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特開2024-34872非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池
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  • 特開-非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池 図1
  • 特開-非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池 図2
  • 特開-非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池 図3
  • 特開-非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池 図4
  • 特開-非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034872
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20240306BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20240306BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240306BHJP
   H01M 50/463 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240306BHJP
   H01M 4/587 20100101ALN20240306BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/133
H01M10/0566
H01M50/463 A
H01M4/36 D
H01M4/587
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139404
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】工藤 尚範
(72)【発明者】
【氏名】若松 直樹
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021CC09
5H021HH00
5H021HH04
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM07
5H029HJ00
5H029HJ05
5H029HJ07
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB29
5H050DA03
5H050DA19
5H050HA00
5H050HA05
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】電池抵抗の低減と電池寿命の短縮の抑制との両立を図ることができる非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】電極体15の負極20は、集電体21と、活物質層22とを有している。活物質層22は、炭素材料で形成された活物質粒子24を含み、活物質粒子24の粒径の体積分布が、第1粒径D1をピークとする第1ピークf1と、第1粒径D1よりも小さい第2粒径D2をピークとする第2ピークf2とを有するように構成されている。第1粒径D1は、7.0μm以上、9.0μm以下である。第2粒径D2は、0.8μm以上、1.0μm以下である。セパレータ40の表面粗さRaは、1.54μm以上である。第1ピークf1における活物質粒子24の体積に対する第2ピークf2における活物質粒子24の体積の比であるピーク比Rrが、0.42以上、0.71以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に設けられるセパレータを備える非水電解液二次電池の電極体において、
前記負極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の面に設けられる活物質層と、を有し、
前記活物質層は、炭素材料により形成された活物質粒子を含み、前記活物質粒子の粒径の体積分布が、第1粒径をピークとする第1ピークと、前記第1粒径よりも小さい第2粒径をピークとする第2ピークとを有するように構成されており、
前記第1粒径が、7.0μm以上、9.0μm以下であり、
前記第2粒径が、0.8μm以上、1.0μm以下であり、
前記セパレータの表面粗さが、1.54μm以上であり、
前記第1ピークにおける前記活物質粒子の体積に対する前記第2ピークにおける前記活物質粒子の体積の比であるピーク比が、0.42以上、0.71以下である、
非水電解液二次電池の電極体。
【請求項2】
前記セパレータの表面粗さが、2.29μm以上であり、
前記ピーク比が、0.42以上、0.61以下である、
請求項1に記載の非水電解液二次電池の電極体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電極体と、非水電解液と、前記電極体及び前記非水電解液を収容する電池ケースと、を備える、
非水電解液二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非水電解液二次電池の負極は、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に設けられる活物質層とを有している。活物質層としては、活物質粒子を含んでいる。こうした活物質粒子としては、グラファイトなどの炭素材料により形成されたものがある。
【0003】
また、特許文献1には、活物質粒子としてSiを含有するものが記載されている。特許文献1に記載の活物質粒子は、大粒径粒子と、大粒径粒子の粒径に対して1/2以下の粒径を有する小粒径粒子とを含んでいる。大粒径粒子の粒径は、1.4μm~10μmである。小粒径粒子の粒径は、1.38μmより小さい。大粒径粒子同士の間の隙間に小粒径粒子が入り込むことで、大粒径粒子同士の間の隙間が小粒径粒子によって埋められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-256543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、炭素材料により形成された活物質粒子を含む活物質層を有する負極を備える二次電池において、電池抵抗の低減と電池寿命の短縮の抑制との両立が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池の各態様を記載する。
[態様1]
正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に設けられるセパレータを備える非水電解液二次電池の電極体において、前記負極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の面に設けられる活物質層と、を有し、前記活物質層は、炭素材料により形成された活物質粒子を含み、前記活物質粒子の粒径の体積分布が、第1粒径をピークとする第1ピークと、前記第1粒径よりも小さい第2粒径をピークとする第2ピークとを有するように構成されており、前記第1粒径が、7.0μm以上、9.0μm以下であり、前記第2粒径が、0.8μm以上、1.0μm以下であり、前記セパレータの表面粗さが、1.54μm以上であり、前記第1ピークにおける前記活物質粒子の体積に対する前記第2ピークにおける前記活物質粒子の体積の比であるピーク比が、0.42以上、0.71以下である、非水電解液二次電池の電極体。
【0007】
本願の発明者は、第1粒径が7.0μm以上、9.0μm以下であり、第2粒径が0.8μm以上、1.0μm以下である場合に、セパレータの表面粗さ、及び上記ピーク比と、25℃における電池の直流抵抗値と、10日後の電池容量維持率との間に以下の関係を見出した。ここで、セパレータの表面粗さが、1.07μmであり、上記ピーク比が0.12である二次電池を比較例とする。セパレータの表面粗さが1.54μm以上であり、ピーク比が、0.42以上、0.71以下である場合には、比較例に対する上記構成の二次電池の直流抵抗値比は、98.69%以下となる。また、比較例に対する上記構成の二次電池の10日後の電池容量維持率比は、97%以上となる。
【0008】
このことから、上記構成によれば、電池抵抗の低減と電池寿命の短縮の抑制との両立を図ることができる。
[態様2]
前記セパレータの表面粗さが、2.29μm以上であり、前記ピーク比が、0.42以上、0.61以下である、[態様1]に記載の非水電解液二次電池の電極体。
【0009】
同構成によれば、セパレータの表面粗さが2.29μm以上であり、ピーク比が、0.42以上、0.61以下である場合には、比較例に対する上記構成の二次電池の直流抵抗値比は、97.7%以下となる。また、比較例に対する上記構成の二次電池の10日後の電池容量維持率比は、97%以上となる。
【0010】
このことから、上記構成によれば、電池抵抗をより低減することができる。
[態様3]
[態様1]または[態様2]に記載の電極体と、非水電解液と、前記電極体及び前記非水電解液を収容する電池ケースと、を備える、非水電解液二次電池。
【0011】
同構成によれば、上記[態様1]と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池抵抗の低減と電池寿命の短縮の抑制との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る非水電解液二次電池の斜視図である。
図2図2(a)は、図1の電極体の断面図であり、図2(b)は、同電極体の一部を拡大した断面図である。
図3図3は、負極の活物質層を構成する活物質粒子の粒径の体積分布を示すグラフである。
図4図4は、比較例、各実施例、各参考例におけるセパレータの表面粗さ、ピーク比、電池の直流抵抗値比、及び電池容量維持率比を示す表である。
図5図5は、セパレータの表面粗さと、電池の直流抵抗値比との関係をピーク比毎に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図5を参照して、非水電解液二次電池の電極体及び非水電解液二次電池の一実施形態について説明する。
本実施形態では、非水電解液二次電池をリチウムイオン電池(以下、電池)として具体化している。
【0015】
<電池ケース10>
図1に示すように、電池は、電池ケース10を備えている。電池ケース10は、ケース本体11と、蓋体12とを有している。
【0016】
ケース本体11の内部には、電極体15と、非水電解液18とが収容されている。
蓋体12の外面には、電力の充放電に用いられる負極外部端子13及び正極外部端子14が設けられている。蓋体12の内面には、集電部16と、集電部17とが設けられている。
【0017】
<非水電解液18>
非水電解液18は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。非水溶媒は、例えばエチレンカーボネート(EC)である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料でもよい。
【0018】
また、支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiI等を用いることができる。支持塩としては、これらから選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。このように、非水電解液18は、リチウム化合物を含んでいる。
【0019】
<電極体15>
図2(a)に示すように、電極体15は、負極20、正極30、及び正極30と負極20との間に設けられる板状のセパレータ40を備えている。
【0020】
電極体15は、例えば、負極20と、正極30と、セパレータ40とが積層された積層体を捲回することによって形成されている。
<負極20>
図2(a)及び図2(b)に示すように、負極20は、集電体21と、活物質層22とを有している。活物質層22は、集電体21の一方の面に設けられている。
【0021】
集電体21は、例えば銅箔により形成されている。集電体21は、活物質層22から電気を集電する機能を有している。
集電体21は、接続部23を有している。負極20は、集電部16を介して負極外部端子13に接続されている(図1参照)。
【0022】
活物質層22は、炭素材料により形成された活物質粒子24を含んでいる。活物質粒子24は、例えば黒鉛(グラファイト)である。
負極20は、例えば、活物質粒子24、溶媒、及び結着剤(いずれも図示略)を混練してペースト状にしたものを集電体21に塗布した後に乾燥させることで形成される。
【0023】
図3に示すように、活物質粒子24の粒径の体積分布は、第1粒径D1をピークとする第1ピークf1と、第1粒径D1よりも小さい第2粒径D2をピークとする第2ピークf2とを有するように構成されている。
【0024】
第1粒径D1は、7.0μm以上、9.0μm以下であることが好ましい。本実施形態の第1粒径D1は、8.0μmである。
第2粒径D2は、0.8μm以上、1.0μm以下であることが好ましい。本実施形態の第2粒径D2は、0.8μmである。
【0025】
なお、上記粒径は、MORPHOLOGIG3(Malvern Panalytical社製)を用いた画像式粒度分布測定法に基づいて測定されたものである。
第1ピークf1は、第2ピークf2よりも大きい。
【0026】
第1ピークf1における活物質粒子24の体積に対する第2ピークf2における活物質粒子24の体積の比をピーク比Rt(=f2/f1)とすると、ピーク比Rtは、0.42以上、0.71以下であることが好ましい。ピーク比Rtは、0.42以上、0.61以下であることがより好ましい。
【0027】
<正極30>
図2(a)に示すように、正極30は、集電体31と、活物質層32とを有している。活物質層32は、集電体31の一方の面に設けられている。
【0028】
集電体31は、例えばアルミニウム箔やアルミニウム合金箔により形成されている。集電体31は、活物質層32から電気を集電する機能を有している。
集電体31は、接続部33を有している。正極30は、集電部17を介して正極外部端子14と接続されている(図1参照)。
【0029】
活物質層32は、活物質粒子及び導電材(いずれも図示略)を含んでいる。
活物質粒子としては、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等を用いることができる。また、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2を任意の割合で混合した材料を用いてもよい。
【0030】
導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
正極30は、例えば活物質粒子、導電材、溶媒、及び結着剤(いずれも図示略)を混練してペースト状にしたものを集電体31に塗布した後に乾燥させることで形成される。
【0031】
<セパレータ40>
図2(a)に示すように、セパレータ40は、合成樹脂製の多孔性の不織布、または合成樹脂製の多孔性の膜である。合成樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
【0032】
セパレータ40の表面粗さRaは、1.54μm以上、より好ましくは2.29μm以上である。
なお、セパレータ40の表面粗さRaの上限値は特に限定されないが、5.2μm以下、より好ましくは3.27μm以下である。この値を超えると、電池が異常発熱してからシャットダウンするまでの時間であるシャットダウン時間が、安全性の基準とされる規定時間よりも短くなるからである。
【0033】
なお、セパレータ40の表面粗さRaは、形状測定レーザーマイクロスコープVK-X100(株式会社キーエンス製)により測定されたものである。
次に、図4を参照して、以下の第1~4実施例の電池における25℃の直流抵抗値と、10日後の電池容量維持率の測定結果について、比較例との比較に基づいて説明する。
【0034】
以降において、実施例の電池における直流抵抗値比Rrとは、実施例の電池の25℃の直流抵抗値を、比較例の電池の25℃の直流抵抗値で除した値である。また、実施例の電池における電池容量維持率比Rcとは、実施例の電池容量維持率を、比較例の電池容量維持率で除した値である。
【0035】
なお、電池容量維持率は、SOC(State Of Charge)80%、保管温度75℃において10日間高温保存した際の電池容量の維持率を示す。
<比較例>
セパレータ40の表面粗さRaは、1.07μmである。ピーク比Rtは、0.12%である。
【0036】
<実施例1>
セパレータ40の表面粗さRaは、3.27μmである。ピーク比Rtは、0.42%である。直流抵抗値比Rrは、96.4%である。電池容量維持率比Rcは、97%である。
【0037】
<実施例2>
セパレータ40の表面粗さRaは、3.27μmである。ピーク比Rtは、0.61%である。直流抵抗値比Rrは、95.78%である。電池容量維持率比Rcは、97%である。
【0038】
<実施例3>
セパレータ40の表面粗さRaは、2.29μmである。ピーク比Rtは、0.61%である。直流抵抗値比Rrは、97.7%である。電池容量維持率比Rcは、98%である。
【0039】
<実施例4>
セパレータ40の表面粗さRaは、1.54μmである。ピーク比Rtは、0.71%である。直流抵抗値比Rrは、98.69%である。電池容量維持率比Rcは、98%である。
【0040】
<参考例1>
セパレータ40の表面粗さRaは、1.07μmである。ピーク比Rtは、0.61%である。直流抵抗値比Rrは、99.98%である。電池容量維持率比Rcは、97%である。
【0041】
<参考例2>
セパレータ40の表面粗さRaは、1.54μmである。ピーク比Rtは、0.87%である。直流抵抗値比Rrは、97.54%である。電池容量維持率比Rcは、92%である。
【0042】
<参考例3>
セパレータ40の表面粗さRaは、1.54μmである。ピーク比Rtは、0.12%である。直流抵抗値比Rrは、99.36%である。電池容量維持率比Rcは、101%である。
【0043】
以上のことから、セパレータ40の表面粗さRaが1.54μm以上であり、ピーク比Rtが、0.42以上、0.71以下である場合には、各実施例の直流抵抗値比Rrは、98.69%以下となる。また、各実施例の電池容量維持率比Rcは、97%以上となる。
【0044】
参考例1においては、セパレータ40の表面粗さRaが小さいために、セパレータ40の透気度が大きくなり、換言すればセパレータ40内をリチウムイオンが移動しにくくなり、電池の直流抵抗値が大きくなったと考えられる。
【0045】
参考例2においては、ピーク比Rtが大きいために、活物質粒子24の表面積が大きくなり、副反応が増大する結果、電池容量維持率が小さくなった、すなわち電池の寿命が短くなったと考えられる。
【0046】
次に、図5を参照して、セパレータ40の表面粗さRaと、電池の直流抵抗値比Rrとの関係について説明する。図5は、図4の比較例,実施例1~4,及び参考例1におけるセパレータ40の表面粗さRaと、電池の直流抵抗値比Rrとの関係をそれぞれプロットしたグラフである。
【0047】
図5に示すように、セパレータ40の表面粗さRaが1.54μm以上、且つ、ピーク比Rtが0.42~0.71の範囲では、表面粗さRaが1.07μmであり、ピーク比Rtが0.12である比較例よりも直流抵抗値比Rrが小さくなっていることが分かる。
【0048】
また、例えばピーク比Rtが0.61(図5のプロット点■)の3点をみて分かるように、セパレータ40の表面粗さRaが大きくなるほど直流抵抗値比Rrが小さくなる。これは、セパレータ40の表面粗さRaが大きいほど、セパレータ40の透気度が小さくなる、換言すればセパレータ40内をリチウムイオンが移動しやすくなることで、電池の直流抵抗値が低減するものと考えられる。つまり、図4ではセパレータ40の表面粗さRaが3.27μmまでのデータしかないものの、セパレータ40の表面粗さRaが3.27μmを超えた場合においても、直流抵抗値比Rrは比較例に比して十分に小さくなるといえる。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)第1粒径D1は、7.0μm以上、9.0μm以下である。第2粒径D2は、0.8μm以上、1.0μm以下である。セパレータ40の表面粗さRaは、1.54μm以上である。第1ピークf1における活物質粒子24の体積に対する第2ピークf2における活物質粒子24の体積の比であるピーク比Rtが、0.42以上、0.71以下である。
【0050】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、電池抵抗の低減と電池寿命の短縮の抑制との両立を図ることができる。
(2)セパレータ40の表面粗さRaが、2.29μm以上である。ピーク比Rtが、0.42以上、0.61以下である。
【0051】
こうした構成によれば、セパレータ40の表面粗さRaが2.29μm以上であり、ピーク比Rtが、0.42以上、0.61以下である場合には、比較例に対する上記構成の二次電池の直流抵抗値比Rrは、97.7%以下となる。また、比較例に対する上記構成の二次電池の10日後の電池容量維持率比Rcは、97%以上となる。
【0052】
このことから、上記構成によれば、電池抵抗をより低減することができる。
(3)電極体15を非水電解液二次電池に設けることによって、上記作用を奏することから、電池抵抗の低減と電池寿命の短縮の抑制との両立を図ることができる。
【0053】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
・活物質層22は、集電体21の両面に設けられるようにしてもよい。
・非水電解液二次電池は、リチウムイオン電池に限定されない。例えばニッケル水素蓄電池として本発明を具体化することもできる。
【符号の説明】
【0055】
10…電池ケース
11…ケース本体
12…蓋体
13…負極外部端子
14…正極外部端子
15…電極体
16…集電部
17…集電部
18…非水電解液
20…負極
21…集電体
22…活物質層
23…接続部
24…活物質粒子
30…正極
31…集電体
32…活物質層
33…接続部
40…セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5