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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034768
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】自動販売機システムおよび自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/02 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G07F9/02 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139233
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】堀口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】神谷 圭亮
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044CA02
3E044CC03
3E044DE01
3E044FB05
(57)【要約】
【課題】売り切れ判定の精度を向上させることが可能な自動販売機システムおよび自動販売機を提供する。
【解決手段】この発明による自動販売機システム100は、サーバ200と、商品を配置可能な収納庫4を含む自動販売機300とを備え、サーバ200は、記憶部1に記憶された商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部を含み、自動販売機300は、収納庫4を撮影する撮影部5と、特徴点抽出部において取得された特徴点と、撮影部5により撮影された商品販売時の販売時画像30の特徴点とを比較して、収納庫4の商品の有無を判定する判定部61と、判定部61により、収納庫4の商品無しと判定された場合に、商品無しと判定された収納庫4の販売を停止させる制御を行う動作制御部62と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、商品を配置可能な収納庫を含む自動販売機とを備え、
前記サーバは、
商品が配置されていない前記収納庫の画像である商品無し画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部とを含み、
前記自動販売機は、
前記収納庫を撮影する撮影部と、
前記特徴点抽出部において取得された前記特徴点と、前記撮影部により撮影された商品販売時の販売時画像の特徴点とを比較して、前記収納庫の商品の有無を判定する判定部と、
前記判定部により、前記収納庫の商品無しと判定された場合に、商品無しと判定された前記収納庫の販売を停止させる制御を行う動作制御部と、を含む、自動販売機システム。
【請求項2】
前記特徴点抽出部は、機械学習により作成された学習モデルを用いて前記商品無し画像から前記特徴点として前記特徴点を数値化した複数の特徴量を抽出して、特徴量分布を取得する特徴量抽出部を含み、
前記判定部は、前記販売時画像から抽出された特徴点を数値化した特徴量が、前記特徴量分布に基づいて設定される範囲内に含まれる場合に前記収納庫に商品無しと判定し、前記販売時画像から抽出された特徴点を数値化した特徴量が、前記特徴量分布に基づいて設定される範囲外の場合に、前記収納庫に商品有りと判定する、請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項3】
前記特徴量抽出部は、機械学習により作成された学習モデルを用いて複数の前記商品無し画像から複数の特徴量を抽出して特徴量分布を取得する、請求項2に記載の自動販売機システム。
【請求項4】
前記特徴量抽出部は、機械学習により作成された学習モデルを用いて複数の前記自動販売機から取得した前記複数の商品無し画像から複数の特徴量を抽出して特徴量分布を取得する、請求項3に記載の自動販売機システム。
【請求項5】
前記特徴量抽出部は、前記複数の特徴量を抽出する前記複数の商品無し画像として、前記収納庫において商品が配置された位置と、前記販売時画像が撮影された時間帯と、前記販売時画像が撮影された前記自動販売機の設置された場所とを含む、前記販売時画像が撮影された複数の撮影条件のうち少なくとも一つと略同じ撮影条件で撮影された複数の前記商品無し画像を用いる、請求項3または4に記載の自動販売機システム。
【請求項6】
前記自動販売機は、複数の商品が配置されるとともに、駆動することにより最前部に配置された商品を前記収納庫から搬出するための搬出部を含み、
前記動作制御部は、前記判定部により前記収納庫に商品無しと判定された場合に、前記搬出部の最前部よりも後方を撮影した画像に基づいて、商品の有無を取得し、商品が有る場合には、販売を停止させずに、商品が最前部に位置するように、前記搬出部を駆動させる制御を行う、請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項7】
前記収納庫から搬出された商品を取出口に搬送する搬送部をさらに備え、
前記収納庫は、前記搬送部の停止位置を示す印部を有し、
前記動作制御部は、前記撮影部の撮影範囲内に前記印部が含まれる位置で前記搬送部を停止させる制御を行う、請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項8】
商品を配置可能な収納庫と、
商品が配置されていない前記収納庫の画像である商品無し画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部と
前記収納庫を撮影する撮影部と、
前記特徴点抽出部において取得された前記特徴点と、前記撮影部にて撮影された商品販売時の販売時画像の特徴点とを比較して、前記収納庫の商品の有無を判定する判定部と、
前記判定部により、前記収納庫の商品無しと判定された場合に、商品無しと判定された前記収納庫の販売を停止させる制御を行う動作制御部と、を含む、自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機システムおよび自動販売機に関し、特に、判定部を含む自動販売機システムおよび自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、判定部を含む自動販売機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数のラック部が配置された商品収納ラックと、複数のラック部の各々に設けられた複数の売り切れ判定部材と、複数の売り切れ判定部材を検知する判定部材検知部と、判定部材検知部による検知結果に基づいて、ラック部毎に商品が売り切れているか否かを判定する売り切れ判定部(判定部)と、を含む、自動販売機が開示されている。特許文献1の自動販売機では、売り切れ判定部材に光を照射し、売り切れ判定部材から反射された光を判定部材検知部が検知し、判定部材検知部による検知結果に基づいて、売り切れ判定部が、ラック部毎に商品が売り切れているか否かを判定する。特許文献1では、商品がラック部に有る場合は、売り切れ判定部材が商品によって覆われるため、判定部材検知部が反射した光を検知できず、売り切れと判定されない。商品がラック部に無い場合は、売り切れ判定部材が商品によって覆われないため、判定部材検知部が反射した光を検知して売り切れと判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-21367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように売り切れ判定部材を用いる売り切れ判定方法では、商品の配置の仕方および商品の形状によっては、商品が売り切れ判定部材を覆わない場合がある。これにより、ラックに商品があるにも関わらず売り切れ判定部材から反射した光を判定部材検知部が検知して、誤って商品が売り切れと判定することが考えられる。そのため、商品の売り切れ判定の精度を向上させることが求められている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、商品の売り切れ判定の精度を向上させることが可能な自動販売機システムおよび自動販売機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による自動販売機システムは、サーバと、商品を配置可能な収納庫を含む自動販売機とを備え、サーバは、商品が配置されていない収納庫の画像である商品無し画像を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部とを含み、自動販売機は、収納庫を撮影する撮影部と、特徴点抽出部において取得された特徴点と、撮影部により撮影された商品販売時の販売時画像の特徴点とを比較して、収納庫の商品の有無を判定する判定部と、判定部により、収納庫の商品無しと判定された場合に、商品無しと判定された収納庫の販売を停止させる制御を行う動作制御部と、を含む。
【0008】
この発明の第1の局面による自動販売機システムでは、上記のように、サーバは、記憶部に記憶された商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部を含み、自動販売機は、特徴点抽出部において取得された特徴点と、撮影部により撮影された商品販売時の販売時画像の特徴点とを比較して、収納庫の商品の有無を判定する判定部を含む。これにより、商品無し画像から取得された特徴点と、販売時画像の特徴点とが大きく異なっている場合に、商品が有ると判定することができるため、商品の配置の仕方および商品の形状に関わらず、商品の有無を判定することができる。この結果、売り切れ判定の精度を向上させることができる。
【0009】
上記第1の局面において、好ましくは、特徴点抽出部は、機械学習により作成された学習モデルを用いて商品無し画像から特徴点として特徴点を数値化した複数の特徴量を抽出して、特徴量分布を取得する特徴量抽出部を含み、判定部は、販売時画像から抽出された特徴点を数値化した特徴量が、特徴量分布に基づいて設定される範囲内に含まれる場合に収納庫に商品無しと判定し、販売時画像像から抽出された特徴点を数値化した特徴量が、特徴量分布に基づいて設定される範囲外の場合に、収納庫に商品有りと判定する。このように構成すれば、商品無し画像の複数の特徴量を抽出した特徴量分布に基づいて設定される範囲を、商品無しと判定する範囲として容易に設定できる。これにより、特徴量分布に基づいて設定される範囲内に販売時画像の特徴量が含まれるか否かにより商品の有無を容易に判定することができる。
【0010】
上記特徴点抽出部が特徴量抽出部を含む構成において、特徴量抽出部は、機械学習により作成された学習モデルを用いて複数の商品無し画像から複数の特徴量を抽出して特徴量分布を取得する。このように構成すれば、商品無し画像の数が多い程、特徴量分布の精度を向上させることができるため、複数の商品無し画像から複数の特徴量を抽出して特徴量分布を取得することにより、より一層売り切れ判定の精度を向上させることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、特徴量抽出部は、機械学習により作成された学習モデルを用いて複数の自動販売機から取得した複数の商品無し画像から複数の特徴量を抽出して特徴量分布を取得する。このように構成すれば、複数の自動販売機から商品無し画像を取得することにより、特徴量分布の取得に用いられる商品無し画像のパターンを増やすことができるため、特徴量分布の精度をさらに向上させることができる。
【0012】
上記特徴量抽出部が特徴量抽出部を含む構成において、特徴量抽出部は、複数の特徴量を抽出する複数の商品無し画像として、収納庫において商品が配置された位置と、販売時画像が撮影された時間帯と、販売時画像が撮影された自動販売機の設置された場所とを含む、販売時画像が撮影された複数の撮影条件のうち少なくとも一つと略同じ撮影条件で撮影された複数の商品無し画像を用いる。このように構成すれば、商品無し画像の撮影条件と、販売時画像の撮影条件とを略同じにすることにより、商品無し画像と販売時画像とを容易に比較することができる。
【0013】
上記第1の局面における自動販売機システムにおいて、好ましくは、自動販売機は、複数の商品が配置されるとともに、駆動することにより最前部に配置された商品を収納庫から搬出するための搬出部を含み、動作制御部は、判定部により収納庫に商品無しと判定された場合に、搬出部の最前部よりも後方を撮影した画像に基づいて、商品の有無を取得し、商品が有る場合には、販売を停止させずに、商品が最前部に位置するように、搬出部を駆動させる制御を行う。このように構成すれば、搬出部への商品の配置漏れが生じている場合に、誤って売り切れと判定し、商品の販売を停止することを抑制することができる。これにより、商品漏れが生じた場合でも、商品が売り切れているか否かを正確に判定することができるため、売り切れ判定の精度をさらに向上させることができる。
【0014】
上記第1の局面における自動販売機システムにおいて、好ましくは、収納庫から搬出された商品を取出口に搬送する搬送部をさらに備え、収納庫は、搬送部の停止位置を示す印部を有し、動作制御部は、撮影部の撮影範囲内に印部が含まれる位置で搬送部を停止させる制御を行う。このように構成すれば、収納庫から搬出された商品を受け取ることができる位置に搬送部を精度よく停止させることができる。
【0015】
この発明の第2の局面による自動販売機は、商品を配置可能な収納庫と、商品が配置されていない収納庫の画像である商品無し画像を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部と、収納庫を撮影する撮影部と、特徴点抽出部において取得された特徴点と、撮影部にて撮影された商品販売時の販売時画像の特徴点とを比較して、収納庫の商品の有無を判定する判定部と、判定部により、収納庫の商品無しと判定された場合に、商品無しと判定された収納庫の販売を停止させる制御を行う動作制御部と、を含む。
【0016】
この発明の第2の局面による自動販売機では、上記のように、記憶部に記憶された商品無し画像から特徴点を抽出する特徴点抽出部を含み、特徴点抽出部において取得された特徴点と、撮影部により撮影された商品販売時の販売時画像の特徴点とを比較して、収納庫の商品の有無を判定する判定部を含む。これにより、商品無し画像から取得された特徴点と、販売時画像の特徴点とが大きく異なっている場合に、商品が有ると判定することができるため、商品の配置の仕方および商品の形状に関わらず、商品の有無を判定することができる。この結果、売り切れ判定の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、売り切れ判定の精度を向上させることが可能な自動販売機システムおよび自動販売機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】自動販売機システムの構成を示すブロック図である。
図2】自動販売機の一例を示した図である。
図3】商品無し画像の撮影範囲の一例を示す図である。
図4】商品無し画像の一例を示す図である。
図5】販売時画像の一例を示す図である。
図6】特徴量分布の模式図である。
図7】商品の配置漏れを示す図である。
図8】印部の一例を示す図である。
図9】自動販売機システムの商品売り切れ判定のフローチャートである。
図10】第2実施形態の自動販売機のブロック図である。
図11】変形例における撮影部の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
(自動販売機システムの構成)
図1図8を参照して、第1実施形態による自動販売機システム100の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、自動販売機システム100は、サーバ200と、複数の自動販売機300とを含む。
【0022】
サーバ200は、ハードウェアとして記憶部1と、サーバ側制御部2と、サーバ側通信部3とを含む。
【0023】
記憶部1は、たとえば、メモリである。記憶部1は、複数の商品無し画像20(図4参照)が保存されている。記憶部1には、機械学習された学習モデルが記憶されている。
【0024】
サーバ側制御部2は、CPU(Central Processing Unit)を含む。サーバ側制御部2は、ソフトウェア(ソフトウェアプログラム)として特徴量抽出部21を含む。特徴量抽出部21は、記憶部1に記憶された機械学習により作成された学習モデルを用いて、記憶部1に記憶された商品無し画像20(図4参照)から特徴点として特徴点を数値化した複数の特徴量を抽出し、特徴量分布50(図6参照)を取得するように構成されている。特徴量とは、商品が配置される収納庫4の明るさなどを数値化したものである。なお、特徴量抽出部21は、特許請求の範囲に記載した「特徴点抽出部」の一例である。
【0025】
サーバ側通信部3は、複数の自動販売機300の自動販売機側通信部9との間で通信を行い、特徴量分布50(図6参照)の送信および商品無し画像20(図4参照)の受信を行う。
【0026】
複数の自動販売機300は、ハードウェアとして、各々収納庫4と、撮影部5と、自動販売機側制御部6と、搬出部7と、搬送部8と、自動販売機側通信部9とを含む。また、図2に示すように、自動販売機300は、筐体310と、扉320とを含む。筐体310の内部には、収納庫4が配置されている。
【0027】
図2に示すように、収納庫4は、内部に商品が配置される、区画された複数のカラム40を有している。複数のカラム40には、各々商品を搬送部8に搬出するための搬出部7が配置される。
【0028】
撮影部5は、複数のカラム40をまとめて撮影するように撮影範囲Rが設定されている。図3に示すように、商品無し画像20は、撮影範囲R内の複数のカラム40のうち1つのカラム40だけを含むように商品無し画像の撮影範囲Aが設定される。撮影部5は、搬送部8に配置されている。具体的には、搬送部8の回転しない部分に配置されている。カラム40を撮影する際に、動作制御部62が、撮影位置の位置補正を行なうように構成されていてもよい。位置補正の方法は、たとえば、パターンマッチングが用いられる。この場合、パターンマッチングを用いてカラム40に付された番号を示すプレートを検知し、プレートが画像の中央に位置するように補正するように構成されていてもよい。
【0029】
図4に示すように、撮影部5は、商品が配置されていない収納庫4(カラム40)の画像である商品無し画像20を撮影する。撮影部5が、商品無し画像20を撮影するタイミングは、製造工場からの出荷時または自動販売機300が設置された時点である。また、自動販売機300の稼働中に売り切れと判定された収納庫4を撮影した販売時画像30は、商品無し画像20として用いられる。
【0030】
図5に示すように、撮影部5は、自動販売機300が稼動中に販売時画像30を撮影する。販売時画像30は、商品が搬出された後のカラム40を撮影した画像である。図5では、商品が有る状態を示している。なお、商品は、ハッチングで示している。
【0031】
図1に示すように、自動販売機側制御部6は、CPU(Central Processing Unit)を含む。自動販売機側制御部6は、ソフトウェア(ソフトウェアプログラム)として判定部61と、動作制御部62とを含む。
【0032】
判定部61は、特徴量抽出部21において抽出された特徴量と、撮影部5により撮影された商品販売時の販売時画像30から抽出された特徴点を数値化した特徴量とを比較して、収納庫4の商品の有無を判定するように構成されている。具体的には、判定部61は、機械学習により作成された学習モデルを用いて販売時画像30から抽出された特徴点を数値化した特徴量を計算するように構成されている。また、判定部61は、販売時画像30から抽出された特徴点を数値化した特徴量が特徴量分布50に基づいて設定される商品無しの範囲内である場合に商品無しと判定するように構成されている。販売時画像30から抽出された特徴点を数値化した特徴量が特徴量分布50に基づいて設定される商品無しの範囲外である場合は、判定部61は、商品有りと判定するように構成されている。
【0033】
動作制御部62は、自動販売機300の販売動作を制御するように構成されている。動作制御部62は、選択ボタンが操作されたことに基づいて、選択された商品を搬送部8に搬出させるように搬出部7を制御するように構成されている。また、動作制御部62は、選択された商品が配置されているカラム40に搬送部8を移動させる制御を行うように構成されている。動作制御部62は、商品が搬出された搬送部8を取出口11(図2参照)まで移動させる制御を行うように構成されている。
【0034】
動作制御部62は、判定部61により、カラム40の商品無しと判定された場合に、商品無しと判定されたカラム40の商品の販売を停止させる制御を行うように構成されている。この場合、動作制御部62は、商品無しと判定されたカラム40を選択する操作入力を受け付けないように構成されている。
【0035】
搬出部7は、カラム40に配置された商品を押し出して搬送部8に搬出する。搬出部7は、スパイラルである。
【0036】
図2に示すように、搬送部8は、カラム40から搬出された商品を取出口11に搬送する。搬送部8は、上方が開口したバケットである。搬送部8は、上下方向に移動する。搬送部8は、取出口11の近傍で回転することにより商品を取出口11に搬出する。
【0037】
図1に示すように、自動販売機側通信部9は、サーバ200のサーバ側通信部3との間で通信を行い、特徴量分布50(図6参照)の受信および商品無し画像20(図4参照)の送信を行う。
【0038】
(特徴量分布の作成)
図1に示すように、特徴量抽出部21は、商品無し画像20から特徴量分布50を作成するように構成されている。特徴量抽出部21は、自動販売機300の商品が購入者によって選択された場合に、特徴量分布50を取得するように構成されている。特徴量抽出部21は、複数の特徴量を抽出する複数の商品無し画像20として、収納庫4において商品が配置された位置と、販売時画像30が撮影された時間帯と、販売時画像30が撮影された自動販売機300の設置された場所とを含む、販売時画像30が撮影された複数の撮影条件のうち少なくとも一つと略同じ撮影条件で撮影された複数の商品無し画像20が用いられる。商品が配置された位置とは、たとえば同じようにカラム40に番号が付されている自動販売機300の場合は、同じ番号のカラム40を撮影した画像である。時間帯とは、たとえば、午前中、午後、夕方などである。また、販売時画像30が撮影された自動販売機300の設置された場所とは、屋内または屋外である。
【0039】
特徴量分布50の作成は、機械学習が用いられる。第1実施形態では、PaDiM(Patch Distribution Modeling)が用いられる。PaDiMは、機械学習された学習モデルを用いて特徴量を抽出し、分布を作成し、作成した分布と評価対象との距離を計算する方法である。第1実施形態では、分布は、特徴量分布50であり、評価対象は、販売時画像30である。また、第1実施形態では、特徴量抽出部21と判定部61とにPaDiMが用いられている。特徴量抽出部21が、機械学習された学習モデルを用いて特徴量を抽出し、分布を作成する動作までを行うとともに、判定部61が作成した分布と評価対象との距離を計算する動作を行う。
【0040】
図6は、特徴量分布50を二次元で表した図である。第1実施形態では、特徴量抽出部21は、PaDiMを用いて商品無し画像20の複数の特徴点から百次元の特徴量分布50を計算により取得するように構成されている。
【0041】
判定部61は、図6の楕円で示された特徴量分布50に基づいて設定される範囲を商品無しと判定する範囲とし、商品無しと判定する範囲内に販売時画像30の特徴量が含まれる場合に、商品無しと判定し、範囲外に販売時画像30の特徴量が含まれる場合に商品有りと判定するように構成されている。具体的には、判定部61は、PaDiMを用いて販売時画像30の特徴点から特徴量を計算し、特徴量分布50との距離が閾値を超えている場合に、商品無しと判定する範囲外であるとして商品有りと判断し、閾値以下の場合に商品無しと判定する範囲内であるとして、商品無しと判断するように構成されている。
【0042】
(商品の配置漏れの検出)
図7に示す搬出部7の最前部F1に商品が配置されていない配置漏れの場合の自動販売機側制御部6の制御について説明する。なお、図7では、商品を白抜きの長方形で表している。図7の場合、搬出部7の最前部F1に商品がないため、判定部61により収納庫4に商品無しと判定される。このとき、動作制御部62は、搬出部7の最前部F1よりも後方F2を撮影した画像に基づいて、商品の有無を取得するように構成されている。後方F2に商品が有る場合には、動作制御部62は、販売を停止させずに、商品が最前部F1に位置するように、搬出部7を駆動させる制御を行うように構成されている。後方F2は、最前部F1よりも後ろであれば特に限定されない。この場合、撮影部5が最前部F1の商品と、後方F2の商品とをまとめて撮影することができる場合は、最前部F1に配置された商品と、最前部F1よりも後ろに配置された商品とを区別するために、自動販売機側制御部6は、撮影部5の位置または撮影部5の角度の少なくとも一方を変更して、最前部F1の画像と後方F2の画像とを撮影してもよい。また、撮影部5が最前部F1の商品と、後方F2の商品とをまとめて撮影することも、撮影部5の位置または撮影部5の角度の少なくとも一方を変更して領域を区別できるようにすることが可能な位置に撮影部5を配置することもできない場合は、最前部F1の商品のみを撮影する撮影部5と、最前部F1の商品と後方F2の商品とを同時に撮影する撮影部5とが設けられていてもよい。
【0043】
(搬送部の移動停止の制御)
図8に示すように、収納庫4は、搬送部8の停止位置を示す印部12を有する。自動販売機側制御部6の動作制御部62は、搬送部8を移動させた場合に、撮影部5の撮影範囲内に印部12が含まれる位置で搬送部8を停止させる制御を行うように構成されている。印部12は、搬送部8を移動させるためのガイドレールに設けてもよく、収納庫4の正面に設けられてもよい。
【0044】
(売り切れ判定時の動作)
図9を用いて、売り切れ判定時の動作について説明する。ステップS11では、自動販売機側制御部6は、購入者により選択ボタンの入力を受け付ける。ステップS12では、自動販売機側制御部6は、サーバ200に環境情報を送信するように自動販売機側通信部9を制御する。環境情報とは、収納庫4において商品が配置された位置と、現在の時間と、自動販売機300の設置された場所とを含む。環境情報は、販売時画像30が撮影されるときの撮影条件となる。
【0045】
ステップS13では、サーバ200のサーバ側通信部3が、環境情報を取得する。ステップS14では、サーバ側制御部2は、特徴量抽出部21により、受信した環境情報に基づいて同じ環境情報(撮影条件)の商品無し画像20を抽出する。ステップS15では、サーバ側制御部2は、特徴量抽出部21によって、抽出した商品無し画像20から特徴量を抽出し、抽出した特徴量から特徴量分布50を取得する。ステップS16では、サーバ側通信部3は、取得した特徴量分布50を自動販売機300の自動販売機側制御部6に送信する。
【0046】
ステップS17では、自動販売機300の自動販売機側通信部9は、特徴量分布50をサーバ200から受信する。ステップS18では、自動販売機側制御部6は、動作制御部62により、搬出部7を駆動させて、選択された商品を搬送部8に搬出し、搬送部8により取出口11に搬送する制御を行う。
【0047】
ステップS19では、自動販売機側制御部6は、動作制御部62により販売時画像30を撮影するように撮影部5を制御する。ステップS20では、自動販売機側制御部6は、判定部61により、販売時画像30の特徴点を数値化した特徴量を抽出し、特徴量分布50と販売時画像30の特徴量とを比較して、カラム40の商品の有無を判定する。ステップS21では、判定部61の判定結果により進むステップが異なる。判定部61が商品無しと判定した場合は、ステップS22に進み、判定部61が商品有りと判定した場合は、ステップS11に戻る。ステップS22では、撮影した販売時画像30がサーバ200に送信される。ステップS23では、サーバ200は、データを受信し、商品無し画像20として記憶部1に保存する。
【0048】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
第1実施形態では、上記のように、サーバ200は、記憶部1に記憶された商品無し画像20から特徴点を抽出する特徴点抽出部を含み、自動販売機300は、特徴点抽出部において取得された特徴点と、撮影部5により撮影された商品販売時の販売時画像30の特徴点とを比較して、収納庫4の商品の有無を判定する判定部61を含む。これにより、商品無し画像20から取得された特徴点と、販売時画像30の特徴点とが大きく異なっている場合に、商品が有ると判定することができるため、商品の配置の仕方および商品の形状に関わらず、商品の有無を判定することができる。この結果、売り切れ判定の精度を向上させることができる。
【0050】
第1実施形態では、上記のように、特徴量抽出部21は、機械学習により作成された学習モデルを用いて商品無し画像20から特徴点として複数の特徴量を抽出して、特徴量分布50を取得する特徴量抽出部21を含み、判定部61は、販売時画像30から抽出された特徴点を数値化した特徴量が、特徴量分布50に基づいて設定される範囲内の場合に収納庫4に商品無しと判定し、販売時画像30から抽出された特徴点を数値化した特徴量が、特徴量分布50に基づいて設定される範囲外の場合に、収納庫4に商品有りと判定する。これにより、商品無し画像20の複数の特徴量を抽出した特徴量分布50に基づいて設定される範囲を、商品無しと判定する範囲として容易に設定できる。これにより、特徴量分布50に基づいて設定される範囲内に販売時画像30の特徴量が含まれるか否かにより商品の有無を容易に判定することができる。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、特徴量抽出部21は、機械学習により作成された学習モデルを用いて複数の商品無し画像20から複数の特徴量を抽出して特徴量分布50を取得する。これにより、商品無し画像20の数が多い程、特徴量分布50の精度を向上させることができるため、数の商品無し画像20から複数の特徴量を抽出して特徴量分布50を取得することにより、より一層売り切れ判定の精度を向上させることができる。
【0052】
第1実施形態では、上記のように、特徴量抽出部21は、機械学習により作成された学習モデルを用いて複数の自動販売機300から取得した複数の商品無し画像20から複数の特徴量を抽出して特徴量分布50を取得する。これにより、複数の自動販売機300から商品無し画像20を取得することにより、特徴量分布50の取得に用いられる商品無し画像20のパターンを増やすことができるため、特徴量分布50の精度をさらに向上させることができる。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、特徴量抽出部21は、複数の特徴量を抽出する複数の商品無し画像20として、収納庫4において商品が配置された位置と、販売時画像30が撮影された時間帯と、販売時画像30が撮影された自動販売機300の設置された場所と、を含む、販売時画像30が撮影された複数の撮影条件のうち少なくとも一つと略同じ撮影条件で撮影された複数の商品無し画像20を用いる。これにより、商品無し画像20の撮影条件と、販売時画像30の撮影条件とを略同じにすることにより、商品無し画像20と販売時画像30とを容易に比較することができる。
【0054】
第1実施形態では、上記のように、自動販売機300は、複数の商品が配置されるとともに、駆動することにより最前部に配置された商品を収納庫4から搬出するための搬出部7を含み、動作制御部62は、判定部61により収納庫4に商品無しと判定された場合に、搬出部7の最前部F1よりも後方を撮影した画像に基づいて、商品の有無を取得し、商品が有る場合には、販売を停止させずに、商品が最前部F1に位置するように、搬出部7を駆動させる制御を行う。これにより、搬出部7への商品の配置漏れが生じている場合に、誤って売り切れと判定し、商品の販売を停止することを抑制することができる。これにより、商品漏れが生じた場合でも、商品が売り切れているか否かを正確に判定することができるため、売り切れ判定の精度をさらに向上させることができる。
【0055】
第1実施形態では、上記のように、収納庫4から搬出された商品を取出口11に搬送する搬送部8をさらに備え、収納庫4は、搬送部8の停止位置を示す印部12を有し、動作制御部62は、撮影部5の撮影範囲内に印部12が含まれる位置で搬送部8を停止させる制御を行う。これにより、収納庫4から搬出された商品を受け取ることができる位置に搬送部8を精度よく停止させることができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、図10を参照して、第2実施形態による自動販売機400の構成について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態による自動販売機300と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0057】
図10に示すように、第2実施形態では、自動販売機400は、特徴量分布50を作成するように構成されている。
【0058】
自動販売機400は、ハードウェアとして記憶部41を含む。記憶部41は、たとえば、メモリである。記憶部41は、複数の商品無し画像20が保存されている。記憶部41には、機械学習された学習モデルが記憶されている。
【0059】
自動販売機側制御部6は、ソフトウェアとして特徴量抽出部63を含む。特徴量抽出部63は、商品無し画像20から特徴量を抽出し、特徴量分布50を取得する。なお、特徴量抽出部63は、特許請求の範囲に記載した「特徴点抽出部」の一例である。
【0060】
第2実施形態では、図9におけるフローチャートにおいて、サーバ200が行う動作を自動販売機400が行う。そのため、環境情報の送受信および特徴量分布50の送受信は行われない。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0062】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第2実施形態では、上記のように、記憶部41に記憶された商品無し画像20から特徴点を抽出する特徴量抽出部63を含み、特徴量抽出部63において取得された特徴点と、撮影部5により撮影された商品販売時の販売時画像30とを比較して、収納庫4の商品の有無を判定する判定部61を含む。商品無し画像20から取得された特徴点と、販売時画像30の特徴点とが大きく異なっている場合は、商品が有ると判定することができるため、商品の配置の仕方および商品の形状に関わらず、商品の有無を判定することができる。この結果、売り切れ判定の精度を向上させることができる。
【0064】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0065】
(変形例)
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0066】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、機械学習としてPaDiMを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機械学習としてディープラーニングが用いられていてもよい。
【0067】
また、上記第1および第2実施形態では、機械学習を用いて売り切れ判定を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機械学習を用いないソフトウェアプログラムを用いて売り切れ判定を行ってもよい。
【0068】
また、上記第1および第2実施形態では、特徴点として特徴量を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特徴点は、画像上の特徴部分であってもよい。
【0069】
また、上記第1および第2実施形態では、搬出部がスパイラルである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬出部は、ベルトコンベアであってもよい。
【0070】
また、上記第1および第2実施形態では、撮影部が搬送部に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図11に示すように、撮影部は、扉に配置されてもよい。この場合、複数の撮影部が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 記憶部
4 収納庫
5 撮影部
7 搬出部
8 搬送部
12 印部
20 商品無し画像
30 販売時画像
41 記憶部
21、63 特徴点抽出部
50 特徴量分布
61 判定部
100 自動販売機システム
200 サーバ
300、400 自動販売機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11