(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034856
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】駆動機構、射出装置および射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/60 20060101AFI20240306BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20240306BHJP
B22D 17/20 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B29C45/60
B29C45/17
B22D17/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139379
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕
(72)【発明者】
【氏名】米原 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】豊島 敏雄
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AG08
4F206AG13
4F206AG25
4F206JA07
4F206JD01
4F206JL02
4F206JQ11
4F206JQ83
(57)【要約】
【課題】 射出装置や射出成形機の製造コスト低減や小型化を実現する。
【解決手段】 一実施形態の射出装置3は、シリンダ20と、シリンダ20内に設けられたスクリュ21と、スクリュ21を回転,前進および後進させる駆動機構22と、を備える。駆動機構22は、ピストンロッド42を含むピストン40と、ピストンロッド42の周囲に配置され、ピストンロッド42の中心軸を回転軸として回転駆動される回転体50と、を有する。ピストンロッド42に、当該ピストンロッド42の中心軸方向に延びる複数の外歯44が設けられ、回転体50に、外歯44と噛み合う複数の内歯51が設けられる。また、ピストンロッド42の先端側にスクリュ21が回転不能に連結される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出装置のスクリュを駆動する駆動機構であって、
ピストンロッドと、前記ピストンロッドの基端側に設けられたピストンヘッドとを含み、油圧によって前記ピストンロッドの中心軸方向に移動されるピストンと、
前記ピストンロッドの周囲に配置され、前記ピストンロッドの中心軸を回転軸として回転駆動される回転体と、を有し、
前記ピストンロッドに、当該ピストンロッドの中心軸方向に延びる複数の外歯が設けられ、
前記回転体に、前記外歯と噛み合う複数の内歯が設けられ、
前記ピストンロッドの先端側に前記スクリュが回転不能に連結される、駆動機構。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動機構において、
前記ピストンロッドは、円柱状であり、
前記回転体は、前記ピストンロッドを取り囲む環状または円筒状であり、
前記外歯は、前記ピストンロッドの外周面に設けられ、
前記内歯は、前記ピストンロッドの前記外周面と対向する前記回転体の内周面に設けられている、駆動機構。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動機構において、
複数の前記外歯は、前記ピストンロッドの周方向で隣接しており、かつ、互いに平行であり、
複数の前記内歯は、前記回転体の周方向で隣接しており、かつ、互いに平行である、駆動機構。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動機構において、
前記回転体は、前記ピストンロッドの中心軸方向において、前記ピストンロッドの基端と先端との間に配置されている、駆動機構。
【請求項5】
材料を溶融させて射出する射出装置であって、
シリンダと、
前記シリンダ内に設けられたスクリュと、
前記スクリュを回転,前進および後進させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
ピストンロッドと、前記ピストンロッドの基端側に設けられたピストンヘッドとを含み、油圧によって前記ピストンロッドの中心軸方向に移動されるピストンと、
前記ピストンロッドの周囲に配置され、前記ピストンロッドの中心軸を回転軸として回転駆動される回転体と、を有し、
前記ピストンロッドに、当該ピストンロッドの中心軸方向に延びる複数の外歯が設けられ、
前記回転体に、前記外歯と噛み合う複数の内歯が設けられ、
前記ピストンロッドの先端側に前記スクリュが回転不能に連結されている、
射出装置。
【請求項6】
金型が取り付けられる型締装置と、前記金型に材料を注入する射出装置と、から構成される射出成形機であって、
前記射出装置は、
シリンダと、
前記シリンダ内に設けられたスクリュと、
前記スクリュを回転,前進および後進させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
ピストンロッドと、前記ピストンロッドの基端側に設けられたピストンヘッドとを含み、油圧によって前記ピストンロッドの中心軸方向に移動されるピストンと、
前記ピストンロッドの周囲に配置され、前記ピストンロッドの中心軸を回転軸として回転駆動される回転体と、を有し、
前記ピストンロッドに、当該ピストンロッドの中心軸方向に延びる複数の外歯が設けられ、
前記回転体に、前記外歯と噛み合う複数の内歯が設けられ、
前記ピストンロッドの先端側に前記スクリュが回転不能に連結されている、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
所望形状の樹脂部材や金属部材を製造する射出成形機が知られている。一般的な射出成形機は、型締装置と射出装置とから構成される。型締装置は、金型を保持し、保持している金型を開閉させる。射出装置は、樹脂材料や金属材料を溶融させ、溶融した材料を型締装置に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出装置は、シリンダ,スクリュ,駆動機構などを備えている。駆動機構は、スクリュをシリンダ内で回転,前進および後進させる。射出装置や射出成形機の製造コスト低減や小型化のために、射出装置が備える駆動機構の部品数の削減や小型化が求められる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の射出装置は、シリンダと、前記シリンダ内に設けられたスクリュと、前記スクリュを回転,前進および後進させる駆動機構と、を備える。前記駆動機構は、ピストンロッドを含むピストンと、前記ピストンロッドの周囲に配置され、前記ピストンロッドの中心軸を回転軸として回転駆動される回転体と、を有する。前記ピストンロッドに、当該ピストンロッドの中心軸方向に延びる複数の外歯が設けられ、前記回転体に、前記外歯と噛み合う複数の内歯が設けられる。また、前記ピストンロッドの先端側に前記スクリュが回転不能に連結される。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、射出装置や射出成形機の製造コスト低減や小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の射出成形機を模式的に示す説明図である。
【
図2】一実施形態の射出装置を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一または実質的に同一の機能を有する部材や機器には同一の符号を用いる。また、一度説明した部材や機器については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0010】
<射出成形機>
図1は、本実施形態に係る射出成形機1を模式的に示す説明図である。射出成形機1は、型締装置2と射出装置3とから構成されている。型締装置2には金型11,12が取り付けられる。型締装置2は、取り付けられた金型11,12を開閉させる。射出装置3は、材料(例えば、マグネシウムやマグネシウム合金などの金属材料)を加熱して溶融状態または半溶融状態にする。さらに、射出装置3は、溶融状態または半溶融状態の金属材料(溶融金属)を型締装置2に供給する。より特定的には、射出装置3は、溶融金属を金型11,12のキャビティー内に注入する。つまり、本実施形態に係る射出成形機1は、金属射出成形機である。
【0011】
<型締装置>
型締装置2は、ベッド4の上に設けられた固定盤13,型締ハウジング14及び可動盤15を備えている。固定盤13は、ベッド4に固定されている。一方、型締ハウジング14及び可動盤15は、ベッド4上をスライド可能である。
【0012】
固定盤13と型締ハウジング14とは、可動盤15を貫通する複数本のタイバー16によって互いに連結されている。より特定的には、4本のタイバー16によって、固定盤13と型締ハウジング14とが連結されている。可動盤15は、固定盤13と型締ハウジング14との間で、これらの対向方向にスライド可能である。
【0013】
型締ハウジング14と可動盤15との間に、型締機構17が設けられている。より特定的には、型締ハウジング14と可動盤15との間に、リンク式の型締機構17が設けられている。別の見方をすると、型締ハウジング14と可動盤15との間に、トグル機構が設けられている。なお、型締機構17は、直圧式に置換することができる。
【0014】
型締機構17は、可動盤15に取り付けられている金型11を固定盤13に取り付けられている金型12に対して進退させる。金型11が金型12に接すると、金型11,12が閉じられる。一方、金型11が金型12から離れると、金型11,12が開かれる。型締機構17は、金型11,12を閉じている間、金型11,12が開かないように、金型11を金型12に押し付けることができる。
【0015】
<射出装置>
射出装置3は、シリンダ20,スクリュ21,駆動機構22,ホッパ23等から構成されている。ホッパ23は、シリンダ20に金属材料を供給するための供給口であって、シリンダ20の後部に設けられている。スクリュ21は、シリンダ20の内部に設けられており、シリンダ20に対して回転および移動する。より特定的には、スクリュ21は、シリンダ20の中心軸を回転軸として回転駆動される。また、スクリュ21は、シリンダ20の中心軸の方向に直線駆動される。別の見方をすると、スクリュ21は、シリンダ20内で、型締装置2に近接する方向(前方)と、型締装置2から離反する方向(後方)とに直線的に駆動される。
【0016】
上記のようなスクリュ21の動作(回転,前進,後進)は、駆動機構22によって実現される。駆動機構22の詳細については、後に改めて説明する。
【0017】
ホッパ23を介してシリンダ20に供給された金属材料は、加熱されて溶融する。シリンダ20の周囲には、シリンダ20を加熱するためのヒータが設けられる。本実施形態では、複数のヒータ24がシリンダ20の外周面に巻かれている。シリンダ20に供給された金属材料は、ヒータ24から発せられる熱や、スクリュ21の回転によって生じるせん断発熱によって加熱され、溶融する。
【0018】
<成形品の製造方法>
図1に示されている射出成形機1を用いて金属部材などの成形品を製造する工程は、既に知られている工程と同一または実質的に同一である。よって、製造工程の詳細な説明は省略するが、製造工程には、例えば次の工程の1つ又は2つ以上が含まれる。
(工程1)シリンダ20に供給された金属材料(例えば、粉状またはペレット状に加工されたマグネシウムやマグネシウム合金)を加熱して溶融状態または半溶融状態にする工程
(工程2)スクリュ21を回転させて、溶融状態または半溶融状態の金属材料をシリンダ20の先端側に送る工程
(工程3)スクリュ21を前進させて、射出ノズルから金型11,12のキャビティー内に金属材料を注入(射出)する工程
(工程4)スクリュ21を後進させて、射出ノズル内の金属材料の圧力を緩和させる工程
【0019】
上記工程の1つ又は2つ以上を含むプロセスを繰り返すことにより、連続して同一形状の金属部材(成形品)が製造される。つまり、所望形状の金属部材(成形品)が量産される。
【0020】
<駆動機構>
図2は、射出装置3を模式的に示す説明図である。既述のとおり、射出装置3は、スクリュ21を回転,前進および後進させる駆動機構22を備えている。駆動機構22は、ピストン40及び回転体50を有する。
【0021】
<ピストン>
ピストン40は、一体のピストンヘッド41及びピストンロッド42を含んでおり、油圧によってピストンロッド42の中心軸方向に移動される。つまり、ピストン40は、油圧ピストンである。なお、
図2中のX-X線は、ピストンロッド42の中心軸を示す仮想線である。
【0022】
別の見方をすると、ピストン40は、
図1に示される型締装置2に近接する方向(前方)と、型締装置2から離反する方向(後方)とに移動する。スクリュ21は、ピストン40のピストンロッド42の先端側に回転不能に連結されている。したがって、ピストン40が前後に移動すると、スクリュ21も前後に移動する。より特定的には、ピストン40が前方に移動すると、スクリュ21が前進する。一方、ピストン40が後方に移動すると、スクリュ21が後進する。
【0023】
ピストン40は、例えば、上記工程3を実行する際に前方に移動される。つまり、上記工程3では、ピストン40を前方に移動させることにより、スクリュ21を前進させ、射出ノズルから金属材料を射出させる。
【0024】
ピストン40は、例えば、上記工程4を実行する際に後方に移動される。つまり、上記工程4では、ピストン40を後方に移動させることにより、スクリュ21を後進させ、射出ノズル内の金属材料の圧力を緩和する。射出ノズル内の金属材料の圧力を緩和することにより、金属材料の漏出が防止される。金属材料の漏出を防止するためにスクリュ21を後進させる上記工程4は“サックバック”と呼ばれることがある。
【0025】
<ピストンヘッド>
ピストンヘッド41は、前壁60a,後壁60b及び側壁60cによって囲まれた油圧室60に収容されている。ピストンヘッド41は、油圧室60内で、前後に移動可能であり、かつ、回転可能である。
【0026】
油圧室60は、ピストンヘッド41により、上室61と下室62とに区画されている。別の見方をすると、ピストンヘッド41よりも後方(右側)の空間が上室61であり、ピストンヘッド41よりも前方(左側)の空間が下室62である。なお、上室61及び下室62の容積は、ピストンヘッド41の移動に伴って増減する。
【0027】
油圧室60は、2つのポート63,64を介して油圧系と繋がっている。ポート63から上室61に作動油が供給されると、ピストンヘッド41の上面41aに圧力が加わり、ピストン40が前進する(ピストン40が押し出される。)。このとき、下室62内の作動油は、ポート64を通して下室62から排出される。
【0028】
一方、ポート64から下室62に作動油が供給されると、ピストンヘッド41の下面41bに圧力が加わり、ピストン40が後進する(ピストン40が押し戻される。)。このとき、上室61内の作動油は、ポート63を通して上室61から排出される。
【0029】
<ピストンロッド>
ピストンロッド42は円柱状であって、ピストンヘッド41の下面41bから前方に向かって延びている。別の見方をすると、ピストンヘッド41は、ピストンロッド42の基端側に設けられている。言い換えれば、ピストンヘッド41が設けられている側がピストンロッド42の基端側である。また、ピストンヘッド41が設けられている側と反対側がピストンロッド42の先端側である。なお、ピストンヘッド41とピストンロッド42とは同軸である。
【0030】
ピストンロッド42は、前壁60aを貫通して前壁60aの前方に突出している。前壁60aとピストンロッド42との間には、作動油の漏れを防止するシール部材65が配置されている。
【0031】
ピストンロッド42の外周面には複数の外歯44が設けられている。より特定的には、前壁60aから突出しているピストンロッド42の先端側の外周面に、複数の外歯44が設けられている。
【0032】
それぞれの外歯44は、ピストンロッド42の中心軸方向に延びている。また、複数の外歯44は、ピストンロッド42の周方向で隣接しており、かつ、互いに平行である。さらに、それぞれの外歯44は、ピストン40が最も後方に移動しても、その後端がシール部材65に到達しない長さを有する。別の見方をすると、それぞれの外歯44は、ピストン40が最も後方に移動しても、その後端がシール部材65に到達しない位置に配置されている。
【0033】
<回転体>
回転体50は、ピストンロッド42の周囲に配置されており、ピストンロッド42を取り囲んでいる。つまり、回転体50は、ピストンロッド42が挿通可能な内径を有する環状または円筒状の部材である。
【0034】
回転体50は、射出装置3の前方に配置されている。より特定的には、回転体50は、ピストンロッド42の中心軸方向において、ピストンロッド42の基端と先端との間に配置されている。別の見方をすると、回転体50は、ピストンヘッド41よりも前方であって、スクリュ21よりも後方に配置されている。
【0035】
ピストンロッド42の外周面と対向する回転体50の内周面に、複数の内歯51が設けられている。それぞれの内歯51は、外歯44と同方向に延びている。また、複数の内歯51は、回転体50の周方向(回転方向)で隣接しており、かつ、互いに平行である。
【0036】
回転体50に設けられている内歯51は、ピストンロッド42に設けられている外歯44と噛み合っている。つまり、ピストンロッド42と回転体50とは、スプライン嵌合している。別の見方をすると、ピストンロッド42は、外周面にキーが形成されたスプラインシャフトであり、回転体50は、内周面にキー溝が形成されたスプラインボスまたはスリーブである。
【0037】
ピストンロッド42に設けられている外歯44及び回転体50に設けられている内歯51は、ピストンロッド42の中心軸方向に延びており、かつ、互いに噛み合っている。この結果、ピストン40と回転体50とは相対回転不能であるが、ピストン40は、回転体50に対してピストンロッド42の中心軸方向に移動可能である。つまり、ピストン40は、回転体50と一体的に回転可能である一方、回転体50から独立して進退可能である。
【0038】
回転体50は、前壁60aの前面から突出している支持部52に、軸受53を介して回転自在に取り付けられている。回転体50は、モータにより、ピストンロッド42の中心軸を回転軸として回転駆動される。例えば、電動モータから出力されるトルクがベルト,プーリー,ギヤ等から構成される伝達手段や減速手段を介して回転体50に入力される。回転体50に入力されたトルクは、ピストンロッド42に伝達され、ピストンロッド42を含むピストン40を回転させる。なお、モータは電動モータに限られず、例えば油圧モータであってもよい。
【0039】
既述のとおり、スクリュ21は、ピストンロッド42の先端側に回転不能に連結されている。したがって、ピストン40が回転すると、スクリュ21も回転する。より特定的には、ピストン40が時計回りに回転すると、スクリュ21も時計回りに回転する。一方、ピストン40が反時計回りに回転すると、スクリュ21も反時計回りに回転する。ピストン40の回転方向の切り替えは、回転体50の回転方向の切り替えによって実現され、回転体50の回転方向の切り替えは、モータの回転方向の切り替えによって実現される。
【0040】
ピストン40は、例えば、上記工程1や上記工程2を実行する際に回転される。つまり、上記工程1では、ピストン40を回転させることにより、スクリュ21を回転させ、金属材料にせん断応力を与える。また、上記工程2では、ピストン40を回転させることにより、スクリュ21を回転させ、金属材料をシリンダ20の先端側に送る。
【0041】
上記のように、本実施形態の射出装置3では、1つのピストン40がスクリュ21の全ての動作(回転,前進および後進)を担っている。よって、射出装置3は、スクリュ21の動作を複数のピストンが分担する他の射出装置と比べて部品数が少なく、低コストで製造することができる。さらに、射出装置3の製造コストの低減は、射出装置3を含む射出成形機1の製造コストの低減に繋がる。
【0042】
加えて、部品数が削減されると、部品同士の連結箇所や締結箇所も削減される。この結果、ボルトその他の連結部材や締結部材が変形したり、破損したりするリスクが低減される。
【0043】
また、本実施形態の射出装置3では、スクリュ21が前後進する際に移動する部材は、当該スクリュ21とピストン40のみである。別の見方をすると、スクリュ21が前後進する際に回転体50は移動しない。よって、前後に移動する重量が少なく、スクリュ21のブレーキ性能が向上する。つまり、スクリュ21の制動距離が短縮されるとともに、スクリュ21を所望の位置で正確に停止させることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の射出装置3では、回転体50が装置前方に配置されており、回転体50の内歯51と噛み合う外歯44がピストンロッド42の先端側に設けられている。一方、回転体50が装置後方に配置されている場合、ピストンロッド42やピストンヘッド41を後方に延長し、外歯44をピストンロッド42の基端側やピストンヘッド41の後方に設ける必要がある。この場合、射出装置3の全長が延び、射出装置3が大型化する。さらに、射出装置3の大型化は、射出装置3を含む射出成形機1の大型化を招く。つまり、本実施形態では、射出装置3および射出成形機1の小型化が実現されている。
【0045】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、射出装置3は、型締装置2に取り付けられている金型11,12に溶融樹脂を注入する射出装置(樹脂射出装置)に置換することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 射出成形機
2 型締装置
3 射出装置
4 ベッド
11,12 金型
13 固定盤
14 型締ハウジング
15 可動盤
16 タイバー
17 型締機構
20 シリンダ
21 スクリュ
22 駆動機構
23 ホッパ
24 ヒータ
40 ピストン
41 ピストンヘッド
41a 上面
41b 下面
42 ピストンロッド
44 外歯
50 回転体
51 内歯
52 支持部
53 軸受
60 油圧室
60a 前壁
60b 後壁
60c 側壁
61 上室
62 下室
63,64 ポート
65 シール部材
X-X 仮想線