(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003486
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】方向規制装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/84 20060101AFI20240105BHJP
B65G 47/244 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B65G47/84 B
B65G47/244
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102669
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 尊之
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 昌伸
【テーマコード(参考)】
3F072
3F081
【Fターム(参考)】
3F072AA08
3F072GE01
3F072GG02
3F072JA05
3F072KC01
3F072KC12
3F081AA04
3F081BC01
3F081BC11
3F081CA02
3F081CB05
(57)【要約】
【課題】容器とともに移動する部材によって容器を一定の方向に向ける方向規制装置を提供する。
【解決手段】方向規制装置は、ローラと付勢手段とを有する移動体で容器を搬送する搬送手段と、容器の筒状の胴部の第1外周面に当接することで容器の搬送をガイドするガイド部材とを備える。ローラは、容器の搬送区間では、方向規制装置の上面視においてガイド部材に対向する。ローラは、移動体の移動に伴い、第1軸を中心に回転駆動する。ローラは、所定領域が第1外周面よりも後退した第2外周面に当接した状態で回転駆動することにより、第2軸を中心に容器を載置面上で回転させる。付勢手段は、ローラからガイド部材に向かう方向に、第2外周面を付勢する。方向規制装置は、容器の第2軸を中心とした回転にともない付勢手段が第2外周面のうち中心側に後退した所定領域を付勢することにより、容器の第2軸を中心とした回転を停止させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の方向規制装置であって、
前記容器は、底面と筒状の胴部とを含み、前記胴部は、前記底面からの高さが第1の範囲の第1の外周面と、前記底面からの高さが第2の範囲の第2の外周面とを有し、かつ、前記第2の外周面は、周方向の所定領域において前記第1の外周面よりも中心側に後退しており、
前記容器を載置する載置面を有する移動体を含み、かつ、前記移動体によって前記載置面に載置された前記容器を第1の位置から第2の位置に搬送する搬送手段と、
前記容器の前記第1の外周面に当接することにより、前記容器の搬送をガイドするガイド部材とを備え、
前記移動体は、ローラと、付勢手段とをさらに有し、
前記ローラは、
前記第1の位置から前記第2の位置までの搬送区間では、前記方向規制装置の上面視において前記ガイド部材に対向し、
前記移動体の移動に伴い、鉛直方向に延びた第1の軸を中心に回転駆動し、
前記第2の外周面に当接した状態で前記回転駆動することにより、前記底面に垂直な第2の軸を中心に前記容器を前記載置面上で回転させ、
前記付勢手段は、前記ローラから前記ガイド部材に向かう方向に、前記第2の外周面を付勢し、
前記容器の前記第2の軸を中心とした回転にともない前記付勢手段が前記第2の外周面の前記所定領域を付勢することにより、前記容器の前記第2の軸を中心とした回転を停止させる、方向規制装置。
【請求項2】
前記付勢手段が前記第2の外周面の前記所定領域を付勢することにより、前記第2の外周面と前記ローラとが離間する、請求項1に記載の方向規制装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、
前記移動体を、鉛直方向に延びた第3の軸を回転中心として回転させる駆動装置と、
前記第3の軸を軸中心とし、かつ、回転が拘束された状態で設置された第1のギアとをさらに含み、
前記移動体は、
シャフトと、
前記ローラと前記シャフトで接続された第2のギアと、
前記第1のギアと前記第2のギアとに係合するギアユニットとをさらに有する、請求項1または2に記載の方向規制装置。
【請求項4】
前記載置面の中心は、前記方向規制装置の上面視において、前記第3の軸と前記第1の軸とを結ぶ直線上に位置し、
前記ローラは、偏芯ローラであり、
前記方向規制装置の上面視における前記載置面の中心と前記ローラとの距離は、前記移動体の回転に伴い、周期的に連続して変化し、
少なくとも前記第1の位置では、前記載置面に載置された前記容器と前記ローラとが離間している、請求項3に記載の方向規制装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、
前記容器に当接可能であって、かつ、前記直線上を移動可能なヘッド部と、
前記ヘッド部に対して、前記第3の軸から前記載置面の中心へ向かう第1の方向に力を作用させる機械要素とを有し、
前記搬送手段は、前記付勢手段に対して前記第1の方向とは反対側の第2の方向に力を作用させることにより、前記ヘッド部が前記容器に当接しない退避位置まで前記ヘッド部を待避させる退避手段をさらに備え、
前記退避手段は、前記第1の位置では、前記付勢手段に対して前記第2の方向に前記力を作用させ、前記第1の位置を過ぎた後であって、かつ前記第2の位置に到達するまでは、前記付勢手段に対して前記第2の方向に前記力を作用させない、請求項4に記載の方向規制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器の方向規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を一定の方向に向ける方向規制装置が知られている。たとえば、特開2007-261785号公報(特許文献1)には、複数のポケットを有する供給スターホイールと、各ポケットに設けられ、容器の位置決め部(凹部)に係合可能なストッパと、容器に当接して摩擦力により容器を回転させる2つの摩擦ベルトとを備えた容器の方向規制装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、容器を回転させる部材(摩擦ベルト)に対して容器が相対的に移動することにより、容器の方向が規制される。本開示は、容器とともに移動する部材によって当該容器を一定の方向に向ける方向規制装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
容器の方向規制装置であって、容器は、底面と筒状の胴部とを含み、胴部は、底面からの高さが第1の範囲の第1の外周面と、底面からの高さが第2の範囲の第2の外周面とを有し、第2の外周面は、周方向の所定領域において第1の外周面よりも中心側に後退している。方向規制装置は、容器を載置する載置面を有する移動体を含み、かつ、移動体によって載置面に載置された容器を第1の位置から第2の位置に搬送する搬送手段と、容器の第1の外周面に当接することにより、容器の搬送をガイドするガイド部材とを備える。移動体は、ローラと、付勢手段とをさらに有する。ローラは、第1の位置から第2の位置までの搬送区間では、方向規制装置の上面視においてガイド部材に対向している。ローラは、移動体の移動に伴い、鉛直方向に延びた第1の軸を中心に回転駆動する。ローラは、第2の外周面に当接した状態で回転駆動することにより、底面に垂直な第2の軸を中心に容器を載置面上で回転させる。付勢手段は、ローラからガイド部材に向かう方向に、第2の外周面を付勢する。方向規制装置は、容器の第2の軸を中心とした回転にともない付勢手段が第2の外周面の所定領域を付勢することにより、容器の第2の軸を中心とした回転を停止させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、容器とともに移動する部材によって当該容器を一定の方向に向けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】搬送システムの概略構成を説明するための図である。
【
図5】移動体のローラと付勢部材との側面図である。
【
図7】ローラを回転させるギア構成を説明するための図である。
【
図8】方向規制装置のハードウェアブロック図である。
【
図9】容器の方向規制の途中の状態を示した模式図である。
【
図10】容器の方向規制が終了した状態を示した模式図である。
【
図11】容器の向きの変化を説明するための状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0009】
<A.システムの概要>
図1は、本実施の形態に係る搬送システムの概略構成を説明するための図である。
図1に示されるように、搬送システム1000は、上流側装置901と、方向規制装置1と、下流側装置902とを備える。方向規制装置1は、上流側装置901の下流側であって、かつ、下流側装置902の上流側に位置する。
【0010】
上流側装置901は、軸A8を中心に矢印801の方向に回転することにより、容器700を搬送する。上流側装置901によって搬送された容器700は、方向規制装置1に送られる。なお、容器700は、空の状態で搬送されてもよいし、液体が充填された状態で搬送されてもよい。
【0011】
方向規制装置1は、軸A3を中心に矢印802の方向に回転することにより、容器700を搬送する。詳しくは、方向規制装置1は、容器700の方向を規制し、かつ、方向が規制された容器700を下流側装置902に送る。
【0012】
なお、「方向の規制」とは、容器700を所定の方向に向けることをいう。詳しくは、「方向の規制」とは、連続して方向規制装置1に送られてくる各容器700の向きを、所定の向きに揃えることをいう。より詳しくは、「方向の規制」とは、本例では、軸A3から視て、各容器700の向きを一定の向き(姿勢)に揃えることをいう。なお、容器700の形状および所定の方向(向き)については、後述する。
【0013】
具体的には、方向規制装置1は、軸A3を中心に回転することにより、容器700を位置P1から位置P2に搬送する。方向規制装置1は、容器700を位置P1から位置P2に搬送している際に、容器700を矢印804の方向に回転させる。このように、方向規制装置1は、軸A3を中心に容器700を回転させるとともに、容器700を矢印804の方向に回転させる。このように、容器700は、公転しながら自転しているかのような動きをする。以下では、説明の便宜上、位置P1を「搬送開始位置P1」と称し、位置P2を「搬送終了位置P2」とも称する。
【0014】
方向規制装置1によって搬送された容器700は、下流側装置902に送られる。下流側装置902は、軸A9を中心に矢印803の方向に回転することにより、容器700を搬送する。その後、図示しない装置によって、容器700に対して所定の処理が施される。たとえば、当該装置によって、容器700に対する熱収縮フィルムの装着処理、あるいは、シール材によるラベル貼りの処理がなされる。
【0015】
以上のように、搬送システム1000では、所定の処理の前処理として、容器700の方向の規制が行われる。具体的には、視認性または読み取り等の観点から、文字等が印刷された熱収縮フィルムまたはシールを容器700の所定の位置(あるいは、所定の位置を除く位置)に装着する必要があるため、搬送システム1000では、フィルム等の装着の前に容器700の方向の規制がなされる。
【0016】
<B.容器>
図2は、容器700の外形を示した図である。詳しくは、
図2は、容器700の上面と側面とを示した図である。状態(b)は、状態(a)から、容器700の鉛直方向に延びた中心軸A2を中心に90度回転させた状態を示している。
【0017】
図2に示されるように、容器700は、キャップ701と、筒状の胴部702と、底面703とを有する。容器700は、胴部702において、上から順に、外周面710と、外周面720と、外周面730とを有する。
【0018】
外周面730は、底面703からの高さが0からh1(mm)の範囲の外周面である。外周面720は、底面703からの高さがh1からh2(mm)の範囲の外周面である。外周面710は、底面703からの高さがh2からh3(mm)の範囲の外周面である。なお、高さに関し、「h1<h2<h3」の関係がある。
【0019】
外周面720は、周方向の所定領域において外周面710,730よりも中心側に後退している。詳しくは、外周面720は、周方向に連続した領域721,722,723,724を有する。外周面720は、4つの領域のうち、2つの対向する領域722,724において、外周面710,730よりも中心側に後退している。このように、胴部702は、状態(a)の側面視において、中心軸A2を挟んで対向する2つの凹部を有する。すなわち、胴部702は、外周面720の周方向の一部(本例では、2箇所)において窪んでいる。
【0020】
より詳しくは、本例では、外周面710,730は、円筒状をしている。外周面710,730と中心軸A2との距離(すなわち半径)をLとすると、外周面720と中心軸A2との距離は、領域721,723においてはLであり、領域722,724においてはLよりも短くなっている。本例では、領域722,724は、3つの連続する平面で構成されている。しかしながら、これに限定されず、領域722,724は、曲面で構成されてもよいし、平面と曲面とで構成されてもよい。
【0021】
なお、本例では、容器700として、点眼薬液用の容器を示している。点眼時においては、領域722,724が把持される。熱収縮フィルムまたはシールの文字等は、外周面720においては、領域722,724の端部を含むエッジ部を避けた位置に配置する必要がある。このため、方向規制装置1によって容器700の方向を規制する。
【0022】
<C.方向規制装置>
図3は、方向規制装置1の上面図である。
図3に示されるように、方向規制装置1は、基台部2と、搬送装置3と、ガイド部材4と、退避装置5とを備える。搬送装置3は、移動体31と、ギア32とを含む。退避装置5は、カム面51を含む。
【0023】
ギア32は、上述した軸A3を軸中心とし、かつ、回転が拘束された状態で基台部2に設置されている。すなわち、ギア32は回転しない。
【0024】
移動体31は、軸A3を中心に、駆動装置(
図8参照)によって矢印811の方向に回転する。移動体31の一部(回転中心側)はギア32の直上に位置し、残りは基台部2の直上に位置する。移動体31は、XY平面に平行な平面内で回転する。なお、Z軸は、軸A3に平行である。移動体31は、付勢部材304を含む。付勢部材304は、ヘッド部341と、位置規制部材346とを有する。
【0025】
ヘッド部341は、軸A3を中心に回転するとともに、方向規制装置1の上面視において、さらに、軸A3に向かう方向と当該方向とは反対の方向とに移動可能に構成されている。このように、ヘッド部341は、ギア32の径方向に移動可能に構成されている。
【0026】
ヘッド部341は、図示しない容器700に当接する。詳しくは、ヘッド部341は、容器700の外周面720(
図2)に当接する。詳細については後述するが、ヘッド部341に加わる付勢力によって、ヘッド部341の先端部が外周面720に当接する。
【0027】
ガイド部材4は、基台部2に固定されている。ガイド部材4は、内周面49を有する。図示した状態では、内周面49は、方向規制装置1の上面視において、ヘッド部341に対向している。ガイド部材4は、容器700の外周面710,730(
図2)に当接することにより、容器700の搬送をガイドする。本例では、ガイド部材4は、容器700の外周面720には、当接しない。
【0028】
退避装置5は、移動体31の上方に設置されている。本例では、退避装置5は、軸A3と同軸となる図示しない棒状部材により、基台部2に固定されている。なお、退避装置5の設置方法は、これに限定されない。退避装置5は、退避装置5の上面側が図示しない部材で固定されていてもよい。すなわち、退避装置5は、吊り下げされた状態であってもよい。
【0029】
退避装置5は、ヘッド部341を軸A3方向に移動させることにより、ヘッド部341を退避させる。詳しくは、退避装置5は、カム面51が位置規制部材346と係合することにより、ヘッド部341と軸A3との間の距離を変化させる。退避装置5の機能の詳細については、後述する。
【0030】
図4は、方向規制装置1の斜視図である。
図4は、図示しない容器700の搬送開始位置P1(
図1,
図3)を示した図でもある。
図4に示されるように、移動体31は、プレート部301と、載置台302と、ローラ303と、付勢部材304と、ローラ305と、位置決め部材306a、306bと、支柱307a,307bとを備える。載置台302は、載置面302sを有する。
【0031】
位置決め部材306aと位置決め部材306bとは、上下方向(鉛直方向)に離間して設置されている。位置決め部材306a,306bは、プレート部301から鉛直方向に延びた支柱307a,307bによって支持されている。位置決め部材306a,306bは、それぞれ、容器700の外周面710,730の形状に対応するように湾曲した凹部361を有する。凹部361によって、容器700は移動体31に収容された状態となる。
【0032】
なお、位置決め部材306aの凹部361は、少なくとも搬送開始位置P1において、容器700の外周面710に当接する。同様に、位置決め部材306bの凹部361は、少なくとも搬送開始位置P1において、容器700の外周面730に当接する。
【0033】
ガイド部材4は、2つのプレート41,42と、支柱43とを備える。プレート41とプレート42とは、上下方向に離間して設置されている。プレート41,42は、支柱43によって支持されている。各プレート41,42は、内周面49を有する。プレート41は、位置決め部材306aと同じ高さに設置されている。プレート42は、位置決め部材306bと同じ高さに設置されている。
【0034】
プレート41の内周面49は、位置決め部材306aの凹部361に対向している。プレート42の内周面49は、位置決め部材306bの凹部361に対向している。上側のプレート41の内周面49は、容器700の外周面710に当接する。下側のプレート42の内周面49は、容器700の外周面730に当接する。
【0035】
容器700は、載置面302sに載置される。詳しくは、載置面302sに容器700の底面703が接触した状態(正立状態)で、容器700が載置面302sに載置される。より詳しくは、位置決め部材306a,306bによって、容器700の載置面302s上の位置が決まる。本例では、載置面302sの中心321に容器700の軸が一致または近接するように、容器700が上流側装置901から方向規制装置1へと搬送される。
【0036】
なお、載置面302sの中心321は、方向規制装置1の上面視において、軸A3と、ローラ303の回転軸である軸A1(
図5参照)とを結ぶ直線上に位置している。また、ヘッド部341は、当該直線上を移動可能なように構成されている。ヘッド部341は、2つのローラ3410を有する。
【0037】
ローラ305は、プレート部301の先端に取り付けられている。ローラ305は、Z軸に垂直な軸A4を中心に回転する。ローラ305は、外周面351を有する。ローラ305は、外周面351が基台部2の主面2sに当接した状態で回転する。これにより、移動体31のプレート部301の撓みを抑制している。
【0038】
ローラ303は、上述した位置P1から位置P2までの搬送区間(以下、「搬送区間U」とも称する)では、方向規制装置1の上面視においてガイド部材4に対向する。ローラ303は、移動体31の軸A3を中心とした回転に伴い、鉛直方向に延びた軸A1(
図5,
図6参照)を中心に回転駆動する。ローラ303は、容器700の外周面720(
図2)に当接した状態で回転駆動することにより、容器700の底面703に垂直な中心軸A2(
図2)を中心に容器700を載置面302s上で回転させる。なお、ローラ303を回転駆動させる構成については、後述する(
図7)。
【0039】
図5は、移動体31のローラ303と付勢部材304との側面図である。
図5に示されるように、ローラ303は、軸A1を中心に回転駆動する。ローラ303と、付勢部材304とは離間している。
【0040】
付勢部材304は、ローラ303からガイド部材4に向かう方向(矢印821の方向)に、図示しない容器700の外周面720を付勢する。詳しくは、付勢部材304は、上述したヘッド部341と位置規制部材346とに加えて、シャフト342と、コイルバネ343と、支持部344と、可動部345とをさらに有する。ヘッド部341は、2つのローラ3410を有する。各ローラ3410は、ヘッド部341の先端側(ガイド部材4側,容器700側)に設けられている。
【0041】
各ローラ3410は、Z軸に平行な軸を中心に回転可能である。詳細については後述するが、各ローラ3410の外周面は、容器700に当接する。詳しくは、各ローラ3410の外周面は、容器700の外周面720(
図2)に当接する。
【0042】
支持部344は、移動体31のプレート部301に固定されている。支持部344は、付勢部材304の全体を支持する。支持部344は、貫通孔(図示せず)を有する。シャフト342は、当該貫通孔内を矢印821,822の方向に移動可能である。なお、矢印822の方向は、矢印821の方向とは反対方向である。
【0043】
シャフト342の一端側に、ヘッド部341が取り付けられている。シャフト342の他端側に可動部345が取り付けらえている。可動部345の上部には、鉛直方向に延びるように位置規制部材346が取り付けられている。位置規制部材346は、本例では、円柱形状を有する。
【0044】
機械要素としてのコイルバネ343は、シャフト342に取り付けられている。コイルバネ343の内側をシャフト342が通っている。コイルバネ343は、一端がヘッド部341の側面に当接しており、他端が支持部344の側面に当接している。なお、コイルバネ343の代わりに、シリンダバネ等の他の機械要素を用いてもよい。
【0045】
支持部344がプレート部301に固定されているため、コイルバネ343は、ヘッド部341に対して、軸A3から載置面302sの中心321へ向かう方向(矢印821の方向)に力を作用させる。すなわち、コイルバネ343は、ヘッド部341を矢印821の方向に付勢する。コイルバネ343は、ガイド部材4の方向にヘッド部341を付勢する。
【0046】
コイルバネ343が一定以上に伸びると、図示したように、可動部345が支持部344に接触する。それゆえ、この場合には、コイルバネ343は所定の長さ以上は伸びない。したがって、ヘッド部341は、図示した位置よりも矢印821方向には進まない。すなわち、ヘッド部341は、図示した位置よりもガイド部材4側(すなわち、容器700側)には進まない。以下では、このようにコイルバネ343が最も伸びたときのヘッド部341の位置を、説明の便宜上、「前進位置」とも称する。
【0047】
ところで、可動部345には、上述したように、位置規制部材346が設けられている。移動体31が軸A3を中心に回転すると、位置規制部材346は、退避装置5のカム面51(
図3参照)によって矢印822の方向に移動させられる。このような位置規制部材346の移動により、ヘッド部341も位置規制部材346と同じ距離だけ矢印822方向に移動する。詳しくは、ヘッド部341が容器700に当接しない位置(以下、「退避位置」とも称する)まで移動する。すなわち、ヘッド部341が退避する。
【0048】
このように、
図3に示した退避装置5は、付勢部材304(詳しくは、位置規制部材346)に対して載置面302sの中心321から軸A3へ向かう方向(矢印822の方向)に力を作用させることにより、ヘッド部341が容器700に当接しない退避位置までヘッド部341を待避させる。
【0049】
退避位置では、コイルバネ343は、図示した状態から縮んだ状態となっている。その後、さらに移動体31が回転すると、位置規制部材346は、カム面51によって矢印821の方向に移動させられる。このような位置規制部材346の移動により、ヘッド部341も位置規制部材346と同じ距離だけ矢印821方向に移動する。すなわち、ヘッド部341が退避位置から前進位置へと復帰する。
【0050】
詳しくは、退避装置5は、搬送開始位置P1(
図1,
図3)では、付勢部材304に対して載置面302sの中心321から軸A3へ向かう方向(矢印822の方向)に力を作用させ、位置P1を過ぎた後であって、かつ搬送終了位置P2(
図1,
図3)に到達するまでは、付勢部材304に対して載置面302sの中心321から軸A3へ向かう方向(矢印822の方向)に力を作用させない。
【0051】
より詳しくは、本例では、容器700の搬送を終了した直後に、退避装置5によるヘッド部341の退避処理がなされる。さらに、ヘッド部341が容器700の搬送開始位置P1を通過した後に、ヘッド部341が退避位置から前進位置に復帰される。
【0052】
このような退避処理により、搬送開始位置P1において、ヘッド部341が退避位置にある。それゆえ、搬送開始位置P1では、ヘッド部341に邪魔されることなく、載置面302sに容器700を載置することが可能となる。
【0053】
図6は、移動体31のローラ303の上面図である。
図6に示すように、本例では、ローラ303は、偏芯ローラである。ローラ303は、上述したように、軸A1を中心に回転する。本例では、ローラ303は、上面視において、真円または略真円である。軸A1がローラ303の中心3031からズレている。本例では、軸A1がローラ303の中心3031から、距離dだけズレている。
【0054】
なお、以下では、ローラ303の外周のうち、軸A1から最も離れた位置を「位置Pf」と称する。同様に、ローラ303の外周のうち、軸A1に最も近い位置を「位置Pn」と称する。図では、軸A1と位置Pfとの距離をr1と表記し、軸A1と位置Pnとの距離をr2と表記している。なお、r1はr2よりも大きく、かつ、r1とr2との和が真円の直径Rとなる。
【0055】
ローラ303が偏芯しているため、方向規制装置1の上面視における載置面302sの中心321とローラ303との距離は、移動体31の軸A3を中心とした回転に伴い、周期的に連続して変化する。少なくとも搬送開始位置P1では、載置面302sに載置された容器700とローラ303とが離間するように、移動体31が構成されている。
【0056】
典型的には、搬送開始位置P1で、ローラ303の位置Pnが載置面302s側を向くように、後述する各ギアのギア比が決められている。移動体31が搬送開始位置P1に到達すると、ローラ303の位相が同位相となるように、移動体31が構成されている。
【0057】
なお、ローラ303は、上面視において、楕円であってもよい。この場合、回転軸は楕円の中心にあればよい。また、ローラ303は、必ずしも偏芯していなくてもよい。ローラ303が偏芯していない場合には、容器700を回転させる観点から、ローラ303を容器700方向に付勢する部材を有することが好ましい。
【0058】
図7は、ローラ303を回転させるギア構成を説明するための図である。
図7に示すように、移動体31は、ギアユニット347と、ギア348と、シャフト349とをさらに備える。ギアユニット347は、ギア3471と、ギア3472とを含む。3つのギア348,3471,ギア3472は、プレート部301の下部に回転可能に設置されている。
【0059】
ギア3471は、ギア32と係合している。なお、ギア32は、上述したように、回転が拘束された状態で基台部2に設置されている。ギア3471は、軸A5を中心に回転する。ギア3472は、ギア3471と係合している。ギア3472は、軸A6を中心に回転する。
【0060】
ギア348は、ギア3472に係合している。ギア348は、ローラ303の回転軸である軸A1を中心に回転する。ギア348は、シャフト349によってローラ303に接続されている。ギア348とローラ303とは、シャフト349に固定されている。このように、移動体31は、シャフト349と、ローラ303とシャフト349で接続されたギア348と、ギア32とギア348とに係合するギアユニット347とを有する。
【0061】
移動体31が矢印811の方向(時計方向)に回転すると、ギア3471は、矢印831の方向(時計方向)に回転する。ギア3471が当該方向に回転すると、ギア3472は、矢印832の方向(反時計方向)に回転する。ギア3472が当該方向に回転すると、ギア348は、矢印833の方向(時計方向)に回転する。これにより、ローラ303が、矢印834の方向(時計方向)に回転する。
【0062】
したがって、ローラ303によれば、方向規制装置1の上面視において、中心軸A2を中心に容器70を反時計方向に回転させる摩擦力を与えることになる。一方、容器700は、ガイド部材4の内周面49から方向規制装置1の上面視において、反時計方向に回転させるような摩擦力を受ける。
【0063】
このように、方向規制装置1では、容器700に対するローラ303による回転力とガイド部材4によって生じる回転力とが、容器700を反時計回りの方向に回転させるように作用する。それゆえ、ローラ303の回転方向が時計回りとなるような構成に比べて、容器700をスムーズに回転させることができる。
【0064】
図8は、方向規制装置1のハードウェアブロック図である。
図8に示されるように、方向規制装置1は、搬送装置3と、駆動装置6と、制御装置7とを備える。搬送装置3は、上述したように、移動体31を含む。駆動装置6は、モータ61と、モータドライバ62とを含む。
【0065】
制御装置7は、方向規制装置1の全体的な動作を制御する。制御装置7は、駆動装置6に指令を送ることにより、駆動装置6の駆動を制御する。駆動装置6は、鉛直方向に延びた軸A3を回転中心として、移動体を回転させる。具体的には、モータ61の回転により、移動体31が回転する。モータ61は、モータドライバ62によって回転する。
【0066】
<D.容器の方向規制>
図9は、容器700の方向規制の途中の状態を示した模式図である。
図10は、容器700の方向規制が終了した状態を示した模式図である。
【0067】
図9に示されるように、付勢部材304のローラ3410によって、容器700が矢印821の方向に付勢される。詳しくは、2つのローラ3410によって、容器700の外周面720がガイド部材4の方向へ押される。このため、容器700の外周面710,730(
図2)は、ガイド部材4の内周面49(
図4)に当接する。この状態で、移動体31が軸A3の方向に回転することにより、上述したように、ローラ303が軸A1を中心に回転する。
【0068】
ローラ303は、偏芯しているため、図示したように外周面720に周期的に当接する。詳しくは、ローラ303の位置pfを含む連続した区間が、外周面720に当接する。本例では、少なくとも、ローラ303の位置pnおよび位置pnの近傍の区間は、外周面720に当接しない。本例では、上述した搬送区間Uにおいて、ローラ303が容器700の外周面720に複数回(典型的には、2~3回)にわたり当接する。
【0069】
ローラ303が回転駆動している状態で容器700の外周面720にローラ303が当接するため、当該当接に基づく摩擦力により、容器700が中心軸A2を中心に載置面302s上で回転する。
【0070】
なお、本例では、ローラ303によって回転している容器700を、回転可能な従動ローラであるローラ3410で押すため、回転不能な部材を容器700の外周面720に当接させる構成に比べて、容器700に対する摩擦を小さくできる。それゆえ、回転しない部材を容器700の外周面720に当接させる構成に比べて、容器700をスムーズに回転させることができる。また、2つのローラ3410によって容器700の外周面720を押すため、1つのローラで外周面720を押す構成に比べて、安定して外周面720を押すことができる。
【0071】
図10に示すように、容器700が中心軸A2を中心に回転すると、2つのローラ3410が外周面720の上述した所定領域(詳しくは、
図2に示した領域722,724の一方の領域)を付勢することになる。換言すれば、2つのローラ3410が、矢印821の方向に向かって、領域722または領域724を押すことになる。この際、2つのローラ3410は、ヘッド部341に対するコイルバネ343(
図5)の力によって、矢印821の方向に移動している。2つのローラ3410は、領域722または領域724における、外周面710,730からの後退量だけ、矢印821の方向に移動する。
【0072】
上記のように、2つのローラ3410が領域722,724の一方の領域を付勢することにより、容器700が矢印821の方向に少しだけ移動する。それゆえ、図示したように、外周面720とローラ303とが離間する。詳しくは、ローラ303が回転位置にかかわらず、外周面720とローラ303の位置Pfとが離間した状態となる。
【0073】
これにより、中心軸A2を中心に容器700を回転させる力が、容器700に加わらなくなる。これにより、容器700の中心軸A2を中心とした回転が停止する。このように、方向規制装置1においては、容器700の中心軸A2を中心とした回転にともない付勢部材304が外周面720の所定領域(中心側に後退した領域722または724)を付勢することにより、容器700の中心軸A2を中心とした回転を停止させる。
【0074】
このような構成によれば、容器700とともに移動するローラ303と付勢部材304とによって当該容器700を一定の方向に向け続けることが可能となる。詳しくは、移動体31についての相対座標系において、容器700を一定の方向に向け続けることが可能となる。
【0075】
なお、上記においては、2つのローラ3410が領域722または領域724を付勢した場合、
図10に示したように、外周面720とローラ303の位置Pfとが離間した。しかしながら、必ずしも、これに限定されるものではない。2つのローラ3410の付勢力によって容器700が中心軸A2を中心に回転しない限度において、ローラ303が容器700の外周面720に当接してもよい。すなわち、容器700が回転しない程度の摩擦力が容器700の外周面720に加わってもよい。
【0076】
<E.状態遷移>
図11は、容器700の向きの変化を説明するための状態遷移図である。
図11に示されるように、状態(A)では、上流側装置901によって容器700が搬送されている。なお、容器700を挟んで記載した1組の黒塗りの三角形の6つの頂点のうち互いに対向した2つの頂点(一方の三角形の頂点および他方の三角形の頂点)が、外周面720の領域722,724を示している。
図11においては、説明の便宜上、1つの容器700を例に挙げて説明しているが、複数の容器700が上流側装置901から方向規制装置1に連続して送られてくる。
【0077】
状態(A)の後の状態(B)において、方向規制装置1の移動体31による容器700の搬送が開始される。さらに、状態(B)以降のタイミングにおいて、ローラ303による、載置面302s上での容器700の回転処理が開始される。本例では、状態(B)の後の状態(C)において、容器700の回転処理が終了する。すなわち、2つのローラ3410が領域722または領域724を押した状態となり、容器700の回転が停止している。
【0078】
その後、状態(D)に示すように、容器700は、中心軸A2を中心に回転することなく、搬送終了位置P2まで搬送される。その後、状態(E)に示すように、下流側装置902によって容器700が搬送される。このような処理により、連続して方向規制装置1に送られてくる各容器700は、所定の方向を向いた状態で方向規制装置1から送り出される。
【0079】
<F.変形例>
(1)上記においては、説明の便宜上、方向規制装置1が容器700を1つずつ搬送する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、プレート部301(
図4)の代わりに、軸A3を中心に回転する円盤を設け、当該円盤に、プレート部301上に設置されていたユニット(具体的には、載置台302,ローラ303,付勢部材304,位置決め部材306a、306b、支柱307a,307b)を複数組、備えていてもよい。たとえば、軸A3を中心に当該ユニットを放射状に配置すればよい。たとえば、容器700の収容部(ポケット)が間隔を開けてスターホール状に形成されるように、方向規制装置1を構成してもよい。
【0080】
(2)上記においては、搬送区間Uが円弧状となる方向規制装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、搬送区間Uが直線状となるような方向規制装置にも上述した容器700の方向規制処理を適用することができる。
【0081】
(3)上記においては、外周面720が、周方向の所定領域において外周面710および外周面730よりも中心側に後退している場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。外周面720が、外周面710および外周面730のうち、少なくとも外周面730よりも中心側に後退していればよい。
【0082】
<付記>
容器を一定の方向に向ける方法であって、
前記容器は、底面と筒状の胴部とを含み、前記胴部は、前記底面からの高さが第1の範囲の第1の外周面と、前記底面からの高さが第2の範囲の第2の外周面とを有し、かつ、前記第2の外周面は、周方向の所定領域において前記第1の外周面よりも中心側に後退しており、
載置面に載置された前記容器を第1の位置から第2の位置までガイドに沿って搬送しながら、鉛直方向に延びた第1の軸を中心に回転駆動するローラによって前記底面に垂直な第2の軸を中心に前記容器を前記載置面上で回転させるステップとを備え、
前記ガイドは、前記容器の前記第1の外周面に当接し、かつ、前記容器を挟んで前記ローラと対向しており、
前記容器を搬送しながら前記容器を回転させるステップは、
前記ローラを前記第2の外周面に当接さることにより、前記容器を前記第2の軸を中心に回転させるステップと、
前記ローラから前記ガイドに向かう方向に、付勢手段によって前記第2の外周面を付勢するステップと、
前記容器の前記第2の軸を中心とした回転にともない前記付勢手段が前記第2の外周面の前記所定領域を付勢することにより、前記容器の前記第2の軸を中心とした回転を停止させるステップと含む、方法。
【0083】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 方向規制装置、2 基台部、2s 主面、3 搬送装置、4 ガイド部材、5 退避装置、6 駆動装置、7 制御装置、31 移動体、32,348,3471,3472 ギア、41,42 プレート、43,307a,307b 支柱、49 内周面、51 カム面、301 プレート部、302 載置台、302s 載置面、303,305,3410 ローラ、304 付勢部材、306a,306b 位置決め部材、321,3031 中心、341 ヘッド部、342,349 シャフト、343 コイルバネ、344 支持部、345 可動部、346 位置規制部材、347 ギアユニット、351,710,720,730 外周面、361 凹部、700 容器、701 キャップ、702 胴部、703 底面、901 上流側装置、902 下流側装置、1000 搬送システム、P1 搬送開始位置、P2 搬送終了位置、721,722,723,724 領域。