IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 ロア・ジャパンの特許一覧

<>
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図1
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図2
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図3
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図4
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図5
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図6
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図7
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図8
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034961
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20240306BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240306BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139562
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】513163487
【氏名又は名称】株式会社 ロア・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢司
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇一郎
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH03
(57)【要約】
【課題】飛距離性能の向上したゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】ゴルフクラブヘッドS100はヘッド本体20を備え、ヘッド本体20は、ゴルフクラブヘッドS100の前後方向に延在する上層部材30aと、上層部材30aの下方において前後方向に延在する下層部材30bとを含む多層構造部30を有し、上層部材30a及び下層部材30bは、打撃時に、上層部材30a及び下層部材30bの板厚方向に屈曲するように弾性変形することにより反発力を発生させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部が前方に取り付けられ内部が中空となっているヘッド本体を備えるゴルフクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体は、
前記ゴルフクラブヘッドの前後方向に延在する上層部材と、前記上層部材の下方において前記前後方向に延在する下層部材とを含む多層構造部を有し、
前記上層部材及び前記下層部材は、打撃時に、前記上層部材及び下層部材の板厚方向に屈曲するように弾性変形することにより反発力を発生させる、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記多層構造部は、
前記ヘッド本体のクラウン部の少なくとも一部を構成するものであり、
前記ゴルフクラブヘッドの上面視において、前記フェース部の中心を通過し前記ゴルフクラブヘッドの前後方向に延びる中心線上に配置されている、
請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体は、
前記多層構造部として、第1多層構造部及び第2多層構造部を有し、
前記第1多層構造部及び前記第2多層構造部は、ぞれぞれ、前記ゴルフクラブヘッドの前方側の位置と、後方側の位置とに設けられている、
請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記上層部材は、前記ゴルフクラブヘッドの上方に向かって凸となるように屈曲しており、
前記下層部材は、前記ゴルフクラブヘッドの上方又は下方に向かって凸となるように屈曲している、
請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記上層部材の表面には、格子形状又はハニカム形状のリブが表面に形成されている、
請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフクラブヘッドのクラウン部に溝部を形成することによりクラウン部を撓み易くし、それにより打球の打ち出し角を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-097821公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、クラウン部は撓み易くなるもののゴルフクラブヘッドの飛距離性能の向上の点で改善の余地が残されている。
【0005】
そこで、本発明は、飛距離性能の向上したゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態のゴルフクラブヘッドは、フェース部が前方に取り付けられ内部が中空となっているヘッド本体を備えるゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体は、前記ゴルフクラブヘッドの前後方向に延在する上層部材と、前記上層部材の下方において前記前後方向に延在する下層部材とを含む多層構造部を有し、前記上層部材及び前記下層部材は、打撃時に、前記上層部材及び下層部材の板厚方向に屈曲するように弾性変形することにより反発力を発生させる。
【0007】
前記多層構造部は、前記ヘッド本体のクラウン部の少なくとも一部を構成するものであり、前記ゴルフクラブヘッドの上面視において、前記フェース部の中心を通過し前記ゴルフクラブヘッドの前後方向に延びる中心線上に配置されていてもよい。
【0008】
前記ヘッド本体は、前記多層構造部として、第1多層構造部及び第2多層構造部を有し、前記第1多層構造部及び前記第2多層構造部は、ぞれぞれ、前記ゴルフクラブヘッドの前方側の位置と、後方側の位置とに設けられていてもよい。
【0009】
前記上層部材は、前記ゴルフクラブヘッドの上方に向かって凸となるように屈曲しており、前記下層部材は、前記ゴルフクラブヘッドの上方又は下方に向かって凸となるように屈曲していてもよい。
【0010】
前記上層部材の表面には、格子形状又はハニカム形状のリブが表面に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飛距離性能の向上したゴルフクラブヘッドを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ゴルフクラブヘッドを上面側から見た図である。
図2】ゴルフクラブヘッドを正面側から見た図である。
図3図1の中心線CL-Xにおけるゴルフクラブヘッドの上下方向の断面図である。
図4】多層構造部の機能を説明するための図である。
図5】多層構造部の他の例を模式的に示す図である。
図6】多層構造部のさらに他の例を模式的に示す図である。
図7】ゴルフクラブヘッドの具体的な構成例を示す図である。
図8図7のゴルフクラブヘッドの多層構造部の断面図である。
図9】本発明の一形態のゴルフクラブヘッドの変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、ゴルフクラブヘッドS100を上面側から見た図である。図2は、ゴルフクラブヘッドS100を正面側から見た図である。
【0014】
図1及び図2では、基準状態のゴルフクラブヘッドS100が示されている。「基準状態」とは、ゴルフクラブヘッドS100が、そのヘッドに定められたライ角及びロフト角に保持されて水平面に置かれた状態のことをいう。本明細書において、特に言及されていない場合、ゴルフクラブヘッドS100はこの基準状態にあるものとする。
【0015】
図1において、中心線CL-Xは、ゴルフクラブヘッドS100のフェース部の中心であるフェースセンターを通り前後方向に延びる基準線である。中心線CL-Yは、中心線CL-Yに直交し、ゴルフクラブヘッドS100の前後方向における中心を通過する基準線である。
【0016】
[ゴルフクラブヘッドの構成]
ゴルフクラブヘッドS100は、中空部を有するウッド型のヘッドである。ゴルフクラブヘッドS100は、中空部を囲むように、フェース部10と、ヘッド本体20とを備えている。
【0017】
本実施形態のゴルフクラブヘッドS100の特徴の1つは、飛距離性能を向上させるための多層構造部30が設けられている点である。多層構造部30については、他の図面を参照しながら後述する。
【0018】
フェース部10は、ボールを打撃する部分であり、ゴルフクラブヘッドS100の前面に形成されている。フェース部10には、一例として、トウ・ヒール方向に延びる溝であるフェースライン(不図示)が形成されている。
【0019】
ヘッド本体20は、内部が中空に形成され、フェース部10が前方に取り付けられる部材である。ヘッド本体20は、クラウン部21と、ソール部22と、接続部23と、ホーゼル部24とを有している。ヘッド本体20は、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス、タングステン、及びカーボンのいずれか又はそれらの組合せである。
【0020】
クラウン部21は、ゴルフクラブヘッドS100の上面を形成する部分である。クラウン部21は、ヘッドの前後方向になだらかにカーブする曲面状に形成されている。ソール部22は、図2に示すように、ゴルフクラブヘッドS100の底面を形成する部分である。ソール部22は、フェース部10の下端付近からヘッドの後方へと延びている。
【0021】
接続部23は、クラウン部21とソール部22とを接続する部分である。ホーゼル部24は、不図示のシャフトが接続される構造部であり、一例として、シャフト差込孔が形成されている。
【0022】
[多層構造部30の構成]
多層構造部30について、図1及び図3を参照して説明する。図3は、図1の中心線CL-XにおけるゴルフクラブヘッドS100の上下方向の断面図である。
【0023】
本実施形態のゴルフクラブヘッドS100は、クラウン部21の一部を構成する多層構造部30を有している。具体的には、第1多層構造部である多層構造部30A及び第2多層構造部である多層構造部30Bの2つの多層構造部30が設けられている。
【0024】
多層構造部30A及び多層構造部30Bはいずれも、一例として、中心線CL-X上に配置されている。多層構造部30Aは、この例では、中心線CL-Yよりも前方側に配置されており、多層構造部30Bは、一例として中心線CL-Yよりも後方側に配置されている。
【0025】
多層構造部30A及び多層構造部30Bの輪郭形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、及び多角形など任意の形状であってもよいが、本実施形態では三角形型である。多層構造部30Aと多層構造部30Bとは、配置位置や形状が互いに異なっているものの基本的な構造は共通するため、以下では、多層構造部30Aを例として説明し、多層構造部30Bについての重複する説明は省略する。
【0026】
多層構造部30A(以下、多層構造部30という)は、図3に示すように、上層部材30a、下層部材30b、及び接続部材30cを有している。
【0027】
多層構造部30を構成する部材の材質は、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス、タングステン、及びカーボンのうちのいずれか又はそれらの組合せである。
【0028】
上層部材30aは、ゴルフクラブヘッドS100の前後方向に延在する部材である。上層部材30aは、平面状の板材であってもよいし曲面状の板材であってもよいが、本実施形態では、曲面状の板材である。上層部材30aは、クラウン部21の上面より下方に位置している。上層部材30aは、具体的には、一例として、上方に向かって凸となるように屈曲している。上層部材30aは、より具体的には、例えばクラウン部21の上面と概ね平行となるような態様で配置されている。上層部材30aの輪郭は、図1に示すように三角形型である。
【0029】
下層部材30bも、上層部材30aと同様、ゴルフクラブヘッドS100の前後方向に延在している。下層部材30bは、所定の隙間をあけて、上層部材30aの下方に位置している。下層部材30bも、一例として曲面状の板材である。下層部材30bは、具体的には、上層部材30aと同様、上方に向かって凸となるように緩やかに屈曲している。
【0030】
下層部材30bは、上層部材30aと同様、例えば、三角形型の輪郭形状に形成されている。下層部材30bは、上層部材30aと同一の大きさであってもよいし、上層部材30aよりも小さくてもよい。
【0031】
上層部材30a及び下層部材30bは、本実施形態では、一例として、互いの距離が一定となるような態様で配置されている。上層部材30aの板厚と下層部材30bの板厚とは、異なっていてもよいが、本実施形態では一例として同一である。
【0032】
接続部材30cは、上層部材30aと下層部材30bとを接続する部材である。接続部材30cの上端は、クラウン部21に接続されている。接続部材30cは、具体的には、図3に示すように上下方向に延在している。上層部材30a及び下層部材30bは、厳密に上下方向に沿って延在している必要はない。例えば、図3に示す断面において、クラウン部21から下方に向かうにつれて上層部材30aと下層部材30bとの間の距離が徐々に狭まるように、上層部材30a及び下層部材30bが傾斜していてもよい。
【0033】
接続部材30cの輪郭形状(ゴルフクラブヘッドS100の上面側から見たときの形状)は、上層部材30aと下層部材30bとを取り囲むような形状であり、具体的には、本実施形態では三角形型に形成されている。なお、接続部材30cはクラウン部21を構成する部材と一体的に形成されていてもよい。あるいは、クラウン部21とは別体に形成された接続部材30cがクラウン部21に固定されてもよい。
【0034】
多層構造部30は、上記のように上層部材30aと、下層部材30bと、接続部材30cとを含む立体的な形状を有する。上層部材30aと、下層部材30bと、接続部材30cとによって形成される空間は、密閉された空間であってもよいし、密閉されていない空間であってもよい。多層構造部30は、例えば3Dプリンタで形成されてもよい。この場合、上層部材30a、下層部材30b、及び接続部材30cは、継ぎ目のない一体的な構造体として形成される。
【0035】
(多層構造部30の機能)
上記のように構成された多層構造部30の機能を、図4を参照して説明する。図4は、多層構造部30の機能を説明するための図であり、図4(a)は多層構造部30の拡大図であり、図4(b)はボールの打撃時の変形の様子を示す模式図である。
【0036】
ボールの打撃時には、多層構造部30は、図4(a)に示す状態から4(b)に変化する。図4(b)の状態では、多層構造部30に対して白抜き矢印で示すようなヘッドの前方から後方に向かう力が加わり、その結果、上層部材30a及び下層部材30bが、上層部材30a及び下層部材30bの板厚方向(図の上下方向)に屈曲するように弾性変形する。このように上層部材30a及び下層部材30bが弾性的に撓むことで、多層構造部30はゴルフクラブヘッドS100の前後方向に沿う方向の反発力を発生させる。
【0037】
この反発力が、クラウン部21を介してフェース部10に伝わり、ボールに伝達されることで、ボールの飛距離が増大する。
【0038】
図4では、ゴルフクラブヘッドS100の前方側に設けられた多層構造部30Aについて例示したが、ゴルフクラブヘッドS100の後方側の多層構造部30Bについても、多層構造部30Aと同様のメカニズムで反発力を発生させる。
【0039】
[ゴルフクラブヘッドS100の効果]
以上説明したように、本実施形態のゴルフクラブヘッドS100は、上層部材30a及び下層部材30bを含む多層構造部30を有し、上層部材30a及び下層部材30bは、打撃時に、板厚方向に屈曲するように弾性変形することにより、反発力を発生させる。このような構成によれば、多層構造部30から反発力がボールに伝達されることにより、ゴルフクラブヘッドS100の飛距離性能を向上させることができる。
【0040】
本実施形態では、また、多層構造部30は、ゴルフクラブヘッドS100の上面視における中心線CL-X上に位置している。このように、多層構造部30が中心線CL-X状に位置している場合、打者がフェースセンターでボールを打撃する際の飛距離を効果的に向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、さらに、多層構造部30Aと多層構造部30Bとが中心線CL-X上に位置しているので、2つの多層構造部30の作用によってより効果的に飛距離性能を向上させせることができる。
【0042】
以上、図面に表わされた具体的な形状を参照しながら本発明の一形態について説明したが、本発明は必ずしも上記のような具体的な形状及び構成に限定されない。例えば、クラウン部21は、多層構造部30Aと多層構造部30Bとのいずれか一方のみを有するものであってもよい。また、クラウン部21は、多層構造部30Aと多層構造部30Bとに加え、さらに他の1つ以上の多層構造部30を有していてもよい。1つ又は複数の多層構造部30がソール部22に設けられていてもよい。
【0043】
図3では、クラウン部21の上面より一段低い位置に上層部材30a及び下層部材30bが配置されているが、これらの部材はより高い位置に配置されてもよい。例えば、上層部材30aは、クラウン部21の上面と同じ程度の高さに配置されていてもよい。
【0044】
<変形例1>
図5は、多層構造部30の他の例を模式的に示す図である。図5(a)に示すように、ゴルフクラブヘッドの多層構造部30Cは、例えば四角形型の輪郭形状を有する。図5(b)の多層構造部30Dは、例えば楕円型の輪郭形状を有する。このように、多層構造部の輪郭形状は任意である。このような構成であっても、上記の実施形態のように、多層構造部が、上層部材と下層部材とがボールの打撃時に屈曲して反発力を発生させる構造である限り、ゴルフクラブヘッドの飛距離性能を向上させることができる。
【0045】
<変形例2>
図6は、多層構造部30のさらに他の例を模式的に示す図である。図6(a)の多層構造部30Eは、いずれも平板状の上層部材31aと下層部材31bとを有する。上層部材31aと下層部材31bとは、一例として互いに平行である。上層部材31a及び下層部材31bは、この例では、水平面に対してやや傾斜している。具体的には、上層部材31a及び下層部材31bは、前方側が後方側よりも高くなるように配置されている。
【0046】
図6(b)の多層構造部30Fは、いずれも屈曲した上層部材32aと下層部材32bとを有する。上層部材32aは、この例では上方に向かって凸となるように屈曲しており、下層部材32bは、下方に向かって凸となるように屈曲している。図示されている例では、上層部材32aと下層部材32bとは上下方向に離れているが、上層部材32aと下層部材32bとは例えばその端部どうしが接するような態様で、互いに近接した状態で配置されていてもよい。
【0047】
図6(c)の多層構造部30Gは、屈曲した上層部材33aと平板状の下層部材33bとを有する。上層部材33aは、一例として、図6(b)の下層部材32bと同様の形状であり、下層部材33bは図6(a)の上層部材31aと同様の形状である。
【0048】
図6の各構成においても、ボールの打撃時に上層部材と下層部材とが屈曲するように弾性変形して反発力を発生させるため、ゴルフクラブヘッドの飛距離性能を向上させることができる。なお、図6(b)や図6(c)のような構成の場合、例えば、上層部材の両端部と下層部材の両端部とが互いに接続されてもよく、このような構成の場合、両部材を接続する接続部材が不要となる。
【0049】
<変形例3>
図7は、ゴルフクラブヘッドの具体的な構成例を示す図である。図8は、図7のゴルフクラブヘッドS110の多層構造部の断面図である。
【0050】
図7及び図8のゴルフクラブヘッドS110では、クラウン部121が、ヘッドの前方側の多層構造部130Aと、ヘッドの後方側の多層構造部130Bと、剛性部121aと、側方領域部121b-1、及び側方領域部121b-2を有している。
【0051】
多層構造部130A及び多層構造部130Bは、図1の構成の多層構造部30A及び多層構造部30Bと基本的な構成は同じであるので、重複する説明は省略する。多層構造部130A(以下、多層構造部130という)は、図8に示すように、上記実施形態と同様、上層部材130aと下層部材130bとを有している。
【0052】
この例では、上層部材130aは、板状部132と、その上方側の表面に形成されたリブ133とを有する。板状部132とリブ133とは、一例として一体的に形成されている。板状部132とリブ133とは、具体的には、3Dプリンタによって一体的に形成される。リブ133は、この例ではハニカム形状である。図示しないが、リブ133は格子形状であってもよい。
【0053】
図7の例のように上層部材130aにリブ133が形成されていることで、上層部材130aの剛性が向上する。なお、上層部材130aは、ボールの打撃時に撓むことによって反発力を発生させる部材であるため、この機能を損なわないようにリブ133の形状が設定されている。
【0054】
剛性部121aは、この例では、上面視でX型に形成された部分であり、クラウン部121の他の部分よりも曲げ剛性が高くなるように形成されている。側方領域部121b-1及び側方領域部121b-2は、ヘッドのトウ側及びヒール側にそれぞれ設けられている。側方領域部121b-1及び側方領域部121b-2は、多層構造部30のように複数の部材が上下方向に配置された構造ではなく、一例として、単一の湾曲した板材上にハニカム形状のリブが形成された構造を有する。
【0055】
<変形例4>
図9は、本発明の一形態のゴルフクラブヘッドの変形例を模式的に示す断面図である。上述した実施形態では、多層構造部がクラウン部21の一部に形成された例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9(a)に示すように、多層構造部230が、ゴルフクラブヘッドのクラウン部21の全面に形成されていてもよい。なお、図9は多層構造部230を模式的に図示したものであり、ゴルフクラブヘッド全体に対する多層構造部230の位置や範囲は適宜変更可能である。このように、多層構造部230がクラウン部21の少なくとも一部に形成された構成によっても、上述した効果と同様の効果が奏される。
【0056】
多層構造部230は、上層部材231及び下層部材232を有し、これらの部材は一例として接続部材233によって支持されている。上層部材231、下層部材232及び接続部材233は、本明細書中で説明した他の上層部材、下層部材及び接続部材に関する技術的思想を適用可能であるため、重複する説明は省略する。後述する上層部材241及び下層部材242についても同様である。
【0057】
上述した実施形態では多層構造部がクラウン部に形成された例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9(b)に示すように、ゴルフクラブヘッドの内部空間の任意の位置に多層構造部240が設けられていてもよい。多層構造部240は、必ずしもクラウン部21に設けられている必要はない。
【0058】
多層構造部240は、上層部材241及び下層部材242を有し、これらの部材が一例として接続部材243によって支持されている。図9の断面図では、ヘッドの前面側の第1の接続部材243と、後方側の第2の接続部材243とが描かれている。いずれの接続部材243も、一例として、クラウン部21とソール部22とを接続するように上下方向に延在している。
【0059】
なお、図9(b)の構成において、多層構造部240は1つに限らず、複数の多層構造部240がゴルフクラブヘッドの内部空間に配置されていてもよい。一例として、1つ又は複数の多層構造部240がクラウン部21に設けられ、他の1つ又は複数の多層構造部240がソール部22に設けられてもよい。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0061】
10 フェース部
20 ヘッド本体
21 クラウン部
22 ソール部
23 接続部
24 ホーゼル部
30 多層構造部
30a 上層部材
30b 下層部材
30c 接続部材
30A 多層構造部
30B 多層構造部
30C 多層構造部
30D 多層構造部
30E 多層構造部
30F 多層構造部
30G 多層構造部
31a 上層部材
31b 下層部材
32a 上層部材
32b 下層部材
33a 上層部材
33b 下層部材
121a 剛性部
121b-1 側方領域部
121b-2 側方領域部
130 多層構造部
130a 上層部材
130b 下層部材
130A 多層構造部
130B 多層構造部
132 板状部
133 リブ
230 多層構造部
231 上層部材
232 下層部材
233 接続部材
240 多層構造部
241 上層部材
242 下層部材
243 接続部材
CL-X 中心線
CL-Y 中心線
S100 ゴルフクラブヘッド
S110 ゴルフクラブヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9