(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003489
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20240105BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102672
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】久松 慎弥
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BF06
3L058BE08
3L058BF06
3L058BG04
(57)【要約】
【課題】主居室と一時利用居室とを有する換気対象空間において、換気システムの省エネルギー化を図りながらも、各居室での換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止できるようにする。
【解決手段】主居室S1と当該主居室S1に連通する一時利用居室S2とが間仕切りされた換気対象空間Sを換気する換気システム1において、主居室S1には給気ファン7にて外気OAが供給され、一時利用居室S2においては、当該居室S2の内部空気を排出する換気ファン12と人感センサ13とが備えられて、人感センサ13にて人の在室が検知された場合に換気ファン12による第三種換気が行われるように構成され、換気対象空間Sの設定換気量が、主居室S1と一時利用居室S2との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせた換気対象空間Sの総収容人数に応じた換気量よりも低く設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主居室と当該主居室に連通する一時利用居室とが間仕切りされた換気対象空間を換気する換気システムであって、
前記主居室には給気ファンにて外気が供給され、
前記一時利用居室においては、当該居室の内部空気を排出する換気ファンと人感センサとが備えられて、前記人感センサにて人の在室が検知された場合に前記換気ファンによる第三種換気が行われるように構成され、
前記換気対象空間の設定換気量が、前記主居室と前記一時利用居室との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせた前記換気対象空間の総収容人数に応じた換気量よりも低く設定されている換気システム。
【請求項2】
前記換気対象空間の設定換気量が、前記主居室の収容人数に応じた換気量に設定されている請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
排気ファンにて内部空気が排出される天井排気チャンバが前記主居室の天井裏と前記一時利用居室の天井裏とにわたって備えられ、
前記換気ファンは前記天井排気チャンバに開放されており、
前記主居室には、前記天井排気チャンバに連通する連通口が備えられ、
前記第三種換気による前記一時利用居室からの排気量が前記換気対象空間の設定換気量に対応する排気量よりも少ない場合は、その差分量の室内空気が前記主居室の前記連通口から前記天井排気チャンバに排出される請求項1又は2に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主居室と当該主居室に連通する一時利用居室とが間仕切りされた換気対象空間を換気する換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、一次エリア(執務室などの居室)と、一次エリアに連通する二次エリア(共用トイレ)とを有し、当該二次エリアには複数の個別エリア(トイレブース)を有し、一次エリアには一次側給気ファンにて外気が供給され、個別エリアのそれぞれにおいては、検知部(人感センサなど)が備えられて、検知部の検知結果に基づき第三種換気が行われる換気システムがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、例えば、談話室や食堂などの共用領域と、共用領域に連通する個別個室領域とを有し、共用領域の共用空調空間には、空調機の空調空気が送り込まれ、個別個室領域においては、強制排気手段による第三種換気が行われる換気システムがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-011978号公報
【特許文献2】特開2021-162229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、一次エリアが居室であり、二次エリアが居室に該当しない共用トイレであることから、一次エリアと二次エリアとを含む換気対象空間の換気量としては、一次エリアでの収容人数に応じた換気量に設定することが一般的である。
【0006】
一方、特許文献2に記載の技術では、個別個室領域と共用領域とが共に居室であることから、個別個室領域と共用領域とを含む換気対象空間の設定換気量としては、個別個室領域と共用領域の領域ごとに設定された収容人数を足し合わせた換気対象空間の総収容人数に応じた換気量(以下、換気対象空間の形式的な総収容人数に応じた換気量と称する)に設定して、各領域に対して十分な換気を行えるようにすることで、領域(居室)ごとの在室人数の全てが収容人数に達した場合であっても、各領域での換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止できるようにすることが一般的である。
【0007】
ところで、換気対象空間が主居室(例えば執務室)と当該主居室の人員が一時的に移動して利用する一時利用居室(例えば会議室)とを有するようにレイアウトされていると、この換気対象空間における各居室での在室人数の変動は、主に、主居室の人員が主居室と一時利用居室との間を移動することで、それらの居室での在室人数が背反的に増減するだけで、居室ごとの在室人数の全てが収容人数に達することはないに等しいと考えられる。
【0008】
そのため、主居室と一時利用居室とを有する換気対象空間において、上記のように換気対象空間の設定換気量を換気対象空間の形式的な総収容人数に応じた換気量に設定すると、この換気対象空間においては、当該換気対象空間での在室人数が形式的な総収容人数に達することはないに等しいにもかかわらず、常に形式的な総収容人数に応じた換気量で換気が行われるといった無駄が生じることから、換気システムの省エネルギー化を図る上において改善の余地がある。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、主居室と一時利用居室とを有する換気対象空間において、換気システムの省エネルギー化を図りながらも、各居室での換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は、主居室と当該主居室に連通する一時利用居室とが間仕切りされた換気対象空間を換気する換気システムであって、
前記主居室には給気ファンにて外気が供給され、
前記一時利用居室においては、当該居室の内部空気を排出する換気ファンと人感センサとが備えられて、前記人感センサにて人の在室が検知された場合に前記換気ファンによる第三種換気が行われるように構成され、
前記換気対象空間の設定換気量が、前記主居室と前記一時利用居室との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせた前記換気対象空間の総収容人数に応じた換気量よりも低く設定されている点にある。
【0011】
本構成によると、主居室と一時利用居室とを有する換気対象空間の形式的な総収容人数に応じた換気量(主居室と一時利用居室との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせた換気対象空間の総収容人数に応じた換気量)よりも低く設定された設定換気量で換気対象空間の換気が行われることから、換気対象空間の形式的な総収容人数に応じた換気量で換気が行われる場合に比較して、換気システムの省エネルギー化を図ることができる。
【0012】
又、主居室には、主居室での在室人数にかかわらず、常に前述した設定換気量に基づく外気が給気ファンにて供給されており、主居室に在室している人員のうちの数人が一時利用居室に移動すると、その一時利用居室の人感センサが人の在室を検知し、この検知に基づいて一時利用居室の換気ファンによる第三種換気が行われることで、主居室の内部空気が一時利用居室に誘引される。そして、このときに一時利用居室に誘引される主居室の内部空気は、その一時利用居室に移動した人数に応じて汚染度が低くなることから、一時利用居室には、当該一時利用居室に移動した人数が多いほど、汚染度の低いより新鮮な空気が主居室から供給されることになる。
【0013】
つまり、給気ファンにて主居室に供給される設定換気量の外気(新鮮空気)を、換気対象空間における主居室と一時利用居室との間での人の移動に応じて、主居室から一時利用居室に適切に分配供給できる上に、主居室と一時利用居室との間での移動人数に応じた鮮度で、主居室から一時利用居室に分配供給できることから、換気対象空間の設定換気量が換気対象空間の形式的な総収容人数に応じた換気量よりも低く設定されていても、主居室と一時利用居室とのいずれの居室においても、換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止することができる。
【0014】
その結果、換気システムの省エネルギー化を図りながらも、主居室と一時利用居室との間での人の移動を考慮したそれらの居室への新鮮空気の適切な分配供給が可能となり、それらの居室での換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止することができる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、前記換気対象空間の設定換気量が、前記主居室の収容人数に応じた換気量に設定されている点にある。
【0016】
本構成によると、主居室の収容人数に相当する人員が主居室に在室している場合には、主居室の収容人数に応じた換気量が主居室に供給されることになり、又、主居室に在室している人員のうちの数人が一時利用居室に移動した場合には、その一時利用居室に移動した人数に応じて汚染度が低くなった比較的新鮮な空気が主居室から一時利用居室に供給されることから、主居室と一時利用居室との間での人の移動を考慮したそれらの居室への新鮮空気の分配供給をより適切に行うことができる。
【0017】
その結果、換気システムの省エネルギー化を好適に図りながらも、主居室と一時利用居室との間での人の移動を考慮したそれらの居室への新鮮空気の分配供給をより適切に行うことができ、それらの居室での換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止することができる。
【0018】
本発明の第3特徴構成は、排気ファンにて内部空気が排出される天井排気チャンバが前記主居室の天井裏と前記一時利用居室の天井裏とにわたって備えられ、
前記換気ファンは前記天井排気チャンバに開放されており、
前記主居室には、前記天井排気チャンバに連通する連通口が備えられ、
前記第三種換気による前記一時利用居室からの排気量が前記換気対象空間の設定換気量に対応する排気量よりも少ない場合は、その差分量の室内空気が前記主居室の前記連通口から前記天井排気チャンバに排出される点にある。
【0019】
本構成によると、天井排気チャンバを備えることで排気ダクトの設置が不要になることから、排気ダクトを設置する場合に比較してダクトワークの削減を図ることができる。
【0020】
そして、このようにダクトワークの削減を図りながらも、第三種換気による一時利用居室からの排気量が換気対象空間の設定換気量に対応する排気量よりも少ない場合は、その差分量の室内空気が主居室の連通口から天井排気チャンバに排出されることから、換気における給気と排気のエアバランスを適正にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】換気システムの構成を示す要部の概略垂直断面図
【
図2】換気システムの構成を示す要部の概略水平断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る換気システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~2に示すように、本実施形態で例示する換気システム1は、換気対象空間の一例であるオフィスビルやテナントビルなどのオフィス空間Sを換気するものであり、このオフィス空間Sには、主居室の一例である所定数(本実施形態では1室)の執務室S1と、当該執務室S1に連通する一時利用居室の一例である所定数(本実施形態では5室)の会議室S2とが間仕切りされている。又、本実施形態で例示する執務室S1は、その収容人数から設定換気量が1000CMH(m
3/h)に設定された大部屋であり、各会議室S2は、それらの収容人数から設定換気量が100CMHに設定された小部屋である。
【0023】
尚、換気システム1の換気対象空間Sとしては、オフィス空間S以外に、例えば、主居室の一例である住人用や宿泊者用などの個室と、一時利用居室の一例である食堂や談話室などとが間仕切りされた老人ホームや宿舎などの居住空間などであってもよい。又、換気対象空間Sにおける主居室と一時利用居室の部屋数や部屋の大きさは種々の変更が可能である。
【0024】
換気システム1は、執務室S1に対しては強制的な給排気による第一種換気を行い、各会議室S2に対しては、それらの室内を強制的な排気で負圧(陰圧)にすることにより、執務室S1に連通する連通部2から執務室S1の内部空気を誘引して給気する第三種換気を行うように構成されている。
尚、連通部2は、仕切り壁3や扉4(
図2参照)などに備えられたガラリであってもよく、又、扉4(
図2参照)と床面5(
図1参照)との間に形成される隙間などであってもよい。
【0025】
換気システム1には、給気路6を通じて外気OAを給気SAとしてオフィス空間Sの執務室S1に供給する給気ファン7(
図1参照)と、排気路8(
図1参照)を通じてオフィス空間Sの内部空気を屋外に排出する排気ファン9(
図1参照)と、執務室S1への給気SAとオフィス空間Sからの排気EAとの間で熱交換を行わせる全熱交換器10と、執務室S1を排気路8に連通する複数の連通口11と、が含まれている。更に、換気システム1には、各会議室S2に備えられて各会議室S2の内部空気を排気EAとして排気路8に排出する換気ファン12と、各会議室S2に備えられて各会議室S2での在室の有無を検出する人感センサ13と、各ファン7,9,12などの作動を制御する制御部14(
図1参照)と、が含まれている。
【0026】
給気路6は、給気ファン7から執務室S1に備えられた複数の給気口15にわたって設置された給気ダクト16にて形成されている。排気路8は、排気ファン9にて内部空気が排出される天井排気チャンバ17(
図1参照)にて形成されており、天井排気チャンバ17は、執務室S1の天井裏と前記会議室S2の天井裏とにわたって備えられている。そして、執務室S1には、天井排気チャンバ17に連通する連通口11が備えられ、各会議室S2の換気ファン12は天井排気チャンバ17に開放されている。制御部14は、いずれかの人感センサ13にて人の在室が検知された場合に、人の在室が検知された会議室S2の換気ファン12を作動させ、その後、当該会議室S2の人感センサ13にて人の在室が検知されなくなると、当該会議室S2の換気ファン12の作動を停止させるように構成されている。
【0027】
つまり、本実施形態で例示する換気システム1は、執務室S1においては、制御部14の制御作動で給気ファン7と排気ファン9とを作動させた強制的な給排気による第一種換気が行われ、又、各会議室S2においては、それらに備えられた人感センサ13のうちのいずれかが会議室S2での人の在室を検知した場合に、その検知情報に基づく制御部14の制御作動で人の在室が検知された会議室S2の換気ファン12を作動させて、その内部空気の強制的な排気を行いながら、当該会議室S2に執務室S1の内部空気を誘引して給気する第三種換気が行われるように構成されている。
【0028】
ところで、本実施形態で例示するオフィス空間Sのように、オフィス空間Sが執務室S1と複数の会議室S2とに間仕切りされていると、オフィス空間Sにおける執務室S1と各会議室S2での在室人数の変動は、主に、執務室S1の人員が執務室S1と各会議室S2との間を移動することで、それらの執務室S1と会議室S2での在室人数が背反的に増減するだけで、執務室S1と各会議室S2とのそれぞれでの在室人数の全てが収容人数に達することはないに等しいと考えられる。
【0029】
そのため、本実施形態で例示するオフィス空間Sにおいて、オフィス空間Sの設定換気量を、前述したオフィス空間Sの形式的な総収容人数に応じた換気量(執務室S1と各会議室S2との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせたオフィス空間Sの総収容人数に応じた換気量で、本実施形態では1500CMHとなる。)に設定すると、このオフィス空間Sにおいては、当該オフィス空間Sでの在室人数が形式的な総収容人数に達することはないに等しいにもかかわらず、常に形式的な総収容人数に応じた換気量で換気が行われるといった無駄が生じることから、換気システム1の省エネルギー化を図る上において改善の余地がある。
【0030】
そこで、この点を考慮して、本実施形態で例示する換気システム1においては、オフィス空間Sの設定換気量が、執務室S1と各会議室S2との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせたオフィス空間Sの総収容人数に応じた換気量(本実施形態では1500CMH)よりも低く設定されている。具体的には、オフィス空間Sの設定換気量が、執務室S1の収容人数に応じた換気量(本実施形態では1000CMH)に設定されている。そして、第三種換気による会議室S2からの排気量がオフィス空間Sの設定換気量に対応する排気量よりも少ない場合は、その差分量の室内空気が執務室S1の連通口11から天井排気チャンバ17に排出されるように構成されている。
【0031】
これにより、例えば、オフィス空間Sの設定換気量が1000CMHに設定されているのに対し、
図1に示すように、設定換気量がそれぞれ100CMHに設定された5室の会議室S2のうち2室が使用されている場合は、第三種換気による使用中の会議室S2からの排気量が200CMHとなり、オフィス空間Sの設定換気量に対応する排気量との差分量が800CMHになることから、執務室S1の連通口11からは800CMHの室内空気が天井排気チャンバ17に排出されることになる。
【0032】
以上の構成により、本実施形態で例示する換気システム1においては、執務室S1の収容人数に応じた換気量に設定されたオフィス空間Sの設定換気量でオフィス空間Sの換気が行われることから、オフィス空間Sの形式的な総収容人数に応じた換気量で換気が行われる場合に比較して、換気システム1の省エネルギー化を図ることができる。
【0033】
そして、執務室S1には、執務室S1での在室人数にかかわらず、常に前述した設定換気量に基づく外気OAが給気ファン7にて供給されていることから、執務室S1の収容人数に相当する人員が執務室S1に在室している場合には、執務室S1の収容人数に応じた換気量が執務室S1に供給されることになる。又、執務室S1に在室している人員のうちの数人がいずれかの会議室S2に移動した場合には、人員が移動した会議室S2の人感センサ13が人の在室を検知し、この検知に基づく制御部14の制御作動で、その会議室S2の換気ファン12が作動して当該換気ファン12による第三種換気が行われることで、執務室S1の内部空気が給気SAとして会議室S2に誘引される。そして、このときに会議室S2に誘引される執務室S1の内部空気は、その会議室S2に移動した人数に応じて汚染度が低くなることから、会議室S2には、当該会議室S2に移動した人数が多いほど、汚染度の低いより新鮮な空気が執務室S1から供給されることになる。
【0034】
つまり、給気ファン7にて執務室S1に供給される設定換気量の外気(新鮮空気)OAを、オフィス空間Sにおける執務室S1と各会議室S2との間での人の移動に応じて、執務室S1から各会議室S2に適切に分配供給できる上に、執務室S1と各会議室S2との間での移動人数に応じた鮮度で、執務室S1から各会議室S2に分配供給できることから、オフィス空間Sの設定換気量が執務室S1の収容人数に応じた換気量に設定されていても、執務室S1と各会議室S2とのいずれの居室においても、換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止することができる。
【0035】
その結果、換気システム1の省エネルギー化を図りながらも、執務室S1と会議室S2との間での人の移動を考慮したそれらの居室S1,S2への新鮮空気の適切な分配供給が可能となり、それらの居室S1,S2での換気不足で二酸化炭素濃度が上昇するなどの空気質の劣化を防止することができる。
【0036】
又、本実施形態で例示する換気システム1においては、排気路8が天井排気チャンバ17にて形成されることで、排気ダクトの設置が不要になることから、排気ダクトを設置する場合に比較してダクトワークの削減を図ることができる。
【0037】
そして、このようにダクトワークの削減を図りながらも、第三種換気による会議室S2からの排気量がオフィス空間Sの設定換気量に対応する排気量よりも少ない場合は、その差分量の室内空気が排気EAとして執務室S1の連通口11から天井排気チャンバ17に排出されることから、換気における給気SAと排気EAのエアバランスを適正にすることができる。
【0038】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0039】
(1)上記の実施形態においては、換気システム1として、オフィス空間(換気対象空間)Sの設定換気量が、執務室(主居室)S1の収容人数に応じた換気量に設定されているものを例示したが、これに限らず、例えば、オフィス空間(換気対象空間)Sの設定換気量が、執務室(主居室)S1と会議室(一時利用居室)S2との居室ごとに設定された収容人数を足し合わせたオフィス空間(換気対象空間)Sの総収容人数に応じた換気量よりも低く設定されていれば、執務室(主居室)S1の収容人数に応じた換気量よりも高く設定されたものであってもよい。
【0040】
(2)上記の実施形態においては、換気システム1として、排気路8が天井排気チャンバ17にて形成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、排気路8が、執務室(主居室)S1の天井裏と会議室(一時利用居室)S2の天井裏とにわたる天井裏空間に設置された排気ダクトで形成されたものであってもよい。この場合、排気ダクトは、その内部空間に執務室(主居室)S1の連通口11が連通されるとともに各会議室(一時利用居室)S2の換気ファン12が開放される形態で、排気ファン9に接続されることになる。
【符号の説明】
【0041】
1 換気システム
7 給気ファン
9 排気ファン
11 連通口
12 換気ファン
13 人感センサ
17 天井排気チャンバ
OA 外気
S オフィス空間(換気対象空間)
S1 執務室(主居室)
S2 会議室(一時利用居室)