(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034830
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】燃焼システム及び燃焼方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20240306BHJP
F23C 9/08 20060101ALI20240306BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F23G5/50 C
F23G5/50 H
F23G5/50 L
F23C9/08 502
F23J15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139342
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000136804
【氏名又は名称】株式会社プランテック
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 良二
(72)【発明者】
【氏名】増田 倹吾
【テーマコード(参考)】
3K062
3K070
3K091
【Fターム(参考)】
3K062AA02
3K062AB01
3K062AC01
3K062CB04
3K062DB06
3K070DA24
3K091GA30
3K091GA36
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を効率的に分離回収することができるとともに、ストーカ式焼却炉の局所的な温度上昇の発生を回避して火格子の焼損を防止することが可能な燃焼システム及び燃焼方法を提供する。
【解決手段】本発明の燃焼システムは、下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、再循環させた燃焼排ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として各ストーカに供給する酸化剤供給手段と、各ストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を個別に調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、再循環させた燃焼排ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、
前記ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段と、
を備える燃焼システム。
【請求項2】
前記酸素濃度調整手段は、前記再循環させた燃焼排ガスに混合される酸素の供給量を前記ストーカごとに調整する酸素供給量調整手段によって構成される、
請求項1に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える、
請求項1又は2に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記再循環させた燃焼排ガスとして減温集じん後の燃焼排ガスを用いる、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項5】
前記再循環させた燃焼排ガスに混合する酸素として圧力変動吸着法(PSA法)により製造した酸素を用いる、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項6】
前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段をさらに備え、
前記二酸化炭素分離手段は前記水分離手段によって水分を分離された燃焼排ガスから二酸化炭素を分離する、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項7】
前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段と、
前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置を備え、
前記再循環させた燃焼排ガスに混合する酸素として前記水電気分解装置における電気分解によって発生した酸素を用いる、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項8】
二次燃焼用の酸化剤として空気を用いる、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項9】
下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法であって、
再循環させた燃焼排ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップと、
前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップと、
前記ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、
を備える燃焼方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化剤を用いて廃棄物を燃焼する燃焼システム及び燃焼方法に関し、特に、二酸化炭素の排出を抑制するとともに大気に放出される排ガス量を低減するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般廃棄物や産業廃棄物を処理するにあたり、いわゆるストーカ式焼却炉が使用されている。ストーカ式焼却炉は、前後及び左右方向に複数配設されたストーカと呼ばれる火格子の前後の往復運動に伴い、ごみが前方に移動しながら徐々に乾燥及び燃焼する方式の焼却炉であり、比較的単純な構造でありながら、投入されるごみの水分量や蒸発量によらず大量の廃棄物を処理することができるため、多くの焼却処理施設において採用されている。
【0003】
ストーカ式焼却炉においては、通常、乾燥ストーカ、燃焼ストーカ及び後燃焼ストーカの三段のストーカによって全体の火格子が構成され、それぞれのストーカ下から空気を供給することによって廃棄物を乾燥、燃焼、後燃焼(おき燃焼)させる。
【0004】
ところで、一般に、焼却炉に投入される廃棄物は性状や組成が一定でないことが多い。そのため、ストーカ上での燃焼を安定させるために、乾燥、燃焼、後燃焼ストーカそれぞれの送り速度を制御している。また、ストーカ下から供給するための空気をそれぞれのストーカごとに分割し、それぞれのストーカに供給する空気量を制御することによって安定燃焼を図っている。あるいは、ストーカ下から供給する空気に再循環させた燃焼排ガスや酸素を混合し、酸素濃度を変化させることにより、燃焼の抑制や燃焼の促進を行って安定燃焼を図っている。
【0005】
ところが、このような制御の場合、空気量の調整による制御が主体となり、燃えやすいごみが局在している箇所に空気が過剰に供給された場合の局所的な温度上昇に伴う火格子の焼損が避けられない。
【0006】
また、近年では、地球温暖化防止のため、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための様々な試みが検討されているが、ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガス中には、燃焼用空気に含まれる窒素が多く含まれており、そのため二酸化炭素の濃度が低く、また燃焼排ガス流量も多いため、二酸化炭素を分離回収するためには膨大なエネルギを必要とする。
【0007】
燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を効率よく分離回収するための試みとして、燃焼用の酸化剤として空気を用いるのではなく、酸素と燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスを所定の割合で混合させたものを使用することが、石炭焚きボイラの技術分野において提案されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0008】
非特許文献1や非特許文献2に記載された発明によると、酸素と再循環ガスの混合ガスを酸化剤として使用した場合にボイラから排出される燃焼排ガスの主成分は二酸化炭素となる。そしてボイラから排出された二酸化炭素の一部は再循環ガスとして酸素と混合され、残部が分離回収される。この燃焼技術は、酸化剤の主成分が酸素と二酸化炭素であることから、O2/CO2燃焼と呼ばれる。
【0009】
O2/CO2燃焼を行うことで、燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を約97%にまで高めることができるとともに、燃焼排ガス流量は空気燃焼の場合の約1/5となり、より経済的に二酸化炭素を分離回収することが可能となる。
【0010】
ところで、このようなO2/CO2燃焼をストーカ式焼却炉に適用した場合であっても、燃焼制御は依然としてストーカの送り速度の調整や酸化剤の供給量の調整によって行われるため、局所的な温度上昇に伴う火格子の焼損は避けられない。また特許文献1、特許文献2、特許文献3には、ストーカに供給する酸化剤の酸素濃度を制御する方法が提案されているが、二酸化炭素の分離回収を前提としたものではなく、あくまで燃焼の制御のみに着目したものである(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】内田輝俊「酸素燃焼を用いたCO2を排出しない石炭火力発電所の実現に向けて~カライド酸素燃焼プロジェクトの運転状況~」、平成25年度火力原子力発電大会論文集、2014年4月発刊
【非特許文献2】中山寿美枝、外3名「O2/CO2燃焼によるCO2回収型石炭火力システム」、エネルギー・資源、Vol.14 No.1(1993)
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006-57963号公報
【特許文献2】特開2020-91054号公報
【特許文献3】特開2006-242490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素を効率的に分離回収することができるとともに、ストーカ式焼却炉の局所的な温度上昇の発生を回避して火格子の焼損を防止することが可能な燃焼システム及び燃焼方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0015】
第1の特徴に係る発明は、下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、再循環させた燃焼排ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、複数のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度をストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段とを備える燃焼システムである。
【0016】
第1の特徴に係る発明によれば、酸素と再循環ガスを酸化剤として使用することで、燃焼排ガス中の成分は、ほぼ二酸炭素と水となる。つまり、酸化剤として空気を使用した場合と比して燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高めることができるため、二酸化炭素分離手段において効率的に二酸化炭素を回収することが可能となる。また、ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガスの流量は、空気を酸化剤として使用した場合と比して1/2以下となるため、二酸化炭素分離手段を小型化することができる。
【0017】
また、ストーカごとに酸素濃度を調整した酸化剤を各ストーカに供給することで、燃焼に必要な酸素を各ストーカに供給することができるとともに、各ストーカでの燃焼を適切に制御することができ、局所的な温度上昇を回避して火格子の焼損を防止することができる。
【0018】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、酸素濃度調整手段は、再循環させた燃焼排ガスに混合される酸素の供給量をストーカごとに調整する酸素供給量調整手段によって構成される。
【0019】
第2の特徴に係る発明によれば、再循環される燃焼排ガス流量を固定して、燃焼排ガスに混合される酸素の流量をストーカごとに調整することによって個別の酸素濃度が調整されるため、全体の燃焼排ガス流量を増加させることなく、個別の燃焼状態に応じた酸素濃度とすることができる。全体の燃焼排ガス流量の大きな変化がないため、二酸化炭素分離手段等の排ガス処理設備も小型化することができる。
【0020】
第3の特徴に係る発明は、第1または第2の特徴に係る発明であって、複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、複数のストーカのうち所定のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える。
【0021】
第3の特徴に係る発明によれば、複数設けられたストーカのそれぞれの領域における燃焼状態に応じ、所定のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を制御するため、ストーカの局所的な温度上昇を抑制することができるとともに、焼却残渣の熱しゃく減量を規制値以下に抑制することができる。
【0022】
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、再循環ガスとして減温集じん後の燃焼排ガスを用いる。
【0023】
第4の特徴に係る発明によれば、集じんによって酸性成分や不純物を除去した後の燃焼排ガスを再循環して酸化剤として使用するため、酸化剤はほぼ二酸化炭素と酸素によって構成される。そのため、燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高めることができ、高効率で二酸化炭素を分離回収することができる。
【0024】
第5の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、再循環させた燃焼排ガスに混合する酸素として圧力変動吸着法(PSA法)により製造した酸素を用いる。
【0025】
第5の特徴に係る発明によれば、圧力変動吸着法(PSA法)により製造した純度の高い酸素を酸化剤の一部として用いることで、酸化剤の成分をほぼ二酸化炭素と酸素にすることができる。そのため、燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高めることができ、より高効率で二酸化炭素を分離回収することができる。
【0026】
第6の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段をさらに備え、二酸化炭素分離手段は水分離手段によって水分を分離された燃焼排ガスから二酸化炭素を分離する。
【0027】
第6の特徴に係る発明によれば、水分離手段によって水分を除去した後の燃焼排ガスから二酸化炭素を分離するため、二酸化炭素分離手段において処理される燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高めることができ、より高効率で二酸化炭素を分離回収することができる。
【0028】
第7の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段と、水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置を備え、再循環させた燃焼排ガスに混合する酸素として水電気分解装置における電気分解によって発生した酸素を用いる。
【0029】
第7の特徴に係る発明によれば、燃焼排ガスから分離回収した水分を電気分解することで発生させた酸素を酸化剤の一部として使用することで、酸化剤として使用する酸素を廃棄物処理プロセスの系内で賄うことができ、酸素を輸送又は発生させるためのエネルギを節約することができる。
【0030】
第8の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、二次燃焼用の酸化剤として空気を用いる。
【0031】
第8の特徴に係る発明によれば、二次燃焼用の酸化剤として空気を使用することにより、酸素生成のためのエネルギを削減することができる。また、酸化剤として空気を使用した二次燃焼はサーマルNOxが発生しにくい温度領域に抑えられるため、大幅なNOx生成量の増加はない。
【0032】
第9の特徴に係る発明は、下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法であって、再循環させた燃焼排ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として複数のストーカに供給するステップと、複数のストーカに供給される酸化剤の酸素濃度をストーカごとに調整するステップと、ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、を備える燃焼方法である。
【0033】
第9の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明と同様、酸素と再循環ガスを酸化剤として使用することで、燃焼排ガス中の成分は、ほぼ二酸炭素と水となる。つまり、酸化剤として空気を使用した場合と比して燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高めることができるため、二酸化炭素分離手段において効率的に二酸化炭素を回収することが可能となる。また、ストーカ式焼却炉から排出される燃焼排ガスの流量は、空気を酸化剤として使用した場合と比して1/2以下となるため、二酸化炭素分離手段を小型化することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、二酸化炭素を効率的に分離回収することができるとともに、ストーカ式焼却炉の局所的な温度上昇の発生を回避して火格子の焼損を防止することが可能な燃焼システム及び燃焼方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本発明に係るストーカ式焼却炉を用いた燃焼システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るストーカ式焼却炉の酸化剤供給手段を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法を示すフロー図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係るストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。なお、本発明において、酸化剤なる用語は、廃棄物を酸化するための気体だけでなく乾燥のために用いられる気体をも含むものとする。
【0037】
[ストーカ式焼却炉を用いた燃焼システムの全体構成]
図1を用いて、本実施形態に係るストーカ式焼却炉100を用いた燃焼システムの全体構成を説明する。
【0038】
図1は、本実施形態にかかる燃焼システムの概略系統図を示したものであり、当該燃焼システムは、ストーカ式焼却炉100と、排ガス冷却装置200と、バグフィルタ300と、水分離手段400と、排ガス再循環送風機500と、二酸化炭素分離手段600と、水電気分解装置700と、酸素発生装置800と、制御装置900と、図示しない煙突によって構成される。
【0039】
図1に示すように、本実施形態のストーカ式焼却炉100は、不定形の一般廃棄物や、産業廃棄物等の廃棄物を焼却処理するものであり、投入される廃棄物の流れの上流側から見て最上流に位置する乾燥ストーカ131、燃焼ストーカ132~135、最下流に位置する後燃焼ストーカ136からなる複数のストーカ130を備える燃焼室110と、燃焼室110に廃棄物を供給する供給装置120と、ストーカ130の下方に位置する風箱からストーカ130を介して燃焼室110に酸化剤を供給する酸化剤供給手段140と、焼却残渣を排出する焼却残渣排出機構150と、燃焼状態検出手段160と、燃焼室に追加の酸化剤を供給する二次酸化剤供給手段170と、図示しない冷却水槽とを備える。
【0040】
供給装置120は、廃棄物を一時的に貯留するホッパ及びプッシャ等の供給手段によって構成されており、図示しないごみピットからごみクレーンによって供給装置120に供給された廃棄物を貯留し、間欠的に燃焼室110に投入するものである。
【0041】
ストーカ130は、乾燥ストーカ131、燃焼ストーカ132~135及び後燃焼ストーカ136からなる複数段の火格子によって構成され、それぞれ、所定の移送速度で前後に摺動している。また、乾燥ストーカ131、燃焼ストーカ132~135及び後燃焼ストーカ136の下方にはそれぞれ、酸化剤供給手段140に接続される風箱131W~136Wが設けられている。
【0042】
このような構造であるから、供給装置120によって燃焼室110に供給された廃棄物は火格子の摺動又は揺動に伴い燃焼室110の下流側、つまり焼却残渣排出機構150側に進みつつ、それぞれのステージに応じて酸化剤供給手段140によって供給される酸化剤によって乾燥・燃焼・後燃焼する。つまり、乾燥火格子131には下方から乾燥のための酸化剤が供給され、乾燥ストーカ131上の廃棄物は水分が蒸発し乾燥され、燃焼ストーカ132に供給される。燃焼ストーカ132~135には下方から燃焼用の酸化剤が供給され、燃焼ストーカ132~135上の廃棄物は酸化剤によって燃焼され、後燃焼ストーカ136に供給される。後燃焼ストーカ136には下方から後燃焼用の酸化剤が供給され、後燃焼ストーカ136上の廃棄物は酸化剤によって後燃焼される。後燃焼ストーカ136で後燃焼された廃棄物は、焼却残渣排出機構150に送られ、下方に設けられた図示しない冷却水槽に排出される。
【0043】
焼却残渣排出機構150は、図示しないゲートやダンパなどによって構成され、後燃焼ストーカ136で後燃焼された廃棄物を、下方に設けられた冷却水槽に所定の間隔で排出する。
【0044】
燃焼状態検出手段160は、燃焼室110内の燃焼状態、好ましくは、それぞれのストーカ131~136上における個別の燃焼状態を検出するために設置されたものであり、例えば、それぞれのストーカ131~136の上方における燃焼室内温度を検出する温度検出手段や、廃棄物の燃え切り点の位置を検出する赤外線カメラ又は光量センサなどによって構成される。ただし、燃焼状態検出手段160は、それぞれのストーカ131~136上における燃焼状態を検出することができるものであれば、上記に限定されるものではない。
【0045】
二次酸化剤供給手段170は、酸化剤供給手段140から供給される酸化剤で燃焼しきれない未燃分を完全燃焼させるため、追加の酸化剤を燃焼室110内に供給するものである。このように、酸化剤供給手段140と二次酸化剤供給手段170により廃棄物の燃焼が行われ、燃焼に伴い発生した燃焼排ガスは排ガス冷却装置200に送られる。
【0046】
排ガス冷却装置200は、ストーカ式焼却炉100から排出された燃焼排ガスをバグフィルタ300に供給可能な温度であって、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」に記された概ね200℃程度以下まで減温するものであり、例えば、燃焼排ガスの熱によって蒸気を発生させる廃ガスボイラ210やエコノマイザ220、冷却水を噴霧して燃焼排ガスを冷却する減温塔230等によって構成される。
【0047】
バグフィルタ300は排ガス冷却装置200で減温された燃焼排ガスを集じんろ過するろ布を備え、燃焼排ガス中に含まれる煤塵や有害成分を除去するものである。バグフィルタ入口における排ガス煙道には、バグフィルタ300に薬剤を吹き込むための図示しない薬剤供給装置が配設される。薬剤供給装置から供給されるアルカリ薬剤が、バグフィルタ300のろ布上において燃焼排ガス中の酸性成分と中和反応を起こすことにより、燃焼排ガスの浄化が行われる。
【0048】
水分離手段400は、燃焼排ガス中の水分を分離して回収するものであり、排ガス冷却装置200及びバグフィルタ300を経て温度が低下して酸性成分や不純物がろ過された燃焼排ガスから水蒸気を分離する水蒸気分離装置410と、水蒸気分離装置410で燃焼排ガスから分離された水蒸気を凝縮して復水とする復水器420によって構成される。
【0049】
排ガス再循環送風機500は、バグフィルタ300の下流に配設される送風機であり、バグフィルタ300で煤塵や有害成分が除去された燃焼排ガスを吸引して、その一部を酸化剤としてストーカ式焼却炉100に供給するためのものである。
【0050】
二酸化炭素分離手段600は、ストーカ式焼却炉100から排出されバグフィルタ300で浄化された燃焼排ガスから、燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を選択的に分離するものである。燃焼排ガスから二酸化炭素を分離するための手段としては、分離膜による分離でもよいし、化学吸着や物理吸着、あるいは深冷分離法によるものであってもよい。
【0051】
水電気分解装置700は、水を電気分解して酸素と水素を発生させるものである。本実施形態における水電気分解装置700は、水を貯留する電解槽、電源、電源の正極と接続される陽極、電源の負極と接続される陰極などによって構成される。
【0052】
酸素発生装置800は、ストーカ式焼却炉100の酸化剤供給手段140に酸化剤として酸素を供給するものであり、後述する酸素供給路に接続される。
【0053】
制御装置900は、ストーカ式焼却炉100の燃焼状態に応じて、酸化剤供給手段140や再循環送風機500、水電気分解装置700などを制御する。
【0054】
[酸化剤供給手段の構成]
次に、
図2を用いて、本実施形態に係るストーカ式焼却炉100の酸化剤供給手段140について説明する。
【0055】
本実施形態に係る酸化剤供給手段140は、各ストーカ131~136に対して酸素濃度が個別に調整された酸化剤を供給するものである。酸化剤供給手段140は、流量及び酸素濃度が調整された酸化剤を各ストーカ下方に配設される風箱131W~136Wに供給する酸化剤供給路141a~146a、各ストーカに供給される酸化剤の流量を調整する酸化剤流量調整手段141b~146b、各ストーカごとに供給される再循環ガスに対して酸素を混合する酸素供給路142c~146c、再循環ガスに混合する酸素の流量を調整する酸素流量調整手段142d~146dからなる。
【0056】
酸化剤供給路140aに供給される酸化剤として、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスを単独で、又は、再循環ガスに対して流量調整を行った酸素を混合したものを用いる。以下、この点について具体的に説明する。
【0057】
乾燥ストーカ131に対して酸化剤を供給する酸化剤供給手段141は、酸化剤供給路141a及び酸化剤流量調整手段141bからなる。最上流に位置するストーカである乾燥ストーカ131においては、主に廃棄物の乾燥を行うため、酸素を供給する必要はない。そのため酸素供給路を接続させず再循環ガスのみを酸化剤供給路141a及び酸化剤流量調整手段141bを介して乾燥ストーカ131に供給する。
【0058】
複数段配設された燃焼ストーカ132、133、134、135においては、乾燥後の廃棄物を燃焼させるため、酸素を混入させた酸化剤が供給される。したがって、燃焼ストーカ132~135に酸化剤を供給する酸化剤供給手段142~145は、酸化剤供給路142a~145a、酸化剤流量調整手段142b~145b、酸素供給路142c~145c、酸素流量調整手段142d~145dからなり、酸素流量調整手段142d~145dで流量を個別に調整した酸素を再循環ガスに混合した気体を酸化剤として燃焼ストーカ132~135に供給する。
【0059】
最下流に位置するストーカである後燃焼ストーカ136においては、燃焼後の廃棄物の未燃分を燃焼させ、焼却残渣の熱しゃく減量を基準値以下に抑える必要があるため、酸素を混入させた酸化剤が供給される。したがって、後燃焼ストーカ136に酸化剤を供給する酸化剤供給手段146は、酸化剤供給路146a、酸化剤流量調整手段146b、酸素供給路146c、酸素流量調整手段146dからなり、酸素流量調整手段146dで流量を調整した酸素を再循環ガスに混合した気体を酸化剤として後燃焼ストーカ136に供給する。
【0060】
このように、各燃焼ストーカ132~135及び後燃焼ストーカ136に酸化剤を供給する酸化剤供給手段142~146は、それぞれ酸素流量調整手段142d~146dを備え、個別に酸素濃度を調整した酸化剤を各ストーカ132~136に供給する。
【0061】
また、
図2に示すように、二次酸化剤供給手段170は、酸化剤供給路170a、酸化剤流量調整手段170b、酸素供給路170c、酸素流量調整手段170dによって構成され、二次酸化剤として酸素を混合した再循環ガスが燃焼室110に供給される。あるいは、二次酸化剤として送風機により空気を供給するようにしてもよい。
【0062】
[燃焼方法]
次に、本実施形態に係るストーカ式焼却炉100を用いた燃焼方法について説明する。なお、通常の燃焼運転中であって、既に各ストーカ131~136上において乾燥・燃焼・後燃焼が行われている状況について説明する。この場合、再循環送風機500によって再循環させた燃焼排ガス、及び、水電気分解装置700又は酸素発生装置800で発生させた酸素が、酸化剤供給手段140に供給される。また、二酸化炭素分離手段600においては、ストーカ式焼却炉100から排出された燃焼排ガス中の二酸化炭素が分離回収されている。
【0063】
そして、上記のように構成された酸化剤供給手段140によって、酸化剤が以下のように供給される。
【0064】
まず、乾燥ストーカ131には、再循環送風機500から供給される再循環ガスのみが、酸化剤供給路141a及び酸化剤流量調整手段141bを介して供給される。
【0065】
また、複数段配設された燃焼ストーカ132~135については、燃焼室110内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段160の検出結果に基づいて、各ストーカに供給される酸化剤の酸素濃度が制御される。このとき、制御装置900は酸素流量調整手段142d~145dを個別に制御することによって、再循環ガスに混入させる酸素の流量を個別に調整し、各燃焼ストーカ132~135に供給される酸化剤の酸素濃度が燃焼状態に応じた適切な酸素濃度となるよう調整を行う。
【0066】
このとき、制御装置900によって各ストーカの送り速度、及び、各ストーカに供給される酸化剤の供給量が併せて制御される。
【0067】
また、後燃焼ストーカ136においては、燃焼後の廃棄物の未燃分を燃焼させ、焼却残渣の熱しゃく減量を基準値以下に抑える必要があるため、酸素濃度を大気の酸素濃度より高く(例えば約24~28%)調整した酸化剤が供給される。この場合であっても、制御装置900が酸素流量調整手段146dを制御することによって、再循環ガスに混入させる酸素の流量を調整し、後燃焼ストーカ136に供給される酸化剤の酸素濃度が所望の濃度となるよう調整を行う。
【0068】
次に、本発明に係るストーカ式焼却炉100を用いた燃焼方法の具体的な実施形態について説明する。なお、通常の燃焼運転中であって、既に各ストーカ131~136上において乾燥・燃焼・後燃焼が行われている状況について説明する。
【0069】
<実施形態1>
まず、
図3を用いて、実施形態1に係る燃焼方法について説明する。実施形態1においては、燃焼状態検出手段160として、局所的な温度上昇を検出するための温度検知手段を用いる。
【0070】
〔ステップS100:燃焼状態の検出〕
まず、燃焼状態検出手段160は、各ストーカ131~136に対応する領域における燃焼室内温度を検出する(ステップS100)。
【0071】
〔ステップS110:燃焼状態の判定〕
ステップS100において燃焼状態の検出を開始すると、制御手段900は、各ストーカ131~136に対応する領域における燃焼室内温度が、所定の温度を超えているかどうかを判定する処理を実行する(ステップS110)。
【0072】
〔ステップS120:酸素濃度及び/又は移送速度の調整〕
ステップS110において、所定の温度を超えていると判定された領域に対応するストーカは(ステップS110においてY)、局所的な温度上昇が生じていると判断され、制御手段900は検出された温度が所定の範囲内に収まるよう、酸化剤供給手段140に供給される酸化剤の酸素濃度及び/又はストーカ131~136の移送速度を調整する(ステップS120)。そして、温度検出結果が所定の範囲内に収まるまで、ステップS110とステップS120を繰り返す。
【0073】
その際、酸化剤供給手段140に供給される酸化剤の酸素濃度を変化させるものとして、酸素流量調整手段142d~146dを用いる。
【0074】
つまり、いずれかのストーカにおいて局所的な温度上昇が生じていると判断された場合、燃焼を抑制するために、当該局所的な温度上昇が生じていると判断された領域に対応する酸素流量調整手段140dに対し、酸素流量を減ずる方向に制御を行う。このようにすることで、温度上昇が生じている領域に供給される酸化剤においては、再循環ガスの割合すなわち二酸化炭素の割合が高くなり、酸素を不足させた状態で燃焼させることができ、燃焼を抑制して温度を低下させることができる。
【0075】
しかも、本願発明においては、各ストーカに供給される酸化剤の酸素濃度を個別に変化させることができるため、システム全体としての燃焼排ガス流量やNOx発生量などを変化させることなく、局所的な温度上昇を解消することができる。
【0076】
ステップS110において、所定の温度を超えていないと判定されたストーカは(ステップS110においてN)、酸化剤の酸素濃度やストーカの移送速度などを変化させず、そのまま燃焼を継続する。
【0077】
<実施形態2>
次に、
図4を用いて、実施形態2に係る燃焼方法について説明する。実施形態2においては、燃焼状態検出手段160として、燃え切り点の位置を検出するために燃焼室110に配設された図示しない赤外線カメラを用いる。
【0078】
〔ステップS200:燃焼状態の検出〕
まず、燃焼状態検出手段160は、燃え切り点の位置を検出する(ステップS200)。その際、燃え切り点が、燃焼ストーカ132~135のいずれの位置であるかを特定する。
【0079】
〔ステップS210:燃え切り点位置の判定〕
ステップS200において、燃え切り点が存在する領域の燃焼ストーカが特定されると、燃え切り点が存在する領域にあると特定された燃焼ストーカが設計上の燃え切り点の位置と一致するかどうかが判定される(ステップS210)。すなわち、ストーカ式焼却炉においては、設計上の燃え切り点が予め定められており、ステップS210においては、検出された燃え切り点が存在する領域にある燃焼ストーカが、設計上定められた燃え切り点に対応する領域の燃焼ストーカと一致するかについて判定を行う。
【0080】
〔S220:酸素濃度の調整〕
ステップS210において、検出された燃え切り点が存在する領域の燃焼ストーカが設計上の燃え切り点に対応する領域の燃焼ストーカであると判定されると(ステップS210においてY)、各燃焼ストーカに供給される酸化剤の酸素濃度の制御を行う(ステップS220)。
【0081】
すなわち、ステップS200において燃え切り点の位置であると特定された燃焼ストーカにおいては、供給される酸化剤の酸素濃度を減ずるよう、制御手段900によって酸素流量調整手段140dが制御される。燃え切り点近傍に供給される酸化剤の酸素濃度を下げることにより、燃え切り点近傍における局所的な温度上昇を抑制し、NOxの発生を低減することができる。
【0082】
また、燃え切り点となった燃焼ストーカより下流側の燃焼ストーカにおいては、酸化剤の酸素濃度が約24~28%となるよう、つまり酸素濃度が大気より高くなるよう酸素流量調整手段140dを制御することで、未燃分が残らないようにする。このようにすることにより、各燃焼ストーカにおける局所的な温度上昇を抑制できると同時に、焼却残渣の熱しゃく減量を規制値以下に抑制することができる。
【0083】
なお、ステップS220の実施後所定時間が経過すると、ステップS200に戻り、ステップS200以下のステップを繰り返す。
【0084】
〔S230:燃焼条件の設定〕
一方、ステップS210において、検出された燃え切り点が存在する領域の燃焼ストーカが設計上の燃え切り点に対応する領域の燃焼ストーカではないと判定されると(ステップS210においてN)、燃え切り点が設計上の燃え切り点に移動するよう、新たな燃焼条件を設定し(ステップS230)設定された燃焼条件にしたがって燃焼制御を行う。このとき、廃棄物の供給量、各ストーカの送り速度、酸化剤の供給量、酸化剤の酸素濃度のいずれか一つ以上のパラメータが新たな燃焼条件として設定される。制御手段900は新たに設定された燃焼条件に基づいて各機器に命令を行う。命令後所定時間経過するとステップS200に戻り、ステップS200以下のステップを繰り返す。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0086】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
この発明のストーカ式焼却炉を用いた燃焼システム及び燃焼方法は、家庭ごみ、産業廃棄物、医療廃棄物、下水汚泥等、種々の廃棄物の焼却処理を行うごみ焼却設備に適用することができる。また、本発明の技術は、廃棄物を焼却処理するごみ焼却設備のみならず、バイオマスを含む各種固体燃料を複数段のストーカ上で燃焼する燃焼装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
100 ストーカ式焼却炉
110 燃焼室
120 供給装置
130 ストーカ
131 乾燥ストーカ
132~135 燃焼ストーカ
136 後燃焼ストーカ
140 酸化剤供給手段
140a 酸化剤供給路
140b 酸化剤流量調整手段
140c 酸素供給路
140d 酸素流量調整手段
150 焼却残渣排出機構
160 燃焼状態検出手段
170 二次酸化剤供給手段
200 排ガス冷却装置
300 バグフィルタ
400 水分離手段
500 排ガス再循環送風機
600 二酸化炭素分離手段
700 水電気分解装置
800 酸素発生装置
900 制御手段
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から酸化剤を供給する複数のストーカと、燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給する酸化剤供給手段と、前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整する酸素濃度調整手段とを備えるストーカ式焼却炉と、
アルカリ薬剤を吹き込むことで、前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するろ布を備えるバグフィルタと、
前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離する水分離手段と、
前記バグフィルタを経て煤塵や酸性成分が除去され前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記酸化剤供給手段に供給する再循環送風機と、
前記水分離手段で水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離手段と、
を備える燃焼システム。
【請求項2】
前記酸素濃度調整手段は、前記再循環ガスに混合される酸素の供給量を前記ストーカごとに調整する酸素供給量調整手段によって構成される、
請求項1に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記複数のストーカ上における燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
前記燃焼状態検出手段で検出された燃焼状態に応じて、前記複数のストーカのうち所定のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を制御する制御手段とを備える、
請求項1又は2に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記水分離手段で分離した水を電気分解する水電気分解装置を備え、
前記再循環ガスに混合する酸素として前記水電気分解装置における電気分解によって発生した酸素を用いる、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項5】
下方から酸化剤を供給する複数のストーカを備えたストーカ式焼却炉を用いた燃焼方法であって、
燃焼排ガスを再循環させた再循環ガスに酸素を混合した気体を酸化剤として前記複数のストーカに供給するステップと、
前記複数のストーカに供給される前記酸化剤の酸素濃度を前記ストーカごとに調整するステップと、
アルカリ薬剤が吹き込まれたろ布で前記ストーカ式焼却炉から排出された燃焼排ガスをろ過することで当該燃焼排ガス中の酸性成分を中和するとともに煤塵を除去するステップと、
前記煤塵や酸性成分が除去された燃焼排ガスから水分を分離するステップと、
前記煤塵や酸性成分が除去され前記水分が分離された燃焼排ガスを前記再循環ガスとして前記複数のストーカに供給するステップと、
前記水分が分離された燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離回収するステップと、
を備える燃焼方法。