(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034844
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240306BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139361
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大輔
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142AA56
5F142BA23
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA03
5F142CA11
5F142CC14
5F142CD17
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE04
5F142CE08
5F142CE16
5F142CG03
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA73
5F142DB24
5F142FA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型化が可能であるとともに、高密度に配列して実装ができ、放熱性及び信頼性に優れた半導体発光装置を提供する。
【解決手段】平行平板形状を有し、柱状の複数のピラー12が貫通して挿入された絶縁性の基体11と、複数のピラーのピラー上に載置された発光素子15と、を備えている。複数のピラーは、基体の上面から同一の高さで突出し、基体の上面に平行な素子載置面を有する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行平板形状を有し、柱状の複数のピラーが貫通して挿入された絶縁性の基体と、
前記複数のピラーのピラー上に載置された発光素子と、を備え、
前記複数のピラーは、前記基体の上面から同一の高さで突出し、前記基体の上面に平行な素子載置面を有する、半導体発光装置。
【請求項2】
前記複数のピラーは、前記基体の下面から同一の高さで突出し、前記基体の下面に平行な下面を有する、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記複数のピラーは前記発光素子の陽極及び陰極にそれぞれ接続されたピラーである2つの電極ピラーを含み、
前記基体は、前記基体の下面上に設けられ、前記2つの電極ピラーにそれぞれ接続された2つの実装電極プレートを有する、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記複数のピラーの各々は、前記基体内に挿入された直円柱形状のピラー本体部と、前記基体の上面から突出し、前記ピラー本体部よりも径の大きな直円柱形状のフランジ部と、を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記複数のピラーは直円柱形状を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記複数のピラーのうち少なくとも1つは導電性のピラーであり、
前記発光素子は裏面に陽極及び陰極のうち少なくとも1つの素子電極を有し、
前記少なくとも1つの素子電極は前記導電性のピラーに電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記複数のピラーは、各々が2つ以上のピラーからなる第1のピラー群及び第2のピラー群を有し、
前記第1のピラー群のピラー上に載置された第1の発光素子と、前記第2のピラー群のピラー上に載置された第2の発光素子と、を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記ピラーの前記フランジ部は一部が前記基体内に埋め込まれている請求項4に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記基体はさらに導電性の2つの副ピラーを有し、前記副ピラーの一方に載置され、一方の電極が前記副ピラーの前記一方に接続され、他方の電極が前記副ピラーの他方に接続された保護素子を有する、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記複数のピラー及び前記発光素子を埋め込んで前記基体の前記上面を覆う封止部材を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
前記基体の前記上面と前記封止部材17との間に設けられた反射層を有する請求項10に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記発光素子が載置される前記複数のピラーは塑性変形加工された金属ピラーである請求項1ないし10のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を有する半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力化や配光制御のため、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を複数デバイス内に配置して用いることが行われている。
【0003】
例えば、自動車用ヘッドライトにおいて、走行環境に合わせて配光を制御する配光可変型のヘッドランプ(ADB: Adaptive Driving Beam)が知られている。また、高出力の照明用LEDパッケージや、LEDを高密度に配置した情報通信機器用のLEDパッケージなどが知られている。
【0004】
また、ミニLED(mini LED)と呼ばれる小型のLEDを直下型バックライト用光源として用いたディスプレイが注目を浴びている。このようなバックライト用光源には多数のミニLEDが用いられる。従って、高密度に集積配列して実装ができ、放熱性及び信頼性に優れたミニLEDが求められている。
【0005】
例えば、特許文献1には、小型化及び量産性の改善のため、発光層を有する積層体、配線層及び配線層上に設けられた金属ピラーを有する半導体発光装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、発光素子に接続され、絶縁基板を貫通する縦孔内に設けられた縦導体、及び当該貫縦孔内に設けられた貫通電極を有する発光デバイスが開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、プリント基板を貫通し、電子部品に熱的に接続された熱伝導部材を有するプリント基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-141176号公報
【特許文献2】特開2012-89646号公報
【特許文献3】特開2014-99544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、小型化が可能であるとともに、高密度に配列して実装ができ、放熱性及び信頼性に優れた半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1実施形態による半導体発光装置は、
平行平板形状を有し、柱状の複数のピラーが貫通して挿入された絶縁性の基体と、
前記複数のピラーのピラー上に載置された発光素子と、を備え、
前記複数のピラーは、前記基体の上面から同一の高さで突出し、前記基体の上面に平行な素子載置面を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の第1の実施形態による半導体発光装置を上面から見た場合を模式的に示す平面図である。
【
図1B】
図1Aの線A-Aに沿った断面を模式的に示す断面図である。
【
図1C】
図1Aの線B-Bに沿った断面を模式的に示す断面図である。
【
図2A】基体に圧入されたピラー12A及び12Bを有するピラー挿入基板10Aの上面図である。
【
図2C】ピラー挿入基板10Aの底面を示す平面図である。
【
図2D】
図2Aに示した場合とは異なるピラー配置を示す上面図である。
【
図3A】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3B】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3C】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3D】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3E】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3F】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3G】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3H】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3I】半導体発光装置の製造ステップを示す図である。
【
図3J】複数の半導体発光装置が繋がって形成された基板を各半導体発光装置に個片化する工程を示す図である。
【
図4A】本発明の第2の実施形態の半導体発光装置40の断面を示す断面図である。
【
図4B】半導体発光装置40のピラー挿入基板40Aを上面から見た場合を模式的に示す上面図である。
【
図4C】
図4Bの線C-Cに沿った断面を模式的に示す図である。
【
図4D】第2の実施形態の改変例である半導体発光装置45の断面図である。
【
図5A】本発明の第3の実施形態の半導体発光装置50の断面を示す断面図である。
【
図5B】半導体発光装置50のピラー挿入基板50Aを上面から見た場合を示す上面図である。
【
図5C】半導体発光装置50の裏面を示す平面図である。
【
図6A】第3の実施形態の改変例の半導体発光装置のピラー挿入基板60Aを上面から見た場合を示す上面図である。
【
図6C】半導体発光装置60の裏面を示す平面図である。
【
図7】改変例のピラー挿入基板の断面を模式的に示す断面図である。
【
図8A】第1~第3の実施形態のさらなる改変例のピラー挿入基板の上面を模式的に示す上面図である。
【
図8B】
図8Aの線D-Dに沿ったピラー挿入基板の断面を示す断面図である。
【
図9】第1~第3の実施形態のさらなる改変例の半導体発光装置の断面図である。
【
図10A】第1~第3の実施形態のさらなる改変例のピラー挿入基板を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
(1)半導体発光装置の構造
図1Aは、本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10を上面から見た場合(上面視ともいう)を模式的に示す上面図である。なお、説明及び理解の容易さのため、電極等の内部構造についても示している(破線)。
図1Bは、
図1Aの線A-Aに沿った断面を模式的に示す断面図であり、
図1Cは、
図1Aの線B-Bに沿った断面を模式的に示す断面図である。
【0014】
半導体発光装置10は、基体11、ピラー12、発光素子15,封止部材17を有している。発光素子15は、発光素子15の素子電極16A及び16B(以下、これらを特に区別しない場合は、電極16と総称する。)が導電性の接合部材13によってピラー12の頂面上に接合され、ピラー12に電気的に接続されている。
【0015】
より詳細には、基体11は、絶縁性の基板であり、平行平板形状を有する。基体11には、例えば、ガラス繊維強化樹脂であり、エポキシ樹脂を含むガラスエポキシ基板が好適に用いられる。特にFR4(Flame Retardant Type 4)基板が好適であるが、これに限定されない。FR4基板に限らず、熱硬化性樹脂からなるものでもよい。また、基体11の樹脂には、緑、赤、青又は白等の反射性顔料等が含まれていてもよい。
【0016】
ピラー12は、圧入によって基体11内に基体11を貫通して挿入されている。また、ピラー12は基体11から突出した柱頭部を有している。そして、ピラー12の柱頭部上に、接合部材13によって接合された発光素子15が設けられている。
【0017】
また、ピラー12は、具体的には、例えば、陽極(アノード)であるピラー12Aと、陰極(カソード)であるピラー12Bとからなる(以下、これらを特に区別しない場合は、ピラー12と総称する。)。すなわち、ピラー12A及びピラー12Bは、電極ピラーとして機能する。
【0018】
ピラー12A及びピラー12Bは、それぞれ基体11の裏面11Bに設けられた第1の実装電極21A及び第2の実装電極21Bに電気的に接続されている。第1の実装電極21A及び第2の実装電極21Bは板状の金属からなる実装電極プレート(例えば、パターニング配線)である。なお、板状の金属に加えて異方性導電シート等を併用してもよい。
【0019】
発光素子15は、本実施形態において、いわゆるフリップチップであって素子の裏面(接合側)に電極16A及び16Bが設けられている。発光素子15は、素子の上面及び側面を出射面とし、当該出射面から出射光LEが出射される。
【0020】
例えば、発光素子15は、青色の放出光を発する半導体発光ダイオード(LED)である。具体的には、発光素子15は、n型半導体層、発光層及びp型半導体層を含む半導体構造層が形成された窒化ガリウム系のLEDである。
【0021】
なお、発光素子15の発光色は青色に限られず、また、窒化ガリウム系以外の結晶系の半導体構造層を用いてもよい。さらに、発光素子15は、LEDに限られず、半導体レーザ等であってもよい。
【0022】
封止部材17は、基体11の上面11Aの全体を覆い、ピラー12及び発光素子15等の基体11上に設けられた部材を埋め込むように形成されている。
図1に示すように、発光装置10が直方体となるように設けることできるし、基体11の上面11A、ピラー12及び発光素子15の表面形状に沿った保護膜状に設けることもできる。
【0023】
封止部材17は、波長変換材が含まれた透光性樹脂からなる。透光性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0024】
また、波長変換材として、青色LED光を受けて黄色光を発する蛍光体粒子が含まれている。したがって、封止部材17の出射面(上面又は側面)からは白色光が出射される。また、波長変換材として青色LED光を受けて緑色光及び赤色光を発する蛍光体粒子であってもよい。
【0025】
なお、蛍光体は、特に限定されないが、例えばYAG(イットリウムムアルミニウムガーネット)、LuAG(ルテチウムアルミニウムガーネット)、GYAG(ガドリニウムアルミニウムガーネット)、α、βサイアロン、SCASN、CASN、KFS等の各種蛍光体を適宜用いることができる。
【0026】
また、封止部材17が透光体等の光学部材である場合は、発光素子15の上面(出射面)にカドミウムセレン系(CdSn系)、インジウムリン系(InP系)またはインジウムナイトライド系(InN系)等のナノ粒子光変換部材を配置することもできる。特に、発光素子15の上面から百数十nm以内にナノ粒子光変換部材を配置すると、量子的にカップリングして光変換効率が向上するので好ましい。
【0027】
また、封止部材17または発光素子15の上面に光変換部材を設けないことも可能である。この場合、発光素子15の出射光が封止部材17の出射面から出光する。
【0028】
なお、封止樹脂17は必ずしも設けられていなくともよい。あるいは、封止樹脂17に代わって、遮光樹脂等が発光素子15の側面などに設けられていてもよい。また、発光素子15上に波長変換板等の波長変換体が設けられていてもよい。また、配光を制御するための光学多層膜素子や回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)などの配光制御素子が設けられていてもよい。
【0029】
(2)ピラー
図2A~
図2Cを参照してピラー12について詳細に説明する。
図2Aは、基体11に圧入されたピラー12A及び12Bを有するピラー挿入基板10Aの上面図であり、
図2Bは、
図2Aの線CXに沿った断面を示す断面図である。
図2Cは、ピラー挿入基板10Aの底面を示す平面図である。
【0030】
図2Aに示すように、ピラー挿入基板10Aにおいて、ピラー12A及び12Bは、直方体状の発光素子15(破線で示す)の中心線CXに沿って、かつ基体11に垂直に圧入されて形成されている。
【0031】
ピラー12、すなわちピラー12A及び12Bは、金属ピラー(金属ポスト)であり、熱伝導性に優れた銅(Cu)ピラーが用いられている。
【0032】
ピラー12には、銅に限らず、銅合金、アルミ(Al)、アルミ合金、鉄ニッケルコバルト合金(Fe-Ni-Co)などの金属を用いることもできる。ピラー12は、塑性変形加工である鍛造加工又は引抜加工で製造されていることが好ましい。鍛造加工又は引抜加工で製造された金属ピラーは機械強度及び熱伝導率が高く、基体11に設けた貫通孔へのピラー12の圧入、また基体11を貫通したピラー12上への素子実装時に印加する押圧に対して十分な強度を有する。具体的には、緻密かつ微細で均一な多結晶結金組織を有する。例えば、基板11に設けた貫通孔に沿うように電界メッキ、蒸着および化学堆積等で形成するピラーは、金属組織にムラや巣を有するので押圧に対して粒界面の滑り、クラックまたは破断を発生することがある。
【0033】
また、ピラー12の表面にはニッケル(Ni)/金(Au)またはNi/銀(Ag)などのメッキが施されていてもよい。例えば、金メッキは耐腐食性が高め、銀(Ag)メッキは反射率を高めて光出力向上に寄与する。
【0034】
また、ピラー12には、金属に限らず、導電性を有し、熱伝導率の高い材料を用いることもできる。例えば、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AlN)などのセラミックに銅(Cu)やタングステン(W)の導電性材料を加えた導電性セラミックなどでも良い。
【0035】
以下においては、ピラー12Aの構造及びサイズ等について図面を参照して詳細に説明するが、ピラー12Bはピラー12Aと同一の構成を有するのでピラー12Bについても同様である。
【0036】
図2Bに示すように、ピラー12Aは、ピラー本体部12A1と、ピラー本体部12A1よりも径の大きなピラー頭部であるフランジ部12A2とを有している。
【0037】
ピラー本体部12A1は円柱形状を有し、当該円柱の中心軸に垂直な底面を有している。フランジ部12A2は、円柱形状を有するとともに、当該中心軸に垂直な上面を有し、一定の高さHを有している。すなわち、ピラー本体部12A1及びフランジ部12A2は直円柱形状を有している。なお、フランジ部12A2はピラー本体部12A1と同軸であることが好ましい。
【0038】
また、ピラー12Bはピラー12Aと同一の材料からなり、同一の形状及び大きさを有している。すなわち、ピラー12Bは、ピラー12Aと同一のピラー本体部12B1と、ピラー頭部であるフランジ部12B2とを有している。従って、フランジ部12A2の上面及びフランジ部12B2の上面は、基体11に平行な同一面内にある。
【0039】
すなわち、フランジ部12A2の上面及びフランジ部12B2の上面(すなわち、ピラー12A及び12Bの上面)は発光素子15を載置する素子載置面を形成している。
【0040】
また、ピラー12Aの下面及びピラー12Bの下面は基体11から同一の高さで突出し、基体11の下面に平行な下面を有している。
【0041】
かかる構造のピラー12は以下のような利点を有する。すなわち、ピラー12は円柱形状を有しているので、基体11に圧入するだけで加工することができる。さらに、円柱形状は加工が容易で寸法バラツキも小さく、また極小なピラーを製造することができる。
【0042】
ピラー12Aはフランジ部12A2が基体11の上面から突出するように圧入されている。すなわち、ピラー12Aはフランジ部12A2の高さ(H)だけ、基体11から突出している。ピラー12Aがフランジ部12A2を備えているため、ピラー12Aを圧入するだけで当該突出量(以下、上面突出量ともいう。)DH(=H)が確定される。
【0043】
さらに、発光素子15を基体11の上面11Aから上方に離間して実装することができる。また、予め製造したピラー12を基体11に圧入するので、ピラー12を電気的に短絡しないように近接配置することが可能である。
【0044】
また、ピラー12A及び12Bは、それぞれフランジ部12A2、12B2を有するので(
図2B)、素子載置面の面積を大きくすることができる。また、ピラー12A及び12B間の間隔DWを広くすることができる。
【0045】
ピラー12Aはピラー本体部12A1の底面が基体11の下面11Bと同一面であるか、あるいはピラー本体部12A1の底部が基体11の下面11Bから突出していることが好ましい。当該突出量(以下、下面突出量ともいう。)DLが
図2Bに示されている。
【0046】
なお、ピラー12が円柱形状(断面形状が真円)を有する場合が好適であるが、楕円柱形状を有していてもよい。あるいは、ピラー12は多角柱形状を有していてもよい。
【0047】
再び
図2Bを参照して詳細に説明すると、ピラー12Aのピラー本体部12A1は柱径φbを有し、フランジ部12A2は柱頭径φhを有する。例えば、発光素子15が幅180μm×奥行き160μmのサイズを有するとき、柱径φb=100μm、柱径φh=50μmを例示することができるが、これらに限定されない。
【0048】
また、ピラー本体部12A1の柱径φb、フランジ部12A2の柱頭径φhは以下の関係を満たすことが好ましい。
【0049】
φb<φh≦3×φb (1)
【0050】
この柱頭径φhの上限よりも柱頭径φhが大き過ぎると素子実装の際の平坦性が低くなり、また、素子実装時に十分な押圧抗力が得られないことがあり、中心ズレを有する実装となる場合がある。
【0051】
基体11の上面11Aから素子側への突出量である上面突出量DHは、基体11の厚さをDsubとしたとき、以下の関係を満たすことが好ましい。
【0052】
0≦DH≦Dsub/2 (2)
【0053】
上面突出量DHが0未満、すなわち、フランジ部12A2の頂面が基体11の上面11Aよりも低く、凹部を形成する場合には、発光素子15の接合が不安定になる。対して、フランジ部12A2の頂面が基体11の上面11Aと同等(DH=0)な場合には、発光素子の接合強度が安定する。なお、0<DHの場合、基体11の上面11Aの仕上げが粗い場合でも問題なく接合できるので好適である。また、上面突出量DHがピラーを支持する基体11の厚みの半分(Dsub/2)より大き過ぎると発光素子15の実装の際にピラーが傾く場合がある。
【0054】
なお、後述するように、フランジ部12A2が基体11に埋め込まれるようにピラー12Aが圧入されていてもよい。
【0055】
また、実装側の突出量である下面突出量DLは、以下の関係を満たすことが好ましい。
【0056】
まず、
図2B及び
図3Eに示すように、実装電極21が銅箔21Lとメッキ層21Mで構成されている場合、ピラー12の下面突出量DLは以下の(3)となる。なお、Dcは銅箔21Lの厚みである。また、メッキ層21Mの厚みは実装電極21の厚みDEから下面突出し量DLを引いた値である。
【0057】
Dc≦DL≦Dc+φb/10 (3)
【0058】
下面突出量DLがDc未満では、発光素子15の接合の際にピラー12で接合押圧を受け止められなくなる。また、下面突出量DLが大き過ぎると、回路基板等への実装時に発光装置が傾く場合がある。
【0059】
なお、本発明においては実装電極21を設けなくてもよい。その場合、ピラー12の本体部の下面が実装電極として機能する。この場合の下面突出量DLは以下の(4)となる。
【0060】
0≦DL≦φb/10 (4)
【0061】
下面突出量DLが0未満では、発光素子15の接合の際にピラー12で接合押圧を受け止められなくなる。また、下面突出量DLが大き過ぎると、回路基板等への実装時に発光装置が傾く場合がある。
【0062】
なお、上記においてはピラー12A及び12Bが発光素子15の中心線に沿って直線的に配置された場合を例に説明したが、これに限らない。
【0063】
例えば、
図2Dは、
図2Aに示した場合とは異なるピラー配置を示す上面図である。
図2Dに示すように、矩形状の発光素子15の対角線方向にピラー12A及び12Bが離間して配置されていてもよい。この場合、ピラー12A及び12B上に発光素子15を面内方向においてより安定に載置することができる。
【0064】
なお、2つのピラー12A及び12Bの上面上に発光素子15を載置する場合について説明したが、3つ以上のピラーの上面上に発光素子15を載置してもよい。
【0065】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、小型化が可能であるとともに、高密度に配列して実装ができ、放熱性及び信頼性に優れた半導体発光装置を提供することができる。
【0066】
(3)半導体発光装置の製造方法
図面を参照して半導体発光装置10の製造方法について以下に説明する。
図3A~
図3Jは、製造方法の各ステップS1~S10を示す図である。なお、
図3A~
図3Fの各図において、下段は基体11の裏面を表す平面図であり、上段は線A-Aに沿った断面を示す断面図である。また。
図3G~
図3Iの各図において、上段は基体11の裏面を表す平面図であり、下段は線A-Aに沿った断面を示す断面図である。
【0067】
ここで、
図3A~
図3Iは、図の明確さ及び理解の容易さのため、半導体発光装置10の1単位について示している。
図3Jは、複数の半導体発光装置10が繋がって形成された基板を各半導体発光装置10に個片化する工程を模式的に示す平面図である。
【0068】
(S1)銅(Cu)箔付き基板及び銅ピラーの準備
裏面に銅箔(又は銅プレート)21Lが付いたガラスエポキシ製の基体11と、ピラーに用いられる銅ピラーを用意する(
図3A)。
【0069】
(S2)銅箔パターニング
実装電極21A及び実装電極21Bの形状のレジストマスクを銅箔21L上に形成する。エッチング液でマスク以外の部分をエッチングして、実装電極21A及び実装電極21Bの形状に銅箔21Lを成形する(
図3B)。なお、基体11の半導体発光装置10となる各領域において銅箔21Lが実装電極形状を有するように成形される。また、エッチングで形成された銅箔21Lには、半導体発光装置10の周縁に至る延在部を有する。この延在部は、隣接する半導体発光装置10の同部と繋がっており、後述する工程(S5)において、メッキ層21Mの形成を可能とする。
【0070】
(S3)基板の穴開け
実装電極21A及び21Bの形成領域の所定位置に、マイクロドリル等を用いて銅ピラーを埋め込む穴(埋込み穴)21Hを形成する(
図3C)。
【0071】
(S4)ピラー埋め込み
圧入機を用いて銅ピラーを基板に埋め込み、ピラー12A及びピラー12Bを形成する(
図3D)。この際、ピラー12A及び12Bのフランジ部12A2及び12B2の底面が基体11の上面に接するまで圧入する。
【0072】
(S5)メッキ及び実装電極21の形成
ピラー12A及び12Bのフランジ部12A2及び12B2上に導電性シート31を貼り付ける(
図3E)。この際、半導体発光装置10の各領域のフランジ部12A2及び12B2の全体を覆うように導電性シート31を貼り付ける。
【0073】
続いて、電解メッキによって、実装電極の形状を有する銅箔21Lの表面にNi/Au層(メッキ層21M)をメッキする。なお、導電性シート31を用いているのでピラー12A及び12Bの下面と銅箔21Lの電気的な接触が不十分な場合であっても確実にメッキすることができるが、必ずしも用いなくともよい。
【0074】
当該メッキによって、ピラー12A及び12Bの圧入時のメッキ剥がれによる銅材の露出部及び銅箔21Lの銅表面を耐腐食性のあるNi/Au層で被覆できる。
【0075】
以上のように、ピラー12A及び12Bの下面及び銅箔21Lの表面がメッキされて実装電極21A及び21Bが形成される。なお、銅箔21Lを設けない場合はピラー12A及び12Bの下面が実装電極21A及び21Bとなる。
【0076】
(S6)カソードマーク形成
基体11の裏面上にカソードマークとなる樹脂を印刷する。その後、180℃、10分加熱してカソードマーク樹脂を硬化してカソードマーク32を形成する(
図3F)。
図3Fに示す場合では、実装電極21Aがアノードであり、実装電極21Bがカソードである。
【0077】
以上のステップS1~S6によって、ピラー挿入基板10Aが繋がって形成されたピラー挿入基板10Aの集合体が形成される。
【0078】
(S7)接合部材の塗布又は転写
フランジ部12A2及び12B2上に接合部材13としてソルダーペーストはんだを塗布する(
図3G)。ソルダーペーストはんだには、例えば錫銅系、金錫系はんだを用いることもできる。ソルダーペーストはんだには硬化剤が添加されていてもよい。また、未硬化のエラストリマー樹脂に導電性粒子が分散された異方性導電シートを用いることもできる。
【0079】
例えば、ソルダーペーストはんだならフランジ部12A2及び12B2の上面の各々に滴下又はスタンプ等により塗布する。また、異方性導電シートならば、フランジ部12A2及び12B2の両上面を跨ぐようにシートを貼ることで接合部材13を形成することができる。
【0080】
(S8)発光素子の実装
発光素子15の電極16A及び16Bを接合部材13に押圧・加熱して接合(仮接合)し、さらに加熱して本接合を行う(
図3H)。なお、異方性導電シートを用いた場合は、フランジ部12A2及び12B2と発光素子15の電極16Aと16Bに挟まれた領域のみが通電部となる。
【0081】
(S9)封止樹脂の形成
半導体発光装置10が繋がって形成された発光装置集合体の外周に封止樹脂17の形成高さに応じた封止部材の堰き止め枠37を形成する(
図3Jを参照)。
【0082】
堰き止め枠37内に封止樹脂になる前駆体を流し込む。当該前駆体樹脂を180°、30分加熱硬化して封止樹脂17を形成する(
図3I)。
【0083】
(S10)個片化
ダイシングブレ-ドBLを用いて半導体発光装置10が繋がって形成された発光装置集合体を個々の発光装置10に個片する(
図3J)。以上により、発光装置10の製造が完了する。
【0084】
[第2の実施形態]
図4Aは、本発明の第2の実施形態の半導体発光装置40の断面を示す断面図である。
図4Bは、半導体発光装置40のピラー挿入基板40Aを上面から見た場合を模式的に示す上面図である。
図4Cは、半導体発光装置40の裏面を示す平面図である。
【0085】
なお、
図4Aは、
図4Bの線C-Cに沿った断面を模式的に示しており、ピラー挿入基板40A上に実装される発光素子15、封止樹脂17等にはハッチングを施さずに示している。
【0086】
半導体発光装置40のピラー挿入基板40Aは、主ピラー42A,42Bと,副ピラー43A,43Bとを有する。
【0087】
なお、本明細書において、用語「主ピラー」は、発光素子が載置されるピラーをいい、用語「副ピラー」は、発光素子が載置されないそれ以外のピラーをいい、例えば配線電極として用いられる貫通電極を含む。
【0088】
本実施形態において、素子載置ピラーである主ピラー42A,42B,及び、配線ピラーである副ピラー43A,43Bは、銅又は銅合金からなる。
【0089】
図4Bに示すように、主ピラー42A及び42Bは、それぞれ、ピラー本体部42A1,42B1と、ピラー本体部42A1,42B1よりも径の大きなフランジ部42A2,42B2とを有している。ピラー本体部42A1,42B1は直円柱形状を有している。フランジ部42A2,42B2は、ピラー本体部42A1,42B1の中心軸に垂直な上面を有するとともに、一定の高さHを有する直円柱形状を有している。
【0090】
主ピラー42A及び42Bは、基体11に垂直に圧入されている。主ピラー42A及び42Bの基体11からの上面突出量DH及び下面突出量DLは、第1の実施形態の半導体発光装置10と同様である。
【0091】
副ピラー43A及び43Bは、一定の径の直円柱形状を有し、フランジ部は設けられていない。副ピラー43A及び43Bは、基体11に垂直に圧入されている。また、副ピラー43A及び43Bの基体11からの上面突出量及び下面突出量は、主ピラー42A及び42Bの上面突出量DH及び下面突出量DLと同一である。なお、副ピラー43A及び43Bの上面突出量は主ピラー42A及び42Bの上面突出量DHとは異なっていてもよいが、上面突出量DH以下であることが好ましい。例えば、副ピラー43A及び43Bの上面が主ピラー42A及び42Bの上面より高いと、発光素子15から出光する光を遮り発光装置40の光出力を低下するからである。
【0092】
主ピラー42A,42Bのフランジ部42A2,42B2上には、接合部材13によって接合された発光素子15が設けられている。発光素子15は裏面側に絶縁性の基板を有し、発光素子15はピラー42A,42Bとは電気的に絶縁されている。
【0093】
発光素子15の上面には、発光素子15の電極16C,16Dが設けられている。電極16C,16Dは、金(Au)などのボンディングワイヤBWによってそれぞれ副ピラー43A,43Bに電気的に接続されている。すなわち、副ピラー43A,43Bは電極ピラーとして機能する。
【0094】
主ピラー42A,42Bは矩形状の発光素子15の対角位置に配され、発光素子15が面内方向(基体11に平行な面内)において安定に載置されている。また、副ピラー43A,43Bは、主ピラー42A,42Bに対してジグザグ位置に配され、ワイヤボンディングが容易となるとともに、半導体発光装置40の小型化に寄与している。
【0095】
また、
図4Cに示すように、ジグザグに配された4つのピラーが設けられているので、半導体発光装置40を回路基板等に安定に実装できるとともに、放熱特性も優れている。
【0096】
以下に、
図4Dを参照して、本発明の第2の実施形態の改変例について説明する。
図4Dは、当該改変例の半導体発光装置45の断面(
図4Bの線C-Cに沿った断面に相当)を示す断面図である。
【0097】
本改変例が第2の実施形態の半導体発光装置40と異なるのは、発光素子15の一方の電極16Fが発光素子15の裏面に設けられている点である。
【0098】
より詳細には、本改変例において、発光素子15は、主ピラー42A,42Bのフランジ部42A2,42B2上に接合部材13A及び接合部材13Bによって接合されている。接合部材13Aは絶縁性の接合部材であり、接合部材13Bは導電性の接合部材である。
【0099】
発光素子15の上面に設けられた電極16Eは、ボンディングワイヤBWによって副ピラー43Aに電気的に接続されている。一方、発光素子15の裏面に設けられた電極16Fは導電性の接合部材13Bによって主ピラー42Bに電気的に接続されている。発光素子15の電極16Fは、絶縁性の接合部材13Aによって主ピラー42Aとは電気的に絶縁されている。
【0100】
すなわち、主ピラー42Bは電極として機能する電極ピラーである。なお、この場合、主ピラー42Aは絶縁性のピラーであってもよい。
【0101】
本改変例によれば、裏面に電極を有する発光素子15であっても、フランジ部42A2,42B2を有する主ピラー42A,42B上に安定して載置されるとともに、発光素子15の上面に設けられた電極16Eと副ピラー43AとをボンディングワイヤBWによって接続することができる。また、小型であるとともに、ワイヤボンディングも容易である。なお、副ピラー43Bは省略することもできる。
【0102】
[第3の実施形態]
図5Aは、本発明の第3の実施形態の半導体発光装置50の断面を示す断面図である。
図5Bは、半導体発光装置50のピラー挿入基板50Aを上面から見た場合を模式的に示す上面図である。
図5Cは、半導体発光装置50の裏面を示す平面図である。
【0103】
なお、
図5Aは、
図5Bの線C-Cに沿った断面を模式的に示しており、ピラー挿入基板50A上に実装される発光素子15、封止樹脂17等にはハッチングを施さずに示している。
【0104】
本実施形態において、半導体発光装置50のピラー挿入基板50Aは、基体11に垂直に圧入された4つの主ピラー52A,52B,52C,52Dが設けられている。主ピラー52A,52B,52C,52D上には発光素子15が載置されている。
【0105】
より詳細には、主ピラー52A,52B,52C,52Dは、直径が同一の直円柱形状を有し、フランジ部(ピラー頭部)は設けられていない。主ピラー52A,52B,52C,52Dは、同一の直径及び長さを有する。
【0106】
また、主ピラー52A,52B,52C,52Dの基体11からの上面突出量DH及び下面突出量DLは、同一であり、第1の実施形態の半導体発光装置10と同様である。
【0107】
従って、主ピラー52A,52B,52C,52Dの上面は基体11に平行な同一面内にあり、発光素子15を載置する素子載置面を形成している。
【0108】
4つの主ピラー52A,52B,52C,52Dは、導電性を有するピラー(ポスト)であり、熱伝導性に優れた銅ピラーが用いられている点は上記した実施形態と同様である。したがって、主ピラー52A,52B,52C,52Dは、発光素子15に電力を供給する電極ピラーとして機能する。
【0109】
発光素子15は、本実施形態においては直方体形状を有する、いわゆるフリップチップ型の発光素子である。発光素子15は、下面に電極16A(例えば、アノード)及び電極16B(例えば、カソード)を有し、電極16Aが主ピラー52A及び52Cに、電極16Bが主ピラー52B及び52Dに、それぞれ接合部材13A及び接合部材13Bによって接合され、電気的に接続されている。
【0110】
また、
図5Cに示すように、主ピラー52A及び52Cは第1の実装電極21Aに電気的に接続され、主ピラー52B及び52Dは第2の実装電極21Bに電気的に接続されている。
【0111】
発光素子15は、例えば、縦横1mm×0.8mmの大きさを有し、主ピラー52A,52B,52C,52Dの柱径(直径)φbは0.3mmである。
【0112】
本実施形態によれば、発光素子15の対角位置に直円柱形状の4つの主ピラーが設けられ、発光素子15の2つの電極にそれぞれ2つの主ピラーが電気的に接続されている。したがって、発光素子15を面内方向(基体11に平行な面内)において安定に接合及び載置することができる。また、対角位置の4つの主ピラーによって発光素子15の熱が放熱されるので高い放熱性能が得られる。
【0113】
さらに、小型の発光素子15の裏面において電極接続がなされ、放熱性能も高く、またワイヤボンディングも不要であり、小型で高い集積化が可能な半導体発光装置が得られる。
【0114】
以下に、第3の実施形態の改変例について説明する。
図6Aは、第3の実施形態の改変例の半導体発光装置60のピラー挿入基板60Aを上面から見た場合を模式的に示す上面図である。
図6Bは、
図6Aの線C-Cに沿った半導体発光装置60の断面を模式的に示しており、
図6Cは、半導体発光装置60の裏面を示す平面図である。
【0115】
本改変例は、第3の実施形態の半導体発光装置50が2つ連結された構成を有している点において半導体発光装置50と異なり、その他の構成は同一である。
【0116】
より詳細には、本改変例のピラー挿入基板60Aは、直径が同一の直円柱形状を有する主ピラー62A,62B,62C,62D(第1のピラー群)を有している。第1のピラー群の主ピラー62A~62Dの各々の上面突出量DHは同一であり、第1の発光素子15Aは、基体11に平行に載置される。
【0117】
第1の発光素子15Aは、下面に電極16A(例えば、アノード)及び電極16B(例えば、カソード)を有し、電極16Aが主ピラー62A及び62Cに、電極16Bが主ピラー62B及び62Dに、それぞれ接合部材13A及び接合部材13Bによって接合され、電気的に接続されている。
【0118】
また、ピラー挿入基板60Aは、主ピラー62A~62Dと同一の形状及びサイズの主ピラー63A,63B,63C,63D(第2のピラー群)を有している。第2のピラー群の主ピラー63A~63Dの各々の上面突出量DHは同一であり、第2の発光素子15Bは、基体11に平行に載置される。
【0119】
なお、第1のピラー群の主ピラー62A~62Dの上面突出量と第2のピラー群の主ピラー63A~63Dの上面突出量とは同一であることが半導体発光装置60の光出力の均一性の点で好ましい。
【0120】
第2の発光素子15Bは、下面に電極16C(例えば、アノード)及び電極16D(例えば、カソード)を有し、電極16Cが主ピラー63A及び63Cに、電極16Dが主ピラー63B及び63Dに、それぞれ接合部材(図示しない)によって接合され、電気的に接続されている。
【0121】
また、第1の発光素子15A及び第2の発光素子15Bは同一の発光色の発光素子であり、波長変換材が含まれた封止部材17によって封止されている。なお、互いに異なる発光色の発光素子であってもよい。
【0122】
なお、本改変例の半導体発光装置60は第1の発光素子15A及び第2の発光素子15Bを並列に接続できるように構成されている。しかし、
図6Aに示すように、ワイヤ結線BW(破線)によって、第1の発光素子15Aのアノード電極に接続された主ピラー62Aと第2の発光素子15Bのカソード電極に接続された主ピラー63Dを接続することで直列素子として用いることができる。
【0123】
本改変例によれば、複数の発光素子を面内方向において安定に接合及び載置することができるとともに、小型で高い放熱性能を有する発光装置が得られる。
【0124】
[第1~第3の実施形態の改変例]
(1)埋め込みピラー
上記した第1~第3の実施形態においては、ピラー頭部にフランジ部を有するピラーのピラー本体部のみが基体11に圧入された場合について説明した。しかしながら、フランジ部の一部も基体11内に埋め込まれるように圧入されていてもよい。
【0125】
図7は、本改変例のピラー挿入基板70Aの断面を模式的に示す断面図である。ピラー挿入基板70Aにおいては、同一形状及び大きさのピラー12A及びピラー12Bのフランジ部12A2及び12B2の一部が基体11内に埋め込まれ、一部が突出している。具体的には、基体11には、ザグリ加工によって、基体11の表面11Aにフランジ部12A2及び12B2の一部が挿入される凹部が形成され、当該凹部内にフランジ部12A2及び12B2の一部が埋め込まれている。
【0126】
ピラー12A及びピラー12Bの上面突出量DH及び下面突出量DLは同一である。また、当該上面突出量DH及び下面突出量DLは、上記した式(2)及び(3)を満たすことが好ましい。
【0127】
本改変例によれば、当該凹部の深さの調整によって、例えば、発光素子15の電極部が押接されるフランジ部12A2及び12B2の強度を損なうことなく、発光素子を載置する高さを調整することができる。
【0128】
(2)保護素子
図8Aは、第1~第3の実施形態のさらなる改変例のピラー挿入基板80Aの上面を模式的に示す上面図である。
図8Bは、
図8Aの線D-Dに沿ったピラー挿入基板80Aの断面を模式的に示す断面図である。
【0129】
ピラー挿入基板80Aは、金属ピラーであり、発光素子15が載置される主ピラー82A,82Bと,金属ピラーである副ピラー83A,83Bとを有する。主ピラー82A及び82B上には発光素子15が実装されている。発光素子15の2つの電極は、それぞれピラー挿入基板80Aの裏面の第1の実装電極21A及び第2の実装電極21Bに電気的に接続されている。
【0130】
副ピラー83A上にはツェナーダイオード等の保護素子85が導電性の接合部材84によって接合されている。より詳細には、保護素子85は裏面に電極85Aを有し、電極85Aは副ピラー83Aと電気的に接続されている。また、保護素子85は上面に電極85Bを有し、電極85Bは副ピラー83Bと電気的に接続されている。
【0131】
本改変例においては、副ピラー83A,83Bはそれぞれ実装電極21A及び実装電極21Bに電気的に接続されており、保護素子85は発光素子15と並列に接続されている。しかしながら、保護素子85と発光素子15との接続形態はこれに限定されない。例えば、ピラー挿入基板80Aが載置される回路基板(図示しない)の配線によって接続されてもよい。
【0132】
(3)反射層
図9は、第1~第3の実施形態のさらなる改変例の半導体発光装置90の断面を模式的に示す断面図である。
【0133】
本改変例の半導体発光装置90においては、基体11の上面11Aと封止部材17との間に反射層92が挿入されている。より具体的には、反射層92は、基体11の上面11Aから発光素子15の下面の高さまで充填して形成されている。
【0134】
半導体発光装置90は、電極ピラーであるピラー12A及びピラー12Bのフランジ部12A2及び12B2上に発光素子15が接合されて実装されている。従って、基体11の上面11Aから発光素子15の下面の高さまで反射層92を設けることができる。
【0135】
反射層92は、発光素子15の出射光や封止部材17中の波長変換材の変換光を反射し、発光装置90の光出力を大きくすることができる。
【0136】
なお、反射層92は、例えば、透光性シリコーン樹脂に酸化チタン粒子(φ200~300nm)を含有させて構成することができる。または、透光性シリコーン樹脂に気泡発生粒子(気泡サイズφ200~300nm)を含有させて構成することができる。
【0137】
(4)基体上面配線層
図10A、第1~第3の実施形態のさらなる改変例のピラー挿入基板95Aを示す上面図である。
図10Bは、
図10Aの線D-Dに沿った断面を示す断面図である。
【0138】
図10Bに示すように、本改変例のピラー挿入基板100Aにおいては、導電性のピラー12A及び12Bが圧入されるピラー挿入孔103Aには、ピラー挿入孔103の内側面を被覆する内側面配線層104が設けられている。
【0139】
内側面配線層104は、基体11の上面11Aに延在する上面配線層104Aを有する。したがって、上面配線層104Aはピラー12Aに電気的に接続されている。同様に、
図10Aに示すように、ピラー挿入基板100Aは、ピラー12Bに電気的に接続された上面配線層104Bを有する。
【0140】
上面配線層104A上にはツェナーダイオード等の保護素子85が導電性の接合部材によって接合されている。より詳細には、保護素子85は裏面に電極85Aを有し、電極85Aはピラー12Aに電気的に接続されている。また、保護素子85は上面に電極85Bを有し、電極85Bはピラー12Bに電気的に接続されている。
【0141】
したがって、上記のように、ピラーに接続された上面配線層を設けることによって、上面配線層を保護素子、キャパシタ、抵抗器の載置用配線とすることができ、装置の小型に寄与する。
【0142】
以上、改変例について詳細に説明した。当該改変例は、第1~第3の実施形態のピラー挿入基板及び半導体発光装置に適宜組み合わせて適用することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、上記した半導体層の構成、結晶系、ピラーの材料、大きさ等の数値その他は例示に過ぎない。本発明の範囲から逸脱しない範囲において適宜改変して適用することができる。
【0144】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、小型化が可能であるとともに、高密度に配列して実装ができ、放熱性及び信頼性に優れた半導体発光装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0145】
10,40,45,50,60,90:半導体発光装置、
10A,40A,50A,60A,70A,80A,95A,100A:ピラー挿入基板
11:基体、
12,12A,12B:ピラー
12A1、12B1:ピラー本体部
12A2、12B2:フランジ部
15,15A,15B:発光素子
16,16A~16F:素子電極
17:封止部材
21A,21B:実装電極
42A,42B,52A~52D,62A~62D,63A~63D,82A,82B:主ピラー
43A,43B,83A,83B:副ピラー