(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003477
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】拭き取り用液体除菌洗浄剤およびこれを用いた被除菌洗浄物の除菌洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20240105BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/48 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/86 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20240105BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/28
C11D3/48
C11D1/48
C11D1/86
C11D3/20
C11D3/43
C11D17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102655
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 昌義
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 美穂
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB22
4H003AB28
4H003AB31
4H003AC08
4H003AE02
4H003BA12
4H003DA01
4H003EB04
4H003EB06
4H003ED02
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA04
4H003FA26
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】水ですすがなくても洗浄効果と除菌効果を併せ持つ拭き取り用洗浄剤を提供する。
【解決手段】ジアルキルスルホコハク酸塩と、非イオン界面活性剤と、ポリヘキサメチレンビグアナイドと、水を含むことを特徴とする拭き取り用液体除菌洗浄剤およびこれを拭き取り用の布に吐出または噴霧して、被除菌洗浄物表面を拭き取ることを特徴とする被除菌洗浄物の除菌洗浄方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアルキルスルホコハク酸塩と、
非イオン界面活性剤と、
ポリヘキサメチレンビグアナイドと、
水を含む、
ことを特徴とする拭き取り用液体除菌洗浄剤。
【請求項2】
更に、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤から選ばれる溶剤の1種または2種以上を含有する請求項1記載の拭き取り用液体除菌洗浄剤。
【請求項3】
更に、グリコールエーテル系除菌剤の1種または2種以上を含有する請求項1記載の拭き取り用液体除菌洗浄剤。
【請求項4】
ジアルキルスルホコハク酸塩が0.1~5質量%であり、非イオン界面活性剤が0.1~5質量%であり、ポリヘキサメチレンビグアナイドが0.01~0.5質量%である請求項1記載の拭き取り用液体除菌洗浄剤。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の拭き取り用液体除菌洗浄剤を、吐出用または噴霧用の容器に収納した除菌洗浄製品。
【請求項6】
更に、拭き取り用の布と組み合わせてなる請求項5記載の除菌洗浄製品。
【請求項7】
吐出用の容器が、吐出により泡を形成する容器である請求項5記載の除菌洗浄製品。
【請求項8】
請求項1~4の何れかに記載の拭き取り用液体除菌洗浄剤を、拭き取り用の布に吐出または噴霧して、被除菌洗浄物表面を拭き取ることを特徴とする被除菌洗浄物の除菌洗浄方法。
【請求項9】
被除菌洗浄物が、合成皮革、天然皮革、麻、綿、ナイロン、塩化ビニル、ヌバック、ゴムおよびスウェードからなる群から選ばれる1種以上の材料で形成されたものである請求項8記載の被除菌洗浄物の除菌洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水によるすすぎ等を必要としない、拭き取り用液体除菌洗浄剤およびこれを用いた被除菌洗浄物の除菌洗浄方法。
【背景技術】
【0002】
運動靴やスニーカー、上ばき等の洗浄には、市販の衣料用洗濯洗剤や運動靴専用洗剤が使用されている。これらの洗剤をブラシにとり、水を使いながらブラシの物理的洗浄力も使いながら洗浄し、その後、水ですすぎ、天日等で乾かすといった洗浄工程を行う。靴にスプレーをした後、水で洗い落として使用する靴用の洗浄剤組成物が開示されている。(特許文献1)また、低刺激性でありながら洗浄力と抗菌効果の双方に優れ、靴にも使用できる洗浄剤組成物が開示されている。(特許文献2)
【0003】
一方、スニーカーをブラシ等の物理的洗浄力に頼った洗浄による生地の傷みの問題や、水ですすいだ後乾くまでに時間がかかり、すぐに履くことができないという問題があり、生地を傷めず、また、天然皮革やスウェード等水洗いができない靴に対しても水ですすがずに洗浄できる洗浄剤が望まれている。また、洗浄成分であるアニオン界面活性剤にカチオン性の除菌剤を配合すると、アニオンーカチオンコンプレックスが形成されることなどにより、洗浄効果と除菌効果が発揮されにくくなり、薬液に白濁・相分離・沈殿等の異常が発生するという問題があり、洗浄効果と除菌効果の双方に優れ、薬液の安定性も高い、除菌もできる洗浄剤がさらに望まれている。
【0004】
しかし、上記洗浄剤組成物は、ブラシ等の使用により生地を傷めるおそれがあり、かつ、水ですすぐ必要がある洗浄剤であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-208023号
【特許文献2】特開2021-80414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、ブラシ等を使用せず、水ですすがずに、水洗いができない様な靴に対しても洗浄効果と除菌効果を併せ持つ拭き取り用洗浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記事情に鑑み、ブラシ等を使用せず、水ですすがなくても洗浄効果と除菌効果を併せ持つ洗浄剤について鋭意研究を行ったところ、特定の界面活性剤と特定の除菌剤を組み合わせて配合することにより、非常に効果的な除菌洗浄剤となることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ジアルキルスルホコハク酸塩と、
非イオン界面活性剤と、
ポリヘキサメチレンビグアナイドと
水を含む、
ことを特徴とする拭き取り用液体除菌洗浄剤である。
【0009】
また、本発明は、上記拭き取り用液体除菌洗浄剤を、吐出用または噴霧用の容器に収納した除菌洗浄製品である。
【0010】
更に、本発明は、上記拭き取り用液体除菌洗浄剤を、拭き取り用の布に吐出または噴霧して、被除菌洗浄物表面を拭き取ることを特徴とする被除菌洗浄物の除菌洗浄方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の拭き取り用液体除菌洗浄剤は、除菌、洗浄の際、拭き取るだけでよく、ブラシ等を使用せず、水等ですすぐ必要はなく、被除菌洗浄物表面を汚すこともない優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例における洗浄効果の評価に用いた装置を示す写真である。
【
図2】本発明の拭き取り用液体除菌洗浄剤で洗浄前後の靴の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の拭き取り用液体除菌洗浄剤(以下、単に「本発明洗浄剤」という)は、アニオン界面活性剤であるジアルキルスルホコハク酸塩と、非イオン界面活性剤と、カチオン性除菌剤であるポリヘキサメチレンビグアナイドと、水を含む。ここで拭き取り用とは、洗浄にあたり水によるすすぎ等が必要なく、拭き取るだけでよいことをいう。また、拭き取る際には、本発明洗浄剤を拭き取り用の布に吐出または噴霧して、被除菌洗浄物表面を拭き取ることが好ましい。
【0014】
上記ジアルキルスルホコハク酸塩は、特に限定されないが、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸カリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸カリウム等が挙げられる。これらジアルキルスルホコハク酸塩は、1種または2種以上を用いることができるが、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを用いることが好ましい。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとしては、例えば、サンモリンOT-70(三洋化成工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0015】
本発明洗浄剤におけるジアルキルスルホコハク酸塩の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~5質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは0.3~3%である。
【0016】
上記非イオン界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル等が挙げられる。また、多価アルコール型非イオン界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でもポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、ポリオキシエチレン(9)アルキル(C12~C14)エーテルがより好ましい。ポリオキシエチレン(9)アルキル(C12~C14)エーテルとしては、例えば、マーポンACF-9(松本油脂製薬社製)等の市販品を用いることができる。これら非イオン界面活性剤は、1種または2種以上を用いることができる。本発明洗浄剤における非イオン界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~5%、好ましくは0.3~3%である。
【0017】
上記ポリヘキサメチレンビグアナイドは、安全性の高いカチオン性除菌剤である。ポリヘキサメチレンビグアナイドとしては、例えば、Proxel IB(ロンザジャパン社製)等の市販品を用いることができる。本発明洗浄剤におけるポリヘキサメチレンビグアナイドの含有量は特に限定されないが、除菌効果および皮膚刺激性の観点から、例えば、0.01~0.5%、好ましくは0.03~0.1%である。
【0018】
本発明洗浄剤における水の含有量は特に限定されないが、例えば、70~99%、好ましくは80~98%である。
【0019】
本発明洗浄剤には、上記成分を水に溶解させるための溶剤を含有させることが好ましい。溶剤は、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール等のグリコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、1種または2種以上を用いることができるが、少なくともエタノールを用いることが好ましく、エタノールおよびプロピレングリコールを用いることがより好ましい。本発明洗浄剤における溶剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~10%、好ましくは1~8%である。
【0020】
本発明洗浄剤には、更に、他の除菌剤を配合することができる。特に好ましい除菌剤としては、フェノキシエタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールエーテル系除菌剤を含有させることが好ましい。これらのグリコールエーテル系除菌剤は1種または2種以上を用いることができるが、フェノキシエタノールを用いることが好ましい。本発明洗浄剤における他の除菌剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.3~5%、好ましくは0.5~3%である。
【0021】
本発明洗浄剤には、本発明の効果を損なわない限り、更に、キレート剤、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、防かび剤等を含有させることができる。
【0022】
上記キレート剤は、特に限定されないが、例えば、ジヒドロキジエチルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシンナトリウム、エチレンジアミン四酢酸およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩等が挙げられる。これらキレート剤は1種または2種以上を用いることができる。本発明洗浄剤におけるキレート剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~3%、好ましくは0.1~1%である。
【0023】
上記紫外線吸収剤は、特に限定されないが、例えば、ナトリウム=3-[(2H-1,3-シクロヘキサジエノ[d]トリアゾール)-2-イル]-4-ヒドロキシ-5-(1-メチルプロピル)ベンゼンスルホナート等が挙げられる。これら紫外線吸収剤は1種または2種以上を用いることができる。本発明洗浄剤における紫外線吸収剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.02~1%、好ましくは0.1~0.3%である。
【0024】
上記香料は、特に限定されず、例えば、アップル系香料、ミント系香料等を用いれば良い。本発明洗浄剤における香料の含有量は特に限定されないが、例えば0.01~1%、好ましくは0.03~0.3%である。
【0025】
上記酸化防止剤は、特に限定されず、例えば、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、アスコルビン酸、トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム等を用いれば良い。本発明洗浄剤における酸化防止剤の含有量は特に限定されず適量を用いればよい。
【0026】
上記防かび剤は、特に限定されず、例えば、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン等を用いれば良い。本発明洗浄剤における防かび剤の含有量は特に限定されず適量を用いればよい。
【0027】
本発明組成物の好ましい態様としては以下のものが挙げられる。
ジアルキルスルホコハク酸塩 0.1~5%
非イオン界面活性剤 0.1~5%
ポリヘキサメチレンビグアナイド 0.01~0.5%
水 残部
【0028】
また、本発明組成物のより好ましい態様としては以下のものが挙げられる。このものは安定性が高く長期保存が可能であり、凍結や解凍をしても分離や沈殿を起こさない優れたものとなる。
ジアルキルスルホコハク酸塩 0.4~0.6%
非イオン界面活性剤 0.65~0.85%
ポリヘキサメチレンビグアナイド 0.04~0.06%
水 残部
エタノール 1~3%
プロピレングリコール 3~5%
香料 0.05~0.1%
(更に以下のものを必要により含む)
1,3-ブチレングリコール 0.8~1.2%
フェノキシエタノール 0.4~0.6%
【0029】
本発明洗浄剤は、上記した各成分を混合することにより調製することができる。
【0030】
斯くして得られる本発明洗浄剤は被除菌洗浄物表面を除菌、洗浄することができ、安定性が高いものである。ここで除菌できるとは後述する除菌活性値が2.0以上であることをいう。また、洗浄できるとは後述する数1による洗浄率が40%以上、好ましくは60%以上であることをいう。更に、安定性が高いとは本発明洗浄剤を高温下や低温下で長期間保管した際も、本発明洗浄剤の分離や沈殿が発生しないことをいう。本発明洗浄剤に分離や沈殿が発生すると、洗浄効果と除菌効果が低下するだけでなく、洗浄対象物の染みの原因にもなる。
【0031】
本発明洗浄剤の使用方法は、本発明洗浄剤を拭き取り用の布に吐出または噴霧して、被除菌洗浄物表面を拭き取ればよい。使用量は靴1足に対して8g程度使用する。また、吐出または噴霧と拭き取りは、必要により複数回行っても良い。更にこの除菌、洗浄の際、拭き取るだけでよく、水等ですすぐ必要はない。また、被除菌洗浄物表面を汚すこともない。
【0032】
本発明洗浄剤の使用対象となる被除菌洗浄物は、従来より水で洗浄されていたものに使用されるが、従来大量の水を使用するような洗浄が好ましくなかったもの、例えば、合成皮革、天然皮革、麻、綿、ナイロン、塩化ビニル、ヌバック、ゴム、スウェード等の1種または2種以上の材料で形成されたものにも使用できる。具体的な被除菌洗浄物としては、前記材料で形成された靴、鞄等が挙げられる。
【0033】
本発明洗浄剤は、本発明洗浄剤の使用方法にあわせて、吐出用または噴霧用の容器に収納して製品とすることが好ましい。
【0034】
本発明洗浄剤を吐出用または噴霧用の容器に収納した製品は、更に拭き取り用の布と組み合わせて製品とすることが好ましい。拭き取り用の布としては特に限定されないが、マイクロファイバークロス等が好ましい。
【0035】
本発明洗浄剤を収納する吐出用または噴霧用の容器は、特に限定されないが、例えば、吐出により本発明洗浄剤が泡を形成する容器、吐出により本発明洗浄剤が液状のまま出てくる容器、噴霧により本発明洗浄剤が細かい霧状となって出てくる容器等が挙げられる。吐出により本発明洗浄剤が泡を形成する容器としては、例えば、ポンプフォーマータイプの容器等が挙げられる。吐出により本発明洗浄剤が液状のまま出てくる容器としては、例えば、ポンプタイプの容器等が挙げられる。噴霧により本発明洗浄剤が細かい霧状となって出てくる容器としては、例えば、ミストスプレータイプの容器やトリガータイプの容器等が挙げられる。これらの吐出用または噴霧用の容器の中でも、吐出により泡を形成する容器が好ましい。吐出により泡を形成する容器(ポンプフォーマータイプ)を1プッシュして吐出する本発明洗浄剤の量は1g程度である。
【実施例0036】
以下、本発明を本発明の実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0037】
実 施 例 1
拭き取り用液体除菌洗浄剤の調製:
以下の表1に記載の成分を混合して拭き取り用液体除菌洗浄剤を調製した。なお、表中の各成分の含有量は有効成分含有量から換算した値である。
【0038】
【0039】
これらの拭き取り用液体除菌洗浄剤(試験薬液)について洗浄効果、除菌効果、安定性を試験した。これらの試験結果を表2に示した。
【0040】
(洗浄効果)
<試験方法>
(1)合成皮革の布に疑似汚れとしてカーボンブラックを付着させたものを試験布とした。
(2)試験布のカーボンブラックが付着した部分の光の反射率Rs(550nm)を分光光度計積分球ユニットを使用して測定した。このとき、反射率が75.0±5%以内になるように付着量を調整した。
(3)試験布を固定し、縦22mm、横10mmの凸部を有するステンレス製のおもり(300g:
図1参照)にマイクロファイバークロスをつけておもりの凸部部分のマイクロファイバークロスに試験薬液を1mL含浸させた。試験液を含侵させた凸部部分のマイクロファイバークロスを試験布の上に置き、60拍/分のペースで、クロスを左右に5往復させた。
(4)洗浄後の試験布の反射率Rwを測定し、ふき取り前後の反射率変化より洗浄率D(%)を下記式により算出した。
【0041】
【0042】
<洗浄効果評価基準>
〇:洗浄率が60%以上
△:洗浄率が40%以上60%未満
×:洗浄率が40%未満
【0043】
(除菌効果)
<試験方法>
(a)試験菌液の作製
試験菌として、黄色ブドウ球菌(NBRC12732)を培養後、ニュートリエント液体培地に懸濁・分散させて、菌濃度を1×107~1×108CFU/mLに調整し、試験菌液とした。
(b)試験菌液の接種
試験薬液10mLに試験菌液100μL加え、混合した後15分間静置した。その後、混合液100μLをSCDLPブイヨン培地10mLに接種して不活化させ、試験液を得た。
(c)試験菌の培養
不活化させた試験液を生理食塩水で適当に希釈し、標準寒天培地に100μL塗布した。これを37℃で24時間培養し、形成されたコロニーをカウントし、生菌数を換算した。得られる値をY1とした。なお、上記試験液に変えて0.05質量%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート水溶液を用いて同様の試験を行ったものを対照とし、同様に培養後に形成されたコロニーをカウントし、生菌数を換算した。得られる値をX1とした。除菌活性値は以下の計算式にて数値化し、以下の基準に従って除菌性能の指標とした。
【0044】
【0045】
<除菌効果評価基準>
〇:除菌活性値が2.0以上
×:除菌活性値が2.0未満
【0046】
(安定性)
<試験方法>
調製した各試験薬液50mLをサンプル瓶に入れて、60℃に2週間、40℃に1ヵ月間、25℃に1ヵ月間、-10℃に2日間、それぞれ静置した後25℃に戻した状態を、以下の基準で評価した。
【0047】
<薬液安定性評価基準>
◎:60℃~-10℃の温度範囲で、試験薬液に白濁、相分離、沈殿物等の異常が認められない。
〇:40℃~25℃の温度範囲で、試験薬液に白濁、相分離、沈殿物等の異常が認められない。
×:40℃~25℃の温度範囲でも、試験薬液に白濁、相分離、沈殿物等の異常が認められる。
【0048】
【0049】
以上の結果より、本実施形態に係る拭き取り用液体除菌洗浄剤は、洗浄効果、除菌効果および薬液安定性のすべてに優れていることが確認できた。
【0050】
実 施 例 2
洗浄試験:
実施例1の組成1の拭き取り用液体除菌洗浄剤を吐出により泡を形成する容器(ポンプフォーマータイプ)に入れ、これをマイクロファイバークロスに8プッシュして約8gの泡を吐出し、普段履いている靴の汚れを拭き取った。洗浄前後の靴の外観写真を
図2に示した。
【0051】
本革とゴム底の汚れが綺麗に落ちた。汚れを拭き取った後は泡の発生もなく、水によるすすぎも必要なかった。