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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034891
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/02 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A01B69/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139447
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】錦織 将浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇介
(72)【発明者】
【氏名】内山 直人
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA01
2B043AB11
2B043AB15
2B043BA02
2B043BB01
2B043CA03
2B043CB05
2B043CB11
2B043DA04
2B043DA15
2B043DC03
2B043EA06
2B043EB18
(57)【要約】
【課題】マーカの誤った振り出しを防止する。
【解決手段】次行程における作業走行の目標となるV溝を圃場に形成する左右のマーカ13L、13Rと、走行機体1をアクチュエータ動力で操舵する操舵ユニット12と、走行機体1の進行方向を撮影するカメラ10と、制御部20と、を備えるトラクタTであって、制御部20は、カメラ10の撮影画像においてV溝を認識するV溝認識手段と、カメラ10の撮影画像において前行程の作業跡を認識する作業跡認識手段と、V溝に沿って作業走行するように操舵ユニット12を制御する自動操舵制御手段と、行程始端位置で左右いずれかのマーカ13L、13Rを自動的に下降させるマーカ制御手段と、を備え、マーカ制御手段は、前行程の作業跡が走行機体1の左右いずれの側にあるかを判断し、作業跡とは逆側のマーカ13L、13Rを下降させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を作業走行する走行機体と、
次行程における作業走行の目標となる溝を圃場に形成する左右のマーカと、
左の前記マーカを、圃場に作用しない上昇状態と、前記走行機体の左側に振り出して前記溝を形成する下降状態とに切り換える左マーカ切換手段と、
右の前記マーカを、圃場に作用しない上昇状態と、前記走行機体の右側に振り出して前記溝を形成する下降状態とに切り換える右マーカ切換手段と、
前記走行機体をアクチュエータ動力で操舵する操舵ユニットと、
前記走行機体の進行方向を撮影するカメラと、
制御部と、を備える作業車両であって、
前記制御部は、
前記カメラの撮影画像において前記溝を認識する溝認識手段と、
前記カメラの撮影画像において前行程の作業跡を認識する作業跡認識手段と、
前記溝に沿って作業走行するように前記操舵ユニットを制御する自動操舵制御手段と、
行程始端位置で左右いずれかの前記マーカを自動的に下降させるマーカ制御手段と、を備え、
前記マーカ制御手段は、前記作業跡が前記走行機体の左右いずれの側にあるかを判断し、前記作業跡とは逆側の前記マーカを下降させることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記マーカ制御手段は、行程始端位置で前記溝を認識し、前記自動操舵制御を開始してから前記マーカを下降させることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記マーカ制御手段は、行程終端位置での機体旋回操作に応じて前記マーカを自動的に上昇させることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
次行程における作業走行の目標となる溝を圃場に形成する左右のマーカと、左のマーカを、圃場に作用しない上昇状態と、走行機体の左側に振り出して溝を形成する下降状態とに切り換える左マーカ切換手段と、右のマーカを、圃場に作用しない上昇状態と、走行機体の右側に振り出して溝を形成する下降状態とに切り換える右マーカ切換手段と、行程始端位置で左右いずれかのマーカを自動的に下降させるマーカ制御手段と、を備える作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の作業車両では、次行程側のマーカが自動的に振り出されるように、作業機の昇降操作に連動してマーカの振り出し方向を交互に切換えていたため、行程終端の旋回時以外に作業機を昇降操作すると、意図せずにマーカの振り出し方向が切り換わってしまう可能性がある。このような場合には、前行程の作業跡(例えば、畝立て跡)に不要な溝が形成される可能性があるだけでなく、マーカの振り出し方向を再度切り換えるための操作が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、圃場を作業走行する走行機体と、次行程における作業走行の目標となる溝を圃場に形成する左右のマーカと、左の前記マーカを、圃場に作用しない上昇状態と、前記走行機体の左側に振り出して前記溝を形成する下降状態とに切り換える左マーカ切換手段と、右の前記マーカを、圃場に作用しない上昇状態と、前記走行機体の右側に振り出して前記溝を形成する下降状態とに切り換える右マーカ切換手段と、前記走行機体をアクチュエータ動力で操舵する操舵ユニットと、前記走行機体の進行方向を撮影するカメラと、制御部と、を備える作業車両であって、前記制御部は、前記カメラの撮影画像において前記溝を認識する溝認識手段と、前記カメラの撮影画像において前行程の作業跡を認識する作業跡認識手段と、前記溝に沿って作業走行するように前記操舵ユニットを制御する自動操舵制御手段と、行程始端位置で左右いずれかの前記マーカを自動的に下降させるマーカ制御手段と、を備え、前記マーカ制御手段は、前記作業跡が前記走行機体の左右いずれの側にあるかを判断し、前記作業跡とは逆側の前記マーカを下降させることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車両であって、前記マーカ制御手段は、行程始端位置で前記溝を認識し、前記自動操舵制御を開始してから前記マーカを下降させることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の作業車両であって、前記マーカ制御手段は、行程終端位置での機体旋回操作に応じて前記マーカを自動的に上昇させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、マーカ制御手段は、作業跡が走行機体の左右いずれの側にあるかを判断し、作業跡とは逆側のマーカを下降させるので、誤って前行程側のマーカを下降させることを防止でき、その結果、前行程の作業跡に不要な溝が形成される不都合や、マーカの振り出し方向を再度切り換えるための無駄な操作を回避できる。
また、請求項2の発明によれば、マーカ制御手段は、行程始端位置で溝を認識し、自動操舵制御を開始してからマーカを下降させるので、安定走行状態においてマーカの振り出し方向を適切に判断できる。
また、請求項3の発明によれば、マーカ制御手段は、行程終端位置での機体旋回操作に応じてマーカを自動的に上昇させるので、作業機の昇降に連動させなくても、行程終端位置でマーカを確実に格納できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トラクタの側面図である。
図2】運転部の斜視図である。
図3】操舵ユニットの操作パネルを示す図である。
図4】(a)はマーカ昇降機構の背面図、(b)はマーカ昇降機構の正面図である。
図5】制御部の入出力を示すブロック図である。
図6】自動操舵制御の処理手順を示すフローチャートである。
図7】V溝追従モードの行程始端で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はトラクタT(作業車両)の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して作業機3が昇降動作可能に連結されている。
【0009】
走行機体1は、エンジン(図示せず)が搭載されるエンジン搭載部4と、エンジン動力を変速して走行動力及び作業動力を出力するミッションケース5と、ステアリングハンドル6(図2参照)の操作に応じて操舵され、且つミッションケース5から出力される走行動力で回転駆動される左右の前輪7と、ミッションケース5から出力される走行動力で回転駆動される左右の後輪8と、ステアリングハンドル6などの各種の操作具が配置される運転部9と、を備える。
【0010】
運転部9には、走行機体1の前進方向を撮影するカメラ10(図5参照)や、操舵モータ11(図5参照)の動力でステアリングハンドル6を回し操作し、前輪7を操舵する操舵ユニット12(図2参照)が設けられている。図2及び図3に示すように、操舵ユニット12は、各種の操作スイッチSW1~SW7が配置された操作パネル12aを備える。各種の操作スイッチSW1~SW7には、認識結果をリセットするリセットスイッチSW1と、遠景直進モードを選択する遠景直進スイッチSW2と、前行程跡追従モードを選択する前行程跡追従スイッチSW3と、畦追従モードを選択する畦追従スイッチSW4と、V溝追従モードを選択するV溝追従スイッチSW5と、制御感度を上げ下げする感度調整スイッチSW6、SW7と、が含まれる。
【0011】
遠景直進モード、前行程跡追従モード、畦追従モード及びV溝追従モードは、後述する自動操舵制御の制御モードである。遠景直進モードは、カメラ10の撮影画像において、遠景の基準点と行程始端位置を認識し、遠景の基準点と行程始端位置を結ぶ仮想直線に沿って作業走行するように操舵モータ11を制御するモードである。前行程跡追従モードは、カメラ10の撮影画像において前行程の作業跡(畝立て跡などの段差)を認識し、前行程の作業跡に沿って作業走行するように操舵モータ11を制御するモードである。畦追従モードは、カメラ10の撮影画像において圃場の畦(圃場外周の段差)を認識し、畦に沿って作業走行するように操舵モータ11を制御するモードである。V溝追従モードは、前行程において後述するマーカ13L、13Rが形成したV溝(図示せず)に沿って作業走行するように操舵モータ11を制御するモードである。例えば、V溝追従モードでは、カメラ10の撮影画像においてV溝を認識し、V溝が走行機体1の左右中央に位置する状態を維持しながら作業走行するように操舵モータ11を制御する。
【0012】
図1に示すように、作業機3は、圃場に対して所定の作業を行う作業機本体17と、次行程における作業走行の目標となるV溝を圃場に形成する左右のマーカ13L、13Rと、を備える。なお、マーカ13L、13Rは、走行機体1に設けてもよい。また、本実施形態の作業機本体17は、圃場を回転耕耘するロータリ作業機であるが、作業機本体17の種類は任意に選択可能である。
【0013】
図4に示すように、左のマーカ13Lは、左マーカ切換機構14L(左マーカ切換手段)を介して作業機3に設けられ、右のマーカ13Rは、右マーカ切換機構14R(右マーカ切換手段)を介して作業機3に設けられる。左マーカ切換機構14Lは、左マーカ昇降モータ15Lの駆動に応じて、左のマーカ13Lを、圃場に作用しない上昇状態と、作業機3(走行機体1)の左側に振り出してV溝を形成する下降状態とに切り換える。また、右マーカ切換機構14Rは、右マーカ昇降モータ15Rの駆動に応じて、右のマーカ13Rを、圃場に作用しない上昇状態と、作業機3(走行機体1)の右側に振り出してV溝を形成する下降状態とに切り換える。
【0014】
図5に示すように、走行機体1には、各種の制御を行う制御部20が設けられている。制御部20の入力側には、前述したカメラ10及び操作スイッチSW1~SW7に加え、前輪7の操舵角を検出する舵角センサ21と、マーカ制御をON/OFFするマーカメインスイッチ22と、左右のマーカ13L、13Rの昇降位置を検出するマーカ位置検出スイッチ23と、が接続されている。また、制御部20の出力側には、前述した操舵モータ11、左マーカ昇降モータ15L及び右マーカ昇降モータ15Rに加え、制御状態を報知するランプ24やホーン25が接続されている。なお、本実施形態のカメラ10は、単眼カメラである。
【0015】
制御部20は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能構成として、遠景認識手段と、作業跡認識手段と、畦認識手段と、V溝認識手段(溝認識手段)と、自動操舵制御手段と、マーカ制御手段と、を備える。
【0016】
遠景認識手段は、カメラ10の撮影画像において遠景を認識する。作業跡認識手段は、カメラ10の撮影画像において前工程の作業跡を認識する。畦認識手段は、カメラ10の撮影画像において圃場の畦を認識する。V溝認識手段は、カメラ10の撮影画像においてマーカ13L、13Rが圃場に形成したV溝(溝)を認識する。V溝認識手段は、走行機体1の走行中にV溝を検出する。
【0017】
自動操舵制御手段は、選択された制御モードに従って作業走行するように操舵ユニット12(操舵モータ11)を制御する。制御モードには、前述した遠景直進モード、前行程跡追従モード、畦追従モード及びV溝追従モードが含まれる。
【0018】
マーカ制御手段は、V溝追従モードによる自動操舵制御の実行中に、行程始端位置で左右いずれかのマーカ13L、13Rを自動的に下降させる。その際にマーカ制御手段は、前行程による作業跡が走行機体1の左右いずれの側にあるかを判断し、作業跡とは逆側のマーカ13L、13Rを下降させる。このようなマーカ制御手段によれば、誤って前行程側のマーカ13L、13Rを下降させることを防止できるので、前行程の作業跡に不要なV溝が形成される不都合を回避できるだけでなく、マーカ13L、13Rの振り出し方向を再度切り換えるための無駄な操作も不要になる。
【0019】
また、マーカ制御手段は、行程始端位置でV溝を認識し、V溝追従モードによる自動操舵制御を開始してからマーカ13L、13Rを下降させる。このようなマーカ制御手段によれば、安定走行状態においてマーカ13L、13Rの振り出し方向を適切に判断できる。
【0020】
また、マーカ制御手段は、行程終端位置での機体旋回操作に応じてマーカ13L、13Rを自動的に上昇させる。このようなマーカ制御手段によれば、作業機3の昇降に連動させなくても、行程終端位置でマーカ13L、13Rを確実に格納できる。
【0021】
つぎに、上記のような機能構成を実現する制御部20の制御手順について、図6及び図7を参照して説明する。まず、自動操舵制御の全体的な処理について図6を参照して説明し、その後、V溝追従モードにおける行程始端位置での処理について図7を参照して説明する。
【0022】
図6に示すように、制御部20は、自動操舵制御について、まず、操舵ユニット12の電源がONであるか否かを判断し(S101)、この判断結果がYESの場合は、選択されている制御モードを判断する(S102~S105)。制御部20は、遠景直進モードが選択されていると判断すると(S102:YES)、サブルーチンである遠景直進制御を実行し(S106)、前述した遠景直進モードによる自動操舵を行う。また、制御部20は、前行程跡追従モードが選択されていると判断すると(S103:YES)、サブルーチンである前行程跡追従制御を実行し(S107)、前述した前行程跡追従モードによる自動操舵を行う。また、制御部20は、畦追従モードが選択されていると判断すると(S104:YES)、サブルーチンである畦追従制御を実行し(S108)、前述した畦追従モードによる自動操舵を行う。
【0023】
一方、制御部20は、V溝追従モードが選択されていると判断すると(S105:YES)、サブルーチンであるV溝追従制御を実行し(S109)、前述したV溝追従モードによる自動操舵を行うとともに、マーカ13L、13Rの昇降制御を行う。つまり、制御部20は、V溝追従モードである場合、マーカメインスイッチ22がONであるか否かを判断し(S110)、この判断結果がYESの場合は、左右いずれかのマーカ13L、13Rが下降状態であるか否かを判断する(S111)。制御部20は、この判断結果がNOの場合、サブルーチンであるマーカ下降制御を実行し(S112)、左右いずれかのマーカ13L、13Rを下降させる。なお、下降させるマーカ13L、13Rの決定手法については後述する。
【0024】
また、制御部20は、いずれの制御モードが選択されている状態でも、直進作業の終了を判断する(S113)。この判断は、例えば、行程終端位置での機体旋回操作に基づいて行うことができる。制御部20は、ステップS113の判断結果がYESの場合、左右いずれかのマーカ13L、13Rが下降状態であるか否かを判断し(S114)、この判断結果がYESの場合は、下降しているマーカ13L、13Rを上昇させるための信号を出力する(S115)。
【0025】
図7に示すように、制御部20は、行程始端処理として、まず、カメラ10の撮影画像において、10m前方の地面形状を検出し(S201)、そのなかのV溝形状を検出する(S202)。制御部20は、ステップS202の判断結果がYESの場合、V溝追従モードによる自動操舵が開始されたか否かを判断し(S203)、この判断結果がYESになるまでステップS201~S203を繰り返す。
【0026】
制御部20は、ステップS203の判断結果がYESになったら、カメラ10の撮影画像において、前行程の作業跡を検出したか否かを判断し(S204)、この判断結果がYESの場合は、前行程の作業跡が走行機体1の右側にあるか否かを判断する(S205)。制御部20は、この判断結果がYESの場合、前行程の作業跡の逆側である左のマーカ13Lを下降させ(S206)、判断結果がNOの場合、前行程の作業跡の逆側である右のマーカ13Rを下降させる(S207)。また、制御部20は、ステップS204の判断結果がNOの場合、前行程で右のマーカ13Rを下降させたか否かを判断し(S208)、この判断結果がYESの場合は、前回と逆側である左のマーカ13Lを下降させ(S206)、判断結果がNOの場合、前回と逆側である右のマーカ13Rを下降させる(S207)。
【0027】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、圃場を作業走行する走行機体1と、次行程における作業走行の目標となるV溝を圃場に形成する左右のマーカ13L、13Rと、左のマーカ13Lを、圃場に作用しない上昇状態と、走行機体1の左側に振り出してV溝を形成する下降状態とに切り換える左マーカ切換機構14Lと、右のマーカ13Rを、圃場に作用しない上昇状態と、走行機体1の右側に振り出してV溝を形成する下降状態とに切り換える右マーカ切換機構14Rと、走行機体1をアクチュエータ動力で操舵する操舵ユニット12と、走行機体1の進行方向を撮影するカメラ10と、制御部20と、を備えるトラクタTであって、制御部20は、カメラ10の撮影画像においてV溝を認識するV溝認識手段と、カメラ10の撮影画像において前行程の作業跡を認識する作業跡認識手段と、V溝に沿って作業走行するように操舵ユニット12を制御する自動操舵制御手段と、行程始端位置で左右いずれかのマーカ13L、13Rを自動的に下降させるマーカ制御手段と、を備え、マーカ制御手段は、前行程の作業跡が走行機体1の左右いずれの側にあるかを判断し、作業跡とは逆側のマーカ13L、13Rを下降させるので、誤って前行程側のマーカ13L、13Rを下降させることを防止でき、その結果、前行程の作業跡に不要な溝が形成される不都合や、マーカ13L、13Rの振り出し方向を再度切り換えるための無駄な操作を回避できる。
【0028】
また、マーカ制御手段は、行程始端位置でV溝を認識し、自動操舵制御を開始してからマーカ13L、13Rを下降させるので、安定走行状態においてマーカ13L、13Rの振り出し方向を適切に判断できる。言い換えると、マーカ制御は、自動操舵制御の目標が設定されてから、マーカ13L、13Rを下降させるので、マーカ13L、13Rの下降を安定に行うことができる。
【0029】
また、マーカ制御手段は、行程終端位置での機体旋回操作に応じてマーカ13L、13Rを自動的に上昇させるので、作業機3の昇降に連動させなくても、行程終端位置でマーカ13L、13Rを確実に格納できる。
【符号の説明】
【0030】
T トラクタ
1 走行機体
3 作業機
6 ステアリングハンドル
7 前輪
8 後輪
9 運転部
10 カメラ
11 操舵モータ
12 操舵ユニット
13L 左のマーカ
13R 右のマーカ
14L 左マーカ切換機構
14R 右マーカ切換機構
15L 左マーカ昇降モータ
15R 右マーカ昇降モータ
20 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7