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  • 特開-バイオマスボイラーシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003488
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】バイオマスボイラーシステム
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20240105BHJP
   F26B 23/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F26B21/00 J
F26B23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102671
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】奥山 広志
(72)【発明者】
【氏名】陳 贇
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊裕
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA03
3L113AB02
3L113AB03
3L113AC04
3L113AC05
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC52
3L113AC53
3L113AC67
3L113BA19
3L113BA36
3L113CB01
3L113DA02
(57)【要約】
【課題】バイオマス燃料を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風を効率良く安定して得られるようにする。
【解決手段】ボイラー室2に設置されたバイオマスボイラー10と、バイオマス燃料3を貯留する燃料貯留部20と、燃料貯留部20からバイオマスボイラー10にバイオマス燃料3を供給する燃料供給手段30と、バイオマスボイラー10の廃熱を回収してバイオマス燃料3を乾燥させる乾燥手段40とを有するバイオマスボイラーシステムにおいて、乾燥手段40は、回収した廃熱でボイラー室2からの排気EAを加熱して乾燥用温風HAを生成する乾燥用温風生成部41と、乾燥用温風HAを乾燥用温風生成部41から燃料貯留部20内に導入してバイオマス燃料3を乾燥させる乾燥用温風導入ダクト42を有している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラー室に設置されたバイオマスボイラーと、バイオマス燃料を貯留する燃料貯留部と、前記燃料貯留部から前記バイオマスボイラーに前記バイオマス燃料を供給する燃料供給手段と、前記バイオマスボイラーの廃熱を回収して前記バイオマス燃料を乾燥させる乾燥手段とを有するバイオマスボイラーシステムであって、
前記乾燥手段は、回収した廃熱で前記ボイラー室からの排気を加熱して乾燥用温風を生成する乾燥用温風生成部と、前記乾燥用温風を前記乾燥用温風生成部から前記燃料貯留部内に導入して前記バイオマス燃料を乾燥させる乾燥用温風導入ダクトと、を有しているバイオマスボイラーシステム。
【請求項2】
前記乾燥用温風導入ダクトは、前記乾燥用温風を前記燃料貯留部の底部近傍から当該燃料貯留部内に導入するように構成されている請求項1に記載のバイオマスボイラーシステム。
【請求項3】
前記燃料供給手段は、前記燃料貯留部内の前記バイオマス燃料を前記燃料貯留部の底部から搬出するように構成されている請求項2に記載のバイオマスボイラーシステム。
【請求項4】
前記燃料貯留部として、前記バイオマス燃料の搬送方向上手側に設置された第1貯留部と、当該第1貯留部よりも前記バイオマス燃料の搬送方向下手側に設置された第2貯留部と、を有し、
前記乾燥用温風導入ダクトは、前記乾燥用温風を前記第1貯留部内に導入して前記第1貯留部に貯留されている前記バイオマス燃料を乾燥させるように構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマスボイラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー室に設置されたバイオマスボイラーと、バイオマス燃料を貯留する燃料貯留部と、前記燃料貯留部から前記バイオマスボイラーに前記バイオマス燃料を供給する燃料供給手段と、前記バイオマスボイラーの廃熱を回収して前記バイオマス燃料を乾燥させる乾燥手段とを有するバイオマスボイラーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、バイオマスの乾燥物を燃料として利用して蒸気を発生させるボイラー装置と、該ボイラー装置の廃熱を利用してバイオマスを乾燥させる乾燥機(攪拌室)と、乾燥されたバイオマスを貯蔵するサイロと、サイロ内のバイオマスをサイロの下部からボイラー装置に供給する供給装置(スクリューコンベア)とが備えられたバイオマスボイラーシステムにおいて、乾燥機に供給される乾燥気体(乾燥用温風)として、ボイラー装置の燃焼排気を外気と混合して温度調節した気体、又は、ボイラー装置の廃熱と熱交換した気体を使用して、乾燥機内のバイオマスを乾燥させる技術がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、燃焼炉に装入する木質燃料を乾燥させる木質燃料乾燥設備において、廃熱を吸収した熱媒体と大気から吸引した空気との間で熱交換を行う熱交換器を備え、前記熱交換器にて加温された温風空気(乾燥用温風)を前記貯留ホッパの下部から該貯留ホッパ内に送給して該貯留ホッパ内の木質燃料を乾燥させる技術がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-047593号公報
【特許文献2】特開2016-080217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1-2に記載の技術では、バイオマス燃料を乾燥させる乾燥用温風(乾燥気体、温風空気)を生成する上において、ボイラー装置の燃焼排気又は廃熱を吸収した熱媒体を、季節や天候などに応じて温度が大きく低下することのある外気と混合又は熱交換して温度調節することから、バイオマス燃料を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥気体を安定して得るためには、季節や天候などに応じて外気温が低くなるほど、外気と混合又は熱交換させるボイラー装置の燃焼排気量又は熱媒体量を多くする必要がある。そのため、バイオマス燃料を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風を効率良く安定して得られるようにする上において改善の余地がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、バイオマス燃料を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風を効率良く安定して得られるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、ボイラー室に設置されたバイオマスボイラーと、バイオマス燃料を貯留する燃料貯留部と、前記燃料貯留部から前記バイオマスボイラーに前記バイオマス燃料を供給する燃料供給手段と、前記バイオマスボイラーの廃熱を回収して前記バイオマス燃料を乾燥させる乾燥手段とを有するバイオマスボイラーシステムであって、
前記乾燥手段は、回収した廃熱で前記ボイラー室からの排気を加熱して乾燥用温風を生成する乾燥用温風生成部と、前記乾燥用温風を前記乾燥用温風生成部から前記燃料貯留部内に導入して前記バイオマス燃料を乾燥させる乾燥用温風導入ダクトと、を有している点にある。
【0008】
本構成によると、バイオマスボイラーの稼働によって比較的高い温度で安定しているボイラー室からの排気を活用して、その排気を乾燥用温風生成部がバイオマスボイラーの廃熱で加熱して乾燥用温風を生成することから、例えば、季節や天候などに応じて温度が大きく低下することのある外気をバイオマスボイラーの廃熱で加熱して乾燥用温風を生成する場合に比較して、バイオマス燃料を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風を効率良く安定して得ることができる。
【0009】
そして、このように得られた適温で安定した乾燥用温風が乾燥用温風導入ダクトを通って燃料貯留部内に導入されることにより、燃料貯留部内のバイオマス燃料を効率良く好適に乾燥させることができ、又、燃料貯留部内が陽圧化して外部から燃料貯留部内への透湿が防止されることにより、燃料貯留部内のバイオマス燃料を乾燥状態に維持し易くなることから、このように効率良く好適に乾燥された状態のバイオマス燃料が、燃料供給手段にてバイオマスボイラーに安定的に供給されるようになり、よって、バイオマスボイラーでのバイオマス燃料の燃焼効率を安定的に向上させることができる。
【0010】
つまり、本構成によると、バイオマス燃料を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風を効率良く安定して得られるようになり、ひいては、バイオマスボイラーでのバイオマス燃料の燃焼効率を安定的に向上させることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記乾燥用温風導入ダクトは、前記乾燥用温風を前記燃料貯留部の底部近傍から当該燃料貯留部内に導入するように構成されている点にある。
【0012】
本構成によると、乾燥用温風は、乾燥用温風導入ダクトにて燃料貯留部の底部近傍から燃料貯留部内に導入されることにより、燃料貯留部内では、燃料貯留部内に貯留されたバイオマス燃料の隙間を通って燃料貯留部の底部側から上部に向けて流れるようになり、これにより、燃料貯留部内のバイオマス燃料を、底部側のものほど積極的に乾燥させ、上部側のものは余熱で乾燥させる状態で、底部側のものから順に効率良く乾燥させることができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記燃料供給手段は、前記燃料貯留部内の前記バイオマス燃料を前記燃料貯留部の底部から搬出するように構成されている点にある。
【0014】
本構成によると、前述したように、燃料貯留部内のバイオマス燃料は底部側のものから順に効率良く乾燥されるのに応じて、燃料供給手段は、燃料貯留部内のバイオマス燃料を燃料貯留部の底部から搬出することにより、燃料貯留部の底部からは常に乾燥度が最も高いバイオマス燃料が搬出されるようになり、又、燃料貯留部内では、乾燥度の高いバイオマス燃料ほど燃料貯留部の底部側に貯留された状態が維持されるようになる。
【0015】
その結果、バイオマスボイラーには常に乾燥度の高いバイオマス燃料を供給できるようにして、バイオマスボイラーでのバイオマス燃料の燃焼効率を向上させるようにしながら、燃料貯留部内のバイオマス燃料を、常に底部側のものから順に効率良く乾燥させることができる。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、前記燃料貯留部として、前記バイオマス燃料の搬送方向上手側に設置された第1貯留部と、当該第1貯留部よりも前記バイオマス燃料の搬送方向下手側に設置された第2貯留部と、を有し、
前記乾燥用温風導入ダクトは、前記乾燥用温風を前記第1貯留部内に導入して前記第1貯留部に貯留されている前記バイオマス燃料を乾燥させるように構成されている点にある。
【0017】
本構成によると、燃料貯留部として第1貯留部と第2貯留部とを設置し、バイオマス燃料が最初に貯留される第1貯留部においてバイオマス燃料を乾燥させることにより、バイオマス燃料を燃料貯留部での貯留初期の段階から乾燥させることができ、これにより、第2貯留部には常に含水率の低いバイオマス燃料が貯留されることから、第2貯留部に貯留されたバイオマス燃料の含水率が上昇する不都合の発生を抑制することができる。
その結果、バイオマスボイラーには常に含水率の低いバイオマス燃料を供給することができ、バイオマスボイラーでのバイオマス燃料の燃焼効率を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】バイオマスボイラーシステムの構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るバイオマスボイラーシステムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態で例示するバイオマスボイラーシステム1は、ボイラー室2に設置されたバイオマスボイラー10と、バイオマス燃料3を貯留する燃料貯留部20と、燃料貯留部20からバイオマスボイラー10にバイオマス燃料3を供給する燃料供給手段30と、バイオマスボイラー10の廃熱を回収してバイオマス燃料3を乾燥させる乾燥手段40とを有している。
【0021】
ボイラー室2には、ボイラー室2に外気OAを供給する給気ファン4と、バイオマスボイラー10の稼働で昇温するボイラー室2の内部空気を室外に排出する排気ファン5とが備えられている。
【0022】
バイオマスボイラー10は、バイオマス燃料3の一例である含水率の高い木質チップなどを燃焼させることで、給水管6を通って補給水Wを加熱して水蒸気や温水などを生成する。バイオマスボイラー10には、バイオマス燃料3の燃焼で発生する燃焼排ガスGを室外に排出する煙道11が備えられている。煙道11には、その内部を通るバイオマスボイラー10の燃焼排ガスGと給水管6を通る補給水Wとの熱交換で、燃焼排ガスGから廃熱を回収してバイオマスボイラー10に供給する補給水Wを予熱する熱交換部12Aを有するエコノマイザー12が備えられている。
【0023】
燃料貯留部20としては、バイオマスボイラー10に対するバイオマス燃料3の搬送方向上手側に設置された第1貯留部21と、第1貯留部21よりもバイオマス燃料3の搬送方向下手側に設置された第2貯留部22とが備えられている。第1貯留部21と第2貯留部22の上部には、各貯留部21,22内へのバイオマス燃料3の供給を可能にする供給部21A,22Aが備えられている。第1貯留部21と第2貯留部22の底部には、各貯留部21,22内に貯留されたバイオマス燃料3の排出を可能にする排出部21B,22Bが備えられている。
尚、燃料貯留部20として、上記のように第1貯留部21と第2貯留部22とを備えるのに代えて、単一の貯留部を備えるようにしてもよい。
【0024】
燃料供給手段30は、第1貯留部21内のバイオマス燃料3を、第1貯留部21における底部の排出部21Bから搬出して、第2貯留部22における上部の供給部22Aから第2貯留部22内に供給搬送する第1燃料供給搬送装置31と、第2貯留部22内のバイオマス燃料3を、第2貯留部22における底部の排出部22Bから搬出してバイオマスボイラー10に供給する第2燃料供給搬送装置32とを有している。第1燃料供給搬送装置31と第2燃料供給搬送装置32には、供給搬送されるバイオマス燃料3の露出を防止するように構成されたカバー付きのチップコンベアやスクリューコンベアなどを採用することができる。
【0025】
乾燥手段40は、回収した廃熱でボイラー室2からの排気EAを加熱して乾燥用温風HAを生成する乾燥用温風生成部41と、乾燥用温風HAを乾燥用温風生成部41から第1貯留部21内に導入してバイオマス燃料3を乾燥させる乾燥用温風導入ダクト42とを有している。
【0026】
乾燥用温風生成部41は、水を熱交換媒体に使用して煙道11の内部を通るバイオマスボイラー10の燃焼排ガスGから廃熱を回収する廃熱回収器41Aと、温水HWが回収した廃熱でボイラー室2からの排気EAを加熱する排気加熱器41Bと、廃熱回収器41Aと排気加熱器41Bとの間で温水用の循環路43を形成する温水配管41Cと、廃熱回収器41Aと排気加熱器41Bとの間で温水HWを循環させる循環ポンプ41Dと、ボイラー室2からの排気EAを排気加熱器41Bに導くボイラー室排気導入ダクト41Eとを有している。廃熱回収器41Aは、前述したエコノマイザー12において補給水予熱用の熱交換部12Aと併設された熱交換部12Bで構成されている。排気加熱器41Bは、廃熱を回収した温水HWとボイラー室2からの排気EAとの熱交換で排気EAを加熱する水-空気熱交換器で構成されている。
尚、乾燥用温風生成部41としては、上記のように廃熱回収器41Aや排気加熱器41Bなどを有するものに限らず、例えば、煙道11の内部を通る燃焼排ガスGとボイラー室2から供給される排気EAとの熱交換で、バイオマスボイラー10の燃焼排ガスGから廃熱を回収してボイラー室2からの排気EAを加熱する空気-空気熱交換器を有するものであってもよい。
【0027】
本実施形態での乾燥用温風生成部41による乾燥用温風HAの生成について具体的に説明すると、乾燥用温風生成部41においては、循環ポンプ41Dの作動で温水HWが循環路43を循環すると、この循環で廃熱回収器41Aを通る温水HWが、廃熱回収器41Aでのバイオマスボイラー10の燃焼排ガスGとの熱交換で燃焼排ガスGから廃熱を回収することで、回収前の約60℃から約70℃に昇温する。そして、約70℃に昇温した廃熱回収後の温水HWが排気加熱器41Bを通ると、排気加熱器41Bでの廃熱回収後の温水HWとボイラー室2からの排気EAとの熱交換で、廃熱回収後の温水HWが保有する廃熱でボイラー室2からの排気EAが熱交換前の約35℃から約50℃に加熱され、この加熱により、第1貯留部21に貯留されたバイオマス燃料3を乾燥させるのに適した乾燥用温風HAが生成される。
【0028】
乾燥用温風導入ダクト42は、第1貯留部21の底部近傍に備えられた複数の温風導入部21Cに接続されており、これにより、乾燥用温風生成部41にて生成された乾燥用温風HAを第1貯留部21の底部近傍から第1貯留部21内に導入するように構成されている。第1貯留部21の上部には、第1貯留部21の底部近傍から乾燥用温風HAが導入されることで第1貯留部21の上部に溜まるようになる湿気を帯びた内部空気を外部に排出する内部空気排出部21Dが備えられている。
【0029】
乾燥手段40には、第1貯留部21に貯留されたバイオマス燃料3に含まれている水分量を測定する水分計44と、水分計44の測定値に基づいて循環ポンプ41Dによる温水HWの循環流量を調整する制御部45とが含まれている。制御部45は、水分計44の測定値と予め設定されたバイオマス燃料3の目標水分量とを比較し、水分計44の測定値が目標水分量よりも多い場合に、循環ポンプ41Dによる廃熱回収器41Aと排気加熱器41Bとの間での温水HWの循環流量を多くして、乾燥用温風生成部41から第1貯留部21内に導入される乾燥用温風HAの温度を高くすることで、水分計44の測定値を目標水分量以下に低下させるように構成されている。
尚、制御部45としては、水分計44の測定値に基づいて循環ポンプ41Dによる温水HWの循環流量を調整するものに限らず、例えば、水分計44の測定値に基づいて排気ファン5によるボイラー室2からの排気量を調整するものであってもよい。この場合、制御部45は、水分計44の測定値が目標水分量よりも多くなると、排気ファン5によるボイラー室2からの排気量を多くして、乾燥用温風生成部41から第1貯留部21内に導入される乾燥用温風HAの流量を多くすることで、水分計44の測定値を目標水分量以下に低下させることになる。
【0030】
以上の構成により、本実施形態で例示するバイオマスボイラーシステム1においては、バイオマスボイラー10の稼働によって比較的高い温度で安定しているボイラー室2からの排気EAを活用して、その排気EAを、乾燥手段40の乾燥用温風生成部41が、バイオマスボイラー10の燃焼排ガスGから回収した廃熱で加熱して乾燥用温風HAを生成することから、例えば、季節や天候などに応じて温度が大きく低下することのある外気をバイオマスボイラー10の廃熱で加熱して乾燥用温風HAを生成する場合に比較して、バイオマス燃料3を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風HAを効率良く安定して得られるようになる。
【0031】
そして、このように得られた適温で安定した乾燥用温風HAは、乾燥用温風導入ダクト42を通って第1貯留部21の底部近傍から第1貯留部21内に導入され、これにより、第1貯留部21内では、第1貯留部21内に貯留されたバイオマス燃料3の隙間を通って第1貯留部21の底部側から上部に向けて流れるようになることから、第1貯留部21内のバイオマス燃料3を、底部側のものほど積極的に乾燥させ、上部側のものは余熱で乾燥させる状態で、底部側のものから順に効率良く乾燥させることができる。
【0032】
その上、乾燥用温風HAが第1貯留部21内に導入されることで、第1貯留部21内が陽圧化して外部から第1貯留部21内への透湿が防止されることから、第1貯留部21内のバイオマス燃料3を乾燥状態に維持し易くなる。
【0033】
又、乾燥用温風HAが第1貯留部21の底部側から上部に向けて流れることで、湿気を帯びた内部空気が第1貯留部21の上部で溜まるようになると、このような内部空気は、第1貯留部21の上部に備えられた内部空気排出部21Dから外部に排出されることから、第1貯留部21内での乾燥用温風HAによるバイオマス燃料3の乾燥をより効率良く行うことができる。
【0034】
しかも、上記のように第1貯留部21内のバイオマス燃料3が底部側のものから順に効率良く乾燥されるのに応じて、トラックなどで搬入された含水率の高いバイオマス燃料3は、第1貯留部21における上部の供給部21Aから第1貯留部21内の上部側に供給され、又、第1貯留部21内の底部に貯留されている乾燥度の高いバイオマス燃料3は、燃料供給手段30の第1燃料供給搬送装置31にて第1貯留部21における底部の排出部21Bから搬出されることから、第1貯留部21の底部からは常に乾燥度が最も高いバイオマス燃料3が搬出されるようになり、又、第1貯留部21内では、乾燥度の高いバイオマス燃料3ほど第1貯留部21の底部側に貯留された状態が維持されるようになる。
【0035】
更に、第1貯留部21に貯留されたバイオマス燃料3に含まれている水分量が目標水分量よりも多い場合は、前述した制御部45の制御作動で、乾燥用温風生成部41から第1貯留部21内に導入される乾燥用温風HAの温度を高くして、第1貯留部21に貯留されたバイオマス燃料3に含まれている水分量を目標水分量以下に低下させることから、第1貯留部21内に供給されるバイオマス燃料3の含水率にかかわらず、第1貯留部21の底部から搬出されるバイオマス燃料3の含水率を目標水分量以下に低下させることができる。
【0036】
その上、燃料貯留部20として設置された第1貯留部21と第2貯留部22のうち、バイオマス燃料3が最初に貯留される第1貯留部21においてバイオマス燃料3を乾燥させることにより、バイオマス燃料3を第1貯留部21での貯留初期の段階から乾燥させることができ、これにより、第2貯留部22には常に含水率の低いバイオマス燃料3が貯留されることから、第2貯留部22に貯留されたバイオマス燃料3の含水率が上昇する不都合の発生を抑制することができる。
【0037】
つまり、本実施形態で例示するバイオマスボイラーシステム1によると、バイオマス燃料3を乾燥させるのに適した比較的高い温度の乾燥用温風HAを効率良く安定して得られるようになり、そして、このように得られた乾燥用温風HAの第1貯留部21内への導入を、第1貯留部21に対するバイオマス燃料3の供給位置や搬出位置を考慮して、第1貯留部21の底部近傍から行うことにより、第1貯留部21内のバイオマス燃料3を底部側のものから順に効率良く乾燥させることができ、又、バイオマスボイラー10には、常に第1貯留部21の底部から搬出した含水率の最も低いバイオマス燃料3を、第2貯留部22を経由する状態で燃料供給手段30にて供給することができ、その結果、バイオマスボイラー10でのバイオマス燃料3の燃焼効率を安定的に向上させることができる。
【0038】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0039】
(1)上記の実施形態においては、乾燥手段40として、乾燥用温風HAを第1貯留部21の底部近傍から第1貯留部21内に導入するものを例示したが、これに限らず、例えば、乾燥用温風HAを第1貯留部21の上下中間部や上部近傍から第1貯留部21内に導入するものであってもよく、又、乾燥用温風HAを第2貯留部22内に導入して、第2貯留部22内のバイオマス燃料3を乾燥させるものであってもよい。
尚、乾燥用温風HAを第1貯留部21又は第2貯留部22の上下中間部や上部近傍から第1貯留部21内又は第2貯留部22内に導入する場合には、乾燥用温風HAが導入される第1貯留部21又は第2貯留部22の内部に、内部に貯留されたバイオマス燃料3を攪拌する撹拌機を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
2 ボイラー室
3 バイオマス燃料
10 バイオマスボイラー
20 燃料貯留部
21 第1貯留部
22 第2貯留部
30 燃料供給手段
40 乾燥手段
41 乾燥用温風生成部
42 乾燥用温風導入ダクト
EA 排気
HA 乾燥用温風
図1