定された「操作盤に対する操作」を受け付ける表示部である。指令装置11は、例えば、プルダウンメニューにより操作の選択を受け付ける選択部78Aと、選択部78Aで選択された操作の実行を受け付ける実行ボタン78Bを、選択実行部78に表示する。
図6は、選択部78Aにおいて自動実行が選択されている状態を示している。指令装置11は、実行ボタン78Bに対するクリック操作を受け付けると、選択部78Aで選択された操作を示す情報(
図5の条件情報57の「操作盤に対する操作」の情報)を含む指令情報17をロボット13に送信する。
【0052】
NCリモート部74は、工作機械12のNCプログラムを編集する画面である。例えば、指令装置11の指令プログラム26には、工作機械12のNCプログラムを遠隔で編集できるアプリケーションプログラムが含まれている。指令装置11は、このアプリケーションプログラムを実行し、ネットワーク15を介して工作機械12と通信を実行して、工作機械12のNCプログラムを取得しNCリモート部74に表示して編集を受け付ける。あるいは、管理装置14から工作機械12のNCプログラムを編集できる場合、指令装置11は、管理装置14にリモートデスクトップで接続し、接続した画面をNCリモート部74に表示し、編集を受け付けても良い。
【0053】
尚、
図6に示す画面構成は、一例である。例えば、指令装置11は、デジタル操作盤77のタッチパネル36Aだけを、別画面として拡大して表示し、拡大表示した画面でタッチパネル36Aに対する操作を受け付けても良い。また、ロボット13に複数の撮像装置53が取り付けられている場合、複数の撮像装置53の各々の撮像データをロボット操作部73のロボットカメラ画像76として表示しても良い。
【0054】
(操作処理)
次に、ロボット13による操作処理について説明する。
図7は、操作処理のフローチャートを示している。制御装置45は、
図7に示す操作処理を実行することで、指令装置11から受信した指令情報17に基づいて操作盤36に対する操作を実行する。制御装置45は、例えば、電源を投入され制御プログラム55を実行してロボット13のシステムを起動すると、
図7に示す処理を開始する。
【0055】
まず、制御装置45は、
図7のステップ(以下、単に「S」と記載する)11において、指令情報17を受信したか否かを判断する。制御装置45は、指令情報17を受信するまでの間(S11:NO)、S11の判断処理を繰り返し実行する。一方、指令装置11は、
図6に示す操作画面71において操作指示を受け付ける。指令装置11は、例えば、操作画面71を表示する際に、どの工場のどのロボット13と接続するかの選択を、ユーザから受け付け、受け付けたロボット13に対する操作指示を操作画面71で受け付ける。指令装置11は、操作画面71においてデジタル操作盤77に対する操作や、選択実行
部78による選択を受け付けると、受け付けた操作内容に対応する情報(識別情報など)を設定した指令情報17を、ネットワーク15を介してロボット13へ送信する。
【0056】
制御装置45は、指令情報17を受信したと判断すると(S11:YES)、受信した指令情報17が示す操作を実行する上で前提条件があるか否かを条件情報57に基づいて判断する(S13)。制御装置45は、例えば、
図6の選択部78Aで選択された操作を示す情報(
図5の条件情報57の「操作盤に対する操作」の情報)が指令情報17に設定されていた場合、即ち、操作画面71の実行ボタン78Bによる指令情報17である場合、S13で肯定判断する(S13:YES)。あるいは、制御装置45は、例えば、指令情報17で指定された識別情報の操作を実行することで
図5の「操作部の操作条件」の何れかの条件を満たす場合、即ち、デジタル操作盤77で受け付けた操作を実行する際に前提条件の確認が必要な場合、S13で肯定判断する(S13:YES)。具体的には、
図5の1行目の自動運転の実行であれば、自動/各個セレクトスイッチが「自動」になった状態で、「NC起動ボタン」を押す指令情報17を受信した場合に相当する。制御装置45は、例えば、「NC起動ボタンを押す」操作の識別情報(XXX5)が指令情報17に設定され、且つ、工作機械12の自動/各個セレクトスイッチが「自動」となっている場合、自動運転の実行が指示されたと判断し、S13で肯定判断する(S13:YES)。自動/各個セレクトスイッチが「自動」であるか否かの判断方法としては、例えば、撮像装置53によって操作盤36を撮像した撮像データを画像解析する方法を採用できる。また、ロボット13は、例えば、後述する各検出モードと同様に、操作盤36を操作してタッチパネル36Aの表示内容等を判断することで、自動/各個セレクトスイッチの状態を確認しても良い。あるいは、自動/各個セレクトスイッチが「自動」であるか否かの判断方法としては、ネットワーク19を介して工作機械12や管理装置14に、工作機械12の信号(
図4の信号名X0002.0)の状態(ON/OFF、ハイ/ローなど)を問い合わせる方法を採用できる。詳細な説明は省略するが、条件情報57における「自動運転の実行」以外の他の操作についても、同様に、制御装置45は、「操作部の操作条件」が実行されたか否かを、指令情報17の識別情報と、撮像装置53の撮像データ等とで判断できる。
【0057】
制御装置45は、前提条件がある場合(S13:YES)、S15を実行し、前提条件がない場合(S13:NO)、S19を実行する。S15において、制御装置45は、制御装置45に設定された全ての前提条件を満たしているか否かを判断する。制御装置45は、例えば、上記した撮像装置53によって操作盤36を撮像した撮像データを解析する方法、エンドエフェクタ49で操作盤36を操作してタッチパネル36Aの表示内容等を確認する方法、工作機械12の信号の状態を問い合わせる方法などによって、S15の判断を実行できる。具体的には、例えば、
図5の1行目の自動運転の実行の場合であれば、制御装置45は、タレットのスライド位置が原点位置であるか否かを、タレットを撮像装置53で撮像して確認しても良い。また、制御装置45は、操作盤36を操作してタッチパネル36Aの表示を確認することで、タレットスのライド位置が原点位置であるか否かを判断しても良い。また、制御装置45は、工作機械12の信号(センサ信号など)に基づいて、タレットスのライド位置が原点位置であるか否かを判断しても良い。
【0058】
制御装置45は、全ての前提条件を満たしている場合(S15:YES)、S19を実行し、全ての前提条件のうち、少なくとも1つを満たしていない場合(S15:NO)、S17を実行する。S17において、制御装置45は、満たされていない前提条件を満たすように操作盤36を操作する。例えば、制御装置45は、
図5の1行目の自動運転の実行の場合であれば、前提条件に設定された条件のうち、満たされていない条件を満たすように操作盤36を操作する。制御装置45は、例えば、後述する各検出モードと同様に、エンドエフェクタ49によって操作盤36を操作して各前提条件を満たすように操作を実行する。従って、制御装置45は、前提条件の全てを満たしていない場合(S15:NO
)、エンドエフェクタ49を制御して前提条件を満たすための操作を操作盤36に対して実行する(S17)。制御装置45は、S17を実行すると、S19を実行する。
【0059】
S19において、制御装置45は、検出モードとして撮像検出モードが設定されているか否かを判断する。制御装置45は、撮像検出モードが設定されている場合(S19:YES)、撮像装置53により操作盤36を撮像し(S21)、S23を実行する。尚、S21を実行する前に既に撮像装置53により操作盤36を撮像した撮像データがある場合、制御装置45は、S21で撮像を実行せずに、S23を実行しても良い。
【0060】
制御装置45は、例えば、工作機械12を正面から撮像した撮像データから操作盤36の位置を検出し、検出した位置に基づいて自装置の位置やエンドエフェクタ49(撮像装置53)の位置を調整し、調整後に操作盤36を撮像しても良い。あるいは、例えば、工作機械12の前の床に初期位置の目印となるマークや発光素子を配置しても良い。そして、制御装置45は、マークや発光素子の光を目印にして自装置を所定の初期位置に配置する。制御装置45は、予め設定された情報に基づいてアーム44を駆動し、エンドエフェクタ49を所定の初期位置、即ち、操作盤36を撮像可能な位置に配置しても良い。また、操作盤36にQRコード(登録商標)などの識別コードを設け、制御装置45が、撮像データからQRコード(登録商標)を検出することで、操作盤36の位置を検出しても良い。
【0061】
S23において、制御装置45は、例えば、撮像装置53で操作盤36を撮像した撮像データに含まれる操作部60の中から、制御情報56に設定された「操作部の画像名の画像」、「記号情報が示す記号」、や「周囲の文字情報が示す文字」を検出する。制御装置45は、指令情報17に設定された識別情報(選択実行部78による指示であれば、
図5に設定された識別情報)に基づいて、制御情報56の中から対応する識別情報を検出する。制御装置45は、検出した識別情報に関連付けられた、「操作部の画像」、「記号情報」、や「周囲の文字情報」を制御情報56から取得する。制御装置45は、取得した情報に基づいて操作対象の操作部60の画像と一致する操作部60、一致する記号や文字が周囲に設けられた操作部60を、撮像データから検出する。
【0062】
制御装置45は、例えば、制御情報56から取得した操作対象の操作部60の画像、記号、文字と、撮像データに含まれる要素のパターンマッチング処理を実行することで、操作対象の操作部60を検出する。尚、制御装置45は、操作部60の画像、記号、文字のうち、少なくとも1つを用いて撮像データから操作部60を検出しても良い。あるいは、制御装置45は、機械学習により各操作部60の特徴点と操作部60の関係を学習したAIを用いて撮像データから操作部60を検出しても良い。
【0063】
制御装置45は、S23を実行すると、S23の検出結果と、制御情報56のサイズの情報から、エンドエフェクタ49と操作部60との間の距離、操作部60の中央位置を検出する(S25)。制御装置45は、例えば、S23で検出した操作部60に焦点を調整して撮像装置53による撮像を実行する。制御装置45は、撮像した撮像データ内の操作部60のサイズ、焦点距離、制御情報56のサイズ情報(実際のサイズ)に基づいて撮像装置53と操作部60との間の距離を演算し、エンドエフェクタ49と操作部60との間の距離を演算する。また、制御装置45は、例えば、撮像データ内の操作部60の輪郭を検出し、検出した輪郭について制御情報56のサイズ情報(縦横比)による補正を実行して操作部60の中央位置を検出する。輪郭の検出処理としては、公知の技術を用いることができる。尚、エンドエフェクタ49と操作部60との間の距離や、操作部60の中央位置を検出する方法は、上記した方法に限らない。例えば、ロボット13は、操作部60との間の距離を測定する距離センサを備えても良い。また、制御装置45は、操作部60を複数の角度から撮影し、操作部60の3次元画像を作成して距離や中央位置を検出しても
良い。
【0064】
次に、制御装置45は、S25で検出した距離や中央位置に基づいて、エンドエフェクタ49を上記した操作前の所定位置(操作対象の操作部60の中央位置から工作機械12の前方側に所定距離だけ離れた位置)に配置する(S27)。制御装置45は、制御情報56の「制御内容」の情報に基づいてエンドエフェクタ49等を制御し操作部60を操作する(S27)。制御装置45は、指令情報17に設定された識別情報(選択実行部78による指示であれば、
図5に設定された識別情報)に関連付けられた制御内容を制御情報56から取得し、エンドエフェクタ49やアーム44を制御する。換言すれば、制御情報56に設定された制御内容は、上記したように、所定位置に配置された状態から、エンドエフェクタ49等を制御する制御パラメータが設定されている。これにより、指令装置11によって指示した操作部60を安定して操作することができる。制御装置45は、S27で操作部60の操作を終了すると、S11からの処理を再度実行する。
【0065】
また、制御装置45は、S19で否定判断した場合、即ち、検出モードとして基準位置検出モードが設定されている場合(S19:NO)、操作盤36の基準位置及び操作盤36までの距離を検出する(S29)。制御装置45は、例えば、操作盤36の所定位置にエンドエフェクタ49の爪52を突き当てて操作盤36までの距離、操作盤36における基準位置を確認する。操作盤36の基準位置とは、例えば、
図3に破線で示す操作盤36の正面の角部36Dなど、操作部60が設けられていない位置である。操作盤36の基準位置を検出する方法としては、例えば、操作盤36の基準位置に、QRコード(登録商標)などの識別コードやマーク等を設け、それを撮像装置53で撮像して検出する方法を用いることができる。あるいは、基準位置に穴を設け、画像認識により穴を検出し、エンドエフェクタ49に設けた突起を穴に挿入することで基準位置を検出しても良い。また、制御装置45は、基準位置までエンドエフェクタ49を移動させる前の位置から、移動させた後の位置に基づいて、操作盤36までの距離を検出できる。制御装置45は、例えば、操作盤36までの距離から、操作対象の操作部60の厚みを減算することで、操作対象の操作部60までの距離を演算できる。尚、操作部60の厚みの値は、予め制御情報56に登録しても良く、撮像装置53の撮影によって検出しても良い。
【0066】
次に、制御装置45は、指令装置11に設定された識別情報に基づいて、制御情報56の中から対応する識別情報を検出する(S31)。制御装置45は、検出した識別情報に関連付けられた座標位置の情報を制御情報56から取得する(S31)。制御装置45は、S29で検出した基準位置と、S31で取得した座標位置に基づいて、操作対象の操作部60の中央位置を検出する(S31)。制御装置45は、撮像検出モードと同様に、S29,S31で検出した距離(操作対象の操作部60までの距離)や中央位置に基づいて、エンドエフェクタ49を操作前の所定位置に配置し、制御情報56の制御内容に基づいてエンドエフェクタ49を制御し、操作部60を操作する(S27)。これにより、指令装置11によって指示した操作部60を操作することができる。制御装置45は、S27を実行すると、S11からの処理を再度実行する。
【0067】
上記したように、本実施例の制御装置45は、撮像装置53により操作盤36を撮像し(S21)、指令情報17により指示された操作対象の操作部60の位置を撮像装置53の撮像データから検出する(S23、S25)。制御装置45は、検出した操作対象の操作部60の位置と、制御情報56において操作対象の操作部60と関連付けられた制御内容と、に基づいてエンドエフェクタ49を制御し、操作対象の操作部60を操作する(S27)。これにより、ロボット13は、制御情報56を用いることで、指定された操作部60を適切に操作できる。従って、指令装置11から指令情報17により操作する操作部60や、操作内容(ON/OFF、入り/切りなど)を指示することで、所望の操作部60を操作できる。
【0068】
また、制御装置45は、撮像検出モードにおいて、操作部60の形状、及び操作部60の周囲に表記された文字情報に基づいて、操作対象の操作部60の位置を撮像データから検出する。これにより、予め定められた形状や文字情報によって、操作対象の操作部60をより精度良く検出することができる。
【0069】
また、制御装置は、基準位置検出モードにおいて、指令情報17により指示された操作対象の操作部60の座標位置を制御情報56(座標情報の一例)から取得する(S31)。制御装置45は、取得した操作対象の操作部60の座標位置と、制御情報56の制御内容と、に基づいてエンドエフェクタ49を制御し操作部60を操作する(S27)。工作機械12の操作盤36は、設置後に操作部60の構成を変更される可能性は低い。このため、予め操作部60の基準位置と各操作部60の座標位置を登録しておくことで、ロボット13が、座標位置に基づいて操作部60を精度良く検出して操作することができる。
【0070】
また、制御装置45は、操作盤36の基準位置にエンドエフェクタ49を接触させ、基準位置までエンドエフェクタ49を移動させた距離に基づいて操作盤36までの距離を検出する(S29)。制御装置45は、検出した距離と、座標位置に基づく所定位置にエンドエフェクタ49を配置した後、制御内容に基づいてエンドエフェクタ49を制御し、操作対象の操作部60を操作する(S27)。これによれば、操作部60に対してエンドエフェクタ49を適切な位置に配置でき、操作部60の操作(押す、回すなど)を適切に実行できる。換言すれば、予め設定した押し込み量や回転量で操作部60を適切に操作できる。
【0071】
また、制御装置45は、指令情報17に基づいて実行する操作盤36に対する操作を実行する上で満たすべき前提条件を、条件情報57から取得し、前提条件の全てを満たしている場合(S15:YES)、指令情報17に基づく操作盤に対する操作を実行する(S19以降)。一方、制御装置45は、前提条件の全てを満たしていない場合(S15:NO)、前提条件を満たすための操作を操作盤36に対して実行した後(S17)、指令情報17に基づく操作盤36に対する操作を実行する(S19以降)。工作機械12は、作業効率の向上、故障率の低下、安全面等の理由から、所定の操作を実行する場合に、一定の前提条件を満たしていなければ実行しない構成となっている。このため、指令装置11から指令情報17を送信しても、所定の前提条件が満たされていなければ実行できない可能性がある。そこで、ロボット13は、前提条件を自動で確認し、前提条件を全て満たしていなければ、満たすための操作を事前に実行した上で指示された操作を実行する。これにより、工作機械12に対して意図した操作を迅速且つ的確に実施できる。また、作業者による前提条件の確認が不要となる。
【0072】
また、指令装置11は、工作機械12の操作盤36を示す画像であるデジタル操作盤77をユーザIF23に表示し(
図6参照)、デジタル操作盤77に対する操作入力を受け付ける。指令装置11は、受け付けた操作入力を示す指令情報17をロボット13へ送信する。これにより、ユーザは、デジタル操作盤77を操作することで、遠隔地の工作機械12の操作盤36を操作することができ、あたかもその場で操作しているかのように操作できる。工場で使用している時と、同じ感覚で操作盤36を操作できる。
【0073】
また、ロボット13は、撮像検出モードと基準位置検出モードの2つの検出モードを備えている。このため、操作盤36の構造、特徴に応じてモードを切り替えることができる。例えば、同一形状の操作部60が多い操作盤36に対しては、基準位置検出モードを用いることで、同一形状の操作部60の中から操作対象の操作部60を迅速に検出できる。また、基準位置となる平面等を設け難い操作盤36であれば、撮像検出モードを用いることで、操作部60を適切に検出できる。
【0074】
(操作入力対応情報28について)
次に、操作入力対応情報28について説明する。ここで、
図6に示す操作画面71では、デジタル操作盤77として、工作機械12の操作盤36と同じ画像を表示した。しかしながら、操作盤36は、機種や製造メーカによって構成が異なる。そして、ユーザは、普段使い慣れている操作盤36を操作したい場合がある。そこで、操作入力対応情報28には、工作機械12の操作盤36に対する操作入力と、操作盤36とは異なる操作盤に対する操作入力との対応関係を示す情報が設定されている。これにより、ユーザは、例えば、普段使い慣れている操作盤36のデジタル操作盤77によって異なる種類の操作盤を備える工作機械を遠隔で操作できる。
【0075】
詳述すると、
図8は、操作入力対応情報28を用いた変換処理の流れを示している。
図8では、一例として操作盤36を備える工作機械12、操作盤136を備える工作機械12A、操作盤236を備える工作機械12Bの3つの図示している。工作機械12,12A,12Bは、同一メーカの機種でも良く、異なるメーカの機種でも良い。指令装置11の識別対応情報27には、上記した通り、デジタル操作盤77で受け付け可能な操作指示と、その操作指示に対応する識別情報(
図4参照)とが関連付けられている。操作入力対応情報28には、例えば、識別対応情報27の識別情報(デジタル操作盤77の操作を識別する情報)と、工作機械12A,12Bの操作盤136,236の操作に対応する識別情報とが関連付けられている。
【0076】
指令装置11は、例えば、デジタル操作盤77を表示してユーザから操作入力を受け付ける。指令装置11は、操作入力対応情報28による変換を実行しない場合、
図8の一番上に示すように変換を実行せずに、工作機械12へ指令情報17を送信する。一方、上から2番目は、操作盤136を備える工作機械12Aが工場に設置された場合を示している。この場合、ユーザは、指令装置11を操作して、操作入力対応情報28による変換を指示する。指令装置11は、例えば、変換先の工作機械(この場合であれば工作機械12A)の製造メーカや機種の情報を受け付ける。指令装置11は、デジタル操作盤77で受け付けた操作に基づいて識別対応情報27から識別情報を検出する。指令装置11は、検出した識別情報と、受け付けた機種等の情報とに基づいて、識別対応情報27で検出した識別情報に対応する識別情報を操作入力対応情報28から検索する。即ち、指令装置11は、デジタル操作盤77で受け付けた操作と同じ内容の操作を、操作盤36とは異なる操作盤136で実行する場合に行なう操作に対応する識別情報を、操作入力対応情報28から検索する。指令装置11は、識別情報の変換を実行し、変換後の識別情報を含む指令情報17Aを工作機械12Aの近くに配置されたロボット13に送信する。
【0077】
工作機械12Aの近くに配置されたロボット13の制御情報56や条件情報57には、工作機械12Aの操作盤136に対応する情報が設定されている。このため、ロボット13は、指令装置11から受信した指令情報17Aの識別情報に基づく制御を実行することで、デジタル操作盤77に対する操作と同じ操作を操作盤136に対して実行できる。同様に、指令装置11は、変換先の工作機械として工作機械12Bを受け付けた場合、デジタル操作盤77で受け付けた操作の識別情報を、操作入力対応情報28により操作盤236に対応する識別情報に変換し、指令情報17Bとして送信する。これにより、工作機械12Bの近くに設置されたロボット13は、指令装置11から受信した指令情報17Bに基づく制御を実行することで、デジタル操作盤77に対する操作と同じ操作を実行できる。
【0078】
また、機種やメーカによっては、例えば、あるメーカでは、任意の操作をハードキーで実行するのに対し、別のメーカではソフト処理によって実行する場合がある。このため、例えば、1つの操作スイッチ36B(例えば、押しボタン64)に対する操作を、タッチ
パネル36Aを複数回操作する操作(複数の識別情報)に対応付けても良い。そして、ロボット13は、受信した指令情報17に従って、複数の識別情報が示す操作を順番に実行し、タッチパネル36Aを操作することで、ハードキーを1つ操作したときと同等の操作を実現しても良い。これにより、ソフトとハードとの処理の違いがあっても、ユーザは、同じデジタル操作盤77を操作して、工作機械12とは異なる工作機械12A,12Bに同じ操作を実行することができる。
【0079】
従って、指令装置11は、工作機械12A,12Bの操作盤136,236とは異なる操作盤36を示す画像であるデジタル操作盤77を表示する。指令装置11は、デジタル操作盤77に対する操作入力を受け付け、受け付けた操作入力を操作入力対応情報28に基づいて操作盤136,236に対する操作入力に変換し、変換した操作入力を示す指令情報17をロボット13へ送信する。これにより、操作盤36,136,236の構成が異なっていても、同じデジタル操作盤77で操作を受け付け、異なる工作機械12A,12Bに対する操作を行なうことができる。ユーザは、普段から使い慣れたメーカや機種の操作盤36で様々な工作機械12,12A,12Bを操作することができる。尚、上記した例では、指令装置11が、操作入力対応情報28を備えたが、ロボット13が操作入力対応情報28を備え、変換を実行しても良い。
【0080】
因みに、上記実施例において、ロボット13は、工作機械用ロボットの一例である。ネットワークIF41は、通信装置の一例である。記憶装置46は、操作情報取得部の一例である。制御情報56は、座標情報の一例である。
【0081】
以上、上記した本実施例によれば以下の効果を奏する。
本実施例の一態様のロボット13は、操作盤36を操作可能なエンドエフェクタ49を備え、制御情報56や撮像装置53により取得した情報と、指令装置11から取得した指令情報17とに基づいてエンドエフェクタ49を制御し操作盤36を操作する。これによれば、操作盤36を操作するための情報を参考にエンドエフェクタ49を操作することができ、操作時間を短縮し、操作ミスの発生を抑制できる。一般的に、工作機械12は、作業現場における作業者によって操作盤36を操作する構成となっており、遠隔から操作する場合にも、ソフトウェア処理によって工作機械12に指示を出すだけでなく、操作盤36を操作する必要が生じる。即ち、指示内容によって、操作盤36のハードキー(スイッチ)の操作が必要となる。そこで、本実施例のロボット13は、指令装置11から取得した指令情報17に基づいて操作盤36を操作することができる。これにより、例えば、工作機械12のベンダーの担当者が遠隔で工作機械12を操作することができ、ユーザ側のエラーや不具合の発生に対して迅速且つ的確に対応することができる。ベンダーの担当者は、各工場の工作機械12を遠隔で操作できる。
【0082】
尚、本開示は上記の実施例に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、
図1に示す遠隔操作システム10の構成は一例である。工作機械遠隔操作システム10は、管理装置14を備えない構成でも良い。また、工作機械12は、ネットワーク15に接続されない構成でも良い。また、指令装置11をネットワーク19に接続しても良い。例えば、指令装置11を工場内に設置し、ロボット13と同じローカルネットワークに接続しても良い。
【0083】
また、上記実施例のロボット13の構成は、一例である。ロボット13は、撮像装置53を備えなくとも良い。また、ロボット13は、アーム44を備えなくとも良い。また、ロボット13は、距離センサを備えても良い。また、ロボット13は、近距離無線通信により工作機械12と通信可能な構成でも良い。
また、エンドエフェクタ49は、タッチパネル36A及び操作スイッチ36Bの両方を
操作可能であったが、どちらか一方のみを操作可能な構成でも良い。例えば、タッチパネル36Aについては、指令装置11にタッチパネル36Aを表示し、表示したタッチパネル36Aに対する操作入力に応じた信号を、工作機械12に送信しても良い。
また、制御情報56は、座標情報も含んでいたが、制御情報と座標情報とは別々の情報でも良い。例えば、座標情報は、
図4に示す制御情報のうち、識別情報、操作対象と動作、基準位置に対する座標位置、制御内容を含むデータでも良い。また、制御情報56は、識別情報、操作対象と動作、操作部の画像名、記号情報、周囲の文字情報、サイズ、制御内容を含むデータでも良い。また、制御情報56は、操作部60の形状を示す「操作部の画像名」、及び操作部60の周囲に標記された文字情報である「周囲の文字情報」うち、一方の情報のみを備えるデータでも良い。
【0084】
上記実施例では、制御情報56(座標情報)、条件情報57、を記憶する記憶装置46は、ロボット13に設けられる構成であった。そして、記憶装置46が、本開示の操作情報取得部の一例であった。これに対し、ロボット13は、制御情報56(座標情報)、条件情報57を外部の装置から取得しても良い。例えば、制御情報56(座標情報)、条件情報57を管理装置14に記憶させ、ロボット13が、管理装置14から各情報を取得しても良い。この場合、管理装置14から各情報を取得可能なネットワークIF41は、本開示の操作情報取得部の一例となる。
また、
図7に示す処理の一部をロボット13以外の装置が実行しても良い。例えば、S23,S25の画像処理を、指令装置11が実行しても良い。
また、
図7に示す処理の内容、順番は、一例である。制御装置45は、S23において、操作部の画像名(操作部60の形状)、記号情報、周囲の文字情報のうち、少なくとも1つに基づいて操作部60を検出しても良い。制御装置45は、S13,S15,S17を実行しなくとも良い。即ち、制御装置45は、前提条件を判断しなくとも良い。この場合、ロボット13は、条件情報57を備えなくとも良い。
また、指令装置11は、操作入力対応情報28を備えず、操作の変換を実行できない構成でも良い。
【0085】
尚、本開示の範囲は、特許請求の範囲に記載された従属関係に限定されない。例えば、本明細書では、請求項6において「請求項1又は請求項2に記載の工作機械用ロボット」を「請求項1~5の何れか1項に記載の工作機械用ロボット」に変更した技術思想も開示されている。あるいは、本明細書では、請求項7又は請求項8において「請求項1又は請求項2に記載の工作機械用ロボットを備える工作機械遠隔操作システム」を「請求項1~6の何れか1項に記載の工作機械用ロボットを備える工作機械遠隔操作システム」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0086】
10 工作機械遠隔操作システム、11 指令装置、12,12A,12B 工作機械、13 ロボット(工作機械用ロボット)、28 操作入力対応情報、36,136,236 操作盤、45 制御装置、41 ネットワークIF(通信装置)、46 記憶装置(操作情報取得部)、49 エンドエフェクタ、53 撮像装置、56 制御情報(座標情報)、57 条件情報、60 操作部、77 デジタル操作盤。