(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034707
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電子部品の収納構造体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/90 20060101AFI20240306BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65D85/90 100
B65D77/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139147
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】近内 三沖
(72)【発明者】
【氏名】平井 翔太
【テーマコード(参考)】
3E067
3E096
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB41
3E067AC04
3E067AC12
3E067BA10B
3E067BA12C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC07B
3E067CA21
3E067EA17
3E067EE28
3E067FA04
3E067FB11
3E067FC01
3E067GA15
3E096AA09
3E096AA13
3E096BA08
3E096BB03
3E096CA06
3E096CA30
3E096CB03
3E096CB10
3E096DA17
3E096DA30
3E096DB06
3E096DC02
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096EA03Y
3E096FA09
(57)【要約】
【課題】費用を削減しつつ、電子部品の負担を軽減することができる電子部品の収納構造体を提供する。
【解決手段】電子部品の収納構造体は、電子部品が収納されるトレーと、トレーに積層される弾性体と、トレーに対して弾性体を押し付ける押し付け部と、を備える。押し付け部は、例えば、トレー及び弾性体を内部に脱気した状態で収納する袋と、弾性体に積層され、トレーとともに弾性体を両側から押圧するケースと、を有する。トレーには、電子部品がそれぞれ収納される複数の収納凹部が形成され、弾性体は、複数の収納凹部に跨ってトレーに積層される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収納されるトレーと、
前記トレーに積層される弾性体と、
前記トレーに対して前記弾性体を押し付ける押し付け部と、
を備える、電子部品の収納構造体。
【請求項2】
前記押し付け部は、前記トレー及び前記弾性体を内部に脱気した状態で収納する袋を有する、請求項1に記載の電子部品の収納構造体。
【請求項3】
前記押し付け部は、前記弾性体に積層され、前記トレーとともに前記弾性体を両側から押圧するケースを有し、
前記ケースは、前記トレーと係合する係合部材を有する、請求項1又は2に記載の電子部品の収納構造体。
【請求項4】
前記弾性体は、連続気泡を有するフォーム材である、請求項1又は2に記載の電子部品の収納構造体。
【請求項5】
前記トレーは、導電性を有する、請求項1又は2に記載の電子部品の収納構造体。
【請求項6】
前記トレー内の雰囲気は、非酸化雰囲気である、請求項1又は2に記載の電子部品の収納構造体。
【請求項7】
前記トレーには、前記電子部品がそれぞれ収納される複数の収納凹部が形成され、
前記弾性体は、複数の前記収納凹部に跨って前記トレーに積層される、請求項1又は2に記載の電子部品の収納構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の収納構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を搬送する際、電子部品はトレーに収納される。トレーに電子部品を収納する手段として、例えば、電子部品を収納するための凹部をトレーに複数形成し、各凹部に収納された電子部品を蓋によって押さえつけ、電子部品の搬送中の位置ずれを防止する方法がある。
また、例えば特許文献1に記載の技術では、トレーに平坦面を形成し、この平坦面上にポリウレタンゴム等からなる粘着層が設けられている。この粘着層上に電子部品が配置され、電子部品は、粘着層の粘着力により保持される。これにより、電子部品の搬送中の位置ずれが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋によって電子部品をトレーに押さえつける場合、電子部品の形状に適した蓋を設計し、蓋の金型を製造する必要がある。電子部品は、熱電モジュールやICチップ等、多種態様である。このため、電子部品毎に蓋を設計し、蓋の金型を製造しなければならず、費用が増大してしまう。また、電子部品の配置がずれると、蓋からの圧力による電子部品の負担が増大する虞がある。
また、粘着層によって電子部品を保持する場合であっても、電子部品を取り出す際に粘着力に抗する強い力が電子部品に加わり、電子部品の負担が増大してしまう。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、費用を削減しつつ、電子部品の負担を軽減することができる電子部品の収納構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子部品の収納構造体は、電子部品が収納されるトレーと、前記トレーに積層される弾性体と、前記トレーに対して前記弾性体を押し付ける押し付け部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、費用を削減しつつ、電子部品の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電子部品の収納構造体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る電子部品の収納構造体を示す断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るトレーを第一表面側から見た平面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るトレーを第二表面側から見た平面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線における断面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る電子部品の収納構造体を示す断面図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る電子部品の収納構造体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
(電子部品の収納構造体の構成)
以下、本発明の第一実施形態に係る電子部品10の収納構造体1について、
図1から
図8を参照して説明する。
図1、
図2に示す、電子部品10の収納構造体1は、トレー20と、弾性体2と、押し付け部3と、を備える。
【0010】
(電子部品)
本実施形態の電子部品10は、例えばペルチェ効果によって吸熱又は発熱する熱電モジュールである。電子部品10は、一対の基板11と、これら基板11同士の間に配置された複数の内部素子12と、を有する。
【0011】
本実施形態の収納構造体1により収納される電子部品10は、様々な形状及びサイズのものがある。例えば、電子部品10のうち一部の電子部品10は、各内部素子12に電気的に接続された内部素子12に電流を供給するためのポスト13を有する。収納構造体1に収納される複数の電子部品10の幅及び高さは、それぞれ異なっていてもよい。
【0012】
(トレー)
図3、
図4に示すように、トレー20には、電子部品10が収納される。トレー20は、導電性を有する。トレー20を構成する樹脂材料として、例えば導電性ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、導電性PP(Polypropylene)、導電性PC(Polycarbonate)等が挙げられる。これらの樹脂材料の導電性は、例えば樹脂材料にカーボンブラック(炭素微粒子)を混ぜる、若しくは、コーティングすることによって付与される。
【0013】
トレー20は、例えば正方形板状に形成されている。トレー20の縦横の長さは、例えば10cm程度である。トレー20は、トレー本体21と、収納凹部22と、外周段部23と、第二凹部24と、曲角部25と、外周溝26と、を有する。
【0014】
トレー本体21は、矩形板状に形成されている。
以下、
図3から
図8に示すように、トレー本体21の板厚方向DZを単に「板厚方向DZ」と称し、板厚方向DZに垂直な面方向を単に「面方向」と称する。また、面方向に延在するトレー本体21の2つの表面27のうち一方の表面27を「第一表面27a」と称し、他方の表面27を「第二表面27b」と称する。また、第一表面27aと第二表面27bとを接続するトレー本体21の4つの側面28のうち、互いに平行な2つの側面28を「第一側面28a」と称し、残り2つの互いに平行な2つの側面28を「第二側面28b」と称する。第一側面28aと第二側面28bとは、直交している。また、面方向のうち、第一側面28aの延在方向を「縦方向D1」と称し、第二側面28bの延在方向を「横方向D2」と称する。
【0015】
収納凹部22は、トレー本体21の第一表面27aに複数形成されている。収納凹部22には、電子部品10がそれぞれ収納される。複数の収納凹部22は、格子状に配置されている。収納凹部22の列は、縦方向D1及び横方向D2に9列ずつ設けられている。複数の収納凹部22は、縦方向D1及び横方向D2のそれぞれに等間隔で配置されている。なお、収納凹部22の縦方向D1の列同士の横方向D2の間隔は、収納凹部22の横方向D2の列同士の縦方向D1の間隔よりも小さい。
【0016】
各収納凹部22は、全て同形状に形成されている。収納凹部22は、板厚方向DZから見て、縦方向D1及び横方向D2に延びる矩形状に形成されている。収納凹部22の横方向D2の寸法L2は、収納凹部22の縦方向D1の寸法L1よりも長い。
【0017】
また、収納凹部22は、板厚方向DZで第二表面27bから第一表面27aに向かうにしたがって開口面積が漸次大きくなるように断面視で僅かに、テーパ状に形成されている(
図6、
図8参照)。すなわち、収納凹部22の縦方向D1の寸法L1及び横方向D2の寸法L2は、板厚方向DZで第二側面28bから第一側面28aに向かうにしたがって漸次大きくなっている。
【0018】
収納凹部22の板厚方向DZの寸法が、電子部品10の基板11間の板厚方向DZの寸法よりも大きくなるように、収納凹部22は設計されている。
【0019】
外周段部23は、第一表面27aの側縁の全周に亘って、複数の収納凹部22を囲うように設けられている。外周段部23は、縦方向D1及び横方向D2の両方の断面視でL字状をなしている。
【0020】
第二凹部24は、第二表面27bに設けられている。より詳細には、第二凹部24は、複数の収納凹部22と板厚方向DZで重なる位置に第二表面27bの側縁を除く全面に亘って設けられている。第二凹部24は、板厚方向DZから見て矩形状に形成されている。
【0021】
曲角部25は、板厚方向DZから見て、トレー本体21の4つの角部のうち1つの角部に設けられている。曲角部25は、一の第一側面28aと一の第二側面28bとを接続している。
【0022】
外周溝26は、第二表面27bと第二側面28bとの境界部分に設けられている。すなわち、外周溝26は、縦方向D1に離間して一対設けられている。各外周溝26は、横方向D2に延びている。2つの外周溝26のうち、曲角部25側の外周溝26の横方向D2中心は、第二側面28bの横方向D2中心と横方向D2位置が一致している。また、残りの外周溝26の横方向D2中心は、第二側面28bの横方向D2中心よりも曲角部25側の第一側面28aに寄っている。外周溝26は、横方向D2の断面視でL字状をなしている。
【0023】
(弾性体)
図2に戻り、弾性体2は、トレー20の第一表面27aに積層されている。弾性体2は、複数の収納凹部22に跨って配置されている。弾性体2は、縦方向D1及び横方向D2に延在するシート状に形成されている。弾性体2の下面は、トレー20の第一表面27a及び、電子部品10の上側の基板11やポスト13に接している。
【0024】
弾性体2は、連続気泡を有する軟質のフォーム材である。このフォーム材の例として、例えばポリウレタンフォームや、ポリエチレンフォーム等が挙げられる。弾性体2は、粘着性を有さないことが望ましい。また、弾性体2は、導電性または低帯電性を有することが望ましい。
【0025】
(押し付け部)
押し付け部3は、トレー20に対して弾性体2を押し付ける。押し付け部3は、ケース30と、袋4と、を有する。
【0026】
(ケース)
ケース30は、弾性体2に積層されている。ケース30は、トレー20とともに弾性体2を板厚方向DZの両側から押圧する。ケース30は、弾性体2よりも剛性の大きい樹脂材料で形成されている。ケース30を構成する樹脂材料として、例えばPET(Polyethylene terephthalate)、ABS、PC等が挙げられる。また、ケース30は、導電性または低帯電性を有することが望ましい。
【0027】
ケース30は、弾性体2に積層される矩形板状のケース本体31と、ケース本体31の外周縁からトレー20側に垂直に立ち上がるケース側壁32と、ケース側壁32から外周側に延びて外周段と重ね合わされるフランジ部33と、を有する。
【0028】
ケース本体31とトレー20の第一表面27aとのクリアランスは、縦方向D1及び横方向D2の全体にわたって一定に設定されている。ケース本体31は、弾性体2と密着している。ケース本体31は、トレー20とともに、弾性体2を板厚方向DZ両側から挟み込んで押圧する。弾性体2は、ケース本体31とトレー20によって板厚方向DZ両側から挟み込まれると、板厚方向DZに圧縮される。
【0029】
ケース側壁32は、ケース本体31の外周縁の全周に亘って設けられている。ケース側壁32は、弾性体2及びトレー20の外周段部23と外周側から重ね合わされている。ケース側壁32は、弾性体2及び外周段部23と密着している。
【0030】
フランジ部33は、ケース側壁32の全周に亘って設けられている。フランジ部33は、板厚方向DZから見て矩形枠状に形成されている。フランジ部33は、トレー20の外周段部23と板厚方向DZに重ね合わされている。フランジ部33は、外周段部23と密着している。
【0031】
(袋)
袋4は、トレー20、弾性体2、及びケース30を内部に脱気した状態で収納する。本実施形態の袋4は、いわゆるガスバリア袋である。袋4内部は、真空引きして脱気される。これにより、トレー20内の雰囲気は、非酸化雰囲気となる。すなわち、電子部品10が収納される収納凹部22内の雰囲気は、非酸化雰囲気となる。
【0032】
<電子部品の収納方法>
続いて、上述した収納構造体1を用いた電子部品10の収納方法について説明する。
まずトレー20の各収納凹部22内に電子部品10を配置する。この時、一方の基板11が収納凹部22の底に接するように電子部品10を配置する。なお、この時、トレー20全ての収納凹部22に電子部品10が配置されている必要はなく、空の収納凹部22が存在してもよい。
【0033】
続いて、トレー20の第一表面27a上に弾性体2を積層する。その後さらに、弾性体2上にケース30を積層する。この時、トレー本体21とケース本体31とによって弾性体2を板厚方向DZに挟み込み、トレー20の外周段部23とケース30のフランジ部33とが板厚方向DZに対向するようにする。
【0034】
その後、積層されたトレー20、弾性体2、及びケース30のユニットを袋4内に収納する。この状態で袋4内に真空引きを行い、袋4内を脱気する。これにより、袋4の内圧が大気圧よりも小さくなり、袋4の外側から空気圧がかかる。この空気圧によって、トレー20とケース30とが板厚方向DZに接近し、弾性体2が板厚方向DZに押し潰される。この時、トレー20の外周段部23とケース30のフランジ部33とが密着される。
【0035】
この袋4外部からの空気圧によって、トレー20、弾性体2、及びケース30のユニットが固定される。電子部品10は、押し潰された弾性体2からの圧力によってトレー20内に固定され、電子部品10の位置ずれが防止される。
このようにして、電子部品10は、収納構造体1に収納される。
【0036】
<効果>
上述した第一実施形態の電子部品10の収納構造体1は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、電子部品10の収納構造体1は、電子部品10が収納されるトレー20と、トレー20に積層される弾性体2と、トレー20に対して弾性体2を押し付ける押し付け部3と、を備える。
【0037】
これにより、弾性体2は、押し付け部3によってトレー20内の電子部品10に押し付けられる。電子部品10は、弾性体2からの圧力によってトレー20内に保持される。また、弾性体2は、圧縮されてトレー20や電子部品10の形状に合わせて変形する。このため、トレー20内に収納された電子部品10に合わせて押し付け部3や弾性体2の設計を変更する必要がなくなり、電子部品10の収納に係る費用を大幅に削減することができる。
【0038】
また、本実施形態では、弾性体2は、電子部品10の表面27に密着した状態で電子部品10をトレー20に押し付ける。このため、弾性体2から電子部品10に加えられる圧力の偏りが抑制されるので、電子部品10の負担を軽減することができる。
【0039】
本実施形態では、ケース本体31とトレー20の第一表面27aとのクリアランスは、縦方向D1及び横方向D2の全体にわたって一定に設定されている。
これにより、弾性体2の沈み込み量が一定となり、弾性体2から電子部品10に加えられる圧力の偏りがより一層抑制される。よって、電子部品10の負担をより一層軽減することができる。
【0040】
本実施形態では、押し付け部3は、トレー20及び弾性体2を内部に脱気した状態で収納する袋4を有する。
この構成によれば、袋4内を脱気することにより、袋4の内圧が大気圧より小さくなる。これにより、袋4の外側から弾性体2に空気圧がかかり、弾性体2は電子部品10に押し付けられる。空気圧は、弾性体2の全体に均一にかかるため、弾性体2から電子部品10に加えられる圧力の偏りがより一層抑制される。よって、電子部品10の負担をより一層軽減することができる。
【0041】
本実施形態では、弾性体2は、連続気泡を有するフォーム材である。
この構成によれば、連続気泡によって弾性体2の変形許容量が大きくなる。このため、電子部品10の収納構造体1は、より多くの電子部品10の形状に対応可能となる。
【0042】
本実施形態では、トレー20は、導電性を有する。
これにより、電子部品10を除電することができるので、電子部品10の帯電を抑制し、電子部品10の動作不良を抑制することができる。
さらに、弾性体2及びケース30が、導電性または低帯電性を有することにより、電子部品10をより確実に除電することができる。すなわち、電子部品10の帯電がより一層抑制し、電子部品10の動作不良がより一層抑制される。
【0043】
本実施形態では、トレー20内の雰囲気は、非酸化雰囲気である。
これにより、電子部品10の酸化を抑制し、電子部品10の性能不良を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、トレー20には、電子部品10がそれぞれ収納される複数の収納凹部22が形成されている。さらに、弾性体2は、複数の収納凹部22に跨ってトレー20に積層されている。
【0045】
これにより、トレー20内に複数の電子部品10を収納することができる。さらに、上述したように、弾性体2は、押し付け部3によって電子部品10に押し付けられて圧縮され、トレー20や電子部品10の形状に合わせて変形する。このため、各収納凹部22内に形状の異なる電子部品10を収納した場合でも、トレー20や電子部品10毎に押し付け部3や弾性体2の設計を変更する必要がなくなる。すなわち、異なる種類の電子部品10に対して共通してこの収納構造体1を使用することができ、電子部品10の種類ごとに収納構造体1を用意する必要がなくなる。
よって、1つトレー20に複数種類の電子部品10を収納しつつ、電子部品10ごとに収納凹部22の形状等の設計を変更する必要がなくなる。よって、電子部品10の収納に係る費用をより一層削減することができる。
【0046】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態の電子部品10の収納構造体201について、
図9を参照して説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図9に示すように、本実施形態の電子部品10の収納構造体201は、第一実施形態と同様に、トレー220と、弾性体2と、押し付け部203と、備える。
【0048】
本実施形態のトレー220には、側面28に外周側に向けて開口する係合溝29が形成されている。
【0049】
本実施形態の押し付け部203は、ケース230のみから構成されている。ケース230は、ケース本体31と、ケース側壁32と、フランジ部33と、係合部材34と、を有する。係合部材34は、フランジ部33に設けられている。係合部材34は、例えばフック状に形成されている。係合部材34は、係合溝29と係合可能とされている。係合部材34とトレー220の係合溝29とが係合することにより、ケース230の移動が規制される。
【0050】
<電子部品の収納方法>
続いて、上述した収納構造体201を用いた電子部品10の収納方法について説明する。
まず、トレー220の各収納凹部22内に、電子部品10を配置する。
続いて、トレー220の第一表面27a上に弾性体2を積層する。その後さらに、弾性体2上にケース230を積層する。ここまでは、第一実施形態と同様の手順及び要領で行われる。
【0051】
その後、ケース230とトレー220とを板厚方向DZに接近させ、ケース230のフランジ部33とトレー220の外周段部23とを密着させる。これにより、弾性体2に板厚方向DZ両側から押圧力がかかり、弾性体2が板厚方向DZに押し潰される。
【0052】
この状態で、ケース230の係合部材34と、ケース230の係合溝29とを係合する。これにより、トレー220、弾性体2、及びケース230のユニットが固定される。電子部品10は、第一実施形態と同様に、押し潰された弾性体2からの圧力によってトレー220内に固定され、電子部品10の位置ずれが防止される。
このようにして、電子部品10は、収納構造体201に収納される。
【0053】
<効果>
上述した第二実施形態の電子部品10の収納構造体201は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、ケース230は、トレー220と係合する係合部材34を有する。
これにより、ケース230に係合部材34を設けるだけの簡単な構造で、弾性体2が押圧された状態を維持することができる。よって、費用をより一層削減することができる。
【0054】
なお、上記第二実施形態では、係合部材34がフック状に形成されている場合について説明した。しかしながら、係合部材34は、ケース230と係合することができれば、フック状に形成されていなくてもよい。例えば、係合部材34は、ケース230上の対応位置に形成された孔部に圧入されるピン状に形成されていてもよい。
【0055】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態の電子部品10の収納構造体301について、
図10を参照して説明する。第三実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図10に示すように、本実施形態の電子部品10の収納構造体301は、第一実施形態と同様に、トレー20と、弾性体2と、押し付け部303と、備える。
【0057】
本実施形態の押し付け部303は、袋4のみから構成されている。袋4内部を真空引きして脱気することにより、袋4内部の圧力が大気圧と比べて小さくなり、袋4の外側から空気圧がかかるようになる。本実施形態では、この空気圧よって、弾性体2がトレー20及びトレー20内の電子部品10に押し付けられる。
【0058】
<電子部品の収納方法>
続いて、上述した収納構造体301を用いた電子部品10の収納方法について説明する。
まず、トレー20の各収納凹部22内に、電子部品10を配置する。
続いて、トレー20の第一表面27a上に弾性体2を積層する。ここまでは、第一実施形態と同様の手順及び要領で行われる。
【0059】
その後、積層されたトレー20、及び弾性体2のユニットを袋4内に収納する。この状態で袋4内に真空引きを行い、袋4内を脱気する。これにより、袋4の内圧が大気圧よりも小さくなり、袋4の外側から空気圧がかかる。この空気圧によって、弾性体2がトレー20に押しつけられ、弾性体2が板厚方向DZに押し潰される。
【0060】
この袋4外部からの空気圧によって、トレー20、及び弾性体2のユニットが固定される。電子部品10は、押し潰された弾性体2からの圧力によってトレー20内に固定され、電子部品10の位置ずれが防止される。
このようにして、電子部品10は、収納構造体301に収納される。
【0061】
<効果>
上述した第三実施形態の電子部品10の収納構造体301は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態の押し付け部303は、袋4のみから構成されている。
本実施形態では、より簡素な構成で、弾性体2をトレー20及びトレー20内の電子部品10に押し付け、電子部品10の移動を規制することができる。これにより、費用をより一層削減することができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、収納構造体1,201,301に収納される電子部品10が熱電モジュールである場合について説明した。しかしながら、収納構造体1,201,301は、ICチップ等の他の電子部品10の収納に用いられてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態では、トレー20,220が例えば正方形板状に形成され、トレー20,220の縦横の長さが例えば10cm程度である場合について説明した。しかしながら、トレー20,220の形状及び寸法は、これに限られず適宜変更可能である。
【0064】
上記実施形態では、トレー20,220は、導電性を有する場合について説明した。しかしながら、トレー20,220は、必ずしも導電性を有する必要は無い。トレー20,220の材料は、適宜選択可能である。
【0065】
上記実施形態では、収納凹部22の列が縦方向D1及び横方向D2に9列ずつ設けられる場合について説明した。しかしながら、収納凹部22の個数は、適宜変更可能である。例えば、収納凹部22の列が縦方向D1及び横方向D2に20列ずつ、13列ずつ設けられてもよい。
【0066】
また、収納凹部22の列数は、縦方向D1及び横方向D2で同一である必要ない。例えば、収納凹部22の列が縦方向D1に9列、横方向D2に4列設けられてもよい。また、収納凹部22の縦方向D1の列同士の横方向D2の間隔及び、収納凹部22の横方向D2の列同士の縦方向D1の間隔も適宜変更可能である。
【0067】
上記実施形態では、収納凹部22が、板厚方向DZから見て、縦方向D1及び横方向D2に延びる矩形状に形成されている場合について説明した。しかしながら、収納凹部22の形状は、これに形成されない。収納凹部22の形状も適宜変更可能であり、全ての収納凹部22が同形状に形成されている必要もない。
【0068】
上記実施形態では、収納凹部22は、板厚方向DZで第二表面27bから第一表面27aに向かうにしたがって開口面積が漸次大きくなるようにテーパ状に形成されているとした。しかしながら、収納凹部22は、側面が第二表面27b及び第一表面27aに対して垂直に延びるように形成されていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、弾性体2は、連続気泡を有するフォーム材である場合について説明した。しかしながら、弾性体2は、適宜変更可能であり、例えばゴム等によって形成されていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、収納凹部22の非酸化雰囲気が袋4内を脱気することによって生じる場合ついて説明した。しかしながら、収納凹部22の非酸化雰囲気は、袋4内に窒素等の不活性ガスを封入することによって生じてもよい。ただし、袋4内に不活性ガスを不入することにより収納凹部22内を非酸化雰囲気とする場合、弾性体2を押し潰した状態で保持するために、例えば第二実施形態の係合部材34や係合溝29等の固定部材を別途設ける必要がある。
【0071】
また、袋4内の脱気によって収納凹部22内を非酸化雰囲気とする場合、酸化防止剤を袋4内に設けてもよい。
【0072】
上記実施形態では、押し付け部3,203,303が、袋4内を脱気することによって生じる袋4外部からの空気圧や、係合部材34による係合によって弾性体2を押し潰した状態で維持する場合について説明した。しかしながら、押し付け部3,203,303の構成はこれに限られない。押し付け部3,203,303は、例えばゴムバンドを備え、このゴムバンドによってトレー20,220、弾性体2、及びケース30,230のユニットを固定するものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…収納構造体 2…弾性体 3…押し付け部 4…袋 10…電子部品 11…基板 12…内部素子 13…ポスト 20…トレー 21…トレー本体 22…収納凹部 23…外周段部 24…第二凹部 25…曲角部 26…外周溝 27…表面 27a…第一表面 27b…第二表面 28…側面 28a…第一側面 28b…第二側面 30…ケース 31…ケース本体 32…ケース側壁 33…フランジ部 201…収納構造体 203…押し付け部 220…トレー 29…係合溝 230…ケース 34…係合部材 301…収納構造体 303…押し付け部 DZ…板厚方向 D1…縦方向 D2…横方向 L1…寸法 L2…寸法