(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034736
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】シャントレギュレータ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G05F1/56 320C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139197
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若松 武
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430EE04
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG05
5H430HH03
5H430LA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源安定化容量を設けることなく且つ消費電力を増やすことなく内部回路の損傷を防ぐことが可能なシャントレギュレータ及び半導体装置を提供する。
【解決手段】シャントレギュレータ100は、第1の端子Tk及び第2の端子間Taの端子間電圧を分圧した分圧電圧INNと基準電圧Vrefとの差分を表す差分電圧OUTを生成する差動増幅器AMPと、第1の端子及び第2の端子に自身のドレイン及びソースが夫々接続されている第1のトランジスタM1と、端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧OUT2を生成する電圧検知回路130と、端子間電圧に基づいて差分電圧及び検知電圧のいずれか一方を第1のトランジスタのゲートに供給するセレクタ120と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子及び第2の端子と、
前記第1の端子及び前記第2の端子間の端子間電圧を分圧した分圧電圧と基準電圧との差分を表す差分電圧を生成する差動増幅器と、
前記第1の端子及び前記第2の端子に自身のドレイン及びソースが夫々接続されている第1のトランジスタと、
前記端子間電圧を検知して前記端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧を生成する電圧検知部と、
前記端子間電圧に基づいて前記差分電圧及び前記検知電圧のいずれか一方を前記第1のトランジスタのゲートに供給する選択部と、を含むことを特徴とするシャントレギュレータ。
【請求項2】
前記選択部は、前記端子間電圧が上昇すると、前記検知電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給した後に、前記検知電圧に代えて前記差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給することを特徴とする請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項3】
前記電圧検知部は、前記端子間電圧が所定の第1の電圧より高い場合に前記検知電圧の生成動作を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のシャントレギュレータ。
【請求項4】
前記電圧検知部は、前記第1の端子に一端が接続されている第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に自身のドレインが接続されており、前記第1の端子に自身のゲートが接続されている第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソースに一端が接続されており、他端が前記第2の端子に接続されている負荷素子と、
前記第1の端子に自身のソースが接続されており、前記第1の抵抗の他端に自身のゲートが接続されている第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタのドレインに一端が接続されており、他端が前記第2の端子に接続されている第2の抵抗と、を含むことを特徴とする請求項3に記載のシャントレギュレータ。
【請求項5】
前記負荷素子は、
前記第2のトランジスタのソースに自身のドレイン及びゲートが接続されており、前記第2の端子に自身のソースが接続されている第4のトランジスタを含むことを特徴とする請求項4に記載のシャントレギュレータ。
【請求項6】
前記負荷素子は、前記第2のトランジスタのソースに自身のドレイン及びゲートが接続されている第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタのソースに一端が接続されており、他端が前記第2の端子に接続されている可変抵抗と、を含むことを特徴とする請求項4に記載のシャントレギュレータ。
【請求項7】
前記選択部は、
前記端子間電圧が上昇すると、前記端子間電圧の上昇の開始時点から所定期間の経過時点まで第1のレベルを有し、前記経過時点以降は第2のレベルを有するパワーオンリセット信号を生成するパワーオンリセット回路と、
前記パワーオンリセット信号が前記第1のレベルである場合は前記検知電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給し、前記パワーオンリセット信号が前記第2のレベルである場合は前記差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給するセレクタと、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシャントレギュレータ。
【請求項8】
第1の端子及び第2の端子を含み、前記第1の端子が受けた電流に応じて前記第1の端子及び前記第2の端子間に生じた端子間電圧を所定の定電圧に調整するシャントレギュレータを含む半導体装置であって、
前記シャントレギュレータは、
前記端子間電圧を分圧した分圧電圧と基準電圧との差分を表す差分電圧を生成する差動増幅器と、
前記第1の端子及び前記第2の端子に自身のドレイン及びソースが夫々接続されている第1のトランジスタと、
前記端子間電圧を検知して前記端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧を生成する電圧検知部と、
前記端子間電圧が上昇すると、前記検知電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給した後に、前記検知電圧に代えて前記差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給する選択部と、を含むことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャントレギュレータ及びシャントレギュレータを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一対の伝送線にて情報信号の伝送と共に電源電圧の取得が可能な2線式伝送器として、当該一対の伝送線間の電圧を所定電圧に維持させるシャントレギュレータを備えたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシャントレギュレータは、2本の伝送線間の電圧と基準電圧との差分に対応した出力を行う差動増幅器と、この差動増幅器の出力に応じて伝送線間に電流を流すトランジスタと、を含む。このシャントレギュレータでは、伝送線間に生じる電圧が所定電圧より高くなると、差動増幅器の出力に応じて上記したトランジスタがオン状態となって伝送線間に電流が流れ、これにより、伝送線間の電圧が低下することで当該伝送線の電圧値が所定電圧に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなシャントレギュレータでは、伝送線に流れる電流が急激に増加する場合、例えば電流がゼロの状態から伝送線に電流の供給が開始されると、この急峻な電流供給により、伝送線の電圧値が急激に上昇する。この際、特許文献1に記載のレギュレータでは、伝送線間の電圧上昇に追従して上記した差動増幅器が動作することで伝送線間の電圧を低下させているが、この差動増幅器の出力遅延により、伝送線間の電圧を低下させるタイミングが遅れる場合がある。その結果、トランジスタ及び差動増幅器に対して一時的に高電圧が印加され、両者が破損するおそれがあった。
【0006】
そこで、このような状況から上記した差動増幅器及びトランジスタを保護するために、シャントレギュレータの伝送線に電源安定化容量を接続する、或いは差動増幅器内に流すバイアス電流を増加することで差動増幅器の高速化を図ることが考えられる。
【0007】
しかしながら、例えば回路設計上において電源安定化容量を設けることができない場合があり、また、差動増幅器内に流すバイアス電流を増加すると電力消費が大きくなるという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、電源安定化容量を設けることなく、且つ消費電力を増やすことなく内部回路の損傷を防ぐことが可能なシャントレギュレータ及び半導体装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシャントレギュレータは、第1の端子及び第2の端子と、前記第1の端子及び前記第2の端子間の端子間電圧を分圧した分圧電圧と基準電圧との差分を表す差分電圧を生成する差動増幅器と、前記第1の端子及び前記第2の端子に自身のドレイン及びソースが夫々接続されている第1のトランジスタと、前記端子間電圧を検知して前記端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧を生成する電圧検知部と、前記端子間電圧に基づいて前記差分電圧及び前記検知電圧のいずれか一方を前記第1のトランジスタのゲートに供給する選択部と、を含む。
【0010】
本発明に係る半導体装置は、第1の端子及び第2の端子を含み、前記第1の端子が受けた電流に応じて前記第1の端子及び前記第2の端子間に生じた端子間電圧を所定の定電圧に調整するシャントレギュレータを含む半導体装置であって、前記シャントレギュレータは、前記端子間電圧を分圧した分圧電圧と基準電圧との差分を表す差分電圧を生成する差動増幅器と、前記第1の端子及び前記第2の端子に自身のドレイン及びソースが夫々接続されている第1のトランジスタと、前記端子間電圧を検知して前記端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧を生成する電圧検知部と、前記端子間電圧が上昇すると、前記検知電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給した後に、前記検知電圧に代えて前記差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給する選択部と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、カソード端子及びアノード端子間の端子間電圧を分圧した分圧電圧と基準電圧との差分を表す差分電圧を生成する差動増幅器と、カソード端子及びアノード端子にドレイン及びソースが接続されている第1のトランジスタと、を含むシャントレギュレータにおいて、端子間電圧の上昇時に以下の動作を行うようにしたものである。
【0012】
すなわち、当該端子間電圧が上昇すると、先ず、この端子間電圧を検知して得た当該端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧を第1のトランジスタのゲートに供給することで端子間電圧の上昇を抑制する。その後、上記検知電圧に代えて上記差分電圧を第1のトランジスタのゲートに供給するというシャントレギュレータ本来の動作に切り替える。
【0013】
これにより、カソード端子に電源安定化容量を接続することなく、或いは差動増幅器の内部に流すバイアス電流を増加することなく、端子間電圧の上昇を迅速に抑制することで内部回路の損傷を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】シャントレギュレータ100の構成を示す回路図である。
【
図2】パワーオンリセット回路110の一例を示す回路図である。
【
図3】シャントレギュレータ100の動作を示すタイムチャートである。
【
図4】シャントレギュレータ100Aの構成を示す回路図である。
【
図5】シャントレギュレータを含む無線通信システム10の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0016】
図1は、本発明に係るシャントレギュレータ100の構成の一例を示す回路図である。
【0017】
シャントレギュレータ100は、半導体ICチップに形成されており、カソード端子Tkに供給された電流に基づき、カソード端子Tk及びアノード端子Ta間に生じた電圧を、基準電圧端子Trで受けた基準電圧Vrefに対応した電圧値を有する定電圧に調整するものである。
【0018】
図1に示すように、シャントレギュレータ100は、抵抗Ra、Rb、差動増幅器AMP及びNチャネルMOS(metal oxide semiconductor)型のトランジスタM1からなるシャントレギュレータ回路部と、リミッタ回路部LMTと、を含む。
【0019】
抵抗Raの一端には、カソード端子Tk及びラインL1が接続されており、当該抵抗Raの他端には、差動増幅器AMPの反転入力端子及び抵抗Rbの一端が接続されている。抵抗Rbの他端には、アノード端子Ta及びラインL2が接続されている。抵抗Ra及びRbは、ラインL1及びL2を介してカソード端子Tk及びアノード端子Ta間の電圧(以降、端子間電圧VTと称する)を受け、当該端子間電圧VTを分圧した分圧電圧INNを生成する。
【0020】
差動増幅器AMPは、分圧電圧INNを反転入力端子で受けると共に、基準電圧Vrefを非反転入力端子で受ける。尚、基準電圧Vrefは、規定の電流をカソード端子Tkが受けた際に得られる分圧電圧INNよりも小さな電圧値を有するものとする。差動増幅器AMPは、上記した端子間電圧VTを電源として動作することで、分圧電圧INNと基準電圧Vrefとの差を表す差分電圧OUTを生成し、これをリミッタ回路部LMTに供給する。
【0021】
リミッタ回路部LMTは、パワーオンリセット回路110、セレクタ120、及び電圧検知回路130を含む。
【0022】
パワーオンリセット回路110は、ラインL1及びL2を介して上記した端子間電圧VTを受ける。パワーオンリセット回路110は、端子間電圧VTが上昇すると、その上昇開始時点から所定期間経過するまで例えば論理レベル0の状態を維持し、所定期間経過時点で論理レベル1に遷移する2値(論理レベル0、1)のパワーオンリセット信号PRを生成する。パワーオンリセット回路110は、このパワーオンリセット信号PRをセレクタ120に供給する。
【0023】
図2は、パワーオンリセット回路110の一例を示す回路図である。
【0024】
図2に示すように、パワーオンリセット回路110は、例えば電流源21、コンデンサ22、インバータ23及び24を含む。電流源21は、カソード端子Tkの電位上昇に応じて所定の定電流を生成し、これをノードn1を介してコンデンサ22の一端の電極及びインバータ23の入力端に送出する。コンデンサ22の他端はラインL2に接続されている。インバータ23及び24は、ラインL1及びL2を介して端子間電圧VTを受けて動作する。インバータ23は、自身の入力端がノードn1に接続されており出力端がインバータ24の入力端に接続されている。インバータ24の出力端から上記したパワーオンリセット信号PRが出力され、これがセレクタ120に供給される。
【0025】
セレクタ120は、差分電圧OUTを一端で受けるスイッチSW1と、電圧検知回路130から供給された検知電圧OUT2を一端で受けるスイッチSW2と、を含む。スイッチSW1及びSW2各々の他端は共にトランジスタM1のゲートに接続されている。スイッチSW1及びSW2は、パワーオンリセット回路110から供給されたパワーオンリセット信号PRに応じて、夫々が相補的にオン状態及びオフ状態に設定される。
【0026】
これにより、セレクタ120は、パワーオンリセット信号PRが論理レベル0を表す場合には、差分電圧OUT及び検知電圧OUT2のうちから検知電圧OUT2を選択し、これをトランジスタM1のゲートに供給する。一方、パワーオンリセット信号PRが論理レベル1を表す場合には、セレクタ120は、差分電圧OUT及び検知電圧OUT2のうちから差分電圧OUTを選択し、これをトランジスタM1のゲートに供給する。
【0027】
トランジスタM1は、自身のドレインがラインL1を介してカソード端子Tkに接続されており、自身のソースがラインL2を介してアノード端子Taに接続されている。
【0028】
電圧検知回路130は、抵抗R1及びR2、NチャネルMOS型のトランジスタM2及びM4、PチャネルMOS型のトランジスタM3を含む。
【0029】
抵抗R1の一端はラインL1を介してカソード端子Tkに接続されており、他端がトランジスタM2のドレイン及びトランジスタM3のゲートに接続されている。トランジスタM2のゲートはラインL1を介してカソード端子Tkに接続されており、ソースがトランジスタM4のドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタM3のソースはラインL1を介してカソード端子Tkに接続されており、そのドレインは抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端及びトランジスタM4のソースは、ラインL2を介してアノード端子Taに接続されている。
【0030】
かかる構成により、端子間電圧VTが、トランジスタM2及びM4の閾値電圧によって決定する電圧(以降、リミッタ開始電圧V1と称する)以上となる場合に、トランジスタM2及びM4を介して抵抗R1に電流が流れる。これにより、トランジスタM3がオン状態となり、当該トランジスタM3を介して電流が抵抗R2に流れこむ。よって、かかる電流によってトランジスタM3のドレイン及び抵抗R2の一端に生じた電圧が、上記した検知電圧OUT2としてセレクタ120に供給される。つまり、電圧検知回路130は、端子間電圧VTが所定の電圧(V1)より高い場合に、検知電圧OUT2を生成する動作を行うのである。
【0031】
以下に、シャントレギュレータ100の動作について、
図3のタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
先ず、シャントレギュレータ100を含む電子機器(図示せず)が、
図3に示すように、時点t0にて、シャントレギュレータ100のカソード端子Tkに、電流の供給を開始する。これにより、端子間電圧VTの電圧値が
図3に示すように上昇する。端子間電圧VTが上昇すると、パワーオンリセット回路110が、
図3に示すように、時点t0から所定期間twが経過する時点t2までの間は論理レベル0の状態を維持し、当該時点t2以降、論理レベル1の状態を維持するパワーオンリセット信号PRを生成する。よって、セレクタ120は、
図3に示す所定期間twに亘り検知電圧OUT2を選択し、これをトランジスタM1のゲートに供給する状態となる。
【0033】
ここで、
図3に示すように、時点t0と時点t2との間の時点t1で、端子間電圧VTの電圧値がリミッタ開始電圧V1を超えると、トランジスタM2がオン状態となり、端子間電圧VTに対応した電流が抵抗R1に流れる。これにより、トランジスタM3がオン状態となり、当該端子間電圧VTに対応した電流がトランジスタM3を介して抵抗R2に流れる。よって、抵抗R2の流れ込む電流に対応した電圧値を有する検知電圧OUT2がセレクタ120を介してトランジスタM1のゲートに供給される。すると、当該検知電圧OUT2に応じてトランジスタM1がオン状態となり、当該トランジスタM1を介してラインL1及びL2間に電流が流れることで、端子間電圧VTの電圧上昇が抑制される(リミッタモード)。
【0034】
その後、
図3に示すように、時点t2にて、パワーオンリセット信号PRが論理レベル0から論理レベル1の状態に遷移すると、セレクタ120は、検知電圧OUT2に代えて差分電圧OUTを選択する状態に切り替わり、当該差分電圧OUTをトランジスタM1のゲートに供給する状態になる。これにより、端子間電圧VTが
図3に示す所定の定電圧V2に至るまで、トランジスタM1がオン状態となり、当該トランジスタM1を介してラインL1及びL2間に電流が流れることで端子間電圧VTが低下する。よって、時点t2以降は、端子間電圧VTを分圧した分圧電圧INNと基準電圧Vrefとの差分を示す差分電圧OUTでトランジスタM1を制御することにより端子間電圧VTを低下させ、その電圧値を定電圧V2に維持させるという、シャントレギュレータ本来の動作(レギュレータモード)に切り替わる。
【0035】
以上、詳述したように、シャントレギュレータ100では、カソード端子Tkに電流の供給が開始されたことをパワーオンリセット回路110で検出する。そして、パワーオンリセット信号であるパワーオンリセット信号PRに応じて、先ず、リミッタ回路部LMTにて検知した端子間電圧VTの電圧値(OUT2)に基づきトランジスタM1を制御することで、端子間電圧VTの電圧上昇を抑制する。
【0036】
これにより、差動増幅器AMPの内部に流すバイアス電流を増加することなく、電流供給開始時における端子間電圧VTの上昇を迅速に抑制することが可能となる。
【0037】
よって、シャントレギュレータ100によれば、低消費電力にて、電流供給開始時における端子間電圧VTの高圧化による、差動増幅器AMP及びトランジスタM1の損傷を防ぐことが可能となる。
【0038】
更に、上記したリミッタ回路部LMTでは、端子間電圧VTの電圧値(OUT2)を検出するにあたり、端子間電圧VTがトランジスタM2及びM4の閾値電圧であるリミッタ開始電圧V1を超えるまでは電流が流れないので、その間、電流消費が無い。よって、常時、端子間電圧VTの電圧値を検知する回路を採用する場合に比べて電力消費を抑えることができる。
【0039】
尚、
図1に示す実施例では、パワーオンリセット回路110が生成したパワーオンリセット信号PRによって、セレクタ120がトランジスタM1のゲートに供給する電圧を切り替えている。しかしながら、端子間電圧VTの上昇を検知してトランジスタM1のゲートに供給する電圧(OUT、OUT2)の切り替えが行えるものであれば、その回路構成はパワーオンリセット回路110及びセレクタ120に限定されない。
【0040】
また、
図1に示す実施例では、端子間電圧VTに対応した検知電圧OUT2を電圧検知回路130で生成しているが、当該電圧検知回路130としては
図1に示すトランジスタM2~M4、抵抗R1及びR2からなる回路に限定されない。例えば、電圧検知回路130では、トランジスタM2とラインL2との間に、負荷素子としてダイオード接続されたトランジスタM4を1段だけ縦続に接続しているが、その接続段数を2以上にしても良く、また、当該負荷素子としてダイオードや抵抗等を採用しても良い。
【0041】
要するにシャントレギュレータ100としては、第1の端子(Tk)及び第2の端子(Ta)と、以下の差動増幅器、第1のトランジスタ、電圧検知部、及び選択部を含むものであれば良い。
【0042】
差動増幅器(AMP)は、第1及び第2の端子間の端子間電圧(VT)を分圧した分圧電圧(INN)と基準電圧(Vref)との差分を表す差分電圧(OUT)を生成する。
【0043】
電圧検知部(130)は、端子間電圧を検知して当該端子間電圧に対応した電圧値を有する検知電圧(OUT2)を生成する。選択部(110、120)は、端子間電圧が上昇すると、検知電圧(OUT2)を、第1及び第2の端子に自身のドレイン及びソースが夫々接続されている第1のトランジスタ(M1)のゲートに供給した後に、この検知電圧に代えて差分電圧(OUT)を第1のトランジスタのゲートに供給する。
尚、シャントレギュレータ100Aは、電圧検知回路130に代えて電圧検知回路130Aを採用した点を除く他の構成は、シャントレギュレータ100と同一である。また、電圧検知回路130Aについても、トランジスタM4のソース及びラインL2間に可変抵抗R3を新たに設けた点を除く他の構成は電圧検知回路130と同一である。よって、以下に、可変抵抗R3によって為される動作についてのみ説明する。