(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034714
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置
(51)【国際特許分類】
B02C 17/08 20060101AFI20240306BHJP
B02C 17/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B02C17/08
B02C17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139162
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】513019818
【氏名又は名称】株式会社ビートセンシング
(71)【出願人】
【識別番号】507219686
【氏名又は名称】静岡県公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】宮嵜 靖則
(72)【発明者】
【氏名】賀川 義之
(72)【発明者】
【氏名】森野 和喜
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 克
(72)【発明者】
【氏名】森野 雄喜
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063FF04
4D063FF22
4D063FF29
4D063FF37
4D063GA10
4D063GC17
4D063GC21
4D063GC25
4D063GC27
4D063GD04
4D063GD19
(57)【要約】
【課題】 ボールを用いず、良好な粉砕・破砕・脱カプセルが可能な粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置を提供すること。
【解決手段】 ボールを用いずに粉砕を行う自転公転式の粉砕装置に用いる容器1であって、自転体に取り付けられ軸線L0が自転軸線と同じに設定され上部に開口部を有した有底の筒状容器本体5と、筒状容器本体の開口部を閉塞可能な本体用蓋部材5aと、筒状容器本体内の下部に設けられ又は収納可能で上部が開口した回収用容器部6と、回収用容器部の上方に設置され被処理物が収納可能であると共に底部に貫通孔7aが形成されている粉砕用容器部7と、筒状容器本体内の回収用容器部と前記粉砕用容器部との間に設置され前記粉砕用容器部に収納される被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材8とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構とを備え、ボールを用いずに粉砕を行う粉砕装置に用いる容器であって、
前記自転体に取り付けられ軸線が前記自転軸線と同じに設定され上部に開口部を有した有底の筒状容器本体と、
前記筒状容器本体の前記開口部を閉塞可能な本体用蓋部材と、
前記筒状容器本体内の下部に設けられ又は収納可能で上部が開口した回収用容器部と、
前記筒状容器本体内の前記回収用容器部の上方に設置され被処理物が収納可能であると共に底部に貫通孔が形成されている粉砕用容器部と、
前記筒状容器本体内の前記回収用容器部と前記粉砕用容器部との間に設置され前記粉砕用容器部に収納される前記被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材とを備えていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項2】
請求項1に記載の粉砕装置用容器において、
前記粉砕用容器部よりも柔軟な材料で前記粉砕用容器部の外周を覆う円筒状の粉砕側緩衝部材を備えていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項3】
請求項1に記載の粉砕装置用容器において、
前記回収用容器部よりも柔軟な材料で前記回収用容器部の外周を覆う円筒状の回収側緩衝部材を備えていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項4】
請求項1に記載の粉砕装置用容器において、
前記粉砕用容器部内に設けられ前記粉砕用容器部の軸線に沿って延在する刃部を有する破砕用板部を備えていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項5】
請求項1に記載の粉砕装置用容器において、
前記篩い部材が、前記粉砕用容器部側の表面に形成された削り用凹凸部を複数有していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項6】
請求項1に記載の粉砕装置用容器において、
前記篩い部材が、金属板に前記篩い目となる複数の篩い用孔を形成したものであることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項7】
請求項6に記載の粉砕装置用容器において、
前記篩い部材が、前記篩い用孔が形成されていない中央領域と、
前記中央領域の外周に複数の前記篩い用孔が形成されている篩い領域とを有していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項8】
公転軸線を中心に回転可能な公転体と、
前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、
前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器とを備え、ボールを用いずに粉砕を行うことを特徴とする粉砕装置。
【請求項9】
請求項8に記載の粉砕装置において、
前記駆動機構が、前記公転体の回転数が相対的に速い粉砕用回転数で前記公転体を回転させた後に、前記粉砕用回転数よりも前記公転体の回転数が相対的に遅い回収用回転数で前記公転体を回転させる2段階回転を、繰り返して行うことを特徴とする粉砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば錠剤の破砕・粉砕などに好適な粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、錠剤は成人容量が基本であるため形状が大きく、更に小児には量も多い。このため小児や嚥下困難者に対しては病院薬剤室や薬局等で粉砕が行われ、嚥下可能な大きさとすると共に適量に調剤されている。
また、カプセル剤も同様に成人用の大きさと容量であるため、カプセルを外し内容物を取り出す「脱カプセル」が行われている。
錠剤等の被処理物の粉砕を行う方法として、回転刃のついたミルで行う方法の他、例えば被処理物を容器に入れ、この容器を自転及び公転させて被処理物の攪拌及び粉砕を行う装置を用いることが検討されている。
脱カプセルについては有効な装置が一般化されておらず、薬剤師が手作業でカプセルを外し内容物の取り出しを行っている。
【0003】
従来、例えば特許文献1には、有底円筒状の攪拌容器内に被処理物(被攪拌物)を収納し、さらにこの攪拌容器内に粉砕補助を行うためのジルコニアボール等のボールを被処理物と一緒に入れた状態で、攪拌容器を自転及び公転させる回転攪拌装置が記載されている。すなわち、自転公転攪拌方式でボールミルとして粉砕を行う方法が記載されている。
また、自転公転ミキサーによる脱カプセルの技術は、特許文献2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5984130号公報
【特許文献2】実用新案登録第3236641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
すなわち、従来、自転公転攪拌方式で粉砕を行う場合、粉砕補助を行うためのボールを入れてボールミルとする方法が提案されているが、粉砕後に粉末中からボールを除去する必要があり、作業が手間であると共に、ボール混入によるコンタミネーションの問題もある。また、入れるボールの個数や大きさ等の条件設定が難しく、良好な粉砕物を得ることが困難であった。
また、カプセル剤の場合、ボールではカプセル表面を削るだけで内容物の取り出しを行う事が出来なかった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、ボールを用いずに良好な粉砕・破砕・脱カプセルが可能な粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る粉砕装置用容器は、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構とを備え、ボールを用いずに粉砕を行う粉砕装置に用いる容器であって、前記自転体に取り付けられ軸線が前記自転軸線と同じに設定され上部に開口部を有した有底の筒状容器本体と、前記筒状容器本体の前記開口部を閉塞可能な本体用蓋部材と、前記筒状容器本体内の下部に設けられ又は収納可能で上部が開口した回収用容器部と、前記筒状容器本体内の前記回収用容器部の上方に設置され被処理物が収納可能であると共に底部に貫通孔が形成されている粉砕用容器部と、前記筒状容器本体内の前記回収用容器部と前記粉砕用容器部との間に設置され前記粉砕用容器部に収納される前記被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この粉砕装置用容器では、筒状容器本体内の回収用容器部と粉砕用容器部との間に設置され粉砕用容器部に収納される被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材を備えているので、自転公転によって粉砕用容器部内で削れ、粉砕され細かくなった被処理物の粉(又は脱カプセルした粉)が貫通孔から下方に落ちると共に篩い目よりも細かくなった被処理物の粉だけが篩い部材から回収用容器部内へと落ちる。このように篩い部材を挟んだ粉砕用容器部と回収用容器部との2層式としたことにより、粉砕用容器部内で緩衝となる細かくなった被処理物の粉が篩い部材を介して別室の回収用容器部へと落ち、移動、分離されることで、粉砕用容器部内での粉砕の邪魔にならず、効率的な粉砕が可能になり、粉砕率が向上する。
すなわち、2室構造を採用することで、粉砕捜査中に粉砕物(被処理物の粉)の分離を図ることができ、粉砕効率の低下を回避し、一回の粉砕操作で粉砕終点(全ての被処理物(原料)が所望のサイズ以下の粒度になる点)まで到達させることが可能になる。
また、回収用容器部内では粉砕が進まないため、また篩い部材が分離壁となって再度粉砕用容器部に粉砕物が移動する頻度が低いため、粉砕物の過粉砕を防ぐことができ、粉砕物の流動性の低下を回避することができる。
さらに、篩い部材の篩い目でも、回転時に被処理物を削るため、より細かい被処理物の粉が得られる。特に、被処理物が篩い部材の篩い目表面を転動することで、篩い部材により削れた被処理物の粉は、良質な球状となり易い。
なお、上記特許文献2では、作業後に粉を取り出すために篩を容器上面に取り付けているが、本発明のように粉砕時に容器内に内蔵させるものではないため、本発明のように、粉砕中に衝撃を緩和させ粉砕効率を低下させる粉末を除去することはできない。
【0009】
第2の発明に係る粉砕装置用容器は、第1の発明において、前記粉砕用容器部よりも柔軟な材料で前記粉砕用容器部の外周を覆う円筒状の粉砕側緩衝部材を備えていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、粉砕用容器部よりも柔軟な材料で粉砕用容器部の外周を覆う円筒状の粉砕側緩衝部材を備えているので、回転時に粉砕用容器部の半径方向の振動を粉砕側緩衝部材が緩和することで、粉砕用容器部の変形等を防ぐことができる。
【0010】
第3の発明に係る粉砕装置用容器は、第1の発明において、前記回収用容器部よりも柔軟な材料で前記回収用容器部の外周を覆う円筒状の回収側緩衝部材を備えていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、回収用容器部よりも柔軟な材料で回収用容器部の外周を覆う円筒状の回収側緩衝部材を備えているので、回転時に回収用容器部の軸線方向の振動を回収側緩衝部材が緩和することで、回収用容器部の変形等を防ぐことができる。
【0011】
第4の発明に係る粉砕装置用容器は、第1の発明において、前記粉砕用容器部内に設けられ前記粉砕用容器部の軸線に沿って延在する刃部を有する破砕用板部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、粉砕用容器部内に設けられ粉砕用容器部の軸線に沿って延在する刃部を有する破砕用板部を備えているので、回転時に被処理物が破砕用板部に衝突することで粉砕され、粉砕効果がより向上する。
【0012】
第5の発明に係る粉砕装置用容器は、第1の発明において、前記篩い部材が、前記粉砕用容器部側の表面に形成された削り用凹凸部を複数有していることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、篩い部材が、粉砕用容器部側の表面に形成された削り用凹凸部を複数有しているので、回転時に被処理物が削り用凹凸部によって大根おろしの様にして削られることで、粉砕効果がさらに向上する。
【0013】
第6の発明に係る粉砕装置用容器は、第1の発明において、前記篩い部材が、金属板に前記篩い目となる複数の篩い用孔を形成したものであることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、篩い部材が、金属板に篩い目となる複数の篩い用孔を形成したものであるので、網目状の篩い部材と同様の効果を得ることができると共に、任意の領域に篩い用孔を容易に形成することができる。また、篩い用孔の孔径,開孔率,配列等を変更することで、粒度あるいは分離効率等を制御することが可能になる。さらに、孔開け加工による金属板に開けた篩い用孔は、網目状の篩い部よりもエッジが立っており、より高い削り効果も得られる。
【0014】
第7の発明に係る粉砕装置用容器は、第6の発明において、前記篩い部材が、前記篩い用孔が形成されていない中央領域と、前記中央領域の外周に複数の前記篩い用孔が形成されている篩い領域とを有していることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、篩い部材が、篩い用孔が形成されていない中央領域と、中央領域の外周に複数の篩い用孔が形成されている篩い領域とを有しているので、外周の篩い領域から下方に粉を落として分離させると共に、中央領域から粉が逆流して粉砕用容器部内に戻ることを抑制することができる。
例えば、自転角度が立った状態での自転公転で粉砕等が行われる場合、粉砕用容器部内では、被処理物が軸線のある中央部分で上昇すると共にその外周部分で下降する上下対流が発生しているため、篩い領域を外周だけに形成することで、外周から粉砕した粉を効果的に落下させると共に、篩い用孔の無い中央領域により粉が中央部から粉砕用容器部に戻ることを抑制できる。
【0015】
第8の発明に係る粉砕装置は、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構と、第1から第7の発明のいずれかの粉砕装置用容器とを備え、ボールを用いずに粉砕を行うことを特徴とする。
【0016】
第9の発明に係る粉砕装置は、第8の発明において、前記駆動機構が、前記公転体の回転数が相対的に速い粉砕用回転数で前記公転体を回転させた後に、前記粉砕用回転数よりも前記公転体の回転数が相対的に遅い回収用回転数で前記公転体を回転させる2段階回転を、繰り返して行うことを特徴とする。
この粉砕装置では、駆動機構が、公転体の回転数が相対的に速い粉砕用回転数で公転体を回転させた後に、粉砕用回転数よりも公転体の回転数が相対的に遅い回収用回転数で公転体を回転させる2段階回転を、繰り返して行うので、速い粉砕用回転数での回転による粉砕と、遅い回収用回転数での回転による粉の除去とを繰り返して、効率的に再粉砕させることができる。
すなわち、速い粉砕用回転数での回転で生じた強い遠心力により被処理物を粉砕した後、遅い回収用回転数での回転により遠心力が弱まり被処理物の上昇効果が弱まることで、粉砕された被処理物の粉を、篩い部材を介して回収用容器部に移動させ、粉砕用容器部内から除くことができる。そして、再び速い粉砕用回転数で回転させることで、緩衝材となってしまう粉が取り除かれた状態で、粉砕用容器部内で被処理物を再度粉砕することができ、効率的に粉砕することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置によれば、筒状容器本体内の回収用容器部と粉砕用容器部との間に設置され粉砕用容器部に収納される被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材を備えているので、粉砕用容器部内で緩衝となる細かくなった被処理物の粉が篩い部材を介して別室の回収用容器部へと落ち、移動、分離されることで、粉砕用容器部内での粉砕の邪魔にならず、効率的な粉砕が可能になり、粉砕率が向上する。
したがって、本発明の粉砕装置用容器及び粉砕装置では、ボール等を使わずに、効率的に被処理物を粉砕することができ、錠剤等の粉砕に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第1実施形態において、粉砕装置用容器を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態において、粉砕装置用容器を示す一部の部材を破断した正面図である。
【
図3】第1実施形態において、筒状容器本体及び本体用蓋部材を示す正面図である。
【
図4】第1実施形態において、篩い部材を示す平面図である。
【
図5】第1実施形態において、粉砕用容器部を示す正面図(a)及び底面図(b)である。
【
図6】第1実施形態において、粉砕装置を示す全体断面図である。
【
図7】第1実施形態において、破砕用板部を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第2実施形態において、篩い部材を示す平面図である。
【
図9】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第3実施形態において、3種類の篩い部材を示す平面図である。
【
図10】第1実施形態の他の例において、篩い部材を示す正面図(a)、篩い部材に取り付けた粉砕用容器部及び回収用容器部を示す正面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第1実施形態を、
図1から
図7に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している部分がある。
【0020】
本実施形態における粉砕装置用容器1は、
図6に示すように、公転軸線L1を中心に回転可能な公転体2と、公転体2に保持されて自転軸線L2を中心に回転可能な自転体3と、公転体2と自転体3とを回転駆動する駆動機構4とを備え、ボールを用いずに粉砕を行う粉砕装置100に用いる容器である。
【0021】
この本実施形態の粉砕装置用容器1は、
図1から
図7に示すように、自転体3に取り付けられ軸線L0が自転軸線L2と同じに設定され上部に開口部を有した有底の筒状容器本体5と、筒状容器本体5の開口部を閉塞可能な本体用蓋部材5aと、筒状容器本体5内の下部に設けられ又は収納可能で上部が開口した回収用容器部6と、筒状容器本体5内の回収用容器部6の上方に設置され被処理物が収納可能であると共に底部に貫通孔7aが形成されている粉砕用容器部7と、筒状容器本体5内の回収用容器部6と粉砕用容器部7との間に設置され粉砕用容器部7に収納される被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材8とを備えている。
【0022】
また、粉砕用容器部7は、上部開口部を閉塞可能な粉砕用蓋部7bを備えている。
なお、被処理物は、例えば錠剤等の固形物又はカプセル剤である。
錠剤等の固形物の例としては、市販の錠剤が使用できる。たとえば、通常の剤皮を施した錠剤や糖衣錠等が挙げられる。カプセル剤の例としては、内容物が粉末状か顆粒状であって、硬カプセル(ハードカプセル)が挙げられる。
【0023】
上記篩い部材8は、
図4に示すように、例えば篩い目の目開きが500μmの円形状の標準篩いである。なお、篩い部材8の目開きは、粉砕した粉の必要な大きさに応じて、例えば300~1000μmの範囲で適宜設定される。
篩い部材8は、外周に設けられた円環状支持部8aと、円環状支持部8a内に張設された篩い部8bとで構成されている。
上記回収用容器部6は、例えば蓋を外した馬野化学容器(58ml)等である。
【0024】
また、本実施形態の粉砕装置用容器1は、粉砕用容器部7よりも柔軟な材料で粉砕用容器部7の外周を覆う円筒状の粉砕側緩衝部材17と、回収用容器部6よりも柔軟な材料で回収用容器部6の外周を覆う円筒状の回収側緩衝部材18とを備えている。
上記粉砕側緩衝部材17は、底部の開口径が上部の開口径よりも小さく設定され、篩い部材8が底部に係止されるようになっている。
粉砕側緩衝部材17及び回収側緩衝部材18は、例えばウレタン等の弾力性のある柔軟な材料で形成されている。
【0025】
さらに、本実施形態の粉砕装置用容器1は、粉砕用容器部7と篩い部材8との間に配置される円環状の篩い用パッキン19を備えている。
上記篩い用パッキン19は、例えばシリコーン等の弾力性のある柔軟な材料で形成されている。
【0026】
上記筒状容器本体5及び本体用蓋部材5aは、例えばステンレス(SUS)で作製することが強度的に好ましいが,樹脂,セラミックス等の材料で作製しても構わない。
なお、粉砕用容器部7の内周面に突起を形成したり、粉砕用容器部7内の底面や粉砕用蓋部7b内の天面に突起を設けたり、粉砕用容器部7内に
図7に示すような刃部16bを有する破砕用板部16等を設置したりすることで、より破砕効果が向上する。
例えば、上記破砕用板部16は、粉砕用容器部7の軸線L0に沿って延在する刃部16bを有するものであり、粉砕用蓋部7bに固定されて使用される。
【0027】
なお、破砕用板部16の主面を軸線L0に対して斜めに設置しても構わない。
この際、自転の回転方向に向かって破砕用板部16の主面をやや下向きに傾けることで、回転時、破砕用板部16の主面により粉が下方の篩い部材8に向かって弾かれ、効率的に篩い部材8を介して下方の回収用容器部6へ移動、回収されるようになる。
【0028】
本実施形態の粉砕装置100は、公転自転ミキサーであって、
図5に示すように、公転軸線L0を中心に回転可能な公転体2と、公転体2に保持されて自転軸線L2を中心に回転可能な自転体3と、公転体2と自転体3とを回転駆動する駆動機構4と、上記粉砕装置用容器1とを備え、ボールを用いずに粉砕を行う粉砕装置である。
【0029】
上記駆動機構4は、自転体3を公転体2と同等か公転体2よりも高い回転数で回転させるように設定されている。
本実施形態では、例えば自転体3の回転数を公転体2の回転数と同じに設定することで、公転体2の回転数が1000rpmであるとき、自転体3の回転数が1000rpmに設定される。なお、回転エネルギーは回転数の二乗に比例する。
【0030】
上記自転軸線L2は、粉砕装置用容器1の上部を内側に向けて公転軸線L1に対して傾斜している。すなわち、自転軸線L2は、垂直軸である内側の公転軸線L1に向けて角度θで傾いている。
したがって、上記粉砕装置用容器1は、上部を内側に向けて傾斜して取り付けられ、自転軸線L2の角度θが、公転軸線L1に対して15度以下に設定されている。すなわち、筒状部22の軸線L3の角度も、公転軸線L1に対して15度以下に設定される。
本実施形態では、例えば自転軸線L2を公転軸線L1に対して内側に10度傾斜させている。
【0031】
駆動機構4は、回転軸10aを有する一つの駆動源10と、駆動源10の回転軸10aに接続され駆動源10の回転力を公転体2と自転体3とに同時に伝達する動力伝達機構9とを備えている。
上記駆動源10はモータ等であり、回転軸10aには第1プーリー10bが固定されている。
【0032】
駆動源10は、本体ベース11の下面に固定され、回転軸10aが本体ベース11に形成された回転軸用孔11aに挿通されて本体ベース11の上面側に突出している。
回転ユニットである公転体2は、本体ベース11に立設された公転軸部11a回りに回転可能に支持されている。なお、公転軸部11aは、公転軸線L1と同軸に固定されている。
【0033】
上記公転体2は、半径方向外方に延在した一対の回転アーム12と、一対の回転アーム12の下部に固定された公転用の第2プーリー12aとを備えている。
また、第1プーリー10bと第2プーリー12aとには、公転用ベルト13が巻回され、駆動源10の駆動力が第1プーリー10bから公転用ベルト13を介して第2プーリー12aに伝達され、公転体2が回転駆動される。すなわち、第1プーリー10b、公転用ベルト13、第2プーリー12aは、動力伝達機構9の一部を構成している。
【0034】
回転アーム12の先端部には、自転軸線L2と同軸の自転軸部14とが立設され、自転軸部14に自転体3が回転可能に設けられている。
上記自転体3は、自転軸部14を中心に自転用ベアリング15を介して回転可能な容器ホルダHと、容器ホルダHの下部外周部に自転軸線L2を中心にして設けられた自転用歯車16とを備えている。
【0035】
なお、自転用ベアリング15は、自転用歯車16の内部に自転軸部14との間に設けられている。すなわち、自転用ベアリング15を介して自転用歯車16及び容器ホルダHが自転軸部14に対して回転可能に支持されている。
自転軸線L2と同軸の自転軸部14は、公転軸線L1に対して所定の角度で内側に向けて15度以下で傾斜しており、本実施形態では10度に傾斜している。
上記容器ホルダHは、硬質材料で有底筒状に形成され、内部に粉砕装置用容器1が設置可能になっている。
【0036】
上記公転軸部11aは、第2プーリー12aの中央に形成された第1公転軸用ベアリング12bと、回転アーム12の中央に形成された第2公転軸用ベアリング12cとに支持されて、上部が回転アーム12の上方に突出している。
また、公転軸部11aの先端部には、自転用マイタギア11bが固定され、外周部に形成された歯部が一対の自転用歯車16にそれぞれ噛み合っている。すなわち、回転アーム12が回転すると、自転用マイタギア11bに噛み合った自転用歯車16が回転し、自転体2が自転する。したがって、自転用ベアリング15及び自転用マイタギア11bは、動力伝達機構9の一部を構成している。
【0037】
次に、本実施形態の粉砕装置100による被処理物の粉砕方法について説明する。
【0038】
まず、粉砕装置用容器1の粉砕用容器部7内に被処理物を所定量入れ、その粉砕装置用容器1を容器ホルダH内にセットする。
この状態で駆動源10を駆動して回転軸10aを回転させると、第1プーリー10b、公転用ベルト13、第2プーリー12aを介して公転軸部11a回りに公転体2が公転する。このとき、回転しない公転軸部11aに自転用歯車16が噛み合っているため、自転用ベアリング15を介して自転用歯車16、容器ホルダH及び粉砕装置用容器1が自転する。なお、本実施形態では、例えば公転が右回りのとき、自転は左回りとなる。
【0039】
なお、自転及び公転の回転数は、例えば「自転の回転数:公転の回転数=1:1」となるように、各歯車が設定され、この場合、例えば自転の回転数が1000rpmとされると共に公転の回転数が1000rpmとされる。
上記公転により粉砕装置用容器1内の被処理物に遠心力が加わると共に自転により、粉砕装置用容器1内の被処理物が粉砕される。
【0040】
上記駆動機構4は、公転体2の回転数が相対的に速い粉砕用回転数で公転体2を回転させた後に、粉砕用回転数よりも公転体2の回転数が相対的に遅い回収用回転数で公転体2を回転させる2段階回転を、繰り返して行う制御機能を有している。
具体的には、例えば最初、粉砕用回転数1200rpm、20秒で粉砕用容器部7内で粉砕を行い、次に回収用回転数800rpm、10秒で篩い部材8を介して回収用容器部6へ粉砕後の粉を移動、回収させる。さらに、上記粉砕用回転数及び上記回収用回転数を必要に応じて繰り返し行うことで、粉砕と回収とを繰り返す制御を行う。
【0041】
このように本実施形態の粉砕装置用容器1では、筒状容器本体5内の回収用容器部6と粉砕用容器部7との間に設置され粉砕用容器部7に収納される被処理物の粒径よりも篩い目の細かい篩い部材8を備えているので、自転公転によって粉砕用容器部7内で削れ、粉砕され細かくなった被処理物の粉(又は脱カプセルした粉)が貫通孔7aから下方に落ちると共に篩い目よりも細かくなった被処理物の粉だけが篩い部材8から回収用容器部6内へと落ちる。
【0042】
すなわち、篩い部材8を挟んだ粉砕用容器部7と回収用容器部6との2層式(2室構造)としたことにより、粉砕用容器部7内で緩衝となる細かくなった被処理物の粉が篩い部材8を介して別室の回収用容器部6へと落ち、移動、分離されることで、粉砕用容器部7内での粉砕の邪魔にならず、効率的な粉砕が可能になり、粉砕率が向上する。このように、2室構造を採用することで、粉砕捜査中に粉砕物(被処理物の粉)の分離を図ることができ、粉砕効率の低下を回避し、一回の粉砕操作で粉砕終点(全ての被処理物(原料)が所望のサイズ以下の粒度になる点)まで到達させることが可能になる。
【0043】
また、回収用容器部6内では粉砕が進まないため、また篩い部材8が分離壁となって再度粉砕用容器部7に粉砕物が移動する頻度が低いため、粉砕物の過粉砕を防ぐことができ、粉砕物の流動性の低下を回避することができる。
さらに、篩い部材8の篩い目でも、回転時に被処理物を削るため、より細かい被処理物の粉が得られる。特に、被処理物が篩い部材8の篩い目表面を転動することで、篩い部材8により削れた被処理物の粉は、良質な球状となり易い。
【0044】
また、粉砕用容器部7よりも柔軟な材料で粉砕用容器部7の外周を覆う円筒状の粉砕側緩衝部材17を備えているので、回転時に粉砕用容器部7の半径方向の振動を粉砕側緩衝部材17が緩和することで、粉砕用容器部7の変形等を防ぐことができる。
また、回収用容器部6よりも柔軟な材料で回収用容器部6の外周を覆う円筒状の回収側緩衝部材18を備えているので、回転時に回収用容器部6の軸線方向の振動を回収側緩衝部材18が緩和することで、回収用容器部6の変形等を防ぐことができる。
さらに、粉砕用容器部7内に設けられ粉砕用容器部7の軸線L0に沿って延在する刃部16bを有する破砕用板部16を備えることで、回転時に被処理物が破砕用板部16に衝突することで粉砕され、粉砕効果がより向上する。
【0045】
本実施形態の粉砕装置100では、駆動機構4が、公転体2の回転数が相対的に速い粉砕用回転数で公転体2を回転させた後に、粉砕用回転数よりも公転体2の回転数が相対的に遅い回収用回転数で公転体2を回転させる2段階回転を、繰り返して行うので、速い粉砕用回転数での回転による粉砕と、遅い回収用回転数での回転による粉の除去とを繰り返して、効率的に再粉砕させることができる。
【0046】
すなわち、速い粉砕用回転数での回転で生じた強い遠心力により被処理物を粉砕した後、遅い回収用回転数での回転により遠心力が弱まり被処理物の上昇効果が弱まることで、粉砕された被処理物の粉を、篩い部材8を介して回収用容器部6に移動させ、粉砕用容器部7内から除くことができる。そして、再び速い粉砕用回転数で回転させることで、緩衝材となってしまう粉が取り除かれた状態で、粉砕用容器部7内で被処理物を再度粉砕することができ、効率的に粉砕することが可能になる。
【0047】
次に、本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第2及び第3実施形態について、
図8及び
図9を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、篩い部材8が単に篩い部8bを有しているだけであるのに対し、第2実施形態の粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置では、
図8に示すように、篩い部材28が、粉砕用容器部7側の表面に形成された削り用凹凸部28cを複数有している点である。
すなわち、第2実施形態の篩い部材28は、外周に設けられた円環状支持部28aの上面に削り用凹凸部28cが複数形成されている。
削り用凹凸部28cは、貫通孔7aに露出可能な領域まで形成されており、本実施形態では、複数の削り溝で形成されている。なお、削り用凹凸部28cを、複数の突部又は複数の削り溝と突部との組み合わせで構成しても構わない。
【0049】
次に、第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、網目状の篩い目を有する篩い部材8を用いているが、第3実施形態の粉砕装置用容器では、
図9に示すように、篩い部材38A,38B,38Cが、金属板38aに篩い目となる複数の篩い用孔38bを孔開け加工で形成している点である。
すなわち、篩い部材38A,38B,38Cは、いわゆるパンチングメタルである。
図9の(a)に示す篩い部材38Aは、円形状の金属板38aの外周縁部分以外の全体的に複数の篩い用孔38bが形成されている。
【0050】
また、
図9の(b)に示す篩い部材38Bは、篩い用孔38bが形成されていない中央領域39Aと、中央領域39Aの外周に複数の篩い用孔38bが形成されている篩い領域39Bとを有している。
逆に、
図9の(c)に示す篩い部材38Cは、中央部のみに篩い用孔38bが形成されている篩い領域39Cを有し、その外周には篩い用孔38bが形成されていない。
【0051】
このように第3実施形態の粉砕装置用容器では、篩い部材38A,38B,38Cが、金属板38aに篩い目となる複数の篩い用孔38bを形成したものであるので、網目状の篩い部材8と同様の効果を得ることができると共に、任意の領域に篩い用孔38bを容易に形成することができる。また、篩い用孔38bの孔径,開孔率,配列等を変更することで、粒度あるいは分離効率等を制御することが可能になる。さらに、孔開け加工による金属板38aに開けた篩い用孔38bは、網目状の篩い部よりもエッジが立っており、より高い削り効果も得られる。
【0052】
また、
図9の(b)に示す篩い部材38Bが、篩い用孔38bが形成されていない中央領域39Aと、中央領域39Aの外周に複数の篩い用孔38bが形成されている篩い領域39Bとを有しているので、外周の篩い領域39Bから下方に粉を落として分離させると共に、中央領域39Aから粉が逆流して粉砕用容器部内に戻ることを抑制することができる。
例えば、自転角度が立った状態での自転公転で粉砕等が行われる場合、粉砕用容器部内では、被処理物が軸線のある中央部分で上昇すると共にその外周部分で下降する上下対流が発生しているため、篩い領域39Bを外周だけに形成することで、外周から粉砕した粉を効果的に落下させると共に、篩い用孔38bの無い中央領域39Aにより粉が中央部から粉砕用容器部に戻ることを抑制できる。
【0053】
逆に、自転回転と公転回転との方向によっては対流が上記と逆方向になる場合に、
図9の(c)に示す篩い部材38Cでは、中央部のみに篩い用孔38bが形成されている篩い領域39Cを有し、その外周には篩い用孔38bが形成されていないので、中央部の篩い領域39Cから下方に粉を落として分離させると共に、その外周から粉が逆流して粉砕用容器部内に戻ることを抑制することができる。
【0054】
なお、篩い部材39Bは、中央領域39Aに篩い用孔38bが形成されておらず、中央部が閉塞されているため、空気が通らず、対流が停止してしまう場合がある。この場合、中央領域39Aに、粉砕した粉が通ることができないが空気を通すことができる程度の通気用孔を形成してもよい。例えば、篩い用孔38bの内径φを0.6~1.0mmとすると、通気孔の内径φを0.1~0.3mm程度に設定する。
同様に、篩い部材39Cについても、中央部の外周に篩い用孔38bが形成されておらず、外周が閉塞されているため、空気が通らず、対流が停止してしまう場合があるが、この場合も、外周に上記通気孔を形成することが好ましい。
【実施例0055】
本発明の実施例として、上記第1実施形態の粉砕装置用容器及び粉砕装置を用いて、実際に被処理物として50錠の錠剤(グリチロン配合錠)を粉砕し、粉砕前の被処理物量Aに対して、粉砕後の粉砕物量Bと未粉砕物量Cとから粉砕前後の粉砕率D((B/A)×100)を算出した。
なお、粉砕用容器部内に
図7に示す破砕用板部を設置して粉砕を行った。
また、比較例として、篩い部材の無いSUS缶容器(破砕用板部設置、ボール不使用)を用いて、同様の回転条件で粉砕を行った場合についても調べた。
【0056】
これらの結果、篩い部材の無い比較例では、粉砕前の被処理物量Aが12.881gに対して、粉砕後の粉砕物量Bが11.381gであると共に、未粉砕物量Cが1.387gであり、その粉砕率Dが88.4%であった。これに対し、篩い部材のある本発明の実施例では、粉砕前の被処理物量Aが12.721gに対して、粉砕後の粉砕物量Bが12.094gであると共に、未粉砕物量Cが0.386gであり、その粉砕率Dが95.1%であった。このように、本発明の実施例では、比較例に比べて粉砕率が向上していることが分かる。
【0057】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、上記各実施形態では筒状容器本体内に別体として粉砕用容器部と回収用容器部とを収納しているが、筒状容器本体と、粉砕用容器部及び回収用容器部の少なくとも一方を一体化しても構わない。
また、上記各実施形態では、粉砕された被処理物の粉を一つの篩い部材で篩いにかけ、分離しているが、篩い目の異なる複数の篩い部材を上下に間隔を空けて設置し篩い部材間にも回収用容器部を設け、複数の篩い部材と複数の回収用容器部とにより多段式に被処理物の粉を分離しても構わない。この場合、複数の篩い部材と複数の回収用容器部とにより3室あるいは多室構造とすることで、複数の空間(回収用容器部)で粉砕物を分級でき、所望の粒度の粉砕物の収量を増やすことが可能になる。
【0059】
さらに、上記各実施形態では、篩い部材を別途作製して収納設置しているが、例えば
図10に示すように、SUS缶である粉砕用容器部47と回収用容器部46との蓋部材47bを互いに背中合わせにして天面を溶接し、この溶接面に孔開け加工を行うことで、複数の篩い用孔48bを形成して篩い部材48としても構わない。
1…粉砕装置用容器、2…公転体、3…自転体、4…駆動機構、5…筒状容器本体、5a…本体用蓋部材、6,46…回収用容器部、7,47…粉砕用容器部、7a…貫通孔、8,28,38A,38B,48…篩い部材、16…破砕用板部、16b…刃部、17…粉砕側緩衝部材、18…回収側緩衝部材、28c…削り用凹凸部、38a…金属板、38b…篩い用孔、39A…中央領域、39B,39C…篩い領域、100…粉砕装置、L0…軸線、L1…公転軸線、L2…自転軸線