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  • 特開-空冷式パッケージ型気体圧縮機 図1
  • 特開-空冷式パッケージ型気体圧縮機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034902
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】空冷式パッケージ型気体圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20240306BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F04B41/00 Z
F04C29/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139464
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚博
(72)【発明者】
【氏名】原島 寿和
(72)【発明者】
【氏名】角 知之
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】時野 祐吾
【テーマコード(参考)】
3H076
3H129
【Fターム(参考)】
3H076BB07
3H076BB22
3H076CC99
3H129AA02
3H129AA03
3H129AA09
3H129AA18
3H129AA23
3H129AB02
3H129BB12
3H129CC46
(57)【要約】
【課題】 モータへの冷却風の確保と、モータ周辺部における圧力損失の低減をさせた空冷式パッケージ型気体圧縮機を提供する。
【解決手段】 圧縮機本体と、圧縮機本体を駆動するモータと、ファンを駆動することで、吸気口から冷却風を通す吸気ダクトとを有し、吸気ダクトの出口は、モータへ冷却風を流すモータ側出口と、ファンへ冷却風を流すファン側出口とを有する空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体と、
前記圧縮機本体を駆動するモータと、
ファンを駆動することで、吸気口から冷却風を通す吸気ダクトとを有し、
前記吸気ダクトの出口は、
前記モータへ冷却風を流すモータ側出口と、前記ファンへ冷却風を流すファン側出口とを有する空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記モータ側出口の断面積は、前記ファン側出口の断面積よりも大きい空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記吸気口は、背面側に配置され、
前記吸気ダクトは前記モータの背面側に配置され、
前記圧縮機本体と前記モータの軸は同一方向で、
前記モータと前記圧縮機本体は仕切板で仕切られており、
前記ファンが前記モータの側面側にある空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項4】
請求項3に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記モータ側出口の断面積は、前記モータの側面と前記ファンの底面との間の断面積よりも大きい空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項5】
請求項3に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記モータの側面と前記ファンの底面との間の断面積は、前記ファン側出口の断面積より大きい空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項6】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記吸気口の断面積は、
前記ファン側出口の断面積よりも大きく、
前記吸気口の断面積は、
前記モータ側出口の断面積よりも大きい空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項7】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記モータ側出口の断面積と前記ファン側出口の断面積の和が、前記吸気口の断面積よりも大きい空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項8】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記ファンの中心軸と前記モータが交差し、
前記ファンの吸気口の直径が、前記モータの軸方向長さ以上である空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項9】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記吸気ダクトは、
前記モータ側出口付近において、折り曲げ部を有する空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項10】
請求項9に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記吸気ダクトは、
面取りの形状を有する空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項11】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記吸気口は、側面側に配置され、
前記吸気ダクトは前記モータの背面側に配置され、
前記圧縮機本体と前記モータの軸は同一方向であり、
前記モータと前記圧縮機本体は仕切板で仕切られており、
前記ファンが前記モータの側面側にある空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【請求項12】
請求項1に記載の空冷式パッケージ型気体圧縮機において、
前記吸気ダクトは、
前記吸気口から前記モータ側出口に向かって断面積が大きくなる形状を有する空冷式パッケージ型気体圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷式パッケージ型気体圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空冷式パッケージ型圧縮機では圧縮機やモータの駆動等によってパッケージ内部で発生した騒音が外部へ漏れないようにするため、パッケージの吸気口付近にダクトを設けることが多い。このダクトを以下では吸気ダクトと呼称する。例えば、特許文献1には、冷却風の流路であって吸気口からパッケージ内へ延びる吸気経路の少なくとも一部を構成する吸気ダクト部材を備える、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-4561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸気構造は、吸気口をパッケージの高さ方向の概ね全長程度まで確保することで吸気口付近の圧力損失を低減している。しかし、特許文献1では、全ての冷却風がモータ周辺の空間を通過するため、モータの周辺部における圧力損失が大きくなりやすい懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、モータへの冷却風の確保と、モータ周辺部における圧力損失の低減をさせた空冷式パッケージ型気体圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例としては、圧縮機本体と、前記圧縮機本体を駆動するモータと、ファンを駆動することで、吸気口から冷却風を通す吸気ダクトとを有し、
前記吸気ダクトの出口は、
前記モータへ冷却風を流すモータ側出口と、前記ファンへ冷却風を流すファン側出口とを有する空冷式パッケージ型気体圧縮機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータへの冷却風の確保と、モータ周辺部における圧力損失の低減をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の空冷式パッケージ型空気圧縮機を背面側から見た斜視図である。
図2】実施例1の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。
図3】実施例2の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。
図4】実施例3の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。
図5】実施例4の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。
図6】実施例5の空冷式パッケージ型空気圧縮機を背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の空冷式パッケージ型空気圧縮機の実施例について、以下に、図を参照しつつ説明する。
【実施例0010】
図1は、実施例1による空冷式パッケージ型空気圧縮機を背面側から見た内部構成を含む斜視図である。パッケージ(筐体)1の内部には、空冷式パッケージ型空気圧縮機の各構成部品が配置される。パッケージ1内に収納された圧縮機本体2は、モータ3によって駆動される。モータ3はファン4で吸引した空気で冷却される。
【0011】
ファン4は、ファンモータ5によって駆動される。ファンモータ5は、ファンモータ架台6によって支えられている。
【0012】
冷却のための空気は、吸気口7から吸気され、吸気ダクト8を通りパッケージ1内へ取り込まれる。ファン4によって吸引された空気は、クーラ9を通り、排気口10から排気される。冷却のための空気を通す部材としての吸気ダクト8は、モータ3の背面側に配置される。モータ3と圧縮機本体2とは仕切り板11で仕切られており、ファン4がモータ3の側面側に配置される。モータ3、ファンモータ5は制御盤12内に収められた回路によって制御されている。
【0013】
図2は、実施例1における空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。吸気ダクト8の出口には、吸気ダクトのモータ側出口13と吸気ダクトのファン側出口14の2箇所がある。吸気ダクトのモータ側出口13があることで、吸気口7からパッケージ内へ流入した冷却風はモータ側流路15に流れる。また、吸気ダクトのファン側出口14があることで、吸気口7からパッケージ内へ流入した冷却風はファン側流路16に流れる。つまり、吸気口7からパッケージ内へ流入した冷却風は、モータ側流路15とファン側流路16の2つの流路へ別れることとなる。
【0014】
モータ側流路15の役割はモータ3への冷却風の確保である。モータ側流路15を通る冷却風は吸気ダクトのモータ側出口13から流出したのち、モータ3に対し上下方向から回り込むように流れ、ファン吸気口19に吸い込まれる。
【0015】
一方で、ファン側流路16を流れる冷却風は、吸気ダクトのファン側出口14から流出したのち、モータ3の側面とファン4の底面の間の空間17を流れ、ファン吸気口19へ吸い込まれる。
【0016】
本実施例では、モータ側流路15に加えて、ファン側流路16が設けられることで、吸気ダクト8からファン4までの流路にショートパスを設けることができる。そのため、吸気ダクト8の出口が一つのみの場合と比べてモータ3の周辺の圧力損失が低下する。これに加えて、吸気ダクト8の出口が増えることで、ファン4が吸入する冷却風を増加させることが可能である。
【0017】
この吸気ダクト8の構造に関して、より好ましい条件を述べる。まず、モータ側流路15はモータ3の冷却に用いるため、モータ側流路15を通る冷却風の量はファン側流路16よりも多くすればよい。これを実現するために、吸気ダクトのモータ側出口13の断面積は、吸気ダクトのファン側出口14の断面積や、モータ3の側面とファン4の底面との間の空間17の断面積よりも大きくする。なお、図2において、3か所に矢印で示したのは、それぞれ、モータ側出口13における長さ、ファン側出口14における長さ、モータ3の側面とファン4の底面との間の長さを示すための矢印である。
【0018】
このような構造とすることでモータ側流路15の断面積を、ファン側流路16の断面積よりも大きくすることができるので、モータ側流路15を通る冷却風が、ファン側流路16を通る冷却風よりも多くなる。
【0019】
次に、ファン側流路16に関して、流路の縮小による圧力損失の増加を防ぐため、モータ3の側面とファン4の底面との間の空間17の断面積は、吸気ダクトのファン側出口14の断面積よりも大きくする。
【0020】
また、吸気口7から吸気ダクトのモータ側出口13と吸気ダクトのファン側出口14へ分流することによる圧力損失が増加しないように、吸気口7の断面積は、吸気ダクトのモータ側出口13の断面積や、吸気ダクトのファン側出口14の断面積よりも大きくする。
【0021】
さらに、吸気ダクトのモータ側出口13の断面積とファン側出口14の断面積の合計を、吸気口7の断面積よりも大きくすることで、吸気ダクト内の流路が縮小しないので圧力損失を減らすことができる。
【0022】
さらに、上記のような空冷式パッケージ型空気圧縮機において、ファン4の中心軸18とモータ3とを交差させ、ファン吸気口19の直径が、モータ3の軸方向長さ以上とすることで、モータ側流路15を通る冷却風が、モータ3の全面に当たるため、冷却能力を向上させることができる。
【0023】
本実施例によれば、吸気ダクトの出口が、モータ側出口と、ファン側出口とを有することで、吸気ダクトにおける冷却風の流れをモータ側流路とファン側流路とにすることができる。そのような構成により、モータ側流路15でモータ3への冷却風を確保し、ファン側流路16で吸気口からファンに対し冷却風をショートパスさせることにより、必要十分なモータへの冷却風を確保しながら、パッケージ内全体の冷却風量を増加させることが可能である。よって、本実施例によれば、冷却風の流路をモータ3の周辺部以外の場所にも設けることになり、モータ3への冷却風の確保と、モータ3の周辺部における圧力損失の低減を両立させた圧縮機が実現できる。
【実施例0024】
図3は、実施例2の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。実施例1と同じ構成については説明を省略する。本実施例が、実施例1と異なるところは、吸気ダクト8において、吸気ダクトのモータ側出口13付近に、空冷式パッケージ型空気圧縮機の正面方向に折り曲げられた折り曲げ部30を有する点である。図3では、吸気ダクトのモータ側出口13付近の吸気ダクト8は、空冷式パッケージ型空気圧縮機の背面から見てパッケージ1の右側面、および右側面付近に配置された吸気ダクト8の側面に対してほぼ平行になるように折り曲げられている。
【0025】
本実施例によれば、実施例1と同様な効果を有するとともに、吸気ダクト8を折り曲げることによって、モータ3で発生する駆動音は吸気ダクト8で遮音されるので、駆動音が外に漏れないようにすることができる。
【0026】
なお、図3では吸気ダクトのモータ側出口13付近に折り曲げ部30を有しているが、吸気ダクトのファン側出口14付近に折り曲げ部を設けた場合は、ファンで発生する音を遮音することができる。両方の効果を得るために、吸気ダクトのモータ側出口13と吸気ダクトのファン側出口14の両方に折り曲げ部を備えてもよい。
【実施例0027】
図4は、実施例3の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。実施例2と同じ構成については説明を省略する。本実施例が、実施例2と異なるところは吸気ダクト8に面取り20がある点である。
【0028】
本実施例によれば、実施例2と同様な効果を有するとともに、面取り20を設けることによって吸気ダクト8内において流れの剥離が少なくなり、吸気ダクトの圧力損失を減らすことができる。
【実施例0029】
図5は、実施例4の空冷式パッケージ型空気圧縮機の内部構成を示す図である。実施例2と同じ構成については説明を省略する。本実施例が、実施例2と異なるところは、吸気口7がパッケージ1の背面側ではなく、側面にあることである。
【0030】
本実施例によれば、実施例2と同様な効果を有するとともに、吸気口7を、パッケージ1の側面に設けることで、パッケージ1の背面側を壁に密着させて配置することができ、空冷式パッケージ型空気圧縮機の設置に必要な空間を小さくすることができる。
【実施例0031】
図6は、実施例5の空冷式パッケージ型空気圧縮機を背面側から見た内部構成を含む斜視図である。実施例1から実施例3までと同じ構成については説明を省略する。実施例2と異なるところは吸気ダクト8が、吸気口7から吸気ダクトのモータ側出口13に向かって断面積が徐々に大きくなっていく点である。ここでは、吸気ダクト8の高さをモータ側出口13に近づくほど高くするようにしている。
【0032】
本実施例によれば、実施例2と同様な効果を有するとともに、吸気ダクト8の断面積を大きくしていく構造をとることで、騒音低減のために吸気口7の面積を抑えながらモータ3の上面側と底面側を包むようにモータ冷却風を流すことが可能になる。
【0033】
以上,複数の実施例に関して述べたが,本発明は上記の例に限定されるものではない。例えばパッケージ1内の構造が前後、上下、左右に反転していてもよい。本発明は吸気口の形状に依存せず、吸気ダクト8やファン4の吸気面の断面形状にもよらない。
【0034】
上記した実施例では、圧縮機本体2はスクリュー式圧縮機を例に説明したが、スクロール式、レシプロ式、ターボ式の圧縮機でもよい。また、給油式圧縮機を例に説明したが、無給油式や水冷式でもよい。
【0035】
同様に上記した実施例では、ファン4はターボファンを例に説明したが、シロッコファンやプロペラファンでもよい。
【0036】
そのほか、騒音対策のためにパッケージ1、吸気ダクト8または仕切り板11に吸音材を貼付けてもよく、パッケージ1内に流入する冷却風の不純物を除去するために吸気口7にフィルターがあってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…パッケージ、2…圧縮機本体、3…モータ、4…ファン、7…吸気口、8…吸気ダクト、13…吸気ダクトのモータ側出口、14…吸気ダクトのファン側出口、17…モータ側面とファン底面の間の空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6