(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034900
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240306BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240306BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 361
B60R11/02 C
H05K5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139461
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新屋敷 晃
【テーマコード(参考)】
3D020
4E360
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC03
4E360AB02
4E360AB51
4E360EA03
4E360EA14
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED08
4E360GA12
4E360GA13
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5G435AA07
5G435BB12
5G435EE06
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】表示パネルに力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保する。
【解決手段】表示装置は、表示パネルを収容する収容部を備える。収容部は、第1壁部と、第2壁部と、軸部と、挿通孔とを備える。第1壁部は、表示パネルの背面側に配置される背面部の一辺から表示パネルの前面側へ向けて立設される。第2壁部は、背面部の他辺から表示パネルの前面側へ向けて立設される。軸部は第1壁部の端部に形成され、挿通孔は第2壁部の端部に形成される。挿通孔に軸部が挿通されてかしめられることで第1壁部と第2壁部とが締結されて締結部が形成される。挿通孔に挿通された軸部と挿通孔との間に隙間が形成される。隙間は、第1壁部に対して表示パネルの前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、締結部における第1壁部と第2壁部とのすべり変位が抑制されるように、表示パネルの前面側よりも背面側のほうが小さくなるように配分される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの外周の少なくとも一部を背面側から囲むようにして収容する収容部と
を備え、
前記収容部は、
前記表示パネルの背面側に配置される背面部と、
前記背面部の一辺から前記表示パネルの前面側へ向けて前記表示パネルの外周の一部を囲むように立設される第1壁部と、
前記背面部の一辺と連続する他辺から前記表示パネルの前面側へ向けて前記表示パネルの外周の一部を囲むように立設される第2壁部と、
前記第1壁部の端部において前記第2壁部の端部と重なる部位に形成される軸部と、
前記第2壁部の端部に形成され前記軸部が挿通される挿通孔と
を備え、
前記挿通孔に前記軸部が挿通されてかしめられることで前記第1壁部と前記第2壁部とが締結されて締結部が形成され、
前記挿通孔に挿通された前記軸部の外周面と前記挿通孔の内周面との間に隙間が形成されており、
前記隙間は、前記第1壁部に対して前記表示パネルの前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、前記締結部における前記第1壁部と前記第2壁部とのすべり変位が抑制されるように、前記表示パネルの前面側よりも背面側のほうが小さくなるように配分されている、
表示装置。
【請求項2】
表示パネルと、
前記表示パネルの外周の少なくとも一部を背面側から囲むようにして収容する収容部と
を備え、
前記収容部は、
前記表示パネルの背面側に配置される背面部と、
前記背面部の一辺から前記表示パネルの前面側へ向けて前記表示パネルの外周の一部を囲むように立設される第1壁部と、
前記背面部の一辺と連続する他辺から前記表示パネルの前面側へ向けて前記表示パネルの外周の一部を囲むように立設される第2壁部と、
前記第1壁部の端部において前記第2壁部の端部と重なる部位に形成される軸部と、
前記第2壁部の端部に形成され前記軸部が挿通される挿通孔と
を備え、
前記挿通孔に前記軸部が挿通されてかしめられることで前記第1壁部と前記第2壁部とが締結されて締結部が形成され、
前記挿通孔に挿通された前記軸部の外周面と前記挿通孔の内周面との間に隙間が形成されており、
前記隙間は、前記第2壁部に対して前記表示パネルの前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、前記締結部における前記第1壁部と前記第2壁部とのすべり変位が抑制されるように、前記表示パネルの背面側よりも前面側のほうが小さくなるように配分されている、
表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは、
上部が車両のダッシュボードから突出するように配置される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルは、
上部が車両のダッシュボードから突出するように配置され、
前記第1壁部は、
前記表示パネルの上部側の辺と対応する位置に設けられる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、
上部が車両の天井から垂下するように配置される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、
上部が車両の天井から垂下するように配置され、
前記第1壁部は、
前記表示パネルの下部側の辺と対応する位置に設けられる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記締結部において、前記第1壁部の前記表示パネルの前面側の端部が、前記第2壁部の前記表示パネルの前面側の端部よりも突出している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルは、
上部が車両のダッシュボードから突出するように配置される、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、
上部が車両のダッシュボードから突出するように配置され、
前記第2壁部は、
前記表示パネルの上部側の辺と対応する位置に設けられる、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、
上部が車両の天井から垂下するように配置される、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルは、
上部が車両の天井から垂下するように配置され、
前記第2壁部は、
前記表示パネルの下部側の辺と対応する位置に設けられる、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項12】
前記締結部において、前記第2壁部の前記表示パネルの前面側の端部が、前記第1壁部の前記表示パネルの前面側の端部よりも突出している、
請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示パネルを備えた表示装置に関する技術が種々提案されている。また、例えば表示パネルなどの部品を収容する収容部(ケース)に関する技術も種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、例えば表示パネルに力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保するという点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表示パネルに力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示装置において、表示パネルと、前記表示パネルの外周の少なくとも一部を背面側から囲むようにして収容する収容部とを備える。前記収容部は、背面部と、第1壁部と、第2壁部と、軸部と、挿通孔とを備える。背面部は、前記表示パネルの背面側に配置される。第1壁部は、前記背面部の一辺から前記表示パネルの前面側へ向けて前記表示パネルの外周の一部を囲むように立設される。第2壁部は、前記背面部の一辺と連続する他辺から前記表示パネルの前面側へ向けて前記表示パネルの外周の一部を囲むように立設される。軸部は、前記第1壁部の端部において前記第2壁部の端部と重なる部位に形成される。挿通孔は、前記第2壁部の端部に形成され前記軸部が挿通される。また、前記挿通孔に前記軸部が挿通されてかしめられることで前記第1壁部と前記第2壁部とが締結されて締結部が形成される。また、前記挿通孔に挿通された前記軸部の外周面と前記挿通孔の内周面との間に隙間が形成されている。また、前記隙間は、前記第1壁部に対して前記表示パネルの前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、前記締結部における前記第1壁部と前記第2壁部とのすべり変位が抑制されるように、前記表示パネルの前面側よりも背面側のほうが小さくなるように配分されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示パネルに力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の設置場所の例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図6C】
図6Cは、第1壁部の軸部が挿通孔に挿通される様子を示す図である。
【
図7】
図7は、表示装置が車両の天井に吊り下げられて配置される例を示す模式側面図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する表示装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る表示装置1の設置場所の例を示す図である。なお、
図1および後述する
図2以降は、いずれも模式図である。また、
図1等においては、説明の便宜のために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向で規定される3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、直交座標系において、X軸は表示装置1あるいは車両の左右方向(幅方向)、Y軸は表示装置1あるいは車両の前後方向、Z軸は鉛直方向である。また、直交座標系は、表示装置1が図示された状態にあるときのX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向であり、表示装置1の取り付け方向等を限定するものではない。
【0011】
図1に示すように、表示装置1は、車両のダッシュボードDに設置される。具体的には、表示装置1は、表示パネル30や本体部70等を備え、表示パネル30の一部あるいは全部がダッシュボードDから露出するように配置される。より具体的には、表示装置1は、表示パネル30の上部31がダッシュボードDから突出するように配置される。なお、本体部70は、ダッシュボードDの内部に配置される。
【0012】
表示パネル30には、例えばナビゲーション情報など各種情報が表示される。そして、座席Sに着座したユーザ(例えばドライバ)は、表示パネル30に表示された各種情報を視認することができる。
【0013】
なお、上記では、表示装置1が車両に搭載される例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、表示装置1は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)を再生するポータブルプレーヤやPC(Personal Computer)など、その他の電子機器の表示装置であってもよい。
【0014】
ところで、表示装置1においては、表示パネル30等に対して力が作用する場合がある。詳しくは、例えば表示装置1に対して物体などが衝突し、表示パネル30の表示面30a側から力が作用する場合がある(矢印F参照)。かかる力が作用すると、表示装置1が破損するおそれがある。
【0015】
そこで、本実施形態に係る表示装置1にあっては、表示パネル30に力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保することができるように構成した。また、本実施形態にあっては、表示装置1において適切な強度を確保することで、表示装置1の破損などを抑制し、結果として表示装置1の耐衝撃性を向上させるように構成した。
【0016】
この構成について
図2以降を参照して詳しく説明する。
図2は、実施形態に係る表示装置1の斜視図であり、
図3は、表示装置1の分解斜視図である。
【0017】
図2および
図3に示すように、表示装置1は、カバーガラス部10と、外枠部20と、表示パネル30(
図2で見えず)と、保持部40(
図2で見えず)と、収容部50(
図2で見えず)と、背面カバー部60と、本体部70とを備える。
【0018】
カバーガラス部10は、ガラス材など透光性を有する材料から製作される板状の部材である。カバーガラス部10は、表示パネル30の表示面30aを覆うように配置され、表示面30aを保護する。
【0019】
外枠部20は、カバーガラス部10の外周を囲むように配置され、カバーガラス部10を保持する部材である。また、外枠部20は、開口部21を有する枠状に形成され、開口部21から表示パネル30の表示面30aが露出するように構成される。外枠部20は、背面カバー部60に組み付けられ、組み付けられた外枠部20と背面カバー部60とによって形成される内部空間に、表示パネル30や保持部40、収容部50などが配置される。なお、外枠部20は、樹脂製である。
【0020】
表示パネル30は、表示面30aを有し、上記した各種情報を表示する。なお、表示パネル30としては、液晶パネルを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
表示パネル30は、例えば正面視において矩形状に形成される。なお、本明細書における正面視は、表示パネル30の表示面30aを正面から見た場合を意味し、言い換えるとY軸負側から正方向を見た場合を意味する。
【0022】
保持部40は、表示パネル30を保持する部材である。具体的には、保持部40は、例えば正面視において矩形状に形成される。保持部40は、表示パネル30の背面側(Y軸正方向側)に配置され、表示パネル30を背面側から保持する。なお、保持部40は、金属製であり、板金などから製作される。なお、本明細書では、表示パネル30と、表示パネル30を保持する保持部40とを含めて「表示パネル30」と記載する場合がある。
【0023】
収容部50は、保持部40を収容する部材である。詳しくは、収容部50は、保持部40と、保持部40によって保持された表示パネル30とを収容する部材である。収容部50は、例えば正面視において矩形状に形成され、別言すると、Y軸負方向側の面が開放された筐体である。収容部50は、金属製であり、板金などから製作される。なお、収容部50の詳細な構成については、後述する。
【0024】
背面カバー部60は、収容部50の背面側に配置され、上記したように外枠部20と組み付けられる部材である。背面カバー部60は、開口部61を有するように形成される。かかる開口部61には、本体部70が挿入されて組み付けられる。なお、背面カバー部60は、樹脂製である。
【0025】
本体部70は、略直方体状の筐体であり、表示パネル30等と通信可能に接続される。本体部70においては、内部に表示装置1の全体制御を行うCPU(Central Processing Unit。図示せず)などの各種部品が収納される。
【0026】
次に、上記した収容部50の構成について
図4も参照して詳しく説明する。
図4は、表示装置1の背面斜視図である。なお、
図4では、理解の便宜のため、背面カバー部60を取り外した状態の表示装置1を示している。また、
図4では、破線で囲まれた部位を拡大して示す拡大図も示している。
【0027】
図3および
図4に示すように、収容部50は、背面部51と、第1壁部52と、第2壁部53とを備える。また、収容部50は、
図3に示すように、表示パネル30の外周30bの一部、言い換えると保持部40の外周41の一部を背面側から囲むようにして収容する。
【0028】
具体的には、背面部51は、表示パネル30(保持部40)の背面側に配置される。背面部51は、例えば板状に形成されるとともに、正面視において矩形状に形成される。
【0029】
第1壁部52は、背面部51の一辺51a(
図4参照。ここでは背面部51の上辺(上端))から表示パネル30の前面側へ向けて、表示パネル30の外周30bの一部(言い換えると保持部40の外周41の一部(ここでは保持部40の上側の辺(上端)41a))を囲むように立設される。
【0030】
第2壁部53は、背面部51の一辺51aと連続する他辺51b(
図4参照。ここでは背面部51の左右側の辺(左右端))から表示パネル30の前面へ向けて、表示パネル30の外周30bの一部(言い換えると保持部40の外周41の一部(ここでは保持部40の左右側の辺(左右端)41b))を囲むように立設される。
【0031】
なお、上記した背面部51の一辺51aと他辺51bとは、互いの延在方向が直交(あるいは略直交)する。すなわち、背面部51の一辺51aの延在方向はX軸方向であり、他辺51bの延在方向はZ軸方向であり、互いの延在方向が直交する。なお、上記では、一辺51aおよび他辺51bの延在方向が直交する例を示したが、これは例示であって限定されるものではない。
【0032】
また、第1、第2壁部52,53は、上記したように表示パネル30側(Y軸負方向側)へ向けて立設されるが、これは上記した衝撃時に力が作用する部材側へ向けて立設されるともいえる。
【0033】
また、第2壁部53は、
図4の拡大図に示すように、自身の端部53xが第1壁部52の端部52xと重なるように形成される。例えば、第2壁部53は、端部53xが第1壁部52の端部52xの下方(Z軸負方向)に位置されて、第1壁部52の端部52xと重なるように形成される。
【0034】
そして、第1壁部52と第2壁部53とは、重なった端部52xと端部53xとがかしめ加工(詳しくはバーリングかしめ加工)されることで、締結される。このかしめ加工される第1壁部52の端部52x、第2壁部53の端部53xなどについて
図5も参照しつつ説明する。
図5は、
図4のV-V線端面図である。
【0035】
図5に示すように、第1壁部52には、軸部52aが形成される。一方、第2壁部53には、軸部52aが挿通される挿通孔53aが形成される。この挿通孔53aに軸部52aが挿通されてかしめられることで、第1壁部52と第2壁部53とが締結される。以下では、この第1壁部52と第2壁部53とが締結される部位を「締結部55」と記載する場合がある。
【0036】
具体的には、軸部52aは、第1壁部52の端部52xにおいて第2壁部53の端部53xと重なる部位に形成される。詳しくは、軸部52aは、端部52xから第2壁部53の端部53x側(Z軸負方向)へ向けて突出するように形成される。
【0037】
より詳しくは、軸部52aは、円筒部52a1と、かしめ部52a2とを備える。円筒部52a1は、中空状に形成され、端部52xから第2壁部53の端部53x側へ延在するように形成される。かかる円筒部52a1は、第2壁部53の挿通孔53aに挿通される部位である。
【0038】
かしめ部52a2は、円筒部52a1の下端側に形成される。かしめ部52a2は、第1壁部52の端部52xとの間で、第2壁部53の端部53xを挟み込んでかしめることで、第1壁部52と第2壁部53とが締結される。
【0039】
なお、上記した軸部52aの形成や、軸部52aの挿通孔53aへの挿通、かしめ部52a2の形成などについては、
図6A~6Cなどを参照して後述する。
【0040】
図5の説明を続けると、挿通孔53aは、第2壁部53の端部53xにおいて第1壁部52の端部52xと重なる部位に形成される。具体的には、第2壁部53の端部53xにおいて、上記した第1壁部52の軸部52aと対応する部位に形成される。
【0041】
また、挿通孔53aには、上記したように軸部52a(正確には円筒部52a1)が挿通される。このように、挿通孔53aには軸部52aが挿通されることから、挿通孔53aの内周面53a1の径(孔径)は、軸部52a(正確には円筒部52a1)の外周面52a3の径より大きい。
【0042】
従って、挿通孔53aに挿通された軸部52aの外周面52a3と、挿通孔53aの内周面53a1との間には、隙間54が形成される。
【0043】
本実施形態にあっては、かかる隙間54を適切に設定することで、上記した表示パネル30に力(
図1の矢印F参照)が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保するようにした。
【0044】
詳説すると、表示パネル30に力が作用し、力F1が第1壁部52の端部52xに作用することで、第1壁部52は矢印G1で示すように、表示パネル30とは反対方向(Y軸正方向)に向けて変位しようとする。
【0045】
なお、本実施形態では、矢印G1で示す方向を「変位方向G1」と記載する場合がある。また、第1壁部52および第2壁部53のうち、表示パネル30側から力が作用する壁部を「特定の壁部」と記載する場合がある。なお、本実施形態では、第1壁部52が「特定の壁部」である。
【0046】
そして、本実施形態において、隙間54は、第1壁部52に対して表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、締結部55における第1壁部52と第2壁部53とのすべり変位が抑制されるように、表示パネル30の前面側よりも背面側のほうが小さくなるように配分されている。詳しくは、上記した隙間54において、特定の壁部である第1壁部52に対して表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力F1が作用して、第1壁部52と第2壁部53との締結部55において、第1壁部52が第2壁部53に対して表示パネルの背面側(Y軸正方向側)へすべり変位しようとした場合に、この変位を阻止するように、表示パネルの背面側(Y軸正方向側)に形成される隙間54aが、表示パネルの前面側(Y軸負方向側)に形成される隙間54bより小さくなるように隙間54が配分された状態でかしめられて締結される。
【0047】
具体的には、隙間54aにおける軸部52aの外周面52a3と挿通孔53aの内周面53a1との距離Aが、隙間54bにおける軸部52aの外周面52a3と挿通孔53aの内周面53a1との距離Bより短くなるように設定される(A<B)。
【0048】
これにより、例えば表示パネル30側から力が作用して第1壁部52が変位方向G1側に変位しようとした場合であっても、第1壁部52の軸部52aが第2壁部53の挿通孔53aに早期に当接してストッパとして機能する。そのため、第1壁部52における変位方向G1への変位量を抑制することができ、表示パネル30側からの力に対する適切な強度を確保することができる。
【0049】
なお、本実施形態に係る第1壁部52の端部52xは、第2壁部53の端部53xに比べて表示パネル30側(
図3参照。Y軸負方向側)に突出するように形成されていてもよい。すなわち、締結部55において、第1壁部52の表示パネル30の前面側の端部52xが、第2壁部53の表示パネル30の前面側の端部53xよりも突出している。このように構成することで、表示パネル30(特に表示パネル30の角部)に力が作用した場合、第1壁部52がより多くの力を受け止めることになるため、第1壁部52における変位方向G1への変位量を抑制することができ、より効果的に、表示パネル30側からの力に対する強度を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態にあっては、表示装置1において適切な強度を確保することで、表示装置1の破損などを抑制でき、結果として表示装置1の耐衝撃性を向上させることが可能になる。
【0051】
また、隙間54においては、逆に言えば、特定の壁部である第1壁部52に対して表示パネル30側から力が作用して第1壁部52が変位した場合の変位方向G1とは反対側に形成される隙間54bが、変位方向G1側に形成される隙間54aより大きくなるように設定される。
【0052】
これにより、挿通孔53aにおける孔径について、例えば第1壁部52の軸部52aを容易に挿通可能な値に設定することが可能となり、よって第1壁部52の軸部52aを挿通孔53aに挿通させる際の加工性を向上させることができる。
【0053】
この軸部52aを挿通孔53aへの挿通させる際の加工性、上記した軸部52aや52a2の形成などについて
図6A~6Cなどを参照して説明する。
図6Aは、収容部50の斜視図であり、詳しくは第1壁部52や第2壁部53が立設される前の収容部50を示す斜視図である。
図6Bは、収容部50の斜視図であり、詳しくは第2壁部53が立設された後であって、第1壁部52が立設される前の収容部50を示す斜視図である。
図6Cは、第1壁部52の軸部52aが挿通孔53aに挿通される様子を示す図であり、
図5と同様な端面図である。
【0054】
図6Aに示すように、収容部50は、板状の部材から製作される。具体的には、第1壁部52は、背面部51の一辺51aからZ軸正方向へ延在するように形成される。また、第2壁部53は、背面部51の他辺51bからX軸正方向へ延在するように形成される。なお、図示は省略するが、背面部51のX軸方向において反対側に位置する第2壁部53は、背面部51の他辺51bからX軸負方向へ延在するように形成される。
【0055】
第1壁部52の端部52xには、上記した軸部52aが形成される。なお、このときの軸部52aにおいては、円筒部52a1を備える一方、かしめ部52a2はまだ形成されていない状態である(
図6C参照)。
【0056】
この軸部52aは、第1壁部52の端部52xにおけるバーリング加工(板状の部材にに穴を打ち抜くと同時に穴のふちが筒状に立ち上がるように成型する加工法)によって形成される。このように、本実施形態にあっては、バーリング加工を用いることで、軸部52aを容易に形成することができる。なお、軸部52aは、バーリング加工以外の加工法で形成されてもよく、例えば第1壁部52の端部52xに開けられた小穴に筒状や棒状の部材を圧入して軸部52aが形成されてもよい。
【0057】
第2壁部53の端部53xには、上記した挿通孔53aが形成される。そして、第1壁部52および第2壁部53は、折り曲げ加工により立設される。
【0058】
一例として、第2壁部53、第1壁部52の順で折り曲げ加工が行われる。詳しくは、第2壁部53は、背面部51の他辺51bにおける折り曲げ加工により立設される。より詳しくは、
図6Aに示す山折り線C1,C2で折り曲げ加工がなされることで、
図6Bに示すように、第2壁部53が立設される。
【0059】
次いで、第1壁部52は、背面部51の一辺51aにおける折り曲げ加工により立設される。詳しくは、
図6Bに示す山折り線C3、谷折り線C4、山折り線C5で折り曲げ加工がなされることで、階段状の第1壁部52(
図4参照)が立設される。
【0060】
第1壁部52の折り曲げ加工時における、軸部52aの挿通孔53aへの挿通について
図6Cを参照しつつ説明する。なお、
図6Aでは、軸部52aを挿通孔53aに挿通する前の第1壁部52を実線で示し、挿通した後の第1壁部52を想像線で示している。
【0061】
図6Cに示すように、第1壁部52においては、折り曲げ加工時に、軸部52aが、軸部52a(正確には円筒部52a1)の先端52a4を先頭にして、第2壁部53の挿通孔53aに挿通される(矢印E1参照)。
【0062】
このように、本実施形態にあっては、第1壁部52の折り曲げ加工時に、軸部52aが挿通孔53aに挿通される。また、上記したように、挿通孔53aにおける孔径については、第1壁部52の軸部52aを容易に挿通可能な値に設定されることから、第1壁部52の軸部52aを挿通孔53aに挿通させる際の加工性を向上させることができる。
【0063】
次いで、軸部52a(正確には円筒部52a1)の先端52a4が加圧され、上記したかしめ部52a2(
図5参照)が形成されることで、かしめられる。このように、本実施形態においては、第1壁部52と第2壁部53とが、重なった端部52xと端部53xとがかしめ加工(詳しくはバーリングかしめ加工)されることで、締結される。
【0064】
上述してきたように、実施形態に係る表示装置1は、表示パネル30と、表示パネル30の外周(例えば保持部40の外周41)の少なくとも一部を背面側から囲むようにして収容する収容部50とを備える。収容部50は、背面部51と、第1壁部52と、第2壁部53と、軸部52aと、挿通孔53aとを備える。背面部51は、表示パネル30の背面側に配置される。第1壁部52は、背面部51の一辺51aから表示パネル30の前面側へ向けて表示パネル30の外周の一部を囲むように立設される。第2壁部53は、背面部51の一辺51aと連続する他辺51bから表示パネル30の前面側へ向けて表示パネル30の外周の一部を囲むように立設される。軸部52aは、第1壁部52の端部52xにおいて第2壁部53の端部53xと重なる部位に形成される。挿通孔53aは、第2壁部53の端部53xに形成され軸部52aが挿通される。
【0065】
また、挿通孔53aに軸部52aが挿通されてかしめられることで第1壁部52と第2壁部53とが締結されて締結部55が形成される。また、挿通孔53aに挿通された軸部52aの外周面52a3と挿通孔53aの内周面53a1との間に隙間54が形成されている。また、隙間54は、第1壁部52に対して表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、締結部55における第1壁部52と第2壁部53とのすべり変位が抑制されるように、表示パネル30の前面側よりも背面側のほうが小さくなるように配分されている。これにより、表示パネル30に力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保することができる。
【0066】
なお、以上の説明では第1壁部52の端部52xに軸部52aが形成され、第2壁部53の端部53xに挿通孔53aが形成されるとしたが、これに限られず、例えば第1壁部52の端部52xに挿通孔が形成され、第2壁部53の端部53xに軸部が形成されるようにしてもよい。
【0067】
また、表示パネル30は、上部31が車両のダッシュボードDから突出するように配置され、特定の壁部である第1壁部52は、表示パネル30の上部31側の辺と対応する位置に設けられる。
【0068】
ダッシュボードDから突出した表示パネル30の上部31には車両の乗員であるユーザの手や体が触れたり、荷物等が触れたりするなどして、表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力が作用する可能性が高い。本実施形態によれば、ダッシュボードDから突出した表示パネル30の上部31に力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確実に確保することができる。
【0069】
なお、車両への表示パネル30の配置の仕方によっては表示パネル30の上部31側の辺以外の辺に力が作用する可能が高くなることも考えられる。これについて、
図7を参照して説明する。
図7は、表示パネル30を備える表示装置1が車両Hの天井Haに吊り下げられて配置される例を示す模式側面図である。
【0070】
図7に示すように、表示パネル30は、上部31が車両Hの天井Haから垂下するように配置される場合がある。詳しくは、例えば車両Hの前席81と後席82の間の天井Haから吊り下げるように表示パネル30が配置される場合があり、この場合は表示パネル30の下部32側の辺にユーザの手や体、荷物等が触れるなどして、力が作用する可能性が高くなると考えられる。このような場合は、特定の壁部である第1壁部52は、表示パネル30の下部32側の辺と対応する位置に設けられるようにしてもよい。このように、車両Hへの表示パネル30の配置の仕方に応じて、力が作用する可能性が高くなる辺に対応する位置に特定の壁部である第1壁部52が設けられるようにすることができる。これにより、力がかかる可能性が高い辺の強度を確実に確保することができる。
【0071】
また、本実施形態にあっては、上記のように構成することで、例えば表示パネル30のの背面側に補強部材を新たに配置するなど新たな補強部材を用いることなく、表示装置1における適切な強度を確保することができる。
【0072】
(変形例)
次いで、実施形態の変形例に係る表示装置1の構成について
図8を参照しつつ説明する。
図8は、変形例に係る表示装置1を示す図であり、
図5と同様な端面図である。なお、以下においては、実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図8に示すように、変形例にあっては、第1壁部52および第2壁部53のうち、表示パネル30側から力が作用する特定の壁部が、第2壁部53となる。
【0074】
詳説すると、表示パネル30に力が作用し、力F2が第2壁部53の端部53xに作用することで、第2壁部53は矢印G2で示すように、表示パネル30とは反対方向(Y軸正方向)に向けて変位しようとする。なお、変形例では、矢印G2で示す方向を「変位方向G2」と記載する場合がある。
【0075】
そして、変形例にあっては、挿通孔53aに挿通された軸部52aの外周面52a3と、挿通孔53aの内周面53a1との間に形成される隙間154を適切に設定することで、上記した表示パネル30に力(
図1の矢印F参照)が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保するようにした。
【0076】
具体的には、隙間154は、第2壁部53に対して表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、締結部55における第1壁部52と第2壁部53とのすべり変位が抑制されるように、表示パネル30の背面側よりも前面側のほうが小さくなるように配分されている。詳しくは、隙間154において、特定の壁部である第2壁部53に対して表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力F2(Y軸正方向に向かう力)が作用して、第1壁部52と第2壁部53との締結部55において、第2壁部53が第1壁部52に対して表示パネルの背面側(Y軸正方向側)へすべり変位しようとした場合に、この変位を阻止するように、表示パネルの前面側(Y軸負方向側)に形成される隙間154aが、表示パネルの背面側(Y軸正方向側)に形成される隙間154bより小さくなるように隙間154が配分された状態でかしめられて締結される。
【0077】
具体的には、隙間154aにおける軸部52aの外周面52a3と挿通孔53aの内周面53a1との距離A1が、隙間154bにおける軸部52aの外周面52a3と挿通孔53aの内周面53a1との距離B1より短くなるように設定される(A1<B1)。
【0078】
これにより、例えば表示パネル30側から力が作用して第2壁部53が変位方向G2側に変位しようとした場合であっても、第2壁部53の挿通孔53aが第1壁部52の軸部52aに早期に当接してストッパとして機能する。そのため、第2壁部53における変位方向G2への変位量を抑制することができ、表示パネル30側からの力に対する適切な強度を確保することができる。また、変形例にあっても、実施形態と同様に、表示装置1の破損などを抑制でき、結果として表示装置1の耐衝撃性を向上させることが可能になる。
【0079】
なお、変形例に係る第2壁部53の端部53xは、第1壁部52の端部52xに比べて表示パネル30側(
図8参照。Y軸負方向側)に突出するように形成されていてもよい。すなわち、締結部55において、第2壁部53の表示パネル30の前面側の端部53xが、第1壁部52の表示パネル30の前面側の端部52xよりも突出している。このように構成することで、表示パネル30(特に表示パネル30の角部分)に力が作用した場合、第2壁部53がより多くの力を受け止めることになるため、第2壁部53における変位方向G2の変位量を抑制することができ、より効果的に、表示パネル30側からの力に対する強度を確保することができる。
【0080】
また、変形例に係る隙間154においては、逆に言えば、特定の壁部である第2壁部53に対して表示パネル30側から力が作用して第2壁部53が変位した場合の変位方向G2とは反対側に形成される隙間154bが、変位方向G2側に形成される隙間154aより大きくなるように設定される。
【0081】
これにより、変形例にあっては、実施形態と同様に、挿通孔53aにおける孔径について、例えば第1壁部52の軸部52aを容易に挿通可能な値に設定することが可能となり、よって第1壁部52の軸部52aを挿通孔53aに挿通させる際の加工性を向上させることができる。
【0082】
なお、変形例においても、表示パネル30は、上部31が車両のダッシュボードD(
図1参照)から突出するように配置され、特定の壁部である第2壁部53は、表示パネル30の上部31側の辺と対応する位置に設けられてもよい。また、表示パネル30は、車両Hの天井Ha(
図7参照)から吊り下げるように配置され、特定の壁部である第2壁部53は、表示パネル30の下部32側の辺と対応する位置に設けられてもよい。さらに、車両への表示パネル30の配置の仕方に応じて、力が作用する可能性が高くなる辺に対応する位置に特定の壁部である第2壁部53が設けられるようにすることができる。これにより、力がかかる可能性が高い辺の強度を確実に確保することができる。
【0083】
上述してきたように、変形例に係る表示装置1は、表示パネル30と、表示パネル30の外周(例えば保持部40の外周41)の少なくとも一部を背面側から囲むようにして収容する収容部50とを備える。収容部50は、背面部51と、第1壁部52と、第2壁部53と、軸部52aと、挿通孔53aとを備える。背面部51は、表示パネル30の背面側に配置される。第1壁部52は、背面部51の一辺51aから表示パネル30の前面側へ向けて表示パネル30の外周の一部を囲むように立設される。第2壁部53は、背面部51の一辺51aと連続する他辺51bから表示パネル30の前面側へ向けて表示パネル30の外周の一部を囲むように立設される。軸部52aは、第1壁部52の端部52xにおいて第2壁部53の端部53xと重なる部位に形成される。挿通孔53aは、第2壁部53の端部53xに形成され軸部52aが挿通される。
【0084】
また、挿通孔53aに軸部52aが挿通されてかしめられることで第1壁部52と第2壁部53とが締結されて締結部55が形成される。また、挿通孔53aに挿通された軸部52aの外周面52a3と挿通孔53aの内周面53a1との間に隙間154が形成されている。また、隙間154は、第2壁部53に対して表示パネル30の前面側から背面側へ向かう力が作用した場合に、締結部55における第1壁部52と第2壁部53とのすべり変位が抑制されるように、表示パネル30の背面側よりも前面側のほうが小さくなるように配分されている。これにより、表示パネル30に力が作用した場合において、かかる力に対する適切な強度を確保することができる。
【0085】
なお、上記した実施形態および変形例では、収容部50が保持部40の外周41の一部を囲む例を示したが、これに限定されるものではなく、外周41の全部を囲むようにしてもよい。すなわち、収容部50は、保持部40の外周41の少なくとも一部を囲むようにして収容すればよい。
【0086】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 表示装置
30 表示パネル
40 保持部
50 収容部
51 背面部
52 第1壁部
52a 軸部
53 第2壁部
53a 挿通孔
54 隙間