(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034770
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】試験ボード、試験ボードの診断システム、診断方法、及び診断プログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240306BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240306BHJP
G01R 31/30 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/26 Z
G01R31/28 S
G01R31/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139236
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 哲治
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
【Fターム(参考)】
2G003AA00
2G003AC01
2G003AG08
2G003AH01
2G003AH06
2G132AB13
2G132AJ05
2G132AL38
(57)【要約】
【課題】試験ボードに搭載されたテスト実行可能な集積回路の診断を可能とする試験ボード、試験ボードの診断システム、診断方法、及び診断プログラムを提供する。
【解決手段】実施の形態に係る試験ボードは、試験対象デバイスと試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路とが実装され、第1の入出力端子と、第2の入出力端子と、コンタクトユニットとを備える。第1の入出力端子は、試験ボードへの電源供給とテスト実行可能な集積回路の制御とが可能な第1の測定装置を接続する。第2の入出力端子は、テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定可能な第2の測定装置を接続する。コンタクトユニットは、第2の入出力端子を介して試験ボード上に実装され、第2の測定装置を電気的接続可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象デバイスと、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路とが実装される試験ボードであって、
前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御とが可能な第1の測定装置を接続するための第1の入出力端子と、
前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定可能な第2の測定装置を接続するための第2の入出力端子と、
前記第2の入出力端子を介して前記試験ボードの上に実装され、前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットと
を備える、試験ボード。
【請求項2】
前記第2の入出力端子は、前記試験ボードの基板表面上に実装され、前記テスト実行可能な集積回路の実装ピンと電気的に接続された金属端子を備える、請求項1に記載の試験ボード。
【請求項3】
前記実装ピンは、前記テスト実行可能な集積回路の全ピンを備える、請求項2に記載の試験ボード。
【請求項4】
前記試験ボードの基板表面上に実装され、前記テスト実行可能な集積回路を接続する第3の入出力端子と、
を備える、請求項1に記載の試験ボード。
【請求項5】
試験対象デバイスが実装される試験ボードと、
前記試験ボードに実装され、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路と、
前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御とが可能な第1の測定装置と、
前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定可能な第2の測定装置と、
前記試験ボードの上に実装され、前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットと
を備える、試験ボードの診断システム。
【請求項6】
試験対象デバイスと、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路とが実装される試験ボードの診断方法であって、
前記試験ボードを第1の測定装置に接続するステップと、
前記第1の測定装置により、前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御を実施するステップと、
第2の測定装置により、前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定するステップと、
前記試験ボードに前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットを実装するステップと
を含む、試験ボードの診断方法。
【請求項7】
試験対象デバイスと、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路とが実装される試験ボードの診断を実施する診断システムに用いられる、コンピュータにより実行可能な診断プログラムであって、
前記試験ボードを第1の測定装置に接続するステップと、
前記第1の測定装置により、前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御を実施するステップと、
第2の測定装置により、前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定するステップと、
前記試験ボードに前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットを実装するステップと
を前記コンピュータに実行させる、診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、試験ボード、試験ボードの診断システム、診断方法、及び診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスについて、初期不良の発生を抑制するためのストレス試験や製品の信頼性を確認する信頼性試験などが行われる。ストレス試験としては、例えばバーンイン(BI(Burn-In))試験などがあり、信頼性試験には、例えば環境試験、長期寿命試験などがある。バーンイン試験では、試験対象デバイス(DUT:Device Under Test)として複数個の半導体装置を搭載する試験ボードとしてバーンインボード(BIボード)が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-124821号公報
【特許文献2】特開平10-293156号公報
【特許文献3】特開2022-28084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、試験ボードに搭載されたテスト実行可能な集積回路の診断を可能とする試験ボード、試験ボードの診断システム、診断方法、及び診断プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態に係る試験ボードは、試験対象デバイスと試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路とが実装され、第1の入出力端子と、第2の入出力端子と、コンタクトユニットとを備える。第1の入出力端子は、試験ボードへの電源供給とテスト実行可能な集積回路の制御とが可能な第1の測定装置を接続する。第2の入出力端子は、テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定可能な第2の測定装置を接続する。コンタクトユニットは、第2の入出力端子を介して試験ボード上に実装され、第2の測定装置を電気的接続可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムの概略構成例を模式的に示すブロック図。
【
図2】実施の形態に係るバーンインボードのレイアウト例を示すブロック図。
【
図3】実施の形態に係るバーンインボードの別のレイアウト例を示すブロック図。
【
図4】実施の形態に係るバーンインボードに搭載されたSoCにトライステートバッファを備えた例を示すブロック図。
【
図5】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおける、SoCが搭載されたバーンインボードの診断方法の処理動作の一例を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、制御線・データ線がシェアされたSoC群から特定のSoCを選択する例を示す模式図。
【
図7】
図6に示した特定のSoCを選択する際に、各SoCのトライステートバッファを制御する例を示す模式図。
【
図8】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、制御線・データ線がシェアされたSoC群から特定のSoCを選択する処理動作の例を示すブロック図。
【
図9】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、SoCのバーンインソケット側のピンの電気量を測定する処理動作の例を示すブロック図。
【
図10】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、コンタクトユニットと計測器端子との間のコンタクト構成の一例を示すブロック図。
【
図11】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、コンタクトユニットと計測器端子との間のコンタクト構成の別の例を示すブロック図。
【
図12】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、複数のSoCのバーンインソケット側のピンの電気量を並列的に測定する処理動作の例を示すブロック図。
【
図13】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、バーンインソケットのソケットコンタクト抵抗の劣化測定の例を示すブロック図。
【
図14】実施の形態に係るバーンインボードの診断システムにおいて、コンタクトユニットに備えられたリレー回路の例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、実施の形態について説明する。以下に説明する明細書又は図面の記載において、同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図面は模式的なものである。また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものである。実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0008】
(バーンイン試験)
近年のメモリ製品は、インタフェース(IF(InterFace))の高速化が進んでおり、バーンイン試験では、メモリセルだけではなく、その周辺回路にもストレスをかける必要が出てきている。そのため、バーンインボード上に、テスト実行可能な集積回路としてSoC(System-On-a-Chip)を搭載し、SoCを介して高速IFで試験することも行われている。このようなSoC搭載のバーンインボードでは、バーンインボード上に実装されたSoC自体の動作を保証するための診断も必要となる。
【0009】
半導体メモリなどの半導体装置においては、市場に出荷する前に様々な試験条件下で多方面からデバイスを評価し、市場不良が出ないように努めている。例えば、初期不良の発生を抑制するためのバーンイン試験や製品の信頼性を確認する信頼性試験などが行われる。
【0010】
一般的なメモリ製品のバーンイン試験では、試験対象デバイス(DUT)を搭載した試験ボード(例えばバーンインボード)を試験装置(例えばバーンイン装置)にセットし、バーンインボード搭載のDUTに対して電圧や温度などのストレスを加え続ける。その試験時間は、一般的には数時間から数十時間と長くなる。従って、バーンイン装置やバーンインボードの占有時間が長くなり、コストが嵩む。そのため、バーンイン装置やバーンインボードは、多数のDUTを同時にバーンインできるような構成を有している。このような構成では、DUTの制御線やデータ線は、複数のDUTの間でシェアされている。その結果、DUTの負荷が大きくなり、バーンイン装置内のドライバ(駆動部)がDUTを駆動するのに要する時間が長くなり、試験時間も長くなる。すなわち、バーンイン試験では、バーンイン装置内の1つの駆動部が多数のDUTをドライブする必要があるため、1つの駆動部が1つのDUTをドライブする場合に比べて、DUTの個々の立ち上がり時間が遅くなり、遷移時間が長くなる。
【0011】
また、近年のメモリ製品は、インタフェースの高速化に伴い周辺回路も複雑化している。そのため、周辺回路が早期不良になるケースも増えている。例えば、高速インタフェースのバッファ回路において配線の段切れなどが問題になってきている。そのため、バーンイン試験工程では、メモリセルだけではなく、その周辺回路(例えば出力段)にもストレスをかける必要が出てきている。
【0012】
その際、通常のバーンインボードを用いたバーンイン試験では、テスト速度を上げることができないため、SoCなどのテスト実行可能な集積回路を搭載したバーンインボードを用いる。SoCは、例えば、DUTの試験を実行するための特定用途向け集積回路(ASIC:Application-Specific Integrated Circuit)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)などである。
【0013】
SoCは、DUTを検査するための集積回路であり、例えば、DUTがメモリ装置の場合、SoCはメモリコントローラである。但し、SoCはメモリ装置を制御すればよいだけであるため、必ずしもSoC自体がCPUを搭載していなくても良い。
【0014】
SoCによるDUTの試験項目としては、導通テスト、DCテスト、ファンクショナルテスト(機能テスト)、ACテスト、SCANテスト(ストラクチャルテスト)、電源関連のテストなどが含まれる。DUTがNANDフラッシュメモリである場合、NANDメモリのセルテストとして、SLC(2値)、MLC(4値)、TLC(8値)、QLC(16値)などのパス(Pass)/フェイル(Fail)テスト、エラービットテストとして一定のエラーを許容したテスト、フェイルビットカウントテストとしてセルテストに要求されるECC訂正能力を超えたフェイルビットカウントテスト、tPROGクライテリアテストとしてtPROGクライテリアのOK/NG判定テスト、等が含まれる。
【0015】
このようなSoC搭載バーンインボードでは、搭載されたSoCを介してDUTを試験するので、高速インタフェースで試験することができる。但し、SoCとDUTとが1対1の接続になるため、負荷が軽くなり、高速でテスト可能となるものの、試験速度が高速になればなるほど、各SoCと各DUTとの間の距離を短くする必要があるため、必然的にDUTの近傍にSoCを実装しなければならない。
【0016】
しかし、バーンイン試験において、DUTの近傍にSoCを実装すると、恒温槽などのチャンバー内でSoCも温度ストレスを受けることになる。SoCをチャンバーの温度ストレスから隔離するような機構を取り入れると、バーンイン装置のコストが嵩むため、このような機構を採用できない場合もある。その場合、SoCも温度ストレスを受けることになるため、SoCが正常に動作することを予め確認した上で、バーンイン試験を運用することが必要となる。
【0017】
このように、SoC搭載バーンインボードでは、ボード上に実装されたSoCの動作を保証するために、SoC搭載のバーンインボードの診断が必要になる。より具体的には、一般に、半導体部品は、動作保証温度の範囲内で使用していても、その性能は、経年的に劣化する。そして、その劣化具合が、バーンイン試験結果に影響を与えてはならないので、正常な試験保証できる性能をSoCが有しているか否かを確認する必要がある。
【0018】
半導体装置の初期不良をスクリーニングする場合、一般的には、テスタのような電流・電圧を測ることができる計測器を使用する。しかし、バーンイン装置は、バーンインボードの電気量を測るような機構を有していない、というのが一般的である。バーンイン試験自体が、このような計測器を必要としなかったり、上述したように配線が多数のSoC間でシェアされているため、個々のSoCの正確な電流・電圧測定ができなかったりするからである。そのため、バーンインボードの診断を行うには、テスタのような電流・電圧を測ることができる計測器が必要になる。
【0019】
(実施の形態における診断システム)
本実施の形態は、SoCなどのテスト実行可能な集積回路を実装したバーンインボードなどの試験ボードの診断に用いられる。ここで、バーンインボードの診断とは、バーンインボード上に実装されたSoCの機能や性能を正確に診断することをいう。
【0020】
図1は、実施の形態に係るバーンインボードの診断システムの概略構成例を模式的に示している。実施の形態に係る診断システムは、バーンインボード(試験ボード)100と、バーンイン装置(第1の測定装置)200と、計測器(第2の測定装置)300と、コンタクトユニット400とを備える。
【0021】
実施の形態における診断システムは、高速IFでのバーンイン試験を可能とするためにSoC110が搭載されたバーンインボード100において、そのSoC110の動作を保証のためのバーンインボード診断をオンボードで可能とするための構成を備える。SoC搭載バーンインボード100の基板上に、計測器300を電気的接続可能とするコンタクトユニット400が形成され、SoC110の各ピンと電気的接続ができるように、バーンインボード100のSoC110の周辺基板上には、SoC110の全ピンがバーンインボード100の基板表面に金属端子として露出している。
【0022】
換言すれば、実施の形態における診断システムは、
図1に示すように、試験対象デバイス(DUT)が実装されるバーンインボード100と、バーンインボード100に実装され、試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路(SoC)110(110_1、…、110_n)と、バーンインボード100への電源供給とSoC110の制御とが可能なバーンイン装置200と、SoC110の電気的特性を測定可能な計測器300と、バーンインボード100上に実装され、計測器300を電気的接続可能とするコンタクトユニット400とを備える。バーンイン装置200は、バーンインボード100に対して電源を供給し、バーンインボード100上に実装されるSoC110に対する制御が可能である。
【0023】
実施の形態における診断システムは、SoC搭載バーンインボード100の基板上のSoC110の直近に、電気的検査が可能な計測器300を接続可能な構成を備えており、計測器300によって、SoC110のみの電気量を正確に測定することができる。
【0024】
また、実施の形態における診断システムは、複数のSoC110_1、…、110_nの制御・データ線がシェアされていても、個々のSoC110を電気的に分離する構成を備えており、個別のSoC110の電気量を正確に測定することができ、SoC110の機能を正確に診断することができる。
【0025】
(バーンインボード)
バーンインボード100は、試験対象デバイス(DUT(図示せず))と、DUTの試験を実施するテスト実行可能な集積回路(SoC)110(110_1、…、110_n)とが実装される試験ボードである。バーンインボード100は、バーンイン端子(第1の入出力端子)101と、n個のSoC110(110_1、…、110_n)と、n個の計測器端子(第2の入出力端子)120(120_1、…、120_n)と、バーンインソケット入出力端子(第3の入出力端子)135(135_1、…、135_n)をそれぞれ備えるn個のバーンインソケット130(130_1、…、130_n)とを備える。ここで、nは1以上の整数である。
【0026】
SoC110及び計測器端子120は、バーンインソケット130毎に備えられる。つまり、SoC110_1及び計測器端子120_1は、バーンインソケット130_1に対応して実装され、SoC110_n及び計測器端子120_nは、バーンインソケット130_nに対応して実装される。DUTは、バーンインソケット130のバーンインソケット入出力端子135(図面上は単に「ソケット端子135」ともいう)に挿入されてバーンインボード100に実装される。
【0027】
バーンイン端子101は、バーンインボード100への電源供給とSoCの制御とが可能なバーンイン装置200をバーンインボード100に接続するための端子である。
【0028】
計測器端子120は、SoC110の電気的特性を測定可能なテスタなどの計測器300をバーンインボード100に接続するための入出力端子である。
【0029】
計測器端子120は、バーンインボード100の基板表面上に実装され、SoC110の実装ピンと電気的に接続された金属端子125を備える。SoC110の実装ピンは、SoC110の全ピンを備えても良い。金属端子125は、SoC110の全入出力ピン並びに給電ピン端子と電気的に接続されている。SoC110の実装ピンである全入出力ピンは、トライステートバッファ(Tri State Buffer)115(
図4)に接続される。
【0030】
コンタクトユニット400は、計測器端子120を介してバーンインボード100上に実装され、計測器300をバーンインボード100に電気的接続可能とする。コンタクトユニット400は、SoC110の全ピンと計測器300とを接続又は分離可能である。
【0031】
バーンインボード100上に実装されるSoC110は、電気的に検査可能である。また、バーンインボード100上に実装される複数のSoC110(110_1、…、110_n)を電気的に同時検査可能である。
【0032】
(バーンイン装置)
バーンイン装置200は、
図1に示すように、電源部210と、制御部220と、駆動部230と、測定部240とを備える。
【0033】
制御部220は、バーンイン装置200内の各部、すなわち、電源部210、駆動部230、及び測定部240などの制御を行うと共に、バーンイン端子101を介してバーンインボード100側に対する制御も行う。
【0034】
電源部210は、バーンイン試験の際に、バーンインボード100上のバーンインソケット入出力端子135に挿入されたDUT及びバーンインボード100上のSoC110に対して電源を供給する。それと共に、電源部210は、バーンインボードの診断の際にも、バーンインソケット入出力端子135に挿入されたDUT及びバーンインボード100上のSoC110や計測器端子120に接続されたコンタクトユニット400に対して電源を供給することができる。バーンインボードの診断の際には、計測器300側からコンタクトユニット400を介してバーンインソケット入出力端子135に挿入されたDUT及びバーンインボード100上のSoC110に対して電源を供給するようにしても良い。
【0035】
駆動部230は、バーンイン試験の際に、バーンインボード100上のSoC110やコンタクトユニット400を駆動する。より具体的には、SoC110を搭載していない通常のバーンインボードでは、駆動部(ドライバ)がDUTを試験するように構成されているが、本実施の形態のようにSoC110を搭載したバーンインボード100では、DUTを試験するのは駆動部230ではなく、SoC100である。従って、本実施の形態においては、バーンイン装置の駆動部230が駆動するのは、バーンインボード100上のSoC110やコンタクトユニット400である。尚、SoC110を搭載したバーンインボード100の診断時には、DUTは必要ではない。
【0036】
測定部240は、バーンイン試験の際に、入力電圧とハイ(High)レベル/ロー(Low)レベルの閾値とを比較する。
【0037】
(計測器)
計測器300は、
図1に示すように、制御部310と、測定部320とを備える。測定部320は、電流計321と電圧計322とを備える。
【0038】
制御部310は、計測器300内の測定部320の制御を行うと共に、コンタクトユニット400と、コンタクトユニット400を介してバーンインボード100側に対する制御も行う。
【0039】
測定部320は、バーンインボード100の基板上に実装されたSoC110の動作を保証するための電気的検査などを行う。電気的検査には、例えば、DCテストやファンクショナルテスト(機能テスト)などが含まれる。計測器300としては、例えば、テスタ、電圧・電流測定器、オシロスコープ、パルスジェネレータなどの汎用計測器が含まれる。
【0040】
(コンタクトユニット)
コンタクトユニット400は、
図1に示すように、リレー回路410と、コネクタ420とを備える。コネクタ420は、バーンインボード100の基板上に配置された計測器端子120(120_1、…、120_nのいずれか)に電気的に接続する。
【0041】
コンタクトユニット400の各ピンは、リレー回路410によって、計測器300の電気量測定ピンと接続できるように構成されている。コンタクトユニット400は、バーンインボード100の基板側の金属端子125に接続する、金属端子を備えた接続部品である。コンタクトユニット400のコネクタ420は、例えば、ポゴ(POGO)ピンやオス/メス型コネクタである。計測器300によっては、ドライバピン、IOピン、DC測定ピンが別れているものもあるため、リレー回路410は、通常のテスト信号を通す場合やDC測定をする場合などに応じて、信号の経路を変える役割を有する。
【0042】
(バーンインボードのレイアウト)
図2は、実施の形態に係るバーンインボード100のレイアウトの一例を示している。
図2では、説明を簡単にするために、単一のバーンインソケット130に対応して、単一のSoC110と単一の計測器端子120とを備えた例を示している。
【0043】
図2に示すように、SoC110の各ピンとコンタクトユニット400とが電気的に接続することができるように、バーンインボード100のSoC110の周辺の基板上には、SoC110の全ピンが金属端子125として露出している。SoC110の1つのピンに対して1つの金属端子125が配置されている。
【0044】
ここで、バーンインボード100の外部からSoC110に対し、VF(Voltage Forward)などのコンタクト検査をするだけであれば、SoC110のピンのうち信号ピンだけでも良い。しかしながら、SoC110の信号ピンの電圧を測定する場合、SoC110の電源-接地(GND)間に電流を流してSoC110を起動させる必要があるので、電源ピン、GNDピン、及び信号ピンの全ピンを金属端子125として露出するように構成している。SoC110の全ピンを露出させることで、SoC110のピン間ショートも検出することもできる。
【0045】
図2のレイアウトでは、SoC110の全ピンのうち、バーンイン端子101側のピン群143が第1金属端子群121として、バーンインボード100の基板上に露出している。また、SoC110の全ピンのうち、バーンインソケット入出力端子135側のピン群144が第2金属端子群122として、バーンインボード100の基板上に露出している。
【0046】
第1金属端子群121とバーンイン端子101との間の配線群141、第2金属端子群122とバーンインソケット入出力端子135との間の配線群142、及びピン群143、144は、バーンインボード100の基板内に埋め込まれた配線として構成することができる。また、配線群141、配線群142、及びピン群143、144は、基板内の多層配線として構成することもできる。
【0047】
コンタクトユニット400の各ピンは、コンタクトユニット400のリレー回路410によって、計測器300の電気量測定ピンと接続できるように構成されているが、詳細は後述する。
【0048】
図3は、実施の形態に係るバーンインボード100の別のレイアウト例を示している。
図3では、説明を簡単にするために、単一のバーンインソケット130に対応して、単一のSoC110と単一の計測器端子120とを備えた例を示している。
【0049】
図3に示すように、バーンイン端子101との間の配線群141と、SoC110との間に、バーンイン端子101側のピン群143に接続された第1金属端子群121を露出させた計測器端子120を配置し、バーンインソケット入出力端子135との間の配線群142とSoC110との間に、バーンイン端子101側のピン群144に接続された第2金属端子群122を露出させた計測器端子120を配置している。
図3に示したレイアウト例の上記以外の構成は、
図2に示したレイアウト例と同様である。
【0050】
(トライステートバッファ)
図4は、実施の形態に係るバーンインボード100に搭載されたSoC110_1、110_2、…、110_nに、それぞれトライステートバッファ115_1、115_2、…、115_nを備えた例を示している。
図4に示す例では、説明を簡単にするために、各SoC110に単一のピンを設け、それに対応してトライステートバッファ115を配置した例を示しているが、トライステートバッファ115は、各SoC110の全ピンに対してそれぞれ配置される。
【0051】
SoC110_1、110_2、…、110_nの全ピンは、トライステートバッファ115_1、115_2、…、115_nを有しており、各ピンの出力状態をバーンイン装置200の制御部220から制御できる。より具体的には、バーンイン装置200の制御部220にはSoC110の制御信号が接続しており、例えば制御コマンドやSoC110内のレジスタの書き換え等により、SoC110のトライステートバッファ115を、ハイ(High)状態、ロー(Low)状態、ハイインピーダンス(HiZ)状態の3つの出力状態に切り替え制御することができる。測定対象外のSoC110のトライステートバッファ115をハイインピーダンス状態にすることで、測定対象外のSoC110を切り離すことができる。これにより、シェアされたピンであっても、測定対象のSoC110のみの電気量を測定可能となる。
【0052】
(試験ボードの診断方法)
次に、実施の形態に係る診断システムにおける、SoC110が搭載されたバーンインボード100の診断方法について説明する。
【0053】
実施の形態に係る診断システムにおける、SoC110が搭載されたバーンインボード100の診断方法は、バーンインボード100をバーンイン装置200に接続するステップと、バーンイン装置200により、バーンインボード100への電源供給とSoC110の制御を実施するステップと、計測器300により、SoC110の電気的特性を測定するステップと、バーンインボード100上に計測器300を電気的接続可能とするコンタクトユニット400を実装するステップとを含む。
【0054】
尚、実施の形態に係る診断システムにおける、バーンインボード100の診断方法の処理動作を、コンピュータに実行させる命令として、コンピュータプログラムに記述することもできる。
【0055】
図5は、実施の形態に係る診断システムにおける、SoC110が搭載されたバーンインボード100の診断方法の処理動作の一例を示している。
【0056】
ステップS101において、バーンインボード100をバーンイン装置200に接続する。
【0057】
ステップS102において、バーンインボード100上に実装されたバーンインソケット入出力端子135_1~135_nに挿入されたSoC110_1~110_nの中から試験の対象となるSoC110を決定する。
【0058】
ステップS103において、試験対象SoC110の直近の計測器端子120(すなわち、試験対象SoC110に対応して実装された計測器端子120)に、計測器300が接続されたコンタクトユニット400を自動的に又は手動的に接続する。ステップS103におけるコンタクトユニット400の計測器端子120への接続は、計測器300やリレー回路410に接続されたコンタクトユニット400をバーンインボード100の計測器端子120の金属端子125に物理的に接触させることを意味している。ロボットアームなどの機器による自動操作や人的資源による手動動作など、その接続手段は特に限定されない。
【0059】
本実施の形態では、SoC110の診断には、SoC110内部の機能診断の他にも、SoC110の入出力ピンの性能を診断する必要がある。特に、SoC110のバーンインソケット入出力端子135側のピン群144は、高速テストが可能な性能を有する必要があるため、その性能診断の判定には、ピン出力電流を測定する。このため、SoC110での性能診断には、計測器接続が必要になる。
【0060】
ここで、「高速テスト」を行うということは、信号の周波数が高いということになるので、信号のハイ(High)レベル/ロー(Low)レベルの切り替わり時間が短いことを意味する。しかしながら、信号線が複数のDUTの間でシェアされている場合など負荷が大きいと、ハイレベル/ローレベルの切り替わりに遅延が生じることになる。そうなると、ハイレベル/ローレベル切り替わり前に次のハイレベル/ローレベルの切り替わりタイミングが来てしまい、結果として高速テストができなくなる。この要因となる負荷には、容量成分と抵抗成分とが含まれる。そのうちの抵抗成分は、SoC110の出力バッファの出力抵抗が支配的であり、この抵抗値を測定することで、高速テストの可否を判断する。この抵抗値を測るには、抵抗値の両端に電圧を印加し、そこに流れる電流を測定することで算出することができる。そのため、ピン出力電流を測定することでSoC110の出力抵抗が求められ、高速テストができる負荷量(診断の閾値)との比較を行うことができるため、高速テストの可否判断ができることになる。このようにDC測定ができる計測器300であれば、高速テストの可否判断ができるため、高速IF接続可能なテスタは必要ではない。
【0061】
ステップS104において、バーンイン装置200の電源部210からバーンインボード100に対して電源を供給する。
【0062】
ステップS105において、バーンイン装置200の制御部220は、バーンインボード100上に実行されているSoC110のうち診断対象外のSoC110を選択する。
【0063】
ステップS106において、制御部220は、制御・データ線がシェアされたSoC群から、診断対象外SoCを分離させるため、診断対象外のSoC110のシェアピンをHiZ状態に移行するように制御する。バーンインボード100のシェア線は、
図6に一例を示すように、行と列との2タイプで結線されている。そして、
図7に例示するような処理マトリックスに従って、行と列とを選択することにより診断対象のSoC110(
図6の例ではSoC_2)を制御することが可能である。
図7の例では、例えばSoC_2を選択する場合には、行選択1と列選択2との組み合わせSoC_2以外の診断対象外SoC110(SoC_1及びSoC_3~SoC_15)をHiZ状態にすることで、診断対象のSoC_2のみを選択することができる。尚、
図7に示す処理マトリックスについて、診断対象外SoCの選択順は問わない。また、新たに診断対象のSoCに切り替える際には、SoC110への電源をオフにすることによりハイインピーダンス(HiZ)状態を解除することができる。
【0064】
ステップS107において、制御部220は、診断対象外SoCがまだ残っているか否かを判定する。ステップS107の判定の結果、診断対象外SoCが残っている場合には、ステップS105に戻り、残りの診断対象外SoCについてステップS105~S106の処理を行う。
【0065】
ステップS107の判定の結果、診断対象外SoCが残っていない場合には(すなわち、診断対象外のSoCのシェアピンがすべてHiZになった場合)、ステップS108に進む。
【0066】
ステップS108において、診断対象のSoC110に対して診断を実行するために診断対象のSoC110を選択する。
【0067】
ステップS109において、コンタクトユニット400のリレー回路410を用いて、計測器300の測定ピンと診断対象のSoC110のシェアピンとを結線させ、ステップS110において、計測器300は、診断対象SoC110のシェア線ピンのみの電気量を測定する。
【0068】
図8は、実施の形態に係る診断システムにおいて、制御線・データ線がシェアされたSoC110_1~110_3群から特定のSoC110_1を選択して、SoC110_1のバーンイン端子101側のピンの性能診断を行う例を示している。
図8に示す例では、診断対象外のSoC110_2~110_3のトライステートバッファ115_2~115_3をそれぞれハイインピーダンス状態とし、トライステートバッファ115_1がハイ状態/ロー状態である診断対象のSoC110_1のシェア線ピンのみの電気量を計測器300により測定している。
【0069】
診断対象外のSoC110_2~110_3を除外せずに診断対象のSoC110_1のシェア線ピンの電気量を測定しようとしても、SoC110_1のシェア線ピンのみの電気量を正確に測定することができない。それに対して、
図8の例では、診断対象外のSoC110_2~110_3を除外して診断対象のSoC110_1のシェア線ピンのみの電気量を正確に測定できる。
【0070】
図5に戻って、ステップS111において、診断対象のSoC110のピンの中で、測定対象のピンがまだ残っているか否かを判定する。ステップS111の判定の結果、測定対象のピンが残っている場合には、ステップS109に戻り、残りの測定対象のピンについてステップS109~S110の処理を行う。
【0071】
ステップS111の判定の結果、測定対象のピンが残っていない場合にはステップS112に進む。
【0072】
ステップS112において、バーンイン装置200の電源部210からバーンインボード100に対する電源供給を停止する。
【0073】
ステップS113において、試験対象SoC110の計測器端子120から、計測器300が接続されたコンタクトユニット400を自動的に又は手動的に取り外す。
【0074】
ステップS114において、制御部220は、診断対象外SoCがまだ残っているか否かを判定する。ステップS114の判定の結果、診断対象外SoCが残っている場合には、ステップS102に戻り、残りの診断対象外SoCについてステップS102~S113の処理を行う。
【0075】
ステップS114の判定の結果、診断対象外SoCが残っていない場合にはステップS115に進む。
【0076】
ステップS115において、バーンインボード100をバーンイン装置200から取り外す。
【0077】
図9は、実施の形態に係る診断システムにおいて、SoC110のバーンインソケット130側のピンの電気量を測定する処理動作の例を示している。
【0078】
バーンインソケット130に接続するSoC110のピンについても、
図5~
図7に示した処理動作と同様の動作により、コンタクトユニット400から電気量を測定することができる。
【0079】
SoC110とバーンインソケット130との間にコンタクトユニット400を接続するための計測器端子120を配置せずに、例えば、バーンイン端子を介してバーンイン装置200側から、SoC110のバーンインソケット130側のピンの電気量を測定しようとしても、高速に動作するSoC110とバーンインソケット130間の測定を行うのは難しい。より具体的には、バーンイン装置200側から、SoC110のバーンインソケット130側のピンの電気量を測定しようとすると、バーンインソケット130のコンタクト抵抗も測定値に含まれてしまうため、SoC110自体の性能劣化を検査することができない。
【0080】
それに対して、
図9の例では、
図3に示したレイアウト例と同様にSoC110とバーンインソケット130との間にコンタクトユニット400を接続するための計測器端子120を配置しているため、SoC110のみの電気量を正確に測ることが可能となる。
【0081】
尚、
図2に示したレイアウト例のような計測器端子120の中の第2金属端子群122を用いても、同様にSoC110のみの電気量を正確に測ることができる。
【0082】
(コンタクトユニットと計測器端子との間のコンタクト構成例)
図10は、実施の形態に係る診断システムにおいて、コンタクトユニット400と計測器端子120との間のコンタクト構成の一例を示している。
【0083】
図10に示す例では、コンタクトユニット400のコネクタ420部分をスプリング付きピンコネクタ421で構成し、計測器端子120をピンパッド123で構成している。スプリング付きピンタイプのコンタクト構造には、例えば、ポゴ(POGO)コンタクト構造が含まれる。ポゴコンタクト構造は、一般的には3ピースのポゴピン構造であり、2つの針の間にスプリング(バネ)があり、3ピースの部品がすべて金属であるので、接続して通電可能な構造である。
【0084】
コンタクトユニット400と計測器端子120との間のコンタクト構成をスプリング付きピンタイプのコンタクト構造とすることにより、バーンインボードの診断の時だけコンタクトユニット400と計測器端子120とを接続することが可能となる。従って、通常のバーンイン試験を行う際には、高速テストの障害になる、スタブや容量負荷を取り除くことが可能となる。すなわち、SoC110とバーンインソケット130との間の電気経路に対し、スプリング付きピンタイプでコンタクトしている場合は、バーンインボード100の基板上の金属端子であるピンパッド123から計測器300側に電気経路ができるため、スタブになる。それに対して、
図10のように、コンタクトユニット400のスプリング付きピンコネクタ421を、計測器端子120のピンパッド123を切り離し可能としているので、実際SoC110からバーンインソケット130に対してテストする場合は、信号品質に影響を与えない。
【0085】
図11は、実施の形態に係る診断システムにおいて、コンタクトユニット400と計測器端子120との間のコンタクト構成の別の例を示している。
図11に示す例では、コンタクトユニット400のコネクタ420部分をオスコネクタ422で構成し、計測器端子120をメスコネクタ124で構成している。
【0086】
図10に示したようなスプリング付きピンタイプのコンタクト構造の場合、そのコンタクトには精度が求められるので、診断システムのコストの増加につながる。
【0087】
それに対して、SoC110の高速テストの周波数が低いような場合は、
図11に示すように、コネクタなどの接続部品をバーンインボード100の基板上に実装し、比較的高いコンタクト精度を要求しないようなコネクタ接続構造にすることも可能である。
【0088】
(バーンインボード診断の並列動作例)
図12は、実施の形態に係る診断システムにおいて、複数のSoC110_1~SoC110_2のバーンインソケット130_1~130_2側のピンの電気量を並列的に測定する例を示している。
【0089】
図12に示す例では、SoC110_1に対応する計測器端子120_1に対して、計測器300_1が接続されたコンタクトユニット400_1を接続して、SoC110_1のバーンインソケット130_1側のピンの電気量を測定する。同様に、SoC110_2に対応する計測器端子120_2に対して、計測器300_2が接続されたコンタクトユニット400_2を接続して、SoC110_2のバーンインソケット130_2側のピンの電気量を測定する。これにより、複数のSoC110_1~SoC110_2のバーンインソケット130_1~130_2側のピンの電気量を並列的に測定することができる。
【0090】
複数の診断対象SoC110_1~SoC110_2を切り替えて診断する場合、シーケンシャルに測定を行うと、テスト時間が増加することが考えられる。
【0091】
そこで、
図12も示したように、複数個の計測器300_1~300_2、コンタクトユニット400_1~400_2、計測器端子120_1~120_2をそれぞれ用意し、バーンインボード100の診断を同時に行うことができる数を増やすことができる。特に、バーンインソケット130側のSoC110のピンは、1対1に接続されているので、並列的な測定に好適である。
【0092】
(ソケットコンタクトの診断例)
実施の形態に係る診断システムでは、バーンインボード100に実装されるバーンインソケット130のコンタクト性能の劣化についても検知可能である。
【0093】
図13に示すように、バーンインソケット130の信号ピン137を特定電位にする電極板136を有することで、バーンインソケット130のコンタクト性能を検査可能である。例えば、バーンインソケット130内に、信号ピン137を接地(GND)にショートするような電極板136を挿入し、対象の信号ピン137をGNDに接続し、コンタクトユニット400経由で計測器300から電圧を印加して、流れる電流を測定することで、バーンインソケット130のコンタクト抵抗を算出することができる。例えば、定期的に実施するバーンインボード診断にて、バーンインソケット130側のコンタクト抵抗の測定を実施すれば、バーンインソケット130の経年劣化具合を検査することができる。尚、
図13において、信号ピン137は、ポゴ(POGO)ピンの例を示している。
【0094】
また、実施の形態に係る診断システムでは、DUTのイニシャルテスト又はマウントチェックが可能である。更に、DUTの試験結果に基づき、DUTの良否を判定することができる。
【0095】
具体的には、
図13に示すように、バーンインボード100に実装されたDUTのイニシャル測定やマウントチェック(バーンインソケット130にDUTが正しく装填されたかを確認するテスト)も、コンタクトユニット400経由で計測器300から可能となる。
【0096】
例えば、バーンイン装置200側からバーンイン端子101を介してDUTのマウントチェックを実行しようとしても、バーンイン装置200側からバーンインソケット130に対する電気的な接続経路がないため、チェック不能である。また、コンタクトユニット400や計測器300を用いずにSoC110の性能診断を行う場合、バーンインソケット130側からSoC110に対し、高速テストを実施することも可能だが、診断経路にSoC110とバーンインソケット130とが含まれるため、FAILした場合、SoC110とバーンインソケット130とのどちらが性能を劣化させているのかを判別することができない。
【0097】
それに対して、実施の形態によれば、バーンインボード100に計測器300を接続可能であるので、DUTをバーンインソケット130に挿入した状態で、DUTのDC不良測定やDUTの挿入良否の診断を、バーンインボード100をバーンイン装置200にセットする前に診断可能となる。
【0098】
(リレー回路)
図14は、実施の形態に係る診断システムにおける、コンタクトユニット400に備えられるリレー回路410の例を示している。
【0099】
リレー回路410は、コンタクトユニット400内に設けられる。コネクタ420の直後にリレー回路410が配置されていて、計測器300に接続するケーブルと計測器端子120側との接続を切り替えることが可能である。
【0100】
リレー回路410の制御は、計測器300がテスタ等であれば計測器300側から実行可能であるが、計測器300側から制御できない場合は、コンタクトユニット400が計測器端子120にコンタクトされていれば、バーンイン装置200からバーンインボード100経由で制御することもできる。
【0101】
(実施の形態における作用効果)
本実施の形態によれば、以下のような作用効果を有する。
【0102】
バーンインボード100に搭載されたSoC110の診断が可能となる。バーンインボード100に搭載された複数のSoC110の診断は、逐次的に且つ段階的に可能となる。
【0103】
特に、SoC搭載バーンインボード100の基板上のSoC110の直近に、電気的検査が可能な計測器300を接続可能な構成を備えており、計測器300によって、SoC110のみの電気量を正確に測定することができる。
【0104】
また、複数のSoC110の制御・データ線がシェアされていても、個々のSoC110を電気的に分離する構成を備えており、個別のSoC110の電気量を正確に測定することができ、SoC110の機能を正確に診断することができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0106】
尚、
図5に示した処理動作を、コンピュータに実行させる命令として、コンピュータプログラムに記述することもできる。コンピュータプログラムは、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納され、実施の形態に係るバーンインボードの診断システムに用いられる。
【0107】
また、本実施の形態に係る診断システムは、DUTをバーンインソケット130のバーンインソケット入出力端子135に挿抜する挿抜装置を備え、バーンインソケット入出力端子135は、DUTをバーンインソケット入出力端子135に挿抜する挿抜装置に接続可能である。
【0108】
本実施の形態では、例えば、次の構成又は態様を採用しても良い。
【0109】
(第101構成)
試験対象デバイス(DUT)と、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路(SoC)とが実装される試験ボード(BIボード)であって、
前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御とが可能な第1の測定装置(バーンイン装置)を接続するための第1の入出力端子と、
前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定可能な第2の測定装置(計測器)を接続するための第2の入出力端子(計測器端子)と、
前記第2の入出力端子を介して前記試験ボード上に実装され、前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットと
を備える、試験ボード。
【0110】
(第102構成)
前記第2の入出力端子は、前記試験ボードの基板表面上に実装され、前記テスト実行可能な集積回路の実装ピンと電気的に接続された金属端子を備える、第101構成に記載の試験ボード。
【0111】
(第103構成)
前記実装ピンは、前記テスト実行可能な集積回路の全ピンを備える、第102構成に記載の試験ボード。
【0112】
(第104構成)
前記試験ボードの基板表面上に実装され、前記テスト実行可能な集積回路を接続する第3の入出力端子と、
を備える、第101構成に記載の試験ボード。
【0113】
(第105構成)
前記テスト実行可能な集積回路の実装ピンは、トライステートバッファに接続される、第101構成に記載の試験ボード。
【0114】
(第106構成)
前記コンタクトユニットは、前記テスト実行可能な集積回路の全ピンと前記第2の測定装置を接続又は分離可能である、第101構成に記載の試験ボード。
【0115】
(第107構成)
前記テスト実行可能な集積回路を電気的に検査可能である、第101構成に記載の試験ボード。
【0116】
(第108構成)
前記試験ボード上に実装される複数のテスト実行可能な集積回路を電気的に同時検査可能である、第101構成に記載の試験ボード。
【0117】
(第109構成)
前記第3の入出力端子の各ピンを特定電位にする電極を有し、前記第3の入出力端子のコンタクト性能を検査可能である、第104構成に記載の試験ボード。
【0118】
(第110構成)
前記第3の入出力端子は、
前記試験対象デバイスを前記第3の入出力端子に挿抜する挿抜装置に接続可能である、第104構成に記載の試験ボード。
【0119】
(第111構成)
前記試験対象デバイスのイニシャルテスト又は、マウントチェックが可能である、第110構成に記載の試験ボード。
【0120】
(第112構成)
前記テスト実行可能な集積回路は、前記試験対象デバイスに対応して前記試験ボードに実装される、第101構成に記載の試験ボード。
【0121】
(第113構成)
前記試験対象デバイスの試験結果に基づき、前記試験対象デバイスの良否の判定が可能である、第101構成に記載の試験ボード。
【0122】
(第114構成)
試験対象デバイス(DUT)が実装される試験ボード(BIボード)と、
前記試験ボードに実装され、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路(SoC)と、
前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御とが可能な第1の測定装置(バーンイン装置)と、
前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定可能な第2の測定装置(計測器)と、
前記試験ボード上に実装され、前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットと
を備える、バーンインボードの診断システム。
【0123】
(第115構成)
前記試験ボードは、
前記第1の測定装置を接続するための第1の入出力端子と、
前記第2の測定装置を接続するための第2の入出力端子と
を備え、
前記第2の入出力端子は、前記試験ボードの基板表面上に実装され、前記テスト実行可能な集積回路の実装ピンと電気的に接続された金属端子を備える、第114構成に記載の診断システム。
【0124】
(第116構成)
前記実装ピンは、前記テスト実行可能な集積回路の全ピンを備える、第114構成に記載の診断システム。
【0125】
(第117構成)
前記試験ボードの基板表面上に実装され、前記テスト実行可能な集積回路を接続する第3の入出力端子と、
を備える、第114構成に記載の診断システム。
【0126】
(第118構成)
前記テスト実行可能な集積回路の実装ピンは、トライステートバッファに接続される、第114構成に記載の診断システム。
【0127】
(第119構成)
試験対象デバイス(DUT)と、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路(SoC)とが実装される試験ボード(BIボード)の診断方法であって、
前記試験ボード(BIボード)を第1の測定装置(バーンイン装置)に接続するステップと、
前記第1の測定装置(バーンイン装置)により、前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御を実施するステップと、
第2の測定装置(計測器)により、前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定するステップと、
前記試験ボード上に前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットを実装するステップと
を含む、試験ボードの診断方法。
【0128】
(第120構成)
試験対象デバイス(DUT)と、前記試験対象デバイスの試験を実施するテスト実行可能な集積回路(SoC)とが実装される試験ボード(BIボード)の診断を実施する診断システムに用いられる、コンピュータにより実行可能な診断プログラムであって、
前記試験ボードを第1の測定装置(バーンイン装置)に接続するステップと、
前記第1の測定装置(バーンイン装置)により、前記試験ボードへの電源供給と前記テスト実行可能な集積回路の制御を実施するステップと、
第2の測定装置(計測器)により、前記テスト実行可能な集積回路の電気的特性を測定するステップと、
前記試験ボード上に前記第2の測定装置を電気的接続可能とするコンタクトユニットを実装するステップと
を前記コンピュータに実行させる、診断プログラム。
【符号の説明】
【0129】
100…バーンインボード
101…バーンイン端子
110、110_1、110_2、110_n…テスト実行可能な集積回路
115、115_1、115_2…トライステートバッファ
120、120_1、120_2、120_n…計測器端子
121…第1金属端子群
122…第2金属端子群
123…ピンパッド
124…メスコネクタ
125…金属端子
130、130_1、130_2、130_n…バーンインソケット
135、135_1、135_2、135_n…バーンインソケット入出力端子
141、142…配線群
143、144…ピン群
200…バーンイン装置
210…電源部
220、310…制御部
230…駆動部
240、320…測定部
300…計測器
321…電流計
322…電圧計
400…コンタクトユニット
410…リレー回路
420…コネクタ
421…スプリング付きピンコネクタ
422…オスコネクタ