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特開2024-34901コンタクトレンズの提供方法および提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034901
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】コンタクトレンズの提供方法および提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240306BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20240306BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20240306BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G06Q50/10
G02C13/00
G16H20/00
A61B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139463
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】吉村 良佑
(72)【発明者】
【氏名】平田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀樹
【テーマコード(参考)】
2H006
4C316
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
2H006DA00
4C316AA02
4C316AA21
4C316AB14
4C316FC14
4C316FC15
4C316FC21
4C316FZ01
5L049CC12
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンタクトレンズ使用者が継続的にコンタクトレンズを使用するに際して、コンタクトレンズの提供や使用状況判定などのレンズ使用者へのサービスを効率的、且つ、高い信頼性や安心感を伴って提供する。
【解決手段】コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置12が、会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段22と、会員毎に提供されるコンタクトレンズが処方箋情報記憶手段22に記憶された処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段であり、会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、眼検査情報取得手段で取得された眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段である演算手段24とを、備えており、眼科医による診察要否を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置を用い、予め登録された会員へコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、
前記会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段と
を、備えており、
前記店舗用コンピュータ装置に対して前記会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号が入力された際に、
前記眼検査情報取得手段で該会員から取得された前記眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を正常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
前記眼検査情報取得手段で取得された該会員の前記眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、該店舗用コンピュータ装置が該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する段階を含む
コンタクトレンズ提供方法。
【請求項2】
前記眼検査情報取得手段が取得する前記眼検査情報が、前記会員の眼を撮像した画像情報を含む請求項1に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項3】
前記画像情報が、コンタクトレンズを装用した眼の動画を含む請求項2に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項4】
前記眼検査情報取得手段で取得された前記会員の前記眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定した場合には、
要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、前記店舗用コンピュータ装置は該会員への当該コンタクトレンズの提供の許可信号を出力しない請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項5】
前記眼状態判定手段による眼状態の判定結果を含む判定レポートを作成する判定レポート作成手段と、
該判定レポート作成手段によって作成された該判定レポートを前記会員に提供する判定レポートフィードバック手段と
を、含む請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項6】
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えており、
該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定して該会員への前記レンズ要求信号が該店舗用コンピュータ装置に入力される請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項7】
前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定して眼科医による診察を要求する信号が出力された際には、当該会員についての眼科医による診察の結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報の入力を条件として、且つ、要求された前記特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定したことを条件として、該店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項8】
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置を用い、予め登録された会員へコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、当該具体的種類のコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段と
を、備えており、
該店舗用コンピュータ装置に対して該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求する前記レンズ要求信号が入力された際に、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていると判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていないと判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていても、該店舗用コンピュータ装置が該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する段階を含む
コンタクトレンズ提供方法。
【請求項9】
前記レンズ使用情報取得手段が、前記会員毎に使用しているコンタクトレンズの具体的種類における過去の不使用期間情報を取得するレンズ不使用期間情報取得手段であり、
前記レンズ使用状況判定手段が、当該具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された安全期間を超えているか否かを判定するレンズ不使用期間判定手段であり、
前記店舗用コンピュータ装置に対して該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求する前記レンズ要求信号が入力された際に、
前記レンズ使用状況判定手段による該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしているか否かの判定として、該レンズ不使用期間判定手段による該会員の当該特定のコンタクトレンズの不使用期間が前記安全期間を超えているか否かの判定を含む
請求項8に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項10】
前記レンズ不使用期間情報取得手段が、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関する具体的種類と提供時期を含むレンズ提供履歴情報を記憶するレンズ提供履歴記憶手段と、
該レンズ提供履歴記憶手段に記憶された該レンズ提供履歴情報に基づいて該会員における具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間を推定するレンズ不使用期間推定手段と
を、含む請求項9に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項11】
前記レンズ不使用期間情報取得手段が、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズの具体的種類と使用時期に加えて該会員から提出されたレンズ使用履歴情報を記憶するレンズ使用履歴記憶手段と、
該レンズ使用履歴記憶手段に記憶された該レンズ使用履歴情報に基づいて該会員における具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間を決定するレンズ不使用期間決定手段と
を、含む請求項9又は10に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項12】
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関して該会員から提出された不使用理由情報を記憶するレンズ不使用理由記憶手段と、
該不使用理由記憶手段に記憶された該不使用理由情報について安全レベルを判定する不使用理由判定手段と、
該不使用理由判定手段によって判定された安全レベルに応じて前記レンズ不使用期間判定手段による判定レベルを異ならせる判定レベル調節手段と
を、含む請求項9又は10に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項13】
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えており、
該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定して該会員への前記レンズ要求信号が該店舗用コンピュータ装置に入力される請求項8又は9に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項14】
前記複数レンズ関連付手段が、「メーカー及び商品名を特定するレンズ種類」と「ベースカーブ」と「パワー」と「DIA」と「ADD」に加えて、「レンズ材質」と「サグ値」と「保存液成分」との少なくとも一つが異なるものを、種類の異なるコンタクトレンズとして関連付ける請求項13に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項15】
コンタクトレンズの提供を受ける複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求する前記レンズ要求信号が入力される請求項1,2,8,9の何れか一項に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項16】
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置を用い、予め登録された会員へコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か否かを判定する眼状態判定手段と、
前記会員毎にコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、かかるコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段と、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、使用しているコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段から取得した該処方箋情報による要件を満たしているか否かを該会員毎に判定する処方箋要件判定手段と
を、備えており、
前記店舗用コンピュータ装置に対して前記会員における判定レポート作成の要求信号が入力された際に、前記眼状態判定手段による判定結果と前記レンズ使用状況判定手段による判定結果と前記処方箋要件判定手段による判定結果とを含む判定レポートを出力する段階を含む
コンタクトレンズ提供方法。
【請求項17】
前記レンズ使用情報取得手段が、前記会員毎に使用しているコンタクトレンズの具体的種類における過去の不使用期間情報を取得するレンズ不使用期間情報取得手段であり、
前記レンズ使用状況判定手段が、当該具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された前記安全基準としての安全期間を超えているか否かを判定するレンズ不使用期間判定手段である
請求項16に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項18】
複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への前記判定レポートの提供を要求する判定レポート要求信号が入力される請求項16又は17に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項19】
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えている請求項16又は17に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項20】
前記店舗用コンピュータ装置において、前記会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号の入力が、前記判定レポートの要求信号の入力を伴うと共に、
該判定レポートにおいて前記眼状態判定手段と前記レンズ使用状況判定手段と前記処方箋要件判定手段との少なくとも一つの判定結果が否定的である場合には、
該店舗用コンピュータ装置が、当該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力せず、且つ、当該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する段階を含む
請求項16又は17に記載のコンタクトレンズ提供方法。
【請求項21】
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置と、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の会員の利用にそれぞれ供されて、前記店舗用コンピュータ装置へネットワークシステムを通じて接続される複数の会員用コンピュータ装置と
を、含んで構成されたネットワークシステムからなるコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置が、前記会員を特定する会員ID情報と、該会員における眼検査情報と、該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号とを、前記店舗用コンピュータ装置に対して送信する手段を備えている一方、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記複数の会員について該会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、前記会員用コンピュータ装置から送信された前記眼検査情報を受信して取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段とを、備えており、
該店舗用コンピュータ装置が、前記会員用コンピュータ装置から前記会員ID情報および前記眼検査情報と共に前記レンズ要求信号を受信した際に、
該眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を正常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
該眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する出力手段を備えている
コンタクトレンズ提供システム。
【請求項22】
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置と、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の会員の利用にそれぞれ供されて、前記店舗用コンピュータ装置へネットワークシステムを通じて接続される複数の会員用コンピュータ装置と
を、含んで構成されたネットワークシステムからなるコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置が、前記会員を特定する会員ID情報と、該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号とを、前記店舗用コンピュータ装置に対して送信する手段を備えている一方、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、当該具体的種類のコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段とを、備えており、
該店舗用コンピュータ装置が、前記会員用コンピュータ装置から前記会員ID情報および前記眼検査情報と共に前記レンズ要求信号を受信した際に、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていると判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていないと判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する出力手段を備えている
コンタクトレンズ提供システム。
【請求項23】
前記レンズ使用情報取得手段が、前記会員毎に使用しているコンタクトレンズの具体的種類における過去の不使用期間情報を取得するレンズ不使用期間情報取得手段であり、
前記レンズ使用状況判定手段が、当該具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された前記安全基準としての安全期間を超えているか否かを判定するレンズ不使用期間判定手段である
請求項22に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項24】
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えていると共に、
前記会員用コンピュータ装置が前記コンピュータ装置に対して送信する前記レンズ要求信号が、該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定する情報を含む請求項21~23の何れか一項に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項25】
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置と、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の会員の利用にそれぞれ供されて、前記店舗用コンピュータ装置へネットワークシステムを通じて接続される複数の会員用コンピュータ装置と
を、含んで構成されたネットワークシステムからなるコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置が、前記会員を特定する会員ID情報と、該会員における眼検査情報と、該会員における具体的種類ごとのコンタクトレンズの使用状況に関するレンズ使用情報と、該会員への判定レポートの作成を要求する判定レポート要求信号とを、前記店舗用コンピュータ装置に対して送信する手段を備えている一方、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か否かを判定する眼状態判定手段と、
前記会員毎にコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、かかるコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段と、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、使用しているコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段から取得した該処方箋情報による要件を満たしているか否かを該会員毎に判定する処方箋要件判定手段と
を、備えており、
該店舗用コンピュータ装置が、前記会員用コンピュータ装置から前記会員ID情報および前記眼検査情報と前記レンズ使用情報と共に前記判定レポート要求信号を受信した際に、前記眼状態判定手段による判定結果と前記レンズ使用状況判定手段による判定結果と前記処方箋要件判定手段による判定結果とを含む判定レポートを出力する手段を備えている
コンタクトレンズ提供システム。
【請求項26】
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えている請求項25に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズを使用者(ユーザー)に提供するための提供方法及び提供システムに係り、特に会員制を採用したうえで使用者の更なる安全性の確保と使用者自身の安心感の向上を達成しつつ、使用者のコンタクトレンズ入手の容易さも併せて実現可能となし得る、コンタクトレンズの新規な提供方法および提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、従来から視力矯正用等に用いられているが、近年ではコンタクトレンズの使用者数が増加していると共に、コンタクトレンズの種類も増加しており、更に、コンタクトレンズを提供する店舗もインターネット上を含めて増加している。その結果、コンタクトレンズの使用者がコンタクトレンズを入手する際の流通経路も多様化してきている。
【0003】
このようなコンタクトレンズの流通経路の多様化は、ユーザーにとってコンタクトレンズを容易に入手しやすくなる場合もあるが、反面、ユーザーの安全性に関してリスクが大きくなっているのが実情である。
【0004】
特に、コンタクトレンズは医療用具であり、ユーザー毎の適合性の良否を単にレンズ度数やベースカーブなどの基本情報だけで判断することは適切でない。かかる基本情報以外のユーザー毎の適合性への影響因子は、例えばレンズやメーカー毎に異なる材質や周辺部形状などのコンタクトレンズ側の因子だけでなく、ユーザーにおける睡眠時間などの生活状況や涙液量などの生理的状況などのようにユーザー側の因子もあり、且つ、経時的に変化する。それ故、コンタクトレンズを継続的に使用する多くのユーザーについて、安全性を確保することが難しい。
【0005】
また、コンタクトレンズの使用者も、自身の健康状態について信頼感をもって評価してもらえる機会が殆どないことに疑問や不安を抱くことがあり、コンタクトレンズを安心感をもって使用し続けることが難しい状況になってきている。特に、インターネット販売の普及が著しい現代では、コンタクトレンズの提供に際しての検診や処方箋の要件が薬事法に明記されていないこと等を拠り所として、一度の処方箋情報により長期間に亘ってコンタクトレンズを提供し続けるインターネット販売もあり、また、処方箋そのものを要求しないインターネット販売もあるため、検診や診察の機会を得難い環境にもなってきている。加えて、コンタクトレンズの普及と使用者の増加に伴う眼科医の増加もあって、眼科医の専門知識や経験のばらつきが大きくなっていると共に、眼科医における情報の蓄積や管理も充分に実現されていないことから、仮にコンタクトレンズ使用者が検診や診察を望んだとしても、信頼感をもって客観的に適切な診察結果などを得ることが難しい環境になってきている。
【0006】
このような状況にも鑑み、国内大手のコンタクトレンズメーカーである本出願人は、ユーザーがコンタクトレンズを継続的に使用する際の安全性の確保を主目的として、今までにも幾つかの発明を提案した。具体的には、例えばネットワークシステムを利用した会員制のもとで効率的にレンズを提供する会員制のレンズ提供システム(特許文献1)や、眼科医の診断情報を積極的に活用したレンズ提供システム(特許文献2)などを提案した。
【0007】
しかし、社会的環境の更なる変化などもあって、これら特許文献1,2で提案したレンズ提供システムも、現在では未だ改善の余地を有するものになっている。例えば、仮に会員制を採用したり、眼科医の診断情報を活用しても、通常は眼科医による処方箋の有効期間内であれば、ユーザーからの要求に応じて又は定期的にコンタクトレンズを提供することとなり、ユーザー自身が自覚する程に健康状態が悪化するよりも前にユーザーを適切にサポートすることが難しかった。また、例えばユーザーが自ら健康状態の確認を欲したり違和感を感じたりして、ユーザーからコンタクトレンズ販売店などに確認要求があった場合でも、単に眼科医を紹介するだけでは、レンズ使用者に対して迅速で且つ客観的信頼性のある対応をとり難く、レンズ使用者へ充分な安心感を与えるに至らないこともあった。
【0008】
一方、ユーザーの安全性を重視して、コンタクトレンズの継続的な提供を受けている会員制のユーザーに対して頻繁な眼科受診を要求することも考えられるが、それではユーザーに過度の負担を強いることとなって、コンタクトレンズを容易に入手できなくなるという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4544763号公報
【特許文献2】特許第4795549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、コンタクトレンズ使用者が継続的にコンタクトレンズを使用するに際して、レンズ使用者の負担を過度に強いることなく、コンタクトレンズの提供や使用状況判定などのレンズ使用者へのサービスを効率的に且つ高い信頼性や安心感を伴って提供することを可能にする、コンタクトレンズの新規な提供方法や提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
コンタクトレンズの提供方法に関する本発明の第一の態様は、以下のとおりである。
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置を用い、予め登録された会員へコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、
前記会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段と
を、備えており、
前記店舗用コンピュータ装置に対して前記会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号が入力された際に、
前記眼検査情報取得手段で該会員から取得された前記眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を正常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
前記眼検査情報取得手段で取得された該会員の前記眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、該店舗用コンピュータ装置が該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する段階を含む
コンタクトレンズ提供方法。
【0012】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、会員制のレンズ使用者に対して継続的にコンタクトレンズを提供するレンズ店舗における店舗用コンピュータ装置によって、各使用者の情報を継続して把握し、過去の状況を含めて使用者をサポートすることが可能になる。継続してコンタクトレンズの提供を受けているレンズ店舗を窓口としてレンズ使用者の状況把握がなされることで、レンズ使用者としても信頼感と安心感をもって、単に継続的なレンズ提供だけでなく、継続的な健康状態確認を含めたサポートを受けることができる。
【0013】
そして、特定のコンタクトレンズを会員へ提供する際には、眼検査情報を利用して使用者の眼の現在状況を把握することができ、使用者の眼に異常が認められた場合には、たとえ眼科医による処方箋の有効期間内であっても直ちにコンタクトレンズを提供することなく、眼科医の診察を要求することとなる。これにより、眼科医の処方箋情報のみに基づいてコンタクトレンズを提供することによる不具合発生を未然に防ぐことができると共に、レンズ使用者への過度の負担を回避しつつ、眼の不具合の進行を早い段階で抑えてレンズ使用者の健康状態を効率的に維持することも可能になる。
【0014】
特にレンズ使用者の状況判定等を実施する主体が、眼科医等でなくレンズ店舗であるが故に、例えばレンズ使用者に提供されたコンタクトレンズについて処方箋に載らないが装用感などに影響を与える可能性のある情報(例えば、後述する材質やサグ値,保存液成分など)までも把握して、レンズ使用者における使用状況に反映することも可能であり、それによって会員毎のレンズ使用状況の把握や判定の精度や信頼性の向上が図られ得る。また、レンズ店舗がレンズ使用者の状況判定等を行うことで、眼科医毎で診察や診断が相違する傾向なども把握することも可能になり、例えば会員の状況に応じて適切な眼科医を指定して診察などを要求することで、異常が認められるレンズ使用者に対して一層適切な対応をとることも可能になる。
【0015】
また、各会員にとっても、継続してコンタクトレンズの提供を受けている窓口を持つレンズ店舗を通じて、会員としてコンタクトレンズを継続的に購入して使用しているだけで、必要に応じて検診などを要求されることから、馴染みがあって信頼感も抱ける環境下で、必要なコンタクトレンズを安心感をもって継続して使用し続けることができ、過度の負担増も避けることができる。
【0016】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記眼検査情報取得手段が取得する前記眼検査情報が、前記会員の眼を撮像した画像情報を含むものである。
【0017】
本態様によれば、画像情報を含ませることで、例えば会員の主観的乃至は自己申告の情報や眼科医等の専門家でも能力差や経験差等による判断レベルのばらつきを抑えたり、そこに客観的評価の指標を与えたりすることが可能になる。例えば画像情報としての眼の外観を撮影した画像データを画素レベルで色相や彩度,明度などを評価することで、眼の状態や障害程度を段階評価する評価プログラムを、眼状態判定用のプログラムとして採用することも可能であり、それによって、定量的評価に基づいて客観的な判定を行うことも可能になる。
【0018】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記画像情報が、コンタクトレンズを装用した眼の動画を含むものである。
【0019】
本態様によれば、動画を採用することにより、例えばコンタクトレンズの動き量や瞬目不良,BUT(Tear film break up time : 涙液層破壊時間)なども評価対象とすることが可能になり、眼状態判定の精度や信頼性の向上が図られ得る。
【0020】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第四の態様は、前記第一~三の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記眼検査情報取得手段で取得された前記会員の前記眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定した場合には、
要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、前記店舗用コンピュータ装置は該会員への当該コンタクトレンズの提供の許可信号を出力しないものである。
【0021】
本態様によれば、例えば眼状態等に異常が認められた場合に、眼科医による診察を要求しつつも併せてコンタクトレンズを提供するような態様に比して、物理的にコンタクトレンズを使用できない状況にすることで、レンズ使用者の眼の健康状態の悪化の進行をより確実に抑えることが可能になる。なお、本態様に従って眼状態判定手段が異常判定した場合には、例えば後述する第七の態様に記載されているように眼科医による診察結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報が入力されることを要件として、当該会員へのコンタクトレンズの提供を許可することが望ましい。ここにおいて、例えば当該会員が何等かの異常を認識して又は認識せずに、直前の所定期間内(例えば当日や前日等)に眼科医による診察を受けている場合には、かかる診察結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないと診断されたが故に発行された処方箋を提示することで、又必要に応じて当該処方箋の内容がコンピュータに入力されることで、例えば本態様に従って眼状態判定手段が異常判定した場合でもかかる要件がクリアされたものとして又は眼状態判定手段が異常判定しなかったものとして、当該会員へのコンタクトレンズ提供を許可する信号を出力することも可能である。
【0022】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第五の態様は、前記第一~四の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記眼状態判定手段による眼状態の判定結果を含む判定レポートを作成する判定レポート作成手段と、
該判定レポート作成手段によって作成された該判定レポートを前記会員に提供する判定レポートフィードバック手段と
を、含むものである。
【0023】
本態様によれば、会員へコンタクトレンズを提供する際に、コンタクトレンズ提供と同時に又は先立って或いは別途に、当該会員に対して判定レポートを提供することにより、レンズ使用者に対して健全なレンズ使用を再認識させて、健全なレンズ使用の意識を高めることができる。また、眼状態に異常がある等してコンタクトレンズの提供が認められなかった場合に、その詳しい理由を報知することもできる。
【0024】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第六の態様は、前記第一~五の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えており、
該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定して該会員への前記レンズ要求信号が該店舗用コンピュータ装置に入力されるものである。
【0025】
本態様によれば、会員に対して複数種類のコンタクトレンズの何れかを効率的に且つ速やかに、安全性を確保しつつ、提供することが可能になる。また、複数種類のコンタクトレンズを状況等に応じて併用しているレンズ使用者について、レンズ店舗側において、レンズ使用者である各会員毎に各種類のコンタクトレンズの使用情報等をより適切に把握し、かかる情報を活用して、各会員に対してより適切な眼状態の管理や判定、更にはアドバイスなどのサービス提供の向上が図られ得る。
【0026】
すなわち、提供されるコンタクトレンズの多様化だけでなく、生活スタイルの多様化や高齢化などが進む現在や将来では、レンズ使用者は複数種類のコンタクトレンズを選択的に使用することを望む状況になりやすい。具体的には、職業ドライバーであり且つ趣味が読書やインターネット(コンピュータ)等で休日を屋内で過ごす生活スタイルであれば、平日の就業中は近視用のコンタクトレンズを装用する一方、休日には老視用や遠近両用のコンタクトレンズを装用することを望む状況が想定され得る。また、軽度の近視の成人で車通勤者であれば、平日は近視用のコンタクトレンズを装用する一方、車を運転しない休日はカラーコンタクトレンズやコスメティックタイプのコンタクトレンズの装用を望む状況が想定され得る。
【0027】
このようなレンズ使用者の要求に対して、本態様によれば、会員制によって使用状況をレンズ店舗側で管理した状況下において、複数レンズ関連付手段で当該会員に複数種類のコンタクトレンズを予め関連付けておくことにより、複数種類のコンタクトレンズを当該会員に対して、安全管理態勢のもとで効率的に提供することが可能になる。特に会員制を採用して、当該会員に対して複数種類のコンタクトレンズを紐付けて管理することで、複数種類のコンタクトレンズについて提供履歴や提供予想を含む提供状況を効率的に把握することができる。それ故、レンズ使用者が、異なる種類のコンタクトレンズを個別に購入して使用する場合に比して、レンズ店舗側において、レンズ使用者である各会員毎に各種類のコンタクトレンズの使用情報等をより適切に把握し、かかる情報を活用して、各会員に対してより適切な眼状態の管理や判定、更にはアドバイスなどのサービス提供の向上が図られ得る。
【0028】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第七の態様は、前記第一~六の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定して眼科医による診察を要求する信号が出力された際には、当該会員についての眼科医による診察の結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報の入力を条件として、且つ、要求された前記特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定したことを条件として、該店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力するものである。
【0029】
本態様によれば、コンタクトレンズの提供対象の会員について眼状態に異常が認められた場合について、その後のサポートが実現され得る。なお、眼科医の診察の結果と併せて、当該会員について眼検査情報を再取得して再度の眼状態判定を行うようにしても良い。
【0030】
コンタクトレンズの提供方法に関する本発明の第八の態様は、以下のとおりである。
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置を用い、予め登録された会員へコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、当該具体的種類のコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段と
を、備えており、
該店舗用コンピュータ装置に対して該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求する前記レンズ要求信号が入力された際に、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていると判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていないと判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていても、該店舗用コンピュータ装置が該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する段階を含む
コンタクトレンズ提供方法。
【0031】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、前記第一の態様に係るコンタクトレンズ提供方法と同様に、会員登録されたシステム上に登録されたレンズ店舗を窓口として、単に継続的なレンズ提供だけでなく、適正なレンズ使用状況の確認を含めた継続的なサポートを、高い信頼性と安心感をもって享受することが可能になる。なお、システム上に登録されたレンズ店舗は、複数存在しているが提供サービスや形態の共通化や統一などを図ることが容易であることから、登録会員は、例えば会員登録手続きを行ったレンズ店舗や自宅又は職場に最寄りのレンズ店舗などを窓口としてレンズ提供やサポートを受けることによって、当該会員に対して、サービスや手続き等について一定の質や安心感を抱かせつつ、利便性の向上が図られ得る。
【0032】
そして、会員から特定のコンタクトレンズの提供が要求された際には、当該会員におけるレンズ使用状況の適否を把握することができ、レンズ使用状況が不適正で安全基準を満たさない場合には、たとえ眼科医による処方箋の有効期間内であって、例えば要求された特定のコンタクトレンズが当該会員の処方箋情報による要件を満たしていることを処方箋要件判定手段が判定した場合であっても、直ちにコンタクトレンズを提供することなく、眼科医の診察を要求することとなる。これにより、眼科医の処方箋情報のみに基づいてコンタクトレンズを提供することによる不具合発生を未然に防ぐことができると共に、レンズ使用者への過度の負担を回避しつつ、眼の不具合の発生や進行を早い段階で抑えてレンズ使用者の健康状態を効率的に維持することも可能になる。
【0033】
特にレンズ使用者の使用状況の適否判定等を実施する主体が、眼科医等でなくレンズ店舗であるが故に、例えばレンズ使用者に提供されたコンタクトレンズについて処方箋に載らないが装用感などに影響を与える可能性のある情報(例えば、後述する材質やサグ値,保存液成分など)までも把握して、レンズ使用者における使用状況に反映することも可能であり、それによって会員毎のレンズ使用状況の把握や判定の精度や信頼性の向上が図られ得る。また、レンズ店舗がレンズ使用者の状況判定等を行うことで、眼科医毎で診察や診断が相違する傾向なども把握することも可能になり、例えば会員の状況に応じて適切な眼科医を指定して診察などを要求することで、異常が認められるレンズ使用者に対して一層適切な対応をとることも可能になる。
【0034】
また、各会員にとっても、継続してコンタクトレンズの提供を受けている窓口を持つレンズ店舗を通じて、会員としてコンタクトレンズを継続的に購入して使用しているだけで、使用状況を鑑みて検診などを要求されることから、馴染みがあって信頼感も抱ける環境下で、必要なコンタクトレンズを安心感をもって継続して使用し続けることができ、過度の負担増も避けることができる。
【0035】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第九の態様は、前記第八の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記レンズ使用情報取得手段が、前記会員毎に使用しているコンタクトレンズの具体的種類における過去の不使用期間情報を取得するレンズ不使用期間情報取得手段であり、
前記レンズ使用状況判定手段が、当該具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された安全期間を超えているか否かを判定するレンズ不使用期間判定手段であり、
前記店舗用コンピュータ装置に対して該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求する前記レンズ要求信号が入力された際に、
前記レンズ使用状況判定手段による該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしているか否かの判定として、該レンズ不使用期間判定手段による該会員の当該特定のコンタクトレンズの不使用期間が前記安全期間を超えているか否かの判定を含むものである。
【0036】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、レンズ使用状況の一つとして、特定のコンタクトレンズの不使用期間を考慮することができる。それ故、長期間に亘って当該特定のコンタクトレンズを使用していない会員に対しては、例えば何等かの不具合があったものと推定する等して、たとえ処方箋有効期間内でも眼科医の再診を要求して安全を期することが可能になる。特に使用状況の適否判定等を実施する主体が、眼科医等でなくレンズ店舗であるが故に、例えば会員毎に過去に提供したコンタクトレンズの具体的種類と数量,提供時期などを、店舗用コンピュータ装置によって効率的且つ正確に把握することが容易であり、それらの情報に基づいて使用状況の適否判定を効率的に且つ信頼性をもって行うことができる。なお、レンズ不使用期間判定手段において参照される安全期間は、全ての会員に対して等しい期間を設定することも可能であるが、安全に関係する事情として例えば会員毎の過去における異常等の発症状況や、使用状況、使用しているレンズ種類、会員の年齢などの事情を考慮して、会員毎に異なる安全期間を設定するようにしても良い。
【0037】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十の態様は、前記第九の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記レンズ不使用期間情報取得手段が、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関する具体的種類と提供時期を含むレンズ提供履歴情報を記憶するレンズ提供履歴記憶手段と、
該レンズ提供履歴記憶手段に記憶された該レンズ提供履歴情報に基づいて該会員における具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間を推定するレンズ不使用期間推定手段と
を、含むものである。
【0038】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、店舗用コンピュータ装置が管理できる各会員へのレンズ提供履歴情報を巧く利用して、特定会員におけるコンタクトレンズの不使用期間を効率的に推定することができる。即ち、例えば会員からの要求に応じて所定数のコンタクトレンズを提供する態様であれば当該会員のコンタクトレンズ使用頻度や不使用期間を推定できるし、例えば定期的に会員へ所定数のコンタクトレンズを提供する態様でも中断や延期,追加などの要求の有無などによって当該会員のコンタクトレンズ使用頻度や不使用期間を推定することができる。
【0039】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十一の態様は、前記第九又は十の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記レンズ不使用期間情報取得手段が、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズの具体的種類と使用時期に加えて該会員から提出されたレンズ使用履歴情報を記憶するレンズ使用履歴記憶手段と、
該レンズ使用履歴記憶手段に記憶された該レンズ使用履歴情報に基づいて該会員における具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間を決定するレンズ不使用期間決定手段と
を、含むものである。
【0040】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、会員から提出されたレンズ使用履歴情報を用いることで、レンズ不使用期間をより正確に把握して、レンズ使用状況判定手段による判定の精度や信頼性の向上が図られる。
【0041】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十二の態様は、前記第九~十一の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関して該会員から提出された不使用理由情報を記憶するレンズ不使用理由記憶手段と、
該不使用理由記憶手段に記憶された該不使用理由情報について安全レベルを判定する不使用理由判定手段と、
該不使用理由判定手段によって判定された安全レベルに応じて前記レンズ不使用期間判定手段による判定レベルを異ならせる判定レベル調節手段と
を、含むものである。
【0042】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、レンズ不使用期間判定手段による適否の判定レベルを、会員における不使用理由に応じて異ならせることによって、レンズ不使用期間判定手段による判定の精度や信頼性の更なる向上が図られ得る。具体的には、例えば単に生活状況の一時的変化によってコンタクトレンズが不要であったが故のレンズ不使用期間に比して、装用時の眼の違和感を理由にコンタクトレンズ使用を一時的に控えていたが故のレンズ不使用期間である場合には、レンズ不使用期間に関する安全レベルの判定ハードルを上げてより短期間の不使用期間で不適とされる。
【0043】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十三の態様は、前記第八~十二の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えており、
該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定して該会員への前記レンズ要求信号が該店舗用コンピュータ装置に入力されるものである。
【0044】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、例えば前記第六の態様に係るコンタクトレンズ提供方法のように、会員に対して複数種類のコンタクトレンズの何れかを効率的に且つ速やかに、安全性を確保しつつ、提供することが可能になる。また、複数種類のコンタクトレンズを併用等しているレンズ使用者について、レンズ店舗側でより適切に把握および管理することができて、必要な種類のコンタクトレンズを効率的に且つ確実に提供したり、より的確なサービスの提供も実現可能になる。
【0045】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十四の態様は、前記第十三の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記複数レンズ関連付手段が、「メーカー及び商品名を特定するレンズ種類」と「ベースカーブ」と「パワー」と「DIA」と「ADD」に加えて、「レンズ材質」と「サグ値」と「保存液成分」との少なくとも一つが異なるものを、種類の異なるコンタクトレンズとして関連付けるものである。
【0046】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、レンズ使用者においてコンタクトレンズの適合性や使用感などに影響を与える可能性がある要因であるものの、処方箋情報として把握困難な情報として「レンズ材質」や「サグ値」,「保存液成分」などを考慮することにより、会員のコンタクトレンズ使用状況の良否をより高い精度や信頼性をもって判定することが可能になる。しかも、処方箋情報として把握困難な情報は、コンタクトレンズを提供するレンズ店舗が利用する店舗用コンピュータ装置を用いることで容易且つ正確に取得して考慮することができる。
【0047】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十五の態様は、前記第一~十四の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求する前記レンズ要求信号が入力されるものである。
【0048】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、会員用コンピュータ装置と店舗用コンピュータ装置が接続されたネットワークシステムを利用することで、会員からのコンタクトレンズ提供の要求によるコンタクトレンズの継続的な取得や臨時的の取得などが一層容易に実現可能となる。
【0049】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十六の態様は、
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置を用い、予め登録された会員へコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か否かを判定する眼状態判定手段と、
前記会員毎にコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、かかるコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段と、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、使用しているコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段から取得した該処方箋情報による要件を満たしているか否かを該会員毎に判定する処方箋要件判定手段と
を、備えており、
前記店舗用コンピュータ装置に対して前記会員における判定レポート作成の要求信号が入力された際に、前記眼状態判定手段による判定結果と前記レンズ使用状況判定手段による判定結果と前記処方箋要件判定手段による判定結果とを含む判定レポートを出力する段階を含む
コンタクトレンズ提供方法である。
【0050】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、継続的にコンタクトレンズ提供を受けて使用している会員に対して、レンズ使用状況の適否などを客観的に評価した判定レポートを提供することにより、当該会員が安心してコンタクトレンズを使用し続けることを可能にし得る。また、会員がコンタクトレンズを継続して使用している状況下で、少しでも不安等を感じた場合に、それがわざわざ眼科医の診察を受けるまでもない状況でも、レンズ使用状況の良否を容易に且つ簡易に問い合わせることが可能になることから、例えば状況が更に悪化するより前に必要な対策をとることができて、深刻な不調を未然に又は軽症に抑えることにも寄与し得る。
【0051】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十七の態様は、前記第十六の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記レンズ使用情報取得手段が、前記会員毎に使用しているコンタクトレンズの具体的種類における過去の不使用期間情報を取得するレンズ不使用期間情報取得手段であり、
前記レンズ使用状況判定手段が、当該具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された前記安全基準としての安全期間を超えているか否かを判定するレンズ不使用期間判定手段であるものである。
【0052】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、例えば一時的な生活状況の変化や身体状態の変化などを理由としてコンタクトレンズを所定期間に亘って使用していない事情があった場合に、当該不使用期間を考慮して、レンズ使用状況の適否を判定することができる。なお、レンズ不使用期間判定手段において参照される安全期間は、前述の第八の態様と同様に、例えば会員毎の事情を考慮して、会員毎に異なる期間を設定しても良い。
【0053】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十八の態様は、前記第十六又は十七の態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への前記判定レポートの提供を要求する判定レポート要求信号が入力されるものである。
【0054】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、会員用コンピュータ装置と店舗用コンピュータ装置が接続されたネットワークシステムを利用することで、会員が判定レポートを一層容易に利用可能となる。
【0055】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第十九の態様は、前記第十六~十八の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法において、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えているものである。
【0056】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、会員に対して複数種類のコンタクトレンズを同時に効率的に関連付けて、レンズ店舗側で把握可能になり、それによって、例えば何れのコンタクトレンズについても他のコンタクトレンズを考慮しつつ、各会員のコンタクトレンズ使用状況の是非等を判定することができて、判定レポートの信頼性を確保しつつ、判定の効率化なども可能になる。
【0057】
コンタクトレンズ提供方法に関する本発明の第二十の態様は、前記第十六~十九の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供方法であって、
前記店舗用コンピュータ装置において、前記会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号の入力が、前記判定レポートの要求信号の入力を伴うと共に、
該判定レポートにおいて前記眼状態判定手段と前記レンズ使用状況判定手段と前記処方箋要件判定手段との少なくとも一つの判定結果が否定的である場合には、
該店舗用コンピュータ装置が、当該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力せず、且つ、当該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する段階を含むものである。
【0058】
本態様のコンタクトレンズ提供方法によれば、判定レポートの結果をコンタクトレンズ提供の判定に利用することで、レンズ使用状況が良好な場合には安心してコンタクトレンズを使用し続けることができる一方、レンズ使用状況に問題が認められる場合には問題が大きくなる前に対処等することが可能になる。
【0059】
コンタクトレンズ提供システムに関する本発明の第一の態様は、以下の通りである。
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置と、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の会員の利用にそれぞれ供されて、前記店舗用コンピュータ装置へネットワークシステムを通じて接続される複数の会員用コンピュータ装置と
を、含んで構成されたネットワークシステムからなるコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置が、前記会員を特定する会員ID情報と、該会員における眼検査情報と、該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号とを、前記店舗用コンピュータ装置に対して送信する手段を備えている一方、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記複数の会員について該会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、前記会員用コンピュータ装置から送信された前記眼検査情報を受信して取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段とを、備えており、
該店舗用コンピュータ装置が、前記会員用コンピュータ装置から前記会員ID情報および前記眼検査情報と共に前記レンズ要求信号を受信した際に、
該眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を正常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
該眼検査情報に基づいて前記眼状態判定手段が眼状態を異常と判定した場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する出力手段を備えている
コンタクトレンズ提供システム。
【0060】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、店舗用コンピュータ装置と会員用コンピュータ装置とのネットワークシステムを通じた情報通信を利用し、会員制のレンズ使用者に関して店舗用コンピュータ装置が取得した各種情報を活用することによって、処方箋情報からも取得し難い情報も利用して、レンズ使用者の安全を高い信頼性や安心感をもって確保しつつ、コンタクトレンズを継続的に且つ効率的に提供することが可能になる。また、本態様に係るコンタクトレンズ提供システムは、例えば前述のコンタクトレンズの提供方法に関する本発明の第一の態様において好適に用いられ、それによって当該第一の態様に係るコンタクトレンズの提供方法を効率的に実施可能と為し得る。
【0061】
コンタクトレンズ提供システムに関する本発明の第二の態様は、以下の通りである。
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置と、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の会員の利用にそれぞれ供されて、前記店舗用コンピュータ装置へネットワークシステムを通じて接続される複数の会員用コンピュータ装置と
を、含んで構成されたネットワークシステムからなるコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置が、前記会員を特定する会員ID情報と、該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号とを、前記店舗用コンピュータ装置に対して送信する手段を備えている一方、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、該会員毎に提供されるコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段に記憶された該処方箋情報による要件を満たしているか否かを判定する処方箋要件判定手段とに加えて、前記会員毎に過去に提供されたコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、当該具体的種類のコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段とを、備えており、
該店舗用コンピュータ装置が、前記会員用コンピュータ装置から前記会員ID情報および前記眼検査情報と共に前記レンズ要求信号を受信した際に、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていると判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定することを条件として、該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する一方、
前記レンズ使用状況判定手段により該会員の当該特定のコンタクトレンズの使用状況が前記安全基準を満たしていないと判定された場合には、要求された当該特定のコンタクトレンズが該会員の前記処方箋情報による要件を満たしていることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、該会員について眼科医による診察を要求する信号を出力する出力手段を備えている
コンタクトレンズ提供システム。
【0062】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、店舗用コンピュータ装置と会員用コンピュータ装置とのネットワークシステムを通じた情報通信を利用し、会員制のレンズ使用者に関して店舗用コンピュータ装置が取得した各種情報(特にレンズ使用情報)を活用することによって、処方箋情報からも取得し難い情報も利用して、レンズ使用者の安全を高い信頼性や安心感をもって確保しつつ、コンタクトレンズを継続的に且つ効率的に提供することが可能になる。また、本態様に係るコンタクトレンズ提供システムは、例えば前述のコンタクトレンズの提供方法に関する本発明の第七の態様において好適に用いられ、それによって当該第七の態様に係るコンタクトレンズの提供方法を効率的に実施可能と為し得る。
【0063】
コンタクトレンズ提供システムに関する本発明の第三の態様は、上記第二の態様に係るコンタクトレンズ提供システムにおいて、
前記レンズ使用情報取得手段が、前記会員毎に使用しているコンタクトレンズの具体的種類における過去の不使用期間情報を取得するレンズ不使用期間情報取得手段であり、
前記レンズ使用状況判定手段が、当該具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された前記安全基準としての安全期間を超えているか否かを判定するレンズ不使用期間判定手段であるものである。
【0064】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員制のレンズ使用者に関して店舗用コンピュータ装置が取得した過去の不使用期間情報を活用することによって、処方箋情報から取得し難い当該不使用期間情報を利用して、レンズ使用者の安全をより高い信頼性をもって確保しつつ、コンタクトレンズを継続的に提供することが可能になる。また、本態様に係るコンタクトレンズ提供システムは、例えば前述のコンタクトレンズの提供方法に関する本発明の第八の態様において好適に用いられ、それによって当該第八の態様に係るコンタクトレンズの提供方法を効率的に実施可能と為し得る。
【0065】
コンタクトレンズ提供システムに関する本発明の第四の態様は、上記第一又は二の態様に係るコンタクトレンズ提供システムにおいて、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えていると共に、
前記会員用コンピュータ装置が前記コンピュータ装置に対して送信する前記レンズ要求信号が、該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定する情報を含むものである。
【0066】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、例えばコンタクトレンズ提供方法に関する前記第六の態様や第十四の態様を容易に実施することができると共に、複数種類のコンタクトレンズを併用等しているレンズ使用者について、レンズ店舗側でより適切に把握および管理することができて、必要な種類のコンタクトレンズを効率的に提供したり、より的確なサービスの提供も実現可能になる。
【0067】
コンタクトレンズ提供システムに関する本発明の第五の態様は、以下の通りである。
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置と、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の会員の利用にそれぞれ供されて、前記店舗用コンピュータ装置へネットワークシステムを通じて接続される複数の会員用コンピュータ装置と
を、含んで構成されたネットワークシステムからなるコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置が、前記会員を特定する会員ID情報と、該会員における眼検査情報と、該会員における具体的種類ごとのコンタクトレンズの使用状況に関するレンズ使用情報と、該会員への判定レポートの作成を要求する判定レポート要求信号とを、前記店舗用コンピュータ装置に対して送信する手段を備えている一方、
前記店舗用コンピュータ装置が、
前記会員毎に眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、該眼検査情報取得手段で取得された該眼検査情報について予め設定された判定レベルにより眼状態が正常か否かを判定する眼状態判定手段と、
前記会員毎にコンタクトレンズに関して具体的種類ごとの使用状況に関するレンズ使用情報を取得するレンズ使用情報取得手段と、かかるコンタクトレンズの使用状況が予め設定された安全基準を満たしているか否かを判定するレンズ使用状況判定手段と、
前記会員毎に処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、使用しているコンタクトレンズが該処方箋情報記憶手段から取得した該処方箋情報による要件を満たしているか否かを該会員毎に判定する処方箋要件判定手段と
を、備えており、
該店舗用コンピュータ装置が、前記会員用コンピュータ装置から前記会員ID情報および前記眼検査情報と前記レンズ使用情報と共に前記判定レポート要求信号を受信した際に、前記眼状態判定手段による判定結果と前記レンズ使用状況判定手段による判定結果と前記処方箋要件判定手段による判定結果とを含む判定レポートを出力する手段を備えている
コンタクトレンズ提供システム。
【0068】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員制のレンズ使用者に関して店舗用コンピュータ装置が取得した各種情報を活用することで、継続的なコンタクトレンズの使用者に対して、コンタクトレンズ使用状況の適否に関する判定レポートを、客観的で高い信頼性をもって、容易に且つ速やかに提供することが可能になる。そして、かかる判定レポートを活用することで、レンズ使用者は、安心してコンタクトレンズを使用することができ、不具合の発生を未然に回避したり軽症段階で効率的に対処することも可能になる。また、本態様に係るコンタクトレンズ提供システムは、例えば前述のコンタクトレンズの提供方法に関する本発明の第十四の態様において好適に用いられ、それによって当該第十四の態様に係るコンタクトレンズの提供方法を効率的に実施可能と為し得る。
【0069】
コンタクトレンズ提供システムに関する本発明の第六の態様は、上記第五の態様に係るコンタクトレンズ提供システムにおいて、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記会員の何れかに対してそれぞれ前記処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えているものである。
なお、例えば、前記会員用コンピュータ装置が前記コンピュータ装置に対して送信する前記判定レポート要求信号が、該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れか又は全ての該コンタクトレンズを特定する情報を含むものであっても良い。
【0070】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員に対して複数種類のコンタクトレンズを同時に効率的に関連付けて、レンズ店舗側で把握可能になり、それによって、例えば何れのコンタクトレンズについても他のコンタクトレンズを考慮しつつ、各会員のコンタクトレンズ使用状況の適否等を判定することができて、判定レポートの信頼性が向上されると共に、判定の効率化なども図られ得る。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、継続してコンタクトレンズの提供を受けているレンズ店舗を窓口としてレンズ使用者の状況把握がなされることで、レンズ使用者としても信頼感と安心感をもって、単に継続的なレンズ提供だけでなく、継続的な健康状態確認を含めたサポートを受けることができる。そして、例えばコンタクトレンズを提供する際には、たとえ眼科医による処方箋の有効期間内であってもレンズ使用に何らかの懸念が認められる場合には、眼科医の診察等を要求して早期の対処を促すことが可能になる。
【0072】
特にレンズ使用者の状況判定等を実施する主体が、眼科医等でなく継続的且つ専属的にコンタクトレンズを提供するレンズ店舗であるが故に、例えば処方箋に載らない各種情報までも考慮して、レンズ使用者の状況把握や適否判定等に反映することも可能であり、それによって会員毎のレンズ使用状況の把握や判定の精度や信頼性の向上も図られ得る。
【0073】
また、各会員にとっても、継続的にコンタクトレンズ提供を受けているレンズ店舗を窓口とすることで、馴染みがあって信頼感も抱ける環境下で、必要なコンタクトレンズを安心感をもって継続して使用し続けることができ、精神的及び物理的な過度の負担増も避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明の実施形態に係るコンタクトレンズの提供システムの概要を示す説明図。
図2図1に示されたコンタクトレンズ提供システムを用いて本発明方法の実施形態であるコンタクトレンズ提供方法の一実施形態を実行する処理の概要をフローチャートで示す説明図。
図3図1に示されたコンタクトレンズ提供システムを用いて本発明方法の実施形態であるコンタクトレンズ提供方法の別の実施形態を実行する処理の概要をフローチャートで示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0076】
先ず、図1には、本発明に従うコンタクトレンズの提供方法を実施するために好適に採用される、本発明に従って構成されたコンタクトレンズの提供システムの一実施形態が、モデル的な概略図として示されている。
【0077】
本実施形態のコンタクトレンズ提供システムは、以下(ア),(イ)のコンピュータ装置を含んでおり、これら各複数の(ア)及び(イ)のコンピュータ装置は、インターネット回線などのネットワークシステム10によって相互に情報の送受信が可能に接続されている。
(ア) コンタクトレンズをレンズ使用者である会員へ提供する各レンズ店舗によって管理されて用いられる複数の店舗用コンピュータ装置12
(イ) レンズ使用者である各会員によって用いられる複数の会員用コンピュータ装置14
【0078】
なお、上記(ア)店舗用コンピュータ装置12を使用するレンズ店舗は、レンズの注文に対する提供の事業形態に応じて実体的且つ個別的に該当性が認識されるものであって、コンタクトレンズを販売する実店舗に限定されない。例えば、インターネット上の店舗を含む。実店舗とインターネット上の店舗の何れであっても、提供を受付及び/又は指示等する者であれば良く、実際にレンズを発送する発送主体(例えばメーカーや卸売店など)は別にあっても良い。また、例えばインターネット上の店舗が単に注文を受けるサイト等だけを有しており、そこで受け付けた注文信号によってレンズメーカーや中間流通を担うレンズ卸売業者などがコンタクトレンズの受注と発送の処理を実質的に担っているような場合には、インターネット上の店舗が実質上架空であって実体的には当該レンズメーカーやレンズ卸売業者がレンズ店舗と見做される態様も含まれ得る。また、業態によっては、インターネット上の店舗又は実店舗(リアル店舗)と、レンズメーカーやレンズ卸売業者等とを、機能的に一体的に把握することで全体としてレンズ店舗と見做される態様も含まれ得る。
【0079】
また、上記(ア)店舗用コンピュータ装置12としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。尤も、物理的に単一のコンピュータである必要はなく、データの保存管理や演算処理の効率,設備管理や設備コストなどを考慮して、例えば図示されているようにネットワークシステム10で相互に接続された店舗用クライアント装置16とサーバー18を含んで、店舗用コンピュータ装置12が構成され得る。
【0080】
かかる店舗用クライアント装置16は、ノートパソコンやタブレットなどによって構成され得る。サーバー18も、例えば情報を記憶する記憶手段22を備えたデータベースの他、演算処理を行う演算手段24を備えたものであっても良い。サーバー18を備える場合でも、記憶手段22や演算手段24の一部を店舗用クライアント装置16に負担させることができる。複数の店舗用コンピュータ装置12で1台のサーバー18を共用することもできるし、サーバー18は、例えば付加分散装置を介してネットワークシステム10に接続されて要求される処理を協働して分散処理する複数台のコンピュータ等で構成されていても良い。なお、サーバー18は、構成を限定されるものでなく、例えばオンプレミスサーバーでも共用サーバーでも良いし、共用タイプやクラウドタイプのサーバーでも良く、レンタルサーバーやVPS(Virtual Private Server)などで構成しても良い。サーバー18は、店舗用クライアント装置16からアクセス可能であれば良く、具体的な設置場所を限定されることもない。
【0081】
一方、上記(イ)会員用コンピュータ装置14としては、ノートパソコンやタブレットの他、携帯電話型端末装置等も利用可能である。かかる(イ)会員用コンピュータ装置14は、店舗用コンピュータ装置12との間で各種情報の送受信が可能なものであり、それによって商品(コンタクトレンズ)やサービス(判定など)の提供を受けるためのシステムとして機能するようになっている。例えば、店舗用コンピュータ装置12が、インターネット上でWebページを提供するWWWサーバーで構成されている場合には、会員用コンピュータ装置14が、インターネット上でWebページを閲覧するWWWブラウザが導入されて構成されることが望ましく、それによってコンタクトレンズ提供等のサービスを効率的に行うことが可能になる。
【0082】
なお、店舗用コンピュータ装置12と会員用コンピュータ装置14には、E-Mail等の通信ソフトが導入される等して、所定の通信プロトコルのもとで双方向の通信を行うサーバ・アンド・クライアントシステムとして相互に動作し得るようになっていることが望ましく、必要に応じて暗号化送受信ソフトが採用されて、相互の情報通信の便宜や安全性の向上が図られ得る。
【0083】
このようにネットワークシステム10で接続された(ア)店舗用コンピュータ装置12と(イ)会員用コンピュータ装置14を含むコンタクトレンズ提供システムを利用してコンタクトレンズの提供を受けるレンズ使用者は、予め会員としてシステム上に情報登録されることを想定している。即ち、会員登録されたレンズ使用者は、コンタクトレンズ提供システムを利用してコンタクトレンズの提供を継続的に受けて使用し続けることを想定しており、コンタクトレンズを継続的に使用し続けるに際して、当該会員に関するレンズ使用履歴などの各種情報が、店舗用コンピュータ装置12に蓄積されることとなる。
【0084】
なお、会員となるための登録手続きは、インターネット等のネットワークシステム10を介して店舗用コンピュータ装置12と会員用コンピュータ装置14との間での通信処理により、会員登録に必要な情報を店舗用コンピュータ装置12へ登録することによって行うことも可能である。尤も、新規に会員となるに際しては、過去にコンタクトレンズを使用していたか否かに拘わらず、少なくとも一回の眼科医による検診を要求して、店舗用コンピュータ装置12への処方箋情報の登録を要求することが望ましい。尤も、会員登録の要件として、眼科医の検診乃至は診察を必須要件とする必要はない。例えば、必要に応じて過去のコンタクトレンズ使用履歴やトラブル履歴等を参照しつつ、入会希望者について取得した後述の眼検査情報(1)や(2)に基づいて、会員登録に際して眼科医の診察等を要件とするか否かを判定しても良いし、入会希望者が入会前の所定期間内(例えば入会日や前日等)に眼科医の診察結果や処方箋を取得している場合に眼科医の診察等を要件とせずに会員登録するようにしても良い。
【0085】
また、新規に会員になるに際しては、必要に応じてコンタクトレンズの使用履歴なども考慮して、実店舗への来店による対面形式での対話やインターネット上の仮想店舗への来店等によるネットワークシステム10を介しての画像での対面形式での対話を要求して、コンタクトレンズの使用説明を担当者が直接に会員登録希望者へ行うことを要件としても良い。
【0086】
このような対面形式での対話を採用することで、単にテキストや画像で説明するよりも必要事項を確実に伝達できるし、各会員に対して精神的な信頼感や安心感を抱かせることができる。また、眼科医では説明困難な情報や知識を会員へ提供することも可能であり、例えば好ましい着脱方法や好ましい保存液や洗浄方法、装用感を考慮したレンズの素材や商品名の提案なども、個別の会員に対して、店舗の保有する情報や知識に基づいて、対面形式で効率的に且つ不安感を払拭しつつ提供することも可能である。
【0087】
このように会員を対象とするコンタクトレンズを提供する本実施形態のシステムでは、店舗用コンピュータ装置12(店舗用クライアント装置16と協働して店舗用コンピュータ装置12を構成するサーバー18)は、記憶手段22において、会員情報データベースを備えている。この会員情報データベースには、会員登録されたレンズ使用者の氏名,住所,生年月日,電話番号やメールアドレス等の連絡先,コンタクトレンズ配送先などの個人情報を記憶する。また、当該会員情報データベースには、会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12へアクセスする際に必要となるIDやパスワード等も記憶する。更に、利用することができるレンズ店舗として、提携等された複数のレンズ店舗が存在する場合には、各会員を特定店舗と紐付けておくことが望ましいことから、各会員と特定のレンズ店舗との関連付け情報を、会員情報の一つとして記憶する。
【0088】
また、店舗用コンピュータ装置12(サーバー18を含む、以下同じ)は、記憶手段22において、レンズ提供情報データベースを備えている。このレンズ提供情報データベースには、各会員に対して過去に提供したコンタクトレンズに関する情報を記憶する。かかる情報は、コンタクトレンズを過去に提供した時や数量,提供方法(店舗窓口か、宅配か等)の他、提供したコンタクトレンズの種類(近視矯正用,乱視矯正用,遠近両用など),商品名,規格(ベースカーブ,パワー(円柱度数や加入度数を含む),DIA,Ax(軸)等),サグ値(Sagittal Depth),材質などの具体的情報を含むことが望ましい。また、ウエアラブルDDS(Drag Delivery System)に用いられるコンタクトレンズでは、装用状態で放出する薬液などのレンズ保持成分の情報も含むことが望ましい。更に、コンタクトレンズの流通や保存に用いられるレンズ保存液や洗浄液などの組成も、コンタクトレンズに付属する情報として、含むことが望ましい。
【0089】
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶手段22において、処方箋情報データベースを備えている。この処方箋情報データベースには、各会員について眼科医の作成した処方箋の情報を記憶する。処方箋の名称や具体的記載の体裁等は、眼科医によって異なることから限定されないが、一般に当該会員について装用に問題ないとの診察所見が得られたコンタクトレンズについて、種類や規格(例えばベースカーブ,パワー,DIA)が記された書面(電子データを含む)とされる。処方箋情報は、処方箋の作成者や作成日の他、有効期限も含み、処方箋情報データベースに記憶される。
【0090】
なお、各会員について、眼科医によって使用が差し支えないことを確認された、処方箋で特定されるコンタクトレンズは単一である必要はない。例えば一つの処方箋により又は異なる処方箋により、異なる種類及び/又は規格のコンタクトレンズが処方箋情報として記憶されても良い。店舗用コンピュータ装置12は、記憶手段22において、複数種類のコンタクトレンズを同一の会員に対して関連付ける複数レンズ関連付情報データベースを備えている。そして、当該会員に対して提供可能なコンタクトレンズが同時期に複数種類ある場合には、それら複数種類のコンタクトレンズが同一の会員に対して関連付けられる。
【0091】
ここにおいて、同一の会員に対して関連付けられて同時期に提供可能とされる複数種類のコンタクトレンズは、一つの処方箋によって提供を許容される場合と、複数の処方箋によって提供を許容される場合との何れも含む。また、同一の会員に関連付けられる複数種類のコンタクトレンズは、処方箋で特定される種類や規格(例えばベースカーブ,パワー,DIA)が異なるものの他、処方箋で特定されない相違点を有するものを含む。具体的には、「レンズ材質」と「サグ値」と「保存液成分」とについて、たとえ処方箋では区別されていなくとも、これらの少なくとも一つが相違することで、同一会員について処方箋情報による要件を満たすが種類の異なるコンタクトレンズとして同時に関連付けて把握して、その使用や提供等を管理することによって、当該会員におけるコンタクトレンズ使用状況の把握や健康管理の精度および信頼性の向上が図られ得る。
【0092】
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶手段22において、眼検査情報データベースを備えている。この眼検査情報データベースには、会員からレンズ店舗(店舗用コンピュータ装置12)へ提供された当該会員の眼検査情報を記憶する。かかる情報は、問診形式やチェック形式(○×形式を含む)による自己申告情報からなる眼検査情報(1)と、眼を撮影した静止画や動画の画像情報からなる客観的な眼検査情報(2)とを、含むことが望ましい。これら眼検査情報(1),(2)は、例えばレンズ店舗内で会員から直接的に紙や電子媒体等を介して取得して店舗用コンピュータ装置12へ入力しても良いし、会員用コンピュータ装置14からネットワークシステム10を介して店舗用コンピュータ装置12へ送信入力しても良い。
【0093】
自己申告情報を含む眼検査情報(1)は、コンタクトレンズの継続的な使用に際しての悪影響の有無の確認に資する情報であって適宜に設定可能である。例えば、レンズ装用時における異物感の有無や程度、装用時の見え方について眩しさやかすみ等の有無や程度、従来と比較した近時における装用時の見え方の変化の有無や程度、昼間装用時と夜間装用時とにおける見え方の違いや程度、装用時における近方視,中間視,遠方視での見え方の違いや程度、充血や目脂などの主観的な眼状態の認識の有無や程度、身体的な健康状態に関する主観的な認識の有無や程度、近時における通院の有無や理由,近時における服薬の有無や理由などを項目として、眼検査情報(1)を取得することが考えられる。
【0094】
画像情報からなる客観的な眼検査情報(2)は、例えばレンズ店舗や会員が利用可能な各種施設、眼科医などにおいて撮影された画像情報を店舗用コンピュータ装置12へ入力する他、会員自身が所有する会員用コンピュータ装置14を用いて自身で撮影した画像情報を店舗用コンピュータ装置12へ送信しても良い。かかる画像情報は、例えばレンズ装用状態の左右各眼の静止画や、レンズ非装用状態の左右各眼の静止画の他、瞬目をした際の動画や、視線移動した際の動画などを含むことができる。このような動画は、例えばレンズの動きについて異常がないか等を確認することができて望ましい。また、起床時やレンズ装着直後の画像、所定時間に亘って装着した後の画像など、条件を特定して撮影した画像を含むようにしても良い。
【0095】
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶手段22において、レンズ使用情報データベースを備えている。このレンズ使用情報データベースには、各会員におけるコンタクトレンズの使用状況に関する情報を記憶する。具体的には、例えばコンタクトレンズの使用頻度(毎日,数日置き等)、一日の連続的な装用時間の他、睡眠時間などの情報を含むことができる。更に、かかるレンズ使用情報として、コンタクトレンズの不使用期間の有無と期間長を含んでも良い。例えばコンタクトレンズを所定期間以上に亘って装用しない状況が続いている場合には、コンタクトレンズ装用に際して何らかの異常や障害があったと推定できることから、レンズ不使用期間の情報取得は、装用状態の評価などに参照することもできて望ましい。
【0096】
かかるレンズ不使用期間の情報は、例えば該当する会員に対する過去のコンタクトレンズの提供日や数等の情報を、前述のレンズ提供情報データベースから取得することにより、例えば殆ど毎日使用を続けていること等を確認することによって取得することも可能である。また、会員毎に、提供されるコンタクトレンズの使用予定情報として、例えば5日/週の使用か、毎日の使用かなどの情報を、会員から取得してレンズ使用情報データベースなどに記憶しておくことも可能である。かかる予定情報と過去に提供したコンタクトレンズの実績情報とを照らし合わせることで、レンズ提供データベースから取得したレンズ不使用期間の情報の信頼性の向上を図るようにしても良い。
【0097】
一方、レンズ不使用期間の情報は、レンズ提供情報データベースからの取得に代えて又は加えて会員からの自己申告によってレンズ使用履歴情報として取得することも可能であり、それによってより詳細な又は信頼性の高い情報を取得できる。具体的には、所定期間におけるレンズ使用履歴情報を会員から提供を受けることにより、例えば連続した複数日に亘るレンズ不使用期間があった場合や、略定期的なレンズ不使用期間があった場合などには、暦上の不使用期間の具体的な日の情報を取得することができる。
【0098】
また、レンズ使用履歴情報を自己申告で取得する場合には、取得する情報として、レンズ不使用期間があった際に、レンズ不使用の理由についても併せて情報取得することが望ましい。レンズ不使用理由を取得することで、レンズ不使用期間の存在理由について、例えば単に視力矯正等のレンズ装用が不要な状況(体調不良で床に就いていた等)であったのか、或いは、充血などのレンズ装用を懸念する何らかの異常があったのかなどの情報を取得して、レンズ使用情報として記憶することもできる。そして、かかる理由に応じて、レンズ使用状況(レンズ不使用状況)について、コンタクトレンズ使用に関する適否の評価基準を異ならせることなども可能になり、評価の精度の向上を図ることもできる。
【0099】
なお、複数種類のコンタクトレンズの提供を並行して受けている会員では、レンズの不使用期間情報等を含むレンズ使用情報やレンズ不使用理由などについて、コンタクトレンズの種類毎に情報を取得して、レンズ使用情報データベースに記憶することが望ましい。
【0100】
さらに、各会員は、店舗用コンピュータ装置12に予め情報登録されることで、継続してコンタクトレンズの提供を受けて使用するレンズ使用者とされるが、会員登録の継続要件として会費の設定は任意である。例えば商品やサービスの提供の都度に会員に料金支払い義務を発生させて、継続的な会費を不要とすることも可能であるが、会員の便宜とレンズ店舗による会員の管理を効率化するには、継続的な会費(例えば月会費や年会費等)の支払いを要件とすることが望ましい。
【0101】
その際、各会員は、関連付けされた店舗に対して必要な会費を支払うようにしても良いが、会費の支払いを、クレジットカード会社を介して行わせることも可能であり、それによってレンズ店舗における会費管理の軽減が図られる。具体的には、例えば図1に示されているように、各会員について会費の受領と管理を行っているクレジットカード会社が存在する場合に、当該クレジットカード会社のコンピュータ(カード会社PC)30に対して店舗用コンピュータ装置12から情報の送受信を可能とし、店舗用コンピュータ装置12によって会員の会費支払いを確認できたことを要件として、当該会員への商品やサービスの提供を許可するようにしても良い。
【0102】
また、商品であるコンタクトレンズや保存液等の関連商品を各会員へ提供する際には、レンズ店舗から各会員に発送する他、レンズ店舗とは別会社であるレンズメーカーや流通業者等の発送元に対して各会員への発送を指示することなどによって対応し得る。その際、各種商品の管理や配送を、レンズ店舗とは実質的に異なる物流部門や発送元等の物流センターに行わせることも可能であり、それによってレンズ店舗における商品の管理や配送の労力軽減が図られる。具体的には、例えば図1に示されているように、コンタクトレンズ等の商品について在庫や管理,配送等を行っている物流センターが存在する場合に、当該物流センターのコンピュータ(物流センターPC)32に対して店舗用コンピュータ装置12からの情報の送受信を可能とし、店舗用コンピュータ装置12によって特定会員への特定商品の発送を指示したり、配送状況や配送履歴等の確認ができるようにしても良い。
【0103】
以上に説明したようなコンタクトレンズ販売システムにより、各会員に対してコンタクトレンズを提供する販売方法を実現する作動を、図2に示すフロー図に従って、以下に説明する。
【0104】
先ず、レンズ使用者が予め会員登録されたコンタクトレンズ販売システムを構成するレンズ店舗の店舗用コンピュータ装置12において、会員IDで特定される会員へのコンタクトレンズの提供アクションが開始される(S01)。かかるコンタクトレンズの提供アクションの開始に際しては、例えば店舗用コンピュータ装置12とカード会社PC30との情報送受信を利用する等して、対象会員について、会費の支払い等の要件を充足して会員資格を有効に保持していることを確認することが望ましい。
【0105】
なお、レンズ提供アクションの開始は、会員からレンズ店舗への要求によることも可能である。かかる要求は、例えばレンズ店舗を会員が現実に訪れて口頭や書面で行ったり、レンズ店舗に対して電話で会員ID番号等を伝えることで、担当者が店舗用コンピュータ装置12へレンズ提供アクションの開始信号を入力することによる他、会員用コンピュータ装置14からレンズ要求信号を店舗用コンピュータ装置12へレンズ提供アクションの開始信号を送信することで行うことも可能である。また、店舗用コンピュータ装置12において、予め組み込まれたプログラムにより、所定の期間毎に特定会員へのレンズ提供を要求する信号を発生させてレンズ提供アクションを開始させても良い。
【0106】
レンズ提供アクションが開始されると、ステップS02,03で、店舗用コンピュータ装置12において眼検査情報(1),(2)が取得されて記憶手段22に記憶される。かかる眼検査情報(1)は会員の自己申告情報を含み、眼検査情報(2)は画像情報を含むものであって、例えば会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12への情報送信によって実現されることは、前述のとおりである。
【0107】
続くステップS04で、店舗用コンピュータ装置12は、眼検査情報(1),(2)に基づいて、対象会員における眼状態が正常であるか否かを判定する。
【0108】
具体的には、例えば眼検査情報(1)に基づいて、自己申告された対象会員における具体的な状態(例えば異物感やかすみ、見え方など)が、予め設定された評価基準に比して、継続的なコンタクトレンズ使用に際して問題ない程度か、注意すべき程度か、差し支える程度かなどを判定することによって行うことができる。
【0109】
また、眼検査情報(2)に基づいて、撮像された対象会員における具体的な状態(例えば充血の程度や瞬目時のレンズ動き量など)が、予め設定された評価基準に比して、継続的なコンタクトレンズ使用に際して問題ない程度か、注意すべき程度か、差し支える程度かなどを判定することによって行うことができる。
【0110】
ステップS04における上述の眼検査情報(1),(2)に基づく判定に際しての評価基準は、限定されるものでないが、例えば眼検査情報(1)について自己申告データを段階数値とした場合に閾値等をもって設定することができるし、該当チェックポイントの総数等をもって設定することもできる。また、眼検査情報(2)について撮像した画像評価を対象として評価することで定量的で一層客観的な評価も可能になる。具体的には、例えば撮像した眼の色の程度や領域(画素数)の大きさ、動画では視線移動や瞬目に伴うレンズの動き,涙液層破壊時間(BUT)なども判定の評価対象となり得る。また、評価に際しては、眼科を含む医療分野において提案されている症状の評価スコアリング手法(例えば特開2021-81977号公報等参照)を利用して眼検査情報である画像やテキストの情報を評価することも可能であり、かかる評価基準としては、例えば有害事象共通用語基準(CTCAE)における眼障害グレード等に倣ってグレード評価の各閾値を設定するようにしても良い。また、多数の具体的な事例を対象として学習させたAIモデルを利用することで、眼検査情報(1),(2)に基づいて、眼状態の正常か否かを、必要に応じて複数段階で評価することも可能である。
【0111】
なお、ステップS04における眼状態判定に際しての評価基準は、会員毎に、過去のトラブル等の発生状況や、持病の有無、レンズ使用の期間、使用中のレンズの具体的種類などを考慮して、個別に設定することも可能である。
【0112】
そして、ステップS04における眼状態の判定結果として何等かの異常が認められた場合には、ステップS05において、作成される判定レポートに当該判定結果が反映されるように判定レポートの作成項目に情報記憶されると共に、ステップS06において、眼科医の診察を要求する出力処理が実行される。かかる処理は、眼科医の診察を要求する情報を、例えば店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14へ送信する等して、該当する会員へ通知することによって行うことができる。
【0113】
一方、ステップS04における眼状態の判定結果として正常とされた場合(考慮する程の異常が認められなかった場合を含む)には、ステップS07で、店舗用コンピュータ装置12においてレンズ使用情報が取得されて記憶手段22に記憶される。かかるレンズ使用情報は、当該会員におけるレンズ使用状況の適否についての判定資料となる情報である。具体的には、例えば一日当たり及び/又は所定期間内のコンタクトレンズ装用時間や、所定期間内のレンズ装用日数の他、所定期間内の平均睡眠時間の他、目薬等の使用程度や、眼科検診の有無などをレンズ使用情報として、好適には会員からの自己申告情報として、例えば会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12への情報送信によって取得することができる。なお、かかるレンズ使用情報は、前述の眼検査情報(1)等と併せて同時に取得することも可能である。
【0114】
続くステップS08で、店舗用コンピュータ装置12は、レンズ使用情報に基づいて、対象会員におけるレンズ使用状況が適切であるか否かを判定する。具体的には、例えば一日当たりのコンタクトレンズ装用時間の長さや睡眠時間の長さなどの複数項目をポイント式に評価してポイント総数をもって判定することが可能である。
【0115】
そして、ステップS08でレンズ使用状況が、継続したコンタクトレンズ使用に際して不適切であると判定された場合には、前記ステップS04で眼状態に異常が認められた場合と同様に、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS05で判定レポートの作成項目に当該情報(判定結果)を記憶すると共に、ステップS06で眼科医の診察の要求処理を実行する。
【0116】
かかるレンズ使用情報とそれに基づく使用状況の判定に際して、例えばステップS09~12に示すように、コンタクトレンズの不使用期間に関する情報を利用することも可能である。当該会員に適合するとして登録された具体的種類のコンタクトレンズについて、長期間に亘る不使用な状況があった場合には、そこに何等かのレンズ使用上の問題が存在していると推定できるし、また、長期間に亘って使用されていない状況では、レンズ適合性の判断時から眼状態を含む体調が変化して適合性の再確認が好ましいと考えられるケースもあるからである。
【0117】
レンズ不使用期間に基づく使用状況の判定は、具体的には、例えばステップS09において、店舗用コンピュータ装置12の記憶手段22に記憶されたレンズ提供情報を用いて客観的情報として取得することも可能である。例えば、会員からのレンズ提供の要求に応じてコンタクトレンズを提供している場合であって、会員からのレンズ提供の要求が所定期間に亘って無い状況のように、経過日数からレンズ提供情報に記憶されたレンズ提供数を減算処理することで、所定期間内のコンタクトレンズ不使用期間を推定することができる。
【0118】
より好適には、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS09と併せて又は代えて、ステップS10で所定期間におけるコンタクトレンズの使用履歴情報を対象会員からの自己申告情報として取得する。必要に応じて、ステップS09で取得したレンズ不使用期間の推定値を照合して、自己申告情報を確認したうえで、対象会員におけるコンタクトレンズの不使用期間を決定することも可能である。
【0119】
また、ステップS11において、所定期間におけるコンタクトレンズの不使用期間が存在する場合には、当該期間におけるコンタクトレンズ不使用の理由を、自己申告情報として取得して、店舗用コンピュータ装置12のレンズ使用情報の一つとして記憶することが望ましい。レンズ不使用の理由が、例えば単に生活状況の一時的変化等でコンタクトレンズが不要であったのか、眼の違和感を理由にコンタクトレンズ使用を一時的に控えていたのか等の理由によって、続くステップS12における適否判定に際しての閾値を異ならせることが有効である。
【0120】
そして、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS12において、対象会員に認められたコンタクトレンズ不使用期間がその後のコンタクトレンズ使用の安全性に問題が無い程度か否かを判定する。
【0121】
かかるステップS12における判定結果が、対象会員におけるコンタクトレンズ不使用期間の存在について、その後のコンタクトレンズ使用に看過できない程度であるとされた場合には、前記ステップS04で眼状態に異常が認められた場合と同様に、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS05で判定レポートの作成項目に当該情報(判定結果)を記憶すると共に、ステップS06で眼科医の診察の要求処理を実行する。
【0122】
一方、前記ステップS08においてレンズ使用状況が適正であり、ステップS12において予め設定された安全期間を超過するようなレンズ不使用期間の存在も認められない場合には、店舗用コンピュータ装置12は、対象会員におけるコンタクトレンズの使用状況が現時点において良好であると判定する。
【0123】
そして、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS13において、対象会員の処方箋情報を取得し、続くステップS14において、処方箋要件を充足するか否かを判定する。具体的には、例えばステップS01でレンズ提供を要求されたコンタクトレンズの諸元が、処方箋で指定された内容と合致していることや、当該処方箋が有効期限に達していないことなどを確認する。
【0124】
なお、対象会員について、複数種類のコンタクトレンズに関する複数の処方箋情報が存在する場合には、店舗用コンピュータ装置12の記憶手段22に予め記憶された複数レンズ関連付情報によって、それら複数の処方箋情報が対象会員に対して関連付けられて複数レンズ関連付手段が構成されている。それ故、対象会員が、特定種類のコンタクトレンズの提供を要求する場合に、他の種類のコンタクトレンズも当該会員に関連付けられていても、店舗用コンピュータ装置12は、問題なく該当するコンタクトレンズの処方箋情報を参照し得る。また、眼検査情報やレンズ使用情報,レンズ不使用期間情報等に基づいて、対象会員の眼状態や使用状況などを判定する際には、必要に応じて、複数種類のコンタクトレンズについて種類毎に情報を取得することで、例えば何れの種類のコンタクトレンズ使用が異常等の原因になっている可能性があるか等といった点まで考慮することが可能になり、判定精度の向上を図ることも可能になる。
【0125】
かかるステップS14において、処方箋要件を充足しないと判定された場合には、前記ステップS04で眼状態に異常が認められた場合と同様に、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS05で判定レポートの作成項目に情報記憶すると共に、ステップS06で眼科医の診察の要求処理を実行する。
【0126】
一方、ステップS14において処方箋要件を充足すると判定された場合には、続くステップS15で、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS01で要求されたコンタクトレンズについて対象会員への提供を指示するレンズ提供信号を出力する。
【0127】
なお、店舗用コンピュータ装置12は、レンズ提供信号を出力すると共に、会員用コンピュータ装置14に対してコンタクトレンズを提供することを決定した旨の通知や、コンタクトレンズ提供の予定日、提供するコンタクトレンズの具体的種類などを情報送信しても良い。また、店舗用コンピュータ装置12は、コンタクトレンズの提供処理が完了した信号が入力されると、レンズ提供信号の出力と併せて、提供したコンタクトレンズの具体的種類や数量,提供日時等を、特定会員へ関連付けて、記憶手段22に記憶する。
【0128】
かかるレンズ提供信号の出力は、例えば店舗用コンピュータ装置12のモニタ上への表示や、プリントアウトの他、担当者の携帯型端末への信号送信などによって為され得る。また、例えば店舗用コンピュータ装置12から物流センターPC32に対して対象会員への特定商品の発送を指示する情報を送信することによって行っても良い。かかるレンズ提供信号の出力は、提供するコンタクトレンズを具体的に特定する情報の他、提供対象である会員を具体的に特定し得る情報を含む。
【0129】
また、前記ステップS04,S08,S12,S14における判定要件の少なくとも一つを満たさずに、前記ステップS06で眼科医の診察を要求した場合には、続くステップS16において、店舗用コンピュータ装置12が、対象会員について、診察の結果情報を取得する。
【0130】
かかる診察の結果情報の取得に際しては、例えばその後のコンタクトレンズ提供を、会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12への結果情報の送信を要件とする等して、対象会員が自発的に診察の結果情報を提供するようにしても良い。また、ステップS06で診察の要求をしてから所定期間の経過後に、店舗用コンピュータ装置12が、対象会員に対して会員用コンピュータ装置14との通信によって結果を問い合わせても良い。また、対象会員について、かかりつけ眼科医の情報が予め会員情報として登録されている場合等には、当該眼科医が利用する眼科医用コンピュータ装置からネットワークシステム10を通じて、診察の結果情報を、店舗用コンピュータ装置12が取得することも可能である。なお、店舗用コンピュータ装置12への診察の結果情報の送信に対応した眼科医用コンピュータ装置を備えた特定の眼科医を紹介する眼科医紹介情報を、対象会員の会員用コンピュータ装置14に対して、眼科医診察の要求(S06)と併せて又は要求に応じて別途に、店舗用コンピュータ装置12から送信するようにしても良い。
【0131】
そして、店舗用コンピュータ装置12は、続くステップS17において、取得した診察の結果情報に基づいて、ステップS04,S08,S12,S14で為された、コンタクトレンズの継続使用に関する否定的な判定結果が解消されたか否か(問題解消の有無)を判別する。かかる判別は、例えば眼科医がコンタクトレンズの使用が問題無いと診断したか否かを基準とすることができる。
【0132】
かかるステップS17において、コンタクトレンズの継続使用に関する否定的な判定結果の解消が認められた場合には、ステップS15に進み、前述のように店舗用コンピュータ装置12は当該会員に対するコンタクトレンズの提供を指示する処理を実行する。
【0133】
一方、ステップS17において、コンタクトレンズの継続使用に関する否定的な判定結果が維持された場合には、ステップS18に進み、対象会員について経過観察の処理とされ、要求されたコンタクトレンズの提供を否定する信号を出力する。かかるレンズ提供拒否の信号の出力は、例えば店舗用コンピュータ装置12のモニタ上への表示や、プリントアウトの他、店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14への情報送信などによって為され得る。
【0134】
かかる経過観察の処理に際しては、店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14へ送信する情報において、例えば眼科医の診察に際して指摘された適切な治療や適切な期間経過の後に、眼科医の再診察を要求する指示を含ませても良い。かかる再診察の要求指示を含ませた場合には、例えばコンタクトレンズの継続使用に問題が認められなくなるまでステップS16-18に従って眼科医の所見を参照しつつ経過を観察する処置が実行され得る。
【0135】
上述のようにして会員がコンタクトレンズの再提供を受けることにより、当該会員が予め関連付けされて継続してサービスを受けている特定のレンズ店舗を介してコンタクトレンズの提供を受けることができる。そして、コンタクトレンズの提供を受ける際には、当該レンズ店舗の責任でコンタクトレンズの提供の可否を審査して判定することとなる。それ故、例えば単に処方箋期限内であることの確認をもってコンタクトレンズを継続して提供し続けるような場合に比して、各会員の安全を有効に且つ効率的に確保しつつ、認められた会員へは宅配によるコンタクトレンズの再提供に対応することで良好な利便性を達成し得るのである。
【0136】
特にレンズ店舗は、客観的な画像情報を参考にして眼状態の正常性を判定(S04)することから、単に会員の主観的な問診回答だけで眼状態の正常性を判定する場合に比して、判定精度の向上が図られ得る。また、レンズ使用状況の判定に際して、過去のコンタクトレンズ使用状況を考慮したり、必要に応じてレンズ不使用理由を考慮(S12)することで、近時の客観的事実を参照してレンズ使用状況の適否判定の精度の向上が図られ得る。
【0137】
さらに、上述のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員が複数種類のコンタクトレンズに関連付けられて複数種類のコンタクトレンズを並行的に提供を受けることが可能である。それ故、例えば各会員について、生活や趣向の多様化などに伴って、勤務中と勤務外とで異なる種類のコンタクトレンズを使い分けたり、状況に応じて異なる種類のコンタクトレンズを使い分けたりすることを欲するような場合にも、会員に対する複数種類のコンタクトレンズの提供の効率的な処理や管理が実現可能になる。また、店舗用コンピュータ装置12は、会員が一つの種類のコンタクトレンズの提供を要求する際にも、他の種類のコンタクトレンズの装用状況までも考慮することが容易となることから、会員のレンズ使用状況などの判定の精度向上等も効率的に実現可能になる。
【0138】
加えて、上述のコンタクトレンズ提供システムでは、眼状態やレンズ使用状況,レンズ不使用期間,処方箋要件についてそれぞれ判定した結果を反映して判定レポートが作成されることから、かかる判定レポートを、必要に応じて対象会員及び/又は診察を担当する眼科医等へ提供することも可能である。
【0139】
また、かかる判定レポートを、コンタクトレンズ提供と併せて対象会員へ提供すれば、会員に対して、レンズ使用状況の適切さの再確認と、適切なレンズ使用の意識の再認識を促すことにもつながる。一方、眼科医診察の要求と併せてレポート提供すれば、会員に対して問題の所在をより明確に認識させることにつながり、より適切なコンタクトレンズ使用に務めさせる契機ともなり得る。
【0140】
そして、このような判定レポートの提供は、コンタクトレンズ使用者において主観的にも客観的にも有意義であることから、会員であることのメリット感の向上や、レンズ店舗とのつながり感や信頼感、信用等の向上に関して効果が大きい。それ故、既存の会員が会員状態を継続する意識の増大や再確認にもつながり、結果としてより多くのコンタクトレンズ使用者を適切な使用状況に導き得る社会的効果も達成され得る。
【0141】
なお、店舗用コンピュータ装置12は、判定レポートの内容も含めて、記憶手段22において対象会員を特定して情報記憶しておくことが望ましい。また、会員用コンピュータ装置14は、会員情報や判定レポートの内容、提供されたコンタクトレンズの履歴情報など、必要に応じて店舗用コンピュータ装置12にアクセスして情報閲覧できるようにしても良い。
【0142】
ところで、判定レポートの作成は、図2に示す上述の実施形態のフローでは、会員に対するコンタクトレンズの再提供に際して実行されるようになっていたが、かかる判定レポートの作成と会員への提供(フィードバック)を、レンズ再提供の処理から独立して実行するようにしても良い。その具体的な処理フローの一実施形態を、図3に示す。なお、図3では、前記実施形態と同様な処理には、図2と同一のステップ符号を付することにより、詳細な説明を省略する。
【0143】
すなわち、会員への判定レポートの提供サービスは、例えばステップS01′において、会員からの要求により、又は定期的なスケジュール処理により、店舗用コンピュータ装置12が現状の判定レポート作成の開始信号を受けることで開始される。
【0144】
そして、店舗用コンピュータ装置12は、判定レポート作成の開始信号を受けたら、(i)眼検査情報(1),(2)に基づく眼状態の判定(ステップS02-04),(ii)レンズ使用情報に基づくレンズ使用状況の判定(ステップS07-08),(iii)レンズ不使用期間情報に基づくレンズ不使用期間適否の判定(ステップS09-12),(iv)処方箋情報に基づく処方箋要件の充足性の判定(ステップS13-14)を行ない、その結果を反映した判定レポートを作成する(ステップS05a,05b)。その後、ステップS19において、かかる判定レポートを、例えば店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14への情報送信により、或いは店舗用コンピュータ装置12が印刷出力した書面の会員への送付等により、対象会員に対して提供することで情報のフィードバック処理を実行する。
【0145】
なお、上記(i)~(iv)の判定について、判定フローや判定対象等は限定されるものでない。例えば、かかる(i)~(iv)の判定について少なくとも一つを行うようにしても良く、例えば会員が判定対象を選択可能にしても良いし、判定ステップの順番も任意であって限定されない。また、かかる判定に際しては、対象会員における過去のコンタクトレンズ提供情報や、過去の判定レポート、眼科医診察の要求に関する情報など、店舗用コンピュータ装置12の記憶手段22が有する各種情報のうちで任意のものを併せて提供しても良い。
【0146】
このような判定レポートを会員に提供することで、会員は現状におけるコンタクトレンズの使用状況の適否や今後のコンタクトレンズの使用上の留意点などを、個人状況に応じて確認することが可能になる。その結果、個人状況に応じたコンタクトレンズ使用のサポートの向上にもつながり、コンタクトレンズ使用者の安全性への意識の向上が図られるだけでなく、継続的にコンタクトレンズ提供を受けているレンズ店舗への信頼性や安心感の向上も図られ得る。
【0147】
以上、本発明に従うコンタクトレンズの提供システムおよび提供方法について、具体的な実施形態を示しつつ詳述してきたが、本発明はかかる実施形態に限定して解釈されるものでない。
【0148】
例えば、眼状態の判定(S04),使用状況の判定(S08),不使用期間の判定(S12),処方箋要件の判定(S14)は、その判定処理をどのような順序で行っても良い。また、不使用期間の判定(S12)は、使用状況の判定(S08)の一態様と認識できることから、使用状況の判定(S08)と不使用期間の判定(S12)との両者を必ず実施する必要はなく、例えば何れか一方の判定だけを行うようにしても良い。
【0149】
また、本発明が適用されるコンタクトレンズは、具体的種類について限定されるものでなく、近視用や老視用,近視抑制用,カラーコンタクトレンズ,コスメティックレンズなど、各種のコンタクトレンズが対象とされ得る。
【0150】
なお、上述の説明から明らかなように、前記実施形態では、図2,3に示された各フローを順次に実行するための各コンピュータ装置におけるハードウェアとソフトウェアの協働によって、各情報の送受信手段や特定条件の判定手段などが構成されており、ハードウェアとしては前述の如きコンピュータや携帯端末等の情報記憶手段を備えた各種のプログラム実行処理装置が具体的構造によって限定されることなく採用され得る。
【0151】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様は、本発明の趣旨を逸脱しないかぎり、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0152】
10 ネットワークシステム
12 店舗用コンピュータ装置
14 会員用コンピュータ装置
16 店舗用クライアント装置
18 サーバー
22 記憶手段
24 演算手段
30 カード会社PC
32 物流センターPC
図1
図2
図3