(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034845
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】光ファイバ及びそれを用いた光ファイババンドル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20240306BHJP
G02B 6/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G02B6/44 301A
G02B6/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139362
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 一晃
(72)【発明者】
【氏名】八若 正義
(72)【発明者】
【氏名】楠 修一
(72)【発明者】
【氏名】西沖 達也
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AA06
2H250AB04
2H250AB05
2H250AB10
2H250AD32
2H250AD36
2H250AD37
2H250BA03
2H250BA11
2H250BA32
2H250BB26
2H250BD00
2H250CA02
2H250CA62
2H250CZ09
(57)【要約】
【課題】真空環境下での使用においてアウトガスが発生しない光ファイバを提供する。
【解決手段】光ファイバ10は、真空環境下で用いられる。光ファイバ10は、石英製の裸ファイバ11と、それを被覆する金属ジャケット12とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空環境下で用いられる光ファイバであって、
石英製の裸ファイバと、前記裸ファイバを被覆する金属ジャケットと、を備える光ファイバ。
【請求項2】
請求項1に記載された光ファイバにおいて、
前記金属ジャケットがアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている光ファイバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光ファイバが複数本集められて構成された光ファイババンドル。
【請求項4】
請求項3に記載された光ファイババンドルにおいて、
先端部において、前記複数本の光ファイバが接着剤を介して集束されて一体化している光ファイババンドル。
【請求項5】
請求項4に記載された光ファイババンドルにおいて、
前記接着剤が、シリコーン接着剤、アルミナ接着剤、又は、セラミック接着剤である光ファイババンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ及びそれを用いた光ファイババンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
真空容器内において光ファイバを用いる場合、光ファイバにおける樹脂材料のジャケットからのアウトガスの発生が問題となる。特許文献1には、かかるアウトガスの発生の防止のため、フレキシブルチューブの両端の金具に光学窓を設けて封止し、その中に光ファイババンドルを収容することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、真空環境下での使用においてアウトガスが発生しない光ファイバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、真空環境下で用いられる光ファイバであって、石英製の裸ファイバと、前記裸ファイバを被覆する金属ジャケットとを備える。
【0006】
本発明は、本発明の光ファイバが複数本集められて構成された光ファイババンドルである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、石英製の裸ファイバが金属ジャケットで被覆されているので、真空環境下での使用においてアウトガスが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】光ファイババンドルの先端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る光ファイバ10を示す。この光ファイバ10は、例えば、真空容器内の真空環境下において、分光計測等に用いられるものである。ここで、本出願における「真空」とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態をいい、具体的には、1013hPaよりも低い圧力の気体で満たされた空間内の状態をいう。
【0011】
実施形態に係る光ファイバ10は、石英製の裸ファイバ11と、その裸ファイバ11を被覆する金属ジャケット12を備える。光ファイバ10の外径は、例えば130μm以上1620μm以下である。
【0012】
裸ファイバ11は、ファイバ中心の相対的に高屈折率のコア111と、そのコア111を被覆する相対的に低屈折率のクラッド112とを有する。裸ファイバ11の外径は、例えば125μm以上1500μm以下である。コア111の直径は、例えば50μm以上1200μm以下である。クラッド112の厚さは、例えば5μm以上60μm以下である。
【0013】
石英製の裸ファイバ11は、例えば、コア111が、ドーパントがドープされていない純粋石英で形成され、且つクラッド112が、フッ素(F)等の屈折率を低めるドーパントがドープされた石英で形成されていてもよい。また、コア111が、ゲルマニウム(Ge)等の屈折率を高めるドーパントがドープされた石英で形成され、且つクラッド112が、ドーパントがドープされていない純粋石英、又は、フッ素(F)等の屈折率を低めるドーパントがドープされた石英で形成されていてもよい。
【0014】
金属ジャケット12を形成する金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、及びこれらの合金等が挙げられる。金属ジャケット12は、これらのうちのアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていることが好ましい。金属ジャケット12の厚さは、例えば2.5μm以上60μm以下である。
【0015】
実施形態に係る光ファイバ10は、石英製のプリフォームを加熱して裸ファイバ11を線引きし、それに続いて、線引きした裸ファイバ11を溶融金属槽に通して金属ジャケット12で被覆することにより製造することができる。
【0016】
以上の構成の実施形態に係る光ファイバ10によれば、石英製の裸ファイバ11が金属ジャケット12で被覆されているので、アウトガスの発生源がないため、真空環境下での使用においてアウトガスが発生しない。
【0017】
実施形態に係る光ファイバ10は、
図2に示すように、複数本を集めて集束させることにより光ファイババンドル20を構成することができる。光ファイババンドル20を構成する光ファイバ10の本数は、例えば2本以上3000本以下である。
【0018】
光ファイババンドル20は、その先端部において、接着剤21を介して、複数本の光ファイバ10が、集束されて一体化しているとともに、筒状の金属スリーブSに挿通されて接着していてもよい。接着剤21は、アウトガスの発生を防止する観点から、シリコーン接着剤、アルミナ接着剤、又は、セラミック接着剤であることが好ましい。
【0019】
実施形態に係る光ファイバ10又はそれを用いた光ファイババンドル20は、フレキシブルチューブに挿通されるとともに、両端のそれぞれに光コネクタが設けられることにより光ケーブルを構成することができる。
【0020】
ところで、特許文献1に開示されたアウトガス発生防止構造では、光が光学窓を介して光ファイバに入射し、また、光ファイバから出射した光が光学窓を介して伝送されるので、光の適正な伝送を得るには、光学窓に対する光ファイバの端面の位置を正確な位置に位置付ける必要がある。そのため、光ファイバの長さをフレキシブルチューブの長さに対応させなければならない。それに加えて、光が光学窓で反射するので、伝送する光の光量が低下するという問題もある。
【0021】
これに対し、実施形態に係る光ファイバ10及びそれを用いた光ファイババンドル20では、光学窓を介さずに、光が直接的に入射し、また、出射する光が伝送されるので、光ファイバ10や光ファイババンドル20の長さが、フレキシブルチューブの長さの制約を受けることがない。また、伝送する光の光量の低下もない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、光ファイバ及びそれを用いた光ファイババンドルの技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0023】
10 光ファイバ
11 裸ファイバ
111 コア
112 クラッド
12 金属ジャケット
20 光ファイババンドル
21 接着剤
S 金属スリーブ