(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034965
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E04F19/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139569
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄歩
(72)【発明者】
【氏名】築山 祐子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(57)【要約】
【課題】床板下地の上面よりも下方において高さを調整できる床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物を提供する。
【解決手段】床下点検口100の枠構造は、点検口40の蓋部9と、下部構造体1と、下部構造体1に支持された床板下地2と、床板下地2に形成された開口部3と、開口部3内において、下部構造体1に支持された外枠材4と、外枠材4を下部構造体1に支持させる支持具5と、外枠材4と開口部3の内周面との間に配置された仕切り材6と、仕切り材6と開口部11の内周面との間を埋める充填剤22と、を備え、蓋部9は、外枠材4の上部に載置されており、支持具5は、下部構造体1の上部に支持される土台部51と、外枠材4を支持する支持部52と、を有し、仕切り材6は、外枠材4に隣接して配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検口の蓋部と、
下部構造体と、
前記下部構造体に支持された床板下地と、
前記床板下地に形成された開口部と、
前記開口部内において、前記下部構造体に支持された外枠材と、
前記外枠材を前記下部構造体に支持させる支持具と、
前記外枠材と前記開口部の内周面との間に配置された仕切り材と、
前記仕切り材と前記開口部の内周面との間を埋める充填剤と、を備え、
前記蓋部は、前記外枠材の上部に載置されており、
前記支持具は、
前記下部構造体の上部に支持される土台部と、
前記外枠材を支持する支持部と、を有し、
前記仕切り材は、前記外枠材に隣接して配置されている床下点検口の枠構造。
【請求項2】
前記充填剤は、モルタルである請求項1に記載の床下点検口の枠構造。
【請求項3】
前記充填剤は、発泡ウレタンである請求項1に記載の床下点検口の枠構造。
【請求項4】
前記床板下地は、床板スラブと、前記床板スラブ上に載置された断熱材とを有する請求項1に記載の床下点検口の枠構造。
【請求項5】
前記床板下地と前記外枠材との隙間を塞ぐ気密テープを更に備え、
前記床板下地の上面と前記外枠材の上面とが面一とされており、
前記気密テープは、前記床板下地の上面と前記外枠材の上面とに渡り貼付されている請求項1に記載の床下点検口の枠構造。
【請求項6】
前記支持具は、
L字形状に形成されており、
その一方の板部が前記土台部であり、
他方の板部が前記支持部であり、
前記支持部は、前記外枠材の側部を支持している請求項1から5の何れか一項に記載の床下点検口の枠構造。
【請求項7】
前記支持部は、前記外枠材における、前記仕切り材に対向する側とは反対側の前記側部を支持している請求項6に記載の床下点検口の枠構造。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の床下点検口の枠構造を備えた建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床下点検口が開示されている。この床下点検口は、床に形成された開口部に設けられる点検口であり、内枠および外枠を一体化した内外一体枠と、内外一体枠の内側に張られた蓋板と、開口部の内周面に固定されて内外一体枠を受ける枠受材とを備える。内外一体枠は、開口部の内側に張り出して蓋板を覆う内鍔部と、開口部の縁に張り出した外鍔部とを有する。枠受材は、開口部の縁に掛けられる掛部と、内外一体枠を支持する上段部および下段部と、掛部と上段部とを接続する立ち上がり部とを有する。立ち上がり部は、上段部および下段部に支持された内外一体枠を床に対して適切な高さにする上下幅を有する。従来の床下点検口では、外枠は、開口部を閉じた際の蓋の高さを適切にするためにも必要な部材であるため、床に形成された開口部に外枠を取り付けるという現場での施工が必要になり、工場での施工と異なり量産に適さず、現場での施工に時間を要するという問題があるところ、この床下点検口では、内枠および外枠という2つの枠を必要とせず、さらに、掛部を開口部の縁に上端を合わせるだけで当該開口部を閉じた蓋が適切な高さにされるので、現場での施工を容易にすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような従来の床下点検口では、枠受材の掛部が床板上に配置されることから、例えば、床板と床下点検口の枠材との間の気密の確保が難しい場合があった。また、枠受材の高さが掛部の配置によって固定されてしまうため、例えば、床板と床下点検口の枠材との間の気密施工を行いたい場合に、床下点検口の外枠などの枠材の高さを調整できない問題もあった。そのため、床板下地の上面よりも下方において高さを調整できる床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物の提供が望まれる。
【0005】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、床板下地の上面よりも下方において高さを調整できる床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る床下点検口の枠構造は、
点検口の蓋部と、
下部構造体と、
前記下部構造体に支持された床板下地と、
前記床板下地に形成された開口部と、
前記開口部内において、前記下部構造体に支持された外枠材と、
前記外枠材を前記下部構造体に支持させる支持具と、
前記外枠材と前記開口部の内周面との間に配置された仕切り材と、
前記仕切り材と前記開口部の内周面との間を埋める充填剤と、を備え、
前記蓋部は、前記外枠材の上部に載置されており、
前記支持具は、
前記下部構造体の上部に支持される土台部と、
前記外枠材を支持する支持部と、を有し、
前記仕切り材は、前記外枠材に隣接して配置されている。
【0007】
本発明に係る床下点検口の枠構造は、更に、
前記充填剤は、モルタルであってよい。
【0008】
本発明に係る床下点検口の枠構造は、更に、
前記充填剤は、発泡ウレタンであってよい。
【0009】
本発明に係る床下点検口の枠構造は、更に、
前記床板下地は、床板スラブと、前記床板スラブ上に載置された断熱材とを有してよい。
【0010】
本発明に係る床下点検口の枠構造は、更に、
前記床板下地と前記外枠材との隙間を塞ぐ気密テープを更に備え、
前記床板下地の上面と前記外枠材の上面とが面一とされており、
前記気密テープは、前記床板下地の上面と前記外枠材の上面とに渡り貼付されてもよい。
【0011】
本発明に係る床下点検口の枠構造は、更に、
前記支持具は、
L字形状に形成されており、
その一方の板部が前記土台部であり、
他方の板部が前記支持部であり、
前記支持部は、前記外枠材の側部を支持してもよい。
【0012】
本発明に係る床下点検口の枠構造は、更に、
前記支持部は、前記外枠材における、前記仕切り材に対向する側とは反対側の前記側部を支持してもよい。
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る建物は、
上述の床下点検口の枠構造を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、床板下地の上面よりも下方において高さを調整できる床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る建物における、床下点検口の枠構造及びその周囲の垂直断面図である。
【
図3】
図1に示す外枠材の下部及びその近傍の部分拡大断面図である。
【
図5】床板下地、外枠材及び気密テープの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物について説明する。
【0017】
図1には、本実施形態に係る建物における、床下点検口100の枠構造及びその周囲の垂直断面図を示している。本実施形態に係る建物は、
図1に示すように、床下点検口100の枠構造を含んでいる。
【0018】
本実施形態に係る床下点検口100の枠構造は、点検口40の蓋部9と、下部構造体1と、下部構造体1に支持された床板下地2と、床板下地2に形成された開口部3と、開口部3内において、下部構造体1に支持された外枠材4と、外枠材4を下部構造体1に支持させる支持具5と、外枠材4と開口部3の内周面との間に配置された仕切り材6と、仕切り材6と開口部3の内周面との間を埋める充填剤20と、を備えている。なお、本実施形態において、床下点検口100は建物の設備のことであり、点検口40は建物の床に形成された開口そのもののことである。
【0019】
蓋部9は、外枠材4の上部に載置されており、支持具5は、下部構造体1の上部に支持される土台部51と、外枠材4を支持する支持部52と、を有し、仕切り材6は、外枠材4に隣接して配置されている。
【0020】
この床下点検口100の枠構造によれば、床板下地2の上面よりも下方において高さを調整することができる。
【0021】
以下の説明では、説明の便宜として、
図1に示す位置関係において、鉛直方向における上又は上側を単に上又は上側などと称し、鉛直方向における下又は下側を単に下又は下側などと称する。
【0022】
なお、本実施形態に係る建物は、鉄筋コンクリート造の基礎と、柱や梁などの骨組部材で構成された骨組架構と、壁や床などを形成するパネルとを有し、基礎に固定された上部構造体とで構成されてよい。骨組部材やパネルは、予め規格化(標準化)されたものとすることができる。この場合、骨組部材などを予め工場にて製造して建築現場に搬入し、建物を組み立てることができる。本実施形態に係る床下点検口の枠構造は、建物を新たに建築する際に、その一部として組み入れてもよいし、既存の建物に追加して構築してもよい。
【0023】
以下、本実施形態に係る床下点検口100の枠構造について詳述する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る床下点検口100の枠構造は、上述のごとく、蓋部9、下部構造体1、床板下地2、開口部3、外枠材4、支持具5、仕切り材6及び充填剤20に加えて、更に、床板下地2と外枠材4との隙間を塞ぐ気密テープ7及び床板8を備えてよい。床板8は、
図2に示すように、フローリング板などの、室内側に露出する板状の部材である。なお、
図2は、床下点検口100の上面図である。
【0025】
図1に示すように、下部構造体1は、床板下地2や外枠材4などの建物の上部の構造体を支持する基礎部分である。本実施形態において、下部構造体1は、建物の基礎及び基礎上に構築された、建物の上部の構造体を支持する枠体を含む。下部構造体1には、鉛直方向に貫通する開口部11が形成されている。
【0026】
床板下地2は、床板8の下地となる構造体である。床板下地2は、下部構造体1に支持されている。床板下地2は、例えば軽量発泡コンクリートなどで形成された床板スラブ21と、床板スラブ21上に載置された断熱材22とを有する。断熱材22上には、捨て貼り板23が載置されてもよい。床板スラブ21及び断熱材22はそれぞれ、厚みのある板状であり、水平面に沿って配置されている。捨て貼り板23は、断熱材22よりも厚みの薄い板状である。本実施形態では、床板スラブ21が下部構造体1に支持されている。断熱材22上には捨て貼り板23を介して床板8が載置されている。
【0027】
開口部3は、床板8と床板下地2とを鉛直方向に貫通するように形成された貫通孔である。開口部3は、下部構造体1の開口部11と上面視で重複させている。
【0028】
本実施形態では、開口部3は、床板スラブ21に形成された貫通孔である開口31と、断熱材22に形成された貫通孔である開口32とを鉛直方向視で重複させたものである。開口31と開口32とは相似形状の矩形状とするとよい。また、開口31と開口32とは、開口の中心を重複させるとよい。また、開口31よりも、開口32の開口面積を大きくすることが好ましい。これにより、後述する外枠材4を、下部構造体1上に固定しやすくなる。
【0029】
開口31及び開口32は、下部構造体1の開口部11よりも大きく開口させることが好ましい。そして、開口31の内周面と開口32の内周面とは、上面視で、開口部11の内周面よりも開口の外側に配置し、下部構造体1と重複させることが好ましい。
【0030】
開口部3は、建物の室内におけるいずれの床部に配置されてよいが、開口部分は室内に露出するように配置する。開口部3は、例えば、下部構造体1上において、上面視(上方から下方を見る視点)で矩形状に形成されてよい。
【0031】
床下点検口100は、開口部3に構築された、建物の床下を点検するための点検口である。床下点検口100は、開口部3内に配置され、且つ、下部構造体1に支持された外枠材4と、外枠材4上に載置された蓋部9とを備えている。
【0032】
外枠材4は、床下点検口100における点検口40の外周を区画し、且つ、点検口40を塞ぐ蓋部9を載置するために支持枠である。外枠材4は、例えば木製でよい。外枠材4は、例えば、下部構造体1上において、上面視(上方から下方を見る視点)で矩形状に形成されている。外枠材4は、後述する支持具5を介して下部構造体1に支持され、また、固定されている。
【0033】
外枠材4は、開口部3の内周に沿って配置してよい。上面視における、外枠材4の外周は、開口部3の内周に対向している。すなわち、外枠材4の外周は、床板下地2の内周に対向している。上面視における、外枠材4の内周は、開口部3の内側に向いている。
【0034】
外枠材4の上端部における、外周部には、上面視における外枠材4の延在方向に沿って、隆起部41が形成されている。すなわち、隆起部41は、上面視で矩形状に形成されている。隆起部41の上面は平面上に形成するとよい。隆起部41の上面の高さは、断熱材22の上面の高さにそろえること、すなわち、隆起部41の上面の高さと断熱材22の上面の高さとを同じ高さにすることが好ましい。隆起部41の上面の高さは、後述する支持具5による外枠材4の支持高さの調整によって行える。
【0035】
外枠材4の上面における、隆起部41よりも内周側の内周部には、蓋支持座49が載置されてよい。蓋支持座49は、例えば隆起部41の内周に沿って配置してよい。本実施形態では、蓋支持座49は、隆起部41の内周に沿って、上面視で矩形状に配置されている。蓋支持座49には、蓋部9が載置される。蓋支持座49は、例えば鉄や鉄合金などの金属や樹脂などで形成してよい
【0036】
図1及び
図3に示すように、仕切り材6は、充填剤20と外枠材4とを分離するための板状の隔壁である。なお、
図3は、
図1に示す外枠材4の下部及びその近傍の拡大断面図である。
【0037】
図1に示すように、仕切り材6は、外枠材4と開口部3の内周面との間に配置されている。仕切り材6は、外枠材4の側面と開口部3の内周面とにその板面を沿わせて配置される。仕切り材6の材質は問わないが、例えば、発泡スチロール、木材、樹脂、金属などであってよい。
【0038】
本実施形態では、仕切り材6は、外枠材4と開口部3の一部を形成する床板スラブ21の開口31の内周面との間に配置されている。また、仕切り材6と開口部3の内周面(本実施形態では、床板スラブ21の開口31の内周面)との間には充填剤20が充填されている。すなわち、仕切り材6と開口部3の内周面との間は充填剤20で埋められている。換言すると、
図1及び
図3に示すように、充填剤20と外枠材4との間に仕切り材6が配置されている。仕切り材6は、外枠材4における外周面、すなわち、開口部3(
図1参照)の内周面に対向する側の面に隣接して配置されている。仕切り材6における、外枠材4に対向する側の板面は、摩擦抵抗の小さいものであることが好ましい。
【0039】
充填剤20は、例えばモルタルや発泡ウレタンである。
図1に示すように、充填剤20により、仕切り材6と開口部3の内周面との間、すなわち、下部構造体1、床板スラブ21、断熱材22及び仕切り材6とで区画される空間を埋めて、これら下部構造体1、床板スラブ21、断熱材22及び仕切り材6の配置を固定させ、又は安定化させることができる。また、充填剤20により、この空間を埋めて、下部構造体1、床板スラブ21、断熱材22及び外枠材4間を封止して気密性を向上させることができる。
【0040】
充填剤20は、建物が鉄筋コンクリート造である場合はモルタルが好ましく、建物が木造建築である場合は発泡ウレタンが好ましい場合がある。
【0041】
図1及び
図3に示すように、仕切り材6により、充填剤20と外枠材4との固着が防止される。そのため、後述するように、充填剤20を仕切り材6と開口部3(
図1参照)の内周面との間に充填した後にも、外枠材4の鉛直方向における高さ調整を行えるようになる。
【0042】
支持具5は、外枠材4を下部構造体1に支持させる金具や枠材である。支持具5は、例えば鉄や鉄合金などの金属や樹脂などで形成してよい。支持具5は、下部構造体1の上部で支持される土台部51と、外枠材4を支持する支持部52と、を有する。
【0043】
支持具5は、一例としてL字形状に形成されるとよい。この場合、そのL字形状の一方の板部が土台部51であり、他方の板部が支持部52である。土台部51は、その板面を下部構造体1の上面に沿わせて配置するとよい。土台部51の下部構造体1への固定は、例えばネジ45で固定してもよいし、上述の充填剤20で埋めて固定してもよい。
図1及び
図3では、下部構造体1の上面に載置された土台部51が下部構造体1の上面と充填剤20との間に埋められて固定されている場合を例示している。
図4には、支持部52における外枠材4に対向する側の面に対して垂直な方向視で見た支持具5の形状を示している。支持部52には、ネジ45を挿通する貫通孔55を形成してよい。
図4では、貫通孔55が二つ形成されており、その形状が、例えば、下部構造体1に固定した場合に鉛直方向に沿う矩形状である場合を示している。貫通孔55は、長円形や矩形状であってその隅部が丸められたような形状であってもよい。
【0044】
支持具5がL字形状に形成されている場合、支持部52は、
図1及び
図3に示すように、外枠材4の側部を支持するとよい。この場合、支持部52は、外枠材4における内周側の側部を支持することが好ましい。仕切り材6との関係で言い換えると、支持部52は、外枠材4における仕切り材6に対向する側とは反対側の側面側に配置し、外枠材4における仕切り材6に対向する側とは反対側の側部を支持するとよい。これにより、外枠材4における内周側、すなわち、点検口40の内側において支持部52と外枠材4とを接続する作業を行えるようになる。そのため支持部52で外枠材4を支持するように支持部52と外枠材4とを接続する作業の作業性が向上する。また、これにより、床板下地2の上面よりも下方において、蓋部9(
図1参照)の支持枠である外枠材4の高さを調整できるようになる。
【0045】
図1及び
図5に示すように、気密テープ7は、床板下地2と外枠材4との隙間を塞ぐために床板下地2の上面と外枠材4の上面とに渡り貼付される。これにより、床板下地2と外枠材4との隙間を密封して建物の気密性を向上させることができる。なお、
図5には、床板下地2、外枠材4及び気密テープ7の上面図(床板下地2、外枠材4及び気密テープ7を上方から見下ろした一部)を示している。
【0046】
本実施形態では、床板下地2の上面よりも下方において、蓋部9(
図1参照)の支持枠である外枠材4の高さを調整できるようになっており、床板下地2の上面や外枠材4の上面に、外枠材4の高さを調整するための他の部材を配置する必要がない。そのため、本実施形態では、気密テープ7を、床板下地2の断熱材22の上面と外枠材4の隆起部41の上面とに渡り貼付することが容易となっており、現場での作業性が向上する。
【0047】
また、本実施形態では、床板下地2の上面よりも下方において、蓋部9(
図1参照)の支持枠である外枠材4の高さを調整できるようになっており、この調節によって、上述のごとく、外枠材4の隆起部41の上面の高さと床板下地2の断熱材22の上面の高さとが同じ高さにされて面一とされている。そのため、断熱材22の上面と隆起部41の上面とに渡り気密テープ7を密封性が高い状態で貼付できるようになっている。
【0048】
また、本実施形態では、断熱材22の上面と隆起部41の上面とが面一とされていることから、断熱材22の上面と隆起部41の上面とに渡り気密テープ7の貼付がいっそう容易に行えるようになっているため、現場での作業性が更に向上する。また、断熱材22の上面と隆起部41の上面とが面一とされていることから、気密テープ7の貼付による、断熱材22(床板下地2)と隆起部41(外枠材4)との間の隙間の密封をより確実に行える。
【0049】
以下では、主に
図1を参照しつつ、本実施形態に係る床下点検口100の枠構造の構築について説明する。床下点検口100の枠構造は、以下のようにして構築する。
【0050】
下部構造体1を構築した後、下部構造体1上に、床板下地2の床板スラブ21と外枠材4と仕切り材6とを設置し、また、仕切り材6と開口部3の内周面との間に充填剤20を充填する。
【0051】
本実施形態では、例えば、まず、あらかじめ開口部3の一部となる開口31を形成しておいた床板下地2の床板スラブ21を下部構造体1上に設置する。なお、床板下地2の断熱材22は、後述するように、下部構造体1、床板スラブ21、断熱材22及び仕切り材6とで区画される予定の空間に充填剤20を充填した後に床板スラブ21上に設置する。
【0052】
次に、支持具5の土台部51の面部分を下部構造体1の上面沿わせ、且つ、支持部52が上方に向けて延びるように支持具5を下部構造体1の上面に載置する。そして、土台部51の上面に外枠材4を載置し、仕切り材6を外枠材4と開口31の内周面との間に配置し、且つ、仕切り材6の板面を外枠材4に当接させた状態とする。この際、外枠材4と土台部51との間にスペーサー44(
図1及び
図3参照)を挟み込んで外枠材4を仮位置決めしてもよい。なお、
図1では、仕切り材6の上端面と床板スラブ21の上面とが同じ高さとなるように、仕切り材6を形成及び配置している。
【0053】
次に、仕切り材6と開口部3における開口31の内周面との間、すなわち、下部構造体1、床板スラブ21、断熱材22及び仕切り材6とで区画される予定の空間に充填剤20を充填して埋める。この際、充填剤20と外枠材4との間に仕切り材6が配置されているため、充填剤20と外枠材4との固着が防止される(
図3参照)。そのため、充填剤20を仕切り材6と開口部3における開口31の内周面との間に充填した後にも外枠材4の鉛直方向における高さ調整を行える状態が維持される。外枠材4の鉛直方向における高さ調整を行う際、仕切り材6における、外枠材4に対向する側の板面が摩擦抵抗の小さいものであれば、外枠材4の鉛直方向における高さ調整はさらに行いやすくなる。
【0054】
充填剤20の充填後、更にあらかじめ開口部3の一部となる開口32を形成しておいた断熱材22を床板スラブ21上に設置する。この際、下部構造体1の開口部11と開口31と開口32とは、上面視で重複させる。また、開口部11と開口31と開口32とのそれぞれの中心を、上面視で重複させるとよい。本実施形態では、上面視において、開口32の内周部(床板スラブ21)が仕切り材6と重複するように開口32が形成及び配置される場合を例示している。なお、開口32の内周面は外枠材4の側面に当接させて良い。
【0055】
外枠材4の高さ調整は、外枠材4の上面、本実施形態では、隆起部41の上面の高さと床板下地2の断熱材22の上面の高さとが同じ高さになるように行う。隆起部41の上面と断熱材22の上面とが面一になった状態で、外枠材4の高さ位置を支持具5で固定する。具体的には、例えば、点検口40の内側から、支持部52を介して外枠材4の側部にネジ45をねじ込んで、外枠材4を支持具5の支持部52に固定し、これによって外枠材4を下部構造体1上に固定してよい(
図1及び
図3参照)。すなわち、外枠材4の高さ調整は、床板下地2の上面よりも下方において行える。外枠材4と土台部51との間にスペーサー44(
図1及び
図3参照)を挟み込んで外枠材4を仮位置決めしていた場合は、外枠材4の高さ調整によって、外枠材4とスペーサー44との間に隙間を生じさせてもよい。
【0056】
外枠材4が下部構造体1上に固定されたのち、床板下地2と外枠材4との隙間を塞ぐ気密テープ7を、床板下地2の断熱材22の上面と外枠材4の隆起部41の上面とに渡り貼付する(
図1及び
図3参照)。この際、隆起部41の上面と断熱材22の上面とが面一であるから、断熱材22の上面と隆起部41の上面とに渡り気密テープ7を、容易に、また、密封性が高い状態で貼付することができる。この気密テープ7の貼付は容易であることから、現場での作業性が高まる。また、気密テープ7で実現されるこの密封性の品質は、作業者の熟練度の影響を受けにくい。
【0057】
その後、蓋支持座49を外枠材4の上面における内周部に載置する。また、必要に応じて断熱材22上に捨て貼り板23を設置する。捨て貼り板23は、断熱材22上から、上面視で隆起部41と重複する位置に渡り配置するとよい。断熱材22上(
図1に示す例では捨て貼り板23上)には、更に、床板8を設置する。捨て貼り板23や床板8は、気密テープ7上に設置してよい。
【0058】
そして、蓋支持座49上に、点検口40を塞ぐ蓋部9を載置する。
【0059】
以上のようにして、床板下地の上面よりも下方において高さを調整できる床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物を提供することができる。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、支持部52が外枠材4における内周側の側部を支持する場合を例示して説明したが、支持部52は外枠材4における外周側の側部を支持してもよい。この場合、点検口40の内側から、外枠材4の側部から支持部52までネジ45をねじ込んで、外枠材4を支持具5の支持部52に固定し、これによって外枠材4を下部構造体1上に固定してよい。
【0061】
(2)上記実施形態では、仕切り材6の上端面と床板スラブ21の上面とが同じ高さとなるように仕切り材6を形成及び配置し、上面視において、開口32の内周部(床板スラブ21)が仕切り材6と重複するように開口32が形成及び配置される場合を例示して説明したが、仕切り材6の設置態様はこれに限られない。たとえば、仕切り材6の上端面が床板スラブ21の上面よりも高くなるように形成及び配置し、仕切り材6の板面が開口32の内周面に沿うように配置されてもよい。すなわち、上面視で仕切り材6が断熱材22と外枠材4との間に配置されてもよい。
【0062】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、床下点検口の枠構造及びこれを備えた建物に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 :下部構造体
100 :床下点検口
11 :開口部
2 :床板下地
20 :充填剤
21 :床板スラブ
22 :断熱材
23 :捨て貼り板
3 :開口部
31 :開口
32 :開口
4 :外枠材
40 :点検口
41 :隆起部
44 :スペーサー
45 :ネジ
49 :蓋支持座
5 :支持具
51 :土台部
52 :支持部
55 :貫通孔
6 :仕切り材
7 :気密テープ
8 :床板
9 :蓋部