(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034749
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】質問回答装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139214
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】上野 明倫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】質問対応に対する回答内容の精度を、質問内容の実績を踏まえて効率的に向上させることができる質問回答装置を得る。
【解決手段】質問内容と回答内容とが関連付けられた質問回答テーブルが記憶された記憶部と、質問内容を受け付ける質問入力部と、質問回答テーブルを参照して質問内容に対応する回答を抽出する抽出処理を実行し、返答する回答抽出部とを備え、抽出処理を実行することにより質問内容に対応する回答を抽出できた場合には、質問内容の種別ごとの頻度を質問発生頻度データとして集計し、質問内容に対応する回答を抽出できなかった場合には、回答を抽出できなかった質問内容と発生頻度とを関連付けたデータを回答不能質問データとして集計し、質問発生頻度データおよび回答不能質問データのそれぞれの集計結果を記憶部に記憶させる統計処理部をさらに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問内容と回答内容とが関連付けられた質問回答テーブルがあらかじめ記憶されている記憶部と、
質問内容を受け付ける質問入力部と、
前記質問回答テーブルを参照して、前記質問入力部で受け付けた前記質問内容に対応する回答内容を抽出する抽出処理を実行し、抽出した前記回答内容を前記質問入力部で受け付けた前記質問内容に対する返答として出力する回答抽出部と
を備えた質問回答装置であって、
前記回答抽出部において前記抽出処理を実行することにより前記質問入力部で受け付けた前記質問内容に対応する回答内容を抽出できた場合には、前記質問内容の種別ごとの頻度を質問発生頻度データとして集計し、前記回答抽出部において前記抽出処理を実行することにより前記質問入力部で受け付けた前記質問内容に対応する回答内容を抽出できなかった場合には、回答内容を抽出できなかった前記質問内容と発生頻度とを関連付けたデータを回答不能質問データとして集計し、前記質問発生頻度データおよび前記回答不能質問データのそれぞれの集計結果を前記記憶部に記憶させる統計処理部
をさらに備える質問回答装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、質問内容と回答内容とが関連付けられた質問回答テーブルを利用した質問回答装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、ユーザからの電話による質問対応を受けたオペレータは、技術資料の確認、技術部門への問合せなどを行った上で、回答を行っている。しかしながら、各オペレータの経験、技量などにより、回答内容が必ずしも同じにはならず、また、オペレータによって回答までに掛かる時間も様々であった。さらに、問合せ件数が多くなると、回答までに時間が掛かってしまう状況が発生していた。
【0003】
近年では、このような問題に対処するために、ユーザからの問合せに対する一次回答を、ユーザとの間で対話形式の通信でやりとりを行う、いわゆるチャットボットを活用して行うものがある(例えば、特許文献1参照)。チャットボットを活用することで、個人差をなくし、より短時間でユーザに一次回答することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
チャットボットを活用する際には、質問内容と回答内容とが関連付けられてあらかじめ記憶されている質問回答テーブルを参照することで、ユーザからの質問内容に応じて、個人差をなくし、かつ迅速に一次回答することができる。
【0006】
ここで、チャットボットを活用して一次回答を行うに当たっては、より多岐にわたる質問内容に対して的確な回答内容を抽出できるように、質問回答テーブルを更新していくことが重要となる。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、質問対応に対する回答内容の精度を、質問内容の実績を踏まえて効率的に向上させることができる質問回答装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る質問回答装置は、質問内容と回答内容とが関連付けられた質問回答テーブルがあらかじめ記憶されている記憶部と、質問内容を受け付ける質問入力部と、質問回答テーブルを参照して、入力部で受け付けた質問内容に対応する回答を抽出する抽出処理を実行し、抽出した回答を入力部で受け付けた質問内容に対する返答として出力する回答抽出部とを備えた質問回答装置であって、回答抽出部において抽出処理を実行することにより入力部で受け付けた質問内容に対応する回答を抽出できた場合には、質問内容の種別ごとの頻度を質問発生頻度データとして集計し、回答抽出部において抽出処理を実行することにより入力部で受け付けた質問内容に対応する回答を抽出できなかった場合には、回答を抽出できなかった質問内容と発生頻度とを関連付けたデータを回答不能質問データとして集計し、質問発生頻度データおよび回答不能質問データのそれぞれの集計結果を記憶部に記憶させる統計処理部をさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、質問対応に対する回答内容の精度を、質問内容の実績を踏まえて効率的に向上させることができる質問回答装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る質問回答装置の機能ブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る記憶部に記憶されている質問回答テーブルの例示図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る記憶部に記憶されている質問発生頻度データの例示図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る記憶部に記憶されている回答不能質問データの例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の質問回答装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る質問回答装置は、いわゆるチャットボットによる対話型通信に活用可能な質問回答装置であり、実際に受けた質問内容を集計する統計処理部を備えることで、質問内容と回答内容とが関連付けられた質問回答テーブルを、質問内容の実績を踏まえて効率的に更新処理することができる点に技術的特徴を有するものである。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る質問回答装置の機能ブロック図である。本実施の形態1に係る質問回答装置10は、記憶部11、質問入力部12、回答抽出部13、および統計処理部14を備えて構成されている。
【0013】
記憶部11は、質問内容と回答内容とが関連付けられた質問回答テーブルがあらかじめ記憶されているデータベースに相当する。
図2は、本開示の実施の形態1に係る記憶部11に記憶されている質問回答テーブルの例示図である。
図2では、質問内容(n)に対して回答内容(n)が関連付けられた質問回答テーブルを例示している。
【0014】
質問回答テーブルは、質問内容の個数を増やしていく、あるいは、回答内容を充実させていく、といった更新処理を順次行うことで、質問対応に対する回答内容の精度を向上できることが期待される。質問回答テーブルの更新処理については、後述する。
【0015】
質問入力部12は、質問内容を受け付ける機能を備えている。例えば、質問入力部12は、ユーザが入力した質問内容を、インターネット等の通信網を介して受信することができる。
【0016】
また、インターネット等を利用することが苦手なユーザからの問合せ、インターネットを利用できない環境での問合せ、緊急対応を要する問合せなどを考慮すると、電話によるユーザからの問合せをオペレータが受ける場合も考えられる。このような場合には、ユーザからの質問を電話で受けたオペレータが、質問入力部12に対して、ユーザからの質問に対応する質問内容を選択あるいは入力することが考えられる。
【0017】
回答抽出部13は、記憶部11内の質問回答テーブルを参照して、質問入力部12で受け付けた質問内容に対応する回答内容を抽出する抽出処理を実行する。さらに、回答抽出部13は、抽出した回答内容を質問入力部12で受け付けた質問内容に対する返答として外部に出力する。
【0018】
従って、質問入力部12に質問内容を入力したユーザあるいはオペレータは、入力した質問内容に対する回答内容を迅速に受け取ることができる。なお、回答抽出部13は、質問入力部12で受け付けた質問内容に対応する回答内容を、記憶部11内の質問回答テーブルを参照しても抽出できなかった場合には、抽出できなかった旨を伝えるメッセージを出力することができる。
【0019】
また、回答抽出部13は、ユーザあるいはオペレータによって入力された質問内容からキーワードを検索し、記憶部11内の質問回答テーブルを参照して、キーワードを含む質問内容に対応する回答内容を抽出することも考えられる。
【0020】
統計処理部14は、質問入力部12で実際に受け付けた質問内容の実績を踏まえて、質問回答テーブルの更新処理を効率的に行うために有効なデータを集計する統計処理機能として、第1の統計処理機能および第2の統計処理機能を備えている。
【0021】
第1の統計処理機能として、統計処理部14は、回答抽出部13において抽出処理を実行することにより質問入力部12で受け付けた質問内容に対応する回答内容を抽出できた場合には、質問内容の種別ごとの発生頻度を質問発生頻度データとして集計する。より具体的には、統計処理部14は、質問内容の種別と発生頻度とが関連付けられて記憶部11に記憶されている質問発生頻度データを、順次更新していく。
【0022】
図3は、本開示の実施の形態1に係る記憶部11に記憶されている質問発生頻度データの例示図である。
図3では、質問内容(n)のそれぞれに対応して、抽出処理が実行できた質問内容の発生頻度が関連付けられた質問発生頻度データを例示している。
【0023】
図3に示す質問発生頻度データを参照することで、オペレータは、発生頻度の多い質問内容を特定することが可能となる。従って、発生頻度の多い質問内容に対応する回答内容に関して、より適切な情報提供、あるいはより詳細な情報提供ができるように、適宜、内容を更新することができる。
【0024】
また、第2の統計処理機能として、統計処理部14は、回答抽出部13において抽出処理を実行することにより質問入力部12で受け付けた質問内容に対応する回答内容を抽出できなかった場合には、回答内容を抽出できなかった質問内容と発生頻度とを関連付けたデータを回答不能質問データとして集計する。より具体的には、統計処理部14は、回答不能質問内容の種別と発生頻度とが関連付けられて記憶部11に記憶されている回答不能質問データを、順次更新していく。
【0025】
図4は、本開示の実施の形態1に係る記憶部11に記憶されている回答不能質問データの例示図である。
図4では、回答不能質問内容(n)のそれぞれに対応して、質問入力部12で受け付けた発生頻度が関連付けられた回答不能質問データを例示している。
【0026】
図4に示す回答不能質問データを参照することで、オペレータは、質問回答テーブルに新たに加えるべき質問内容を特定することが可能となる。従って、回答不能質問内容に対応する回答内容を新たに作成して、より適切な情報提供を迅速に行うことができるように、適宜、質問回答テーブルを更新することができる。
【0027】
なお、統計処理部14は、
図3に示した質問発生頻度データおよび
図4に示した回答不能質問データを所望の期間にわたって収集したい場合には、適切なタイミングでデータの初期化を行うこととなる。
【0028】
本開示に係る質問回答装置を、例えば、消火設備関連の製品を扱う製造メーカで採用する場合を考える。この場合には、客先からの製品関連の質問内容に対して、オペレータの個人差をなくし、かつ迅速に一次回答することができる。
【0029】
上述したように、ユーザが入力した質問内容をインターネット等の通信網を介して受信することができる場合には、本開示に係る質問回答装置を、ユーザと質問回答装置との間で対話形式で行うチャットボットとして活用できる。
【0030】
また、ユーザからの質問内容をオペレータが電話で受けた場合には、本開示に係る質問回答装置を、オペレータと質問回答装置との間で対話形式で行うチャットボットとして活用できる。
【0031】
また、製造メーカとしては、質問内容に対する回答内容として、質問された製品の後継機種に関する情報、取扱説明書に関する情報など、付加的な技術情報を準備しておくことで、ユーザが望む、より多くの情報を提供することができる。
【0032】
また、製造メーカの担当者は、質問発生頻度データを参照することで、発生頻度の多い質問内容を特定でき、発生頻度の多い質問内容に対応する回答内容に関して、より適切な情報提供、あるいはより詳細な情報提供ができるように、適宜、回答内容の更新処理を効率的に実施することができる。
【0033】
さらに、製造メーカの担当者は、回答不能質問データを参照することで、質問回答テーブルに新たに加えるべき質問内容を特定でき、回答不能質問内容に対応する回答内容を新たに作成して、より適切な情報提供を迅速に行うことができるように、適宜、質問回答テーブルの更新処理を効率的に実施することができる。
【0034】
また、本開示に係る質問回答装置は、現場対応を行う保守員、ユーザからの電話での質問窓口となるオペレータ、商品のセールスを行う営業員など、種々の社員に対する社員教育の一環となるトレーニングツールとして活用することができる。
【0035】
すなわち、社員は、本開示に係る質問回答装置に対して質問内容を入力し、自身が考える回答内容と、装置から返答される回答内容とを比較することで、質問対応のトレーニングを行うことができる。さらに、社員は、質問発生頻度データおよび回答不能質問データを参照しながら、トレーニングの一環として、質問回答テーブルの更新処理を行うことができる。
【0036】
以上のように、本開示に係る質問回答装置によれば、実際に受けた質問内容を集計する統計処理部を備えることで、質問対応に対する回答内容の精度を、質問内容の実績を踏まえて効率的に向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 質問回答装置、11 記憶部、12 質問入力部、13 回答抽出部、14 統計処理部。