(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034943
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240306BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240306BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B41J11/70
G03G15/00 455
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139526
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】篠矢 翔太
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
(72)【発明者】
【氏名】古山 達也
(72)【発明者】
【氏名】堀川 竜太郎
【テーマコード(参考)】
2C058
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2C058AC08
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA23
2C058LB06
2C058LB36
2C058LC24
2H072AA16
2H072AA24
2H072AA32
2H072BA12
2H072CA01
2H072CB03
2H270KA57
2H270LA29
2H270LA71
2H270LC02
2H270LC07
2H270LC14
2H270LC19
2H270LD05
2H270LD09
2H270MC61
2H270MC71
2H270MC72
2H270MD01
2H270MD02
2H270MD15
2H270PA34
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】シートを正確な位置で切断する。
【解決手段】制御部(101)は、搬送部(3)を制御してシート(P)を搬送させる搬送処理であって、搬送ガイド(8)によって形成される搬送経路(200)の一部(200B)を通過するシートをカッター(10)に切断させる切断位置(B)がカッター位置に到達するための搬送部の動作量を、搬送されるシートに関するシート情報および装置本体(2)の環境情報の少なくとも一方に基づいて補正し、補正した動作量で搬送部を動作させて当該シートを搬送した後、搬送部を停止させて当該シートを停止させる搬送処理と、カッターを制御して、搬送処理により停止しているシートを切断させる切断処理と、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、
搬送経路を有する装置本体と、
前記搬送経路に沿った搬送方向にシートを搬送する搬送部と、
前記搬送方向における前記定着部の下流であるカッター位置に位置し、前記搬送方向と交差する切断方向にシートを切断可能なカッターと、
前記搬送方向において前記定着部と前記カッターとの間に位置して前記搬送経路の一部を形成する第1搬送ガイドおよび第2搬送ガイドを有し、前記第1搬送ガイドが前記第2搬送ガイドと対向する搬送ガイドと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記搬送部を制御してシートを搬送させる搬送処理であって、前記搬送経路の一部を通過するシートを前記カッターに切断させる切断位置が前記カッター位置に到達するための前記搬送部の動作量を、搬送されるシートに関するシート情報および前記装置本体の環境情報の少なくとも一方に基づいて補正し、補正した前記動作量で前記搬送部を動作させて当該シートを搬送した後、前記搬送部を停止させて当該シートを停止させる搬送処理と、
前記カッターを制御して、前記搬送処理により停止しているシートを切断させる切断処理と、
を実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記搬送処理において、前記動作量として、前記搬送部によりシートを搬送させる搬送時間を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記搬送方向において前記定着部よりも下流に位置し、前記装置本体の外部にシートを排出する排出ローラを有し、
前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記動作量として、前記排出ローラの回転を停止させる時間を補正する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排出ローラよりも前記搬送方向の上流の位置であるセンサ位置に位置し、前記センサ位置におけるシートを検知するシートセンサを更に備え、
前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記動作量として、前記シートセンサがシートの先端を検知したタイミングからの前記排出ローラの回転を停止させる時間を補正する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置本体の環境に応じた前記環境情報を検知する環境センサを更に備え、
前記制御部は、前記搬送処理において、前記環境センサが検知した環境情報に応じて異なる補正値で前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シート情報は、前記シートの用紙種に関連する情報であり、
前記制御部は、前記搬送処理において、前記シートの用紙種に応じて異なる補正値で前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方と、所定タイミングから前記画像を形成させたシートの枚数とに基づいて、前記搬送部の動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記搬送処理において、前記所定タイミングから前記画像を形成させたシートの枚数が所定値以上である場合と前記所定値未満である場合とで異なる補正値で前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体は、前記定着部によりシートの第1面に画像を定着させた当該シートの反対面である第2面に画像を形成するためにシートが通過する再搬送経路を更に有し、
前記制御部は、
前記第1面のみに前記画像が形成されたシートを切断する第1印刷モードと、
前記第1面に画像が形成された後に前記再搬送経路を通過し前記第2面に画像が形成されたシートを切断する第2印刷モードと、のどちらの印刷モードを実行するかを判断するモード判断処理をさらに実行し、
前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方と、前記モード判断処理の判断結果とに基づいて、前記搬送部の前記動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記搬送処理において、前記第1印刷モードを実行すると判断した場合と前記第2印刷モードを実行すると判断した場合とで異なる補正値で前記搬送部の前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成部をさらに備え、
前記制御部は、
前記画像に関する情報と、前記シート情報とを含む画像形成ジョブを受け付け、
前記画像に関する情報に基づいて、前記画像形成部によりシートに前記画像を形成させ、
前記搬送処理において、前記シート情報に基づいて、前記搬送部の前記動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部は、
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、
前記感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラと、を有する、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の両方に基づいて、前記動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記装置本体は、
前記搬送経路の一部であって、外部にシートを排出するための第1排出経路と、
前記搬送経路の一部であって、前記第1排出経路とは異なる経路であり、前記カッター位置を経由して外部にシートを排出するための第2排出経路と、
前記第1排出経路または前記第2排出経路のどちらか一方にシートを案内するフラッパと、を更に有し、
前記制御部は、
前記カッターによるシートの切断が必要か否かに関する情報を含む画像形成ジョブを受け付け、
前記画像形成ジョブに基づいて、シートの切断が必要と判断した場合は、前記第2排出経路へシートを案内するよう前記フラッパを移動させ、
前記画像形成ジョブに基づいて、シートの切断が必要でないと判断した場合は、前記第1排出経路へシートを案内するよう前記フラッパを移動させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記搬送ガイドによって形成される前記搬送経路の一部は、前記搬送方向における上流側と、前記搬送方向における下流側とで、シートを搬送する向きが反対となるよう湾曲している、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
シートを支持する供給トレイをさらに有し、
前記制御部は、
前記搬送処理において、前記搬送部によって搬送されるシートの先端から前記カッター位置までの長さと、当該シートの後端から前記カッター位置までの長さとの両方が、前記供給トレイに支持されているシートの前記搬送方向の長さの半分よりも短くなる位置に、前記搬送部によって搬送されるシートを停止させるよう前記搬送部の前記動作量を補正する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、
搬送経路を有する装置本体と、
シートを支持する供給トレイと、
前記供給トレイからシートを給紙する給紙ローラを有し、給紙されたシートを前記搬送経路に沿った搬送方向にシートを搬送する搬送部と、
前記搬送方向における前記定着部の下流であるカッター位置に位置し、シートを切断するカッターと、
前記搬送方向において前記定着部と前記カッターとの間に位置して前記搬送経路の一部を形成する第1搬送ガイドおよび第2搬送ガイドを有し、前記第1搬送ガイドが前記第2搬送ガイドと対向する搬送ガイドと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記搬送部を制御してシートを搬送させる搬送処理であって、前記搬送経路の一部を通過するシートを前記カッターに切断させる切断位置が前記カッター位置に到達するための前記搬送部の動作量を当該シートの先端から前記カッター位置までの長さと当該シートの後端から前記カッター位置までの長さとの両方が前記供給トレイに支持されているシートの前記搬送方向の長さの半分よりも短くなる位置になるように補正し、補正した前記動作量で前記搬送部を動作させてシートを搬送した後、前記搬送部を停止させて前記シートを停止させる搬送処理と、
前記カッターを制御して、前記搬送処理により停止しているシートを切断させる切断処理と、
を実行する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷したシートをカッターで裁断する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トナー像が形成され、定着部によりシートに画像を定着させる画像形成装置においては、定着によりシートに熱が加えられることにより、シートの用紙種や周囲環境に応じてシートの形状が縮小したり変化したりする場合がある。変化した形状のシートは、搬送経路内の空間のうち想定していた経路からずれた経路を通るようになる。同様に、厚紙と普通紙とではシートのコシが異なる。このシートのコシによって、搬送経路内の空間のうち想定していた経路からずれた経路を通るようになる。その結果、想定した搬送量分シートを搬送して停止したとしても、搬送方向におけるシートの位置が想定からずれてしまう。そのため、カッターによってシートを切断するシート上の位置が想定された位置からずれるという課題があった。
【0005】
特許文献1では、このような位置ずれについて考慮されていない。
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、シートをより正確な位置で切断されるよう制御可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る画像形成装置は、加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、搬送経路を有する装置本体と、前記搬送経路に沿った搬送方向にシートを搬送する搬送部と、前記搬送方向における前記定着部の下流であるカッター位置に位置し、前記搬送方向と交差する切断方向にシートを切断可能なカッターと、前記搬送方向において前記定着部と前記カッターとの間に位置して前記搬送経路の一部を形成する第1搬送ガイドおよび第2搬送ガイドを有し、前記第1搬送ガイドが前記第2搬送ガイドと対向する搬送ガイドと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部を制御してシートを搬送させる搬送処理であって、前記搬送経路の一部を通過するシートを前記カッターに切断させる切断位置が前記カッター位置に到達するための前記搬送部の動作量を、搬送されるシートに関するシート情報および前記装置本体の環境情報の少なくとも一方に基づいて補正し、補正した前記動作量で前記搬送部を動作させて当該シートを搬送した後、前記搬送部を停止させて当該シートを停止させる搬送処理と、前記カッターを制御して、前記搬送処理により停止しているシートを切断させる切断処理と、を実行する。
【0007】
シートの変形は、搬送されるシートの用紙種等や画像形成装置の装置本体の温度、湿度等により変化する。上記構成によれば、制御部がシートの情報および装置本体の環境情報の少なくとも一方に基づいて搬送部を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0008】
本開示の態様2の画像形成装置では、前記制御部は、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記搬送処理において、前記動作量として、前記搬送部によりシートを搬送させる搬送時間を補正させてもよい。
【0009】
上記構成によれば、シートを搬送させる搬送時間を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるように、精度よく、容易に制御することができる。
【0010】
本開示の態様3の画像形成装置では、前記搬送部は、前記搬送方向において前記定着部よりも下流に位置し、前記装置本体の外部にシートを排出する排出ローラを有し、前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記動作量として、前記排出ローラの回転を停止させる時間を補正してもよい。
【0011】
上記構成によれば、排出ローラによるシートの搬送を停止させる時間を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるように、精度よく、容易に制御することができる。
【0012】
本開示の態様4の画像形成装置では、前記排出ローラよりも前記搬送方向の上流の位置であるセンサ位置に位置し、前記センサ位置におけるシートを検知するシートセンサを更に備え、前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記動作量として、前記シートセンサがシートの先端を検知したタイミングからの前記排出ローラの回転を停止させる時間を補正してもよい。
【0013】
上記構成によれば、制御部は、シートの先端が検知されたタイミングを基準にして排出ローラの回転を停止させる時間を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0014】
本開示の態様5の画像形成装置では、前記装置本体の環境に応じた前記環境情報を検知する環境センサを更に備え、前記制御部は、前記搬送処理において、前記環境センサが検知した環境情報に応じて異なる補正値で前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正してもよい。
【0015】
上記構成によれば、制御部は、環境センサが検知した環境情報に応じて異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0016】
本開示の態様6の画像形成装置では、前記シート情報は、前記シートの用紙種に関連する情報であり、前記制御部は、前記搬送処理において、前記シートの用紙種に応じて異なる補正値で前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正してもよい。
【0017】
上記構成によれば、制御部は、シートの用紙種に応じて異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0018】
本開示の態様7の画像形成装置では、前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方と、所定タイミングから前記画像を形成させたシートの枚数とに基づいて、前記搬送部の動作量を補正してもよい。
【0019】
上記構成によれば、制御部は、所定タイミングから画像を形成させたシートの枚数に応じて定着部の加熱回転体の温度が変化することで、シートの変形具合の変化を推測することができるため、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することが可能となる。
【0020】
本開示の態様8の画像形成装置では、前記制御部は、前記搬送処理において、前記所定タイミングから前記画像を形成させたシートの枚数が所定値以上である場合と前記所定値未満である場合とで異なる補正値で前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正してもよい。
【0021】
上記構成によれば、制御部は、所定タイミングから画像を形成させたシートの枚数が所定値以上である場合と、所定値未満である場合とで異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することが可能となる。
【0022】
本開示の態様9の画像形成装置では、前記装置本体は、前記定着部によりシートの第1面に画像を定着させた当該シートの反対面である第2面に画像を形成するためにシートが通過する再搬送経路を更に有し、前記制御部は、前記第1面のみに前記画像が形成されたシートを切断する第1印刷モードと、前記第1面に画像が形成された後に前記再搬送経路を通過し前記第2面に画像が形成されたシートを切断する第2印刷モードと、のどちらの印刷モードを実行するかを判断するモード判断処理をさらに実行し、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の少なくとも一方と、前記モード判断処理の判断結果とに基づいて、前記搬送部の前記動作量を補正してもよい。
【0023】
再搬送経路を経由した場合、シートの変形の傾向が変化することがある。上記構成によれば、制御部は、再搬送経路を経由したことによりシートの変形の傾向が変化する場合であっても、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0024】
本開示の態様10の画像形成装置では、前記制御部は、前記搬送処理において、前記第1印刷モードを実行すると判断した場合と前記第2印刷モードを実行すると判断した場合とで異なる補正値で前記搬送部の前記動作量の基準値を増減させることにより前記動作量を補正してもよい。
【0025】
上記構成によれば、制御部は、第1印刷モードを実行すると判断した場合と第2印刷モードを実行すると判断した場合とで異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0026】
本開示の態様11の画像形成装置では、シートに画像を形成する画像形成部をさらに備え、前記制御部は、前記画像に関する情報と、前記シート情報とを含む画像形成ジョブを受け付け、前記画像に関する情報に基づいて、前記画像形成部によりシートに前記画像を形成させ、前記搬送処理において、前記シート情報に基づいて、前記搬送部の前記動作量を補正してもよい。
【0027】
本開示の態様12の画像形成装置では、前記画像形成部は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、前記感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラと、を有してもよい。
【0028】
上記構成によれば、画像形成装置1は、画像としてトナー像をシートに形成することが可能となる。
【0029】
本開示の態様13の画像形成装置では、前記制御部は、前記搬送処理において、前記シート情報および前記環境情報の両方に基づいて、前記動作量を補正してもよい。
【0030】
本開示の態様14の画像形成装置では、前記装置本体は、前記搬送経路の一部であって、外部にシートを排出するための第1排出経路と、前記搬送経路の一部であって、前記第1排出経路とは異なる経路であり、前記カッター位置を経由して外部にシートを排出するための第2排出経路と、前記第1排出経路または前記第2排出経路のどちらか一方にシートを案内するフラッパと、を更に有し、前記制御部は、前記カッターによるシートの切断が必要か否かに関する情報を含む画像形成ジョブを受け付け、前記画像形成ジョブに基づいて、シートの切断が必要と判断した場合は、前記第2排出経路へシートを案内するよう前記フラッパを移動させ、前記画像形成ジョブに基づいて、シートの切断が必要でないと判断した場合は、前記第1排出経路へシートを案内するよう前記フラッパを移動させてもよい。
【0031】
本開示の態様15の画像形成装置では、前記搬送ガイドによって形成される前記搬送経路の一部は、前記搬送方向における上流側と、前記搬送方向における下流側とで、シートを搬送する向きが反対となるよう湾曲していてもよい。
【0032】
本開示の態様16の画像形成装置では、シートを支持する供給トレイをさらに有し、前記制御部は、前記搬送処理において、前記搬送部によって搬送されるシートの先端から前記カッター位置までの長さと、当該シートの後端から前記カッター位置までの長さとの両方が、前記供給トレイに支持されているシートの前記搬送方向の長さの半分よりも短くなる位置に、前記搬送部によって搬送されるシートを停止させるよう前記搬送部の前記動作量を補正してもよい。
【0033】
シートが定着器を通過するとシート内の水分が減少することにより、シートが縮むことがある。上記構成によれば、定着器を通過する際のシートの縮小が考慮されたより正確な位置でシートを切断することができる。
【0034】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る画像形成装置では、加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、搬送経路を有する装置本体と、シートを支持する供給トレイと、前記供給トレイからシートを給紙する給紙ローラを有し、給紙されたシートを前記搬送経路に沿った搬送方向にシートを搬送する搬送部と、前記搬送方向における前記定着部の下流であるカッター位置に位置し、シートを切断するカッターと、前記搬送方向において前記定着部と前記カッターとの間に位置して前記搬送経路の一部を形成する第1搬送ガイドおよび第2搬送ガイドを有し、前記第1搬送ガイドが前記第2搬送ガイドと対向する搬送ガイドと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部を制御してシートを搬送させる搬送処理であって、前記搬送経路の一部を通過するシートを前記カッターに切断させる切断位置が前記カッター位置に到達するための前記搬送部の動作量を当該シートの先端から前記カッター位置までの長さと当該シートの後端から前記カッター位置までの長さとの両方が前記供給トレイに支持されているシートの前記搬送方向の長さの半分よりも短くなる位置になるように補正し、補正した前記動作量で前記搬送部を動作させてシートを搬送した後、前記搬送部を停止させて前記シートを停止させる搬送処理と、前記カッターを制御して、前記搬送処理により停止しているシートを切断させる切断処理と、を実行する。
【0035】
シートが定着器を通過するとシート内の水分が減少することにより、シートが縮むことがある。上記構成によれば、定着器を通過する際のシートの縮小が考慮されたより正確な位置でシートを切断することができる。
【発明の効果】
【0036】
本開示の一態様によれば、シートを正確な位置で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本開示の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】シートの収縮及びシートの切断の様子を示す図である。
【
図4】搬送中のシートが実際に通る経路の一例を示す図である。
【
図5】搬送部の動作量の補正に用いる補正値の一例を示す図である。
【
図6】画像形成時の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図7】モータ停止タイミング決定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第1印刷モードの流れを示すフローチャートである。
【
図9】第2印刷モードの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本開示の実施形態に係る画像形成装置1ついて、
図1から
図9を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
[画像形成装置の構成]
図1は、本開示の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、モノクロレーザプリンタであり、装置本体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器5と、搬送ガイド8と、カッター10と、レジ前センサ110と、レジ後センサ111と、排出センサ112と、操作パネル120とを備える。以下、説明の便宜上、
図1の矢印で示されるように、画像形成装置1の上下方向、及び前後方向を定義する。
【0040】
装置本体2は、フロントカバー20と、供給トレイ21と、排出トレイ22と、第1排出口23と、第2排出口24と、を有する。フロントカバー20は、装置本体2の前面に位置する。フロントカバー20は、開閉可能である。
【0041】
供給トレイ21は、装置本体2の下部に位置する。供給トレイ21には、シートPが載置される。シートPは、例えば、普通紙、厚紙、光沢紙、ラベル紙、封筒である。なお、画像形成装置1の供給トレイ21の数は、1個に限定されず、複数個有してもよい。
【0042】
供給トレイ21は、装置本体2から着脱可能である。装置本体2から供給トレイ21を取り外された状態では、ユーザによる供給トレイ21へのシートPの補充、供給トレイ21に載置するシートPの交換等が可能となる。
【0043】
供給トレイ21は、シート押圧板21Aを有する。シート押圧板21Aは、供給トレイ21内のシートPを上方に押し上げる。シート押圧板21AによりシートPが押し上げられると、シートPが供給トレイ21から画像形成部4へ搬送可能な状態となる。
【0044】
排出トレイ22は、装置本体2の外部に位置する。詳細には、排出トレイ22は、装置本体の上面を構成するものであり、第1排出口23または第2排出口24から排出されるシートPを支持する。
【0045】
装置本体2は、搬送経路200と、再搬送経路202とを有する。搬送経路200は、供給トレイ21から画像形成部4および定着器5を経由して装置本体2の外部に向けてシートPを搬送するための経路である。再搬送経路202については、後述する。
【0046】
搬送経路200は、第1排出経路200Aと、第2排出経路200Bとを有する。第1排出経路200Aは、搬送経路200の一部であり、定着器5から第1排出口23を経由して装置本体2の外部に向けてシートPを搬送するための経路である。
【0047】
第2排出経路200Bは、定着器5からカッター10および第2排出口24を経由して装置本体2の外部に向けてシートPを搬送するための経路である。第2排出経路200Bは、定着器5から分岐点200Cまでは第1排出経路200Aと一致する。第1排出経路200Aは、分岐点200Cから第1排出口23へ向かう。第2排出経路200Bは、分岐点200Cから第2排出口24へ向かう。
【0048】
搬送ガイド8は、フラッパ87、外側搬送ガイド88Aおよび88B、ならびに内側搬送ガイド89Aおよび89Bを有する。フラッパ87は、実線で示す第1位置87Aと、2点鎖線で示す第2位置87Bとの間を回動することができる。
【0049】
外側搬送ガイド88Aおよび88Bならびに内側搬送ガイド89Aおよび89Bは、第2排出経路200Bに沿って、定着器5とカッター10との間に位置する。外側搬送ガイド88Aおよび88Bは、第1搬送ガイドの一例である。内側搬送ガイド89Aおよび89Bは、第2搬送ガイドの一例である。なお、外側搬送ガイド88Aおよび88Bならびに内側搬送ガイド89Aおよび89Bの形状および位置は、
図1に示した形状および位置だけに限定されない。また、搬送ガイド8は、外側搬送ガイド88Aおよび88B以外の外側搬送ガイドを有してもよい。搬送ガイド8は、内側搬送ガイド89Aおよび89B以外の内部搬送ガイドを有してもよい。
【0050】
外側搬送ガイド88Aは、内側搬送ガイド89Aと対向しており、内側搬送ガイド89Aとの間の空間に第1排出経路200Aおよび第2排出経路200Bの一部とを形成する。
【0051】
内側搬送ガイド89Bは、フラッパ87を支持している。第2位置87Bに位置するフラッパ87は、第2搬送ガイドの一例である。外側搬送ガイド88Bは、内側搬送ガイド89Bおよび第2位置87Bに位置するフラッパ87と対向している。外側搬送ガイド88Bは、内側搬送ガイド89Bおよび第2位置87Bに位置するフラッパ87との間の空間に第2排出経路200Bの一部を形成する。
【0052】
図1では、説明の便宜上、搬送ガイド8によって形成される第1排出経路200Aおよび第2排出経路200Bを線で示しているが、実際には第1排出経路200Aおよび第2排出経路200Bを示す線と交差する方向に幅を有する空間である。
【0053】
搬送経路200に沿って搬送されるシートPは、フラッパ87が第1位置87Aに位置するとき、第1排出経路200Aの搬送方向に沿って第1排出口23へ案内される。一方で、フラッパ87が第2位置87Bに位置するとき、搬送経路200に沿って搬送されるシートPは、第2排出経路200Bの搬送方向に沿って第2排出口24へ案内される。
【0054】
搬送ガイド8により形成される第2排出経路200Bは、湾曲している。第2排出経路200Bの搬送方向の上流側に位置する定着器5の周辺では、第2排出経路200Bの搬送方向230は略後方を向いている。一方で、第2排出経路200Bの搬送方向の下流側に位置する第2排出口24の周辺では、第2排出経路200Bの搬送方向231が略前方を向いており、搬送方向230と反対となっている。
【0055】
搬送部3は、ピックアップローラ31と、分離ローラ32と、レジストレーションローラ34と、再搬送ローラ38および39と、第1排出ローラ36と、第2排出ローラ37と、第3排出ローラ84と、を有する。また、搬送部3は、
図2を用いて後述するメインモータ108および排出モータ140を更に有し、メインモータ108または排出モータ140から伝達される駆動力により、搬送部3の各部を回転させてシートPを搬送する。
【0056】
ピックアップローラ31は、給紙ローラの一例である。ピックアップローラ31は、メインモータ108(
図2)から伝達される駆動力により回転する。ピックアップローラ31は、供給トレイ21においてシート押圧板21Aにより上方に押し上げられたシートPを、ピックアップする。分離ローラ32は、ピックアップローラ31がピックアップしたシートPを1枚ずつ分離する。なお、分離ローラ32を給紙ローラに含めてもよい。ピックアップローラ31および分離ローラ32により、供給トレイ21から搬送経路200へシートPが搬送される。ピックアップローラ31および分離ローラ32により、供給トレイ21から搬送経路200へシートPが給紙される。
【0057】
レジストレーションローラ34は、メインモータ108(
図2)から伝達される駆動力により回転し、搬送経路200に沿って、シートPを画像形成部4へ搬送する。第3排出ローラ84は、メインモータ108(
図2)から伝達される駆動力により回転することで、第1排出経路200Aに沿って第1排出口23から装置本体2の外部に向けてシートPを搬送する。排出トレイ22は、第1排出口23から排出されたシートPを支持する。
【0058】
第1排出ローラ36および第2排出ローラ37は、排出モータ140(
図2)から伝達される駆動力により回転することで、第2排出経路200Bに沿って第2排出口24から装置本体2の外部に向けてシートPを搬送する。排出トレイ22は、第2排出口24から排出されたシートPを支持する。
【0059】
画像形成部4は、ドラムカートリッジ6およびレーザユニット7を有し、シートPに画像を形成させる。ドラムカートリッジ6は、感光体ドラム61と、トナー収容部62と、供給ローラ63と、現像ローラ64と、帯電器65と、ピンチローラ66と、転写ローラTRとを有する。ドラムカートリッジ6は、装置本体2に対して着脱可能である。
【0060】
ドラムカートリッジ6のピンチローラ66は、レジストレーションローラ34と向かい合って位置する。ピンチローラ66は、レジストレーションローラ34の回転に従動回転して、レジストレーションローラ34とともにシートPを搬送する。
【0061】
感光体ドラム61は、メインモータ108(
図2)から伝達される駆動力により、ドラム軸61Xについて回転する。帯電器65は、例えば、スコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム61の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器65は、スコロトロン型の帯電器に限定されず、帯電ローラを有する帯電器でもよい。
【0062】
レーザユニット7は、画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)を出射し、感光体ドラム61の表面を露光する。露光した感光体ドラム61の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0063】
ドラムカートリッジ6の供給ローラ63は、トナー収容部62内のトナーを現像ローラ64に供給する。現像ローラ64は、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61の表面にトナー像が形成される。
【0064】
ドラムカートリッジ6の転写ローラTRは、感光体ドラム61と感光体ドラム61に向かい合って位置する。感光体ドラム61と転写ローラTRとの間をシートPが搬送されると、トナー像がシートPに転写される。
【0065】
定着器5は、定着部の一例である。定着器5は、加熱回転体の一例である加熱ローラ51と、加圧回転体の一例である加圧ローラ52とを有する。加熱ローラ51は、
図2を用いて後述するヒータ53を有し、シートPを加熱する。加圧ローラ52は、加熱ローラ51との間でニップNを形成する。加圧ローラ52は、メインモータ108(
図2)から伝達される駆動力により回転することにより、シートPがニップNを通過するようにシートPを搬送する。シートPは、ニップNを通過したにトナー像を熱定着させる。
【0066】
カッター10は、刃75を有する。刃75は、定着器5よりも第2排出経路200Bの搬送方向の下流のカッター位置Bに位置する。カッター10は、第2排出経路200Bの搬送方向と直交する切断方向に刃75を移動させることにより、シートPを切断することができる。本実施例において、搬送方向と直交する切断方向は、前後方向と直交する方向であり、第1排出ローラ36および第2排出ローラ37の回転中心軸と平行な方向である。また、
図1及び
図4における紙面垂直方向である。なお、切断方向は、搬送方向と直交する方向に限らず、搬送方向と直交する方向から、所定角度、例えば、2度から5度ずれてもよい。この角度は、切断した結果の用紙を見て、ユーザが許容できる範囲となるよう、設計される。
【0067】
レジ前センサ110は、シートセンサの一例である。レジ前センサ110は、搬送方向230における分離ローラ32とレジストレーションローラ34との間であり、かつ、レジストレーションローラ34の直前に位置する。レジ前センサ110は、そのセンサ位置におけるシートPの有無を検知し、シートPの有無に応じた信号を出力する。以下では、レジ前センサ110の出力信号は、そのセンサ位置にシートPが存在するときオンとなり、存在しないときオフとなるものとする。
【0068】
レジ後センサ111は、シートセンサの一例である。レジ後センサ111は、搬送方向230におけるレジストレーションローラ34と、感光体ドラム61との間に位置する。レジ後センサ111は、そのセンサ位置におけるシートPの有無を検知し、シートPの有無に応じた信号を出力する。以下では、レジ後センサ111の出力信号は、そのセンサ位置にシートPが存在するときオンとなり、存在しないときオフとなるものとする。
【0069】
排出センサ112は、シートセンサの一例である。排出センサ112は、搬送方向230における定着器5とフラッパ87との間に位置する。排出センサ112は、そのセンサ位置におけるシートPの有無を検知し、シートPの有無に応じた信号を出力する。以下では、排出センサ112の出力信号は、そのセンサ位置にシートPが存在するときオンとなり、存在しないときオフとなるものとする。
【0070】
レジ前センサ110、レジ後センサ111および排出センサ112には、例えば、シートPが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサ、光センサ等を用いることができる。
【0071】
操作パネル120は、装置本体2の上部前方の外表面に配置されている。操作パネル120は、例えば、タッチパネルで構成される。ユーザは、操作パネル120を用いて、画像形成装置1の設定を変更する操作、シートPへの画像形成を開始させる操作などを行うことができる。例えば、ユーザは、操作パネル120を操作することにより、供給トレイ21に載置するシートPの用紙種、シートサイズ等を設定することができる。シートPの用紙種とは、例えば、普通紙、厚紙、光沢紙、ラベル紙、封筒である。シートPのシートサイズとは、例えば、A4サイズ、A5サイズ、レターサイズ、角形2号、長形3号などである。また、印刷方式に関して、シートPの片面にのみトナー像を形成し定着させる片面印刷、もしくはシートPの両面にトナー像を形成し定着させる両面印刷等の印刷条件を指定する操作や、シートPに対して、カッター10によって切断するか否かを指定する操作を行うこともできる。さらに、印刷命令、つまり操作パネル120で指定された用紙種、シートサイズ、印刷方式に応じた印刷を開始させる印刷命令を支持する操作を行うことができる。なお、操作パネル120は、表示装置と、複数のボタンとで構成することにしてもよい。
【0072】
再搬送経路202は、定着器5を通過したシートが画像形成部4に向けて搬送される経路である。定着器5により画像を形成させた第1面の反対面である第2面に画像を形成させるため、シートPは、再搬送経路202を通過する。第1面は、例えばシートPの表面である。第2面は、例えばシートPの裏面である。なお、シートPが封筒の場合のように、シートPの表裏が予め定まっている場合は、シートPの裏面が第1面であってもよい。
【0073】
再搬送経路202は、第1排出経路200Aの搬送方向において排出センサ112よりも下流、かつ、第3排出ローラ84よりも上流の位置202Aから、搬送経路200の搬送方向においてレジ前センサ110よりも上流の位置202Bまでの経路である。
【0074】
再搬送経路202を用いてシートPの第2面にトナー像を定着させる場合、フラッパ87は、第1位置87Aに位置し、シートPを第3排出ローラ84に向けて案内する。シートPが定着器5を抜けると、第3排出ローラ84が逆回転し、シートPを再搬送経路202へ搬送する。再搬送ローラ38および39は、メインモータ108(
図2)から伝達される駆動力により、再搬送経路202に沿ってシートPを搬送する。
【0075】
以下では、シートPの第1面にのみトナー像を形成し定着させる印刷方式をSX印刷と称し、シートPの第1面および第2面にトナー像を形成し定着させる印刷方式をDX印刷と称する。また、シートPの切断を伴うSX印刷のことを第1印刷モード、シートPの切断を伴うDX印刷のことを第2印刷モードと称することがある。
【0076】
[画像形成装置の電気的構成]
次に、画像形成装置1の電気的構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)104と、電磁クラッチ107と、メインモータ108と、レジ前センサ110と、レジ後センサ111と、排出センサ112と、温湿度センサ113と、通信インターフェース(I/F)130と、排出モータ140と、を更に備える。
【0077】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、画像形成装置1の各部に対する全般的な制御を行う。なお、ASIC105を、制御部として用いることにしてもよい。
【0078】
ROM102には、画像形成装置1を制御するためのプログラムが記憶されている。CPU101は、RAM103を作業領域として用いてプログラムを実行する。NVRAM104は、画像形成装置1の各種処理の設定、各種処理に用いるデータが記憶されている。
【0079】
ASIC105は、レーザユニット7、帯電器65、転写ローラTR、定着器5の加熱ローラ51および温度センサ54、ピックアップローラ31の電磁クラッチ107、メインモータ108、排出モータ140、レジ前センサ110、レジ後センサ111、排出センサ112、温湿度センサ113、操作パネル120、ROM102、RAM103、NVRAM104、カッター10の切断モータ106、フラッパ87、ならびに通信インターフェース(I/F)130と電気的に接続されている。
【0080】
CPU101は、レジ前センサ110、レジ後センサ111、および排出センサ112から出力信号を取得する。CPU101は、例えば、レジ後センサ111の出力信号がオフからオンに変化したとき、シートPの前端がレジ後センサ111のセンサ位置に到達したと判断する。そして、レジ後センサ111の出力信号がオンからオフに変化したとき、CPU101は、シートPの後端がレジ後センサ111のセンサ位置を通過したと判断する。
【0081】
同様に、排出センサ112の出力信号がオフからオンに変化したとき、シートPの前端が排出センサ112のセンサ位置に到達したと判断する。そして、排出センサ112の出力信号がオンからオフに変化したとき、CPU101は、シートPの後端が排出センサ112のセンサ位置を通過したと判断する。
【0082】
CPU101は、レジ前センサ110の出力信号がオフからオンに変化したとき、シートPの前端がレジ前センサ110のセンサ位置に到達したと判断する。そして、レジ前センサ110の出力信号がオンからオフに変化したとき、CPU101は、シートPの後端がレジ前センサ110のセンサ位置を通過したと判断する。
【0083】
CPU101は、通信インターフェース(I/F)130を介してLANに接続し、画像形成装置1の外部に位置する外部情報端末と通信することができる。CPU101は、通信インターフェース130を介して外部情報端末から印刷ジョブを受け付けることができる。
【0084】
印刷ジョブは、画像形成ジョブの一例であり、画像形成部4によりシートPに形成させる画像に関する情報と、シートPに関するシート情報と、印刷方式に関する情報と、シートPの切断の要否に関する情報と、を含む。シート情報には、例えば、画像を形成させるシートPの用紙種およびシートサイズに関する情報が含まれる。印刷方式に関する情報には、SX印刷を行うか、DX印刷を行うかを示す情報が含まれる。
【0085】
なお、CPU101は、通信インターフェース130以外のインターフェース、例えば、USBインターフェースを介して印刷ジョブを取得することにしてもよい。また、CPU101は、操作パネル120を介した入力に応じて、ROM102、RAM103またはNVRAM104に記憶されている印刷ジョブに基づいて、シートPへトナー像を定着させるよう、印刷命令を取得することにしてもよい。
【0086】
温湿度センサ113は、環境センサの一例であって、装置本体2の外部温度および湿度を検知する。温湿度センサ113の出力信号は、環境情報の一例である。CPU101は、温湿度センサ113からの出力信号に基づいて、装置本体2の外部温度および湿度を取得することができる。温湿度センサ113は、例えば、装置本体の側面に近い位置に位置する。なお、環境情報には、装置本体2の内部の温度および湿度等を含めることにしてもよく、装置内部の温度や湿度から演算して、装置本体2の外部温度及び湿度を取得するようしてもよい。また、装置本体2の温度又は湿度のどちらか一方のみを検知する構成であってもよい。
【0087】
定着器5は、ヒータ53と温度センサ54を更に有する。ヒータ53は、例えば、ハロゲンヒータであって、
図1の加熱ローラ51を加熱する。温度センサ54は、例えば、サーミスタであって、加熱ローラ51のヒータ53の温度を検知する。なお、温度センサ54は、熱電対、測温抵抗体であってもよい。CPU101は、温度センサ54から加熱ローラ51の温度に関する情報を取得し、ヒータ53を制御し、加熱ローラ51の温度を調整する。なお、CPU101は、温度センサ54から取得する加熱ローラ51の温度に関する情報を、環境情報として取得することにしてもよい。
【0088】
CPU101は、切断モータ106を制御することができる。切断モータ106は、カッター10の刃75を切断方向に駆動するモータである。
【0089】
CPU101は、メインモータ108を制御することができる。メインモータ108は、ピックアップローラ31、レジストレーションローラ34、再搬送ローラ38および39、加圧ローラ52、感光体ドラム61、現像ローラ64、ならびに第3排出ローラ84に駆動力を伝達する。
【0090】
メインモータ108は、CPU101の制御により、正転駆動または逆転駆動する。メインモータ108が正転駆動すると、ピックアップローラ31、レジストレーションローラ34、加圧ローラ52、感光体ドラム61、現像ローラ64、および第3排出ローラ84を正回転させることができる。ピックアップローラ31、レジストレーションローラ34、加圧ローラ52、感光体ドラム61、および第3排出ローラ84が正回転すると、シートPは、
図1の搬送経路200に沿って搬送される。現像ローラ64が正回転すると、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを供給する。
【0091】
メインモータ108が逆転駆動している場合、ピックアップローラ31、レジストレーションローラ34、加圧ローラ52、感光体ドラム61、および現像ローラ64は停止する。
【0092】
第3排出ローラ84は、メインモータ108が逆転駆動する場合、逆回転し、シートPを再搬送経路202へ搬送する。
【0093】
再搬送ローラ38および39は、メインモータ108が正転駆動した場合も、逆転駆動した場合も、正回転し、シートPを再搬送経路202に沿って搬送する。
【0094】
ピックアップローラ31は、電磁クラッチ107を有する。電磁クラッチ107は、CPU101により制御される。CPU101は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ31に伝達される状態にする。一方、CPU101は、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ31に伝達されない状態にする。
【0095】
CPU101は、排出モータ140を制御することができる。排出モータ140の駆動力は、第1排出ローラ36および第2排出ローラ37に伝達され、シートPが第2排出経路200Bに沿って搬送される。
【0096】
図3を参照して、カッター10によるシートPの切断について説明する。
図3(A)は、供給トレイ21に載置された状態のシートPを示している。供給トレイ21に載置された状態のシートPの搬送方向の寸法はLである。
【0097】
図3(B)には、定着器5を通過した後のシートPが示されている。シートPが定着器5を通過すると、当該シートPの内部の水分が減少することにより、シートPが縮むことがある。
図3(B)では、シートPが定着器5を通過することにより、シートPの搬送方向の寸法が縮小量ΔLだけ縮んでいる。
【0098】
図3(B)には、シートPの後端PBから搬送方向に沿って(L-ΔL)/2の位置に切断位置Aが示されている。画像形成装置1では、定着器5を通過後のシートPの切断位置Aが
図1に示したカッター10のカッター位置Bと一致するように、第2排出経路200Bに沿ってシートPを搬送する。このとき、定着器5を通過したシートPの前端PAからカッター位置B(切断位置A)までの長さと、当該シートPの後端PBからカッター位置B(切断位置A)までの長さとの両方が、供給トレイ21に載置された状態のシートPの搬送方向の長さLの半分よりもΔL/2だけ短くなる。
【0099】
シートPの切断位置Aがカッター位置Bと一致している状態で、カッター10の刃75を搬送方向に交差する切断方向に移動させると、シートPは2等分される。
図3(C)には、カッター10により2等分されたシートP1およびP2が示されている。シートPがA4サイズのシートの場合、シートP1およびP2は、A5サイズのシートになる。画像形成装置1では、供給トレイ21にA4サイズのシートPが載置されていない場合であっても、カッター10による切断によりA5サイズのシートP1およびP2を得ることができる。
【0100】
シートPの切断位置Aをカッター位置Bと一致させる方法について説明する。
図2のCPU101は、レジ後センサ111がシートPの前端PAを検知してから搬送部3を動作量Tだけ動作させる。動作量Tは、例えば、レジ後センサ111がシートPの前端PAを検知してからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの搬送部3による搬送時間である。
【0101】
前述したとおり、
図2において第2排出経路200Bは線で表現されているが、実際には搬送ガイド8等により形成される空間である。搬送部3が第2排出経路200Bに沿ってシートPを実際に搬送する場合、シートPは、
図4(A)に示すように内側搬送ガイド89Aに接する経路420を通る場合もあれば、
図4(B)に示すように外側搬送ガイド88Aに接する経路421を通る場合もあり、経路420と経路421との間の任意の経路を通ることができる。
【0102】
シートPが第2排出経路200Bの空間のどこを通過するかは、シートPの用紙種と、装置本体2の環境に左右される。例えば、シートPが厚紙のようにコシの強い用紙種の場合には、シートPは、
図4(A)の経路420のようにインコースを通りやすい傾向にある。他方でシートPがコシの弱い用紙種の場合には、シートPは、
図4(B)の経路421のようにアウトコースを通りやすい傾向がある。
【0103】
また、装置本体2の環境が低温低湿の場合には、シートPは、シートPのコシが強まる傾向と、トナー像が定着された第1面側にシートPの前端PAおよび後端PBが反る順カール傾向がある。そのため、装置本体2の環境が低温低湿の場合には、シートPは、経路420のようにインコースを通りやすい。
【0104】
装置本体2の環境が高温高湿の場合には、シートPのコシが弱まる傾向と、第2面側にシートPの前端PAおよび後端PBが反る逆カール傾向がある。そのため、装置本体2の環境が高温高湿の場合には、シートPは、経路421のようにアウトコースを通りやすい。
【0105】
順カール傾向および逆カール傾向は、DX印刷時のように、再搬送経路202に沿ってシートPが搬送れることにより抑制されることがある。また、画像形成装置1の電源投入開始タイミング、または、スリープ解除タイミングから所定時間の間に所定枚数以上印刷している場合にも、逆カール傾向は抑制されることがある。
【0106】
搬送部3を同じ動作量Tだけ動作させたとき、シートPが経路420のようにインコースを通った場合と、経路421のようにアウトコースを通った場合とで、シートPの搬送結果は変化する。具体的には、シートPがインコースを通った場合には、シートPの切断位置Aがカッター10のカッター位置Bよりも搬送方向の下流にずれやすい。他方で、シートPがアウトコースを通った場合には、シートPの切断位置Aがカッター10のカッター位置Bよりも搬送方向の上流にずれやすい。画像形成装置1では、シートPの用紙種、装置本体の環境等に応じて、搬送部3の動作量Tの基準値T0を増減させることにより、動作量Tを補正し、このようなずれを解消する。
【0107】
図5は、搬送部3の動作量Tの補正に用いる補正値の一例を示す図である。
図5には、装置本体2の温度の範囲と、装置本体2の湿度の範囲と、シートPの用紙種との組み合わせと、排出モータ停止タイミング補正値Kとの対応を示す補正値テーブル440が示されている。補正値テーブル440は、NVRAM104に記憶されている。
【0108】
補正値テーブル440では、装置本体2の温度は、「10℃以下」、「10~20℃」、「20℃以上」の3つに分類されている。また、装置本体2の湿度は、「25%以下」、「25~50%」、「50%以上」の3つに分類されている。用紙種は、「Plain」、「Thick」の2つに分類されている。用紙種「Plain」には、例えば、普通紙など、コシが弱い用紙種が含まれる。用紙種「Thick」には、例えば、厚紙など、コシが強い用紙種が含まれる。補正値テーブル440には、3×3×2=18通りの条件(1)-(18)ごとの排出モータ停止タイミング補正値K1-K18が示されている。
【0109】
装置本体2の環境が高温多湿であるほど、排出モータ停止タイミング補正値Kは大きい値に設定されている。そのため、条件(9)の排出モータ停止タイミング補正値K9は、条件(1)の排出モータ停止タイミング補正値K1よりも大きい値に設定されている。
K9>K1
【0110】
また、装置本体2の温度範囲および湿度範囲が同じの条件間では、シートPの用紙種がコシの弱いものであるほど、排出モータ停止タイミング補正値Kは大きい値に設定されている。すなわち、条件(1)-(9)の排出モータ停止タイミング補正値K1-K9は、条件(10)-(18)のうち、装置本体2の温度条件および湿度条件が同じ条件の排出モータ停止タイミング補正値K10-K18と比べて大きい値に設定されている。
K1>K10,K2>K11,K3>K12,K4>K13,K5>K14,
K6>K15,K7>K16,K8>K17,K9>K18
【0111】
図6は、CPU101による画像形成時の制御の流れを示すフローチャートである。CPU101は、通信インターフェース130等を介して印刷ジョブを受信した場合(S100:YES)、または、通信インターフェース130等を介して印刷ジョブを受信していない(S100:NO)が、操作パネル120から印刷命令が入力された場合(S101:YES)にS102へ進む。すなわち、装置本体の外部からもしくは操作パネルの入力に基づいて、印刷ジョブが入力された状態となる。
【0112】
S102において、CPU101は、シートPを切断するか否かを判定する。すなわち、入力された印刷ジョブにおいてシートPの切断が必要と指示されているときに、供給トレイ21に支持されているシートPのシートサイズがA4サイズの場合は、シートPを切断するものと判定し(S102:YES)、S105へ進む。一方、CPU101は、シートPの切断を要しない場合は(S102:NO)、S103へ進む。
【0113】
S103において、CPU101は、フラッパ87を第1位置87Aへ移動させ、S104へ進む。フラッパ87が第1位置87Aへ移動することにより、シートPがカッター10のカッター位置Bへ搬送する経路が閉ざされる。なお、CPU101は、S103の開始時点で既にフラッパ87が第1位置87Aにある場合は、フラッパ87が第1位置87Aにある状態のまま維持し、S104へ進む。S104において、CPU101は、シートPの切断を伴わない印刷処理を実行する。シートPの切断を伴わない印刷処理については、詳細な説明を省略するが、トナー画像が形成・定着されたシートは、その先端がフラッパ87によって、第3排出ローラ84を有する第1排出経路200Aに案内される。第1排出経路200Aに案内されたシートは、第3排出ローラ84の正回転によって、排出トレイ22上に排出される。
【0114】
S105において、CPU101は、
図7を用いて後述するモータ停止タイミング決定処理を実行し、搬送部3の動作量T1を決定する。動作量T1は、シートPの用紙種、装置本体の環境に応じて補正した動作量Tである。モータ停止タイミング決定処理については、
図7を用いて後述する。以降の説明では、シートPの前端PAがレジ後センサ111のセンサ位置を通過した後、搬送部3が動作量T1だけ動作したタイミングのことを排出モータ停止タイミングと称する。
【0115】
モータ停止タイミング決定処理により搬送部3の動作量が決定されると、CPU101は、印刷ジョブに含まれる印刷方式に関する情報に基づいて、SX印刷を行うか判定するモード判定処理を実行する(S106)。CPU101は、SX印刷を行う場合には(S106:YES)、
図8を用いて後述するシートPの切断を伴うSX印刷(第1印刷モード)を実行し(S107)、
図6の処理を終了する。また、CPU101は、DX印刷を行う場合には(S106:NO)、
図9を用いて後述するシートPの切断を伴うDX印刷(第2印刷モード)を実行し(S108)、
図6の処理を終了する。
【0116】
図7は、
図6のS105において実行されるモータ停止タイミング決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0117】
S120において、CPU101は、温湿度センサ113から装置本体2の温度および湿度に関する情報を取得する。装置本体2の温度および湿度は、環境情報の一例である。CPU101は、装置本体2の温度および湿度の他に、装置本体2の外気の温度および湿度に関する情報をさらに取得することにしてもよい。
【0118】
S121において、CPU101は、シートPの用紙種に関する情報を取得する。例えば、CPU101は、印刷ジョブから、シートPの用紙種に関する情報を取得する。
【0119】
S122において、CPU101は、印刷方式に関する情報を取得する。例えば、CPU101は、印刷ジョブから、SX印刷とDX印刷とのいずれを行うかに関する情報を取得する。
【0120】
S123において、CPU101は、所定タイミングから直前のタイミングまでの間の印刷枚数、すなわち画像を形成させたシートPの枚数を取得する。所定タイミングとは、例えば、画像形成装置1の装置本体2に電源を投入したタイミング、または画像形成装置1のスリープ解除のタイミング等である。印刷枚数は、例えば、レジ前センサ110等のセンサ位置を通過したシートPの枚数等に基づいてカウントすることにすればよい。
【0121】
なお、S120-S123は、必ずしも
図6に示したとおりの順番に実行しなくてもよい。順番を任意に入れ替えて実行してもよいし、シートPの用紙種に関する情報および印刷方式に関する情報は、印刷ジョブから同時に取得することにしてもよい。
【0122】
S124において、CPU101は、S120で取得した装置本体2の温度および湿度に関する情報と、S121で取得したシートPの用紙種に関する情報とに基づいて、NVRAM104に記憶されている補正値テーブル440を参照し、排出モータ停止タイミング補正値Kを取得する。
【0123】
S125において、CPU101は、S122で取得した印刷方式に関する情報に基づいて、SX印刷を行うか判定する。CPU101は、SX印刷を行う場合には(S125:YES)、SX印刷に対応する補正値X1を取得する(S126)。他方で、CPU101は、DX印刷を行う場合には(S125:NO)、DX印刷に対応する補正値X2を取得する(S127)。
【0124】
補正値X1および補正値X2は、S124で取得した排出モータ停止タイミング補正値Kの補正に用いられる。補正値X2は、DX印刷時に順カール傾向および逆カール傾向が抑制される性質を表す。例えば、
図5の条件(9)の場合、搬送部3により搬送されるシートPは逆カール傾向を有する。このとき、補正値X2は、シートPの逆カール傾向を抑制する値となる。したがって、補正値X2で補正された排出モータ停止タイミング補正値K9は、補正値X1で補正された排出モータ停止タイミング補正値K9より小さい値となる。
図5の条件(10)の場合、搬送部3により搬送されるシートPは順カール傾向を有する。このとき、補正値X2は、シートPの順カール傾向を抑制する値となる。したがって、補正値X2で補正された後の排出モータ停止タイミング補正値K10は、補正値X1で補正された後の排出モータ停止タイミング補正値K10より大きい値となる。
【0125】
S128において、CPU101は、S123で取得した印刷枚数が所定枚数以上か否かを判定する。所定枚数は、例えば10枚である。CPU101は、S123で取得した印刷枚数が10枚以上の場合には(S128:YES)、補正値Y1を取得する(S129)。他方で、CPU101は、S123で取得した印刷枚数が10枚未満の場合には(S128:NO)、補正値Y2を取得する(S130)。
【0126】
補正値Y1および補正値Y2は、S124で取得した排出モータ停止タイミング補正値Kの補正に用いられる。補正値Y1は、所定時間の間にシートPへの印刷を繰り返すとシートPの逆カール傾向が抑制される性質を表す。例えば、
図5の条件(9)の場合、搬送部3により搬送されるシートPは逆カール傾向を有する。このとき、補正値Y1は、シートPの逆カール傾向を抑制する値となる。したがって、補正値Y1で補正された排出モータ停止タイミング補正値K9は、補正値Y2で補正された排出モータ停止タイミング補正値K9より小さい値となる。
【0127】
S131において、CPU101は、排出モータ停止タイミング補正値Kに基づいて、予め決定された基準値T0を増減させて、補正後の搬送部3の動作量T1を決定する。基準値T0は、レジ後センサ111がシートPの前端PAを検知したタイミングから、搬送部3の動作を停止させるまでに要すると想定された搬送時間である。基準値T0は、例えば、
図1に線で示した搬送経路200に沿ってシートPを搬送する場合における、レジ後センサ111がシートPの前端PAを検知したタイミングから、搬送部3の動作を停止させるまでに要すると想定された搬送時間である。CPU101は、S126で取得した補正値X1またはS127で取得した補正値X2と、S129で取得した補正値Y1またはS130で取得した補正値Y2とに基づいて、ステップS124で取得した排出モータ停止タイミング補正値Kを補正する。次に、補正後の排出モータ停止タイミング補正値Kで基準値T0を増減させて、搬送部3の動作量T1を決定する(S131)。CPU101は、排出停止タイミングを決定すると、
図6の処理を終了する。
【0128】
[第1印刷モード]
図8は、
図6のS107において実行される、第1印刷モードの流れを示すフローチャートである。前述したとおり、第1印刷モードでは、シートPの切断を伴うSX印刷を行う。
【0129】
CPU101は、メインモータ108の正転駆動を開始し(S140)、加圧ローラ52、ドラムカートリッジ6、搬送部3の駆動を開始し、シートPの搬送処理を開始する。CPU101は、フラッパ87を第2位置87Bに移動させる(S141)。フラッパ87が第2位置87Bへ移動することにより、第1排出口23へ搬送する経路が閉ざされる。
【0130】
続いて、CPU101は、ピックアップ命令を出力する(S142)。CPU101は、クラッチ90をオンにし、メインモータ108の駆動力をピックアップローラ31へ伝達させる。これにより、ピックアップローラ31が回転し、供給トレイ21からシートPをピックアップする。ピックアップされたシートPは、分離ローラにより1枚ずつに分離され、搬送経路200に沿って、画像形成部4に向けて搬送される。
【0131】
CPU101は、搬送中のシートPの前端PAがレジ後センサ111のセンサ位置に到達し、レジ後センサ111の出力信号がオフからオンに切り替わると(S143:YES)、所定のタイミングから画像形成部4による画像形成を開始させる(S144)。
【0132】
CPU101は、搬送中のシートPの前端PAが排出センサ112のセンサ位置に到達し、排出センサ112の出力信号がオフからオンに切り替わると(S145:YES)、排出モータ140の駆動を開始し(S146)、第1排出ローラ36および第2排出ローラ37の駆動を開始する。
【0133】
CPU101は、排出センサ112のセンサ位置をシートPの後端が通過し、排出センサ112の出力信号がオンからオフに切り替わると(S147:YES)、画像形成部4にはシートがないと判断する。なお、画像形成部4による画像形成の終了タイミングは、印刷ジョブの画像データに応じて定まる。少なくとも、排出センサ112のセンサ位置をシートPの後端が通過する前に、画像形成は終了している。
【0134】
続くS149では、CPU101は、S145にて排出センサ112によりシートPの前端PAが検知されたタイミングから、搬送部3を
図6のモータ停止タイミング決定処理にて決定された動作量T1動作させ、排出停止タイミングになったか否かを判定する。CPU101は、
図6のモータ停止タイミング決定処理にて決定された排出停止タイミングとなると(S149:YES)、排出モータ140の駆動を停止し(S150)、シートPを停止させる。CPU101は、切断モータ106を駆動することにより、刃75を
図3に示した切断方向に駆動し、シートPを切断する(S151)。
【0135】
CPU101は、シートPの切断完了後、排出モータ140の駆動を再開し(S152)、切断後のシートP1およびP2を第2排出口24から排出トレイ22へ排出する。CPU101は、切断後のシートP1およびP2の排出後、排出モータ140の駆動を停止させ、(S153)所定の紙間時間経過するまで待機する(S154)。
【0136】
CPU101は、実行中の印刷ジョブに次のシートPの印刷が含まれる場合は(S155:YES)、次のシートPをピックアップする(S142)。一方、CPU101は、実行中の印刷ジョブに次のシートPの印刷が含まれていない場合は(S155:NO)、所定時間経過後(S156)にメインモータ108の駆動を停止させ(S157)、
図8の第1印刷モードの実行を終了する。
【0137】
[第2印刷モード]
図9は、
図6のS108において実行される、第2印刷モードの流れを示すフローチャートである。前述したとおり、第2印刷モードでは、シートPの切断を伴うDX印刷を行う。
【0138】
CPU101は、メインモータ108の正駆動を開始し(S160)、加圧ローラ52、ドラムカートリッジ6、搬送部3の駆動を開始し、シートPの搬送処理を開始する。CPU101は、フラッパ87を第1位置87Aに移動させる(S161)。フラッパ87が第1位置87Aへ移動する。
【0139】
続いて、CPU101は、ピックアップ命令を出力する(S162)。CPU101は、クラッチ90をオンにし、メインモータ108の駆動力をピックアップローラ31へ伝達させる。これにより、ピックアップローラ31が回転し、供給トレイ21からシートPをピックアップする。ピックアップされたシートPは、分離ローラにより1枚ずつに分離され、搬送経路200に沿って、画像形成部4に向けて搬送される。
【0140】
CPU101は、搬送中のシートPの前端PAがレジ後センサ111のセンサ位置に到達し、レジ後センサ111の出力信号がオフからオンに切り替わると(S163:YES)、所定のタイミングから、画像形成部4によるシートPの表面への画像形成を開始させる(S164)。
【0141】
CPU101は、搬送中のシートPの前端PAが排出センサ112のセンサ位置に到達すると、排出センサ112の出力信号がオフからオンに切り替わる(S165:YES)。フラッパ87が第1位置87Aに位置しているため、シートPは、排出センサ112のセンサ位置を通過したシートPは、第3排出ローラ84を有する第1排出経路200Aに案内される。
【0142】
その後、搬送中のシートPの後端PBが排出センサ112のセンサ位置に到達して、排出センサ112の出力信号がオンからオフに切り替わると(S166:YES)、画像形成部4にはシートがないと判断する。なお、画像形成部4による画像形成は、排出センサ112のセンサ位置をシートPの後端が通過する前に、終了している。
【0143】
その後、CPU101は、シートPの後端PBが反転位置に到達したか否かを判定する(S168)。反転位置とは、第3排出ローラ84の逆回転を開始する位置であって、第1排出経路200Aの搬送方向に沿って
図1の位置202Aよりも下流、かつ、第1排出口23よりも上流に位置する。CPU101は、排出センサ112の出力信号がオンからオフに切り替わってからの経過時間等に基づいて、シートPの後端PBが反転位置に到達したか否かを判定する。CPU101は、シートPの後端PBが反転位置に到達すると(S168:YES)、メインモータ108を停止する(S169)。
【0144】
その後、CPU101は、メインモータ108の逆転駆動を開始させ(S170)、第3排出ローラ84を逆回転させる。第3排出ローラ84が逆回転することにより、シートPは、再搬送経路202へ搬送される。その後、メインモータ108の駆動力により回転する再搬送ローラ38および39により、シートPは、再搬送経路202に沿って画像形成部4に向けて搬送される。
【0145】
CPU101は、シートPの前端PAが正転切り替え位置に到達したか否かを判定する(S171)。正転切り替え位置とは、搬送経路200に沿ったシートPの搬送を再開させるために、メインモータ108を正転駆動に切り替える位置である。正転切り替え位置は、再搬送経路202に沿って再搬送ローラ39よりも下流に位置する。CPU101は、排出センサ112の出力信号がオンからオフに切り替わってからの経過時間、または、レジ前センサ110によりシートPの前端PAが検知されると、シートPの前端PAが正転切り替え位置に到達したと判定する。CPU101は、シートPの前端PAが正転切り替え位置に到達すると(S171:YES)、メインモータ108を停止する(S172)。
【0146】
その後、CPU101は、メインモータ108の正転駆動を開始させ(S173)、加圧ローラ52、ドラムカートリッジ6、搬送部3の駆動を再開する。その後、CPU101は、フラッパ87を第2位置87Bへ移動させる(S174)。
【0147】
CPU101は、搬送経路200に沿って搬送中のシートPの前端PAがレジ後センサ111のセンサ位置に到達し、レジ後センサ111の出力信号がオフからオンに切り替わると(S175:YES)、所定のタイミングから、画像形成部4によるシートPの裏面への画像形成を開始させる(S176)。
【0148】
CPU101は、搬送中のシートPの前端PAが排出センサ112のセンサ位置に到達して、排出センサ112の出力信号がオフからオンに切り替わると(S177:YES)、排出モータ140の駆動を開始する(S178)。フラッパ87が第2位置87Bに位置しているため、シートPは、排出センサ112のセンサ位置を通過したシートPは、カッター位置を有する第2排出経路200Bに案内される。
【0149】
その後、シートPの後端PBが排出センサ112のセンサ位置に到達して、排出センサ112の出力信号がオンからオフに切り替わると(S179:YES)、画像形成部4にはシートがないと判断する。なお、画像形成部4による画像形成は、排出センサ112のセンサ位置をシートPの後端が通過する前に、終了している。
【0150】
続くS181では、CPU101は、S177にて排出センサ112によりシートPの前端PAが検知されたタイミングから、搬送部3を
図6のモータ停止タイミング決定処理にて決定された動作量T1動作させ、排出停止タイミングになったか否かを判定する。CPU101は、
図6のモータ停止タイミング決定処理にて決定された排出停止タイミングとなると(S181:YES)、排出モータ140の駆動を停止し(S182)、シートPを停止させる。CPU101は、切断モータ106を駆動することにより、刃75を
図3に示した切断方向に駆動し、シートPを切断する(S183)。
【0151】
CPU101は、シートPの切断完了後、排出モータ140の駆動を再開し(S184)、切断後のシートP1およびP2を第2排出口24から排出トレイ22へ排出する。CPU101は、切断後のシートP1およびP2の排出後、排出モータ140の駆動を停止させ(S185)、所定の紙間時間経過するまで待機する(S186)。なお、この紙間時間は、先行シートとしての切断後のシートP2の後端と後続シートとの先端とが重ならない時間となるよう、適宜設計されるものである。
【0152】
CPU101は、実行中の印刷ジョブに次のシートPの印刷が含まれる場合は(S187:YES)、フラッパ87を第1位置87Aに移動させる(S161)。一方、CPU101は、実行中の印刷ジョブに次のシートPの印刷が含まれていない場合は(S187:NO)、所定時間経過後(S188)にメインモータ108の駆動を停止させ(S189)、
図9の第2印刷モードの実行を終了する。
【0153】
以上説明した実施形態の画像形成装置1によれば、搬送ガイド8は、搬送経路200の一部である第2排出経路200Bを形成する。CPU101は、搬送部3を制御してシートPを搬送させる搬送処理であって、第2排出経路200Bを通過するシートPをカッター10に切断させる切断位置Aがカッター位置Bに到達するための搬送部3の動作量Tを、搬送されるシートPに関するシート情報および装置本体2の環境情報に基づいて補正し(
図7のS131)、補正した動作量T1で搬送部3を動作させて当該シートPを搬送した後、搬送部3を停止させて当該シートPを停止させる搬送処理(
図8のS140-S150および
図9のS160-S182)と、カッター10と、を制御して、搬送処理により停止しているシートPを切断させる切断処理(
図8のS151および
図9のS183)と、を実行する。
シートの変形は、搬送されるシートの用紙種等や画像形成装置の装置本体の温度、湿度等により変化する。上記構成によれば、制御部がシートの情報および装置本体の環境情報の少なくとも一方に基づいて搬送部を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0154】
また、CPU101は、シート情報および環境情報に基づいて、搬送処理において、動作量Tとして、搬送部3によりシートPを搬送させる搬送時間を補正させる(
図7のS131)。
上記構成によれば、シートを搬送させる搬送時間を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるように、精度よく、容易に制御することができる。
【0155】
また、搬送部3は、搬送方向において定着器5よりも下流に位置し、装置本体2の外部にシートPを排出する第1排出ローラ36および第2排出ローラ37を有し、CPU101は、搬送処理において、シート情報および環境情報に基づいて、動作量Tとして、第1排出ローラ36および第2排出ローラ37の回転を停止させる時間を補正し、排出モータ停止タイミングを決定する(
図7のS131)。
上記構成によれば、排出ローラによるシートの搬送を停止させる時間を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるように、精度よく、容易に制御することができる。
【0156】
また、画像形成装置1は、第1排出ローラ36よりも搬送方向の上流の位置であるセンサ位置に位置し、センサ位置におけるシートPを検知するレジ後センサ111を更に備える。CPU101は、搬送処理において、シート情報および環境情報に基づいて、動作量T1として、レジ後センサ111がシートPの前端PAを検知したタイミングからの第1排出ローラ36および第2排出ローラ37の回転を停止する時間を補正する(
図7のS131)。
上記構成によれば、制御部は、シートの先端が検知されたタイミングを基準にして排出ローラの回転を停止させる時間を制御することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0157】
また、画像形成装置1は、装置本体2の温度および湿度に関する情報を検知する温湿度センサ113を更に備える。CPU101は、搬送処理において、温湿度センサ113が検知した装置本体2の温度および湿度に応じて異なる排出モータ停止タイミング補正値K(
図5、
図7のS124)で動作量の基準値T0を増減させることにより動作量Tを補正する(
図7のS131)。
上記構成によれば、制御部は、環境センサが検知した環境情報に応じて異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0158】
また、シート情報は、シートPの用紙種に関連する情報である。CPU101は、搬送処理において、シートPの用紙種に応じて異なる排出モータ停止タイミング補正値K(
図5、
図7のS124)で動作量Tの基準値T0を増減させることにより動作量Tを補正する。
上記構成によれば、制御部は、シートの用紙種に応じて異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0159】
また、CPU101は、搬送処理において、シート情報および環境情報と、装置本体2に電源を投入したタイミング等の所定タイミングから画像を形成させたシートPの枚数とに基づいて、搬送部3の動作量Tを補正する。
上記構成によれば、制御部は、所定タイミングからトナー像を形成させたシートの枚数に応じて定着部の加熱回転体の温度が変化することで、シートの変形具合の変化を推測することができるため、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することが可能となる。
【0160】
また、CPU101は、搬送処理において、装置本体2に電源を投入したタイミング等の所定タイミングから画像を形成させたシートPの枚数が10枚以上である場合は補正値Y1(S128:YES、S129)で補正された排出モータ停止タイミング補正値K、10枚未満である場合は補正値Y2(S128:NO、S130)で補正された排出モータ停止タイミング補正値Kを用いて搬送部3の動作量Tを補正する(S131)。
上記構成によれば、制御部は、所定タイミングから画像を形成させたシートの枚数が所定値以上である場合と、所定値未満である場合とで異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することが可能となる。
【0161】
また、装置本体2は、定着器5によりシートPの表面に画像を定着させた当該シートPの裏面に画像を形成するためにシートPを搬送する再搬送経路202を更に有する。CPU101は、表面のみにトナー像が形成されたシートPを切断する第1印刷モード(S107、
図8)と、表面に画像が形成された後に再搬送経路202を通過し裏面にトナー像が形成されたシートPを切断する第2印刷モード(S108、
図9)と、のどちらの印刷モードを実行するかを判断するモード判断処理(S106,S125)をさらに実行する。CPU101は、搬送処理において、シート情報および環境情報と、モード判断処理の判断結果とに基づいて、搬送部3の動作量Tを補正する(S126,S127,S131)。
再搬送経路を経由した場合、シートの変形の傾向が変化することがある。上記構成によれば、制御部は、再搬送経路を経由したことによりシートの変形の傾向が変化する場合であっても、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0162】
また、CPU101は、搬送処理において、第1印刷モード(
図6のS107、
図8)を実行すると判断した場合(
図6のS106:YESおよび
図7のS125:YES)は補正値X1で補正された排出モータ停止タイミング補正値K、第2印刷モードを実行すると判断した場合(
図6のS106:NOおよび
図7のS125:NO)は補正値X2で補正された排出モータ停止タイミング補正値Kにより動作量Tの基準値T0を増減させることにより動作量Tを補正する(
図7のS131)。
上記構成によれば、制御部は、第1印刷モードを実行すると判断した場合と第2印刷モードを実行すると判断した場合とで異なる補正値で動作量の基準値を補正することにより、シートがより正確な位置で切断されるよう制御することができる。
【0163】
また、画像形成装置1は、シートPに画像を形成する画像形成部4をさらに備える。CPU101は、画像に関する情報と、シート情報とを含む印刷ジョブを受け付け(
図6のS100)、画像に関する情報に基づいて、画像形成部4によりシートPに画像を形成させ(
図8のS144ならびに
図9のS164およびS176)、搬送処理において、シート情報に基づいて、搬送部3の動作量Tを補正する(
図7のS131)。
【0164】
また、画像形成部4は、感光体ドラム61と、感光体ドラム61にトナーを供給する現像ローラ64と、感光体ドラム61に形成されたトナー像をシートPに転写する転写ローラTRと、を有する。
上記構成によれば、画像形成装置1は、画像としてトナー像をシートに形成することが可能となる。
【0165】
また、CPU101は、搬送処理において、シート情報および環境情報の両方に基づいて、搬送部3の動作量Tを補正する。
【0166】
装置本体2は、搬送経路200の一部であって、外部にシートPを排出する第1排出経路200Aと、搬送経路200の一部であって、第1排出経路200Aとは異なる経路であり、カッター位置Bを経由して外部にシートPを排出する第2排出経路200Bと、を更に有する。搬送ガイド8は、第1排出経路200Aまたは第2排出経路200Bのどちらか一方にシートを案内するフラッパ87を更に有する。CPU101は、カッター10によるシートPの切断が必要か否かに関する情報を含む印刷ジョブを受け付け、印刷ジョブによりシートPの切断が必要と判断された場合(
図6のS102:YES)は、第2排出経路200Bへシートを案内するようフラッパ87を移動させ(
図8のS141、
図9のS174)、印刷ジョブによりシートPの切断が必要でないと判断された場合(
図6のS102:NO)は、第1排出経路200AへシートPを案内するようフラッパ87を移動させる(
図6のS103)。
【0167】
画像形成装置1では、搬送ガイド8によって形成される搬送経路200の一部である第2排出経路200Bは、上流側の搬送方向230(
図1)と、下流側の搬送方向231(
図1)とで、シートPを搬送する向きが反対となるよう湾曲している。
【0168】
画像形成装置1は、シートPを支持する供給トレイ21をさらに有する。CPU101は、搬送処理において、搬送部3によって搬送されるシートPの前端PAからカッター位置Bまでの長さと、当該シートPの後端PBからカッター位置Bまでの長さとの両方が、供給トレイ21に支持されているシートPの搬送方向の長さLの半分よりも短くなる位置に、搬送部3によって搬送されるシートを停止させるよう搬送部3の動作量Tを補正する。
シートが定着器を通過するとシート内の水分が減少することにより、シートが縮むことがある。上記構成によれば、定着器を通過する際のシートの縮小が考慮されたより正確な位置でシートを切断することができる。
【0169】
〔変形例〕
上記した実施形態に係る画像形成装置1では、CPU101は、シート情報および環境情報の両方に基づいて排出モータ停止タイミング補正値Kを決定し、その排出モータ停止タイミング補正値Kを用いて搬送部3の動作量Tを補正することにした。しかし、排出モータ停止タイミング補正値Kをシート情報および環境情報の少なくとも一方に基づいて決定し、搬送部3の動作量Tを補正することにしてもよい。
【0170】
また、CPU101は、シート情報および装置本体2の温度および湿度に関する環境情報に基づいて、NVRAM104に記憶された補正値テーブル440を参照し、排出モータ停止タイミング補正値Kを取得することにしたが、排出モータ停止タイミング補正値Kを取得する方法はこれだけに限られない。CPU101は、シート情報および環境情報に基づいて場合分けを行い、排出モータ停止タイミング補正値Kを決定することにしてもよい。
【0171】
上記した実施形態に係る画像形成装置1では、搬送部の動作量Tは、搬送部3がシートPを搬送する搬送時間としたが、これに限られず、第1排出ローラ36の回転数を搬送部の動作量Tとしてもよい。すなわち、第1排出ローラ36の回転数を検出するエンコーダを備え、第1排出ローラ36の回転量を検出して動作量Tとして設定された回転量で停止するよう、CPU101が第1排出ローラ36や排出モータ140を制御してもよい。
また、搬送部の動作量Tは、レジ後センサ111がシートPの前端PAを検知してからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの搬送部3による搬送時間としたが、これに限られない。例えば、レジ前センサ110または排出センサ112がシートPの前端PAを検知してからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの搬送部3による搬送時間としてもよい。また、搬送部の動作量Tは、ピックアップローラ31によりシートPがピックアップされたタイミングからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの搬送部3による搬送時間としてもよい。
【0172】
上記した実施形態に係る画像形成装置1は、モノクロレーザプリンタであるとしたが、これに限らず、カラーレーザプリンタであってもよい。
【0173】
上記した実施形態に係る画像形成装置1では、定着器5は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52と、ヒータ53とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器5は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。
【0174】
また、定着器5は、発熱パターンが設けられた基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器5は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。
【0175】
上記した実施形態に係る画像形成装置1では、メインモータ108と排出モータ140とを備える構成としたが、これに限定されない。例えば、メインモータ108一つで、搬送部3のローラ類を駆動する構成としてもよい。その場合、各ローラへのモータからの駆動列に適宜クラッチ等で駆動伝達の入力・切断することで、シートPの切断時に、メインモータ108が駆動していても、シートPを停止させたりすることが可能となる。
【0176】
上記した実施形態に係る画像形成装置1は、シートPを2等分に切断する場合について説明したが、これに限らず、例えばシートPを3等分に切断してもよく、シートPの切断位置Aは適宜変更可能である。
【0177】
上記した実施形態に係る画像形成装置1では、フラッパ87は、搬送ガイド8に含まれることにしたが、フラッパ87は、搬送ガイド8以外のもの、例えば装置本体2または搬送部3に含まれることにしてもよい。フラッパ87が装置本体2に含まれる場合は、フラッパ87は、外側搬送ガイド88Bとの間に第2排出経路200Bの一部を形成しなくてもよい。
【0178】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0179】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 搬送部
4 画像形成部
5 定着器
8 搬送ガイド
10 カッター
102 ROM
21 供給トレイ
23 第1排出口
24 第2排出口
31 ピックアップローラ
36 第1排出ローラ
37 第2排出ローラ
51 加熱ローラ
52 加圧ローラ
53 ヒータ
54 温度センサ
61 感光体ドラム
64 現像ローラ
84 第3排出ローラ
87 フラッパ
87A 第1位置
87B 第2位置
101 CPU
105 ASIC
110 レジ前センサ
111 レジ後センサ
112 排出センサ
113 温湿度センサ
200 搬送経路
200A 第1排出経路
200B 第2排出経路
202 再搬送経路
230、231 搬送方向
K、K1-K18 排出モータ停止タイミング補正値
N ニップ
P、P1、P2 シート
T、T1 動作量
T0 動作量の基準値
X1、X2、Y1、Y2 補正値