(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034941
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20240306BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20240306BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F9/00 J
F24F11/79
F24F11/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139524
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】久保田 貴之
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB20
3L260CA15
3L260CA17
3L260EA08
3L260FC14
3L260GA24
(57)【要約】
【課題】粉塵の除去効率を高めることが可能な除塵装置を提供する。
【解決手段】対象者Pの除塵を行う除塵装置であって、吹き付け方向を変更可能な第二送風口16と、対象者Pの身体の各部分に対応するマス(所定の部分)ごとに粉塵の量を取得する取得手段(レーザー照射部17、画像取得部18及び制御部19)と、取得手段の取得結果に基づいて、第二送風口16を各部分に対応するマス(所定の部分)のうち最も粉塵の量が多いマス(第一の部分)へ吹き付け方向を変更させる制御部19と、を具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の除塵を行う除塵装置であって、
吹き付け方向を変更可能な送風部と、
前記対象者の身体の所定の部分ごとに粉塵の量を取得する取得手段と、
前記取得手段の取得結果に基づいて、前記送風部を前記所定の部分のうち第一の部分へ吹き付け方向を変更させる制御部と、
を具備する除塵装置。
【請求項2】
前記取得手段には、
前記所定の部分ごとの前記粉塵の量の多寡を検出する検出手段が含まれ、
前記制御部は、
前記所定の部分ごとの前記粉塵の量の多寡に基づいて、前記送風部の吹き付け方向を変更させる、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記取得手段には、
粉塵を発光させるためのレーザー光を照射するレーザー照射部と、
発光された粉塵の画像を取得する画像取得部と、
が含まれ、
前記検出手段は、
前記画像に基づいて、前記所定の部分ごとの前記粉塵の量の多寡を検出する、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
飛散している飛散粉塵と、前記対象者の身体に付着している付着粉塵と、を判別し、前記粉塵の量として当該付着粉塵の量を検出する、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第一の部分の前記粉塵の量の減少に応じて、前記所定の部分のうち第二の部分へ前記送風部の吹き付け方向を変更させる、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記送風部は、複数設けられる、
請求項1に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人に付着した粉塵を除去する除塵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人に付着した粉塵を除去する除塵装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、建築物の出入口に設置された除塵装置(花粉分離装置)が記載されている。特許文献1に記載の除塵装置では、建築物に出入りする人を検知し、検知した人に向けて風を吹き出すことで、人に付着した粉塵(花粉や塵挨等)を除去することができる。
【0004】
このような除塵装置の技術に関しては、粉塵の除去効率をより高めることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、粉塵の除去効率を高めることが可能な除塵装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、対象者の除塵を行う除塵装置であって、吹き付け方向を変更可能な送風部と、前記対象者の身体の所定の部分ごとに粉塵の量を取得する取得手段と、前記取得手段の取得結果に基づいて、前記送風部を前記所定の部分のうち第一の部分へ吹き付け方向を変更させる制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記取得手段には、前記所定の部分ごとの前記粉塵の量の多寡を検出する検出手段が含まれ、前記制御部は、前記所定の部分ごとの前記粉塵の量の多寡に基づいて、前記送風部の吹き付け方向を変更させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記取得手段には、粉塵を発光させるためのレーザー光を照射するレーザー照射部と、発光された粉塵の画像を取得する画像取得部と、が含まれ、前記検出手段は、前記画像に基づいて、前記所定の部分ごとの前記粉塵の量の多寡を検出するものである。
【0011】
請求項4においては、前記検出手段は、飛散している飛散粉塵と、前記対象者の身体に付着している付着粉塵と、を判別し、前記粉塵の量として当該付着粉塵の量を検出するものである。
【0012】
請求項5においては、前記制御部は、前記第一の部分の前記粉塵の量の減少に応じて、前記所定の部分のうち第二の部分へ前記送風部の吹き付け方向を変更させるものである。
【0013】
請求項6においては、前記送風部は、複数設けられるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本願発明においては、粉塵の除去効率を高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施形態に係る除塵装置の全体的な構成を示した模式図。
【
図3】除塵装置の制御に関する構成を示したブロック図。
【
図4】制御部による除塵制御の大まかな流れを示したフローチャート。
【
図5】(a)除塵制御のうち粉塵の判別の内容を示した概略図。(b)同じく、人体付着物の判別の内容を示した概略図。(c)同じく、集風処理の内容を示した概略図。
【
図6】制御部による除塵制御の内容を示したフローチャート。
【
図8】第二実施形態に係る除塵制御の内容を示したフローチャート。
【
図9】第三実施形態に係る除塵制御の内容を示したフローチャート。
【
図10】表示部に表示された画像の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の第一実施形態に係る除塵装置1について説明する。
【0018】
図1に示す除塵装置1は、対象となる人や物(便宜上、以下では「対象者P」と称する)に付着した粉塵を除去するものである。ここで、粉塵とは、花粉等の空気中に浮遊する粒子を指す。粉塵には、花粉の他に砂塵や微小なホコリ、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子状物質)等の粒子が含まれる。
【0019】
除塵装置1は、一対の側面ユニット2と、一対の側面ユニット2の上端に亘って設けられた天面部3と、を具備する。除塵装置1は、内側(一対の側面ユニット2の内側、かつ、天面部3の下方)を、対象者Pが通過可能な門型に形成されている。側面ユニット2は、内側に向かって空気を吐出することができる。
【0020】
本実施形態に係る除塵装置1は、一例として、ホテルなどの宿泊施設やショッピングモールなどの商業施設のエントランスに配置することを想定している。除塵装置1は、当該除塵装置1を通過するホテル等の利用客に対して空気を吹き付けることで、当該利用客に付着した粉塵を除去することができる。これによって、ホテル等の建物内に粉塵が侵入するのを防止することができる。
【0021】
以下では、
図1から
図3を用いて、除塵装置1のうち、空気を吐出する機構を具備する側面ユニット2の構成について具体的に説明する。なお、除塵装置1に設けられた一対の側面ユニット2の構成は概ね対称であるため、以下では一方の側面ユニット2について説明する。また以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。本実施例では、側面ユニット2のうち後述する送風口14が設けられている面が向く方向を前方としている。
【0022】
側面ユニット2は、主として筐体11、吸気口12、送風機13、送風口14(第一送風口15及び第二送風口16)、レーザー照射部17、画像取得部18及び制御部19を具備する。
【0023】
筐体11は、側面ユニット2の外郭を成す部材である。筐体11は、側面ユニット2を構成する他の部材を収容可能な中空の箱状に形成される。筐体11は、略直方体状に形成される。筐体11は、区画部11aを具備する。
【0024】
区画部11aは、筐体11の内部空間を区画する部材である。区画部11aは、正面視において矩形枠状に形成され、筐体11内に設けられる。これによって区画部11aは、筐体11の内部空間を、区画部11aの外側の空間(以下、「第一空間S1」と称する)と内側の空間(以下、「第二空間S2」と称する)に区画する。区画部11aは、正面視において筐体11の概ね中央に配置される。区画部11aは、筐体11の左右の側面、上面及び底面と、それぞれ離間するように配置される。
【0025】
図1に示す吸気口12は、筐体11の外部の空気(外気)を筐体11内へと導入するための開口部である。吸気口12は、筐体11の右側面の下端部を左右に貫通するように形成される。吸気口12は、後述する送風機13とダクトを介して接続される。
【0026】
送風機13は、空気にエネルギーを与えて気流を発生させる装置である。送風機13としては、各種の方式(遠心送風機、軸流送風機等)の装置を用いることができる。送風機13は、筐体11内の下部に設けられる。送風機13は、区画部11aの下方に配置される。送風機13の吐出口は、区画部11aの外側(第一空間S1)及び内側(第二空間S2)にそれぞれ連通される。送風機13は、吸気口12から筐体11の外部の空気を吸引し、第一空間S1及び第二空間S2それぞれへと圧送することができる。
【0027】
送風口14は、筐体11の内部の空気を、筐体11の前方へと吐出するための開口部である。送風口14は、筐体11の前側面を前後に貫通する。送風口14には、第一送風口15及び第二送風口16が含まれる。
【0028】
第一送風口15は、比較的大きな(本実施形態では、口径30mm程度の)開口部である。第一送風口15は、正面視において区画部11aの左右外側にそれぞれ位置し、第一空間S1の空気を吐出するように構成される。
【0029】
また第一送風口15は、左右それぞれに、上下方向に互いに適宜の間隔を空けて複数(本実施形態では3つ、すなわち左右合わせて合計6つ)形成される。第一送風口15から吹き出される風速は、第二送風口16よりも小さくなるように設定される。本実施形態では、第一送風口15から吹き出される風速は、例えば20m/sとなるように設定される。こうして、第一送風口15から吐出される空気により、対象者Pの身体に付着した粉塵に対して、広く全体的な除去を行うことができる。
【0030】
第二送風口16は、比較的小さな(本実施形態では、口径10mm程度の)開口部である。第二送風口16は、駆動機構や可動ルーバー等を具備した可動式の送風口である。第二送風口16は、制御部19の制御(風向制御)により可動ルーバー等が作動され、風向きを任意の方向へ向けることができる(
図2の白抜き矢印参照)。第二送風口16は、正面視において区画部11aの内側(すなわち、左右の第一送風口15に挟まれる内側)に位置し、第二空間S2の空気を吐出するように構成される。
【0031】
また第二送風口16は、上下左右方向に、互いに適宜の間隔を空けて複数(本実施形態では、合計4つ)形成される。第二送風口16から吹き出される風速は、第一送風口15よりも大きくなるように設定される。本実施形態では、第二送風口16から吹き出される風速は、例えば50m/sとなるように設定される。こうして、第二送風口16から吐出される空気により、対象者Pの身体に付着した粉塵に対して、部分的な(例えば粉塵の多い部分に集中した)除去を行うことができる。
【0032】
レーザー照射部17は、レーザー光を照射するものである。本実施形態では、レーザー光として、グリーンレーザー(波長532nm)が用いられる。レーザー照射部17は、筐体11の前側面の上端部近傍に形成される。レーザー照射部17は、レーザー光を斜め下方へ向けて平面状に(すなわち、側面ユニット2の前方にいる対象者Pの横方向に亘るように)照射可能に構成される。また、レーザー照射部17は、所定の速度で上下方向へ首振り動作可能に構成される(
図5参照)。こうして、レーザー照射部17は、平面状のレーザー光を上下方向に揺動するように照射することにより、側面ユニット2の前方にいる対象者Pの全身全部に対してレーザー光を照射することができる。
【0033】
画像取得部18は、画像(より詳細には、単位時間当たり所定コマ数の画像)を取得するもの(カメラ)である。画像取得部18は、筐体11の前側面の上端部近傍であって、レーザー照射部17の下方に形成される。画像取得部18は、一対の側面ユニット2の間にいる対象者Pの全身の画像を取得可能に構成される。本実施形態において、画像取得部18の表示更新レート(フレームレート)は、30fps(30コマ/秒)に設定される。
【0034】
制御部19は、RAM、ROM、HDD等の記憶部や、CPU等の演算処理部等を具備する。制御部19の記憶部には、各種の情報やプログラム等が記憶されている。なお前記各種の情報やプログラム等には、後述する除塵制御に関する情報やプログラム等が含まれる。制御部19は、各種の操作が可能な操作部(例えばボタンやキーボード等)や、各種の情報の表示が可能な表示部19a(例えばランプやモニター等)を有する。表示部19aは、筐体11の前側面の上部近傍であって、画像取得部18の下方に形成される。こうして、表示部19aは、除塵を行う対象者Pが、一対の側面ユニット2のうち一方の側面ユニット2の送風口14(第一送風口15及び第二送風口16)に正対した場合に、当該対象者Pの視覚に自然と入ってくるような位置に形成される。
【0035】
制御部19は、
図3に示すように、送風機13、第二送風口16、レーザー照射部17及び画像取得部18とそれぞれ接続される。制御部19は、送風機13、第二送風口16、レーザー照射部17及び画像取得部18を制御することができる。また制御部19は、画像取得部18が取得した画像を受信することができる。
【0036】
上述の如く構成された除塵装置1において除塵を行う場合、対象者Pは、
図1に示すように、一対の側面ユニット2の間に進入し、当該一対の側面ユニット2の間で立ち止まる。対象者Pが立ち止まると、送風機13によって第一送風口15及び第二送風口16から空気が吐出され、対象者Pに付着した粉塵を除去することができる。そして除塵が終了すると、対象者Pは一対の側面ユニット2の間から退出する。
【0037】
ここで、従来の除塵装置では、実使用時において事前の試験条件と風向きや風量を一致させ、試験時と同等の除塵性能を期待している。しかし、実使用時において事前の試験時と対象者の立ち位置や除塵の付着状況が異なる場合が多く、従来の除塵装置では、期待される除塵性能を発揮できない場合がある。また従来の除塵装置では風向きも事前に決定されているため、対象者の身体の各部位で風量の強弱ムラが発生し易く、ひいては除塵効果にも各部位でバラつきが生じ易い。このように、従来の除塵装置は、粉塵の除去効率が十分とは言い難い。
【0038】
そこで、本実施形態に係る除塵装置1においては、従来の除塵装置の上述の如き課題を解決し、粉塵の除去効率を高めるための制御(以下では「除塵制御」と称する)を実行する。
【0039】
以下では、
図4及び
図5を用いて、制御部19により実行される除塵制御の大まかな流れについて説明する。
【0040】
まずステップS10において、制御部19は、粉塵の判別の処理を行う。粉塵の判別の処理においては、
図5(a)に示すように、レーザー照射部17からレーザー光を照射することにより、対象者Pの周囲の粉塵が見分けられる。
【0041】
次にステップS20において、制御部19は、人体付着物の判別の処理を行う。人体付着物の判別の処理においては、
図5(b)に示すように、ステップS10において見分けられた対象者Pの周囲の粉塵に対して、画像取得部18により取得された画像が解析されることより、飛散している粉塵と対象者Pの身体に付着している粉塵とが見分けられる。
【0042】
次にステップS30において、制御部19は、付着物の多い部分へ集風処理を行う。集風処理においては、送風口14(第一送風口15及び第二送風口16)からの空気の吐出に加えて、可動式である第二送風口16の風向きの制御(風向制御)が行われる。
図5(c)に示すように、第二送風口16の風向きは、ステップS20において見分けられた対象者Pの身体に付着している粉塵の量に基づいて、当該対象者Pの身体の部分のうち粉塵の量が多い部分に集中される。こうして、集風処理においては、対象者Pの身体のうち粉塵の量が多い部分から順に、集中的に粉塵の除去が行われる。
【0043】
こうして、対象者Pに付着された粉塵が除去できたと判定された場合に、制御部19により実行される除塵制御が終了する。
【0044】
以下では、
図6及び
図7を用いて、制御部19により実行される第一実施形態に係る除塵制御の詳細について説明する。
【0045】
制御部19は、所定の検出手段(例えば赤外線センサ等)により、一対の側面ユニット2の間に対象者Pが進入したことを検知した場合に、除塵制御の実行を開始する。制御部19は、画像取得部18により取得された画像を解析することにより、一対の側面ユニット2の間に対象者Pが進入したことを検知することもできる。
【0046】
制御部19は、除塵制御の実行が開始されると、送風機13を作動させ、送風口14(第一送風口15及び第二送風口16)から吐出された空気により、対象者Pに付着した粉塵の除去を開始する。なおこの段階では、第二送風口16の向きは例えば真正面を向くように構成される。こうして、除塵制御が実行されると、第一送風口15及び第二送風口16から吐出された空気により、対象者Pに付着した粉塵が除去されていく。
【0047】
まずステップS101において、制御部19は、画像取得部18に対象者Pの画像を取得させる。画像取得部18により取得された画像(30コマ/秒の動画)は、制御部19の表示部19aに表示され、対象者Pが視認可能となる。
【0048】
また
図7に示すように、表示部19aに表示された画像には、複数の横軸と縦軸とが重畳的に表示される。なお以下では、横軸と縦軸とにより区画された部分を「マス」と称する。マスは、対象者Pの身体の部分に対応するものである。すなわち、後述する除塵制御においては、対象者Pの身体から粉塵を除去する場合、当該身体の部分に対応するマスを用いて処理を実行する。本実施形態において、各マスは、画像中の対象者Pと同一のスケールにおいて、縦横のサイズが各15cm程度となるように形成される。制御部19は、ステップS101の処理の後、ステップS102の処理へ移行する。なお画像取得部18は、制御部19の制御により(すなわち、一対の側面ユニット2の間に対象者Pが進入したことを契機として)画像を取得するのではなく、画像を常時取得していてもよい。
【0049】
ステップS102において、制御部19は、レーザー照射部17にレーザー光を照射させる。こうして、レーザー光が照射されると、粉塵と対象者Pの身体との間にコントラストが生まれ、粉塵を発光させることができる。これにより粉塵を可視化でき、対象者Pは、表示部19aに表示された画像を介して、自分の周囲の粉塵を視認することができる。
【0050】
また制御部19は、画像取得部18により取得された画像を解析し、所定の大きさ(例えば1cm以下)の発光点を粉塵とみなすことにより、対象者Pの周囲の粉塵を取得する。なお、制御部19が取得した対象者Pの周囲の粉塵には、飛散している粉塵、及び、対象者Pの身体に付着している粉塵が含まれる。制御部19は、ステップS102の処理の後、ステップS103の処理へ移行する。
【0051】
こうして、制御部19は、ステップS101及びステップS102において、粉塵の判別の処理を行う(
図4に示すステップS10参照)。粉塵の判別の処理は、除塵制御が終了するまで継続される。
【0052】
ステップS103において、制御部19は、コマ画像ごとの粉塵位置の変化量を取得する。すなわち、粉塵は、気流に乗って移動するものである。例えば、風速3m/sの場合に、1/30秒あたりに10cm移動する。そこで、制御部19は、画像取得部18により取得された画像(複数のコマ画像)を解析し、連続したコマ画像において位置が変化している粉塵がある場合に、当該粉塵の位置の変化量を検出する。
【0053】
制御部19は、連続したコマ画像において当該粉塵の位置の変化量が所定の閾値(本実施形態では、10cm)以上である場合(すなわち、当該粉塵が1/30秒あたり10cm以上変位している場合)、ステップS104の処理へ移行する。一方、制御部19は、連続したコマ画像において当該粉塵の位置の変化量が10cm未満である場合(すなわち、当該粉塵が1/30秒あたり10cm以上変位していない場合)、ステップS105の処理へ移行する。
【0054】
ステップS104において、制御部19は、連続したコマ画像において当該粉塵の位置の変化量が10cm以上である当該粉塵について、除去物と判定する。なお除去物とは、対象者Pの身体に付着していない粉塵を指す。除去物には、例えば対象者Pの身体に付着していた粉塵であって、送風口14から吐出された空気により除去された(飛散された)粉塵が含まれる。制御部19は、ステップS104の処理の後、ステップS106の処理へ移行する。
【0055】
ステップS105において、制御部19は、連続したコマ画像において当該粉塵の位置の変化量が10cm未満である当該粉塵について、付着物と判定する。なお付着物とは、対象者Pの身体に付着している粉塵(すなわち、除去対象の粉塵)を指す。制御部19は、ステップS105の処理の後、ステップS106の処理へ移行する。
【0056】
こうして、制御部19は、ステップS103からステップS105において、人体付着物の判別の処理を行う(
図4に示すステップS20参照)。また本実施形態では、粉塵の位置の変化量に対して、例えば上述の如く気流に対する粉塵の移動量を基準とした閾値を設定することにより、当該対象者Pの身体に付着した粉塵の当該対象者Pの身じろぎによる移動と、飛散された粉塵の移動とを区別することができる。なお人体付着物の判別の処理は、粉塵判別の処理と共に、除塵制御が終了するまで継続される。
【0057】
ステップS106において、制御部19は、各マスの付着物の個数をカウントし、カウントした個数を合計することにより、付着物の総数(除去対象の粉塵の合計個数)を算出する。なお以下では、制御部19により算出された付着物の総数をTnと称する。ここで、nは変数であり、フローの処理の繰り返し回数(後述するステップS110から移行された回数)を示す。すなわち、付着物の総数の初期値はT1となる。制御部19は、ステップS106の処理を実行するたび、nに1を加算していく。制御部19は、ステップS106の処理の後、ステップS107の処理へ移行する。
【0058】
ステップS107において、制御部19は、全ての第二送風口16に対して風向制御を行うことにより、全てのマスのうち、例えば
図7の符号M1が示すように、付着物の個数が最も多いマス(対象者Pの身体の部分のうち粉塵の量が最も多い部分)へ向けて、当該全ての第二送風口16の風向きを変更する。こうして、制御部19は、付着物の個数が最も多いマス(マスM1)に対して、4つの第二送風口16から吐出された空気を集中させる。また4つの第二送風口16から吐出された空気は、互いに異なる方向から当該マスM1へ吹き付けられている。これらにより、マスM1において、粉塵の除去効率を向上させることができる。制御部19は、ステップS107の処理の後、ステップS108の処理へ移行する。
【0059】
ステップS108において、制御部19は、マスM1において、一定時間除去されない付着物の個数(B)を算出する。すなわち、マスM1へ向けて第二送風口16に対して風向制御を行った場合に、時間の経過と共に当該マスM1における付着物の状況が変化していく中で、比較的長期間が経過しても除去されない付着物が存在する場合がある。
【0060】
このような除去されない付着物としては、実際には粉塵ではなく例えば衣服の素材であったり、粉塵であっても対象者Pの衣服の奥深くに入り込んだもの(すなわち、衣服から容易に落ちないもの)が想定される。すなわち、除去されない付着物は、そもそも除塵装置1で除去する必要がないものと想定される。そこで、本実施形態においては、後述する目標除去率の算出(ステップS109参照)において、除去されない付着物を除くこととしている。制御部19は、ステップS108の処理の後、ステップS109の処理へ移行する。
【0061】
ステップS109において、制御部19は、除去率を算出し、マスM1に対して、算出した除去率が目標除去率(R%)以上となった場合に、ステップS110の処理へ移行する。ここで、目標除去率とは、除去対象の粉塵の個数に対し、除去された粉塵の個数の割合を指す。目標除去率は、予め設定され、制御部19の記憶部に記憶される。
【0062】
なお本実施形態において、粉塵の量は粉塵の個数により判断される。また上述の如く、本実施形態においては、除去されない付着物はそもそも除塵装置1で除去する必要がないと想定されるため、制御部19は、除去率の算出において前記「除去対象の粉塵の量」として、付着物と判定された粉塵の個数(ステップS105参照)からBを除いた個数を採用する。こうして、本来除去する必要な無いものを除外するため、実際の場面に応じて好適に除去率を算出することができる。制御部19は、ステップS109の処理の後、ステップS110の処理へ移行する。
【0063】
ステップS110において、制御部19は、ステップS106において算出したTn(原時点のフローの処理の繰り返し回数における付着物の総数)と、T1(付着物の総数の初期値)とに基づいて、付着物の総数に関する現時点の除去率が目標除去率(R)を上回ったか否かの判定を行う。具体的には、制御部19は、以下の式(1)を用いて判定を行うことができる。
Tn<T1(100-R)/100 ・・・ (1)
制御部19は、付着物の総数に関する現時点の除去率が目標除去率(R)を上回っていないと判定した場合、再びステップS106の処理へ移行する。一方、制御部19は、付着物の総数に関する現時点の除去率が目標除去率(R)を上回ったと判定した場合、除塵制御の実行を終了する。
【0064】
制御部19は、除塵制御の実行を終了する場合、送風機13の作動を停止させる。また制御部19は、除塵制御の実行を終了する場合、粉塵の判別の処理(ステップS101及びステップS102)及び人体付着物の判別の処理(人体付着物の判別の処理)を終了する。
【0065】
こうして、制御部19は、ステップS106からステップS110において、付着物の多い部分へ集風処理を行う(
図4に示すステップS30参照)。集風処理においては、マスM1に対して、4つの第二送風口16から吐出された空気を集中させるため、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0066】
またフローの処理(具体的には、ステップS107の処理)を繰り返すことにより、付着物の個数が最も多いマスM1から少ないマスへと順番に、目標除去率を達成させることができる。また付着物の総数に関する現時点の除去率が目標除去率(R)を上回っているかの判定(ステップS110参照)により、全てのマスにおいて目標除去率を達成させなくとも、対象者Pの身体全体として目標除去率を達成した場合に、除塵制御の実行を終了させることができる。すなわち、必要以上の長期間に渡って、対象者Pが一対の側面ユニット2の間に留まることを抑制できる。
【0067】
このように、除塵制御を実行することにより、除塵装置1においては、対象者Pの立ち位置や除塵の付着状況等に応じて、事前の試験条件と風向きや風量を一致させる必要が無い。また第二送風口16の吹き付け方向も適宜変更可能であるため、対象者の身体の各部位で風量の強弱ムラが発生し難く、ひいては除塵効果にも各部位でバラつきが生じ難い。このように、除塵装置1においては、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0068】
以下では、
図8及び
図9を用いて、制御部19により実行される第二実施形態に係る除塵制御の詳細について説明する。
【0069】
第二実施形態に係る除塵制御においては、人体付着物の判別の処理(
図4に示すステップS20参照)の内容が、第一実施形態に係る除塵制御と異なる。具体的には、第二実施形態に係る除塵制御においては、
図6に示すステップS103の処理の代わりに、
図8に示すステップS113a及びステップS113bの処理が実行される点で、当該第一実施形態に係る除塵制御と異なる。以下では、第二実施形態に係る除塵制御において第一実施形態に係る除塵制御と異なる内容について説明を行い、同一の内容については同一の符号を付することにより説明を省略する。
【0070】
ステップS102から移行したステップS113aにおいて、制御部19は、画像取得部18により取得された画像のうち、連続した10コマ分の画像を合成して1つの画像(合成画像)を取得する。こうして、合成画像には、粉塵ごとに、最初のコマ画像に示された位置から最後のコマ画像に示された位置までの移動軌跡が、略線状に現れる。制御部19は、ステップS113aの処理の後、ステップS113bの処理へ移行する。
【0071】
ステップS113bにおいて、制御部19は、合成画像中の粉塵ごとに、当該粉塵の移動軌跡が直線状であるか否かを判定する。制御部19は、当該粉塵の移動軌跡の湾曲の程度を算出し、所定の閾値と比較することにより、当該移動軌跡が直線状であるか否かの判定を行う。制御部19は、当該粉塵の移動軌跡が直線状である場合、ステップS104の処理へ移行する。一方、制御部19は、当該粉塵の移動軌跡が非直線状である場合、ステップS105の処理へ移行する。
【0072】
ここで、気流に乗って移動する粉塵は、ある程度直線状に比較的大きく移動すると想定される。そこで、制御部19は、直線状に移動する粉塵については、除去物と判定する。一方、例えば対象者Pの身体に付着した粉塵は、当該対象者Pの身じろぎにより移動する場合に、非直線状に移動すると想定される。そこで、制御部19は、非直線状に移動する粉塵いついては、除去物と判定する。
【0073】
このように、制御部19は、粉塵の位置の変化量とは異なる条件に基づいて、人体付着物の判別の処理を行うことができる。なお、合成するコマ画像の数量が増えると(すなわち、比較的長期間に渡る粉塵の移動軌跡を取得すると)、当該移動軌跡が除去物であっても途中で曲がる場合が増えるため、例えば5~10コマ分(すなわち、0.2~0.3秒分)程度の合成画像が望ましい。
【0074】
なお、上述の如き第一実施形態及び第二実施形態に係る除塵制御においては、粉塵の量が粉塵の個数により示されるものとしたが、これに限定するものではない。また第一実施形態及び第二実施形態に係る除塵制御においては、人体付着物の判別の処理(ステップS20)を行うものとしたが、これに限定するものではない。以下では、
図9及び
図10を用いて、これらの一例として、制御部19により実行される第三実施形態に係る除塵制御の詳細について説明する。
【0075】
第三実施形態に係る除塵制御においては、粉塵の量が粉塵の反射光の強さにより判断される点で、第一及び第二実施形態に係る除塵制御と異なる。またこれに応じて、第三実施形態に係る除塵制御においては、人体付着物の判別の処理(ステップS20)を行わない点で、第一及び第二実施形態に係る除塵制御と異なる。以下では、第三実施形態に係る除塵制御において第一及び第二実施形態に係る除塵制御と異なる内容について説明を行い、同様の内容については説明を適宜省略する。
【0076】
制御部19は、第三実施形態に係る除塵制御の実行が開始されると、第一及び第二実施形態に係る除塵制御と同様に送風機13を作動させる。
【0077】
ステップS201において、制御部19は、画像取得部18に対象者Pの画像(30コマ/秒の動画)を取得させる。制御部19は、ステップS201の処理の後、ステップS202の処理へ移行する。
【0078】
ステップS202において、制御部19は、レーザー照射部17にレーザー光を照射させ、粉塵を発光させる。そして、制御部19は、画像取得部18により取得された画像を解析し、全てのマスの輝度Lを測定する。本実施形態では、反射面を二次光源とみなした場合の輝度が採用されるが、光の単位や定義は種々のものを採用できる。こうして、制御部19は、マスの輝度Lが高いほど、当該マスにおいて粉塵の量が多いと判定する。制御部19は、ステップS202の処理の後、ステップS203の処理へ移行する。
【0079】
ステップS203において、制御部19は、各マスの輝度の平均を算出する。なお以下では、制御部19により算出された各マスの輝度の平均をTLと称する。またフローの処理の繰り返し回数(後述するステップS208から移行された回数)に応じて、n回目の各マスの輝度の平均をTLnと称する。すなわち、各マスの輝度の平均の初期値はTL1となる。制御部19は、ステップS203の処理の後、ステップS204の処理へ移行する。
【0080】
ステップS204において、制御部19は、全ての第二送風口16に対して風向制御を行うことにより、全てのマスのうち、例えば
図10の符号M2が示すように、輝度Lが最も高いマス(対象者Pの身体の部分のうち粉塵の量が最も多い部分)へ向けて、当該全ての第二送風口16の風向きを変更する。なお
図10においては、便宜上、輝度が高いほどマスの色目を濃く示している。こうして、制御部19は、輝度Lが最も高いマス(マスM2)に対して、4つの第二送風口16から吐出された空気を集中させる。制御部19は、ステップS204の処理の後、ステップS205の処理へ移行する。
【0081】
ステップS205において、制御部19は、マスM2での輝度Lの減少率を算出し、算出した減少率が目標減少率(R%)以上であるか否かを判定する。すなわち、制御部19は、マスM2において、付着物が除去された度合いを当該輝度Lの減少率を用いて判定を行う。ここで、目標減少率とは、第一及び第二実施形態に係る除塵制御の目標除去率に対応するものであり、当該マスにおいて輝度TL1に対して減少した輝度の割合を指す。目標減少率は、予め設定され、制御部19の記憶部に記憶される。
【0082】
こうして、制御部19は、マスM2における輝度Lの減少率が目標減少率(R%)以上ではない場合、ステップS206の処理へ移行する。一方、制御部19は、マスM2における輝度Lの減少率が目標減少率(R%)以上である場合、ステップS207の処理へ移行する。
【0083】
ステップS206において、制御部19は、マスM2における輝度Lを取得し、輝度Lが変化しなくなるとステップS207の処理へ移行する。なお輝度Lが変化しなくなる場合とは、当該マスM2において、除去されない付着物が存在していると想定される。したがって、制御部19は、このような場合、マスM2における輝度Lの減少率が目標減少率(R%)以上でなくとも、次の処理へ移行する。
【0084】
ステップS207において、制御部19は、ステップS203において算出したTLn(原時点のフローの処理の繰り返し回数における各マスの輝度の平均)と、T1(各マスの輝度の平均の初期値)とに基づいて、各マスの輝度の平均に関する現時点の減少率が目標減少率(R%)を上回ったか否かの判定を行う。具体的には、制御部19は、以下の式(2)を用いて判定を行うことができる。
TLn<TL1(100-R)/100 ・・・ (2)
こうして、制御部19は、各マスの輝度の平均に関する現時点の減少率が目標減少率(R%)を上回っていないと判定した場合、ステップS208へ移行する。一方、制御部19は、各マスの輝度の平均に関する現時点の減少率が目標減少率(R%)を上回ったと判定した場合、除塵制御の実行を終了する。
【0085】
ステップS208において、制御部19は、各マスの輝度の平均が変化しなくなったか否かを判定する。すなわち、制御部19は、ステップS203において算出したTLn-1(前回算出された各マスの輝度の平均)とTLn(原時点の各マスの輝度の平均)とを比較し、輝度の平均が変化しているか否かを判定する。制御部19は、輝度の平均が変化しなくなったと判定した場合、除去されない付着物が存在していると想定されるため(これ以上除去を行う必要がないため)、除塵制御の実行を終了する。一方、制御部19は、輝度の平均が変化していると判定した場合、再びステップS203の処理へ移行する。
【0086】
このように、第三実施形態に係る除塵制御においては、粉塵の量が粉塵の反射光の強さにより判断される。こうして、粉塵の量の多寡を点(個数)ではなく範囲で捉えることができるため、粉塵の除去において、飛散される粉塵の影響は小さくできる。そのため、第三実施形態に係る除塵制御においては、第一実施形態及び第二実施形態に係る除塵制御における人体付着物の判別の処理(ステップS20)を省略することができる。
【0087】
以上の如く、第一、第二及び第三実施形態に係る除塵装置1は、
対象者Pの除塵を行う除塵装置であって、
吹き付け方向を変更可能な第二送風口16と、
前記対象者Pの身体の各部分に対応するマス(所定の部分)ごとに粉塵の量を取得する取得手段(レーザー照射部17、画像取得部18及び制御部19)と、
前記取得手段の取得結果に基づいて、前記第二送風口16を前記各部分に対応するマス(所定の部分)のうち最も粉塵の量が多いマス(第一の部分)へ吹き付け方向を変更させる制御部19と、
を具備するものである。
【0088】
このような構成により、粉塵の除去効率を高めることができる。
【0089】
また、第一、第二及び第三実施形態に係る除塵装置1において、
前記取得手段には、
前記各部分に対応するマス(所定の部分)ごとの前記粉塵の量の多寡を検出する制御部19(検出手段)が含まれ、
前記制御部19は、
前記各部分に対応するマス(所定の部分)ごとの前記粉塵の量の多寡に基づいて、前記第二送風口16の吹き付け方向を変更させるものである。
【0090】
このような構成により、例えば粉塵の量が最も多い部分へ向けて全ての第二送風口16の風向きを変更し、全ての第二送風口16から吐出された空気を一つの部分(マス)に集中させることができる。こうして、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0091】
また、第一、第二及び第三実施形態に係る除塵装置1において、
前記取得手段には、
粉塵を発光させるためのレーザー光を照射するレーザー照射部17と、
発光された粉塵の画像を取得する画像取得部18と、
が含まれ、
前記制御部19(検出手段)は、
前記画像に基づいて、前記各部分に対応するマス(所定の部分)ごとの前記粉塵の量の多寡を検出するものである。
【0092】
このような構成により、粉塵の量の多寡を比較的容易に検出することができる。
【0093】
また、第一及び第二実施形態に係る除塵装置1において、
前記制御部19(検出手段)は、
飛散している飛散粉塵と、前記対象者Pの身体に付着している付着粉塵と、を判別し、前記粉塵の量として当該付着粉塵の量を検出するものである。
【0094】
このような構成により、例えば第二送風口16の吹き付け方向の決定に対して、除去対象とはならない粉塵(飛散粉塵)を排除できるため、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0095】
また、第一、第二及び第三実施形態に係る除塵装置1において、
前記制御部19は、
前記最も粉塵の量が多いマス(第一の部分)の前記粉塵の量の減少に応じて、前記各部分に対応するマス(所定の部分)のうち第二の部分へ前記第二送風口16の吹き付け方向を変更させるものである。
【0096】
このような構成により、例えば粉塵の量が最も多い部分(すなわち、粉塵の除去に時間がかかる部分)から順に粉塵の除去を行うことができるため、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0097】
また、第一、第二及び第三実施形態に係る除塵装置1において、
前記第二送風口16は、複数設けられるものである。
【0098】
このような構成により、例えば付着物の個数が最も多いマスに対して、複数の第二送風口16から吐出された空気を集中させることができる。また複数の第二送風口16から吐出された空気は、互いに異なる方向から当該マスへ吹き付けられている。これらにより、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0099】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0100】
例えば本実施形態では、付着物の個数が最も多いマス(対象者Pの身体の部分のうち粉塵の量が最も多い部分)へ向けて、全ての第二送風口16の風向きを変更するものとしたが、これに限定されない。例えば複数のマスから、所定の期間における除去率の低いマスを取得し、当該マスへ向けて全ての第二送風口16の風向きを変更してもよい。これによれば、例えば対象者Pの立ち位置や向き等の要因により粉塵を除去し難い部分に対して、粉塵の除去効率を向上させることができる。
【0101】
また全ての第二送風口16の風向きを同一の方向へ変更するのではなく、例えば2つの第二送風口16ごとに風向きを異なる方向へ変更したり、全ての第二送風口16の風向きを異なる方向へ変更することができる。
【0102】
また、送風口14(第一送風口15及び第二送風口16)の数や、配置、風速等は適宜変更することができる。また表示部19aやレーザー照射部17は、側面ユニット2とは別の場所に設けてもよい。
【0103】
また本実施形態では、各マスの縦横のサイズが各15cm程度となるように形成されるものとしたが、適宜変更することが可能である。また本実施形態では、例えば1cm以下の発光点を粉塵とみなすこととしたが、適宜変更することが可能である。また画像取得部18の表示更新レート(フレームレート)は30fpsに設定されるとしたが、適宜変更することが可能である。また本実施形態では、粉塵が1/30秒あたり10cm以上変位している場合に、飛散された粉塵であると判定したが、適宜変更することが可能である。
【0104】
なお、コマ画像ごとの粉塵の位置の変化量の閾値は、以下の式(3)が成立する範囲で適宜変更することができる。
d=(e/c)×100×(1±0.1) ・・・ (3)
ここで、dは、コマ画像ごとの粉塵の位置の変化量の閾値を示す。またeは、一対の側面ユニット2の間で計測される風速の最低値(m/s)を示す。なお前記最低値の下限は3m/sとする。またcは、カメラのフレームレートを示す。
【0105】
また本実施形態では、粉塵の量は粉塵の個数や輝度により示されるものとしたが、これに限定するものではない。すなわち、粉塵の量は、種々の指標を用いて示すことができる。
【0106】
また本実施形態では、レーザー照射部17は、側面ユニット2の前方にいる対象者Pの全身全部に対してレーザー光を照射するものとしたが、これに限定されない。例えばレーザー照射部17は、対象者Pの身体を検知する所定の検知手段の検知結果を用いて、対象者Pの一部分(例えば顔部分)を除くように、レーザー光を照射することができる。また所定の検知手段としては、例えば画像取得部18により取得された画像を認識する画像認識手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 除塵装置
16 第二送風口
17 レーザー照射部
18 画像取得部
19 制御部
P 対象者