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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034803
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】モータ及びモータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/40 20160101AFI20240306BHJP
   H02K 21/04 20060101ALI20240306BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02P29/40
H02K21/04
H02K21/16 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139296
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴洋
【テーマコード(参考)】
5H501
5H621
【Fターム(参考)】
5H501AA17
5H501BB11
5H501DD04
5H501GG05
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL35
5H621AA03
5H621BB10
5H621GA04
5H621PP10
(57)【要約】
【課題】外乱の影響によらず、安定した動作を行えるモータ及びモータシステムを実現する。
【解決手段】複数のステータティース113にそれぞれステータコイル114が巻回され、ステータコイル114に供給される駆動電流により回転磁界を発生するステータ110と、ステータ110に対して回転可能であって、ステータ110に対向する側に周方向に配列されたマグネット122を有するロータ120と、を備えるモータであって、ロータ120には、マグネット122による磁束と平行な磁束を生成するようにマグネット122に対応したロータコイル124が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステータティース(113)にそれぞれステータコイル(114)が巻回され、前記ステータコイル(114)に供給される駆動電流により回転磁界を発生するステータ(110)と、
前記ステータ(110)に対して回転可能であって、前記ステータ(110)に対向する側に周方向に配列されたマグネット(122)を有するロータ(120)と、
を備え、
前記ロータ(120)には、前記マグネット(122)による磁束と平行な磁束を生成するように前記マグネット(122)に対応したロータコイル(124)が設けられている
モータ。
【請求項2】
前記ロータ(120)は、周方向に配列され、前記ステータ(110)に向かって径方向に突出するロータティース(123)を有し、
前記マグネット(122)は、前記ステータ(110)に対向する前記ロータティース(123)の端部側に設けられており、
前記ロータコイル(124)は、前記ロータティース(123)に巻回される
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ロータ(120)は、前記ステータ(110)に対向する側において、前記マグネット(122)を通らずに前記ロータコイル(124)による磁束を通す補助磁路(125)をさらに有する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータコイル(124)は、前記マグネット(122)による磁束と同じ向きの磁束を生成する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータ(120)の回転を外部に取り出す回転軸により被駆動体を直接駆動するダイレクトドライブモータであることを特徴とする
請求項1のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ(100)と、
前記モータ(100)に駆動信号を供給するコントローラ(300)と、
を備えるモータシステム(1)であって、
前記コントローラ(300)は、
前記駆動電流として前記ステータコイル(114)に供給するステータ駆動電流と、前記ロータコイル(124)に供給するロータ駆動電流とを生成可能に構成され、
定められた回転速度で前記モータ(100)を回転させるため前記ステータ駆動電流を前記ステータコイル(114)に供給し、
前記ステータ駆動電流を検知し、検知した前記ステータ駆動電流の変動によって前記モータ(100)の状態を取得し、取得した前記モータ(100)の状態に基づいて、前記回転を維持するため前記ロータ駆動電流を前記ロータコイル(124)に供給する、
モータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びモータシステムに関し、特に、必要に応じてトルクを調整可能なモータ及びモータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
固定子に設けられたコイルにコントローラから駆動信号の供給を受け、固定子に対向する側に周方向に永久磁石が配列された回転子が回転する、永久磁石同期電動機と呼ばれるモータが存在している。この永久磁石同期電動機は固定子側にコイルを有することで、整流子とブラシが不要であり、ブラシレスモータと呼ばれることもある。以下、永久磁石同期電動機を単にモータと呼ぶ。この種のモータは、以下の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―145860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータは低速から定格回転速度まで一定のトルクで連続運転が可能である。また、定格トルク内であれば、負荷の大きさが変化しても、安定した速度で回転する特性を有している。
【0005】
一方、監視装置、あるいは船舶や航空機などの移動体に設けられたカメラを安定させる安定装置などで使用されるモータは、突風または急激な振動などの外乱の影響を受けて回転速度または回転角度に変化を生じ、予定していた安定化動作を十分に行えないことがある。
このような場合に、通常必要とされるトルクを大きく超える大容量のモータを使用することは、コストの増大及び装置の大型化などの観点から望ましくない。よって、外乱の影響を抑え、安定した動作を行えるモータ及びモータシステムの実現が待たれていた。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、外乱の影響を受けることなく安定した動作を行うことが可能なモータ及びモータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るモータは、複数のステータティースにそれぞれステータコイルが巻回され、ステータコイルに供給される駆動電流により回転磁界を発生するステータと、ステータに対して回転可能であって、ステータに対向する側に周方向に配列されたマグネットを有するロータと、を備え、ロータには、マグネットによる磁束と平行な磁束を生成するようにマグネットに対応したロータコイルが設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るモータにおいて、ロータは、周方向に配列され、ステータに向かって径方向に突出するロータティースを有し、マグネットは、ステータに対向するロータティースの端部側に設けられており、ロータコイルは、ロータティースに巻回されてもよい。
【0009】
この発明に係るモータにおいて、ロータは、ステータに対向する側において、マグネットを通らずにロータコイルによる磁束を通す補助磁路をさらに有してもよい。
【0010】
この発明に係るモータにおいて、ロータコイルは、マグネットによる磁束と同じ向きの磁束を生成してもよい。
【0011】
この発明に係るモータは、ロータの回転を外部に取り出す回転軸により被駆動体を直接駆動するダイレクトドライブモータであってもよい。
【0012】
この発明に係るモータシステムは、以上のモータと、モータに駆動信号を供給するコントローラと、を備えるモータシステムであって、コントローラは、駆動電流としてステータコイルに供給するステータ駆動電流と、ロータコイルに供給するロータ駆動電流とを生成可能に構成され、定められた回転速度でモータを回転させるためステータ駆動電流をステータコイルに供給し、ステータ駆動電流を検知し、検知したステータ駆動電流の変動によってモータの状態を取得し、取得したモータの状態に基づいて、回転を維持するためロータ駆動電流をロータコイルに供給する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータの動作を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1のモータの構成を示す平面図である。
図2】本発明の実施の形態1のモータの主要部を拡大して示す拡大構成図である。
図3図2のIII-III線における断面を示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態1のモータを用いたモータシステムの構成を示す構成図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるモータシステムの制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のモータとモータシステムの実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0016】
実施の形態1.
はじめに、図1図3を用いて、本発明の実施の形態1におけるモータ100の構成について説明する。図1は本発明の実施の形態1のモータの構成を示す平面図である。図2は本発明の実施の形態1のモータの主要部を拡大して示す拡大構成図である。図3図2のIII-III線における断面を示す断面図である。
ここで、モータ100は、固定子に設けられたコイルにコントローラから駆動信号の供給を受け、固定子に対向する側に周方向に永久磁石が配列された回転子が回転する、永久磁石同期電動機である。
【0017】
図1において、モータ100には、主に、ステータ110と、ロータ120とが設けられている。図1には、ロータ120がステータ110の内側に配置されたインナーロータ形式のモータ100を示している。
【0018】
ステータ110は、固定子であり、図示しないケース等に収容され、各種の装置に取り付けられている。ステータ110には、ステータコア111と、ステータティース113と、ステータコイル114とが設けられている。
ステータコア111は、輪状の積層された電磁鋼板で形成され、ステータ110の磁路として作用する。ステータティース113は、ステータコア111と共に電磁鋼板で形成され、周方向等間隔に、ステータコア111からロータ120に向かって径方向に複数突出する磁極である。各ステータティース113には、図2に示すように、それぞれステータコイル114が巻回されている。ステータコイル114は、外部のコントローラからステータ駆動電流の供給を受け、回転磁界を発生する。図1では、ステータ110において18極のステータティース113とステータコイル114とが設けられている様子を示している。なお、ステータティース113の形状を明らかに示すため、図1ではステータティース113に巻回されるステータコイル114を一部省略して示している。
【0019】
ロータ120は、ステータ110に対して隙間を空けて設けられ、ステータ110に対して回転可能な回転子であり、図示しない回転軸を介して、外部に回転力を供給する。ロータ120には、ロータコア121と、マグネット122と、ロータティース123と、ロータコイル124とが設けられている。
ロータコア121は、輪状の電磁鋼板で形成され、ロータ120の磁路として作用する。ロータティース123は、ロータコア121と一体に電磁鋼板で形成され、周方向等間隔に、ロータコア121からステータ110に向かって径方向に複数突出する磁極である。なお、ロータティース123の形状を明らかに示すため、図1ではロータティース123に巻回されるロータコイル124を一部省略して示している。
ロータティース123には、ステータ110に対向する端部側に、マグネット122が設けられている。すなわち、マグネット122は、ロータ120において、ステータ110に対向する側に周方向に配列されている。図1では、ロータ120において20極のマグネット122が設けられている様子を示している。
各ロータティース123には、図2に示すように、それぞれロータコイル124が巻回されている。ロータコイル124は、外部のコントローラからロータ駆動電流の供給を受け、マグネット122による磁束と平行かつ同じ向きの補助的な磁束を生成する。
【0020】
モータ100が有限角度の回転を行うダイレクトドライブモータである場合、外部から供給されるロータ駆動電流は、図示しないケース等のいずれかの位置に設けられた端子部から、図示しない配線を介してロータコイル124に供給される。
【0021】
図3は、ステータ110とロータ120における径方向の断面を示している。ロータ120には、ステータ110に対向する側において、マグネット122を通らずに、ロータコイル124により生成される磁束を通す補助磁路125が設けられている。補助磁路125は、ステータ110に対向する側へロータティース123を延長して構成される。すなわち、マグネット122は、ロータティース123の端部の一部のみに設けられている。 ロータコイル124により生成される磁束は、マグネット122よりも磁気抵抗の低い補助磁路125を通り、マグネット122に対向するステータ110側へ効率的に流れる。
【0022】
次に、図4を用いて、本発明の実施の形態1におけるモータ100を用いたモータシステム1の構成について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1のモータ100を用いたモータシステム1の構成を示す構成図である。図4において、モータシステム1には、主に、モータ100と、コントローラ300とが設けられている。
【0023】
モータ100は、コントローラ300からステータコイル114にステータ駆動電流の供給を受け、定められた回転数に対応して極性が変化する回転磁界をステータ110に発生する。この回転磁界の極性の変化に対応して、マグネット122を有するロータ120が回転する。モータに取り付けられたセンサ200は、モータ100の状態として回転速度または回転角度を検出する。センサ200は、モータ100と一体、あるいは、モータ100の内部に設けられている。また、センサ200は、モータ100により駆動される図示しない被駆動体の状態を検知するものであってもよい。
【0024】
コントローラ300は、定められた回転速度でモータ100を回転させるためステータ駆動電流を生成し、生成したステータ駆動電流をステータコイル114に供給する。
コントローラ300は、ステータ駆動電流を検知し、検知したステータ駆動電流の変動によって、モータ100または被負荷体の状態を取得する機能を備えている。以下、「モータ100または被負荷体の状態」を「モータ100の状態」と言う。また、「ステータ駆動電流を検知し、検知したステータ駆動電流の変動によって、モータ100または被負荷体の状態を取得する」ことを「ステータ駆動電流によりモータ100の状態を取得する」と言う。
コントローラ300は、ステータ駆動電流により取得したモータ100の状態に基づいて、外乱等の影響によりモータ100の回転が定められた回転速度または回転角度を維持できない場合、モータ100の回転について定められた回転速度または回転角度を維持するためロータ駆動電流を生成し、生成したロータ駆動電流をロータコイル124に供給する。
ロータコイル124は、コントローラ300からのロータ駆動電流を受け、マグネット122による磁束と平行であって、マグネット122による磁束と同じ向きの、補助的な磁束を生成する。すなわち、ロータコイル124は、コントローラ300からのロータ駆動電流を受け、マグネット122による磁束を強める働きをする。この結果、モータ100のトルクは、コントローラ300からのロータ駆動電流により増強される。
【0025】
ここで、図5のフローチャートを参照して、モータシステム1におけるコントローラ300の制御の手順を説明する。図5は、本発明の実施の形態1におけるモータシステム1の制御の手順を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS1において、コントローラ300は、予め与えられた指示または外部から与えられる指示に基づいて、モータ100の回転速度と回転範囲とを決定する。なお、予め回転範囲が定められている場合には、コントローラ300は、回転速度を決定する。この後、処理はステップS2へと進む。
【0027】
ステップS2において、コントローラ300は、決定された回転速度でモータ100を回転させるためのステータ駆動電流を生成し、生成したステータ駆動電流をステータコイル114に供給する。ステータ110は、コントローラ300からステータ駆動電流の供給を受け、決定された回転数に対応して極性が変化する回転磁界を発生する。マグネット122を有するロータ120は、ステータ110での回転磁界の極性の変化に対応し、回転する。このようにして、モータ100は、回転軸を介して外部の被駆動体にロータ120の回転を供給する。この後、処理はステップS3へと進む。
【0028】
ステップS3において、コントローラ300は、ステータ駆動電流により、モータ100の状態を取得する。この後、処理はステップS4へと進む。
【0029】
ステップS4において、コントローラ300は、モータ100の状態に変動を生じているかを判定する。コントローラ300は、ステータ駆動電流を規定値と比較し、ステータ規定値に一定の閾値を加えた範囲(以下、「規定範囲」と言う)にステータ駆動電流が収まっていれば変動なし、規定範囲にステータ駆動電流が収まっていなければ変動あり、と判定する。
この変動の具体例としては、監視カメラ等の被負荷体に突風または急激な振動などの外乱が加わった影響により、モータ100のステータ駆動電流が増大し、規定範囲に収まっていない場合が該当する。この場合、コントローラ300は、ステータ駆動電流の増大を検出することで、モータ100が外乱トルクの影響を受けていると判断することができる。
ステップS4において変動なしと判定された場合、処理はステップS8へと進む。一方、ステップS4において変動ありと判定された場合、処理はステップS5へと進む。
【0030】
ステップS5において、コントローラ300は、モータ100に供給するステータ駆動電流が規定範囲に収まるように、必要なロータ駆動電流を生成し、生成したロータ駆動電流をロータコイル124に供給する。
コントローラ300からのロータ駆動電流を受けたロータコイル124は、マグネット122による磁束と平行かつ同じ向きの補助的な磁束を生成し、マグネット122による磁束を強める働きをする。これにより、モータ100のトルクが増大し、外乱トルクの影響を軽減することができる。この後、処理はステップS6へと進む。
【0031】
ステップS6において、コントローラ300は、モータ100の状態における変動を解消しているかを判定する。すなわち、コントローラ300は、ステータ駆動電流が規定範囲に収まっているかを確認する。
ステップS6において、コントローラ300は、ステータ駆動電流の増大が収まらず、変動を解消していないと判定した場合、処理をステップS5へと戻し、ロータコイル124へのロータ駆動電流の供給を続ける。
一方、ステップS6において、コントローラ300は、ステータ駆動電流が規定範囲に収まっており、変動を解消したと判定した場合、処理をステップS7へと進める。
【0032】
ステップS7において、コントローラ300は、変動を解消したとの判定に基づいて、ロータコイル124へのロータ駆動電流の供給を中止し、ステータコイル114へのステータ駆動電流の供給を続ける。この後、処理はステップS8へと進む。
【0033】
ステップS8において、コントローラ300は、モータ100の回転角度または回転位置が目標とする定められた回転範囲に到達しているか否かをセンサ200の検知結果により判定する。
ステップS8において、モータ100の回転角度または回転位置が目標とする定められた回転範囲に到達していないと判定された場合、処理はステップS1に戻る。この場合、コントローラ300は、ステップS1以降の処理を繰り返し実行する。
【0034】
一方、ステップS8において、モータ100の回転角度または回転位置が定められた回転範囲に到達していると判定された場合、処理はステップS9へと進む。
ステップS9において、コントローラ300は、モータ100の回転角度または回転位置が定められた回転範囲に到達しているとの判定に基づいて、ステータコイル114へのステータ駆動電流の供給を中止する。
これにより、モータ100は動作を停止する。この後、コントローラ300の処理はエンドへと進み、図5に示す全ての処理を終了する。
【0035】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1に説明したモータ100及びモータシステム1によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0036】
実施形態1に係るモータ100は、複数のステータティース113にそれぞれステータコイル114が巻回され、ステータコイル114に供給される駆動電流により回転磁界を発生するステータ110と、ステータ110に対して回転可能であって、ステータ110に対向する側に周方向に配列されたマグネット122を有するロータと、を備え、ロータには、マグネット122による磁束と平行な磁束を生成するようにマグネット122に対応したロータコイル124が設けられている。
このモータ100では、ロータ駆動電流を受けたロータコイル124は、マグネット122による磁束を強める働きをする。このため、モータ100のトルクは増強される。よって、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【0037】
実施形態1に係るモータ100において、ロータは、周方向に配列され、ステータ110に向かって径方向に突出するロータティース123を有し、マグネット122は、ステータ110に対向するロータティース123の端部側に設けられており、ロータコイル124は、ロータティース123に巻回される。
このモータ100では、ロータティース123に巻回されたロータコイル124は、ロータ駆動電流を受けることにより、マグネット122による磁束を強める働きをするため、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【0038】
実施形態1に係るモータ100において、ロータは、ステータ110に対向する側において、マグネット122を通らずにロータコイル124による磁束を通す補助磁路125をさらに有してもよい。
このモータ100では、ロータコイル124により生成される磁束は、マグネット122よりも磁気抵抗の低い補助磁路125を通り、マグネット122に対向するステータ110側へ効率的に流れるため、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【0039】
実施形態1に係るモータ100において、ロータコイル124は、マグネット122による磁束と同じ向きの磁束を生成する。このモータ100では、ロータティース123に巻回されたロータコイル124は、ロータ駆動電流を受けることにより、マグネット122による磁束と同じ向きの磁束を生成し、マグネット122による磁束を強める働きをするため、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【0040】
実施形態1に係るモータ100は、ロータの回転を外部に取り出す回転軸により被駆動体を直接駆動するダイレクトドライブモータであってもよい。
このモータ100が被駆動体を直接駆動するダイレクトドライブモータである場合、被駆動体に生じる外乱の影響を受けやすくなるが、ロータ駆動電流を受けたロータコイル124は、マグネット122による磁束を強める働きをするため、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【0041】
実施形態1に係るモータシステムは、以上のモータ100と、モータ100に駆動信号を供給するコントローラと、を備えるモータシステムであって、コントローラは、駆動電流としてステータコイル114に供給するステータ駆動電流と、ロータコイル124に供給するロータ駆動電流とを生成可能に構成され、定められた回転速度でモータ100を回転させるためステータ駆動電流をステータコイル114に供給し、ステータ駆動電流を検知し、検知したステータ駆動電流の変動によってモータ100の状態を取得し、取得したモータ100の状態に基づいて、回転を維持するためロータ駆動電流をロータコイル124に供給する。
このモータシステム1において、モータ100は、コントローラ300からロータ駆動電流を受け、マグネット122による磁束を強める働きをするため、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【0042】
[その他の実施の形態]
被負荷体が追い風を受けることによりモータ100の回転速度または回転角度が目標よりも進み過ぎている場合、コントローラ300はモータ100のトルクを減じるようなロータ駆動電流を生成してもよい。このロータ駆動電流を受けたロータコイル124は、マグネット122による磁束と平行であって、マグネット122による磁束と逆向きの補助的な磁束を生成する。すなわち、ロータ駆動電流を受けたロータコイル124は、マグネット122による磁束を弱める働きをする。このため、モータ100のトルクは減弱され、外乱の影響を受けることなく安定した状態でモータ100の動作を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0043】
1 モータシステム、100 モータ、110 ステータ、111 ステータコア、113 ステータティース、114 ステータコイル、120 ロータ、121 ロータコア、122 マグネット、123 ロータティース、124 ロータコイル、125 補助磁路、200 センサ、300 コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5