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特開2024-34916自己消火シートおよび自己消火システム壁
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  • 特開-自己消火シートおよび自己消火システム壁 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034916
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】自己消火シートおよび自己消火システム壁
(51)【国際特許分類】
   A62C 19/00 20060101AFI20240306BHJP
   A62C 2/00 20060101ALI20240306BHJP
   A62D 1/06 20060101ALI20240306BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A62C19/00
A62C2/00 X
A62D1/06
C09K21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139486
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000110893
【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前橋 清
(72)【発明者】
【氏名】笠原 修
(72)【発明者】
【氏名】牧 淳一
【テーマコード(参考)】
2E191
4H028
【Fターム(参考)】
2E191AA01
2E191AB51
2E191AC08
4H028AA09
4H028AB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】壁面に取り付ける自己消火シートであって、貼り直しを何度でも可能とし、取り付けおよび取外しが誰でも容易に実施できる自己消火シート、および、自己消火システム壁を提供すること。
【解決手段】壁面に磁気吸着力により着脱自在に取付けられる自己消火シート1であって、消火剤層11の両面に磁性層12が形成されている。消火剤層11は火災発生時にはその熱により、消火剤成分を含有するエアロゾルを噴出し、消火剤成分が有するラジカル反応により、消火することが可能であり、磁性層12を有することで、磁性壁等に自己消火シート1を容易に取り付けることが可能となり、容易に取り外すことも可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを発生させることにより火災を消火する消火シートであって、消火剤層を有し、消火剤層の両面に磁性層を有することを特徴とする自己消火シート。
【請求項2】
磁性層は消火剤層との反対面に意匠層を有する請求項1に記載の自己消火シート。
【請求項3】
磁性層と意匠層との間に樹脂層を有する請求項2に記載の自己消火シート。
【請求項4】
磁性層は少なくとも軟磁性材料の微粉末と、粘結材となる有機高分子エラストマーとの混合体を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自己消火シート。
【請求項5】
磁性層はシート状のスチール、または、シート状のフェライト系ステンレス鋼である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自己消火シート。
【請求項6】
磁性層は少なくとも硬磁性材料の微粉末と、粘結材となる有機高分子エラストマーとの混合体を含み、その少なくとも一面に着磁を施している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自己消火シート。
【請求項7】
請求項4、または、請求項5に記載の自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面とを、磁着力で取り付けることを特徴とする自己消火システム壁。
【請求項8】
壁面と、壁材との少なくとも一方が着磁された硬磁性体である請求項7に記載の自己消火システム壁。
【請求項9】
壁面が耐火パネル、または、耐火シートである請求項8に記載の自己消火システム壁。
【請求項10】
請求項6に記載の自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面とを、磁着力で取り付けることを特徴とする自己消火システム壁。
【請求項11】
壁面と、壁材との少なくとも一方が磁性体である請求項10に記載の自己消火システム壁。
【請求項12】
壁面が耐火パネル、または、耐火シートである請求項11に記載の自己消火システム壁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己消火シートおよび自己消火システム壁に関する。より詳しくは、壁面に着脱自在に取り付けられ、火災発生時に自動的に消火剤をエアロゾル散布することで初期消火を行う、自己消火シートおよび自己消火システム壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から火災発生時の初期消火の重要性は理解されていたが、近年、公共施設や列車内等で本来想定されていないような猛烈な火災が引き起こされる、という事例が増加しつつあり、社会的に問題になっている。そのような状況の下、例えば特許文献1、および、特許文献2に示すような火災の熱により自動的にエアロゾルを発生させて消火を行う、自己消火シートが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-137346号
【特許文献2】特開2021-137445号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自己消火シートは主要な成分である消火剤の経年劣化に対応するため、定期的に交換する必要があるが、壁面等に粘着剤で貼着されているため、交換時は壁面が汚損しないよう慎重に剥がす必要があり、剥がした後は壁面に残った粘着剤を拭き取った後、新しい自己消火シートを貼り付ける必要があるため、作業性に問題がある。また、貼り付ける際は粘着剤での貼着のため、貼り直しができず、設置場所の選定や設置作業に慎重を要し、作業負担が大きい。このため、場合によっては専門の職人が必要となり、費用面でも問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、磁気の磁着力を利用することで貼り直しを可能とし、誰でも容易に取り付け作業が実施できる自己消火シート、および、自己消火システム壁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段をとる。なお、本欄(「課題を解決するための手段」の欄)において各構成手段に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すための参考用のものであり、本発明の構成手段をこれに限定するものではない。
【0007】
本発明の一の態様は、エアロゾルを発生させることにより火災を消火する消火シートであって、消火剤層(11)有し、消火剤層(11)の両面に磁性層(12)を有する。
【0008】
本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、磁性層(12)は消火剤層(11)との反対面に意匠層(13)を有する。
【0009】
本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、磁性層(12)と意匠層(13)との間に樹脂層(14)を有する。
【0010】
本発明の他の態様は、自己消火シートにおいて、磁性層(12)は少なくとも軟磁性材料の微粉末と、粘結材となる有機高分子エラストマーとの混合体を含む。
【0011】
本発明の他の態様は、自己消火シートにおいて、磁性層(12)はシート状のスチール、または、シート状のフェライト系ステンレス鋼である。
【0012】
本発明の他の態様は、自己消火シートにおいて、磁性層(12)は少なくとも硬磁性材料の微粉末と、粘結材となる有機高分子エラストマーとの混合体を含み、その少なくとも一面に着磁を施している。
【0013】
本発明の他の態様は、自己消火システム壁において、自己消火シート(20)と、壁材(40)の表面に構成される壁面(30)とを、磁着力で取り付ける。
【0014】
本発明の他の態様は、自己消火システム壁において、壁面(30)と、壁材(40)との少なくとも一方が着磁された硬磁性体である。
【0015】
本発明の他の態様は、自己消火システム壁において、壁面(30)と、壁材(40)との少なくとも一方が磁性体である。
【0016】
本発明の他の態様は、自己消火システム壁において、壁面(30)が耐火パネル、または、耐火シートである。
【0017】
本発明の態様についての主要な作用効果を以下に記す。
自己消火シートにおいて、消火剤層(11)の両面に磁性層(12)が形成されている。消火剤層(11)は火災発生時にはその熱により、消火剤成分を含有するエアロゾルを噴出し、消火剤成分が有するラジカル反応により、消火することが可能である。
磁性層(12)を有することで、壁面(30)および壁材(40)から構成される磁性を有する壁に磁着力で自己消火シートを容易に取り付けることが可能であり、容易に取り外すことも可能となり、反復利用が可能になる。また、消火剤層(11)を覆うことで、消火剤の劣化速度を抑制すると同時に自己消火シートの耐久性を向上させている。
磁性層(12)の他方の面には意匠層(13)が形成され、デザイン性を持たせると同時に次回の交換時期や取り扱い上の注意事項等の印字が可能となっている。
壁面(30)、および、壁材(40)に耐火性を持たせること、自己消火シート(20)と耐火パネル(31)とを組み合わせて取り付けることで、消火機能と耐火機能を併せ持つことが可能となり、火災発生時の被害を最小限にとどめることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、自己消火シートに磁性層を付加することで、壁面への貼り直しが可能となり、誰でも容易に取り付け作業を実施でき、耐久性に優れ、かつ、防災性を向上させた自己消火シートおよび自己消火システム壁が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の自己消火シートの断面図である。
図2】第2実施形態の自己消火シートの断面図である。
図3】第3実施形態の自己消火シートの断面図である。
図4】第4実施形態の自己消火システム壁の模式図である。
図5】第4実施形態の自己消火システム壁の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態の自己消火シートの断面図である。自己消火シート1は消火剤層11と、消火剤層11の両面に磁性層12とを有している。
【0022】
磁性層12は、磁性材料粉と有機高分子エラストマーを主たる組成とする。
磁性材料粉は、軟質磁性材料粉を用いており、フェロ磁性体の中で低保磁力の高透磁力の強磁性体(鉄粉、磁性ステンレス粉、センダスト粉等)と、フェリ磁性体の中で低保磁力の高透磁力の強磁性体(ソフトフェライトであるマンガン亜鉛フェライト粉、ニッケル亜鉛フェライト粉、マグネタイト粉= 四三酸化鉄粉等)があり、また、両者の混合物も用いることもできる。
【0023】
有機高分子エラストマーとしては、塩素化ポリエチレンエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体エラストマー、エチレンエチルアクリレートエラストマー、エチレンプロピレンエラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられ、また、希望する物性によって適宜これらの混合物及びこれらとプラストマー(プラスチック)との混合物を使用することができる。
【0024】
磁性層12はこれらの混合体を、圧延または押出しなどの成形方式によりシート状に成形したものであり、着磁された硬磁性の壁面等に磁着させることになる。
【0025】
磁性層12はシート状のスチール、または、シート状のフェライト系ステンレス鋼であってもよい。スチール、フェライト系ステンレス鋼は軟磁性体として作用し、着磁された硬磁性の壁面等に磁着させることになる。
【0026】
磁性層12はマグネットシートであってもよい。マグネットシートを用いると、着磁された硬磁性の壁面だけでなく、軟磁性の壁面にも磁着させることが可能となる。マグネットシートは、可撓性シート状の磁石体であり、その表面は、N極とS極とが交互に縞状に着磁され、一定ピッチの着磁ラインを有する。厚さは80μ以上が好ましい。80μ未満とすると十分な磁気吸着力が期待できない。
【0027】
このような可撓性シート状の磁石体は、硬磁性材料(例えばバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等のフェライト系磁石材料又はサマリウム・コバルト系磁石、ネオジウム・鉄・ホウ素系磁石等、希土類磁石材料)の微粉末と、粘結材となる少量の有機高分子エラストマー(例えば塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニール共重合体、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム)との混合体を、圧延または押出しなどの成形方式によりシート状に成形し、着磁を施して製作される。なお、マグネットシートの着磁ピッチは1.0mm以上7.0mm以下であることが好ましい。
【0028】
消火剤層11はヤマトプロテック株式会社製のエアロゾル消火剤と粘結材等を混合しシート状に形成したものである。消火剤は酸化剤とカリウム塩が主な成分となる。火災発生時はその熱により酸化剤が燃焼することでカリウム塩と反応し、エアロゾルが噴出する。エアロゾルのカリウムラジカル反応により、火災の燃焼連鎖を抑制し、消火に至らしめる。
消火剤層11と磁性層12とは接着層を介して形成されている。
【0029】
自己消火シート1の取り付け場所としては、壁面の全面に取り付けてもよいし、発火する可能性の高い場所や、発火した場合に甚大な被害が予想される場所に選択的に取り付けてもよい。発火する可能性の高い場所としては、例えば、厨房、工場、危険物保管所、配電盤、2次電池設置場所等が考えられる。甚大な被害が予想される場所としては、例えば、病院や学校等の公共施設、企業所、列車や航空機等の公共交通機関が考えられる。自己消火シート1は繰り返して取り付けることが可能なシートのため、これらの場所に選択的、かつ、効率的に誰でも取付けることが可能である。また、一時的なイベント等の場合でも、繰り返し取り付け可能な特性を利用することで、レンタルでの利用といった、これまでにないサービスを提供することが可能となる。
なお、磁性層12と消火剤層11との形成は、磁性層12に消火剤を塗布して形成されてもよいし、その逆でもよい。
【0030】
磁性層12は消火剤層11を覆うことで外気との接触を遮断することで消火剤層11の劣化を防止し、自己消火シート1の耐久性を向上させる効果が期待できる。磁性層12は適度な熱溶融性を持つものが好ましい。火災発生時はその熱により磁性層12が溶融し、消火剤層11が露出することでエアロゾルを噴出し、消火する。スチール、フェライト系ステンレス鋼は耐火性を有するため、そのままでは火災時に消火剤層を露出させることができず、エアロゾルを噴出させることができない。そこで、例えばパンチングメタルのような複数の貫通孔を有するシート状にすることで、消火剤層を露出させ、エアロゾルを発生させることが可能になる。
【0031】
〔第2実施形態〕
図2は第2実施形態の自己消火シート2の断面図である。自己消火シート2は消火剤層11と、消火剤層11の両面に磁性層12と、磁性層12の消火剤層11とは反対面にそれぞれ意匠層13とを有している。磁性層12と意匠層13とは接着層を介して形成されてもよいし、磁性層12に意匠層13を塗布して形成されてもよい。その他の構成は第1実施形態と同様である。
意匠層13は磁性層12を覆うことで、消火剤層11と外気との接触を遮断することができ、消火剤層11の劣化を防止し、自己消火シート2の耐久性を向上させる効果が期待できる。
【0032】
意匠層13は、フィルム状の装飾材であり、絵柄や模様が印刷されたインキ受容層であってもよい。インキ受容層はポリ塩化ビニール系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂、または薄いコート紙などを使用することができる。このインキ受理層に用途に応じた印刷によりインクを定着させる。印刷方式には、オフセット印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを挙げることができる。
【0033】
意匠層13によって意匠を施すことにより、周囲との調和を図ることや、自己消火シート2の存在箇所を明示的に示すことができる、という効果が期待できる。また、注意事項や使用期限を印字することで取り扱い性や管理性が向上する効果も期待できる。
【0034】
また、意匠層13を両面に有することで、表裏に異なる意匠を施すことが可能となる。磁性を有する壁面には磁着力で取り付けているため、容易に裏返すことができ、好みにより、意匠を変更することが可能となる。
【0035】
自己消火シート2の取り付け場所としては、第1実施形態と同様である。
【0036】
〔第3実施形態〕
図3は第3実施形態の自己消火シート3の断面図である。自己消火シート3は消火剤層11と、消火剤層11の両面に磁性層12と、磁性層12の消火剤層11とは反対面にそれぞれ樹脂層14と、樹脂層14の磁性層12とは反対面にそれぞれ意匠層13とを有している。樹脂層14と磁性層12とは接着層を介して形成されてもよいし、磁性層12に樹脂層14を塗布して形成されてもよいし、その逆でもよい。樹脂層14と意匠層13とは接着層を介して形成されてもよいし、樹脂層14に意匠層13を塗布して形成されてもよい。その他の構成は第1実施形態および第2実施形態と同様である。
樹脂層14は磁性層12を覆うことで、消火剤層11と外気との接触を遮断することができ、消火剤層11の劣化を防止し、自己消火シート3の耐久性を向上させる効果が期待できる。
【0037】
自己消火シート3の取り付け場所としては、第1実施形態と同様である。
【0038】
〔第4実施形態〕
図4は第4実施形態の自己消火システム壁6の模式図である。自己消火システム壁6は自己消火シート20と、壁材40と、壁面30とを備えている。自己消火シート20は第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態のいずれかが用いられる。
【0039】
壁面30はシート状、または、パネル状であり、壁材40の表面に構成される。壁面30は釘、ビス、接着剤、ステープル、磁着などで壁材40に留付け固定した構成とされる。
【0040】
壁面30は耐火性に優れることが好ましく、ISO5660-1に準拠し、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において〔1〕加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、〔2〕加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200KW/m2を超えず、〔3〕加熱開始後20分間、防火上有害な亀裂及び穴がない条件を満たす不燃性を有することが好ましい。
【0041】
壁材40は合板、コンクリート、軽金属、または石膏ボードなどで形成される。なかでも、石膏ボードは、壁面の基体となる板材であり、例えば縦横1800mm×900mm、厚さ12.5mm~15mmのサイズとされる。厚さをこの範囲とした石膏ボード10は、防耐火性に優れ、ボード単体で不燃性を有するので、壁材40としては好適である。なお、石膏ボードに代えて、ダイライト(大建工業株式会社の登録商標)やケイカル板(ケイ酸カルシウム板)などを使用してもよい。
【0042】
壁面30と、壁材40との少なくとも一方は磁性を有している。これにより、自己消火シート20が有する磁性層との磁着力で壁面30に取り付けることが可能になり、貼り直しが容易な自己消火システム壁として機能する。
【0043】
具体的には、壁面30と、壁材40との少なくとも一方が着磁された硬磁性を有していてもよい。この場合は、自己消火シート20が有する磁性層と磁着することで、貼り直しが容易な自己消火システム壁として機能する。
【0044】
この他に、壁面30、または、壁材40の少なくとも一方が軟磁性を有していてもよい。この場合は、自己消火シート20が有する磁性層が着磁された硬磁性であれば磁着することで、貼り直しが容易な自己消火システム壁として機能する。
【0045】
また、壁面30が硬磁性を有し、壁材40が軟磁性を有していてもよい。この場合は、壁材40のヨーク効果により、壁面30の磁着力が強化され、より強固に自己消火シート20を磁着することが可能になる。
【0046】
図5は第4実施形態の自己消火システム壁6の概略図である。壁材40と壁面30とで壁が構成されているキッチンに自己消火シート20を取り付け、コンロ付近に耐火パネル31を取り付け、自己消火システム壁6を構成している。この例のように、発火リスクの大きいキッチンを選択し、そこに必要な枚数の自己消火シート20を取り付けることが可能である。また、必要に応じて耐火パネルと組み合わせたり、取り付け位置を変更したり、枚数を増減する、という自由度の高い運用が可能になる。
【0047】
上述の例ではキッチンに取り付けているが、それに限るものではない。他の例としては、工場、危険物保管所、配電盤、2次電池設置場所、病院や学校等の公共施設、企業所、列車や航空機等の公共交通機関、が挙げられる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、上に開示した実施形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【0049】
例えば、上述の実施の態様では、壁として自己消火システム壁を説明しているが、室内を垂直方向に仕切る壁に限るものではなく、室内を水平方向に仕切る壁として、天井であっても、床であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
壁面に磁気吸着力により着脱自在に取付けられる自己消火シート、および、自己消火システム壁として、幅広く活用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 自己消火シート
2 自己消火シート
3 自己消火シート
6 自己消火システム壁
11 消火剤層
12 磁性層
13 意匠層
14 樹脂層
20 自己消火シート
30 壁面
31 耐火パネル
40 壁材

図1
図2
図3
図4
図5