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特開2024-34835二酸化炭素吸収還元溶液、二酸化炭素吸収還元装置、及び二酸化炭素吸収還元方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034835
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】二酸化炭素吸収還元溶液、二酸化炭素吸収還元装置、及び二酸化炭素吸収還元方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/23 20210101AFI20240306BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240306BHJP
   C25B 3/07 20210101ALI20240306BHJP
   C25B 3/26 20210101ALI20240306BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20240306BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240306BHJP
【FI】
C25B1/23
C25B9/00 Z
C25B3/07
C25B3/26
C25B9/00 G
C25B15/08 304
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139349
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻内 達也
(72)【発明者】
【氏名】田島 英彦
(72)【発明者】
【氏名】那須 勇作
(72)【発明者】
【氏名】石谷 治
(72)【発明者】
【氏名】宮路 雅彦
【テーマコード(参考)】
4G146
4K021
【Fターム(参考)】
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC01
4G146JC21
4G146JC22
4G146JD02
4K021AA09
4K021AC09
4K021BA07
4K021BA12
4K021BC01
4K021BC02
4K021CA08
4K021DB36
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC15
(57)【要約】
【課題】電気化学的に二酸化炭素を還元することにより一酸化炭素を選択的に生成するために使用できる二酸化炭素吸収還元溶液、二酸化炭素吸収還元装置、及び二酸化炭素吸収還元方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素吸収還元溶液は、プロトン性極性溶媒中に0.01~100mMの金属錯体と、アミジン構造又はグアニジン構造を有する塩基性の添加剤とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン性極性溶媒中に0.01~100mMの金属錯体と、アミジン構造又はグアニジン構造を有する塩基性の添加剤とを含む二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項2】
前記添加剤の濃度は10~334mMである、請求項1に記載の二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項3】
前記添加剤は、テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、又はこれらのうちの少なくとも2つの混合物である、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項4】
前記金属錯体は、
中心金属と、
前記中心金属に配位する配位子と
を含み、
前記配位子は、2つ以上のカルボニル基及び2つ以上の窒素原子含有複素環を有する、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項5】
前記中心金属は、レニウム、マンガン、ルテニウム又は鉄のいずれかである、請求項4に記載の二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項6】
前記2つ以上の窒素原子含有複素環の少なくとも1つは、カルボキシ基又はヒドロキシ基を含む少なくとも1つの置換基を有する、請求項4に記載の二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項7】
前記プロトン性極性溶媒は、水、アルコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、アミノアルコール系溶媒である、請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収還元溶液。
【請求項8】
請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収還元溶液を収容する電気分解装置を備える二酸化炭素吸収還元装置。
【請求項9】
二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収還元溶液を電気分解装置内に供給するための供給ラインと、
前記電気分解装置内から前記二酸化炭素吸収還元溶液が流出する流出ラインと
を備える、請求項8に記載の二酸化炭素吸収還元装置。
【請求項10】
二酸化炭素を含むガスと前記二酸化炭素吸収還元溶液とを接触させて該二酸化炭素吸収還元溶液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔をさらに備え、
前記吸収塔で二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収還元溶液は前記供給ラインを介して前記電気分解装置内に供給され、前記流出ラインを介して前記電気分解装置内から流出した前記二酸化炭素吸収還元溶液は、前記吸収塔に供給されて前記ガスと接触する、請求項9に記載の二酸化炭素吸収還元装置。
【請求項11】
二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置において回収された二酸化炭素を前記電気分解装置に収容された前記二酸化炭素吸収還元溶液に供給するガス供給ラインと
を備える、請求項8に記載の二酸化炭素吸収還元装置。
【請求項12】
前記二酸化炭素回収装置は、
二酸化炭素を含む前記ガスと吸収液とを接触させて該吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、
二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を放出する再生塔と
を備え、
前記再生塔で放出された二酸化炭素は前記ガス供給ラインを介して前記電気分解装置に収容された前記二酸化炭素吸収還元溶液に供給される、請求項11に記載の二酸化炭素吸収還元装置。
【請求項13】
請求項1または2に記載の二酸化炭素吸収還元溶液に二酸化炭素を供給するステップと、
二酸化炭素を供給された前記二酸化炭素吸収還元溶液を電気分解するステップと
を含む二酸化炭素吸収還元方法。
【請求項14】
前記二酸化炭素吸収還元溶液を電気分解することにより少なくとも一酸化炭素が生成される、請求項13に記載の二酸化炭素吸収還元方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素吸収還元溶液、二酸化炭素吸収還元装置、及び二酸化炭素吸収還元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントや化学プラント等において化石燃料を燃焼することで大量の二酸化炭素が排出され、地球温暖化の一因となっている。このため、二酸化炭素を回収して有効利用したり、二酸化炭素を有価物に変換して利用したりする炭素循環プロセスに注目が集まっている。二酸化炭素を有価物に変換する方法として、電気化学的な還元や光エネルギーを活用した光電気化学的な還元等が挙げられる。このような電気化学的及び光電気化学的な還元には、触媒として金属錯体を使用することができる。特許文献1では、大過剰のN,N-ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒にトリエタノールアミンのようなプロトン性極性溶媒を混合した溶液に金属錯体を加えた電解液を使用して、二酸化炭素を電気化学的に還元する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6615175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本開示の発明者らの検討によれば、プロトン性極性溶媒のみの溶媒に金属錯体を加えた溶液を使用して電気化学的に二酸化炭素の還元を行うと、水素が発生してしまい、一酸化炭素を生成する選択性が低下してしまうことが明らかになった。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、電気化学的に二酸化炭素を還元することにより一酸化炭素を選択的に生成するために使用できる二酸化炭素吸収還元溶液、二酸化炭素吸収還元装置、及び二酸化炭素吸収還元方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、プロトン性極性溶媒中に0.01~100mMの金属錯体と、アミジン構造又はグアニジン構造を有する塩基性の添加剤とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の二酸化炭素吸収還元溶液によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元するための電解液としてこの二酸化炭素吸収還元溶液を使用することにより、一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る二酸化炭素吸収還元装置の構成模式図である。
図2】本開示の変形例に係る二酸化炭素吸収還元装置の構成模式図である。
図3】本開示の別の変形例に係る二酸化炭素吸収還元装置の構成模式図である。
図4】実施例1~3並びに比較例1及び2の実験を行った実験装置の構成模式図である。
図5】実施例1の実験結果を表すグラフである。
図6】実施例2において二酸化炭素濃度100%のガスを用いたときの実験結果を表すグラフである。
図7】実施例2において二酸化炭素濃度10%のガスを用いたときの実験結果を表すグラフである。
図8】実施例3の実験結果を表すグラフである。
図9】比較例1の実験結果を表すグラフである。
図10】比較例2の実験結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による二酸化炭素吸収還元溶液について、図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
<本開示の一実施形態に係る二酸化炭素吸収還元溶液>
本開示の一実施形態に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、電気分解の電解液として使用されるものであり、電解液に供給された二酸化炭素が電気化学的に、具体的には電気分解により一酸化炭素やギ酸のような有価物に還元される。この二酸化炭素吸収還元溶液は、プロトン性極性溶媒中に金属錯体と、アミジン構造又はグアニジン構造を有する塩基性の添加剤とを含んでいる。
【0011】
金属錯体は特に限定するものではなく、任意の錯体を使用することができる。例えば、下記分子構造(1)で表されるものを金属錯体として使用可能である。尚、二酸化炭素吸収還元溶液中の金属錯体の濃度は、本開示の発明者らのうちの1人の先行研究に基づく特許文献1に開示された0.01~100mMとする。
【0012】
【化1】
【0013】
分子構造(1)において、金属錯体の中心金属であるMは、レニウム、マンガン、ルテニウム又は鉄のいずれかである。分子構造(1)において、金属錯体は中心金属Mの配位子として、少なくとも2つのカルボニル基と、少なくとも2つの窒素原子含有複素環A及びBと、配位子X及びYとを含んでいる。配位子X及びYのそれぞれについて限定はしないが、鎖状又は環状のアルキル基や、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲンのいずれかを含む官能基等の任意の官能基であってもよく、カルボニル基又は窒素原子含有複素環であってもよく、水やヒドロキシ基であってもよい。
【0014】
少なくとも2つの窒素原子含有複素環はそれぞれ同じ構造を有してもよいし、異なる構造を有してもよい。また、分子構造(1)で表される金属錯体の2つの窒素原子含有複素環A及びBのうちの少なくとも1つは官能基として、ヒドロキシ基を含む置換基(-R-OH/-R’-OH)を有している。分子構造(1)では窒素原子含有複素環A及びBのいずれもヒドロキシ基を含む置換基を有しているが、いずれか1つの窒素原子含有複素環がヒドロキシ基を含む置換基を有する構造であってもよい。窒素原子を含む3つ以上の複素環を有する場合には、少なくとも1つの窒素原子含有複素環がヒドロキシ基を含む置換基を有する構造であってもよい。ヒドロキシ基を含む置換基を有することにより、分子構造(1)で表される金属錯体は水溶性の性質を有するようになる。ただし、ヒドロキシ基を含む置換基を有する構造で炭素原子の数が多くなると金属錯体に水溶性の性質を与えにくくなるため、ヒドロキシ基を含む置換基としてヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基又はカルボキシ基が好ましい。
【0015】
プロトン性極性溶媒としては、水、アルコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、アミノアルコール系溶媒等を使用することができる。
【0016】
添加剤が有するアミジン構造とは、下記分子構造(2)で表されるように、1つの炭素に二重結合で窒素原子が1つ結合されるとともに単結合で窒素原子が1つ結合された構造である。添加剤が有するグアニジン構造とは、下記分子構造(3)で表されるように、1つの炭素に二重結合で窒素原子が1つ結合されるとともに単結合で窒素原子が2つ結合された構造である。尚、分子構造(2)及び(3)においてR、R、R、R、Rはそれぞれ、任意の官能基、水素又はハロゲンである。分子構造(2)において、RとR又はRとがつながって炭素鎖を構成することによって、若しくは、RとR又はRとがつながって炭素鎖を構成することによって、若しくは、RとRとがつながって炭素鎖を構成することによって環状構造を構成してもよい。また、分子構造(3)において、RとR又はRとがつながって炭素鎖を構成することによって、RとR又はRとがつながって炭素鎖を構成することによって、若しくは、R又はRとR又はRとがつながって炭素鎖を構成することによって環状構造を構成してもよい。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
アミジン構造を有する塩基性の添加剤としては、ジアザビシクロウンデセン(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、DBU(登録商標))、ジアザビシクロノネン(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、DBN)を使用することができ、グアニン構造を有する塩基性の添加剤としては、テトラメチルグアニジン(TMG)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)を使用することができる。添加剤として1種類の化合物に限定するものではなく、少なくとも2種類の化合物の混合物であってもよい。例えば、上記5つの添加剤のうちの少なくとも2つの混合物を添加剤として使用してもよい。尚、二酸化炭素吸収還元溶液中の添加剤の濃度は、後述する実施例に基づいて、10~334mMであることが好ましい。
【0020】
<本開示の一実施形態に係る二酸化炭素吸収還元装置>
図1に示されるように、本開示の一実施形態に係る二酸化炭素吸収還元装置1は、上述した二酸化炭素吸収還元溶液2を収容する電気分解装置3を備えている。電気分解装置3内は、隔膜4により第1室3aと第2室3bとに区画されている。第1室3a内の二酸化炭素吸収還元溶液2に浸漬するように陰極5が設けられるとともに、第2室3b内の二酸化炭素吸収還元溶液2に浸漬するように陽極6が設けられている。陰極5及び陽極6はそれぞれ、直流電源7に電気的に接続されている。
【0021】
電気分解装置3は、図1に示されるような構成、すなわち、電解槽内の二酸化炭素吸収還元溶液2に陰極5及び陽極6がそれぞれ浸漬された構成に限定するものではない。その他の構成の例としては、電解槽と、電解槽に電気的に接続された電源と、電解槽に液体又は気体の反応物を供給する配管と、生成物を排出するための配管とを備えるものでもよい。別の例としては、電解槽が、陽極部と、陰極部と、電解質部と、陽極端子及び陰極端子を備えた電解槽容器とで構成され、電解槽内に、電解質部を介して、陽極端子に電気的に接続された陽極部と、陰極端子に電気的に接続された陰極部とが対向するように配置されているものでもよい。さらに別の例としては、陽極部及び陰極部が単一部材で構成され、給電基体上に、電気分解反応を促進する触媒電極層を設けたものでもよい。さらに別の例としては、陽極部と陰極部との間の電解質部に、陽極部の生成物と陰極部の生成物とを分離するための隔膜を配置したものであってもよい。この隔膜には、電解液が浸透した多孔質膜やイオン透過性の非多孔質膜等を用いることができる。さらに別の例としては、陽極部及び陰極部と隔膜とが離間して配置されるか、又は、接触するように配置され、一体となるように両者を接合した構成であってもよい。さらに別の例としては、電極(陰極5及び陽極6)とイオン交換膜とが接合した電極接合体膜を有するものであってもよい。
【0022】
二酸化炭素吸収還元装置1の動作については後述するが、二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解する二酸化炭素が電気分解により還元されて、第1室3aでは一酸化炭素又はギ酸の少なくとも一方が生成され、第2室3bでは酸素が生成される。二酸化炭素吸収還元装置1には、一酸化炭素及びギ酸のそれぞれが第1室3aから流出する第1流出ライン8a及び8bと、酸素が第2室3bから流出する第2流出ライン9とが接続されている。第1室3aで生成された一酸化炭素が第1室3aから流出できるように、第1流出ライン8aは第1室3aの気相部分に連通するように設けられる。第1室3aで生成されたギ酸を含む二酸化炭素吸収還元溶液2が第1室3aから流出できるように、第1流出ライン8bは第1室3aの液相部分に連通するように設けられ、第1流出ライン8bには、第1室3aから流出した二酸化炭素吸収還元溶液2からギ酸を分離する分離装置10、例えば蒸留装置や膜分離装置等が設けられ、分離装置10においてギ酸が分離された二酸化炭素吸収還元溶液2を第1室3aに戻す戻りライン11を設けてもよい。尚、第1室3aで一酸化炭素のみが生成され、ギ酸が生成されない場合には、分離装置10を設ける必要はない。
【0023】
二酸化炭素を溶解させた二酸化炭素吸収還元溶液2を電気分解装置3内に供給して電気分解する場合や、電気分解装置3内に供給した二酸化炭素吸収還元溶液2に二酸化炭素ガスを含むガスを供給して二酸化炭素を溶解させ、その後に分解する場合のように、二酸化炭素をバッチ式に還元する時は、二酸化炭素吸収還元装置1は上記構成で十分である。しかし、二酸化炭素を電気分解装置3に連続的に供給して連続的な二酸化炭素の還元を行うためには、第1室3aに二酸化炭素が溶解した二酸化炭素吸収還元溶液2を供給するための供給ライン12と、第1室3aから二酸化炭素吸収還元溶液2が流出するための流出ライン13とがそれぞれ第1室3aに連通するように設ける必要がある。
【0024】
二酸化炭素を二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解させる装置として、限定はしないが例えば、二酸化炭素を含むガスと吸収液としての二酸化炭素吸収還元溶液2とが気液接触するように構成された吸収塔14を設けることができる。吸収塔14には、二酸化炭素を含むガス、例えば燃焼ガス等を吸収塔14に供給するためのガス供給ライン15と、二酸化炭素が除去されたガスが吸収塔14から流出するためのガス流出ライン16とが接続されている。供給ライン12は吸収塔14の塔底に接続され、ガス供給ライン15が吸収塔14に接続される位置よりも上方において流出ライン13は吸収塔14に接続されている。供給ライン12及び流出ライン13にはそれぞれ、ポンプ17及び18が設けられている。
【0025】
上述したような二酸化炭素をバッチ式に還元する構成の二酸化炭素吸収還元装置1について、いくつかの形態を図2及び3に示す。図2に示される二酸化炭素吸収還元装置1は、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置20として、二酸化炭素を含むガスと吸収液とが気液接触するように構成された吸収塔14と、吸収塔14において二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出する再生塔21とを備えている。図1に示される二酸化炭素吸収還元装置1とは異なり、吸収塔14で使用される吸収液は、二酸化炭素吸収還元溶液2とは別の吸収液である。吸収塔14と再生塔21とは供給ライン12によって接続されている。
【0026】
再生塔21には、熱媒体(例えば水蒸気)が流通する熱媒体流通路22及び再生塔21内の吸収液が再生塔21から流出して再生塔21に戻るように循環する吸収液循環通路24を含む熱交換器(リボイラー)23が設けられ、熱媒体流通路22を流通する熱媒体と吸収液循環通路24を流通する吸収液とが熱交換するように構成されている。再生塔21の塔底には、吸収液を抜き出す抜き出しライン25が接続されている。再生塔21の塔頂には、一端が電気分解装置3の第1室3aの底部に接続されるガス供給ライン26の他端が接続され、ガス供給ライン26には圧縮機27が設けられている。
【0027】
二酸化炭素回収装置20は、吸収塔14及び再生塔21を含む上述した構成に限定するものではない。二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を電気分解装置3の第1室3a内の二酸化炭素吸収還元溶液2に供給できるものであれば、どのような構成であってもよい。例えば、図3に示される二酸化炭素吸収還元装置1は、二酸化炭素回収装置20として、二酸化炭素を分離可能な膜分離装置30を備えている。膜分離装置30には、二酸化炭素が分離されたガスが膜分離装置30から流出するためのガス流出ライン16が接続されている。分離された二酸化炭素を第1室3a内に供給できるように、膜分離装置30と第1室3aの底部とがガス供給ライン26によって接続されている。ガス供給ライン26には圧縮機27が設けられている。
【0028】
<本開示の一実施形態に係る二酸化炭素吸収還元装置の動作>
次に、二酸化炭素吸収還元溶液2の動作(二酸化炭素吸収還元方法)を図1に基づいて説明する。吸収塔14にはガス供給ライン15を介して、二酸化炭素を含むガス、例えば図示しない燃焼設備から排出された燃焼ガスが供給される。吸収塔14に供給された燃焼ガスは吸収塔14内を上昇する。また、吸収塔14には流出ライン13を介して、吸収液としての二酸化炭素吸収還元溶液2が供給される。吸収塔14に供給された吸収液は吸収塔14内を落下する。吸収塔14内において、上昇する燃焼ガスと落下する吸収液とが気液接触することにより、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素が吸収液に吸収され、二酸化炭素が除去された燃焼ガスは、ガス流出ライン16を介して吸収塔14から流出する。二酸化炭素を吸収した吸収液は吸収塔14内の下部に滞留するが、ポンプ17によって吸収塔14から吸収液が抜き出されて、供給ライン12を介して電気分解装置3の第1室3aに供給される。
【0029】
電気分解装置3において直流電源7が陰極5及び陽極6間に電圧を印加すると、第1室3aでは、二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解する金属錯体の触媒作用により、下記半反応式(A)及び(B)のように一酸化炭素又はギ酸の少なくとも一方が生成する。一方、第2室3bでは下記半反応式(C)のように酸素が生成する。ここで、プロトン性極性溶媒として水を用いているが、他のプロトン性溶媒を用いてもよい。
CO+HO+2e→CO+2OH (A)
CO+2HO+2e→HCOOH+2OH (B)
2OH→(1/2)O+HO+2e (C)
【0030】
尚、半反応式(A)又は(B)のどちらか一方のみが生じることは稀であり、通常は両反応が同時に生じ、両反応の生じる割合が金属錯体の種類等によって変化する。すなわち、使用される金属錯体の種類、反応溶媒、又は印加電圧に応じて、一酸化炭素及びギ酸の生成割合が異なることになる。
【0031】
第1室3aで生成した一酸化炭素は、第1流出ライン8aを介して第1室3aから流出し、一酸化炭素を使用する設備又は一酸化炭素の貯蔵設備等に送られる。第1室3aで生成したギ酸は、二酸化炭素吸収還元溶液2と共に第1流出ライン8bを介して第1室3aから流出し、分離装置10において二酸化炭素吸収還元溶液2からギ酸が分離されて、ギ酸を使用する設備又はギ酸の貯蔵設備等に送られる。分離装置10においてギ酸が分離された二酸化炭素吸収還元溶液2は、戻りライン11を介して第1室3aに戻すことができる。第2室3bで生成した酸素は、第2流出ライン9を介して第2室3bから流出し、酸素を使用する設備又は酸素の貯蔵設備等に送られる。
【0032】
ポンプ18によって、第1室3a内の二酸化炭素吸収還元溶液2の一部が流出ライン13を介して第1室3aから流出する。流出ライン13を流通する二酸化炭素吸収還元溶液2は、吸収塔14に供給されて吸収塔14内を落下し、吸収液として吸収塔14内を上昇する燃焼ガスと気液接触する。
【0033】
このように、二酸化炭素を電気化学的に還元するための電解液として、プロトン性極性溶媒中に金属錯体と、アミジン構造又はグアニジン構造を有する塩基性の添加剤とを含む二酸化炭素吸収還元溶液を使用することにより、一酸化炭素を選択的に生成することができる。尚、このように一酸化炭素を選択的に生成することができる作用効果については、後述する実施例に基づいて説明する。
【0034】
図2に示される二酸化炭素吸収還元装置1では、吸収塔14において二酸化炭素を含むガスと吸収液とが気液接触することにより、吸収液が二酸化炭素を吸収する。二酸化炭素を吸収した吸収液は供給ライン12を介して再生塔21に供給される。再生塔21において、吸収液は熱交換器23で加熱されることで、二酸化炭素を放出する。放出された二酸化炭素は、圧縮機27によってガス供給ライン26を介して第1室3a内に供給される。第1室3内に供給された二酸化炭素の少なくとも一部は、二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解する。ある程度の量の二酸化炭素を二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解させた後、直流電源7が陰極5及び陽極6間に電圧を印加することにより、上述の原理によって、二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解した二酸化炭素が還元される。
【0035】
図3に示される二酸化炭素吸収還元装置1では、膜分離装置30において、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素が分離される。分離された二酸化炭素は、圧縮機27によってガス供給ライン26を介して第1室3a内に供給される。第1室3内に供給された二酸化炭素の少なくとも一部は、二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解する。ある程度の量の二酸化炭素を二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解させた後、直流電源7が陰極5及び陽極6間に電圧を印加することにより、上述の原理によって、二酸化炭素吸収還元溶液2に溶解した二酸化炭素が還元される。
【実施例0036】
下記表1に記載した実施例1~3並びに比較例1及び2の二酸化炭素吸収還元溶液を電解液として電気分解により二酸化炭素を還元する実験を行った。尚、各二酸化炭素吸収還元溶液に含まれる金属錯体は、下記金属錯体(4)である。尚、金属錯体(4)において「Et」はエチル基である。
【0037】
【表1】
【0038】
【化4】
【0039】
実施例1~3並びに比較例1及び2の二酸化炭素吸収還元溶液を電解液として使用した電気分解実験は、図4に示されるH型電気分解セル100を用いて行った。H型電気分解セル100は、陽極側セル101と陰極側セル102とがナフィオン(商標)膜103によって隔離されている。陽極側セル101に、表1に記載したプロトン性極性溶媒(a)に支持電解質として0.1Mのテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムと、電子ドナーとして50mMの酢酸テトラブチルアンモニウムと、表1に記載した濃度の添加剤(b)とを混合した15mLの溶液を入れた。対極104には白金メッシュ電極を用いた。陰極側セル102に、表1に記載したプロトン性極性溶媒(a)に支持電解質として0.1Mのテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムと、0.5mMの金属錯体(4)と、表1に記載した濃度の添加剤(b)とを混合した15mLの溶液を入れた。作用極105にはガラス状のカーボンプレート電極を用いた。参照極106は、Ag/AgNO(0.1M)電極を用いた。
【0040】
この条件で、二酸化炭素雰囲気下における金属錯体(4)の一電子目の還元に帰属されるピーク電位を印加した。実施例1~3のピーク電位は-1.78V(vs. Fc/Fc)であり、比較例1のピーク電位は-1.85V(vs. Fc/Fc)であり、比較例2のピーク電位は-1.80V(vs. Fc/Fc)であった。電位を付加している間、陽極側セル101及び陰極側セル102の両方に二酸化炭素を含むガスを吹き込み、ガスの出口をAgilent 490 マイクロGC(TCD検出器)に接続して気相生成物を分析定量した。液相の二酸化炭素還元生成物(ギ酸)は、電解後の溶液を採取してキャピラリー電気泳動法により分析した。尚、実施例1並びに比較例1及び2の実験では、二酸化炭素を含むガスとして100%の二酸化炭素ガスを用いた。実施例2の実験として、二酸化炭素を含むガスとして100%の二酸化炭素ガスを用いた実験と、10%の二酸化炭素ガス及び90%のアルゴンから構成されるガスを用いた実験とを行った。実施例3の実験では、二酸化炭素を含むガスとして10%の二酸化炭素ガス及び90%のアルゴンから構成されるガスを用いた。
【0041】
図5に示されるように、実施例1の二酸化炭素吸収還元溶液である電解液に二酸化炭素濃度100%のガスを吹き込んで電気分解した場合は、一酸化炭素だけではなく水素も生成するものの、一酸化炭素が生成する割合が水素に比べて大幅に大きくなった。図6及び7に示されるように、実施例2の二酸化炭素吸収還元溶液である電解液に二酸化炭素濃度100%のガス及び二酸化炭素濃度10%のガスを吹き込んで電気分解した場合も実施例1の場合と同様に、一酸化炭素が生成する割合が水素に比べて大幅に大きくなった。図8に示されるように、実施例3の二酸化炭素吸収還元溶液である電解液に二酸化炭素濃度10%のガスを吹き込んで電気分解した場合も実施例1の場合と同様に、一酸化炭素が生成する割合が水素に比べて大幅に大きくなった。すなわち、実施例1~3において、一酸化炭素を選択的に生成することができた。尚、図6及び7から、実施例2の二酸化炭素吸収還元溶液を電解液として用いた実験では、若干のギ酸が生成されたことも確認できた。
【0042】
これに対し、比較例1の二酸化炭素吸収還元溶液である電解液に二酸化炭素濃度100%のガスを吹き込んで電気分解した場合は、図9に示されるように、一酸化炭素は生成せず、水素のみが生成した。比較例2の二酸化炭素吸収還元溶液である電解液に二酸化炭素濃度100%のガスを吹き込んで電気分解した場合は、図10に示されるように、水素に比べて高い生成割合で一酸化炭素が生成したが、電解液中で沈殿物が生成してしまい、実用性に問題があることが分かった。このように、実施例1~3並びに比較例1及び2の実験結果から、二酸化炭素を電気化学的に還元するための電解液として、本開示の二酸化炭素吸収還元溶液を使用することにより、一酸化炭素を選択的に生成することができると言える。
【0043】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0044】
[1]一の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、
プロトン性極性溶媒中に0.01~100mMの金属錯体と、アミジン構造又はグアニジン構造を有する塩基性の添加剤とを含む。
【0045】
本開示の二酸化炭素吸収還元溶液によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元するための電解液としてこの二酸化炭素吸収還元溶液を使用することにより、一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0046】
[2]別の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、[1]の二酸化炭素吸収還元溶液であって、
前記添加剤の濃度は10~334mMである。
【0047】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0048】
[3]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、[1]または[2]の二酸化炭素吸収還元溶液であって、
前記添加剤は、テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、又はこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。
【0049】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0050】
[4]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、[1]~[3]のいずれかの二酸化炭素吸収還元溶液であって、
前記金属錯体は、
中心金属と、
前記中心金属に配位する配位子と
を含み、
前記配位子は、2つ以上のカルボニル基及び2つ以上の窒素原子含有複素環を有する。
【0051】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0052】
[5]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、[4]の二酸化炭素吸収還元溶液であって、
前記中心金属は、レニウム、マンガン、ルテニウム又は鉄のいずれかである。
【0053】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0054】
[6]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、[4]または[5]の二酸化炭素吸収還元溶液であって、
前記2つ以上の窒素原子含有複素環の少なくとも1つは、カルボキシ基又はヒドロキシ基を含む少なくとも1つの置換基を有する。
【0055】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0056】
[7]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元溶液は、[1]~[6]のいずれかの二酸化炭素吸収還元溶液であって、
前記プロトン性極性溶媒は、水、アルコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、アミノアルコール系溶媒である。
【0057】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0058】
[8]一の態様に係る二酸化炭素吸収還元装置は、
[1]~[7]のいずれかの二酸化炭素吸収還元溶液(2)を収容する電気分解装置(3)を備える。
【0059】
本開示の二酸化炭素吸収還元装置によれば、[1]~[7]のいずれかの二酸化炭素吸収還元溶液を使用して電気化学的に二酸化炭素を還元することにより、一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0060】
[9]別の態様に係る二酸化炭素吸収還元装置は、[8]の二酸化炭素吸収還元装置であって、
二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収還元溶液を電気分解装置(3)内に供給するための供給ライン(12)と、
前記電気分解装置(3)内から前記二酸化炭素吸収還元溶液(2)が流出する流出ライン(13)と
を備える。
【0061】
このような構成によれば、二酸化炭素を電気化学的に還元することにより一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0062】
[10]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元装置は、[9]の二酸化炭素吸収還元装置であって、
二酸化炭素を含むガスと前記二酸化炭素吸収還元溶液とを接触させて該二酸化炭素吸収還元溶液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔(14)をさらに備え、
前記吸収塔(14)で二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収還元溶液は前記供給ライン(12)を介して前記電気分解装置(3)内に供給され、前記流出ライン(13)を介して前記電気分解装置(3)内から流出した前記二酸化炭素吸収還元溶液(2)は、前記吸収塔(14)に供給されて前記ガスと接触する。
【0063】
このような構成によれば、二酸化炭素を含むガスから吸収した二酸化炭素を含む二酸化炭素吸収還元溶液を電気分解装置に継続的に供給することができ、濃度の高い一酸化炭素ガスを継続的に得ることができる。
【0064】
[11]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元装置は、[8]の二酸化炭素吸収還元装置であって、
二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置(20)と、
前記二酸化炭素回収装置(20)において回収された二酸化炭素を前記電気分解装置(3)に収容された前記二酸化炭素吸収還元溶液(2)に供給するガス供給ライン(26)と
を備える。
【0065】
このような構成によれば、二酸化炭素を含むガスから回収した高濃度の二酸化炭素ガスを用いて、二酸化炭素を還元することができる。
【0066】
[12]さらに別の態様に係る二酸化炭素吸収還元装置は、[11]の二酸化炭素吸収還元装置であって、
前記二酸化炭素回収装置(20)は、
二酸化炭素を含む前記ガスと吸収液とを接触させて該吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔(14)と、
二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を放出する再生塔(21)と
を備え、
前記再生塔(21)で放出された二酸化炭素は前記ガス供給ライン(26)を介して前記電気分解装置(3)に収容された前記二酸化炭素吸収還元溶液(2)に供給される。
【0067】
このような構成によれば、二酸化炭素を含むガスから回収した高濃度の二酸化炭素ガスを用いて、二酸化炭素を還元することができる。
【0068】
[13]一の態様に係る二酸化炭素吸収還元方法は、
[1]~[7]のいずれかの二酸化炭素吸収還元溶液(2)に二酸化炭素を供給するステップと、
二酸化炭素を供給された前記二酸化炭素吸収還元溶液(2)を電気分解するステップと
を含む。
【0069】
本開示の二酸化炭素吸収還元方法によれば、[1]~[7]のいずれかの二酸化炭素吸収還元溶液を使用して電気化学的に二酸化炭素を還元することにより、一酸化炭素を選択的に生成することができる。
【0070】
[14]別の態様に係る二酸化炭素吸収還元方法は、[13]の二酸化炭素吸収還元方法であって、
前記二酸化炭素吸収還元溶液(2)を電気分解することにより少なくとも一酸化炭素が生成される。
【0071】
このような方法によれば、二酸化炭素を還元して少なくとも一酸化炭素が生成するので、一酸化炭素を利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 二酸化炭素吸収還元装置
2 二酸化炭素吸収還元溶液
3 電気分解装置
12 供給ライン
13 流出ライン
14 吸収塔
20 二酸化炭素回収装置
21 再生塔
26 ガス供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10