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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034912
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240306BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65G1/04 551Z
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139479
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
(72)【発明者】
【氏名】武野 敬輔
(72)【発明者】
【氏名】新田 聡
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
【Fターム(参考)】
3F022AA07
3F022EE05
3F022HH02
3F022JJ11
3F022LL12
3F022MM13
3F022MM42
3F022MM52
3F022NN38
3F022NN50
3F022NN57
3F022QQ17
5F131AA02
5F131AA10
5F131BA13
5F131BA19
5F131CA32
5F131CA39
5F131CA52
5F131CA55
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA37
5F131DA42
5F131DC02
5F131DC04
5F131DC05
5F131DC21
5F131DC22
5F131DC23
5F131GA14
5F131GA24
5F131GA32
5F131GA33
5F131GA73
5F131GB02
5F131GB13
5F131GB22
5F131GB25
5F131GB28
5F131GB29
5F131HA04
(57)【要約】
【課題】設備のコストが小さく、物品の搬送を効率的に行うことができる物品搬送設備を実現する。
【解決手段】物品搬送設備は、予め定められた走行経路1に沿って走行して物品を搬送する搬送車2と、任意の経路を飛行して物品を搬送する無人航空機3と、物品に対する処理を行う処理装置4に対応して設けられ、処理装置4の処理対象となった物品の受け渡しが行われる受渡部5と、走行経路1に沿う位置に配置され、物品を保管する保管部6と、を備え、搬送車2は、保管部6への物品の搬入、及び、保管部6からの物品の搬出を行い、無人航空機3は、保管部6と受渡部5との間での物品の搬送を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた走行経路に沿って走行して物品を搬送する搬送車と、
任意の経路を飛行して前記物品を搬送する無人航空機と、
前記物品に対する処理を行う処理装置に対応して設けられ、前記処理装置の処理対象となった前記物品の受け渡しが行われる受渡部と、
前記走行経路に沿う位置に配置され、前記物品を保管する保管部と、
を備え、
前記搬送車は、前記保管部への前記物品の搬入、及び、前記保管部からの前記物品の搬出を行い、
前記無人航空機は、前記保管部と前記受渡部との間での前記物品の搬送を行う、物品搬送設備。
【請求項2】
複数の前記無人航空機と、複数の前記受渡部と、複数の前記保管部とを備え、
前記搬送車は、複数の前記保管部の間での前記物品の搬送を行い、
複数の前記保管部のそれぞれについて、1つ以上の前記受渡部との対応関係が設定されており、
複数の前記無人航空機のそれぞれは、前記対応関係が設定された前記保管部と1つ以上の前記受渡部との間で前記物品の搬送を行う、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記保管部は、前記無人航空機が離着陸すると共に着陸した前記無人航空機が待機する待機場所を有する、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
複数の前記無人航空機を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、少なくとも1つの前記受渡部及び少なくとも1つの前記保管部を含む搬送エリアを複数設定すると共に、複数の前記搬送エリアのそれぞれについて、当該搬送エリアで前記物品の搬送を担当する少なくとも1つの前記無人航空機を設定する、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記制御装置は、
複数の前記搬送エリアのそれぞれでの前記無人航空機による前記物品の搬送に関する繁忙度を算出し、
複数の前記搬送エリアでの前記繁忙度が設定値に近づくように、複数の前記搬送エリアのそれぞれで前記物品の搬送を担当する前記無人航空機の数を設定する、請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記制御装置は、前記処理装置が前記物品の処理を完了して前記受渡部における前記物品の引き取りを要求してから、前記無人航空機によって当該物品が引き取られるまでに要した時間である第1時間、及び、前記処理装置が前記物品の処理を行うために前記受渡部における前記物品の受け取りを要求してから、前記無人航空機によって前記物品が前記受渡部に搬送されてくるまでに要した時間である第2時間の少なくとも一方の平均値を前記繁忙度として算出する、請求項5に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記制御装置は、1つの前記搬送エリアである第1搬送エリアと前記第1搬送エリアとは異なる前記搬送エリアである第2搬送エリアとの間に、前記無人航空機の飛行を禁止する飛行禁止エリアを設定しており、
前記搬送車は、前記物品の搬送に加えて、前記第1搬送エリアと前記第2搬送エリアとの間での前記無人航空機の搬送を行う、請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
複数の前記無人航空機を制御する制御装置を更に備え、
前記走行経路における、前記搬送車が前記保管部への前記物品の搬入及び前記保管部からの前記物品の搬出を行う場合に停止する位置を搬送車停止位置とし、前記保管部における前記搬送車との前記物品の受け渡しが行われる位置を移載位置として、
前記制御装置は、前記搬送車が前記搬送車停止位置を含む特定範囲内にある場合には、前記移載位置、及び、前記搬送車停止位置よりも前記搬送車の進行方向前方の一定範囲への前記無人航空機の進入を禁止する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項9】
前記保管部は、前記物品を保管する保管位置を複数備え、
複数の前記保管位置のうちの一部は、前記搬送車による前記物品の搬入及び搬出が行われる移載可能位置であり、複数の前記保管位置のうちの残りの一部は、前記搬送車による前記物品の搬入及び搬出の双方が行われない移載不能位置であり、
前記無人航空機は、前記移載可能位置と前記移載不能位置との間での前記物品の移動を行う、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項10】
前記走行経路に沿う方向を経路延在方向とし、上下方向視で前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
前記保管部は、前記経路延在方向に並ぶ複数の前記保管位置により構成される列状保管位置群を複数備え、
複数の前記列状保管位置群が、上下方向及び前記経路幅方向の少なくとも一方に並んで配置されている、請求項9に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた走行経路に沿って走行して物品を搬送する搬送車と、物品に対する処理を行う処理装置に対応して設けられ、処理装置の処理対象となった物品の受け渡しが行われる受渡部と、走行経路に沿う位置に配置され、物品を保管する保管部とを備える物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。
特許文献1(特開2019-94201号公報)に記載の物品搬送設備は、予め定められた走行経路(搬送経路99)に沿って走行して、半導体基板などの処理対象物である物品を搬送する搬送車(1)を備える。各処理装置(91)は搬送車(1)の走行経路(99)に沿って設けられる。搬送車(1)は、処理装置(91)への物品の搬入及び処理装置(91)からの物品の搬出を行う。処理装置(91)は、半導体基板などの処理対象物に対して各種の処理を行う。そして、処理対象物に対する処理が複数の処理装置において順に行われることで、最終的に製品が得られる。
【0003】
また、特許文献1に記載の物品搬送設備には、物品を保管する保管庫(92)及び一時保管所(93)も設けられている。保管庫(92)及び一時保管所(93)は、搬送車(1)の走行経路(99)に沿う位置に配置され、搬送車(1)は、保管庫(92)及び一時保管所(93)との間でも物品の受け渡しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-94201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような従来の物品搬送設備では、搬送車(1)の走行経路(99)に沿う位置には、処理装置(91)を設けるのに加えて、保管庫(92)及び一時保管所(93)などの保管部を設ける必要がある。そして、処理装置(91)及び保管部(92、93)などを設置できる領域、即ち、走行経路(99)に沿う領域を多くするためには、例えば搬送車(1)の走行経路(99)を長くすることなどが必要になり、設備のコストが大きくなるという問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載のような従来の物品搬送設備では、搬送車(1)が、処理装置(91)との間での物品の受け渡し、保管部(92、93)との間での物品の受け渡し、並びに、処理装置(91)及び保管部(92、93)などの間での物品の搬送を担う。つまり、搬送車(1)には多くの役割が求められる。そのため、処理装置(91)が物品の処理を即座に開始できるようになってから搬送車(1)によって物品が処理装置(91)に搬入されるまでの間に多くの待ち時間が発生したり、処理装置(91)で物品の処理が完了してから搬送車(1)によって物品が処理装置(91)から搬出されるまでの間に多くの待ち時間が発生したりする場合があり得た。
【0007】
上記実状に鑑みて、設備のコストが小さく、物品の搬送を効率的に行うことができる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、
予め定められた走行経路に沿って走行して物品を搬送する搬送車と、
任意の経路を飛行して前記物品を搬送する無人航空機と、
前記物品に対する処理を行う処理装置に対応して設けられ、前記処理装置の処理対象となった前記物品の受け渡しが行われる受渡部と、
前記走行経路に沿う位置に配置され、前記物品を保管する保管部と、
を備え、
前記搬送車は、前記保管部への前記物品の搬入、及び、前記保管部からの前記物品の搬出を行い、
前記無人航空機は、前記保管部と前記受渡部との間での前記物品の搬送を行う点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、処理装置及びそれに対応して設けられる受渡部が、搬送車の走行経路から離れた位置に配置されたとしても、無人航空機が、保管部と受渡部との間での物品の搬送を行うことができる。つまり、処理装置及びそれに対応して設けられる受渡部が搬送車の走行経路に沿う領域に設けられていなくてもよい。その結果、搬送車の走行経路の設置コストが低減される。
加えて、処理装置において物品が必要になった場合又は処理装置における物品の処理が完了した場合に、搬送車の到着を待つことなく、無人航空機により迅速に物品を搬送できる。従って、保管部と受渡部との間での物品の搬送効率を高め易く、延いては、処理装置による物品の処理効率を高め易い。
従って、設備のコストが小さく、物品の搬送を効率的に行うことができる物品搬送設備が実現される。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物品搬送設備のレイアウトの一例を示す平面図
図2】物品搬送設備の制御ブロック図
図3】搬送車の側面図
図4】保管部の平面模式図
図5】保管部の平面模式図
図6】保管部の側面模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
本実施形態に係る物品搬送設備について図面を参照して説明する。図中には、互いに直交する3つの方向である、経路延在方向X、経路幅方向Y、及び、上下方向Zを記載している。経路延在方向Xは走行経路1に沿う方向(図4及び図5では、走行経路1の直線部分に沿う方向)であり、経路延在方向Xの一方側を経路延在方向第1側X1と記載し、その反対側を経路延在方向第2側X2と記載している。経路幅方向Yは上下方向視で経路延在方向Xに直交する方向(ここでは、経路延在方向Xに直交する水平方向)であり、経路幅方向Yの一方側を経路幅方向第1側Y1と記載し、その反対側を経路幅方向第2側Y2と記載している。上下方向Zについても、下側Z1及び上側Z2を記載している。
【0013】
物品搬送設備は、予め定められた走行経路1に沿って走行して物品12を搬送する搬送車2と、物品12に対する処理を行う処理装置4に対応して設けられ、処理装置4の処理対象となった物品12の受け渡しが行われる受渡部5と、走行経路1に沿う位置に配置され、物品12を保管する保管部6とを備える。搬送車2は、保管部6への物品12の搬入、及び、保管部6からの物品12の搬出を行う。また、搬送車2は、受渡部5との間で物品12の受け渡しを行ってもよい。加えて、物品搬送設備は、任意の経路を飛行して物品12を搬送する無人航空機3を備える。無人航空機3は、保管部6と受渡部5との間での物品12の搬送を行う。
【0014】
図示する例では、物品搬送設備は、複数の無人航空機3と、複数の受渡部5と、複数の保管部6とを備える。尚、物品搬送設備が備える搬送車2、無人航空機3、処理装置4、受渡部5及び保管部6のそれぞれの数は適宜設定可能である。
【0015】
図2に示すように、物品搬送設備は制御装置8及び物品搬送設備で取り扱われる情報を記憶する記憶装置9を備える。制御装置8は、複数の無人航空機3及び複数の搬送車2を制御する。
【0016】
〔処理装置〕
処理装置4は、例えば露光処理やエッチング処理などの各種の処理を行うための半導体処理装置である。その場合、物品搬送設備では、半導体基板の材料とされるウエハや、半導体基板の製造過程においてウエハの露光処理に用いられるレチクルなどを収容する容器が物品12として搬送される。例えば、レチクルは、レチクルポッドと呼ばれる専用の容器に収容された状態で搬送される。また、ウエハは、いわゆるFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれる専用の容器に収容された状態で搬送される。処理装置4には受渡部5が設けられ、搬送される物品12は受渡部5を経由して処理装置4に搬入及び処理装置4から搬出される。或いは、収容対象物(ウエハやレチクルなど)が、受渡部5に置かれた物品12から取り出されて処理装置4に搬入され、処理装置4から搬出された収容対象物が、受渡部5に置かれた物品12に収容される。搬送車2が受渡部5との間で物品12を受け渡しする場合の搬送車2の動作は、後述するような搬送車2が保管部6との間で物品12を受け渡しする場合の搬送車2の動作と同様である。
【0017】
〔搬送車〕
搬送車2は、複数の保管部6の間での物品12の搬送を行うことができる。物品搬送設備に設けられる搬送車2の台数は1台又は複数台など、適宜変更可能である。本実施形態で説明する搬送車2は、空間の天井側に設置されたレール等の走行経路1を伝って走行する、所謂、天井搬送車である。
【0018】
図3に示すように、搬送車2は、走行部20と、車体本体部24と、これら走行部20及び車体本体部24を連結する連結部23とを備えている。走行部20は、走行経路1の上側Z2に配置されている。車体本体部24は、連結部23により走行部20に対して連結されて、走行経路1の下側Z1に配置されている。加えて、搬送車2は、保持部25に保持された状態の物品12を覆うカバー部28を備えている。
【0019】
走行部20は、走行経路1上を転動する複数の走行輪21を有している。複数の走行輪21のうち少なくともいずれかは、走行用モータ22により駆動されて走行経路1上を転動する。
【0020】
搬送車2の車体本体部24は、物品12を吊り下げ姿勢で保持する保持部25と、保持部25を昇降させる昇降装置27とを有する。
【0021】
保持部25は、物品12の被把持部を把持することにより、物品12を保持するように構成されている。保持部25は、物品12の被把持部を把持する一対の把持爪25a(図3では一方のみを図示)を有している。一対の把持爪25aは、把持用モータ(図示せず)により駆動されて、互いに接近する方向に移動して物品12を把持する把持姿勢と、互いに離間する方向に移動して物品12の把持を解除する解除姿勢と、に変更自在に構成されている。
【0022】
昇降装置27は、保持部25及びそれに保持された物品12を昇降させる。本実施形態では、昇降装置27は、保持部25に連結された昇降用ベルト27bと、昇降用ベルト27bが巻回される昇降用ドラム27cと、昇降用ドラム27cを回転駆動する昇降用モータ27aとを有している。昇降用モータ27aによって昇降用ドラム27cが回転駆動されることにより、昇降用ベルト27bの巻き取り又は繰り出し、即ち、保持部25の昇降が行われる。
【0023】
〔保管部〕
図4図6に示すように、保管部6は、物品12を保管する保管位置6aを複数備える。搬送車2の下側Z1には保管部6の保管位置6aが存在しており、搬送車2はその保管位置6aとの間で物品12の搬入及び搬出を行うことができる。つまり、本実施形態では、搬送車2が走行する走行経路1の下側Z1に位置する保管位置6aが、搬送車2による物品12の搬入及び搬出が行われる移載可能位置13になる。ここで、「走行経路1の下側Z1」は、走行経路1よりも下側Z1であって上下方向視で走行経路1と重複する位置を意味する。例えば、搬送車2は、昇降装置27によって移載可能位置13に対して上側Z2から保持部25を下降させて移載可能位置13との間で物品12の受け渡しを行うことができる。
【0024】
本実施形態では、複数の保管位置6aのうちの一部は、搬送車2による物品12の搬入及び搬出が行われる移載可能位置13であり、複数の保管位置6aのうちの残りの一部は、搬送車2による物品12の搬入及び搬出の双方が行われない移載不能位置14である。図4に示す例では、移載不能位置14は、移載可能位置13から見て経路幅方向第2側Y2に位置している。
【0025】
搬送車2の昇降装置27は上下方向Zに沿って保持部25を昇降させるため、走行経路1の下側Z1に位置する保管位置6aが移載可能位置13になり、走行経路1の下側Z1に位置しない保管位置6aが移載不能位置14になる。尚、無人航空機3は、移載可能位置13と移載不能位置14との間での物品12の移動を行うことができる。或いは、無人航空機3は、移載可能位置13にある物品12を受渡部5へ搬送してもよい。
【0026】
図6に示す例では、保管部6は、複数の保管段31を備えている。そして、最上段の保管段31における走行経路1の下側Z1に位置する保管位置6aが、移載可能位置13であり、それ以外の保管位置6aは、移載不能位置14である。このように、本例では、最上段以外の段の保管段31における走行経路1の下側Z1に位置する保管位置6aは、移載不能位置14である。尚、最上段以外の段の保管段31における走行経路1の下側Z1の位置に、後述する待機場所7を設けてもよい。また、例えば、搬送車2が保持部25を経路幅方向Yに移動させる機構を備える場合に、最上段以外の段の保管段31に移載可能位置13が設けられる構成や、各段の保管段31に移載可能位置13が設けられる構成としてもよい。
【0027】
保管部6は、経路延在方向Xに並ぶ複数の保管位置6aにより構成される列状保管位置群30を複数備え、複数の列状保管位置群30が、上下方向Z及び経路幅方向Yの少なくとも一方に並んで配置されている。図6では、保管部6において、複数の列状保管位置群30が、上下方向Z及び経路幅方向Yの両方に並んで配置されている。言い換えると、保管部6は、複数の列状保管位置群30が経路幅方向Yに並んで配置される保管段31を複数有し、複数の保管段31は上下方向Zに並んで配置されている。
【0028】
また、図1図4、及び図5に示すように、保管部6は、無人航空機3が離着陸すると共に着陸した無人航空機3が待機する待機場所7を有する。待機場所7は無人航空機3が着陸するための専用の場所であり、待機場所7に物品12が保管されることはない。待機場所7には、例えば無人航空機3が有するバッテリーへ給電するための給電設備を設けてもよい。その場合、無人航空機3が待機場所7に着陸している間、無人航空機3は自身のバッテリーへの充電を行うことができる。
【0029】
〔搬送車及び無人航空機の動作〕
図1に示すように、制御装置8は、少なくとも1つの受渡部5及び少なくとも1つの保管部6を含む搬送エリア10を複数設定すると共に、複数の搬送エリア10のそれぞれについて、搬送エリア10で物品12の搬送を担当する少なくとも1つの無人航空機3を設定する。図1に示す例では、2つの保管部6と、2つの処理装置4及び2つの受渡部5とを備える第1搬送エリア10A、並びに、2つの保管部6と、2つの処理装置4及び2つの受渡部5とを備える第2搬送エリア10Bが設定されている。このように、複数の保管部6のそれぞれについて、1つ以上の受渡部5との対応関係が設定されている。そして、複数の無人航空機3のそれぞれは、対応関係が設定された保管部6と1つ以上の受渡部5との間で物品12の搬送を行う。つまり、無人航空機3は、担当する搬送エリア10に含まれる保管部6と受渡部5との間での物品12の搬送を行う。本実施形態では、無人航空機3は、担当する搬送エリア10に含まれる複数の保管部6の間での物品12の搬送は行わず、担当する搬送エリア10に含まれる複数の受渡部5の間での物品12の搬送を行わない。
【0030】
尚、人が立ち入るエリアで無人航空機3が飛行すると、人(作業者等)と無人航空機3とが衝突する可能性があり危険である。そのため、図1に示す例では、制御装置8は、1つの搬送エリア10である第1搬送エリア10Aと第1搬送エリア10Aとは異なる搬送エリア10である第2搬送エリア10Bとの間に、無人航空機3の飛行を禁止する飛行禁止エリア11を設定している。そのため、飛行禁止エリア11に人が立ち入った場合でも、人と無人航空機3との衝突は発生しない。
【0031】
図1の飛行禁止エリア11には、処理装置4及び受渡部5が含まれている。この場合、制御装置8は、飛行禁止エリア11に含まれる受渡部5との間での物品12の搬送は搬送車2に行わせる。
【0032】
人と無人航空機3との衝突を防止するのに加えて、搬送車2と無人航空機3との衝突も防止する必要がある。例えば、移載可能位置13の付近では搬送車2及び無人航空機3の両方が動作することを考慮すると、移載可能位置13の付近で搬送車2と無人航空機3との衝突が発生する可能性がある。本実施形態では、そのような衝突を防止するため、図5に示すように、走行経路1における、搬送車2が保管部6への物品12の搬入及び保管部6からの物品12の搬出を行う場合に停止する位置を搬送車停止位置15とし、保管部6における搬送車2との物品12の受け渡しが行われる位置を移載位置16として、制御装置8は、搬送車2が搬送車停止位置15を含む特定範囲17内にある場合には、移載位置16、及び、搬送車停止位置15よりも搬送車2の進行方向前方(経路延在方向第1側X1へ向かう方向)の一定範囲(即ち、図5に示す範囲18)への無人航空機3の進入を禁止する。
【0033】
上述のように、各無人航空機3は、定められた搬送エリア10内で物品12の搬送を行うが、各搬送エリア10での無人航空機3に対する単位時間当たりの物品12の搬送要求の数が大幅に異なることもある。そのため、無人航空機3に対する単位時間当たりの物品12の搬送要求の数が多い搬送エリア10には多くの無人航空機3を配置し、無人航空機3に対する単位時間当たりの物品12の搬送要求の数が少ない搬送エリア10には少ない無人航空機3を配置する等の処置を行うことが好ましい。そのため、制御装置8は、複数の搬送エリア10のそれぞれでの無人航空機3による物品12の搬送に関する繁忙度を算出する。
【0034】
例えば、制御装置8は、処理装置4が物品12の処理を完了して受渡部5における物品12の引き取りを要求してから、無人航空機3によって当該物品12が引き取られるまでに要した時間である第1時間、及び、処理装置4が物品12の処理を行うために受渡部5における物品12の受け取りを要求してから、無人航空機3によって物品12が受渡部5に搬送されてくるまでに要した時間である第2時間の少なくとも一方を記憶装置9に記憶しておき、所定期間での第1時間及び第2時間の少なくとも一方の平均値を繁忙度として算出する。
【0035】
例えば、搬送エリア10で物品12の搬送を担当する無人航空機3の数が、その搬送エリア10での単位時間当たりでの物品12の搬送要求の数に比べて比較的少ない場合、上述した第1時間及び第2時間の少なくとも一方の平均値(繁忙度)は比較的大きな値になる。それに対して、搬送エリア10で物品12の搬送を担当する無人航空機3の数が、その搬送エリア10での単位時間当たりでの物品12の搬送要求の数に比べて比較的多い場合、上述した第1時間及び第2時間の少なくとも一方の平均値(繁忙度)は比較的小さな値になる。このように、単位時間当たりでの物品12の搬送要求の数に対して無人航空機3の数が過剰であるか或いは過少であるかが、繁忙度に現れる。
【0036】
そして、制御装置8は、複数の搬送エリア10での繁忙度が設定値に近づくように、複数の搬送エリア10のそれぞれで物品12の搬送を担当する無人航空機3の数を設定する、即ち、各搬送エリア10で物品12の搬送を担当する少なくとも1つの無人航空機3を設定し直す。例えば、制御装置8は、この設定値を複数の搬送エリア10の全てで同じ値にする。一例を挙げると、制御装置8は、第1搬送エリア10Aでの上述した第1時間及び第2時間の少なくとも一方の平均値(繁忙度)が設定値よりも小さく、且つ、第2搬送エリア10Bでの上述した第1時間及び第2時間の少なくとも一方の平均値(繁忙度)が設定値よりも大きい場合、第1搬送エリア10Aで物品12の搬送を担当していた無人航空機3の1台を、第2搬送エリア10Bで物品12の搬送を担当させるといった形で、各搬送エリア10で物品12の搬送を担当する少なくとも1つの無人航空機3を設定し直す。
【0037】
或いは、制御装置8は、複数の搬送エリア10の間で無人航空機3を移動させるのではなく、別に用意して待機させていた(即ち、稼働させていなかった)無人航空機3を新たに稼働させることで、特定の搬送エリア10で物品12の搬送を担当する無人航空機3の数を増加させることもできる。或いは、制御装置8は、特定の搬送エリア10で物品12の搬送を担当していた無人航空機3を、新たに待機させる(即ち、稼働させないようにする)ことで、特定の搬送エリア10で物品12の搬送を担当する無人航空機3の数を減少させることもできる。また或いは、制御装置8は、上述したような複数の搬送エリア10の間での無人航空機3の移動と、無人航空機3を新たな稼働すること及び新たに待機させることとを併用して、各搬送エリア10で物品12の搬送を担当する無人航空機3を設定し直してもよい。
【0038】
制御装置8は、複数の搬送エリア10のそれぞれで物品12の搬送を担当する無人航空機3の数を変更する場合、搬送エリア10間に飛行禁止エリア11が設定されていなければ、搬送エリア10間で無人航空機3を飛行させて移動させればよい。搬送エリア10間に飛行禁止エリア11が設定されている場合、制御装置8は、搬送車2に対して無人航空機3を搬送させればよい。例えば、制御装置8は、該当の無人航空機3を保管部6の移載可能位置13に移動させ、搬送車2の保持部25でその無人航空機3を保持して、別の搬送エリア10の保管部6の移載可能位置13へと搬送する。このように、搬送車2は、物品12の搬送に加えて、第1搬送エリア10Aと第2搬送エリア10Bとの間での無人航空機3の搬送を行うように構成されている。
【0039】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0040】
(1)上記実施形態では、搬送車2が天井搬送車である場合を例示したが、搬送車2はそれに限定されない。例えば、搬送車2はAGV(Automated Guided Vehicle)、STV(Sorting Transfer Vehicle)などの他の移動体であってもよい。
【0041】
(2)上記実施形態では、処理装置4が半導体処理装置である場合を例示したが、処理装置4はそれに限定されない。例えば、処理装置4は、物品12の仕分けを行う仕分け装置であってもよい。その場合、例えば複数の製品を収容する容器が物品12となる。或いは、処理装置4は、物の製造を行う製造装置などであってもよい。その場合、製造装置で製造された製品が物品12となる。
【0042】
(3)上記実施形態では、搬送車2が処理装置4の受渡部5との間で物品12の受け渡しを行う場合を例示したが、搬送車2が処理装置4の受渡部5との間で物品12の受け渡しを行わないように構成してもよい。例えば、搬送車2による物品12の受け渡しが可能な位置に受渡部5が配置されているとしても、その受渡部5が飛行禁止エリア11に含まれない場合には、搬送車2ではなく、無人航空機3がその受渡部5との間での物品12の受け渡しを行っても良い。
【0043】
(4)上記実施形態では、保管部6における保管位置6aの構成について例示したが、保管部6における保管位置6aの構成は適宜変更可能である。例えば、保管部6における保管位置6aの数は一つでもよく或いは複数でもよい。また、保管部6は、例えばスタッカークレーン等を有する自動倉庫や床に設定された保管エリアなどであってもよい。
【0044】
(5)上記実施形態において、無人航空機3は、担当する搬送エリア10に複数の保管部6が含まれる場合にはそれら複数の保管部6の間での物品12の搬送を行ってもよい。同様に、無人航空機3は、担当する搬送エリア10に複数の受渡部5が含まれる場合にはそれら複数の受渡部5の間での物品12の搬送を行ってもよい。
【0045】
(6)上記実施形態では、待機場所7が、保管部6に隣接した専用の場所に設置されている例を説明したが、待機場所7が別の場所に設けられていてもよい。例えば、保管部6の保管位置6aを待機場所7として兼用し、その保管位置6aが物品12の保管及び無人航空機3の待機の両方に用いられてもよい。
他にも、待機場所7が、受渡部5に隣接して設置されてもよいし、保管部6及び受渡部5から離れた位置に設置されてもよい。
【0046】
(7)上記実施形態において、無人航空機3は給電線や信号線などで接続された有線接続で構成されてもよい。その場合、待機場所7に給電線や信号線などの巻取り装置などが設置されていてもよい。
【0047】
(8)上記実施形態において、物品搬送設備に飛行禁止エリア11を設けない構成でもよい。また、複数の搬送エリア10が部分的に重複していてもよい。
【0048】
(9)上記実施形態において、飛行禁止エリア11は、予め固定的に設定されていてもよいし、可変的に設定されてもよい。飛行禁止エリア11を可変的に設定する場合の例としては以下のような形態が考えられる。人感センサや監視カメラなどを用いて特定のエリアでの人の存在の有無を監視する。そして、制御装置8は、その特定のエリアに人が存在しない場合にはその特定のエリアでの無人航空機3の飛行を許可する、即ち、飛行禁止エリアを設定しない。それに対して、制御装置8は、その特定のエリアに人が存在する場合にはその特定のエリアでの無人航空機3の飛行を禁止する、即ち、その特定のエリアを飛行禁止エリアとして設定する。
【0049】
(10)上記実施形態では、上述した第1時間及び第2時間の少なくとも一方の平均値を繁忙度として算出する場合を説明したが、別の値を繁忙度として算出してもよい。
例えば、制御装置8は、所定期間内で、各無人航空機3が物品12の搬送に従事している時間(例えば、待機場所7で待機していない時間など)を稼働時間として記憶装置9に記憶しておく。制御装置8は、各無人航空機3に関して、所定期間に占める稼働時間の割合を稼働率として導出する。そして、制御装置8は、各搬送エリア10での物品12の搬送を担当する1台以上の無人航空機3の稼働率の平均値を繁忙度として算出する。つまり、1台以上の無人航空機3の稼働率の平均値(即ち、繁忙度)が大きいほどその搬送エリア10での無人航空機3の負荷が高く、1台以上の無人航空機3の稼働率の平均値(即ち、繁忙度)が小さいほどその搬送エリア10での無人航空機3の負荷が低いと言える。
【0050】
(11)上記実施形態では、複数の搬送エリア10での繁忙度を設定値に近づける場合において、制御装置8が、上記設定値を複数の搬送エリア10の全てで同じ値にする例を説明したが、設定値は複数の搬送エリア10のそれぞれで各別に設定される値でもよい。例えば、無人航空機3による物品12の搬送が特に迅速に行われるようにしたい搬送エリア10がある場合、物品搬送設備の管理者等は、その搬送エリア10の繁忙度が低くなるように(即ち、小さい値の設定値に近づくように)、制御装置8に対して入力装置等を用いて小さい設定値の変更を指示してもよい。
【0051】
(12)上記実施形態では、例えば図2に示したように制御装置8が搬送車2及び無人航空機3の動作を制御する例を説明したが、制御装置8の構成は適宜変更可能である。例えば、制御装置8は、搬送車2の動作を制御するために設けられた制御部や、無人航空機3の動作を制御するために設けられた制御部など、物品搬送設備に設けられている複数の制御部を統合制御する装置として設けられた構成にすることもできる。或いは、制御装置8の機能は、物品搬送設備に設けられている既存の制御部、例えば、搬送車2の動作を制御するために設けられた制御部が担う構成にしてもよい。
【0052】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0053】
物品搬送設備は、予め定められた走行経路に沿って走行して物品を搬送する搬送車と、
任意の経路を飛行して前記物品を搬送する無人航空機と、前記物品に対する処理を行う処理装置に対応して設けられ、前記処理装置の処理対象となった前記物品の受け渡しが行われる受渡部と、前記走行経路に沿う位置に配置され、前記物品を保管する保管部と、を備え、前記搬送車は、前記保管部への前記物品の搬入、及び、前記保管部からの前記物品の搬出を行い、前記無人航空機は、前記保管部と前記受渡部との間での前記物品の搬送を行う。
【0054】
本構成によれば、処理装置及びそれに対応して設けられる受渡部が、搬送車の走行経路から離れた位置に配置されたとしても、無人航空機が、保管部と受渡部との間での物品の搬送を行うことができる。つまり、処理装置及びそれに対応して設けられる受渡部が搬送車の走行経路に沿う領域に設けられていなくてもよい。その結果、搬送車の走行経路の設置コストが低減される。加えて、処理装置において物品が必要になった場合又は処理装置における物品の処理が完了した場合に、搬送車の到着を待つことなく、無人航空機により迅速に物品を搬送できる。従って、保管部と受渡部との間での物品の搬送効率を高め易く、延いては、処理装置による物品の処理効率を高め易い。従って、設備のコストが小さく、物品の搬送を効率的に行うことができる物品搬送設備が実現される。
【0055】
ここで、複数の前記無人航空機と、複数の前記受渡部と、複数の前記保管部とを備え、前記搬送車は、複数の前記保管部の間での前記物品の搬送を行い、複数の前記保管部のそれぞれについて、1つ以上の前記受渡部との対応関係が設定されており、複数の前記無人航空機のそれぞれは、前記対応関係が設定された前記保管部と1つ以上の前記受渡部との間で前記物品の搬送を行うと好適である。
【0056】
本構成によれば、搬送車が複数の保管部の間での物品の搬送を行い、無人航空機が予め対応付けられた保管部と受渡部との間で物品の搬送を行う。例えば、1つの保管部と別の保管部との間に、人が居るエリアや、障害物が多いエリアなど、無人航空機の飛行に適さないエリアがあったとしても、そのような保管部同士の間は、搬送車で物品を搬送できる。このように、搬送車と無人航空機とで分担して物品を適切に搬送できる。加えて、互いに対応付けられた保管部と受渡部とが例えば比較的近い距離内に配置されている場合には、無人航空機の飛行範囲を限定することが可能となる。これにより、無人航空機のエネルギ供給や飛行制御を容易にすることができる。
【0057】
また、前記保管部は、前記無人航空機が離着陸すると共に着陸した前記無人航空機が待機する待機場所を有すると好適である。
【0058】
本構成によれば、保管部に保管された物品に近い位置に無人航空機を待機させておくことができる。そのため、処理装置において物品が必要になった場合に、無人航空機により迅速に物品を保管部から処理装置に搬送できる。従って、保管部と受渡部との間での物品の搬送効率を高め易く、延いては、処理装置による物品の処理効率を高め易くなる。
【0059】
また、複数の前記無人航空機を制御する制御装置を更に備え、前記制御装置は、少なくとも1つの前記受渡部及び少なくとも1つの前記保管部を含む搬送エリアを複数設定すると共に、複数の前記搬送エリアのそれぞれについて、当該搬送エリアで前記物品の搬送を担当する少なくとも1つの前記無人航空機を設定すると好適である。
【0060】
本構成によれば、物品搬送設備の全体の面積が広い場合であっても、その中に複数の搬送エリアを設定し、それぞれの搬送エリアを担当する少なくとも1つの無人航空機を設定するため、それぞれの無人航空機の飛行距離を限定することができる。従って、無人航空機による物品の搬送効率を高め易く、延いては、処理装置による物品の処理効率を高め易くなる。
【0061】
また、前記制御装置は、複数の前記搬送エリアのそれぞれでの前記無人航空機による前記物品の搬送に関する繁忙度を算出し、複数の前記搬送エリアでの前記繁忙度が設定値に近づくように、複数の前記搬送エリアのそれぞれで前記物品の搬送を担当する前記無人航空機の数を設定すると好適である。
【0062】
本構成によれば、無人航空機の繁忙度が各搬送エリアで設定値に近付くように、各搬送エリアでの無人航空機の数が設定される。つまり、各搬送エリアでの無人航空機の繁忙度が所望の状態に近付くように、各搬送エリアを担当する無人航空機の数が設定される。
【0063】
また、前記制御装置は、前記処理装置が前記物品の処理を完了して前記受渡部における前記物品の引き取りを要求してから、前記無人航空機によって当該物品が引き取られるまでに要した時間である第1時間、及び、前記処理装置が前記物品の処理を行うために前記受渡部における前記物品の受け取りを要求してから、前記無人航空機によって前記物品が前記受渡部に搬送されてくるまでに要した時間である第2時間の少なくとも一方の平均値を前記繁忙度として算出すると好適である。
【0064】
本構成によれば、処理装置が物品の搬入及び搬出を待つ待機時間の長さに応じた繁忙度を算出することができる。従って、繁忙度に応じて複数の搬送エリアのそれぞれの無人航空機の数を設定することで、処理装置による物品の処理効率を高め易くなる。
【0065】
また、前記制御装置は、1つの前記搬送エリアである第1搬送エリアと前記第1搬送エリアとは異なる前記搬送エリアである第2搬送エリアとの間に、前記無人航空機の飛行を禁止する飛行禁止エリアを設定しており、前記搬送車は、前記物品の搬送に加えて、前記第1搬送エリアと前記第2搬送エリアとの間での前記無人航空機の搬送を行うと好適である。
【0066】
本構成によれば、第1搬送エリアと第2搬送エリアとの間に無人航空機の飛行が禁止される飛行禁止エリアが設定されている場合であっても、これらの搬送エリアの間で無人航空機を移動させることができる。
【0067】
また、複数の前記無人航空機を制御する制御装置を更に備え、前記走行経路における、前記搬送車が前記保管部への前記物品の搬入及び前記保管部からの前記物品の搬出を行う場合に停止する位置を搬送車停止位置とし、前記保管部における前記搬送車との前記物品の受け渡しが行われる位置を移載位置として、前記制御装置は、前記搬送車が前記搬送車停止位置を含む特定範囲内にある場合には、前記移載位置、及び、前記搬送車停止位置よりも前記搬送車の進行方向前方の一定範囲への前記無人航空機の進入を禁止すると好適である。
【0068】
本構成によれば、搬送車と無人航空機との干渉を回避しつつ、無人航空機を飛行させることができる。
【0069】
また、前記保管部は、前記物品を保管する保管位置を複数備え、複数の前記保管位置のうちの一部は、前記搬送車による前記物品の搬入及び搬出が行われる移載可能位置であり、複数の前記保管位置のうちの残りの一部は、前記搬送車による前記物品の搬入及び搬出の双方が行われない移載不能位置であり、前記無人航空機は、前記移載可能位置と前記移載不能位置との間での前記物品の移動を行うと好適である。
【0070】
本構成によれば、保管部の複数の保管位置の全てが、搬送車による物品の搬入及び搬出が行われる移載可能位置でない場合であっても、無人航空機を活用することですべての保管位置に物品を保管できる。従って、移載可能位置と移載不能位置との間で物品を移動させるための複雑な機構等を用いることが不要になる。
【0071】
また、前記走行経路に沿う方向を経路延在方向とし、上下方向視で前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、前記保管部は、前記経路延在方向に並ぶ複数の前記保管位置により構成される列状保管位置群を複数備え、複数の前記列状保管位置群が、上下方向及び前記経路幅方向の少なくとも一方に並んで配置されていると好適である。
【0072】
本構成によれば、保管部の大型化を抑制しつつ、比較的多くの物品を保管部に保管することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、設備のコストが小さく、物品の搬送を効率的に行うことができる物品搬送設備に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 :走行経路
2 :搬送車
3 :無人航空機
4 :処理装置
5 :受渡部
6 :保管部
6a :保管位置
7 :待機場所
8 :制御装置
10 :搬送エリア
10A :第1搬送エリア
10B :第2搬送エリア
11 :飛行禁止エリア
12 :物品
13 :移載可能位置
14 :移載不能位置
15 :搬送車停止位置
16 :移載位置
17 :特定範囲
30 :列状保管位置群
X :経路延在方向
Y :経路幅方向
Z :上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6