(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034775
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 69/02 20060101AFI20240306BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A01D69/02
A01D41/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139247
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AG02
2B074BA19
2B074DA01
2B074DA02
2B074DA03
2B074DE03
2B074GJ07
2B076AA03
2B076DA05
2B076DA19
(57)【要約】
【課題】本発明は、エンジンで駆動走行するコンバインにおいて、一部の機能装置を電動モータで駆動することでエンジンを小型化し、各機能装置への動力伝動機構を簡略にして、故障が少なく機体を軽量化して燃料消費の少ない電動化コンバインとすることを課題とする。
【解決手段】機体フレーム1のエンジンルーム6に搭載したエンジンから動力伝動機構を介して走行装置2と脱穀装置4を駆動し、機体フレーム1から前方に向けて昇降可能に設ける刈取前処理装置3を電動モータ46で駆動するコンバインとする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)のエンジンルーム(6)に搭載したエンジンから動力伝動機構を介して走行装置(2)と脱穀装置(4)を駆動し、機体フレーム(1)から前方に向けて昇降可能に設ける刈取前処理装置(3)を電動モータ(46)で駆動するコンバイン。
【請求項2】
機体フレーム(1)から前下方に設ける刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下方空間で機体フレーム(1)にバッテリー(48)を搭載し、フィーダハウス(3D)の機体側への取付部近傍に電動モータ(46)を装着し、該電動モータ(46)で刈取前処理装置(3)を駆動したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
キャビン(59)の上部にソーラーパネル(60)を搭載し、該ソーラーパネル(60)で発生する電力をバッテリー(48)に充電することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
刈取前処理装置(3)の搬送装置(3A)の内底面に摩擦発電帯(49)を設け、摩擦発電帯(49)で発生する電力をバッテリー(48)に充電することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの一部機能装置を電動モータで駆動する電動化コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、特開2020―198818号公報に記載されているように、クローラ走行装置で走行する走行車体に、圃場に植生する穀稈を刈り取る刈取装置と刈取穀稈を機体上に設ける脱穀装置に送り上げる搬送装置と刈取穀稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀選別装置等の機能装置と穀粒を溜めるグレンタンクを搭載して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインの走行車体にはエンジンが搭載され、このエンジンで刈取装置と搬送装置と脱穀選別装置とグレンタンクに溜まった穀粒を機外に排出する穀粒排出オーガの全てが駆動されているために、エンジンが出力の大きな大型なものとなり、刈取装置や脱穀選別装置等の機能装置への動力伝動機構が複雑になっている。
【0005】
本発明は、エンジンで駆動走行するコンバインにおいて、一部の機能装置を電動モータで駆動することでエンジンを小型化し、各機能装置への動力伝動機構を簡略にして、故障が少なく機体を軽量化出来て燃料消費の少ないコンバインとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、機体フレーム1のエンジンルーム6に搭載したエンジンから動力伝動機構を介して走行装置2と脱穀装置4を駆動し、機体フレーム1から前方に向けて昇降可能に設ける刈取前処理装置3を電動モータ46で駆動するコンバイとする。
【0008】
請求項2の発明は、機体フレーム1から前下方に設ける刈取前処理装置3のフィーダハウス3Dの下方空間で機体フレーム1にバッテリー48を搭載し、フィーダハウス3Dの機体側への取付部近傍に電動モータ46を装着し、該電動モータ46で刈取前処理装置3を駆動したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとする。
【0009】
請求項3の発明は、脱穀装置4の上部にソーラーパネル60を搭載し、該ソーラーパネル60で発生する電力をバッテリー48に充電することを特徴とする請求項1に記載のコンバインとする。
【0010】
請求項4の発明は、刈取前処理装置3の搬送装置3Aの内底面に摩擦発電帯49を設け、摩擦発電帯49で発生する電力をバッテリーに48に充電することを特徴とする請求項1に記載のコンバインとする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明で、強力な駆動力を要する走行装置2と脱穀装置4がエンジンの動力で駆動され、比較的軽い駆動力で機能する刈取前処理装置3が電動モータ46の動力で駆動されることで、それぞれの動力伝動機構が簡略化され、エンジンを高出力の大型なものにする必要が無く、燃料消費を低減出来る。
【0012】
請求項2の発明で、機体フレーム1上の刈取前処理装置3のフィーダハウス3Dの下方空間で機体フレーム1にバッテリー48を搭載することで、機体フレーム1から外部にバッテリー48が張り出すことなくコンバインの機体が小型化できる。
【0013】
請求項3の発明で、晴天下で収穫作業を行うコンバインは、キャビン59の上面に設けるソーラーパネル60で良く発電し、その電力がバッテリー48を介して電動モータ46に供給され、エンジンの燃料消費を少なく出来る。
【0014】
請求項4の発明で、刈取前処理装置3で刈り取られた穀稈が搬送装置3A内を脱穀装置4に送られる間に摩擦発電帯49を摺動することで発電され、その電力がバッテリー48を介して電動モータ46に供給され、エンジンの燃料消費を少なく出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態にかかるコンバインの正面図である。
【
図5】同コンバインの刈取駆動部の伝動線図である。
【
図6】同コンバインの操作部の一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例に示すコンバインは、汎用コンバインで、まず、その実施例の全体構成を示し、その後、電動化コンバインの概要を説明する。
【0017】
汎用コンバインは、
図1~3に示すように、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。操縦部5を囲むキャビン59の天板上にソーラーパネル60を設け、日光で発電する電力をバッテリー48に充電する。なお、ソーラーパネルはグレンタンク7の天板上やフィーダハウス3Dの天板上にも設けても良い。
【0018】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。前記エンジンから走行装置2と脱穀装置4と排出オーガ8に動力伝動機構で駆動力が伝動される。
【0019】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。刈取前処理装置3は、電動モータ46から動力伝動機構で伝動される動力で駆動される。
【0020】
図4は、本発明の電動化したコンバインを示し、走行装置2と脱穀装置4はエンジンからの動力を駆動軸や伝動ベルトからなる動力伝動機構を介して駆動・伝動している。
【0021】
脱穀装置4の前側で機体フレーム1に電動モータ46を装着し、刈取駆動部47を介して搬送装置3Aや刈刃装置3Bやオーガ装置3C及びフィーダハウス3Dからなる刈取前処理装置3を駆動する。フィーダハウス3Dの下部で機体フレーム1上にバッテリー48を搭載し、電動モータ46に電力を供給する。
【0022】
なお、操縦部5を囲むキャビン59の天板上や脱穀装置4の天板上やグレンタンク7の天板上に設けるソーラーパネル60で発電した電力をバッテリー48に充電して、電動モータ46を駆動するようにするとコンバインの燃料消費を低減できる。
【0023】
また、フィーダハウス3Dや搬送装置3A内や脱穀装置4の扱網に摩擦発電帯49を張り付けて送られる穀稈や脱穀処理物との摩擦による発電電力をバッテリー48に蓄えて利用することも考えられる。
【0024】
図5は前述した刈取駆動部47の詳細図を示している。符号50は電路情報を計測・表示・伝送する計測表示ユニットと遮断器を一体化した遮断器(ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器・漏電アラーム遮断器)である。バッテリー48からの電力は遮断器50を介して電動モータ46に供給される構成としている。
【0025】
電動モータ46の出力軸46aからフィーダハウス3D上部の刈取伝動軸51を駆動する構成としている。
【0026】
フィーダハウス3Dの上部に電装品を設けているので、埃などからの影響を少なくできる。
【0027】
バッテリー48には外部電源接続部52が装備されている。
【0028】
図6はキャビン59内に装備している操作部の一部の平面図を示している。シート53の左側方に配置されているサイドパネル54には主変速レバー55が配置されており、この主変速レバー55の近くに前記電動モータ46の入切スイッチ56と、電動モータ46の正逆転速度可変ダイヤル57を設ける構成としている。
【0029】
これにより、刈取前処理装置3の詰まり解消が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取前処理装置
3A 搬送装置
3D フィーダハウス
4 脱穀装置
6 エンジンルーム
46 電動モータ
48 バッテリー
49 摩擦発電帯
59 キャビン
60 ソーラーパネル