(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034895
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】照明器具の取付構造
(51)【国際特許分類】
F21V 21/34 20060101AFI20240306BHJP
F21V 21/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F21V21/34 100
F21V21/00 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139454
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】浅野 翔平
(57)【要約】
【課題】照明器具の位置を容易に変更することが可能な照明器具の取付構造を提供すること。
【解決手段】取付構造(3)は、天壁と、側壁と、床部とで屋内空間が形成される倉庫において、屋内空間を照らす照明器具を天壁に取り付けるためのものである。取付構造(3)は、天壁に間隔をあけて設けられた第1アンカー部材(31)および第2アンカー部材(32)と、両端が第1アンカー部材(31)および第2アンカー部材(32)によって支持され、一方向に長く延びる第1長孔を含む取付ベース(4)とを備え、第1長孔には、その長手方向に沿って照明器具(2)がスライド可能に取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天壁と、側壁と、床部とで屋内空間が形成される倉庫において、前記屋内空間を照らす照明器具を前記天壁に取り付けるための照明器具の取付構造であって、
前記天壁に間隔をあけて設けられた第1アンカー部材および第2アンカー部材と、
両端が前記第1アンカー部材および前記第2アンカー部材によって支持され、一方向に長く延びる第1長孔を含む取付ベースとを備え、
前記第1長孔には、その長手方向に沿って前記照明器具がスライド可能に取り付けられる、照明器具の取付構造。
【請求項2】
前記取付ベースは、前記第1アンカー部材および前記第2アンカー部材を受け入れる第2長孔を含む、請求項1に記載の照明器具の取付構造。
【請求項3】
前記第2長孔には、その長手方向に沿って前記照明器具がスライド可能に取り付けられる、請求項2に記載の照明器具の取付構造。
【請求項4】
前記天壁に間隔をあけて設けられた第3アンカー部材および第4アンカー部材をさらに備え、
前記取付ベースは、前記第1アンカー部材、前記第2アンカー部材、前記第3アンカー部材、前記第4アンカー部材のうち隣接するアンカー部材によって支持される複数の取付プレートを含み、
前記複数の取付プレートは、長手方向に沿って長く延びる長孔を有する、請求項1または2に記載の照明器具の取付構造。
【請求項5】
前記複数の取付プレートに掛け渡される中継プレートをさらに備え、
前記中継プレートは、長手方向に沿って長くのびる長孔を有し、
前記中継プレートの長孔には、その長手方向に沿って前記照明器具がスライド可能に取り付けられている、請求項4に記載の照明器具の取付構造。
【請求項6】
前記中継プレートは、前記複数の取付プレートに沿ってスライド可能に設けられる、請求項5に記載の照明器具の取付構造。
【請求項7】
前記天壁は、前記屋内空間に露出する梁により下方から支持されており、
当該取付構造は、前記梁で囲まれる領域に設けられる、請求項5または6に記載の照明器具の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明器具の取付構造に関し、特に、倉庫の屋内空間を照らす照明器具を天壁に取り付けるための照明器具の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫などの倉庫の天井には、複数の照明器具が所定間隔毎に設けられている。
【0003】
倉庫に設けられる照明器具は、たとえば、特開2021-80685号公報(特許文献1)において、天井構造の躯体に取り付けられたアンカーに吊り下げられることが開示されている。
【0004】
また、高天井を有する建物に設けられる照明器具は、たとえば、特開2018-116944号公報(特許文献2)において、照明の両端を支持するアングルを介して天井に施工されたアンカーボルトに支持されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-80685号公報
【特許文献2】特開2018-116944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、倉庫の照明は、設計照度がたとえば200~300ルクスなどと低い。さらに、倉庫内に配置する照明器具の数が少ないため、一つの照明器具に対する明るさの依存度が大きい。また、天井付近まで荷物を積み上げて配置することがあり、荷物の配置または荷物の高さによっては、影ができてしまう。
【0007】
このような場合、特許文献1,2の照明器具の位置を変更するためには、天井構造の躯体に取り付けられるアンカーの位置を変更しなければならないため、大規模な改修工事が必要となる。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、照明器具の位置を容易に変更することが可能な照明器具の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る照明器具の取付構造は、天壁と、側壁と、床部とで屋内空間が形成される倉庫において、屋内空間を照らす照明器具を天壁に取り付けるための照明器具の取付構造であって、天壁に間隔をあけて設けられた第1アンカー部材および第2アンカー部材と、両端が第1アンカー部材および第2アンカー部材によって支持され、一方向に長く延びる第1長孔を含む取付ベースとを備え、第1長孔には、その長手方向に沿って照明器具がスライド可能に取り付けられる。
【0010】
好ましくは、取付ベースは、第1アンカー部材および第2アンカー部材を受け入れる第2長孔を含む。
【0011】
好ましくは、第2長孔には、その長手方向に沿って照明器具がスライド可能に取り付けられる。
【0012】
好ましくは、天壁に間隔をあけて設けられた第3アンカー部材および第4アンカー部材をさらに備え、取付ベースは、第1アンカー部材、第2アンカー部材、第3アンカー部材、第4アンカー部材のうち隣接するアンカー部材によって支持される複数の取付プレートを含み、複数の取付プレートは、長手方向に沿って長く延びる長孔を有する。
【0013】
好ましくは、複数の取付プレートに掛け渡される中継プレートをさらに備え、中継プレートは、長手方向に沿って長くのびる長孔を有し、中継プレートの長孔には、その長手方向に沿って照明器具がスライド可能に取り付けられている。
【0014】
好ましくは、中継プレートは、数の取付プレートに沿ってスライド可能に設けられる。
【0015】
好ましくは、天壁は、屋内空間に露出する梁により下方から支持されており、取付構造は、梁で囲まれる領域に設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照明器具の位置を容易に変更することが可能な照明器具の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に係る倉庫を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図2の領域R1を拡大して示す底面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線から見た断面図である。
【
図8】照明器具の取り付け箇所を示す底面図である。
【
図9】取付ベースを分解して示す平面図であり、(A)は第1取付プレートであり、(B)は第2取付プレートであり、(C)は第3取付プレートである。
【
図10】本実施の形態2に係る照明器具の取付構造を屋内側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
<概要について>
図1,
図2を参照して、本実施の形態1に係る照明器具2の取付構造3が設けられる倉庫1の概要について説明する。
図1,2において矢印A1で示す左右方向を幅方向といい、
図2において矢印A2で示す方向を奥行き方向といい、
図1において矢印A3で示す方向を上下方向という。
【0020】
図1に示すように、倉庫1は、天壁11と、対向し合い天壁11を下方から支える側壁12,13・・・と、側壁12,13の内方に位置する床部19とを含む。倉庫1は、天壁11と、側壁12,13と、床部19とで屋内空間10が形成されている。屋内空間10には、多数の保管物(荷物)が収容されている。保管物は、床部19上に積み上げられており、複数の組に分けて棚などで管理されていることが好ましい。
【0021】
天壁11とは、屋内空間10を区画する複数の壁のうち屋内空間10に対して鉛直方向上側に位置する壁であり、屋内空間10の天面を規定する壁である。本実施の形態の天壁11は、屋根と天井が一体的に形成されているが、たとえば天井裏空間が設けられた天井であってもよい。床部19を基準とした場合における天壁11の屋内空間10側の高さ寸法は、たとえば5m以上である。すなわち、本実施の形態の倉庫1は、高天井を有する。
【0022】
図2をさらに参照して、天壁11は、複数の梁14,15,16,17により下方から支持されている。複数の梁14,15は、屋内空間10において露出した状態で配置されている。第1梁14は、たとえば大梁であり、矢印A1で示す左右方向に延びて、矢印A2で示す奥行き方向に間隔を置いて複数配置される。第1梁14の間には、第1梁14よりも小さい第1小梁15が配置され、第1梁14に対して平行に延びる。
【0023】
第2梁16は、第1梁14に直行する方向である奥行き方向に延びて、左右方向に間隔を置いて複数配置される。第2梁16の間には、第2梁16よりも小さい第2小梁17がそれぞれ等間隔に配置され、第2梁16と平行に延びる。また、大梁である第1梁14と第2梁16とが交わる部分には、それぞれ柱部18が設けられる。
【0024】
第1梁14間の寸法S1、および、第2梁16間の寸法S2は、8m以上12m以下であり、典型的には10mである。本実施の形態では、第1梁14と第2梁16で囲まれる領域(たとえば、
図2の領域R1)は、底面視略矩形形状、具体的には正方形形状であり、65m
2以上145m
2以下であり、典型的にはおよそ100m
2程度である。また、第1小梁15は、第1梁14の間に配置されているため、第1小梁15と第1梁14との間隔は、その半分である。また、第2小梁17についても同様である。なお、倉庫1の隅部に位置する領域で、側壁12,13・・・の一部、第1梁14、および第2梁16によって囲まれる領域(たとえば、
図2の領域R2)は、底面視略長方形形状であり、その面積は領域R1の半分程度である。
【0025】
天壁11は、たとえばデッキプレートで形成されていることが好ましい。デッキプレートは、複数の梁14,15,16,17間に架け渡されるように設置されており、デッキプレートの両端部が梁14,15,16,17の上面に固定されている。デッキプレートを固定した後、デッキプレートの上にはコンクリートが打設され、コンクリートが固化することにより、天壁11としての天井構造体が構築される。
【0026】
天壁11には、屋内空間10を照らす照明器具2を取り付けるための取付構造3が設けられる。具体的には、第1梁14と第2梁16とで囲まれる領域内に、後述する取付構造3が取り付けられる。なお、倉庫1の隅部に位置する領域、
図2の紙面上の上方および下方(たとえば、領域R2)にも取付構造3Bが取り付けられる。この場合、取付構造3Bの形状は、その領域の形状に合った形状とすればよい。以下、特に
図2の一点鎖線で示す領域R1に着目して、実施の形態1に係る照明器具2の取付構造3について詳細に説明する。
【0027】
<実施の形態1>
図3~
図9を参照して、実施の形態1に係る照明器具2の取付構造3について詳細に説明する。なお、
図3,
図4では、取付構造3に2つの照明器具2を取り付けた状態を例に挙げて示しているが、
図8の破線で示すように、9箇所の位置に照明器具2をスライド可能に取り付けることが可能である。
【0028】
取付構造3の説明に先立ち、取付構造3に取り付けられる照明器具2について説明する。照明器具2は、天壁11が高い空間の照明に採用される高天井用の照明であり、たとえば、天井高3m以上、より具体的には天井高5m以上の倉庫で一般的に採用される。照明器具2は、およそ100m2の天壁11の領域に複数、好ましくは1~3個取り付けられることが好ましい。本実施の形態では、照明器具2は、第1梁14と第2梁16とで囲まれる領域内に2つ設置される。
【0029】
図5に示すように、照明器具2は、光源を有する照明本体20と、照明本体20を支持するアーム部21と、光源を点灯させるための電源コード22とを含む。照明本体20は、屋内空間10を照らすものであり、たとえば丸型タイプである。アーム部21は、照明本体20の光源の裏面を支持する棒状部材である。アーム部21は、後述する取付ベース4の長孔に取り付けられる。電源コード22は、天壁11に設けられるプラグに差し込まれる。電源コード22は、照明器具2が移動可能であることを考慮して、一般的な長さの2倍以上の長さに設けられていることが好ましい。また、照明器具2が落下することを防止するために、ワイヤー23が設けられている。ワイヤー23は、照明本体20とアーム部21の付け根と、アンカー部材32とを連結するものである。
【0030】
次に、本実施の形態1の取付構造3について説明する。
図3を参照して、取付構造3は、天壁11に間隔をあけて設けられた4つのアンカー部材31,32,33,34と、その両端がアンカー部材31,32,33,34によって支持される取付ベース4とを備える。取付構造3は、アンカー部材31,32,33,34に支持され、照明器具2を支持している。つまり、照明器具2は、アンカー部材31,32,33,34に直接支持されるのではなく、取付構造3を介して間接的に支持される。
【0031】
上述のように、取付構造3は、第1梁14と第2梁16で囲まれる領域内に配置される。この領域は、典型的には平面視正方形形状であり、その広さは100m2である。
【0032】
天壁11には、たとえば4箇所のアンカーホールが設けられており、アンカーホールにアンカー部材31,32,33,34がそれぞれ打ち込まれている。アンカー部材は、典型的には、天壁11の完成後に天壁11に設置される後施工アンカーのホールインアンカーであるが、天壁11の完成前のコンクリート打設時に設置する先付けアンカーであってもよく、アンカーの種類は限定されない。
【0033】
アンカー部材31,32,33,34は、全体として細長い棒状部材であり、天壁11のアンカーホールに打ち込まれるアンカー部と、その上部に形成された長ネック部とを含む。長ネック部の下方端には、ネジ部が設けられており、ナットなどによるネジ締結手段により、取付ベース4が所定位置に固定されていてもよい。
図4に示すように、アンカー部材31,32,33,34の上下方向長さは、第2梁16の上下方向長さよりも長いことが好ましい。これにより、取付構造3の高さ位置を梁16の高さよりも低い位置に設定することが可能となり、照明器具2の高さ位置をその下方にすることができる。
【0034】
本実施の形態の取付ベース4は、6つの取付プレート40,50,60,70,80,90が組み合わされて形成されている。取付ベース4は、概略として平面視矩形形状になるように組まれている。これらの取付プレート40,50,60,70,80,90は、たとえば平アングル(フラットバー)、C型鋼などにより形成される。
【0035】
図3に示すように、第1取付プレート40は、矢印A1で示す左右方向に延びており、第1梁14,14と略平行に延び、一対の第1梁14,14の間の幅方向中央位置に設けられる。第1取付プレート40の長手方向の長さは、一対の第2梁16間の寸法によって適宜変更可能であるが、たとえば50m以上100m未満であることが好ましい。
【0036】
図9(A)に示すように、第1取付プレート40は、長手方向に長く延びる板状部材であり、本体部43と、本体部43の長手方向に沿って長く延びる第1長孔41と、第1長孔41の両端に設けられる一対の第2長孔42とを含む。長孔とは、正円の穴ではなく、長方形の長手方向両端部にそれぞれ半円を連結させたような形状であり、長手方向の長さがそれに直行する長さと比べて長い穴のことをいう。以下の長孔についても同様である。第1長孔41の長手方向長さは、第2長孔42のそれよりも大きく、2倍以上の長さであることが好ましい。
【0037】
第1長孔41は、照明器具2をスライド可能に取り付ける。具体的には、第1長孔41には、照明器具2のアーム部21が貫通されており、たとえばナットなどによるネジ締結手段により、第1長孔41内の所定位置に固定されている。一対の第2長孔42は、アンカー部材31,32をそれぞれ受け入れるものである。一対の第2長孔42は、アンカー部材31,32をスライド可能に取り付ける。また、この一対の第2長孔42においても、照明器具2がスライド可能に取り付けられてもよい。
【0038】
第1取付プレート40に対して略直角に第2取付プレート50が設けられる。第2取付プレート50は、上述した第1取付プレート40とその長手方向長さが略同じであるが、第1長孔51と第2長孔52の大きさが異なっている。
図3に示すように、第2取付プレート50は、矢印A2で示す奥行き方向に延びており、第2梁16,16と略平行に延び、一対の第2梁16,16の間の幅方向中央位置に設けられる。
【0039】
図9(B)に示すように、第2取付プレート50は、長手方向に長く延びる板状部材であり、本体部53と、本体部53の長手方向に沿って長く延びる第1長孔51と、第1長孔51の両端に設けられる一対の第2長孔52とを含む。第1長孔51の長手方向長さは、第2長孔52のそれよりも小さく、1/2以下の長さであることが好ましい。
【0040】
第1長孔51は、照明器具2をスライド可能に取り付けることが可能であるが、本実施の形態では取り付けられていない。一対の第2長孔52は、アンカー部材33,34をそれぞれ受け入れるものである。また、この一対の第2長孔52においても、照明器具2がスライド可能に取り付けられてもよい。
【0041】
第1取付プレート40および第2取付プレート50の端部を繋ぐものとして、4つの第3取付プレート60,70,80,90が設けられる。第3取付プレート60,70,80,90は、上述した第1取付プレート40および第2取付プレート50よりも長手方向長さが短く、長孔の配置も異なっている。第3取付プレート60,70,80,90は、同一形状であるため、
図3の紙面上の右下に位置する第3取付プレート60のみを
図9(C)に抽出して示している。
【0042】
図9(C)に示すように、第3取付プレート60は、長手方向に長く延びる板状部材であり、本体部63と、本体部63の長手方向に沿って長く延びる第1長孔61と、第1長孔61の両端に設けられる一対の貫通孔63とを含む。第1長孔61は、照明器具2をスライド可能に取り付けるものであるが、本実施の形態では、
図3の紙面上の左上に位置する第3取付プレート80の第1長孔81にだけ照明器具2が取り付けられている。
図3に示すように、第3取付プレート60の一対の貫通孔63は、アンカー部材31,33をそれぞれ受け入れるものである。
【0043】
これらの取付プレート40~90は、端部が重ね合わされて、アンカー部材31,32,33,34が貫通することで連結されて底面視矩形形状を形成しており、天壁11に取り付けられている。
【0044】
具体的には、
図4の紙面上の右側に示すように、第1アンカー部材31は、上方から下方に向かって、第3取付プレート60の貫通孔62、第3取付プレート90の貫通孔92、第1取付プレート40の第2長孔42の順で貫通している。
図4の紙面上の左側に示すように、第2アンカー部材32は、上方から下方に向かって、第3取付プレート70の貫通孔72、第3取付プレート80の貫通孔82、第1取付プレート40の第2長孔42の順で貫通している。
【0045】
図6に示すように、第3アンカー部材33は、上方から下方に向かって、第3取付プレート70の貫通孔72、第3取付プレート60の貫通孔62、第2取付プレート50の第2長孔52の順で貫通している。
図7に示すように、第3アンカー部材34は、上方から下方に向かって、第3取付プレート90の貫通孔92、第3取付プレート80の貫通孔82、第2取付プレート50の第2長孔52の順で貫通している。
【0046】
図8に示すように、6つの取付プレート40~90にそれぞれ設けられる長孔41,42,51,52,61,71,81,91(
図9)には、その長手方向に沿って照明器具2がスライド可能に取り付けられる。具体的には、
図8の破線で示す照明器具2のように、最大9箇所の長孔に設置可能である。
【0047】
一般的に、倉庫1内において、天壁11付近まで保管物が積み上げられて配置されることがある。本実施の形態の取付構造3は、長孔41,42,51,52,61,71,81,91に照明器具2がスライド可能に取り付けられている。そのため、長孔41,42,51,52,61,71,81,91が設けられる範囲で、保管物が邪魔にならない位置に照明器具2を移動させることできる。このように、本実施の形態の取付構造3は、大掛かりな改修工事をする必要がなく、倉庫1内の保管物の配置状況に合わせて、照明器具2の位置変更を簡単に行うことができる。
【0048】
また、アンカー部材31,32,33,34が第1,2取付プレート40,50の第2長孔42,52で支持されているため、地震などによる揺れの水平変位にある程度許容することができ、地震などによる照明器具2および取付構造3の落下または破損を防ぐことができる。
【0049】
なお、
図2の一点鎖線で示す領域R2は、取付構造3Bが配置されている。領域R2はは、梁14,16および側壁で囲まれる領域であり、上述した領域R1の半分ぐらいの領域である。取付構造3Bは、直線形状であり、取付ベースの形状に限定されないが、たとえば、領域R1に配置された第1取付ベース40だけが取り付けられ、第1取付ベース40の長孔41に照明器具2がスライド可能に取り付けられるものであってもよい。
【0050】
<実施の形態2>
図10は、実施の形態2に係る取付構造3Aを模式的に示す平面図である。実施の形態2の取付構造3Aは、2つの取付プレート40に加えて中継プレート100Aが設けられる点において、上述した実施の形態1の取付構造3と異なる。取付構造3Aが設置される倉庫1については、実施の形態1と同様である。また、取付構造3Aに取り付けられる照明器具2についても、実施の形態1と同様であり、
図10では破線で示している。
【0051】
本実施の形態の取付構造3Aは、概略として井桁状に組まれている。取付構造3Aは、天壁11に間隔をあけて設けられた4つのアンカー部材31A,32A,33A,34Aと、その両端がアンカー部材31,32,33,34によって支持される2つの取付ベース4Aとを備える。
【0052】
取付ベース4Aは、2つの第4取付プレート60Aを含む。これらの取付プレート60Aは、直接的に連結されておらず、第1梁14に沿って平行に延びている。本実施の形態の第4取付プレート60Aは、実施の形態1の第3取付プレート60~90と同様の形状であり、第1長孔61Aと、第1長孔61Aの両端に一対の貫通孔62Aとが設けられる。第1長孔61Aには、照明器具2がスライド可能に取り付けられていてもよい。
【0053】
この第1長孔61Aには、2つの中継プレート100Aが掛け渡される。中継プレート100Aは、長手方向に長く延びる板状部材であり、本体部103Aと、長手方向に沿って長く延びる長孔101Aと、長孔101Aの両端に設けられる軸部102Aとを含む。軸部102Aは、たとえばボルトなどであり、第4取付プレート60Aの第1長孔61Aに対し、スライド可能に設けられる。これにより、中継プレート100Aは、左右方向にスライド可能となる。長孔101Aには、その長手方向に沿って照明器具2がスライド可能に取り付けられる。
【0054】
これにより、中継プレート100Aを第4取付プレート60Aの長孔61Aに沿って左右方向にスライド可能に設けることで、照明器具2の左右方向の位置を変更することができ、照明器具2を中継プレート100Aの長孔101Aに沿ってスライドさせることで、照明器具2の奥行き方向の位置を変更することができる。
【0055】
<変形例>
なお、実施の形態1,2の取付ベース4,4Aは、複数の取付プレート40,50,60,60A,70,80,90により形成されていたが、照明器具2をスライド可能に取り付けるための長孔が形成される部材であればよく、必ずしも複数部材で形成されていなくてもよい。たとえば、
図2の領域R2で示すように、取付プレートが1つ設けられ、取付プレートの長孔に対して照明器具2がスライド可能に配置されるものであってもよい。その場合、実施の形態1の第1取付プレート40、第2取付プレート50、第3取付プレート60のいずれかの形状であってもよいし、他の形状であってもよい。さらに、取付ベース4は、細長いプレート(平板)に限定されるものではなく、たとえば平面視円形状であってもよいし、厚みを有するものなどであってもよく、種々の形状を取り得る。
【0056】
また、本実施の形態1,2において、取付ベース4は、複数の取付プレートが底面視矩形形状または井桁状になるように組まれていたが、梁14,16の配置などによっては、たとえば他の底面視多角形形状、環状形状、単なる直線形状、交差形状など、種々の形状を取り得る。
【0057】
また、本実施の形態1,2において、取付構造3は、梁14,16で囲まれる領域に配置されるとしたが、梁14,16を越えて配置されるものであってもよいし、小梁15,17と梁14,16で囲まれる領域内に1つの取付構造が配置されるものであってもよい。つまり、取付構造3が配置される箇所は、天壁11であれば限定されるものではない。
【0058】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 倉庫、3,3A 取付構造、4,4A 取付ベース、10 屋内空間、11 天壁、12,13 側壁、14 第1梁、16 第2梁、19 床部、31 第1アンカー部材、32 第2アンカー部材、33 第3アンカー部材、34 第4アンカー部材、40 第1取付プレート、41 第1長孔、42 第2長孔、50 第2取付プレート、51 第1長孔、52 第2長孔、60 第3取付プレート、60A 第4取付プレート、61 長孔、70 第3取付プレート、71 長孔、80 第3取付プレート、81 長孔、90 第3取付プレート、91 長孔、100A 中継プレート、101A 第1長孔。