IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日機装株式会社の特許一覧

特開2024-34780積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法
<>
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図1
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図2
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図3
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図4
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図5
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図6
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図7
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図8
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図9
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図10
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図11
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図12
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図13
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図14
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図15
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図16
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図17
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図18
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図19
  • 特開-積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034780
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 41/00 20060101AFI20240306BHJP
   B28B 11/00 20060101ALI20240306BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20240306BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B32B41/00
B28B11/00
H01G13/00 331D
H01G4/30 311F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139254
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】平川 翔太
【テーマコード(参考)】
4F100
4G055
5E082
【Fターム(参考)】
4F100AD00
4F100DC11
4F100EK03
4F100EK13
4G055AA08
4G055AC09
4G055BA22
5E082AB03
5E082FF05
5E082FG26
5E082LL02
5E082MM21
(57)【要約】
【課題】被積層体の積層ごとの積層状態を監視可能な積層装置および積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る積層装置1,1A~1Cは、複数のシート状の被積層体Sを積層する積層装置である。積層装置は、被積層体が積層される積層面7aを有する積層台7と、被積層体を積層台へ搬送する搬送装置6と、積層台に積層されている被積層体により構成される中間積層体ILにおいて、各被積層体に共通して形成されている貫通孔Saを、中間積層体の上方から撮像する撮像装置82と、撮像装置に撮像された貫通孔の撮像画像に基づいて、中間積層体における被積層体の積層状態を監視する状態監視部214と、を有してなる。撮像装置82は、積層台7に対して、積層面に平行な方向に相対的に移動可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート状の被積層体を積層する積層装置であって、
前記被積層体が積層される積層面を有する積層台と、
前記被積層体を前記積層台へ搬送する搬送装置と、
前記積層台に積層されている前記被積層体により構成される中間積層体において、各被積層体に共通して形成されている貫通孔を、前記中間積層体の上方から撮像する撮像装置と、
前記撮像装置に撮像された前記貫通孔の撮像画像に基づいて、前記中間積層体における前記被積層体の積層状態を監視する状態監視部と、
を有してなり、
前記撮像装置は、前記積層台に対して、前記積層面に平行な方向に相対的に移動可能に構成される、
積層装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記搬送装置に取り付けられ、前記搬送装置と共に移動する、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記被積層体を吸着保持する保持部材を備え、
前記撮像装置は、前記保持部材に取り付けられ、前記保持部材から前記搬送装置の搬送方向における進行方向側に突出して配置される、
請求項2に記載の積層装置。
【請求項4】
前記保持部材に取り付けられ、前記撮像装置を前記積層面と平行、かつ、前記搬送方向に垂直な方向に移動させる撮像移動装置を有してなる、
請求項3に記載の積層装置。
【請求項5】
前記被積層体が前記積層台に積層されるとき、前記撮像装置は、前記積層台の上方に配置され、
前記被積層体が前記積層台に積層されないとき、前記撮像装置または前記積層台は、前記積層面に平行な方向に移動可能に構成される、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項6】
前記状態監視部は、
前記撮像画像に撮像されている前記貫通孔のうち、前記中間積層体を貫通している貫通領域を抽出する領域抽出部と、
抽出された前記貫通領域に基づいて、前記中間積層体を構成する前記被積層体の積層ずれ量を算出する積層ずれ量算出部と、
を備える、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層装置。
【請求項7】
前記状態監視部は、抽出された前記貫通領域を挟み込むように前記貫通領域に外接する相互に平行な一対の仮想平行線を生成し、一対の前記仮想平行線の間の間隔を、前記貫通領域と前記仮想平行線との相対角度を変えながら所定角度ごとに計測する間隔計測部を備え、
前記積層ずれ量算出部は、前記貫通領域において計測された前記間隔に基づいて、前記被積層体の前記積層ずれ量を算出する、
請求項6に記載の積層装置。
【請求項8】
前記状態監視部は、計測された前記間隔に基づいて、前記中間積層体を構成する複数の前記被積層体のうち、最後に積層された前記被積層体の積層ずれ方向を特定する積層ずれ方向特定部を備える、
請求項7に記載の積層装置。
【請求項9】
シート状の被積層体が積層される積層面を有する積層台と、
前記被積層体を前記積層台へ搬送する搬送装置と、
前記積層台に積層されている前記被積層体により構成される中間積層体において、各被積層体に共通して形成されている貫通孔を上方から撮像する撮像装置と、
前記中間積層体における前記被積層体の積層状態を監視する状態監視部と、
を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、
前記撮像装置が、前記積層台に対して、前記積層面に平行な方向に相対的に移動して撮像画像を撮像する撮像ステップと、
前記状態監視部が、前記撮像画像に基づいて、前記積層状態を監視する積層状態監視ステップと、
を含む、
積層体の製造方法。
【請求項10】
貫通孔を有する複数のシート状の被積層体が積層されて構成される中間積層体の積層状態を監視する積層状態監視方法であって、
プロセッサが、前記中間積層体の上方から撮像された撮像画像に撮像されている前記貫通孔のうち、前記中間積層体を貫通している貫通領域を抽出する抽出ステップと、
前記プロセッサが、抽出された前記貫通領域を挟み込むように前記貫通領域に外接する相互に平行な一対の仮想平行線を生成する生成ステップと、
前記プロセッサが、一対の前記仮想平行線の間の間隔を、前記貫通領域と前記仮想平行線との相対角度を変えながら所定角度ごとに計測する計測ステップと、
前記プロセッサが、前記貫通領域において計測された前記間隔に基づいて、前記被積層体の積層ずれ量を算出する算出ステップと、
を含む、
積層状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層構造を有する積層セラミック電子部品(例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitors)、チップインダクタ、低温同時焼成セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)など)の製造工程では、内部電極が適宜印刷された複数のセラミックグリーンシート同士が積層されて、セラミックグリーンシートの積層体が形成される。この積層体が加熱・圧着され、所定のサイズに切断されることにより、積層体がチップ化される。次いで、チップ化された積層体が焼成され、焼成体の表面に外部電極が形成され、積層セラミック電子部品が完成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように、複数のセラミックグリーンシートが積層された積層体から多数の積層セラミック電子部品が製造されている。近年、積層セラミック電子部品の小型化が進み、1つの積層体から製造される積層セラミック電子部品の数は、増大している。そのため、内部電極は微細化され、高精度なセラミックグリーンシートの積層が必要となっている。また、セラミックグリーンシートの積層ずれの許容値は小さくなり、セラミックグリーンシートの積層状態(積層ずれ量、積層ずれ方向など)の監視の重要性は高まっている。
【0004】
一般的に、セラミックグリーンシートは、アライメント台において位置を調整された後、保持部材(ホルダ)に吸着・搬送され、積層台において積層される。このとき、保持部材が備えるガイドピンが、アライメント台および積層台それぞれが備えるガイド孔に挿入されることにより、搬送ホルダは、アライメント台および積層台と機械的に位置合わせされる(例えば、特許文献2参照)。そして、セラミックグリーンシートの積層完了後に、積層体の積層ずれの検査が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-122068号公報
【特許文献2】特開2006-286670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、積層途中で許容値を超える積層ずれが生じていた場合、積層ずれが生じた層までの再回収および再積層は技術的に難しく、その積層体は廃棄せざるを得ない。そのため、セラミックグリーンシートの積層ごとの積層状態(積層ずれ量、ずれの方向など)を監視する手法が望まれている。
【0007】
本発明は、被積層体の積層ごとの積層状態を監視可能な積層装置、積層体の製造方法および積層状態監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様における積層装置は、複数のシート状の被積層体を積層する積層装置であって、前記被積層体が積層される積層面を有する積層台と、前記被積層体を前記積層台へ搬送する搬送装置と、前記積層台に積層されている前記被積層体により構成される中間積層体において、各被積層体に共通して形成されている貫通孔を、前記中間積層体の上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置に撮像された前記貫通孔の撮像画像に基づいて、前記中間積層体における前記被積層体の積層状態を監視する状態監視部と、を有してなり、前記撮像装置は、前記積層台に対して、前記積層面に平行な方向に相対的に移動可能に構成される、積層装置である。
【0009】
本発明の一実施形態における積層体の製造方法は、シート状の被積層体が積層される積層面を有する積層台と、前記被積層体を前記積層台へ搬送する搬送装置と、前記積層台に積層されている複数の前記被積層体により構成される中間積層体において、各被積層体に共通して形成されている貫通孔を上方から撮像する撮像装置と、前記中間積層体における前記被積層体の積層状態を監視する状態監視部と、を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、前記撮像装置が、前記積層台に対して、前記積層面に平行な方向に相対的に移動して前記撮像画像を撮像する撮像ステップと、前記状態監視部が、前記撮像画像に基づいて、前記積層状態を監視する積層状態監視ステップと、を含む、積層体の製造方法である。
【0010】
本装置の一実施形態における積層状態監視方法は、貫通孔を有する複数のシート状の被積層体が積層されて構成される中間積層体の積層状態を監視する積層状態監視方法であって、プロセッサが、前記中間積層体の上方から撮像された撮像画像に撮像されている前記貫通孔のうち、前記中間積層体を貫通している貫通領域を抽出するステップと、前記プロセッサが、抽出された前記貫通領域を挟み込むように前記貫通領域に外接する相互に平行な一対の仮想平行線を生成するステップと、前記プロセッサが、一対の前記仮想平行線の間の間隔を、前記貫通領域と前記仮想平行線との相対角度を変えながら所定角度ごとに計測するステップと、前記プロセッサが、前記貫通領域において計測された前記間隔に基づいて、前記被積層体の積層ずれ量を算出するステップと、を含む、積層状態監視方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被積層体の積層ごとの積層状態を監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る積層装置の実施の形態を示す模式斜視図である。
図2図1の積層装置の模式側面図である。
図3図1の積層装置で積層されるセラミックグリーンシートの模式平面図である。
図4図1の積層装置の機能ブロック図である。
図5図1の積層装置が備える撮像装置に撮像される貫通孔の一例を示す模式図であり、(a)は積層ずれが生じていない状態の模式平面図であり、(b)は(a)のAA線における模式断面図であり、(c)は積層ずれが生じている状態の模式平面図であり、(d)は(c)のBB線における模式断面図である。
図6図1の積層装置が備える間隔計測部による間隔の計測方法を説明する模式図である。
図7図6の間隔計測部による間隔の別の計測方法を説明する模式図である。
図8図1の積層装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9図1の積層装置の動作過程を経時的に示す模式側面図である。
図10図1の積層装置の動作過程を経時的に示す模式側面図である。
図11図1の積層装置の動作過程を経時的に示す模式側面図である。
図12図1の積層装置の動作過程を経時的に示す模式側面図である。
図13図1の積層装置の動作過程を経時的に示す模式側面図である。
図14図1の積層装置の動作過程を示す模式平面図であり、(a)は積層装置が備える保持部材が積層装置が備える積層台の上方に上昇した状態を示し、(b)は積層装置が備える撮像装置が第1撮像位置に位置している状態を示し、(c)は撮像装置が第2撮像位置に位置している状態を示している。
図15図8の動作に含まれる積層状態監視処理の一例を示すフローチャートである。
図16図15の積層状態監視処理に含まれる積層ずれ方向を特定する処理の一例を示す模式図である。
図17図1の積層装置の実施例として、各ワークにおける回転角度と間隔との関係を示すグラフである。
図18】第1変形例に係る積層装置を示す模式側面図である。
図19】第2変形例に係る積層装置を示す模式側面図である。
図20】第3変形例に係る積層装置を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層装置、積層体の製造方法(以下「本製法」という。)、および積層状態監視方法(以下「本監視方法」という。)の実施の形態について説明する。各図において、同一の部材および要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に図示されている比率に限定されない。
【0014】
以下の説明および図面において、本発明に係る積層装置を説明するための方向軸として、空間において相互に直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸が、適宜用いられる。X軸およびY軸は、水平面上で相互に直交する軸である。Z軸は、鉛直方向に沿う、X軸およびY軸と直交する軸である。
【0015】
●積層装置●
先ず、本発明に係る積層装置の実施の形態について説明する。
【0016】
●積層装置の構成
図1は、本発明に係る積層装置の実施の形態を示す模式斜視図である。
図2は、積層装置1をY軸方向から見た模式側面図である。
【0017】
積層装置1は、セラミックグリーンシート(以下「シートS」という。)を積層して、シートSの積層体Lを製造する。積層装置1は、例えば、多層構造を有する積層セラミック電子部品の製造工程において、積層体Lを製造するために用いられている。積層装置1は、制御装置2、載置台3、第1搬送装置4、アライメント装置5、第2搬送装置6、積層台7、および撮像ユニット8を有してなる。以下の説明において、載置台3、アライメント装置5、および積層台7は、X軸方向に並んで配置されている。
【0018】
「積層セラミック電子部品」は、例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitors)、チップインダクタ、低温同時焼成セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)などのセラミックの多層構造を有する電子部品である。
【0019】
図3は、シートSの模式平面図である。
【0020】
「シートS」は、積層セラミック電子部品の各層(誘電体層)となるシート状の部材である。シートSは、本発明における被積層体の一例である。シートSの4隅(各角部)には、円形の貫通孔Saが配置されている。すなわち、貫通孔Saは、各シートSに共通して形成されている。また、シートSには、積層セラミック電子部品の内部電極(不図示)が適宜印刷されている。
【0021】
なお、本発明において、シートSには、積層体LにおけるシートSの位置に応じて、内部電極が印刷されていなくてもよい。
【0022】
また、本発明において、貫通孔Saの配置は、シートSの4隅に限定されない。すなわち、例えば、貫通孔Saは、シートSの各辺の中央部付近に配置されていてもよい。また、例えば、貫通孔Saは、シートSの4隅のうち、シートSの対角となる一対の角部のみに配置されていてもよい。さらに、例えば、1の貫通孔Saが、シートSの任意の位置(例えば、端部)に配置されていてもよい。さらにまた、例えば、複数の貫通孔Saが、X軸方向またはY軸方向のみに1列に並んで配置されていてもよい。
【0023】
さらに、本発明において、貫通孔Saの形状は、後述される積層状態監視処理(S5)が実行可能な形状であればよく、円形に限定されない。すなわち、例えば、貫通孔Saの形状は、正六面体や正八面体などの多角形でもよい。
【0024】
図1および図2に戻る。
「積層体L」は、複数のシートSが積層されることにより形成される、シートSの集合体である。積層体Lは、本発明に係る積層体の一例である。積層体Lの構成は、公知のセラミックグリーンシートの積層体の構成と共通する。そのため、積層体Lの構成の詳細は、省略される。
【0025】
図4は、積層装置1の機能ブロック図である。
【0026】
制御装置2は、積層装置1全体の動作を制御している。制御装置2は、例えば、1以上のPLC(Programmable Logic Controller)により構成されている。制御装置2は、制御部21および記憶部22を備える。
【0027】
制御部21は、第1搬送装置4、アライメント装置5、第2搬送装置6、および撮像ユニット8の動作を制御する。制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)21aなどのプロセッサ、CPU21aの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)21bなどの揮発性メモリ、および、制御プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)21cなどの不揮発性メモリ、により構成されている。制御部21は、位置調整部211、搬送制御部212、撮像制御部213、および状態監視部214を備える。
【0028】
なお、本発明において、制御装置2を構成する機器は、PLCに限定されない。すなわち、例えば、制御装置2は、パーソナルコンピュータ、マイクロコントローラ、または、これらおよびPLCの組合せにより構成されていてもよい。
【0029】
また、本発明において、制御装置2は、第1搬送装置4、アライメント装置5、第2搬送装置6、および撮像ユニット8それぞれの動作を個別に制御する複数の制御機器により構成されていてもよい。
【0030】
位置調整部211は、アライメント装置5の動作を制御して、アライメント装置5に搬送されたシートSの位置を調整する。位置調整部211の具体的な動作は、後述される。
【0031】
搬送制御部212は、第1搬送装置4および第2搬送装置6の動作を制御する。搬送制御部212の具体的な動作は、後述される。
【0032】
撮像制御部213は、撮像ユニット8の動作を制御する。撮像制御部213の具体的な動作は、後述される。
【0033】
状態監視部214は、撮像ユニット8に撮像された貫通孔Saの撮像画像に基づいて、中間積層体ILにおけるシートSの積層状態を監視する。状態監視部214は、領域抽出部215、間隔計測部216、積層ずれ量算出部217、積層ずれ方向特定部218、および積層ずれ判定部219を備える。
【0034】
「中間積層体IL」は、積層台7に積層予定のシートSのうち、積層台7に積層された一部のシートSにより構成される積層体である。すなわち、中間積層体ILは、積層体Lの積層途中の状態(例えば、100層の積層であれば、1層~99層のシートSが積層された状態)である。説明の便宜上、中間積層体ILには、最下層のシートSのみが積層台7に載置されている状態も含まれる。
【0035】
「積層状態」は、上方視において、最後に積層されたシートS(最上層のシートS)の他のシートSに対する積層ずれの状態(例えば、積層ずれ量、積層ずれ方向、積層ずれ方向に沿う積層ずれ方向軸)である。
【0036】
領域抽出部215は、撮像画像に撮像される貫通孔Saのうち、後述される貫通領域Sbを抽出する。領域抽出部215の具体的な動作は、後述される。
【0037】
図5は、撮像画像に撮像されている貫通孔Saの一例を示す模式図であり、(a)は積層ずれが生じていない状態の模式平面図であり、(b)は(a)のAA線における模式断面図であり、(c)は積層ずれが生じている状態の模式平面図であり、(d)は(c)のBB線における模式断面図である。
同図では、積層ずれの状態の理解を容易にするため、シートSがリング状に表されている。また、同図(a)(c)では、説明の便宜上、貫通領域Sbはグレーに着色されている(後述される図6図7および図16も同じ。)。
【0038】
「貫通領域Sb」は、貫通孔Saのうち、上方視において、中間積層体ILの上端から下端までZ軸方向に中間積層体ILを貫通している領域(図5(a)(c)にグレーに着色された領域)である。貫通領域Sbの形状は、各貫通孔Saの内周面により確定される。そのため、例えば、貫通領域Sbの形状は、中間積層体ILの直下に配置されている物(例えば、積層台7)のうち、上方から貫通孔Saを介して視認できる部分の形状として特定される。
【0039】
図5(a)(b)に示されているとおり、積層ずれが生じていない状態では、各シートSの貫通孔Saは、X軸方向およびY軸方向にずれることなく、Z軸方向に並んで配置されている。そのため、上方視において、貫通孔Saの全ての領域が貫通領域Sbとなっている。したがって、積層ずれが生じていない状態では、上方視における貫通領域Sbの形状は貫通孔Saの形状と同じであり、変形していない。
【0040】
図5(c)(d)に示されているとおり、積層ずれが生じている状態では、各シートSの貫通孔Saは、X軸方向および/またはY軸方向にずれた状態で、Z軸方向に並んで配置されている。そのため、上方視において、貫通孔Saの一部の領域のみが貫通領域Sbとなっている。したがって、積層ずれが生じている状態では、上方視における貫通領域Sbの形状は、各層の積層ずれ量および積層ずれ方向に応じて変形している。
【0041】
なお、本発明において、貫通孔Saの積層ずれは、各シートSの収縮の差異によっても生じ得る。
【0042】
図4に戻る。
間隔計測部216は、一対の仮想平行線C1,C2(図6参照。以下同じ。)を生成し、一対の仮想平行線C1,C2の間の間隔D(図6参照。以下同じ。)を、貫通領域Sbと仮想平行線C1,C2との相対角度を変えながら所定角度ごとに計測する。「間隔D」は、仮想平行線C1,C2との間の最短距離を意味している。すなわち、例えば、間隔Dは、仮想平行線C1から仮想平行線C2まで延出される、仮想平行線C1.C2に垂直な線分の長さに相当する。間隔計測部216の具体的な動作は、後述される。
【0043】
図6は、間隔計測部216による間隔Dの計測方法を説明する模式図である。
同図は、撮像画像を反時計回りに15°ステップで回転させたときの角度ごとの間隔Dの計測方法を示している。
【0044】
図6に示されているとおり、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを挟み込むように、貫通領域Sbに外接する一対の仮想平行線C1,C2を生成する。仮想平行線C1,C2は、相互に平行している。次いで、間隔計測部216(図4参照。以下同じ。)は、仮想平行線C1,C2の間の間隔Dを計測する。次いで、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを所定角度(図6の例では、15°)、所定方向(図6の例では、反時計回り方向)に回転させる。次いで、間隔計測部216は、仮想平行線C1,C2の生成、間隔Dの計測、および貫通領域Sbの回転、を回転角度が180°になるまで繰り返す。ここで、回転後に生成された仮想平行線C1,C2は、回転前に生成された仮想平行線C1,C2と平行である。したがって、貫通領域Sbは、仮想平行線C1,C2に対して、相対的に回転している。つまり、回転ごとに、貫通領域Sbと仮想平行線C1,C2との相対角度は、所定角度ごとに変えられている。
【0045】
ここで、仮想平行線C1,C2は、貫通領域Sbを挟み込むように貫通領域Sbに外接している。そのため、回転角度が180°のときの間隔Dは、回転角度が0°の時の間隔Dと同じとなる。また、回転角度が180°~360°の範囲における間隔Dの変化は、回転角度が0°~180°の範囲における間隔Dの変化と同じとなる。
【0046】
なお、本発明において、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbに代えて、撮像画像そのものを回転させてもよい。この場合、領域抽出部215は、撮像画像の回転ごとに、貫通領域Sbを抽出していてもよい。
【0047】
また、本発明において、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを時計回り方向に回転させていてもよい。
【0048】
さらに、本発明において、間隔計測部216は、回転ごとに仮想平行線C1,C2を生成せず、最初に生成された仮想平行線C1,C2の位置を回転ごとに変更して間隔Dを計測していてもよい。
【0049】
さらにまた、本発明において、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbに代えて、一対の仮想平行線C1,C2を所定角度回転させてもよい。すなわち、例えば、仮想平行線C1,C2が貫通領域Sbに対して、相対的に回転していてもよい。
【0050】
図7は、間隔計測部216による間隔Dの別の計測方法を説明する模式図である。
同図は、撮像画像を固定し、仮想平行線C1,C2を反時計回りに15°ステップで回転させたときの角度ごとの間隔Dの計測方法を示している。
【0051】
図7に示されているとおり、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを挟み込むように、貫通領域Sbに外接する一対の仮想平行線C1,C2を生成する。次いで、間隔計測部216は、仮想平行線C1,C2の間の間隔Dを計測する。次いで、間隔計測部216は、生成された仮想平行線C1,C2を所定角度(図7の例では、15°)、所定方向(図7の例では、反時計回り方向)に回転させる。次いで、間隔計測部216は、間隔Dの計測、および仮想平行線C1,C2の回転を回転角度が180°になるまで繰り返す。
【0052】
図4に戻る。
積層ずれ量算出部217は、抽出された貫通領域Sbにおいて計測された間隔Dに基づいて、中間積層体ILを構成する複数のシートSのうち、最上層のシートSの積層ずれ量を算出する。積層ずれ量算出部217の具体的な動作は、後述される。
【0053】
積層ずれ方向特定部218は、抽出された貫通領域Sbにおいて計測された間隔Dに基づいて、中間積層体ILを構成する複数のシートSのうち、最上層のシートSの積層ずれ方向を特定する。積層ずれ方向特定部218の具体的な動作は、後述される。
【0054】
積層ずれ判定部219は、算出された積層ずれ量に基づいて、中間積層体ILにおけるシートSの積層ずれが許容値を超えているか否かを判定する。積層ずれ判定部219の具体的な動作は、後述される。
【0055】
図1および図2に戻る。
載置台3は、積層装置1において取り扱われる(積層される)シートSが載置されるステージである。載置台3の形状は、例えば、上方視において矩形状である。載置台3は、例えば、金属製である。
【0056】
第1搬送装置4は、載置台3に載置されているシートSを保持し、保持したシートSを載置台3から後述されるアライメント台52まで搬送する。第1搬送装置4は、移動装置41および保持部材42を備える。
【0057】
移動装置41は、例えば、ガイドレール、ラック・ピニオン機構、およびモータ(例えば、サーボモータ)を備え、保持部材42をX軸方向およびZ軸方向に移動可能に構成されている。
【0058】
保持部材42は、シートSを吸着保持する。保持部材42の形状は、例えば、下方視において矩形状である。保持部材42は、例えば、金属製である。保持部材42は、シートSを吸着保持する保持面である下面42aを備える。同下面42aには複数の吸着孔(不図示)が配置され、各吸着孔は配管(不図示)を介して真空ポンプなどの真空発生器(不図示)に接続されている。各吸着孔内が負圧にされることによりシートSは吸着保持され、各吸着孔内が加圧されることによりシートSの吸着保持は解除される。
【0059】
アライメント装置5は、第2搬送装置6に対するシートSの位置の調整を行う。アライメント装置5は、移動装置51、アライメント台52、およびアライメント用撮像装置53,54,55,56を備える。
【0060】
移動装置51は、例えば、ガイドレール、複数のギア、およびモータ(例えば、サーボモータ)を備え、アライメント台52をX軸方向およびY軸方向に移動可能、かつ、Z軸を回転軸としてアライメント台52を回転可能に構成されている。
【0061】
アライメント台52は、第1搬送装置4により載置台3から搬送されたシートSが載置されるステージである。アライメント台52の形状は、例えば、上方視において矩形状である。アライメント台52は、透光性材料製の透光部52a,52b,52c,52dを備える。透光部52a~52dは、例えば、アライメント台52の4隅(各角部)に配置されている。
【0062】
アライメント用撮像装置53~56は、透光部52a~52dを介して、アライメント台52に載置されたシートSの特徴部(例えば、角部、アライメントマーク、貫通孔Saなど)を撮像する。アライメント用撮像装置53~56それぞれは、例えば、デジタルカメラである。アライメント用撮像装置53~56それぞれは、対応する透光部52a~52dの下方に配置されている。
【0063】
なお、本発明において、アライメント装置5が備えるアライメント用撮像装置53~56の数は「4」に限定されない。すなわち、例えば、アライメント装置5は、アライメント台52の対角の位置に対応する2つのアライメント用撮像装置53,55(54,56)のみを備えていてもよい。この場合、アライメント台52は、アライメント用撮像装置53,55(54,56)に対応する透光部52a,52c(52b、52d)のみを備えていてもよい。
【0064】
第2搬送装置6は、アライメント台52に載置されている位置の調整後のシートSを保持し、保持したシートSをアライメント台52から積層台7まで搬送する。第2搬送装置6は、本発明における搬送装置の一例である。第2搬送装置6の搬送方向はX軸方向であり、搬送方向において、進行方向は後述される保持部材62が積層台7側に移動する方向であり、退行方向は同保持部材62がアライメント台52側に移動する方向である。第2搬送装置6は、移動装置61および保持部材62を備える。
【0065】
移動装置61は、例えば、ガイドレール、ラック・ピニオン機構、およびモータ(例えば、サーボモータ)を備え、保持部材62をX軸方向およびZ軸方向に移動可能に構成されている。
【0066】
保持部材62は、シートSを吸着保持する。保持部材62の形状は、例えば、下方視において矩形状である。保持部材62は、例えば、金属製である。保持部材62は、シートSを吸着保持する保持面である下面62aを備える。同下面62aには複数の吸着孔(不図示)が配置され、各吸着孔は配管(不図示)を介して真空ポンプなどの真空発生器(不図示)に接続されている。各吸着孔内が負圧にされることによりシートSは吸着保持され、各吸着孔内が加圧されることによりシートSの吸着保持は解除される。
【0067】
積層台7は、複数のシートSが積層されるステージである。積層台7の形状は、上方視において矩形状である。積層台7は、例えば、金属製である。積層台7は、X軸方向およびY軸方向に平行で、複数のシートSが積層される積層面である上面7aを備える。
【0068】
撮像ユニット8は、積層台7に載置されている中間積層体ILの貫通孔Saを、中間積層体ILの上方から撮像する。撮像ユニット8は、撮像移動装置81および撮像装置82を備える。
【0069】
撮像移動装置81は、例えば、ガイドレールおよびモータ(例えば、サーボモータ)を備え、撮像装置82をY軸方向に移動可能に構成されている。撮像移動装置81は、保持部材62の上面62bに取り付けられている。
【0070】
撮像装置82は、積層台7に載置されている中間積層体において、各シートSに共通して形成されている貫通孔Saを、中間積層体ILの上方から撮像する。撮像装置82は、例えば、デジタルカメラである。撮像装置82は、撮像移動装置81に取り付けられ、保持部材62から第2搬送装置6の搬送方向(X軸方向)の進行方向側(積層台7側)に突出して配置されている。すなわち、撮像装置82は、撮像移動装置81を介して、保持部材62にY軸方向に移動可能に取り付けられている。
【0071】
●積層装置の動作●
次に、積層装置1の動作(すなわち、本製法および本監視方法)が、以下に説明される。以下の説明において、図1図6は、適宜参照される。また、以下の図9図14において、説明の便宜上、制御装置2の構成の一部が、二点鎖線で図示されている。
【0072】
図8は、積層装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図9図10図11図12、および図13は、積層装置1の動作過程を経時的に示す模式側面図である。
【0073】
先ず、搬送制御部212は、図9および図10に示されているとおり、移動装置41の動作を制御することにより、保持部材42を移動させ、シートSを載置台3からアライメント台52に搬送させる(S1)。具体的には、搬送制御部212は、載置台3に載置されているシートSを保持部材42に吸着保持させ、保持部材42をアライメント台52まで移動させ、シートSをアライメント台52に載置させる。その後、搬送制御部212は、移動装置41の動作を制御することにより、保持部材42をアライメント台52から退避させる。
【0074】
次いで、位置調整部211は、図11に示されているとおり、アライメント台52に載置されているシートSの位置を調整する(S2)。具体的には、位置調整部211は、アライメント用撮像装置53~56にシートSを撮像させる。次いで、位置調整部211は、撮像された撮像画像に基づいて、移動装置51の動作を制御することによりアライメント台52を移動させ、シートSの位置を調整する。このとき、位置調整部211は、例えば、撮像画像と記憶部22に予め記憶されている参照画像とを比較して、シートSの位置ずれ量および角度ずれ量を算出し、位置ずれ量および角度ずれ量に基づいて移動装置51の動作を制御する。
【0075】
次いで、搬送制御部212は、図12および図13に示されているとおり、移動装置61の動作を制御することにより、保持部材62を移動させ、位置の調整後のシートSをアライメント台52から積層台7に搬送させる(S3)。具体的には、搬送制御部212は、アライメント台52に載置されているシートSを保持部材62に吸着保持させ、保持部材62を積層台7まで移動させる。次いで、搬送制御部212は、シートSが1層目のときシートSを上面7aに載置させ、シートSが2層目以降のときシートSを中間積層体ILに積層させる。その後、搬送制御部212は、移動装置61の動作を制御することにより、保持部材62を上昇させる。
【0076】
なお、1層目のシートSと上面7aとの間には、公知の積層シートまたは積層フィルムが配置されていてもよい。
【0077】
図14は、積層装置1の動作過程を示す模式平面図であり、(a)は保持部材62が積層台7の上方に上昇した状態を示し、(b)は撮像装置82が第1撮像位置P1に位置している状態を示し、(c)は撮像装置82が第2撮像位置P2に位置している状態を示している。同図は、説明の便宜上、積層台7およびシートSを透過して表している。
【0078】
次いで、搬送制御部212および撮像制御部213は、移動装置61および撮像移動装置81の動作を制御することにより保持部材62および撮像装置82を移動させて、撮像装置82に状態監視用の撮像画像を撮像させる(S4:撮像ステップ)。具体的には、搬送制御部212および撮像制御部213は、撮像装置82を第1撮像位置P1に移動させて第1画像を撮像させ、次いで、撮像装置82を第2撮像位置P2に移動させて第2画像を撮像させる。このとき、撮像装置82は、保持部材62がX軸方向に移動することにより保持部材62と共にX軸方向に移動し、撮像移動装置81の制御によりY軸方向に移動する。すなわち、撮像装置82は、積層台7(中間積層体IL)に対して、上面7aと平行な方向に相対的に移動する。
【0079】
「第1撮像位置P1」は、中間積層体ILの上方であって、中間積層体ILにおける最上層のシートSが備える貫通孔Saのうち、第2搬送装置6の進行方向側に位置している1の貫通孔Saを撮像装置82が撮像可能な位置である。第1撮像位置P1において、貫通孔Saは、例えば、撮像装置82の画角のほぼ中心に位置している。
【0080】
「第1画像」は、第1撮像位置P1に位置している撮像装置82により撮像された撮像画像である。第1画像には、貫通孔Sa(貫通領域Sb)が撮像されている。
【0081】
「第2撮像位置P2」は、中間積層体ILの上方であって、中間積層体ILにおける最上層のシートSが備える貫通孔Saのうち、第2搬送装置6の退行方向側に位置している1の貫通孔Saを撮像装置82が撮像可能な位置である。本実施の形態では、第2撮像位置P2において撮像される貫通孔Saは、シートSの4隅のうち、第1撮像位置P1において撮像される貫通孔Saが配置されている角部の対角となる角部に配置されている。第2撮像位置P2において、貫通孔Saは、例えば、撮像装置82の画角のほぼ中心に位置している。
【0082】
「第2画像」は、第2撮像位置P2に位置している撮像装置82により撮像された撮像画像である。第2画像には、貫通孔Saが撮像されている。ここで、第1画像および第2画像は中間積層体ILの上方からの照明を用いて撮像されているため、第1画像および第2画像において貫通領域Sbは黒い領域として撮像されている。
【0083】
なお、本発明において、第2撮像位置P2は、第1撮像位置P1から離れていればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、第2撮像位置P2は、第1撮像位置P1において撮像される貫通孔SaとX軸方向またはY軸方向に並ぶ位置に配置されている貫通孔Saが撮像可能な位置でもよい。
【0084】
図8に戻る。
次いで、状態監視部214は、後述される積層状態監視処理(S5)を実行する。
【0085】
次いで、制御部21は、規定数のシートSが積層されたか否かを判定する(S6)。規定数のシートSが積層されていないとき(S6の「N」)、積層装置1の動作は、処理(S1)に戻る。一方、規定数のシートSが積層されているとき(S6の「Y」)、積層装置1の動作は、終了する。
【0086】
●積層状態監視処理
図15は、積層状態監視処理(S5)の一例を示すフローチャートである。
【0087】
「積層状態監視処理(S5)」は、中間積層体ILの貫通孔Saが撮像された撮像画像(第1画像、第2画像)に基づいて、シートSの積層状態(積層ずれ量、積層ずれ方向)を監視する処理である。積層状態監視処理(S5)は、本発明における積層状態監視ステップの一例であり、本監視方法の一例である。
【0088】
先ず、領域抽出部215は、貫通領域Sbを抽出する撮像画像を選択する(S51)。具体的には、例えば、領域抽出部215は、撮像画像の撮像順(第1画像、第2画像の順)に撮像画像を選択する。
【0089】
次いで、領域抽出部215は、例えば、公知の画像処理アルゴリズムを用いて、第1画像から貫通領域Sbを抽出する(S52:抽出ステップ)。
【0090】
次いで、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbに外接する一対の仮想平行線C1,C2を生成して、間隔Dを計測する(S53:生成ステップおよび計測ステップ)。計測された間隔Dは、例えば、対応する回転角度に関連付けられて、記憶部22に記憶される。
【0091】
次いで、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbが所定方向(例えば、時計回り方向)に最大角度(例えば、180°)回転したか否かを判定する(S54)。
【0092】
抽出された貫通領域Sbが最大角度回転していないとき(S54の「N」)、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを所定方向に所定角度(例えば、1°)回転させる(S55)。次いで、積層装置1の動作は、処理(S53)に戻る。すなわち、間隔計測部216は、図6に示されているように、抽出された貫通領域Sbが最大角度回転するまでの間、仮想平行線C1,C2の生成、間隔Dの計測、抽出された貫通領域Sbの回転を繰り返す。
【0093】
一方、抽出された貫通領域Sbが最大角度回転していたとき(S54の「Y」)、積層ずれ量算出部217は、計測された間隔Dに基づいて、最上層のシートSの積層ずれ量を算出する(S56:算出ステップ)。具体的には、例えば、積層ずれ量算出部217は、回転角度ごとの間隔Dのうち、最小値となる間隔D(最小間隔Dmin)を抽出する。次いで、積層ずれ量算出部217は、最小間隔Dminに対応する回転角度を特定する。次いで、積層ずれ量算出部217は、基準間隔Dstdと最小間隔Dminとの差分値を算出する。次いで、積層ずれ量算出部217は、同差分値に基づいて、例えば、予め記憶部22に記憶されている関数やテーブルを用いて積層ずれ量を算出する。ここで、「基準間隔Dstd」は、例えば、1層目のシートSで計測された間隔Dの平均値である。
【0094】
次いで、積層ずれ方向特定部218は、計測された間隔Dに基づいて、最上層のシートSの積層ずれ方向を特定する(S57)。
【0095】
図16は、積層ずれ方向を特定する処理(S57)の一例を示す模式図である。
【0096】
具体的には、例えば、積層ずれ方向特定部218は、仮想平行線C1,C2に直交する方向軸を生成し、同方向軸を回転方向の逆方向(時計回り方向)に、最小間隔Dminに対応する回転角度だけ回転させる。このときの方向軸は、撮像画像(第1画像、第2画像)において、積層ずれの方向に沿う方向軸(積層ずれ方向軸)となる。次いで、積層ずれ方向特定部218は、積層ずれ方向軸に沿う2方向を積層ずれ方向として特定する。
【0097】
なお、本発明において、図7に示されているように、仮想平行線C1,C2が回転する場合、最小間隔Dminとなる仮想平行線C1,C2に直交する方向軸が積層ずれ方向軸となり、積層ずれ方向特定部218は、積層ずれ方向軸に沿う2方向を積層ずれ方向として特定してもよい。
【0098】
図15に戻る。
次いで、制御部21は、未選択の撮像画像の有無を判定する(S58)。未選択の撮像画像が有るとき(S58の「Y」)、積層状態監視処理(S5)は、処理(S51)に戻る。
【0099】
一方、未選択の撮像画像が無いとき(S58の「N」)、積層ずれ判定部219は、算出された積層ずれ量に基づいて、中間積層体ILにおけるシートSの積層ずれ量が許容値を超えるか否かを判定する(S59)。具体的には、例えば、積層ずれ判定部219は、算出された積層ずれ量と所定の閾値(許容値)とを比較し、積層ずれ量が閾値以上のとき積層ずれ量が許容値を超えていると判定し、積層ずれ量が閾値未満のとき積層ずれが許容値以内と判定する。所定の閾値は、例えば、予め積層体Lごとに設定され、記憶部22に記憶されている。
【0100】
積層ずれ量が許容値を超えているとき(S59の「N」)、制御部21は積層装置1の動作を停止し(S60)、積層状態監視処理(S5)は終了する。一方、積層ずれ量が許容値以内のとき(S59の「Y」)、積層状態監視処理(S5)は終了する。
【0101】
なお、本発明において、撮像装置82は、第2搬送装置6がアライメント装置5から積層台7にシートSを搬送している途中に、撮像画像(第1画像、第2画像)を撮像してもよい。すなわち、撮像装置82は、シートSの積層前に撮像画像を撮像してもよい。この場合、積層状態監視処理(S5)は、シートSの積層前に実行される。この構成では、保持部材62に保持されているシートSが無駄になり得るが、シートSの積層ごとの積層状態は監視可能である。
【0102】
また、本発明において、撮像装置82は、シートSの積層前および積層後に撮像画像(第1画像、第2画像)を撮像してもよい。この場合、積層状態監視処理(S5)は、シートSの積層前および積層後に実行される。
【0103】
さらに、本発明において、積層状態監視処理(S5)は、撮像画像が撮像される度に実行されていてもよい。
【0104】
●実施例●
次に、複数の積層状態のワーク(中間積層体IL)において、回転角度ごとの間隔Dを実測した結果が、本発明の実施例として説明される。以下の実施例の説明において、回転角度は1°ステップである。各ワークの積層状態は、以下のとおりである。
ワーク「1」:積層ずれは殆ど生じていない。
ワーク「2」:許容値以内の積層ずれが生じている。
ワーク「3」:許容値を超える積層ずれが生じている。
ワーク「4」:積層ずれは生じていない(リファレンス)。
【0105】
図17は、積層装置1の実施例として、各ワークにおける回転角度と間隔Dとの関係を示すグラフである。
同図の縦軸は間隔Dを示し、横軸は回転角度を示している。
【0106】
ワーク「1」において、間隔Dは、回転角度に応じて若干増減しているが、全体的に安定している。ワーク「1」に積層ずれは殆ど生じておらず、ワーク「1」の積層状態は実測値に正しく反映されている。次いで、ワーク「2」において、間隔Dは、約50°~約110°において少し減少し、他の回転角度では安定している。ワーク「2」には許容できる積層ずれが生じており、積層ずれ方向が約80°(または約260°)前後であることが推測される。次いで、ワーク「3」において、間隔Dは、回転角度に応じて正弦波状に増減している。ワーク「3」には許容できない積層ずれが生じており、その積層ずれ量に応じて間隔Dが増減しており、積層ずれ方向が約130°(または約310°)前後であることが推測される。また、ワーク「4」において、間隔Dは、回転角度に寄らず安定している。ワーク「4」に積層ずれは生じておらず、ワーク「4」の積層状態は実測値に正しく反映されている。このように、各ワークの積層状態は実測値に反映されており、シートSの積層状態は積層状態監視処理(S5)により適切に監視可能である。
【0107】
●変形例●
次に、積層装置1の変形例が、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。以下の変形例において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および、共通する機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されている。また、以下の変形例において、図1図5は、適宜参照される。
【0108】
●第1変形例
図18は、第1変形例に係る積層装置1Aを示す模式側面図である。
【0109】
第1変形例に係る積層装置1Aでは、撮像ユニット8の配置が、第1実施形態と異なる。撮像ユニット8は、第2搬送装置6に取り付けられておらず、積層台7の上方に配置されている。撮像移動装置81が撮像装置82をX軸方向およびY軸方向に移動させることにより、撮像装置82は、積層台7の上面7aの全体を撮像可能である。すなわち、第1変形例では、撮像装置82は、シートSが積層されるとき、積層台7の上方に配置されている。また、シートSが積層されないとき、撮像装置82が移動することにより、撮像装置82は積層台7に対して、上面7aに平行な方向に相対的に移動可能に構成されている。そのため、撮像装置82は、シートSが積層台7に積層されるたびに、積層台7に載置されている中間積層体ILの上面の任意の位置(貫通孔Sa)を撮像可能である。この構成においても、積層装置1Aは、第1実施形態と同様に、シートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0110】
なお、第1変形例において、撮像移動装置81は、撮像装置82をX軸方向またはY軸方向のみに移動させるように構成されていてもよい。
【0111】
●第2変形例
図19は、第2変形例に係る積層装置1Bを示す模式側面図である。
【0112】
第2変形例に係る積層装置1Bでは、積層台7の構成、撮像ユニット8の配置、および、積層装置1Bが圧着機9を備える点が第1実施形態と異なる。積層台7は、X軸方向に移動可能に構成されている。撮像ユニット8は、第2搬送装置6に取り付けられておらず、積層台7の上方に配置されている。撮像移動装置81は、撮像装置82をY軸方向に移動させる。圧着機9は、積層台7に載置されている積層体Lを圧着する。圧着機9は、X軸方向において、積層台7に対してアライメント装置5の反対側の位置の上方に配置されている。撮像移動装置81が撮像装置82をY軸方向に移動させ、積層台7がX軸方向に移動することにより、撮像装置82は、積層台7の上面7aの全体を撮像可能である。すなわち、第2変形例では、撮像装置82は、シートSが積層されるとき、積層台7の上方に配置されている。また、シートSが積層されないとき、積層台7および撮像装置82が移動することにより、撮像装置82は積層台7に対して、上面7aに平行な方向に相対的に移動可能に構成されている。そのため、撮像装置82は、シートSが積層台7に積層されるたびに、積層台7に載置されている中間積層体ILの上面の任意の位置(貫通孔Sa)を撮像可能である。全てのシートSが積層された後、積層台7は圧着機9の下方に移動し、積層台7に載置されている積層体Lは圧着機9により圧着される。この構成においても、積層装置1Bは、第1実施形態と同様に、シートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0113】
なお、第2変形例において、撮像装置82は、固定されていてもよい。この場合、積層台7がX軸方向に移動することにより、撮像装置82は、X軸方向において並ぶように配置されている2つの貫通孔Saそれぞれを撮像してもよい。
【0114】
また、第2変形例において、圧着機9は、Y軸方向において、積層台7と並んで配置されていてもよい。この場合、積層台7はY軸方向に移動可能に構成され、撮像装置82はX軸方向に移動可能に構成される。
【0115】
●第3変形例
図20は、第3変形例に係る積層装置1Cを示す模式側面図である。
【0116】
第3変形例に係る積層装置1Cでは、撮像ユニット8の配置が第1実施形態と異なる。撮像移動装置81は、保持部材62の上面62bに取り付けられている。撮像装置82は、撮像移動装置81に取り付けられ、保持部材62から第2搬送装置6の搬送方向(X軸方向)の退行方向側(アライメント装置5側)に突出して配置されている。搬送制御部212は、シートSの積層後に、保持部材62を上昇させ、さらに進行方向側に移動させる。このとき、撮像移動装置81が撮像装置82をY軸方向に移動させることにより、撮像装置82は、積層台7に載置されている中間積層体ILの上面の任意の位置(貫通孔Sa)を撮像可能である。この構成においても、保持部材62の移動量および移動スペースが第1実施形態よりも増加するが、積層装置1Cは、第1実施形態と同様に、シートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0117】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、積層装置1は、状態監視部214、第2搬送装置6、積層台7、および撮像装置82を有してなり、複数のシートSを積層する。第2搬送装置6は、シートSを積層台7へ搬送する。積層台7は、シートSが積層される上面7aを備える。撮像装置82は、積層台7に載置されている中間積層体ILにおいて、各シートSに共通して形成されている貫通孔Saを、中間積層体ILの上方から撮像する。状態監視部214は、撮像装置82に撮像された貫通孔Saの撮像画像に基づいて、中間積層体ILにおけるシートSの積層状態を監視する。撮像装置82は、積層台7に対して、上面7aに平行なX軸方向に相対的に移動可能に構成されている。この構成によれば、撮像装置82は、シートSの積層のタイミングに合わせて、積層台7上に載置されている中間積層体ILに対して相対的に移動し、貫通孔Saの撮像画像を容易に取得できる。また、状態監視部214は、シートSの積層のタイミングに合わせて、シートSの積層ごとにシートSの積層状態を監視できる。したがって、積層装置1では、積層ずれの傾向から不良となる(許容値を超える)積層ずれが予測でき、不良発生前にメンテナンスなどの処置が可能となる。また、仮に、不良が発生しても、その発生タイミングで不良の検知が可能となり、不良発生後の無駄なシートSの積層は阻止できる。このように、積層装置1は、シートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0118】
また、以上説明した実施の形態によれば、撮像装置82は、第2搬送装置6の保持部材62に取り付けられ、保持部材62と共に移動する。この構成によれば、保持部材62がシートSを積層するために進退するとき、撮像装置82は、積層台7上に載置されている中間積層体ILに対して相対的に移動する。したがって、撮像装置82は、シートSの搬送ごとに貫通孔Saの撮像画像を容易に撮像できる。その結果、積層装置1は、シートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0119】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、撮像装置82は、保持部材62に取り付けられ、保持部材62から保持部材62の搬送方向における進行方向側に突出して配置されている。この構成によれば、撮像装置82は、保持部材62の搬送範囲を逸脱することなく、保持部材62の進行時および/または退行時に貫通孔Saの撮像画像を撮像できる。その結果、積層装置1は、効率よくシートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0120】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、撮像ユニット8は、保持部材62に取り付けられ、撮像装置82を上面7aと平行、かつ、搬送方向に垂直な方向(Y軸方向)に移動させる撮像移動装置81を備える。この構成によれば、撮像装置82は、保持部材62の進行時および/または退行時に中間積層体ILの上面の任意の位置(貫通孔Sa)を撮像できる。その結果、積層装置1は、さらに効率よくシートSの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0121】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、状態監視部214は、領域抽出部215および積層ずれ量算出部217を備える。領域抽出部215は、撮像画像に撮像されている貫通孔Saのうち、中間積層体ILを貫通している貫通領域Sbを抽出する。積層ずれ量算出部217は、抽出された貫通領域Sbに基づいて、中間積層体ILを構成しているシートSの積層ずれのずれ量を算出する。この構成によれば、貫通孔Saは各シートSに共通に形成されているため、積層ずれが生じていないときの貫通領域Sbの形状は、貫通孔Saの形状と同じである。一方、積層ずれが生じているときの貫通領域Sbの形状は、変形している。この変形の量および形状は、シートSの積層ずれの量および方向に応じている。そのため、積層装置1は、貫通領域Sbを抽出して、貫通領域Sbの形状を監視することにより、精度よくシートSの積層ごとの積層状態(積層ずれ量)を監視できる。
【0122】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、状態監視部214は、間隔計測部216を備える。間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを挟み込むように貫通領域Sbに外接する相互に平行な一対の仮想平行線C1,C2を生成し、一対の仮想平行線C1,C2の間の間隔Dを、貫通領域Sbと仮想平行線C1,C2との間の相対角度を変えながら所定角度ごとに計測する。積層ずれ量算出部217は、貫通領域Sbにおいて計測された間隔Dに基づいて、中間積層体ILを構成しているシートSの積層ずれのずれ量を算出する。この構成によれば、仮想平行線C1,C2は抽出された貫通領域Sbに外接している。そのため、貫通領域Sbの内側に異物や貫通孔Saの一部のバリが撮像されていても、間隔計測部216は、これらの影響を受けることなく安定して間隔Dを計測できる。また、間隔計測部216は、所定角度ごとに貫通領域Sbの全周における間隔D(直径)を計測できる。そのため、積層ずれ量算出部217は、積層ずれがどの方向に生じていても、積層ずれ量を算出できる。このように、積層装置1は、回転角度ごとの間隔Dに基づいて積層ずれ量を算出することにより、精度よく安定してシートSの積層ごとの積層状態(積層ずれ量)を監視できる。
【0123】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、状態監視部214は、積層ずれ方向特定部218を備える。積層ずれ方向特定部218は、計測された間隔Dに基づいて、中間積層体ILを構成するシートSのうち、最後に積層されたシートSの積層ずれ方向軸を特定する。この構成によれば、積層装置1は、回転角度ごとの間隔Dに基づいて積層ずれ方向軸を特定することにより、精度よく安定してシートSの積層ごとの積層状態(積層ずれ量、積層ずれ方向軸)を監視できる。
【0124】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、載置台3、アライメント装置5、および積層台7の配置は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、載置台3、アライメント装置5、および積層台7は、Y軸方向に並んで配置されていてもよい。また、例えば、載置台3およびアライメント装置5がX軸方向に並んで配置され、アライメント装置5および積層台7がY軸方向に並んで配置されていてもよい。この場合、第1搬送装置4および第2搬送装置6の搬送方向は、載置台3、アライメント装置5、および積層台7の配置に応じて適宜設定されている。
【0125】
また、本発明において、間隔計測部216は、一対の仮想平行線C1,C2に加えて、仮想平行線C1,C2に直交する一対の第2仮想平行線を生成し、第2仮想平行線の間の第2間隔も計測してもよい。この構成では、第2仮想平行線は、仮想平行線C1,C2が90°回転した状態に等しいため、間隔計測部216は、抽出された貫通領域Sbを0°~90°までの範囲で回転させればよい。
【0126】
さらに、本発明において、間隔計測部216は、一対の仮想平行線C1,C2を含み、抽出された貫通領域Sbに外接する矩形状の仮想図形を生成してもよい。
【0127】
さらにまた、本発明において、載置台3は、移動可能に構成されていてもよい。すなわち、例えば、載置台3は、昇降可能に構成されていてもよく、あるいは、前工程(フィルムからシートSを剥離する工程)から搬送可能に構成されていてもよい。
【0128】
さらにまた、本発明において、載置台3には、1つのシートSのみが載置されていてもよく、あるいは、複数のシートSが重ねられて載置されていてもよい。
【0129】
さらにまた、本発明において、積層装置1は、複数の載置台3を備えていてもよい。この場合、例えば、複数の載置台3は、上下方向において、棚状に並べて配置されていてもよく、あるいは、X軸方向および/またはY軸方向に並んで配置されていてもよい。この場合、第1搬送装置4は、各載置台3からシートSを搬送できるように移動可能に構成されている。
【0130】
さらにまた、本発明において、積層台7は、第2変形例に示されているとおり、上面7aに平行な方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0131】
さらにまた、本発明において、撮像ユニット8は、複数の撮像装置82を備えていてもよい。この場合、各撮像装置82は、保持部材62に固定されていてもよい。
【0132】
さらにまた、本発明において、撮像装置82は、第1撮像位置P1および第2撮像位置P2のいずれか一方のみで貫通孔Saを撮像してもよく、あるいは、3か所以上の撮像位置で貫通孔Saを撮像していてもよい。
【0133】
さらにまた、本発明において、状態監視部214は、積層ずれ量のみを監視し、積層ずれ方向を監視していなくてもよい。
【0134】
さらにまた、本発明において、積層ずれ方向特定部218は、例えば、公知の画像処理アルゴリズムを用いて、積層ずれ方向を特定していてもよい。この場合、例えば、積層ずれ方向特定部218は、積層ずれ方向軸に基づいて、画像処理を実行する領域を限定していてもよい。また、例えば、積層ずれ方向特定部218は、第1画像、および1つ前の層における第1画像を用いてテンプレートマッチングを実行して、貫通領域Sbの外縁のうち、変化の無い部分が位置する方向を積層ずれ方向として特定していてもよい。
【0135】
さらにまた、本発明において、積層ずれ量算出部217は、間隔Dに基づいて積層ずれ量を算出すればよく、その手法は本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、積層ずれ量算出部217は、例えば、最上層の1つ下の層のシートSにおいて計測された間隔Dと、最上層のシートSにおいて計測された間隔Dと、の間の差分値を回転角度ごとに算出していてもよい。この場合、積層ずれ量算出部217は、例えば、算出された差分値のうち、最大値を積層ずれ量として特定する。
【0136】
さらにまた、本発明において、積層装置1は、許容範囲外の積層ずれの存在を報知する機能(例えば、アラームなど)を備えていてもよい。
【0137】
さらにまた、本発明において、積層ずれ量算出部217は、間隔D、および関数に基づいて貫通領域Sbの面積を算出し、同面積に基づいて積層ずれ量を算出していてもよい。
【0138】
さらにまた、本発明において、状態監視処理(S5)は、積層装置1とは異なる情報処理端末(例えば、パーソナルコンピュータなど)が備えるプロセッサにより実行されていてもよい。この場合、同情報処理端末は、例えば、積層装置1と通信回線を介して接続され、積層装置1から撮像画像を取得していてもよい。
【0139】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0140】
本発明の第1の実施態様は、複数のシート状の被積層体(例えば、シートS)を積層する積層装置(例えば、積層装置1,1A~1C)であって、前記被積層体が積層される積層面(例えば、上面7a)を有する積層台(例えば、積層台7)と、前記被積層体を前記積層台へ搬送する搬送装置(例えば、第2搬送装置6)と、前記積層台に積層されている前記被積層体により構成される中間積層体(例えば、中間積層体IL)において、各被積層体に共通して形成されている貫通孔(例えば、貫通孔Sa)を、前記中間積層体の上方から撮像する撮像装置(例えば、撮像装置82)と、前記撮像装置に撮像された前記貫通孔の撮像画像に基づいて、前記中間積層体における前記被積層体の積層状態を監視する状態監視部(例えば、状態監視部214)と、を有してなり、前記撮像装置は、前記積層台に対して、前記積層面に平行な方向に相対的に移動可能に構成される、積層装置である。
この構成によれば、積層装置は、シートの積層のタイミングに合わせて、貫通孔の撮像画像を容易に取得でき、シートの積層状態を監視できる。その結果、積層装置は、シートの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0141】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記撮像装置は、前記搬送装置に取り付けられ、前記搬送装置と共に移動する、積層装置(例えば、積層装置1,1C)である。
この構成によれば、撮像装置は、シートの搬送ごとに貫通孔の撮像画像を容易に撮像できる。
【0142】
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記搬送装置は、前記被積層体を吸着保持する保持部材(例えば、保持部材62)を備え、前記撮像装置は、前記保持部材に取り付けられ、前記保持部材から前記搬送装置の搬送方向における進行方向側に突出して配置される、積層装置である。
この構成によれば、撮像装置は、保持部材の搬送範囲を逸脱することなく、保持部材の進行時および/または退行時に貫通孔の撮像画像を撮像できる。
【0143】
本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、前記保持部材に取り付けられ、前記撮像装置を前記積層面と平行、かつ、前記搬送方向に垂直な方向に移動させる撮像移動装置(例えば、撮像移動装置81)を有してなる、積層装置である。
この構成によれば、撮像装置は、保持部材の進行時および/または退行時に中間積層体の上面の任意の位置を撮像できる。
【0144】
本発明の第5の実施態様は、第1の実施態様において、前記被積層体が前記積層台に積層されるとき、前記撮像装置は、前記積層台の上方に配置され、前記被積層体が前記積層台に積層されないとき、前記撮像装置または前記積層台は、前記積層面に平行な方向に移動可能に構成される、積層装置(例えば、積層装置1A,1B)である。
この構成によれば、積層装置は、シートの搬送ごとに貫通孔の撮像画像を容易に撮像できる。
【0145】
本発明の第6の実施態様は、第1乃至第5のいずれか1の実施態様において、前記状態監視部は、前記撮像画像に撮像されている前記貫通孔のうち、前記中間積層体を貫通している貫通領域(例えば、貫通領域Sb)を抽出する領域抽出部(例えば、領域抽出部215)と、抽出された前記貫通領域に基づいて、前記中間積層体を構成する前記被積層体の積層ずれ量を算出する積層ずれ量算出部(例えば、積層ずれ量算出部217)と、を備える、積層装置である。
この構成によれば、積層装置は、精度よくシートの積層ごとの積層状態(積層ずれ量)を監視できる。
【0146】
本発明の第7の実施態様は、第6の実施態様において、前記状態監視部は、抽出された前記貫通領域を挟み込むように前記貫通領域に外接する相互に平行な一対の仮想平行線(例えば、仮想平行線C1,C2)を生成し、一対の前記仮想平行線の間の間隔(例えば、間隔D)を、前記貫通領域と前記仮想平行線との相対角度を変えながら所定角度ごとに計測する間隔計測部(例えば、間隔計測部216)を備え、前記積層ずれ量算出部は、前記貫通領域において計測された前記間隔に基づいて、前記被積層体の前記積層ずれ量を算出する、積層装置である。
この構成によれば、積層ずれ量算出部は、積層ずれがどの方向に生じていても、積層ずれ量を算出できる。
【0147】
本発明の第8の実施態様は、第7の実施態様において、前記状態監視部は、計測された前記間隔に基づいて、前記中間積層体を構成する複数の前記被積層体のうち、最後に積層された前記被積層体の積層ずれ方向を特定する積層ずれ方向特定部(例えば、積層ずれ方向特定部218)を備える、積層装置である。
この構成によれば、積層装置は、精度よく安定してシートの積層ごとの積層状態(積層ずれ量、積層ずれ方向軸)を監視できる。
【0148】
本発明の第9の実施態様は、シート状の被積層体が積層される積層面を有する積層台と、前記被積層体を前記積層台へ搬送する搬送装置と、前記積層台に積層されている前記被積層体により構成される中間積層体において、各被積層体に共通して形成されている貫通孔を上方から撮像する撮像装置と、前記中間積層体における前記被積層体の積層状態を監視する状態監視部と、を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、前記撮像装置が、前記積層台に対して、前記積層面に平行な方向に相対的に移動して撮像画像を撮像する撮像ステップ(例えば、撮像ステップ(S4))と、前記状態監視部が、前記撮像画像に基づいて、前記積層状態を監視する積層状態監視ステップ(例えば、積層状態監視処理(S5))と、を含む、積層体の製造方法である。
この構成によれば、積層装置は、シートの積層ごとの積層状態を監視できる。
【0149】
本発明の第10の実施態様は、貫通孔を有する複数のシート状の被積層体が積層されて構成される中間積層体の積層状態を監視する積層状態監視方法(例えば、積層状態監視処理(S5))であって、プロセッサ(例えば、CPU21a)が、前記中間積層体の上方から撮像された撮像画像に撮像されている前記貫通孔のうち、前記中間積層体を貫通している貫通領域を抽出する抽出ステップ(例えば、抽出ステップ(S52))と、前記プロセッサが、抽出された前記貫通領域を挟み込むように前記貫通領域に外接する相互に平行な一対の仮想平行線を生成する生成ステップ(例えば、生成ステップ(S53))と、前記プロセッサが、一対の前記仮想平行線の間の間隔を、前記貫通領域と前記仮想平行線との相対角度を変えながら所定角度ごとに計測する計測ステップ(例えば、計測ステップ(S53))と、前記プロセッサが、前記貫通領域において計測された前記間隔に基づいて、前記被積層体の積層ずれ量を算出する算出ステップ(例えば、計測ステップ(S56))と、を含む、積層状態監視方法である。
この構成によれば、プロセッサは、シートの積層ごとの積層状態を監視できる。
【符号の説明】
【0150】
1 積層装置
1A 積層装置
1B 積層装置
1C 積層装置
214 状態監視部
215 領域抽出部
216 間隔計測部
217 積層ずれ量算出部
218 積層ずれ方向特定部
6 第2搬送装置(搬送装置)
62 保持部材
7 積層台
7a 上面(積層面)
81 撮像移動装置
82 撮像装置
C1 仮想平行線
C2 仮想平行線
D 間隔
IL 中間積層体
L 積層体
S セラミックグリーンシート
Sa 貫通孔
Sb 貫通領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20