(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034942
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】突張り部材の螺合組付け蓋体
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E03F5/04 D
E03F5/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139525
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】522349177
【氏名又は名称】OGグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】岡島 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】堀籠 幸男
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 哲也
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CB06
2D063CB12
2D063CB26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】取付け固定作業を楽にしてガタツキ騒音や跳ね上げを防止する蓋体の提供。
【解決手段】盤状グレーチングの蓋体1と、蓋体の一側寄りに設けた開口部10内に水平方向の上面を有し、且つ蓋体の一側の方に、上面の外縁311aからの開口部の開口残部を残して蓋体に取付け保持されるベース部材3と、締結部材5と、第一板部61に形成された通孔610へ遊挿して第一板部を介在させた締結部材と被螺合部4との螺合始期に、第一板部の先端側下面がベース部材の外縁に当接し、且つ第一板部の先端で屈曲した第二板部62が、開口残部を潜り抜けて下方へ延在するようにした突張り部材6とを具備し、蓋体で蓋をする側溝8の溝口80に係る上縁近くの側壁81に、螺合始期の第二板部を当てるか接近させ、被螺合部への締結部材の螺合組付け進行に伴って、突張り部材がベース部材の外縁との当接部分を支点のようにして回動し、第二板部が側壁に当たって突張る。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤状グレーチングの蓋体か又は盤状或いは板状の蓋本体を有する蓋体と、
該蓋体の一側寄りに設けた開口部内に水平方向の上面を有し、且つ該蓋体の一側の方に、該上面の外縁からの該開口部の開口残部を残して該蓋体に取付け保持される被螺合部付きベース部材と、
前記被螺合部に螺合する締結部材と、
第一板部に形成された通孔へ遊挿して該第一板部を介在させた前記締結部材と前記被螺合部との螺合始期に、該第一板部の先端側下面が前記ベース部材の前記外縁に当接し、且つ該第一板部の先端で屈曲した第二板部が、前記開口残部を潜り抜けて下方へ延在するようにした突張り部材と、を具備し、
前記蓋体で蓋をする側溝の溝口又は通路の穴口に係る上縁近くの側壁に、前記螺合始期の前記第二板部を当てるか接近させ、前記被螺合部への前記締結部材の螺合組付け進行に伴って、前記突張り部材が前記ベース部材の前記外縁との当接部分を支点のようにして回動し、前記第二板部が前記側壁に当たって突張ることを特徴とする突張り部材の螺合組付け蓋体。
【請求項2】
前記蓋体が複数の主部材を互いに平行にして形成された蓋主部の両側に側当て材を固着した盤状グレーチングか又は盤状或いは板状の蓋本体の下面から下方へ突設部材が突き出す突設部材付き蓋本体であり、
前記第二板部が前記側壁に当たって突張ることにより、この突張る力の反作用で前記側当て材又は前記突設部材が前記側壁に対向する他方の側壁を押圧して、前記蓋体が前記側溝又は前記通路に取付け固定される請求項1記載の突張り部材の螺合組付け蓋体。
【請求項3】
前記グレーチングが、帯幅方向を起立させた複数の前記帯板状主部材を所定ピッチで平行にして形成された前記蓋主部の両側に、前記側当て材に係る側面視逆L字形部材の前記垂直部を固着して、該蓋主部から該逆L字形部材の水平部が外鍔状に外方へ張り出す平面視矩形のグレーチングであり、前記第二板部が前記側壁に当たって突張ることにより、この突張る力の反作用で前記垂直部が前記側壁に対向する他方の側壁を押圧して、前記蓋体が前記側溝又は前記通路に取付け固定される請求項1記載の突張り部材の螺合組付け蓋体。
【請求項4】
前記通孔に遊挿して前記第一板部を介在させた前記締結部材と前記被螺合部との螺合始期に、該締結部材と該第一板部との間に介在させるワッシャを、さらに具備し、前記ベース部材と前記締結部材とで該第一板部及び該ワッシャを挟着するようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の突張り部材の螺合組付け蓋体。
【請求項5】
前記突張り部材が前記第一板部の先端で前記第二板部を屈曲させて成形された板バネ部品からなる請求項4記載の突張り部材の螺合組付け蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は側溝の溝口や通路の穴口等に蓋をする突張り部材の螺合組付け蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、
図16に示す路面等に敷設される側溝8の上方溝口80は、グレーチングmなどの蓋体で塞いで、その上を歩行や車両走行ができるようになっている。同図は側溝8の側壁段差面812に載置する落とし込みタイプのグレーチングmであるが、単なる載置型のグレーチングmでは、車両走行時のガタツキ騒音、さらにグレーチングmそのものが跳ね上がる不具合が発生していた。グレーチングmを側溝8にボルト固定する対策があるが、グレーチングmと側溝8との双方に固定するための細工を要し、煩雑であった。また、
図2に示すU字側溝の場合は側溝8への細工自体が困難であった。
こうしたことから、いくつかの溝蓋やグレーチング用固定具が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-28237号公報
【特許文献3】実用新案登録第3028074号公報
【特許文献2】特開2010-31629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1は、請求項1の「…前記取付座部に先端に溝開口部内壁面に首振り可能に圧接する圧接頭部を備えた圧締部材が進退可能に螺着されている」溝蓋であり、排水溝への取付け固定作業の労力負担が大きい。該文献1に係る
図3の排水溝に載置した溝蓋では、圧接頭部を水平横方向に進出させねばならず、グレーチングの主部材に挟まれた狭い空間内に工具を入れての水平横方向への進出作業は、結構難しく厄介である。
特許文献2は、請求項1の「…該ボルトの締め付けで上昇した該開脚部材によって外側に押し開かれた該脚片の先端が溝の周壁内面に圧設されて成る」グレーチングの固定金具であって、該文献2に係る
図3のように押し開かれた該脚片は溝幅になる大きさが必要である。そのため、大掛かりとなり且つ高コストになる。
特許文献3も、請求項1の「…該取付部材の下側で該締付ボルトによって締結され、該締付ボルトの正逆回転により昇降される昇降部材」とを備えるグレーチング用固定具であり、該文献3の各図面からも判るように複雑構成で、コスト高になる問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、側溝等への蓋体の取付け固定作業を楽にしてガタツキ騒音や跳ね上げを防止し、且つ低コスト化をも可能にする突張り部材の螺合組付け蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第1態様は、盤状グレーチングの蓋体か又は盤状或いは板状の蓋本体を有する蓋体と、該蓋体の一側寄りに設けた開口部内に水平方向の上面を有し、且つ該蓋体の一側の方に、該上面の外縁からの該開口部の開口残部を残して該蓋体に取付け保持される被螺合部付きベース部材と、前記被螺合部に螺合する締結部材と、第一板部に形成された通孔へ遊挿して該第一板部を介在させた前記締結部材と前記被螺合部との螺合始期に、該第一板部の先端側下面が前記ベース部材の前記外縁に当接し、且つ該第一板部の先端で屈曲した第二板部が、前記開口残部を潜り抜けて下方へ延在するようにした突張り部材と、を具備し、前記蓋体で蓋をする側溝の溝口又は通路の穴口に係る上縁近くの側壁に、前記螺合始期の前記第二板部を当てるか接近させ、前記被螺合部への前記締結部材の螺合組付け進行に伴って、前記突張り部材が前記ベース部材の前記外縁との当接部分を支点のようにして回動し、前記第二板部が前記側壁に当たって突張ることを特徴とする突張り部材の螺合組付け蓋体にある。
本発明の第2態様の突張り部材の螺合組付け蓋体は、上記第1態様で、蓋体が複数の主部材を互いに平行にして形成された蓋主部の両側に側当て材を固着した盤状グレーチングか又は盤状或いは板状の蓋本体の下面から下方へ突設部材が突き出す突設部材付き蓋本体であり、前記第二板部が前記側壁に当たって突張ることにより、この突張る力の反作用で前記側当て材又は前記突設部材が前記側壁に対向する他方の側壁を押圧して、前記蓋体が前記側溝又は前記通路に取付け固定されることを特徴とする。本発明の第3態様の突張り部材の螺合組付け蓋体は、上記第1態様で、グレーチングが、帯幅方向を起立させた複数の前記帯板状主部材を所定ピッチで平行にして形成された前記蓋主部の両側に、前記側当て材に係る側面視逆L字形部材の前記垂直部を固着して、該蓋主部から該逆L字形部材の水平部が外鍔状に外方へ張り出す平面視矩形のグレーチングであり、前記第二板部が前記側壁に当たって突張ることにより、この突張る力の反作用で前記垂直部が前記側壁に対向する他方の側壁を押圧して、前記蓋体が前記側溝又は前記通路に取付け固定されることを特徴とする。本発明の第4態様の突張り部材の螺合組付け蓋体は、上記第1~3態様で、通孔に遊挿して前記第一板部を介在させた前記締結部材と前記被螺合部との螺合始期に、該締結部材と該第一板部との間に介在させるワッシャを、さらに具備し、前記ベース部材と前記締結部材とで該第一板部及び該ワッシャを挟着するようにしたことを特徴とする。本発明の第5態様の突張り部材の螺合組付け蓋体は、上記第4態様で、突張り部材が前記第一板部の先端で前記第二板部を屈曲させて成形された板バネ部品からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の突張り部材の螺合組付け蓋体は、側溝の溝口や通路の穴口に蓋体で蓋をし、突張り部材の螺合組付けで、蓋体をしっかりと確実に取付け固定するでき、しかもその作業が簡単で、さらに部品点数が少なく且つそれらの部品をシンプルに作ることが可能で、低コスト化できるなど多大な効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1で、蓋体にグレーチングを用いた被螺合部付きベース部材一体の蓋体の平面図である。
【
図2】側溝上に
図1の被螺合部付きベース部材一体の蓋体を載置しようとする側面図である。
【
図3】(イ)が本実施形態の突張り部材の斜視図、(ロ)が(イ)に代わる他態様図である。
【
図4】締結部材とワッシャと突張り部材の斜視図である。
【
図5】側溝に被螺合部付きベース部材一体の蓋体を載置し、締結部材が突張り部材とワッシャを介在させて被螺合部に螺合した初期の説明横断面図である。
【
図6】
図5から時間経過し、被螺合部への締結部材の螺合組付けが進んで、突張り部材が側壁に当接した状態の説明横断面図である。
【
図7】
図6からさらに時間経過し、被螺合部への締結部材の締結完了状態にある説明横断面図である。
【
図10】
図5の被螺合部に代わる他態様の被螺合部周りの説明断面図である。
【
図11】
図5の螺合部付きベース部材に代わる他態様の螺合部付きベース部材とこれを蓋体に取付け保持した説明断面図である。
【
図12】実施形態2で、(イ)が突設部材を有する被螺合部付きベース部材一体の蓋体に係る平面図、(ロ)が(イ)のXII-XII線断面図に突張り部材等を取付けた断面図である。
【
図13】実施形態3で、突設部材を有する被螺合部付きベース部材一体の蓋体に係る平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る突張り部材の螺合組付け蓋体について詳述する。
図1~
図15は本発明の突張り部材の螺合組付け蓋体の一形態で、
図1は実施形態1で、被螺合部付きベース部材一体の蓋体の平面図、
図2は側溝上に
図1の被螺合部付きベース部材一体の蓋体を載置しようとする側面図、
図3は(イ)が本実施形態の突張り部材の斜視図、(ロ)が(イ)に代わる他態様図、
図4は締結部材とワッシャと突張り部材の斜視図、
図5は側溝に被螺合部付きベース部材一体の蓋体を載置し、被螺合部に締結部材を螺合させる初期の断面図、
図6は突張り部材が側壁に当接した断面図、
図7は被螺合部への締結部材の締結完了にある横断面図、
図8は
図7の拡大図、
図9は
図1のXI-XI線断面図、
図10は他態様の被螺合部周りの断面図、
図11は他態様の螺合部付きベース部材とこれを蓋体に取付けた断面図を示す。
図12は実施形態2で、(イ)が蓋体の平面図、(ロ)が(イ)のXII-XII線断面図に突張り部材等を取付けた断面図である。
図13は実施形態3で、蓋体の平面図、
図14は
図13のXIV-XIV線断面図、
図15は
図13のXV-XV線断面図である。尚、各図は判り易くするため、簡略化して発明要部を強調図示する。
【0010】
(1)実施形態1
本実施形態は、蓋体1と被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6とを備えた突張り部材の螺合組付け蓋体Gである(
図1~
図9)。
蓋体1は、複数の主部材11を互いに平行にして形成された蓋主部1A1の両側に、側当て材12に係る側面視逆L字形部材12aの垂直部121を固着して、蓋主部1A1から逆L字形部材12aの水平部122が外方へ張り出す盤状の金属製グレーチング1Aとする。帯幅方向を起立させた複数の帯板状主部材11を所定ピッチで平行に配した蓋主部1A1に係る各主部材11の両側に、逆L字形部材12aの垂直部121を固着して、蓋主部1A1から逆L字形部材12aの水平部122が外鍔状に外方へ張り出す平面視矩形の鍔付きグレーチング1Aである(
図1,
図2,
図5)。ここで、本発明でいう「垂直部121」の垂直、「水平部122」の水平とは、蓋体1が側溝8に載置される
図2でいえば、その紙面の上下方向にあること、その紙面の左右横方向にあることを指す。
この鍔付きグレーチング1Aは、全体形状が規格化された盤状をなし、主部材11と端板13とクロスバー14と側当て材12とを備える。多数の金属製帯板からなる主部材11とこれに直交するクロスバー14とで路面上の雨水を流下させるスリットSが備わる格子状に形成し、その両側を側面視L字形部材12aの側当て材12で塞ぐ。ここでは、各主部材11に穿設したオーバル孔110に細長帯板のクロスバー14を横に倒して通した後、該クロスバー14を起立させ、クロスバー14の上縁に設けた凹形切欠を主部材11に嵌めて格子状にする(
図5)。
主部材11の両端(
図1でいえば紙面の上下端)に在る端板13と、側当て材5とで平面視矩形にし、
図2のごとく逆L字形部材12aに係る水平部122が蓋主部1A1から外方へ張り出す。
尚、主部材11と端板13とクロスバー14と側当て材12との各接合箇所は溶接固定し、グレーチング1Aの形状が保形される。主部材11は図示ごとくの帯板でもよいが、側面視で上下部分が肉厚大のいわゆるIバーの帯板状主部材1がより好ましい。このとき、端板13はIバーの主部材11と同形状にしてもよいし帯板のままでもよい。
【0011】
被螺合部付きベース部材2は、蓋体1の一側寄りに設けた開口部10の上縁10aよりも下方の開口部10内に水平方向の上面311を有して、該蓋体1に取付け保持されるベース部材3に被螺合部4が設けられた金属製部材である(
図5,
図9)。本実施形態はグレーチング1AがつくるスリットSの一つを開口部10に活用する。ここで、本明細書でいう「開口部10の上縁10aよりも下方の開口部10内に」の「下方」とは、側溝8の上面開口にあたる溝口80に蓋をして側溝8に使用設置した
図5の突張り部材の螺合組付け蓋体Gでいえば、文字通り、紙面の下方を指す。
【0012】
本実施形態は、帯幅方向が起立する主部材11とこれに隣接する主部材11(端板13を含む)の両下縁部分11bにベース部材3に係る矩形の水平板部31が当接してグレーチング1Aに溶接固定される。
図9にその溶接部分wd(他の図面では省略)を示す。ベース部材3は、側溝8に蓋体1を載置したとき、側壁61に近い蓋体1の一側の方、すなわち一の側当て材12寄りにて、水平板部31の上面311が水平方向に設けられる。側溝8の一側壁81(
図5では左側側壁81a)に近いスリットSが利用できる箇所に、ベース部材3が流路方向に離間して複数配設される。ここでは、側溝8に載置するグレーチング1Aにあって、側溝流路方向両端の端板13に近い箇所にベース部材3を夫々一個配設する。各ベース部材3は、蓋体1の一側の方(一の側当て材12の方)で、該側当て材12と水平板部上面311の外縁311aとの間に開口部10の開口残部100を残して該蓋体1に取付け保持される。
図1,
図5のごとく、開口部10には上面外縁311aと側当て材12との間に、平面視で開口残部100の空所が残るよう設定される。そして、該水平板部31の略中央に被螺合部4が設けられる。被螺合部4はベース部材3に雌ネジ孔410を形成した雌ネジ部41とするが、
図10(イ)のような水平板部31に設けた孔30に、その下面側からナット4Aの雌ネジ孔410を合せて、該ナットを水平板部31に一体化させてもよい。また、
図10(ロ)のように、被螺合部4は雌ネジに代えてボルト軸部45を水平板部31に立設するボルト4Bにして、軸部45に雄ネジがある被螺合部4としてもよい。ちなみに、被螺合部4が雌ネジ部41の場合は締結部材5にボルト5Aが選択され、雄ネジ部の場合は締結部材5にナットが選択される。
【0013】
締結部材5は、前記被螺合部4に螺合するボルト(又はナット)である。本実施形態は被螺合部4がベース部材3の水平板部31に雌ネジ孔410を形成した雌ネジ部41であることから(
図5)、締結部材5はボルト5Aである。ここでは、ボルト軸部55に
図4,
図5のような雄ネジ551を有し、ボルト頭56に六角穴561が開いたボルト5Aとする。
【0014】
突張り部材6は、側溝8の上方溝口80に蓋をするようにして、側溝8に載置した蓋体1を取付け固定する本発明の主要部材である。板状の第一板部61に前記被螺合部4の横断面径よりも大きな通孔610が形成され、且つ該第一板部61の先端で
図3のごとく屈曲して、第二板部62が延在する突張り部材6である。突張り部材6は、第一板部61の先端で側面視L字状に屈曲し、その先が平板状に延在した第二板部62を備える。符号Kが屈曲部分で、本発明でいう屈曲には屈折を含む。側溝8に蓋体1を載置した
図5の状態下、通孔610へ遊挿して第一板部61を介在させている締結部材5と被螺合部4との螺合始期に、第一板部61の先端側下面611がベース部材3の外縁311aに当接し、且つ第一板部61の先端で屈曲した第二板部62が、開口残部100を潜り抜けて下方へ延在するようにした突張り部材6である。第一板部31はベース部材3の上方側に配設される。ベース部材3の外縁311aは、側溝8に蓋体1を載置したときに、側壁81に近い側のベース部材3の上面外縁になる。
本実施形態の突張り部材6は、
図4,
図5のごとく、この第二板部62が、第一板部61との接続箇所の境界から側面視L字状に屈曲して降下部分621として延び、さらに該降下部分621の先で第一板部61から遠ざかる側面視「く」の字状に屈曲して先端部分622が平板状に延びる板片体とする。側溝8に蓋体1を載置して、締結部材5による螺合始期の
図5の段階で、第二板部62を側溝側壁81に接近させ易いからである。ちなみに、突張り部材6は、蓋体1で蓋をする側溝8の溝口80に係る上縁80a近くの側壁81に、螺合始期の第二板部62を接近配置させることができれば、例えば
図3(ロ)のごとく、第一板部61の先端で屈曲した第二板部62が、開口残部100を潜り抜けて下方へ平板状にそのまま延在した側面視「へ」字状等の板片体でもよい。
【0015】
本発明は、斯かる蓋体1と被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6とを備え、通孔610へ遊挿し第一板部61を介在させている締結部材5と被螺合部4との
図5のような螺合始期において、蓋体1で蓋をする側溝8の溝口80に係る上縁80a近くの側壁81に、第二板部62を当てるか接近させる構成をとれる突張り部材の螺合組付け蓋体Gになっている。被螺合部4への締結部材5の螺合で、突張り部材6のボルト5A固定側になる第一板部61がベース部材2よりも上方に配される。第一板部61が傾き、その基端、
図5でいえば第一板部61の右端は、水平板部31から浮き上って上方に配される。被螺合部4への締結部材5の螺合組付け進行に伴って、突張り部材6がベース部材3の外縁311aとの当接部分を支点のようにして
図5から
図6,
図7の状態へと回動し、さらに突張り部材6の第二板部62が側壁81に当たって突張る構成である。ここでは、第二板部62に係る先端部分622の切れ込みct入り突端部位629が側壁81に当たって突張る。該突張る力の反作用で側当て材12の垂直部121が側壁81(一方の側壁81a)に対向する他方の側壁81を押圧して、該他方の側壁81bへの押圧と一方の前記側壁81aへの第二板部62による突張る力とで、蓋体1を側溝8から外れないようにしっかりと取付け固定できるしくみにしている。
加えて、突張り部材6に係るボルト5A固定側の第一板部61の基端部位を、ボルト5Aで締付けて押し下げることにより、第二板部62の突端部位629が、
図8の黒矢印のごとく下から上方向にすくい上げる動きとなって側壁81に当たって突張るので、蓋体1を下方向に引っ張る力(
図8の白抜き矢印)が生まれる。第二板部62の該すくい上げる動きが蓋体1の外れ防止に一層役立つ構成になっている。
尚、側溝8の溝口80に代えて集水桝やマンホールなどの
図13~
図15に示す通路9の穴口90(詳細後述)にも、本発明は適用できる。その場合、蓋体1で蓋をする通路の穴口90に係る上縁90a近くの側壁91に、螺合始期の第二板部62を当てるか接近させ、被螺合部4への締結部材5の螺合組付け進行に伴って、突張り部材6がベース部材3の外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動し、さらに第二板部62が通路側壁91に当たって突張る。一方、この突張る力の反作用で垂直部121が側壁91に対向する他方の側壁91を押圧して、蓋体1が通路9に取付け固定される発明となる。
【0016】
ここで、突張り部材6は、板材から寸法切り出し、曲げ成形等により第一板部61の先端で第二板部62を屈曲させて成形した板バネ部品であるとより好ましい。バネ特性を得た材質を使用して、突張り部材6の本用途に合わせた
図4のような形状成形した金属製板片体である。該突張り部材6の成形形状に力を加えると変形し、力を取り除けば元の形に戻る性質を有する板バネの特性を生かすことができる。詳しくは、突張り部材6を介在させて、締結部材5を被螺合部4に螺合し締め付けていくと、突張り部材6はそのままの形状であれば、
図8の鎖線形状になるが、実際は側壁81に阻まれて実線形状に弾性変形し、大きな弾性復元力を蓄える。第二板部62が側壁81(一方の側壁81a)に大きな弾性復元力で当たって突っ張ることで、大きな反力で、垂直部121も他方の側壁81bを押圧して、蓋体1を側溝8により確実に取付け固定できるようになる。
【0017】
さらに本実施形態は、通孔610に遊挿して第一板部61を介在させたボルト5Aと被螺合部4との螺合始期に、該ボルト5Aと該第一板部61との間に介在させるワッシャ7を、具備し、ベース部材3とボルト5A(詳しくはボルト頭56)とで第一板部61及びワッシャ7を挟着するようにしている(
図7)。ワッシャ7を第一板部61の上面側に介在させて締結部材5が被螺合部4に締結される。ボルト5Aの被螺合部4への締め付け時に、通孔610を大きくしてもボルト頭56に、該通孔610をカバーしたワッシャ7を当接させることができ、ボルト5Aの締め付けを円滑になし得る。突張り部材6を介在させて
図5の被螺合部4へのボルト5Aの螺合組付けで、ワッシャ7があることで、ボルト5Aに遊挿状態にする第一板部61は通孔610を大きくできる。通孔610を大きくできる分、突張り部材6の可動範囲が広がって、
図5の螺合始期に突張り部材6の配置作業を行い易くする。
また、突張り部材6の第二板部62が側壁81に当たって突っ張ることで、蓋体1が側溝8に取付け固定されるが、仮に、第二板部62が側壁81に突き当たって側壁81が少し損傷を受けて突っ張る力が弱まる事態になりかけても、突張り部材6の突っ張る力に、ワッシャ7の弾性復元力が加わって、側溝8への蓋体1の取付け固定を保つことができる。
【0018】
次に、本突張り部材の螺合組付け蓋体Gの側溝8への取付け固定の一方法と作用について述べる。
まず、
図9の被螺合部付きベース部材2が一体の蓋体1を、
図2のように敷設された側溝側壁81上に、側溝8の上面開口を覆って載置する。蓋体1で側溝8の上面溝口80に蓋をする。符号82は側溝底壁、符号Rは流路、符号GLは路面を示す。
そして、ワッシャ7と突張り部材6の通孔610に遊挿したボルト5Aの先端部分を被螺合部付きベース部材2の被螺合部4たる雌ネジ部41に螺合する。通孔610へ遊挿して第一板部61を介在させた締結部材5たるボルト5Aと被螺合部4との螺合始期を示す
図5の状態下、通孔610は側溝8の溝幅方向の孔長の方が長い横長形状にしているので、被螺合部4へのボルト5Aの螺合セット時に、突張り部材6の動きに融通性があり、そのセットが楽になる。通孔610にボルト5Aを遊挿して第一板部61を傾斜させると、その先端側下面611がベース部材3に係る水平板部31の上面外縁311aに難なく当接する。且つ該第一板部61の先端で屈曲し、開口残部100を潜り抜けて下方へ延在する第二板部62が、溝口80近くの側壁81に接近(場合によっては当接)する。
尚、螺合始期に先立ち、側溝8上に載置するグレーチング1Aは、ベース部材3が在る一側と反対の他側の方の側壁81bへ寄せておく(
図5)。
【0019】
次いで、被螺合部4へのボルト5Aの螺合組付けを進行させる。すると、突張り部材6がベース部材3の上面外縁311aとの当接地点を支点のようにして回動し、側壁81に接近していた第二板部62の突端部位629が側壁81に当たる(
図6)。
ここで、通孔610にボルト5Aを遊挿しているので、上面外縁311aとの突張り部材6の当接地点が少し位置ずれして回動するようなことも起こり得るが、このような場合でも、本発明は突張り部材6が上面外縁311aとの当接地点を支点に回動するとみなす。突張り部材6が少しずれても、本発明の作用効果が得られるからである。
【0020】
続いて、ボルト頭56の六角穴561に六角棒レンチTを入れて、被螺合部4へのボルト5Aの螺合組付け進行でボルト5Aをさらに締め付けていく。すると、突張り部材6がベース部材3の上面外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動し、やがて
図7の姿態となる。被螺合部4へのボルト5Aの締付けは、その完了までグレーチング1A上方での作業であり、六角棒レンチTによる締付け作業が楽である。加えて、当初は
図5のごとく傾いていた突張り部材6の第一板部61を、
図7のごとく水平状態になるようベース部材3上へ載せ当接させていくボルト5Aの締付けが、突張り部材6と水平板部31の上面外縁311aとの当接部分を支点にした梃の原理を活用しているので、該ボルト5Aの締付けにさほど力を加えずして、側壁81への突張り部材6の突張り力を高めることができる。
尚、
図7,
図8は、側壁81に突張り部材6の突端部位629が食い込んで、該突張り力が高まっている様子を強調図示したが、突板部位629は丸みをもたせたり側壁81との当たり面を適宜増やしたりして、該食い込みは抑えられている。
【0021】
被螺合部4へのボルト5Aの螺合締付け進行に伴って、側壁81に第二板部62の突端部位629が側壁81に当たって突張る。しかも、この突っ張る力の反作用で、側溝8上に載置したグレーチング1Aが、他方の側壁81bと垂直部121との間に隙εをつくってしまっていた
図5のような場合でも、その隙εを埋めた後、垂直部121が側壁81aに対向する他方の側壁81bを押圧して、突張り部材6の前記突張り力と垂直部121の該押圧とによって、グレーチング1Aを側溝8にうまく取付け固定できる。特に、突張り部を
図8のように弾性変形させると、その弾性変形に伴う大きな弾性復元力が発生して、グレーチング1Aが側溝8に確実に固定される所望の突張り部材6の組付け蓋体1になる。
【0022】
ちなみに、本実施形態はベース部材3の水平板部31を主部材11に固定する溶接部分wdを設けたが(
図9)、本発明におけるベース部材3は蓋体1に一体化させずに取付け保持されればよい。例えば、
図11のように、ベース部材3に係る水平板部31の両側から上方へ延びる立板部32の上端部分に設けたフック33を主部材11に吊設係止させ、該水平板部31を
図9のものと同様な形で配置してもよい。
【0023】
また、図示を省略するが、本実施形態は
図1,
図6のごとく平面視矩形グレーチング1Aの長辺側の一側の方に被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6を設けたが、
図6の中央に在るクロスバー14を中心に左右線対称に右側の他側の方にも被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6を左右対称に設けて、両側に設けられる第二板部62うちの片方が一方の側壁81aに当たって突張ると共に、残りの片方の第二板部62が他方の側壁81bに当たって突っ張ることで、蓋体1が側溝8又は通路9に取付け固定される突張り部材の螺合組付け蓋体Gであってもよい。斯かる場合、構成部品の数が増えるが、側溝8に蓋をしたグレーチング1Aを上面溝口80の中央に配することが可能で、見栄えを良好にできる。
【0024】
(2)実施形態2
本実施形態は、蓋本体1Bの下面から下方へ突設部材19が突き出す蓋体1とする突張り部材の螺合組付け蓋体Gで、
図12のような落とし込みタイプの盤状グレーチングに適用する。側溝8の側壁頂面811から一段下がる段差面812に落とし込みタイプのグレーチングたる蓋本体1Bを載置し、突張り部材6がベース部材3の外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動し、さらに第二板部62が側溝側壁81に当たって突張る。そして、突張り部材6が配される側壁81aの方とは反対側の側壁81bの方に、実施形態1の垂直部121に代わる突設部材19の突設片192が、突張り部材6の突張る力の反作用で
図12(ロ)のごとく押圧して、蓋体1が側溝8に取付け固定される突張り部材の螺合組付け蓋体Gになっている。ここでは、落し込みタイプの盤状グレーチングの蓋本体1Bに突設部材19が取付けられた蓋体1とする。
【0025】
本実施形態は、実施形態1と同様の被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6と、を備える。
一方、蓋体1は蓋本体1Bが図示ごとくのグレーチングであり、側当て材12に実施形態1のL字形部材12aを用いずに、帯板とする。該グレーチングは、主部材11の帯幅方向を上下にして、主部材11間のスリットSの幅を所定ピッチで平行に配した後、これらにクロスバー14(通称、ツイスト棒と呼ぶ)を直交に載置し、電気圧接して格子状のグレーチング主部を組立てる。両端の主部材11を端板13とする。
その後、主部材11とクロスバー14とで格子状に規格形成された直方体のグレーチング主部の側面(各主部材11の両側端面)に帯板からなる側当て材12を当てて溶接固定し、矩形盤状の蓋本体1Bとする。さらに、蓋本体1Bの下面に図示ごとくの突設部材19を固着して蓋体1とする。実施形態1ではL字形部材12aに係る垂直部121が他方の側壁81bを押圧したが、この押圧する役割を、突設部材19の突設片192(詳しくは一方の板部192a)が担う。
【0026】
ここでの突設部材19は受板片191と突設片192とを備える。ベース部材3が在る一側の方の側当て材13とは反対側の他方の側当て材13寄りに、実施形態1のベース部材3と外形を略同じくする受板片191を固着する。該受板片191が主部材11の下縁部分11bに溶接固定される。この受板片191に、側面視「ヘ」字形の板状突設片192の一方の板部192aが
図12(ロ)のごとく下方に向け外方傾斜するようにして、他方の板部192bを受板片191に固着する。
かくのごとくして、この突設部材19を設けた蓋体1を用い、通孔610へ遊挿して第一板部61、ワッシャ7を介在させた締結部材5と被螺合部4との螺合始期に、第一板部61の先端側下面611がベース部材3の上面外縁311aに当接して、第一板部61の基端側が水平板部31から浮き上がり、且つ第一板部61の先端で屈曲した第二板部62が、開口残部100を潜り抜けて下方へ延在するよう配される。そうして、蓋体1で蓋をする側溝8の溝口80に係る上縁80a近くの側壁81へ、螺合始期の第二板部62を当てるか接近させる。突張り部材6は、被螺合部4への締結部材5の螺合組付け進行に伴い、ベース部材3の上面外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動して、第二板部62が側壁81に当たって突張る(
図12のロ)。この突張る力の反作用で突設部材19(詳しくは突設片192の一方の板部192a)が突張り部材6側の側壁81aに対向する他方の側壁81bを押圧して、第二板部62の突張り力と突設部材19の押圧とによって、蓋体1が側溝8に取付け固定される。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0027】
ところで、盤状の蓋本体1Bが本実施形態のような盤状グレーチングの場合、第二板部62の突張り力と突設部材19の押圧とによって、蓋体1が側溝8に取付け固定するのに代え、図示を省略するが、突設部材19をなしにした盤状グレーチングの蓋本体だけで蓋体1を構成し、第二板部62が前記側壁81aに当たって突張ることにより、この突張る力の反作用で前記側当て材81aが前記側壁に対向する他方の側壁81bを押圧して、蓋体1が側溝8又は通路9に取付け固定されるものでもよい。
図12で説明すると、突設部材19がなしの突張り部材の螺合組付け蓋体Gとなる。
図12(ロ)でいえば、蓋体1が突張り部材6の第二板部62が突張ることによって、蓋体1が右方へずれて、さらに側当て材12が他方の側壁192a(ここでは段差面812から頂面81に向かう立壁)を押圧し、蓋体1が側溝8に取付け固定されることになる。第二板部62が突張ることによって、実施形態1の
図5から
図7へとずれるように、
図12(ロ)で、蓋体1が他方の側壁81bの方へずれる。この蓋体1が他方の側壁81bの方へずれることに伴って、側溝8に蓋をした蓋体1は上方溝口80の中央から横にズレて配置バランスが悪くなるが、突設部材19を省くことができ、また一方の側壁81aの方にゴミを収集できる長所もある。
【0028】
また、図示を省略するが、本実施形態は
図12のごとく蓋体1たる平面視矩形グレーチングの長辺側の一側の方に被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6を設けたが、
図12(ロ)の蓋体1にて、その左右方向の真ん中で、上下垂直方向に走るラインを中心に左右線対称に、右側の他側の方にも被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6を設けて、両側に設けられる第二板部62うちの片方が一方の側壁81aに当たって突張ると共に、残りの片方の第二板部62が他方の側壁82bに当たって突っ張ることで、蓋体1が側溝8又は通路9に取付け固定される突張り部材の螺合組付け蓋体Gであってもよい。斯かる場合、構成部品の数が増えるが、側溝8に蓋をしたグレーチングの蓋体1を上面溝口80の中央に配することが可能であり、見栄え良くすることができる。
【0029】
(3)実施形態3
本実施形態は、板状の蓋本体1Bの下面から下方へ突設部材19が突き出す
図13~
図15のような蓋体1とした突張り部材の螺合組付け蓋体Gである。例えば、集水枡等の通路断面が四角枠形になっている通路9で、その穴口90に蓋をする蓋体1に適用する。
ここでの蓋本体1Bは縞鋼板からなる略正方形の板体であり、グレーチング1Aのような開口部10として利用できるスリットSが存在しない。よって、蓋本体1Bの一側寄りに
図13に示す矩形の開口部10を形成する。開口部10は離間させて複数(ここでは二つ)設けられる。
そして、開口部10の上縁10aよりも下方の開口部10内に水平方向の上面311を有し、且つ蓋体1の一側の方に、該上面311の外縁311aからの該開口部10の開口残部100を残して、蓋体1に取付け固定されるベース部材3を備える。ベース部材3は、開口部10内に水平方向の上面311を有する水平板部31と、該水平板部31の両サイドから垂直上方に延在する一対の吊設板部35と、両吊設板部の上端で外方へ屈折し延在する取付板部36とを備える。取付板部36が開口部10周りの蓋本体1B裏面に溶接固定される。
該ベース部材3には、水平板部31の略中央に雌ネジ孔410でつくる被螺合部4が設けられ、被螺合部付きベース部材2になっている。
平面視における水平板部31と開口残部100は、実施形態1のものと略同じ大きさであり、また水平板部31に設ける雌ネジで形成した被螺合部4も実施形態1と同様にする。
【0030】
突設部材19は、側面視逆L字形の板状突設片の一方の垂直板部195が
図15のごとく垂下にして、他方の上板部196が蓋本体1B裏面に溶接固定される。蓋本体1Bの一側寄りにベース部材3が設けられるのに対し、突設部材19は蓋本体1Bの他側寄りに設けられる。蓋本体1Bの下面から下方へ突きだす突設部材19を設けた蓋体1が出来上がる。
締結部材5と突張り部材6は実施形態1と同様で、その説明を省く。
【0031】
斯かる構成部材を具備し、通孔610へ遊挿して第一板部61、ワッシャ7を介在させた締結部材5と被螺合部4との螺合始期に、第一板部61の先端側下面611がベース部材3の上面外縁311aに当接して、第一板部6が傾いてその基端側が水平板部31から浮き上がり、且つ第一板部61の先端で屈曲した第二板部62が、開口残部100を潜り抜けて下方へ延在する。そして、板状の蓋本体1Bを有する蓋体1で蓋をする通路の穴口90に係る上縁90a近くの側壁81に、螺合始期の第二板部62が当たるか接近する。被螺合部4への締結部材5の螺合組付けが行われると、その進行に伴い、突張り部材6がベース部材3の上面外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動して、最終的に第二板部62が前記側壁91に当たって突張る。この突張る力の反作用で突設部材19が前記側壁91に対向する他方の側壁91に押圧して、蓋体1が通路に取付け固定される。
他の構成は実施形態1と同様であり、その説明を省く。
図13~
図15中、実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0032】
また、図示を省略するが、本実施形態は
図15でいえば蓋体1の左側の方に開口部10と被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6と突設部材19を設けたが、同図の蓋体1にて、その左右方向の真ん中で、上下垂直方向に走るラインを中心に左右線対称に右側の他側の方にも開口部10と被螺合部付きベース部材2と締結部材5と突張り部材6を設けて、且つ突設部材19はなしにして、両側に設けられる第二板部62うちの片方が一方の側壁81aに当たって突張ると共に、残りの片方の第二板部62が他方の側壁82bに当たって突っ張ることで、蓋体1が側溝8又は通路9に取付け固定される突張り部材の螺合組付け蓋体Gであってもよい。斯かる場合、構成部品の数が増えるが、側溝8に蓋をしたグレーチングの蓋体1を上面溝口80の中央に配することが可能で、見栄えを良好にできる。
【0033】
(4)効果
このように構成した突張り部材の螺合組付け蓋体Gは、実施形態1のいわゆる鍔付きグレーチング1Aの蓋体1にあっては、逆L字形部材12aに係る側当て材12の垂直部121を活用して、図示ごとくの小物の被螺合部付きベース部材2と、板片加工で形成できる同じく小物の突張り部材6と、ボルト5A等の締結部材5だけで、側溝8(又は通路9)に蓋をした蓋体1がガタついたり外れたりしないように取付け固定できる。蓋体1のガタつき騒音防止、外れ防止の他、跳ね上がり防止、盗難防止等に効を奏する。
また、本発明は側溝8(又は通路9)側に、蓋体1を取付け固定するための工作施工が不要になる。鍔付きグレーチング1Aの場合は側溝8又は路面GL側に工作施工が困難なことから、鍔付きグレーチング1Aの設置に対し、本発明は極めて優れものになっている。
【0034】
そして、特許文献2の大掛かりな構成部品と比べて小さな小部品構成で、部品点数も少なく且つ簡素で低コスト化できる。また、特許文献3のような複雑構成でなく、且つシンプル構成であり、頑強にして壊れにくく故障も少ない。
さらに、側溝8(又は通路9)に蓋をする蓋体1の取付け固定、取外しが簡単である。既存のグレーチング1Aに対しても、低価格且つ後付けでも簡単に対応できるメリットを備える。
【0035】
また、突張り部材の螺合組付け蓋体Gに係る蓋体1の側溝8(又は通路9)への取付け固定作業を円滑に進めることができる。
蓋体1の側溝8等への取付け固定は、通孔610へ遊挿して第一板部61を介在させた締結部材5と被螺合部4との螺合始期から開始するが、螺合セット及び開始時におけるボルト5Aと被螺合部4との螺合は、
図5のようにボルト頭56がグレーチング1Aの上面よりも上方にあるので、手を使ってでも楽に螺合進行できる。
加えて、この回動締付け作業は、グレーチング1Aの狭い盤状空間内で締付け部材を水平方向に動かす特許文献1の締付け動作と違って、主部材11等に邪魔されない。被螺合部4へのボルト5Aの締付け完了まで、グレーチング1A上方での作業で実施でき、六角棒レンチTによる締付け作業がいたって楽である。ちなみに、実施形態のような六角穴561がないボルト5Aの場合は、ボルト頭56を回す基本工具のレンチで、六角棒レンチと同じような作業で、被螺合部4へのボルト5Aの回動締付けができる。
【0036】
さらに、螺合組付け進行に伴って、突張り部材6はベース部材3に係る水平板部の上面外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動する。よって、
図6から
図7,
図8の姿態へと変化させる作業で、該当接部分を支点のようにした梃の原理を利用して、ボルト5Aを楽に回すことができる。少ない力で効果的に第二板部62が側壁81に当たって突張るようにできる。側溝8や集水桝等の通路9の上面開口を塞ぐようにして載置されるグレーチング1Aなどの蓋体1を、作業者は梃の原理を利用して、大きな労力負担をかけずに、側溝8(又は通路9)から蓋体1がガタついたり不用意に外れたりしないよう、強固に取付け固定できる。これまで、車両走行等で起こる蓋体1のガタツキやその騒音といった問題を一挙に解決する。とりわけ、軽量の部類に属する
図1,
図2のような鍔付きグレーチング1Aでは、その上を走行する車両等で蓋体1が側溝8から外れ易い問題があったが、こうした問題も難なく解決できる。
【0037】
さらにいえば、第二板部62が側壁81に当たって突張るが、突張り部材6が水平板部31の上面外縁311aとの当接部分を支点のようにして回動することによって、突張り部材6先端側の上方向の動きにより、蓋体1を下方向に引っ張る力が生まれる。
図8に示す黒矢印方向の力が加わり、該力が蓋体1を同図の白抜き矢印のごとく側溝8下方へ引き寄せるので、蓋体1のガタツキや側溝8からの蓋体1の外れ防止,跳ね上がり防止に一層の効果を発揮する。
加えて、突張り部材6を板バネ等の弾性変形部材にしたり、又は/及び該突張り部材6とボルト5Aとの間にスプリングワッシャ等の弾性変形する部材を介在させたりして、被螺合部4へボルト5Aを螺合締結すると、側溝8(又は通路9)の欠けや変形に対しても、弾性変形によって追従し、突張り部材6の突張り力を保持できる。
【0038】
また、実施形態2、3のような突張り部材の螺合組付け蓋体Gに係る蓋体1は、側面視逆L字形部材12aを有しない代わりに、盤状又は板状の蓋本体1Bの下面から下方へ突き出す簡便な突設部材19が構成部品として追加された蓋体1にするだけで、突設部材19に垂直部121の役目を担わせて、上述した実施形態1と同様の効果を得ることができ、極めて有益である。
これに補足すると、蓋本体1Bが盤状のグレーチングである場合は、突設部材19をなしにして、該突設部材19の役目を側当て材12に担わせることも可能であり、低コスト化できる。
【0039】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。蓋体1,被螺合部付きベース部材2,ベース部材3,被螺合部4,締結部材5,突張り部材6,ワッシャ7, 突張り部材の螺合組付け蓋体G等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態2は
図7に示す蓋本体1Bは落し込みタイプのグレーチングに適用したが、グレーチング下面に嵩上げ部材を備えた嵩上げ部材付きグレーチングにも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 蓋体
1A1 蓋主部
1B 蓋本体
10 開口部
10a 上縁
100 開口残部
12 側当て材(エンドバー)
12a L字形部材
121 垂直部
122 水平部
19 突設部材
2 被螺合部付きベース部材
3 ベース部材
31 水平板部
311 上面(水平板部の上面)
311a 外縁(上面外縁)
4 被螺合部
5 締結部材
6 突張り部材
61 第一板部
610 通孔
611 先端側下面
62 第二板部
7 ワッシャ
8 側溝
G 突張り部材の螺合組付け蓋体