(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034781
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】セキュリティトークン管理システム、セキュリティトークン管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/00 20120101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139255
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】崔 進
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA00
(57)【要約】
【課題】取り扱うための要件が設けられているセキュリティトークンを取引可能とするシステムを提供する。
【解決手段】セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させる記憶実行部と、所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得する取得部と、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定する判定部と、前記判定部において前記所定のユーザに関する情報が前記複数の第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる発行部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させる記憶実行部と、
所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得する取得部と、
前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部において前記所定のユーザに関する情報が複数の前記第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる発行部と、
を含むセキュリティトークン管理システム。
【請求項2】
セキュリティトークンの取得を所望するユーザに関する情報である第2ユーザ情報を、ブロックチェーンを用いずに記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記所定のユーザに関する情報が、前記記憶部に記憶されている複数の前記第2ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かをさらに判定し、
前記発行部は、前記判定部において前記所定のユーザに関する情報が前記第1ユーザ情報および前記第2ユーザ情報に含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる、
請求項1に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項3】
前記記憶実行部は、前記セキュリティトークンを発行可能な第1時間制限に関する情報である第1時間制限情報をブロックチェーン上に記憶させ、
前記判定部は、前記第1時間制限情報に基づいて、現在のタイミングが前記第1時間制限を充たすか否かを判定し、
前記発行部は、前記判定部において前記現在のタイミングが前記第1時間制限を充たすと判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる、
請求項1に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項4】
前記記憶実行部は、前記セキュリティトークンを保有するユーザの人数の上限値を示す保有者数情報と、前記セキュリティトークンを保有する全てのユーザが保有する保有量の上限値を示す上限量情報と、のうち少なくともいずれかを、ブロックチェーン上に記憶させ、
前記判定部は、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザを含めて前記保有者数情報が示す前記人数の上限値を超えないこと示す第1要件を充たすか否かの判定、および、前記所定のユーザが保有する前記セキュリティトークンが前記保有量の上限値を超えないことを示す第2要件を充たすか否かの判定、のうち少なくともいずれかの判定を実行し、
前記発行部は、前記判定部において、前記第1要件および前記第2要件のうち少なくともいずれかを充たすと判定された場合、前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる、
請求項1に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項5】
セキュリティトークンの取得を所望するユーザに関する情報である第2ユーザ情報を、ブロックチェーンを用いずに記憶し、前記セキュリティトークンを保有するユーザの人数の上限値を示す保有者数情報と、前記セキュリティトークンを一人のユーザが保有する保有量の上限値を示す上限量情報と、のうち少なくともいずれかを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザを含めて前記保有者数情報が示す前記人数の上限値を超えないことを示す第1要件を充たすか否かの判定、および前記所定のユーザが保有する前記セキュリティトークンが前記保有量の上限値を超えないことを示す第2要件を充たすか否かの判定、のうち少なくともいずれかの判定を実行し、
前記発行部は、前記判定部において、前記第1要件および前記第2要件のうち少なくともいずれかを充たすと判定された場合、前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる、
請求項1に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項6】
前記判定部は、
前記セキュリティトークンを譲渡するための要件である譲渡要件であって、前記譲渡要件は、所定のセキュリティトークンを所有するユーザから、前記所定のセキュリティトークンを他のユーザに譲渡することを示す譲渡要求を前記発行者が受け付けたことと、前記発行者において前記譲渡要求が承認されたことと、を少なくとも含み、
前記所有するユーザから前記他のユーザに前記所定のセキュリティトークンを譲渡することの譲渡要求を受け付けた場合、前記所定のセキュリティトークンを譲渡することについて、前記譲渡要件を充たすか否かを判定し、
前記発行部は、前記判定部において前記譲渡要件が充たされていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で、前記所定のセキュリティトークンを前記他のユーザのウォレットに移転させる、
請求項1に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項7】
前記記憶実行部は、前記セキュリティトークンを譲渡可能な第2時間制限に関する情報である第2時間制限情報をブロックチェーン上に記憶させ、
前記判定部は、前記第2時間制限情報に基づいて、現在のタイミングが前記第2時間制限を充たすか否かを判定し、
前記発行部は、前記判定部において前記現在のタイミングが前記第2時間制限を充たすと判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる、
請求項6に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記所有するユーザに関する情報および前記他のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定し、
前記発行部は、前記判定部において前記所有するユーザに関する情報および前記他のユーザに関する情報が前記第1ユーザ情報に含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で、前記所定のセキュリティトークンを前記他のユーザのウォレットに移転させる、
請求項6または請求項7に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項9】
前記取得部は、前記セキュリティトークンをウォレットに保有する前記所定のユーザから、当該セキュリティトークンを他のユーザのウォレットに強制的に移転させるための強制移転要求を、前記発行者から取得し、
前記判定部は、前記強制移転要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報および前記他のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定し、
前記発行部は、前記判定部において前記所定のユーザに関する情報および前記他のユーザに関する情報が前記第1ユーザ情報に含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で、前記所定のセキュリティトークンを前記他のユーザのウォレットに移転させる、
請求項1に記載のセキュリティトークン管理システム。
【請求項10】
コンピュータが、
セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させることと、
所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得することと、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定することと、
前記所定のユーザに関する情報が複数の前記第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させることと、
を実行するセキュリティトークン管理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させることと、
所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得することと、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定することと、
前記所定のユーザに関する情報が複数の前記第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させることと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティトークン管理システム、セキュリティトークン管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーン上で、金融商品に基づくトークンを発行、移転するシステムが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のシステムは、ブロックチェーンを用いて、金融商品に基づくトークンを取引可能とし、金融商品の流動性を実現している。すなわち、当該システムによれば、多くの金融商品をセキュリティトークンとして取扱い可能なプラットフォームを提供することができる。しかし、特許文献1記載のシステムでは、取り扱いに要件が設けられているセキュリティトークンを取り扱うことができない問題が生じ得る。
【0005】
例えば、不動産における「信託受益権」を含む、いわゆる第2項有価証券に該当するセキュリティトークン(すなわち「適用除外電子記録移転権利」である。)には、「取得者制限」が設けられている(「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」9条の2)。
【0006】
上記の特許文献1記載の発明の実施形態に係るシステムでは、上述した「適用除外電子記録移転権利」などのセキュリティトークンを取り扱うための要件が設けられている場合、当該要件を充たすか否かを判定する手段がない。そのため、当該セキュリティトークンを取り扱うための技術的措置を実現する、新たな仕組みの提供が望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、取り扱うための要件が設けられているセキュリティトークンを取引可能とするシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るセキュリティトークン管理システムは、セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させる記憶実行部と、所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得する取得部と、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定する判定部と、前記判定部において前記所定のユーザに関する情報が前記複数の第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる発行部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係るセキュリティトークン管理方法は、コンピュータが、セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させることと、所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得することと、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定することと、前記所定のユーザに関する情報が前記複数の第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させることと、を実行する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーン上に記憶させることと、所定のユーザに前記セキュリティトークンを発行するための発行要求を、前記セキュリティトークンの発行者から取得することと、前記発行要求に基づいて、前記所定のユーザに関する情報が、前記ブロックチェーン上に記憶されている複数の前記第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定することと、前記所定のユーザに関する情報が前記複数の第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、前記ブロックチェーン上で前記所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させることと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取り扱うための要件が設けられているセキュリティトークンを取引可能とするシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】セキュリティトークン管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】セキュリティトークン管理システムに含まれる各装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】セキュリティトークンの発行処理のフローを示す図である。
【
図5】セキュリティトークンの移転処理のフローを示す図である。
【
図6】セキュリティトークンの強制移転処理のフローを示す図である。
【
図7】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
===セキュリティトークン管理システム===
<<概要>>
図1を参照して、本実施形態に係るセキュリティトークン管理システム10の概要について説明する。
図1は、セキュリティトークン管理システム10の構成の一例を示す図である。
【0014】
セキュリティトークン管理システム10は、例えば、ブロックチェーンを用いて、金融商品に基づくセキュリティトークンであって、取り扱うための要件が設けられるセキュリティトークンの取り扱いを可能とするシステムである。
【0015】
セキュリティトークンとは、例えば、信託受益権や集団投資スキーム持分などをトークン化したものであって、金融商品取引法に規定されている「電子記録移転権利」をいう(金融商品取引法2条2項各号)。
【0016】
取り扱うための要件には、例えば、取得者制限および譲渡制限がある。ここで、本実施形態において、一例として、取得者制限および譲渡制限とは、「電子記録移転権利」の適用から除外されるための要件(「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」9条の2)をいうこととする。
【0017】
すなわち、本実施形態において、取得者制限および譲渡制限を充たすセキュリティトークンとは、電子記録移転権利に該当しないトークン(いわゆる「適用除外電子記録移転権利」である。)をいうこととする。
【0018】
取得者制限は、適格機関投資家または適格機関投資家特例業務の対象投資家(特例業務対象投資家)に類する範囲の投資家以外の者には、トークンを取得させことができないようにする技術的措置が講じられていること(以下、「取得者要件」という。)をいう。具体的には、例えば、取得者制限は、「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項1号に記載されている者以外の者は、当該トークンを取得できないという制限である。
【0019】
譲渡制限は、トークンの移転の都度、当該権利を有する者からの申出および当該権利の発行者の承諾がなければ、移転することができなくする技術的措置が講じられていること(以下、「譲渡要件」という。)をいう。具体的には、例えば、譲渡制限は、「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項2号に記載されている要件を充たさなければ、当該トークンを移転できないという制限である。
【0020】
なお、取得者要件および譲渡要件は、上記に限定されない。取得者要件は、セキュリティトークンの発行を受ける者が充たすべき要件であればよい。例えば、取得者要件は、金融商品取引法第2条第1項に定められるいわゆる第1項有価証券に該当するセキュリティトークン(電子記録移転権利)の取得者制限(金融商品取引法第29条の5第3項等)であってもよい。例えば、譲渡要件は、セキュリティトークンを移転する際に、移転元および移転先の者が充たすべき要件であればよい。譲渡要件は、電子記録移転権利において、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」V-2-3(1)」で設けられている要
件であってもよい。
【0021】
本実施形態においては、一例として、「取得者要件」を、「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項1号に記載されている者以外の者にセキュリティトークンを取得できないという要件であることとして説明する。また、「譲渡要件」を「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項2号に規定される要件を充たしていない場合、セキュリティトークンを移転できないという要件であることとして説明する。
【0022】
セキュリティトークン管理システム10は、例えば、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを所望するユーザのうち、セキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザの情報(以下、「ユーザ情報」という。)をブロックチェーンBNに記憶させる。セキュリティトークン管理システム10は、例えば、セキュリティトークンの発行者の要求に応じて、ブロックチェーンBN上で所定のスマートコントラクトを実行する。すなわち、セキュリティトークン管理システム10は、取得者要件を充たしたユーザにのみ、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを発行する。
【0023】
ユーザとは、例えば、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンの取得を所望する投資家をいう。投資家は、当該セキュリティトークンの取得者要件および譲渡要件を充たすことで、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを取得する。
【0024】
発行者とは、例えば、セキュリティトークンを発行する主体であって、例えば、資金を調達する事業会社、投資運用業者、および金融商品取引業者(証券会社など)を含む。
【0025】
スマートコントラクトとは、例えば、ブロックチェーン上で、トランザクションや外部情報をトリガーとして規定のルールにしたがって実行されるプログラムあるいはコンピュータプロトコルである。
【0026】
まず、セキュリティトークン管理システム10の構成の概要について説明する。
【0027】
図1に示すように、セキュリティトークン管理システム10は、例えば、トークン管理装置100と、発行者端末200と、ユーザ端末300とを含む。セキュリティトークン管理システム10を構成する各装置は、通信ネットワークNにより互いに通信可能に接続されている。通信ネットワークNは、有線ネットワークまたは無線ネットワークである。なお、図示していないが、セキュリティトークン管理システム10は、発行者端末200およびユーザ端末300が複数で構成されていてもよい。この場合、セキュリティトークン管理システム10は、例えば、複数の発行者(例えば、投資運用業者と証券会社)それぞれの発行者端末200と、複数のユーザそれぞれのユーザ端末300とを含んで構成されていてもよい。
【0028】
トークン管理装置100は、例えば、発行者が取得者要件を充たすユーザに対してセキュリティトークンを発行するための処理を実行する装置である。具体的には、トークン管理装置100は、セキュリティトークンの発行を所望するユーザから、ユーザ情報を取得する。また、トークン管理装置100は、ユーザ情報に基づき発行者によって取得者要件を充たすと判断されたユーザのユーザ情報を、ブロックチェーンBNに記憶させる。そして、トークン管理装置100は、少なくとも一つの発行者端末200からの要求に基づき、ブロックチェーンBN上でユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行する。
【0029】
ブロックチェーンBNは、暗号化された通貨やセキュリティトークンの取引に用いられるシステムである。ブロックチェーンBNは、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。例えば、ブロックチェーンBNはイーサリアムなどにより構築することができる。
【0030】
トークン管理装置100は、限定でなく例として、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームであってもよい。なお、トークン管理装置100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータ(限定ではなく例として、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティング)により実現されていてもよいし、そうでなくてもよい。
【0031】
発行者端末200は、例えば、発行者の操作入力に基づき、トークン管理装置100に対して、セキュリティトークンの発行に関するスマートコントラクトまたは移転に関するスマートコントラクトの実行を要求する端末である。
【0032】
ユーザ端末300は、例えば、ユーザの操作入力を受け付けてユーザ情報をトークン管理装置100に送信する端末である。
【0033】
発行者端末200およびユーザ端末300は、例えば、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、 デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームであってもよい。
【0034】
次に、セキュリティトークン管理システム10の処理の概要について説明する。
【0035】
セキュリティトークン管理システム10は、例えば、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを所望するユーザのうち、セキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザのユーザ情報を、ホワイトリストとしてブロックチェーンBNに記憶する。
【0036】
ホワイトリストとは、セキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザのユーザ情報を、ブロックチェーンBNに記憶したリストである。
【0037】
なお、ホワイトリストには、ユーザ情報それぞれに関連づけて、セキュリティトークンの発行および移転できる時間的な制限を示す情報(以下、「時間制限情報」という。)が含まれていてもよい。
【0038】
時間制限情報には、例えば、ユーザが新規にセキュリティトークンの発行を受けてから、さらにセキュリティトークンの発行を受ける際の時間的な制限を示す情報(以下、「発行時時間制限情報」という。)が含まれていてもよい。
【0039】
また、時間制限情報には、例えば、ユーザがセキュリティトークンを移転する際の時間的な制限を示す情報(以下、「移転時時間制限情報」という。)が含まれていてもよい。
【0040】
このように、セキュリティトークン管理システム10は、情報の改ざんが事実上不可能なホワイトリストを用いることによって、適用除外電子記録移転権利について取得者要件を充たすユーザに対して適切にセキュリティトークンを発行させることができる。
【0041】
セキュリティトークン監理システム10は、ホワイトリストに登録されているユーザに対して、セキュリティトークンの発行処理、移転処理、強制移転処理を実行する。
【0042】
発行処理とは、例えば、ホワイトリストに登録されているユーザに対して、ユーザのウォレットアドレスにセキュリティトークンを発行するスマートコントラクト(以下、「発行コントラクト」という。)をブロックチェーンBN上で実行させる処理である。
【0043】
移転処理とは、例えば、ホワイトリストに登録されているユーザが譲渡要件を充たす場合、自己のウォレットアドレスに所有するセキュリティトークンを他のユーザのウォレットアドレスに移転するスマートコントラクト(以下、「移転コントラクト」という。)をブロックチェーンBN上で実行させる処理である。
【0044】
強制移転処理とは、例えば、所定のユーザがセキュリティトークンを所持できない事情が生じた場合に、所定のユーザのウォレットアドレスから、取得者要件を充たす他のユーザのウォレットアドレスにセキュリティトークンを強制的に移転するスマートコントラクト(以下、「強制移転コントラクト」という。)をブロックチェーンBN上で実行させる処理である。
【0045】
所持できない事情とは、例えば、何らかの原因でシステム障害が生じた場合や、所定のユーザがシステムの利用規約に反した場合など、セキュリティトークンの運用上におけるイレギュラーな事情である。
【0046】
セキュリティトークン管理システム10における発行処理、移転処理および強制移転処理については詳細に後述する。
【0047】
<<トークン管理装置100>>
図2を参照して、トークン管理装置100の構成について説明する。
図2は、セキュリティトークン管理システム10に含まれる各装置の機能構成の一例を示す図である。
【0048】
図2に示すとおり、トークン管理装置100は、例えば、取得部110、記憶部120、記憶実行部130、判定部140、発行部150の機能部を含む。
【0049】
取得部110は、例えば、ユーザ端末300から、セキュリティトークンの発行を所望するユーザ情報(投資家名、連絡先、購入希望口数など)を取得する。
【0050】
また、取得部110は、例えば、発行者端末200から、ユーザ情報をホワイトリストに登録する要求(以下、「登録要求」という。)を取得する。
【0051】
また、取得部110は、例えば、発行者端末200から、セキュリティトークンを発行させるための要求(以下、「発行要求」という。)を取得する。発行要求は、例えば、セキュリティトークンの発行先のユーザのユーザ情報と、購入予定の金融商品情報とを少なくとも含んでいてもよい。
【0052】
また、取得部110は、例えば、発行者端末200から、セキュリティトークンをユーザに発行することを発行者が承諾したことを示す情報(以下、「承諾情報」という。)を取得する。すなわち、承諾情報には、例えばユーザが取得者要件を充たすことを示す情報が含まれていてもよい。
【0053】
なお、取得部110は、例えば、発行者端末200およびユーザ端末300から各種情報をAPI(Application Programming Interface)を介して取得する。
【0054】
記憶部120は、トークン管理装置100において、ブロックチェーンを用いずに情報を記憶する機能部である。記憶部120は、例えばユーザ情報D121を少なくとも含む。
【0055】
図3を参照して、ユーザ情報D121について説明する。
図3は、ユーザ情報D121を示す図である。
【0056】
ユーザ情報D121は、例えば、セキュリティトークンの所有者および取得希望者であるユーザのユーザ情報を含むデータベースである。
図3に示すように、ユーザ情報D121は、例えば、[ユーザID]、[ユーザ氏名]、[連絡先]、[ユーザ属性]、[購入内容情報]、[時間制限]、[取引履歴]、[発行者承諾情報]の項目を含む。
【0057】
[ユーザID]には、例えば、ユーザそれぞれを一意に識別可能な識別符号が格納される。
【0058】
[ユーザ氏名]には、例えばユーザの氏名を示す情報が格納される。
【0059】
[連絡先]には、例えば、ユーザの連絡先(電話番号、Eメールアドレスを含む)を示す情報が格納される。
【0060】
[ユーザ属性]には、例えばユーザの口座情報、ウォレットアドレス、保有している金融資産に関する情報、投資経歴を示す情報などが格納される。
【0061】
[購入内容情報]には、例えば、ユーザが購入を希望するセキュリティトークンに関する情報(例えば、購入を希望する金融商品および購入数量)が格納される。
【0062】
[時間制限]には、例えば、発行時時間制限情報、移転時時間制限情報が格納される。
【0063】
[取引履歴]には、例えば、ユーザがセキュリティトークンの購入や移転をした取引の履歴に関する情報が格納される。
【0064】
[発行者承諾情報]には、例えば、セキュリティトークンをユーザに発行することを発行者が承諾したことを示す承諾情報が格納される。
【0065】
記憶実行部130は、例えば、発行者の操作入力に基づき、セキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザのユーザ情報を、ブロックチェーンBNに記憶させる。
【0066】
具体的には、例えば、発行者端末200の表示部にユーザ情報D121のユーザ情報を表示させる。発行者は、当該ユーザ情報が取得者要件を充たすと判断した場合、表示部に表示される承認ボタンを押下してもよい。トークン管理装置100は、例えば、発行者によって承認ボタンが押下されたことを示す情報を、発行者端末200から取得する。この場合、記憶実行部130は、例えば、ユーザ情報D121のユーザ情報を、セキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザのユーザ情報としてブロックチェーンBNに記憶させる。
【0067】
また、例えば、発行者端末200は、発行者による操作入力を受け付けてユーザ情報を取得し、当該ユーザ情報をトークン管理装置100に送信する。この場合、記憶実行部130は、例えば、発行者端末200から取得されたユーザ情報を、セキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザのユーザ情報としてブロックチェーンBNに記憶させる。
【0068】
すなわち、記憶実行部130は、発行者端末200に対する発行者の操作入力によって取得者要件が充たされると判断されたユーザ情報を、ブロックチェーンBNに記憶させる。
【0069】
これにより、ブロックチェーンBN上のホワイトリストを生成できる。ここで、ホワイトリストには、例えばユーザIDおよびウォレットアドレスが少なくとも格納されていればよい。
【0070】
また、記憶実行部130は、時間制限情報をホワイトリストの各ユーザ情報に関連付けて、ブロックチェーンBNに記憶させる。
【0071】
これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの発行処理、および移転処理に関する時間的制限を充たすユーザであって、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザに対してのみ、セキュリティトークンを発行・移転することができる。
【0072】
判定部140は、例えば、発行処理、移転処理および強制移転処理を実行する場合、ユーザがセキュリティトークンの発行や移転を受けるための所定の要件(取得者要件や譲渡要件)を充たすか否かを判定する。判定部140は、判定した結果(以下、「判定結果」という。)を発行部150に提供する。
【0073】
なお、判定部140は、例えば、トークン管理装置100において所定の要件を充たすか否かを判定する機能部であってもよいし、所定の要件を充たすか否かを判定するスマートコントラクトをブロックチェーンBN上で実行させる機能部であってもよい。また、所定の要件を充たすか否かを判定するスマートコントラクトである場合、当該スマートコントラクトは発行コントラクトおよび移転コントラクトに含まれるものであってもよい。以下、一例として、判定部140は、トークン管理装置100において所定の要件を充たすか否かを判定する機能部であることとして説明する。
【0074】
例えば、判定部140は、発行者端末200から取得する発行要求に基づき、発行要求の対象であるユーザのユーザ情報が、ホワイトリストに含まれる複数のユーザのユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定する。
【0075】
具体的には、判定部140は、発行を希望するユーザAのウォレットアドレス(ユーザ情報)がホワイトリストに含まれる複数のウォレットアドレスと合致するか否かを判定してもよい。すなわち、判定部140は、改ざんが事実上不可能なホワイトリストに、発行を希望するユーザのウォレットアドレス(その他、ユーザに関する情報であればよい)が含まれるか否かを判定してもよい。
【0076】
これにより、トークン管理装置100は、セキュリティトークンを「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」9条の2第1項第1号に掲げる者に限定して発行されていることを保証することができる。すなわち、トークン管理装置100は、取得者要件を充たしたユーザであることを改ざん不可能なホワイトリストによって保証することによって、定義府令9条の2第1項第1号の要件を充たす仕組みを備える。
【0077】
また、例えば、判定部140は、発行者端末200から取得する発行要求に基づき、発行要求の対象であるユーザのユーザ情報が、記憶部120に格納されるユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かをさらに判定してもよい。
【0078】
具体的には、判定部140は、発行を希望するユーザAのウォレットアドレス(ユーザ情報)が、ホワイトリストに含まれる複数のウォレットアドレスのうちのいずれか、および記憶部120に格納される複数のウォレットアドレスのうちのいずれかと合致するかを判定してもよい。
【0079】
すなわち、判定部140は、ユーザまたは発行者によって登録されるユーザ情報および改ざん不可能なホワイトリストに登録されているユーザ情報の両方に、発行を希望するユーザのユーザ情報が登録されているか否かを判定してもよい。
【0080】
これにより、トークン管理装置100は、セキュリティトークンを金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」9条の2第1項第1号に掲げる者に限定して発行されていることを保証するとともに、データの改ざん耐性を高めることで、投資家にとってより安全性の高いシステムを提供できるという効果を奏する。
【0081】
また、例えば、判定部140は、ホワイトリストに登録されている時間制限情報に基づき、現在のタイミングがセキュリティトークンを移転可能な時間的な制限を充たすか否かを判定してもよい。
【0082】
具体的には、判定部140は、時間制限情報がセキュリティトークンの発行を受けてから10日間が経過していない場合にはセキュリティトークンを移転できないことを示す情報である場合、記憶部120の取引履歴を参照して、ユーザが発行を受けてから時間的な制限を充たしているか否かを判定してもよい。
【0083】
これにより、トークン管理装置100は、セキュリティトークンの譲渡要件を充たす技術的措置を講じることができる。すなわち、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンの移転処理を適切に可能とするシステムを提供することができる。
【0084】
発行部150は、判定部140でユーザが所定の要件を充たすと判定された場合、セキュリティトークンを発行させる発行コントラクトまたは移転させる移転コントラクトを、ブロックチェーンBN上で実行させる。
【0085】
ここで、発行部150は、例えば、判定部140で判定された結果を確認した発行者の操作入力に基づき、ブロックチェーンBN上に記録されている発行コントラクトおよび移転コントラクトを実行させてもよい。
【0086】
<<発行者端末200>>
図2に戻り、発行者端末200の機能構成について説明する。
図2に示すように、発行者端末200は、例えば、取得部210、送信部220および記憶部230を含む。
【0087】
取得部210は、例えば、トークン管理装置100から、セキュリティトークンの発行を所望するユーザのユーザ情報を取得する。また、取得部210は、トークン管理装置100から判定結果を取得してもよい。
【0088】
送信部220は、例えば、トークン管理装置100に対して、登録要求、発行要求および承諾情報などを送信する。
【0089】
記憶部230は、例えば、ユーザ情報D231を有していてもよい。ユーザ情報D231は、トークン管理装置100におけるユーザ情報D121と同様であるため、その説明を省略する。
【0090】
<<ユーザ端末300>>
図2に戻り、ユーザ端末300の機能構成について説明する。
図2に示すように、ユーザ端末300は、例えば、取得部310、送信部320および記憶部330を含む。
【0091】
取得部310は、例えば、トークン管理装置100から、セキュリティトークンの発行処理、移転処理、強制移転処理など各種処理が実行された結果を取得する。また、取得部310は、トークン管理装置100から判定結果を取得してもよい。
【0092】
送信部320は、例えば、トークン管理装置100に対して、ユーザの操作入力に基づくユーザ情報を送信する。
【0093】
記憶部330は、例えば各種情報を記憶する。
【0094】
===処理手順===
図4~
図6を参照して、セキュリティトークン管理システム10の処理手順について説明する。
図4は、セキュリティトークン管理システム10における発行処理のフローを示す図である。
図5は、セキュリティトークン管理システム10における移転処理のフローを示す図である。
図6は、セキュリティトークン管理システム10における強制移転処理のフローを示す図である。
【0095】
<<発行処理>>
まず、
図4を参照して、セキュリティトークン管理システム10における発行処理の概要について説明する。
【0096】
ステップS100において、ユーザ端末300は、例えば、ユーザの操作入力を受け付けて、セキュリティトークンの発行を所望するユーザ(以下、「ユーザA」とする。)のユーザ情報を、トークン管理装置100に送信する。
【0097】
ステップS101において、トークン管理装置100は、例えば、ユーザ情報を発行者端末200に送信してもよい。
【0098】
ステップS102において、発行者端末200は、例えば、表示部にユーザ情報を表示させてもよい。発行者端末200は、発行者によってユーザが取得者要件を充たしていると判断された場合、発行者の操作入力を受け付けて、承諾情報および登録要求をトークン管理装置100に送信する。
【0099】
ステップS103において、トークン管理装置100は、例えば承諾情報を記憶部120に記憶する。
【0100】
ステップS104において、トークン管理装置100は、例えば、登録要求に基づき、ブロックチェーンBN上のホワイトリストに対してユーザAのユーザ情報および時間制限情報(ここでは「発行時時間制限情報」および「移転時時間制限情報」をいう。)を登録する。
【0101】
ステップS105において、トークン管理装置100は、例えば、記憶部120に承諾情報が記憶されたとき、ユーザ端末300にユーザAによる入金を依頼するための入金依頼情報を送信する。
【0102】
ステップS106において、ユーザ端末300は、例えば、ユーザAが投資資金を入金したことを示す入金情報をトークン管理装置100に送信する。トークン管理装置100は、入金情報を記憶部120に格納する。
【0103】
ステップS107において、発行者端末200は、発行者の操作入力に基づき、ユーザの入金が完了したことを示す確認済情報をトークン管理装置100に送信する。トークン管理装置100は、確認済情報を記憶部120に格納する。また、発行者端末200は、ユーザAにセキュリティトークンを発行させるための発行要求をトークン管理装置100に送信する。
【0104】
ステップS108において、トークン管理装置100は、ホワイトリストを参照して、ユーザAのユーザ情報がホワイトリストに登録されているか否かを判定する。
【0105】
ステップS109において、トークン管理装置100は、ユーザAのユーザ情報がホワイトリストに登録されていると判定され、ユーザAが時間的な制限をクリアすると判定された場合、ブロックチェーンBN上の発行コントラクトを実行させるための実行要求をブロックチェーンBNに送信する。
【0106】
ステップS110において、発行コントラクトは、ユーザAのウォレットに所望の口数のセキュリティトークンを発行する。
【0107】
これにより、セキュリティトークン管理システム10は、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンの取得者要件を充たすユーザAにセキュリティトークンを発行することができる。
【0108】
<<移転処理>>
次に、
図5を参照して、セキュリティトークン管理システム10における移転処理の概要について説明する。なお、以下では、セキュリティトークンの移転元ユーザをユーザAとし、移転先ユーザをユーザBとして説明する。
【0109】
ステップS200において、ユーザAのユーザ端末300は、セキュリティトークンを移転させるための移転要求を、発行者端末200に送信する。
【0110】
移転要求は、例えば、ユーザAのユーザ情報(例えばユーザID、ユーザ氏名など)およびユーザBのウォレットアドレスが少なくとも含まれていればよい。なお、発行者端末200は、トークン管理装置100を通じてユーザ端末300から移転要求を取得してもよい。
【0111】
ステップS201において、発行者端末200は、移転要求に基づき、ユーザBが取得者要件を充たしているか否かを判定する。
【0112】
例えば、発行者端末200は、記憶部230に格納されているユーザ情報を参照して、ユーザBが取得者要件を充たしているか否かを判定してもよい。
【0113】
また、例えば、発行者端末200は、ブロックチェーンBN上のホワイトリストに登録される複数のユーザ情報にユーザBのユーザ情報が含まれているか否かを確認することによって、ユーザBが取得者要件を充たしているか否かを判定してもよい。
【0114】
また、例えば、発行者端末200は、発行者がユーザBのユーザ情報を確認した結果、発行者による操作入力を受け付けることによって、ユーザBが取得者要件を充たしているか否かを判定してもよい。
【0115】
ステップS202において、発行者端末200は、ユーザBが取得者要件を充たしていると判定された場合、トークン管理装置100を通じてホワイトリストに登録されているユーザBの時間制限情報を更新する。
【0116】
このように、セキュリティトークン管理システム10は、ホワイトリストにユーザBのユーザ情報が登録されているか否かを判定し、登録されている場合、時間制限情報を更新する。セキュリティトークン管理システム10における当該動作によって、セキュリティトークンをユーザAからユーザBに移転することについて、譲渡要件である「ユーザAの申出および発行者による承諾」があったことを保証できる。
【0117】
ステップS203において、ユーザ端末300は、セキュリティトークンを移転させるための移転要求をトークン管理装置100に送信する。なお、ユーザ端末300は、ステップS200において、発行者端末200に移転要求を送信すると同時に、トークン管理装置100にも移転要求を送信してもよい。
【0118】
ステップS204において、トークン管理装置100は、ホワイトリストを参照して、ユーザAおよびユーザBのユーザ情報がホワイトリストに登録されているか否かを判定する。
【0119】
ステップS205において、トークン管理装置100は、ユーザAおよびユーザBのユーザ情報がホワイトリストに登録されていると判定され、ユーザAが時間的な制限(ここでは移転時時間制限情報が示す制限)をクリアすると判定された場合、ブロックチェーンBN上の移転コントラクトを実行させるための実行要求をブロックチェーンBNに送信する。
【0120】
ステップS206において、移転コントラクトは、ユーザAのウォレットからユーザBのウォレットに所望の口数のセキュリティトークンを移転する。
【0121】
これにより、セキュリティトークン管理システム10は、適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンの取得者要件および譲渡要件を充たすユーザの間でセキュリティトークンを移転させることができる。
【0122】
<<強制移転処理>>
次に、
図6を参照して、セキュリティトークン管理システム10における強制移転処理の概要について説明する。なお、以下では、セキュリティトークンの強制移転の移転元ユーザをユーザAとし、移転先ユーザをユーザBとして説明する。なお、「ユーザB」は発行者であってもよい。
【0123】
ステップS300において、発行者端末200は、発行者がセキュリティトークンの強制移転を必要と判断した場合、セキュリティトークンをユーザBに強制移転するための要求(以下、「強制移転要求」という。)を、トークン管理装置100に送信する、
【0124】
ステップS301において、トークン管理装置100は、強制移転要求に基づき、ユーザAのウォレットアドレスからユーザBのウォレットアドレスにセキュリティトークンを強制移転するためのスマートコントラクト(以下、「強制移転コントラクト」という。)を、ブロックチェーンBN上で実行させる。
【0125】
ステップS302において、トークン管理装置100は、ユーザAおよびユーザBのユーザ情報がホワイトリストに登録されていると判定された場合、ブロックチェーンBN上の強制移転コントラクトを実行させるための実行要求をブロックチェーンBNに送信する。
【0126】
ステップS303において、強制移転コントラクトは、ユーザAのウォレットからユーザBのウォレットに、ユーザAの全てのセキュリティトークンを移転する。
【0127】
なお、ステップS301において、トークン管理装置100は、強制移転要求に基づき、ユーザBのユーザ情報がブロックチェーンBN上のホワイトリストに登録される複数のユーザ情報のうちいずれかに含まれるか否かを判定してもよい。
【0128】
また、ユーザAに紐づけて強制移転先のウォレットアドレスを、トークン管理装置100に予め登録していてもよい。
【0129】
これにより、セキュリティトークン管理システム10は、投資家保護の観点から、何らかの原因でシステム障害が生じた場合や、システムの利用規約違反が生じた場合など、セキュリティトークンの運用上のイレギュラーな事情に対応することができる。
【0130】
<<変形例>>
トークン管理装置100は、例えば、発行者がセキュリティトークンを発行するにあたり、発行者において所定の条件が充たされるか否かをさらに判定してもよい。この場合のトークン管理装置100における各機能部について以下説明する。
【0131】
記憶実行部130は、例えば、発行者が発行するセキュリティトークンを保有するユーザの人数の上限値を示す保有者数情報と、当該セキュリティトークンを保有する全てのユーザが保有する保有量の上限値を示す上限量情報とをブロックチェーンBNに記憶させる。具体的には、例えば、ブロックチェーンBN上には、保有者数情報として「499人」が登録されており、上限量情報として「セキュリティトークン総供給量の50%」で登録されていてもよい。
【0132】
この場合、ブロックチェーンBNには、例えば、現在における、発行者が発行済のセキュリティトークンを保有するユーザの人数を示す情報と、当該セキュリティトークンを保有する全てのユーザが保有する保有量を示す情報とが記憶されている。
【0133】
判定部140は、例えば、発行者端末200から取得される発行要求に基づき、ブロックチェーンBNに記憶されている情報を参照して、発行を申し込んだユーザを含めて保有者数情報が示す人数の上限値を超えないことを示す第1要件を充たすか否かを判定してもよい。
【0134】
また、判定部140は、例えば、ブロックチェーンBNに記憶されている情報を参照して、発行を申し込んだユーザが保有するセキュリティトークンが保有量の上限値を超えないことを示す第2要件を充たすか否かを判定してもよい。
【0135】
なお、判定部140は、例えば、第1要件および第2要件のうち少なくともいずれかが充たされているか否かを判定してもよい。また、判定部140は、第1要件および第2要件を充たすか否かを判定するスマートコントラクトをブロックチェーン上で実行させる機能部であってもよい。
【0136】
発行部150は、例えば、判定部140において第1要件および第2要件のうち少なくともいずれかを充たすと判定された場合、ユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる。
【0137】
これにより、セキュリティトークン管理システム10は、発行者に対してもセキュリティトークンを発行するための制限を設けることができるため、発行者による不適切なセキュリティトークンの発行を回避できる。例えば、セキュリティトークン管理システム10は、特定のユーザに対して多くのセキュリティトークンが発行される事態を回避でき、また、セキュリティトークンの発行量を適切に制限できる。
【0138】
なお、上記において、保有者数情報および上限量情報は、ブロックチェーンBN上に記憶されているとして説明したが、これに限定されない。保有者数情報および上限量情報は、記憶部120に記憶されていてもよい。この場合、判定部140は、例えば、記憶部120に記憶されている情報を参照して、第1要件および第2要件を充たすか否かを判定してもよい。
【0139】
これにより、セキュリティトークン管理システム10は、ブロックチェーンBNで情報を管理するための費用を縮減しつつ、発行者による不適切なセキュリティトークンの発行を回避できる。
【0140】
===ハードウェア構成===
図7を参照して、トークン管理装置100、発行者端末200およびユーザ端末300をコンピュータ1000により実現する場合のハードウェア構成の一例について説明する。なお、トークン管理装置100、発行者端末200およびユーザ端末300の各種機能は、複数台の装置に分けて実現できる。
【0141】
図7は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図7に示すように、コンピュータ1000は、例えば、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006および表示部1007を含む。
【0142】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0143】
メモリ1002は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0144】
記憶装置1003は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0145】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等である。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続されてもよい。
【0146】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0147】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0148】
表示部1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示部1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示部1007は、コンピュータ1000の外部に設けられてもよい。その場合、表示部1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示部1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
【0149】
===まとめ===
セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンを取得するためのユーザの要件である取得者要件を充たすユーザに関する情報である第1ユーザ情報を、ブロックチェーンBN上(例えばホワイトリスト)に記憶させる記憶実行部130と、所定のユーザにセキュリティトークンを発行するための発行要求を、発行者端末200(セキュリティトークンの発行者)から取得する取得部110と、発行要求に基づいて、所定のユーザに関する情報が、ブロックチェーンBN上に記憶されている複数の第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定する判定部140と、判定部140において所定のユーザに関する情報が複数の第1ユーザ情報のいずれかに含まれていると判定された場合、ブロックチェーン上で所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる発行部150と、を含む。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、取得者要件を充たした者に対してのみ、セキュリティトークンを発行することができるため、例えば適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを、適切に管理することができる。
【0150】
また、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの取得を所望するユーザに関する情報である第2ユーザ情報を、ブロックチェーンを用いずに記憶する記憶部120をさらに備え、判定部140は、所定のユーザに関する情報が、記憶部120に記憶されている複数の第2ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かをさらに判定し、発行部150は、判定部140において所定のユーザに関する情報が第1ユーザ情報および第2ユーザ情報に含まれていると判定された場合、ブロックチェーンBN上で所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの発行、および移転の対象となるユーザ情報の改ざん耐性をさらに高めることができる。
【0151】
また、セキュリティトークン管理システム10の記憶実行部130は、セキュリティトークンを発行可能な第1時間制限に関する情報である発行時時間制限情報(第1時間制限情報)をブロックチェーン上に記憶させ、判定部140は、発行時時間制限情報(第1時間制限情報)に基づいて、現在のタイミングが第1時間制限を充たすか否かを判定し、発行部150は、判定部140において現在のタイミングが第1時間制限を充たすと判定された場合、ブロックチェーンBN上で所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの取得者要件を充たした者に対するセキュリティトークンの発行、および移転の安全性をさらに高めることができる。
【0152】
また、セキュリティトークン管理システム10の記憶実行部130は、セキュリティトークンを保有するユーザの人数の上限値を示す保有者数情報と、セキュリティトークンを保有する全てのユーザが保有する保有量の上限値を示す上限量情報と、のうち少なくともいずれかを、ブロックチェーンBN上に記憶させ、判定部140は、発行要求に基づいて、所定のユーザを含めて保有者数情報が示す人数の上限値を超えるか否かの判定、および所定のユーザが保有するセキュリティトークンが保有量の上限値を超えるか否かの判定、のうち少なくともいずれかを判定し、発行部150は、判定部140において、人数の上限値を超えない、または、保有量の上限値を超えないと判定された場合、所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行する。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの発行者に対して、トークンの発行量を調整する機能を提供することができ、利便性の高いセキュリティトークン管理システムを提供することができる。
【0153】
また、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの取得を所望するユーザに関する情報である第2ユーザ情報を、ブロックチェーンを用いずに記憶し、セキュリティトークンを保有するユーザの人数の上限値を示す保有者数情報と、セキュリティトークンを一人のユーザが保有する保有量の上限値を示す上限量情報と、のうち少なくともいずれかを記憶する記憶部120をさらに備え、判定部140は、発行要求に基づいて、所定のユーザを含めて保有者数情報が示す人数の上限値を超えないことを示す第1要件を充たすか否かの判定、および所定のユーザが保有するセキュリティトークンが保有量の上限値を超えないことを示す第2要件を充たすか否かの判定、のうち少なくともいずれかを実行し、発行部150は、判定部140において、第1要件および第2要件のうち少なくともいずれかを充たすと判定された場合、所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行する。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの発行者に対して、トークンの発行量を調整する機能を提供することができ、利便性の高いセキュリティトークン管理システムを提供することができる。
【0154】
また、セキュリティトークン管理システム10の判定部140は、セキュリティトークンを譲渡するための要件である譲渡要件であって、譲渡要件は、所定のセキュリティトークンを所有するユーザから、所定のセキュリティトークンを他のユーザに譲渡することを示す譲渡要求を発行者が受け付けたことと、発行者において譲渡要求が承認されたことと、を少なくとも含み、所有するユーザから他のユーザに所定のセキュリティトークンを譲渡することの譲渡要求を受け付けた場合、所定のセキュリティトークンを譲渡することについて、譲渡要件を充たすか否かを判定し、発行部150は、判定部140において譲渡要件が充たされていると判定された場合、ブロックチェーンBN上で、所定のセキュリティトークンを他のユーザのウォレットに移転させる。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの移転に制限を設けることができ、セキュリティトークンの譲渡要件を充たした場合にのみ、セキュリティトークンを移転することができる。すなわち、例えば適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを、適切に管理することができる。
【0155】
また、セキュリティトークン管理システム10の記憶実行部130は、セキュリティトークンを譲渡可能な第2時間制限に関する情報である第2時間制限情報をブロックチェーンBN上に記憶させ、判定部140は、第2時間制限情報に基づいて、現在のタイミングが第2時間制限を充たすか否かを判定し、発行部150は、判定部140において現在のタイミングが第2時間制限を充たすと判定された場合、ブロックチェーン上で所定のユーザのウォレットにセキュリティトークンを発行させる。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークン発行者による移転の制限を可能とすることができ、例えば適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを、適切に管理することができる。
【0156】
また、セキュリティトークン管理システム10の判定部140は、所有するユーザに関する情報および他のユーザに関する情報が、ブロックチェーンBN上に記憶されている第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定し、発行部150は、判定部140において所有するユーザに関する情報および他のユーザに関する情報が第1ユーザ情報に含まれていると判定された場合、ブロックチェーンBN上で、所定のセキュリティトークンを他のユーザのウォレットに移転させる。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、セキュリティトークンの移転に制限を設けることができるため、セキュリティトークンの譲渡要件を充たした場合にのみ、セキュリティトークンを移転することができる。すなわち、例えば適用除外電子記録移転権利に基づくセキュリティトークンを、適切に管理することができる。
【0157】
また、セキュリティトークン管理システム10の取得部110は、セキュリティトークンをウォレットに保有する所定のユーザから、当該セキュリティトークンを他のユーザのウォレットに強制的に移転させるための強制移転要求を、発行者から取得し、判定部140は、強制移転要求に基づいて、所定のユーザに関する情報および他のユーザに関する情報が、ブロックチェーンBN上に記憶されている第1ユーザ情報のうちのいずれかに含まれるか否かを判定し、発行部150は、判定部140において所定のユーザに関する情報および他のユーザに関する情報が第1ユーザ情報に含まれていると判定された場合、ブロックチェーン上で、所定のセキュリティトークンを他のユーザのウォレットに移転させる。これにより、セキュリティトークン管理システム10は、投資家保護の観点から、何らかの原因でシステム障害が生じた場合や、システムの利用規約違反が生じた場合など、セキュリティトークンの運用上におけるイレギュラーな事情に対応することができる。
【0158】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素ならびにその配置、材料、条件、形状およびサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換しまたは組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0159】
10…セキュリティトークン管理システム、100…トークン管理装置、110…取得部、120…記憶部、130…記憶実行部、140…判定部、150…発行部、200…発行者端末、300…ユーザ端末。